JP2010066411A - 転写ベルト及びその製造方法並びに転写ユニット及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転写ベルト100は、内周面112に離型剤110が付着しており、該内周面における表層部の表面抵抗値の常用対数値が、外周面122における表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高くなっている。好ましくは、離型剤は、ジメチルシリコーンを含む。
【選択図】図1
Description
また、ポリエステル等の織布と弾性部材を積層してなる補強材入り弾性ベルトが提案されているが、経時でベルト材料のクリープ変形等に起因する色ずれの問題が発生する場合がある。
一方、機械特性や耐熱性に優れたポリイミド樹脂に導電性フィラーを分散させた中間転写ベルトが提案されている(特許文献2、3参照)。
転写ベルトの外周面の表面抵抗を高くすれば、ギャップ転写が抑制されるが、感光体と転写ベルトの間で放電して放電欠陥が発生し易い。
請求項1の発明は、内周面に離型剤が付着しており、該内周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、外周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高いことを特徴とする転写ベルトである。
請求項2の発明は、前記離型剤が、ジメチルシリコーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の転写ベルトである。
請求項3の発明は、前記外周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、10LogΩ以上12LogΩ以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトである。
請求項4の発明は、前記内周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、11.5LogΩ以上14LogΩ以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写ベルトである。
請求項5の発明は、外周面に離型剤を付与した後、該離型剤に紫外線を照射して表面改質を行なった芯体の外周面に樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を固化させて樹脂皮膜を形成する工程と、前記樹脂皮膜を前記芯体から抜き取る工程と、を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトを製造する方法である。
請求項6の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、該転写ベルトを張架する複数のロールと、を備えることを特徴とする転写ユニットである。
請求項7の発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が一次転写される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、前記転写ベルトを張架し、該転写ベルトを回転させるロールと、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトに一次転写させる一次転写手段と、前記転写ベルトに一次転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写させる二次転写手段と、前記記録媒体に二次転写された前記トナー像を定着させる定着手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写の発生が一層抑制される転写ベルトが得られる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写の発生が一層抑制される転写ベルトが得られる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写の発生が一層抑制される転写ベルトが得られる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写の発生が抑制されるとともに、使用自由度の高い転写ベルトが容易に製造される。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写が発生し難い転写ユニットが得られる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、放電欠陥及びギャップ転写が発生し難い画像形成装置が得られる。
本発明者の研究によると、転写ベルトの内周面側の表層部の表面抵抗を外周面側の表層部の表面抵抗よりも一定の範囲内で高くすると、ベルト沿面方向の電場形成が抑えられ、ギャップ転写が抑制されると共に、放電欠陥が発生し難いことが分かった。
例えば、内周面を含む内層と外周面を含む外層の2層構造とし、各層に含まれる導電剤の含有量を変えることで、外層よりも内層の抵抗が高い転写ベルトを作製することができる。しかし、高抵抗の材料を用いて高抵抗の内層を形成すると、成膜性等の観点から内層の厚みは15μm以上とする必要があり、この場合、放電が生じ易くなるなど、別の問題が生じてしまう。
図1は、本実施形態に係る転写ベルトを概略的に示している。図2は、本実施形態に係る転写ベルトの一部における厚さ方向の断面を概略的に示している。本実施形態に係る転写ベルト100の本体部分120は、導電剤を樹脂材料に分散させた材料で構成された単層構造であり、無端状(環状)となっている。そして、本実施形態に係る転写ベルト100の内周面112には離型剤110が付着しており、内周面112側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、外周面122側の表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高くなっている。
転写ベルトの基材となる樹脂材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。この中でも特に、高ヤング率であり、支持ロール(張架ロール)、クリーニングブレード等の応力による駆動時の変形が少なく、色ズレ等の画像欠陥が生じにくいポリイミド樹脂が好適である。
上記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
導電剤としては、導電性又は半導電性の微粉末が使用され、本実施形態に係る転写ベルト100として所望の電気抵抗が安定して得られれば導電性に制限はない。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が107Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が107以上1013Ωcm以下であることを意味する。
酸性カーボンブラックは、その揮発成分が1%以上25%以下、好ましくは2%以上20%以下、より好ましくは3.5%以上15%以下含まれていることがよい。揮発分が1%以上であれば、表面に存在する酸素含有官能基による効果が確実に得られ、結着樹脂への分散性が高くなる。一方、揮発分が25%以下であれば、結着樹脂に分散させる際に、分解することが抑制され、また、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなることなどによって、得られる成形品(ベルト)の外観が悪くなるなどの問題が生じることが抑制される。従って、揮発分を上記範囲とすることで、樹脂中への分散性がより向上される。この揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求められる。
酸性カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電剤としての添加量を高くすることが好ましい。これにより、転写ベルト中のカーボンブラックの量が多くなり、上記電気抵抗値の面内バラツキが抑えられる等、酸化処理カーボンブラックを用いることの効果が発揮される。
このため、酸性カーボンブラックの含有量は、樹脂材料に対して、10質量%以上30質量%以下とすることがよい。これにより、転写ベルトの表面抵抗率の面内バラツキを抑制するなど、酸性カーボンブラックの効果が発揮される。この含有量が10質量%未満であると電気抵抗の均一性が低下し、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が大きくなることがある。一方、30質量%を超えると所望の抵抗値が得られ難くなることがある。さらに、酸性カーボンブラックの含有量を18質量%以上30質量%以下とすることで、その効果がより発揮され、表面抵抗率の面内ムラや電界依存性が顕著に改善される。
転写ベルト100の内周面112に付着させる離型剤110としては、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフニレンスルファイド樹脂、メチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーン変性物(メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性等)等及びこれらに粉末シリカを混合したものが使用されるが、転写ベルト100の内周面112側の抵抗を制御する観点からジメチルシリコーンが好ましい。
転写ベルト100の内周面112に付着させる離型剤110の付着量(厚み)は、内周面112側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、外周面122側の表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高くなるように、離型剤の種類、転写ベルト本体120を構成する樹脂や導電剤の種類等に応じて決めればよい。離型剤(離型層)110の厚みは、通常は、0.01μm以上1μm以下、好ましくは、0.01μm以上0.5μm以下である。
転写ベルト100の内周面112に付着した離型剤110の厚みは、市販蛍光X線分析装置により測定する事ができる。具体的には、理学電気工業(株)製の自動蛍光X線分析装置(RIX3000)を用いて、30mmφの測定面積でSi元素の強度を求め、検量線より、そのSi成分量から離型剤層の厚みとした。
次に、導電剤としてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を用いて、本実施形態に係る中間転写ベルトを作製する例を以下に例示する。ただし、これに限定されず、他の方法を採用してもよい。
本実施形態に係る転写ベルトは、
外周面に離型剤を付与した後、該離型剤に紫外線を照射して表面改質を行なった芯体の外周面に樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を固化させて樹脂皮膜を形成する工程と、
前記樹脂皮膜を前記芯体から抜き取る工程と、を含む方法によって製造される。
芯体を構成する材質として、種々の金属を用いることができるが、価格や加工性の観点からアルミニウム、ステンレス、ニッケル等の金属が好ましい。なお、芯体がアルミニウム製の場合、高温に加熱すると強度が低下して変形を起こし易い。このため、アルミニウム素材を400℃程度に加熱し、空気中で自然冷却する焼鈍(焼きなまし)をすることが好ましい。
また、芯体の表面に樹脂溶液を塗布して形成させる樹脂皮膜の接着性(付着力)を制御したり、芯体の傷防止の観点から、アルミニウム製の芯体の表面にクロムやニッケルをめっきしても良い。
離型剤としては、前記したように、例えば、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフニレンスルファイド樹脂、メチルフェニルシリコーン、ジメチルシリコーン、ジメチルシリコーン変性物(メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性等)等及びこれらに粉末シリカを混合したものが使用されるが、転写ベルトの内周面側の抵抗を制御する観点からジメチルシリコーンが好ましい。
転写ベルトの内周面側のジメチルシリコーンの付着状態(付着量等)は、具体的には、芯体の種類(材質)、芯体の表面処理、ジメチルシリコーンの状態、転写ベルトを形成するときに使用する樹脂溶液中に含まれるカーボンブラック量等によって変えることができ、これらの要素を調整することで内周面の抵抗が制御される。
芯体に塗布する離型剤の厚みは、芯体の材質、離型剤の種類、樹脂皮膜(転写ベルト本体)の材質等にもよるが、通常は、0.01μm以上2μm以下、好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
芯体上の膜厚は、市販光干渉式膜厚測定装置で測定する事ができる。例えば、C10178光干渉式膜厚測定装置(浜松フォトニクス社製)等で測定することができる。
精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散させる。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液を均一に分散することが可能な対向衝突型分散が好ましい。
カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行う。
前記用意した芯体の外周面に、上記のようなカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を塗布して塗膜を形成する。
シームレスベルトを形成する場合、例えばポリアミド酸溶液を円筒状の芯体の外周面に付与した後、乾燥により成膜してベル卜形状に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型(芯体)から回収する方法など、公知の方法に準じた方法が適用される(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等参照)。
なお、イミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない可能性がある。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱処理温度が高いほど使用する熱エネルギーが多くなり、熱効率が悪く、コストが高くなる。従って、転写ベルトの特性と生産性を考慮して熱処理温度を決めればよい。
この装置は、円筒状の芯体40の両端が矢印Aの方向に回転可能な保持部材42A,42Bによって保持されている。また、芯体40の上方には、樹脂溶液52を芯体40に供給しながら芯体40の軸方向に水平に移動可能な塗布装置48が配置されている。塗布装置48は、樹脂溶液52を収容する容器46と、容器46内の樹脂溶液を芯体40に向けて吐出するノズル44を備えている。さらに、芯体40の周辺には、芯体40に付着した樹脂溶液52を平滑化する板状のへら50が配置されており、へら50は塗布装置48と連動して芯体40の軸方向(矢印Bの方向)に移動する。
なお、塗布装置48とへら50の位置を固定し、芯体40が回転するとともに軸方向に水平に移動する構成としてもよい。
樹脂溶液52を供給する際、芯体40を矢印A方向に回転させるとともに、芯体40の回転毎に塗布装置とへら50を芯体40の他方の一端に向けて水平方向(矢印B方向)に徐々に移動させる。芯体表面に供給された樹脂材料はへら50と接触して平滑化される。
樹脂溶液52の供給速度、芯体40の回転速度、芯体40とへら50との間隔などの条件によって塗膜54の厚みが制御される。塗膜54の厚みは乾燥後に得られる層厚に関係しているので、形成すべきベルトの厚みに応じて上記条件を設定すればよい。なお、塗布速度Vは、芯体40の外径k、樹脂溶液の流下量f、濡れ膜厚tと関係があり、V=f/(t・k・π)の式で表わされる。πは円周率を示す。
芯体40の表面にベルトを形成する樹脂溶液52を塗布して塗膜54を形成した後、固化させる。芯体40を回転させながら熱風を吹き付けて乾燥させ、さらに必要に応じて回転を停止した状態で加熱することで塗膜54が固化し、樹脂皮膜が形成される。
次いで、樹脂皮膜を芯体40から抜き取る。このとき、芯体40と樹脂皮膜との間には離型剤110が介在しているため、樹脂皮膜は芯体40から容易に抜き取られる。芯体40から抜き取った無端の樹脂皮膜の内面には離型剤が付着しており、この無端形状の樹脂皮膜を、必要に応じて使用する転写ベルトの幅となるように切断することで、内周面112に離型剤110が付着した転写ベルト100が得られる。
上記のような方法により、芯体40の表面に予め付与した離型剤110をベルトの内周面112に付着させることで、ベルトの内周面112側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、ベルトの外周面122側の表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高くなるようにする。なお、本実施形態に係る転写ベルト100の表層部とは、表面よりベルト深さ方向に約6μmの部分である。
ここでベルト表層部における表面抵抗の測定方法について説明する。図5に示すように、ベルトBに対し、それぞれブロック形状の電圧印加電極32及び電流測定電極34、並びに、電極32,34よりも大きく両電極を含む広さを有するガード電極36を用い、電極部32,34の間隔Dは10mmとする。この電極部32,34の間隔Dが10mmより小さいと印加電場がベルト深さ方向に廻り込み、ベルト深さ6μm以上の深部の抵抗を測定することになる。一方、電極部32,34の間隔Dが10mmを超えると、更にベルトの表面に近い部分の抵抗が測定されるが、信号である電流値が小さくなり、測定誤差が大きくなる。これらの事情から、電極部32,34の間隔Dは10mmが最適である。
Rs=200(V)/I
例えば、カーボンブラックの量を増やすと、ベルトの機械特性、例えば、ヤング率などが大きく変化してしまい、転写ベルトとしての機能低下につながるおそれがある。また、樹脂材料中のカーボンブラックの量を増やすと、離型剤の性能が著しく落ちるため、ベルトを金型から脱型する事が困難になったり、焼成時のガス抜けの悪化により膨れを生じ、実用に耐えられなくなるおそれがある。
本実施形態に係る転写ベルト100は、その体積抵抗率の常用対数値が8以上12以下(LogΩ・cm)であることが好ましい。体積抵抗率の常用対数値が8未満では十分な転写電場が得られなくなり、転写不良が発生することがある。一方、体積抵抗率の常用対数値が12を越えると転写ベルト使用中の電荷が蓄積するため、除電機能が必要になる。
ここで体積抵抗率の測定方法について説明する。図6に示すように、ブロック状の電圧印加電極31と、電極31よりも大きい電流測定電極33を用意する。電極31と電極33との間に転写ベルトBを挟み、電極31と電極33との間に電圧100Vを印加する。印加開始10秒後の電流Iを電流計Aで測定し、下記式により、転写ベルトBの転写面の体積抵抗率ρv(Ω・cm)が算出される。下記式中、L(cm)は電極Aの長さ、W(cm)は電極部31の幅、t(cm)はベルトBの厚みを示す。
ρv=L×W×100/(t×I)
なお、体積抵抗の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911(1995)に従って測定してもよい。
本実施形態に係る転写ベルト100の厚さは、60μm以上200μm以下が好ましく、更に好ましくは70μm以上150μm以下である。ベルトの厚さが60μm未満ではベルトの強度が不足し、破断したり、折れが発生して画像欠陥につながることがある。また、ベルトの厚さが200μmを超えると、感光体への密着性が低下して画像が劣化することがある。
また、厚さムラはベルト内で20μm以内であることが好ましく、更に好ましくは10μmであり、特に好ましくは5μm以内である。ベルトの厚さムラが20μmを超えると、カラー画像を複数回の転写により形成した際に、色ずれが発生してしまうことがある。
なお、本実施形態に係る転写ベルトの厚さは、例えば渦電流方式のFisher社製イソスコープによって測定される。
本実施形態に係る転写ベルト100のヤング率は3500MPa以上であることが好ましく、より好ましくは5000MPa以上である。ヤング率が3500MPa以上であれば、一次転写で斑点状の欠陥が発生することがより効果的に抑制される。なお、この欠陥は、転写ベルトで発生する放電により発生し、高速で中間転写ベルトを搬送する場合には、ベルトヤング率とのみ相関を示す、高速印刷特有の問題である。
ヤング率Eは、単位断面積にかかる力ΔSと単位長さでの伸びΔaを測定することにより下記式より算出する事ができる。
E=ΔS/Δa
ΔS=F/(w×t)
Δa=ΔL/L
本実施形態に係る転写ベルト100は、転写面(外周面)の硬度が、表面微小硬度で30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。表面微小硬度とは、金属材料の硬さ測定等に広く用いられているビッカース硬さのように、くぼみの対角線長さを求めるという方法はとらず、圧子が試料にどれだけ侵入したかを測定する方法によって求められる。試験荷重をP(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み深さ)をD(μm)としたとき、表面微小硬度DHは下記式で定義される。
ここで、αは圧子形状による定数で、α=3.8584(使用圧子:三角錐圧子の場合)である。
この表面微小硬度は、圧子を押し込んで行く過程の荷重と押し込み深さから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく、弾性変形をも含んだ状態での材料の強度特性を表すものである。なおかつ、その計測面積は微小であり、トナー粒径に近い範囲でより正確な硬度の測定が可能になる。ここで得られた表面微小硬度と、ホロキャラクターの発生レベルには相関があり、中間転写ベルトの転写面の表面微小硬度が30以下の場合には、二次転写部において、バイアスローラの押圧力によって転写ベルトの転写面の変形が起こり、これにより転写ベルト上のトナーに集中していた押圧力は分散される。このためトナーは凝集せず、ライン画像が中抜けするホロキャラクター等の画質欠陥の発生が抑制される。
測定環境:22℃、55%RH
使用圧子:三角錐圧子
試験モード:3(軟質材料試験)
試験荷重:0.70gf
負荷速度:0.0145gf/sec
保持時間:5sec
図7は、前記実施形態に係る転写ベルト100を備えた転写ユニットの構成を概略的に示している。本実施形態に係る転写ユニット200では、転写ベルト100は対向配置された駆動ロール130及び従動ロール140に張架されている。また、図示されていないが、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト100上に一次転写させるためのロールと、転写ベルト100上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置される。なお、ベルト100を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット200は画像形成装置に組み込まれて使用され、画像形成の際、ロール130,140の回転に伴って転写ベルト100も張架した状態で回転する。
前記実施形態に係る転写ベルト100を備えた画像形成装置は、中間転写体方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではなく、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像担持体上に担持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
帯電手段としては、特に制限はなく、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などのそれ自体公知の帯電器が挙げられる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。帯電手段は、前記電子写真感光体に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流をさらに重畳させて印加してもよい。
露光手段としては、特に制限はなく、例えば、感光体の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
現像手段としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器等が挙げられる。
二次転写手段としては、前記一次転写手段として例示した転写ローラ等の接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等が挙げられる。これらの中でも、前記一次転写手段と同様に接触型転写帯電器が好ましい。転写ローラ等の接触型転写帯電器により強く押圧するようにすると、画像の転写状態を良好な状態に維持させることができる。また、中間転写ベルトを案内するローラの位置で転写ローラ等の接触型転写帯電器を押圧すると、中間転写ベルトから被転写体に対してトナー像を移転させる作用を良好な状態で行うことが可能になる。
定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。
クリーニング手段としては、特に制限はなく、それ自体公知のクリーニング装置等を用いればよい。
<芯体の準備>
まず、外径366mm、肉厚10mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。
また、保持板として、厚さが15mm、外径が上記円筒に嵌る大きさであり、20mm径の中央孔と、その周囲に100mm径の4つの通風孔を設けたものを、アルミニウム材で作製した。この保持板を上記円筒に嵌めてTIG溶接によって接合させて芯体を得た。
芯体3:芯体1と同様の処理を施した後、芯体1と同様な条件で紫外線照射を600秒行なったものを芯体3とした。
芯体4:芯体1の作製で使用したジメチルシリコーン系離型剤に代えて、フッ素系離型剤(ダイキン社製ダイフリーGF3130)を2,2,4−トリメチルペンタンで5倍希釈した溶液を、芯体の表面にスプレーガン(アネスト岩田(株)製、商品名:SPRAI GUN LHP−50)で厚さ1μmに塗布し、50℃、30分で乾燥したものを芯体4とした。
芯体5:芯体4と同様な処理を施した後、芯体1と同様な条件で紫外線照射を180秒行なったものを芯体5とした。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とP−フェニレンジアミン(PDA)とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で等モル反応させたポリイミド前駆体溶液(宇部興産社製:ユーワニスS、固形分18質量%)に酸化カーボンブラック(Degussa社製:SPECIAL BLACK4)を添加した。この混合物を、対向衝突型分散機(ジーナス社製:Geanus PY)を用いて、圧力200N/mm2として最小面積が1.4mm2で2分割後衝突させ、再度2分割させる経路を5回通過(5Pass)させることによりカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を得た。これをステンレス製フィルタ(メッシュ径:20μm)に通過させて、異物及びカーボンブラック凝集物を取り除いた。更に、これを真空脱泡装置へ移し、攪拌しながら真空脱泡を15分間行い、最終的な塗布用溶液を作製した。
塗布液1:上記カーボンブラック量をポリイミド前躯体溶液100重量部に対し、27重量部となる量を添加した液を塗布液1とした。
塗布液2:上記カーボンブラック量をポリイミド前躯体100重量部に対し、25.5重量部となる量を添加した液を塗布液2とした。
次に、得られたカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を上記芯体1〜7にそれぞれ塗布液1、2を以下の方法で塗布した。
芯体を100rpmで回転させながら、芯体の一端部から10mmの位置を基点として、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を充填したディスペンサーとスクレーパーとを移動速度150mm/minで芯体の軸方向に移動させた。これにより、芯体の外周面の軸方向の400mmの範囲に、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液の厚みが0.5mmとなるように塗布した。
塗布後、芯体の保持板の中央孔に20mm径のステンレス製シャフトを通し、水平状態となるように回転台に載せ、回転速度6rpm、120℃、30分間加熱して塗膜を乾燥させた。次いで、芯体を垂直にし、シャフトを外して台に載せ、加熱装置により200℃で30分間及び340℃で30分間の加熱を行い、ポリイミド樹脂皮膜を形成した。
芯体が室温まで冷えた後、加熱装置から芯体を取り出した。次いで、芯体と樹脂皮膜の隙間に加圧空気(圧力:0.3MPa)を吹き込み、皮膜と芯体との密着を解除して芯体から皮膜を抜き取ることにより無端形状のベルトを得た。
得られたベルトの両端を切り落とし、長さ(幅)360mmの無端の転写ベルトを得た。
転写ベルト内周面の離型剤付着膜厚は、理学電気工業(株)製の自動蛍光X線分析装置(RIX3000)を用いて、30mmφの測定面積でSi元素の強度を求め、検量線より、そのSi成分量より求めた。
実施例2:芯体1に塗布液2を用いて作製した転写ベルト
実施例3:芯体2に塗布液1を用いて作製した転写ベルト
実施例4:芯体2に塗布液2を用いて作製したベルト
比較例2:芯体4に塗布液2を用いて作製したベルト
比較例3:芯体5に塗布液1を用いて作製した転写ベルト
比較例4:芯体5に塗布液2を用いて作製したベルト
比較例5:芯体3に塗布液1を用いて作製した転写ベルト
比較例6:芯体3に塗布液2を用いて作製した転写ベルト
比較例5、6は膨れが発生し、転写ベルトとして使えないものであった。また、樹脂皮膜が芯体に強く貼り付いて脱型(抜き取り)が困難であった。
それぞれの転写ベルトの内周面及び外周面のそれぞれの表層部における表面抵抗値を、前記図5に示した構成のブロック電極を使用して測定した。測定条件は22℃55%RH環境下で、印加電圧200V、電圧印加10秒後の電流値より表面抵抗値を求めた。電流測定には、アドバンテスト社製微小電流計R8340Aを使用した。
使用した芯体及び転写ベルトの各面の表層部表面抵抗値(常用対数値)を下記表1に示す。
富士ゼロックス社製DocuCentre-II C6500を使用して、シアン、マゼンタの30%ハーフトーン及び12ポイント漢字を富士ゼロックス社製C2紙に出力して画質確認を行い、ハーフトーン画像中の白抜け、文字周りのトナー飛び散りの有無を目視判定した。結果を下記表2に示す。表2中、○はハーフトーン画像中の白抜け又は文字周りのトナー飛び散りが無いことを示す。
2 定着ロール
3,4,11 張架ロール
5 二次転写ロール
6 記録媒体
7 用紙トレイ
8 レーザー発生装置
9 感光体
10 一次転写ロール
12 転写クリーナー
13 帯電ロール
14 感光体クリーナー
15 現像器
31 電圧印加電極
32,33,36 電極
34 電流測定電極
40 芯体
42A,42B 保持部材
44 ノズル
46 容器
48 塗布装置
52 樹脂溶液
54 塗膜
100 中間転写ベルト
110 離型剤
112 内周面
120 ベルト本体
122 外周面
130 駆動ロール
140 従動ロール
200 転写ユニット
300 画像形成装置
A 電流計
B 転写ベルト
Claims (7)
- 内周面に離型剤が付着しており、該内周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、外周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値より0.5LogΩ以上2.0LogΩ以下高いことを特徴とする転写ベルト。
- 前記離型剤が、ジメチルシリコーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の転写ベルト。
- 前記外周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、10LogΩ以上12LogΩ以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写ベルト。
- 前記内周面側の表層部の表面抵抗値の常用対数値が、11.5LogΩ以上14LogΩ以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写ベルト。
- 外周面に離型剤を付与した後、該離型剤に紫外線を照射して表面改質を行なった芯体の外周面に樹脂溶液を塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を固化させて樹脂皮膜を形成する工程と、
前記樹脂皮膜を前記芯体から抜き取る工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトを製造する方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、該転写ベルトを張架する複数のロールと、を備えることを特徴とする転写ユニット。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が一次転写される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
前記転写ベルトを張架し、該転写ベルトを回転させるロールと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトに一次転写させる一次転写手段と、
前記転写ベルトに一次転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写させる二次転写手段と、
前記記録媒体に二次転写された前記トナー像を定着させる定着手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
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