JP4884264B2 - 分離装置、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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また、特許文献3等には、定着ベルトに当接する突き当て部材の厚さを最適化することで、定着ベルトと分離板とのギャップを6mm以下に設定する技術が開示されている。
分離部材を定着部材に当接させる構成のものと同等の分離性を得るためには、分離部材と定着部材(対向部材)とのギャップは幅方向(定着部材の回転軸方向である。)の全域にわたって0.1〜0.6mmに設定する必要がある。ところが、分離部材を樹脂材料で形成する場合(例えば、特許文献2等参照。)には、分離部材の幅方向のソリが大きくなるために、幅方向全域にわたって上述した微小ギャップを確保することが難しくなる。特に、最大画像領域(通紙可能な最大の記録媒体において画像形成が可能な領域である。)が大きな大型の画像形成装置では、幅方向のサイズが必然的に大きくなるために、無視できない問題になる。
なお、定着部材の経時変形は、ニップ部において充分なニップ量(ニップ幅)を確保するために定着部材に発泡シリコーンゴム等からなる弾性層を設けた場合や、定着部材及び加圧部材の変形劣化を防止するために定着工程時以外に定着部材と加圧部材との圧接状態の解除(又は圧力の低減)をおこなう切替機構を設けた場合、等に特に生じやすい。
図1〜図10にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着ベルト、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧ローラ31、温度センサ40、分離装置50、等で構成される。
加熱ローラ23のヒータ25は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。そして、装置本体1の電源部(交流電源)により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に非接触で対向する温度センサ40(サーモパイル)によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。詳しくは、温度センサ40の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。
そして、加圧ローラ31は、不図示の加圧機構によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。こうして、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に、所望のニップ部が形成される。なお、本実施の形態1では、定着ベルト21(定着補助ローラ22)に対する加圧ローラ31の食い込み量が3mm、ニップ部におけるニップ幅が14mmに設定されている。
なお、本実施の形態1において、加圧ローラ31を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を設置することもできる。
また、加圧ローラ31に当接する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、ニップ部から送出された記録媒体P(定着工程後の記録媒体である。)が加圧ローラ31に巻き付く不具合を抑止する分離爪36が設置されている。なお、本実施の形態1では、加圧ローラ31は記録媒体Pの非画像面に当接するためにトナーが付着しにくいことから、加圧ローラ31に当接する分離爪36を用いている。
さらに、定着ベルト21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離装置50が配設されている。分離装置50は、2つの部材(定着ベルト21と加圧ローラ31とである。)の圧接により形成されるニップ部から送出される記録媒体Pを対向部材(記録媒体Pの画像面に対向する部材であって、定着ベルト21である。)から分離するためのものである。すなわち、分離装置50は、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21の走行に沿って定着ベルト21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。なお、分離装置50の構成・動作については、後で図3〜図10を用いてさらに詳しく説明する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ25に交流電圧が印加(給電)されるとともに、定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)及び加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
図3を参照して、分離装置50には、レバー51に係合する分離板ユニット52が設置されている。レバー51は、定着装置20のフレーム61に、回転支軸52aを中心に回動可能に設置されている。また、レバー51の一端には引張スプリング62の一端が接続されていて、引張スプリング62の他端はフレーム61に接続されている。このような構成により、分離板ユニット52(分離板53と当接部材54とが一体的に設置されている。)は、レバー51によって回転支持52aを中心にして回動して、定着ベルト21の側に付勢される。
当接部材54は、分離板ユニット52の基体56に一体的に形成されている。図5を参照して、当接部材54は、対向部材としての定着ベルト21の幅方向両端であって最大画像領域Mの外側に対応する位置に配設されている。さらに、当接部材54の先端は曲面部54aであって、この曲面部54aが定着ベルト21に当接する(図10をも参照できる。)。このように、当接部材54は最大画像領域外で定着ベルト21に当接するために、当接部材54の当接によって出力画像上に不具合が生じることはない。なお、曲面部54aは、その曲率半径が0.6mm以下になるように形成されている。
分離板53(分離部材)は、図5を参照して、定着ベルト21(対向部材)の最大画像領域Mの内側に対応する位置に配設されている。分離板53は、幅方向に7つ配設されている。なお、個々の分離板53の形状は、図6及び図7を参照することができる。また、分離板ユニット52に設置された状態の分離板53は、図8及び図9をも参照することができる。
このような構成により、分離板53と当接部材54とが一体化された分離板ユニット52が定着ベルト21の側に付勢されて当接部材54が定着ベルト21に当接することで、分離板53と定着ベルト21との間に所望の間隙G(ギャップ)が形成されることになる。
本実施の形態1では、記録媒体P上に形成される画像の先端余白の長さが2〜5mmに設定されていて、分離板53の先端部53bと定着ベルト21とのギャップGが幅方向全域にわたって0.1〜0.6mmになるように設定する必要がある。
これにより、図10(B)に示すように、定着ベルト21(定着補助ローラ22)の外径が変形して、定着ベルト21に当接する曲面部54aの位置がずれても、曲面部54aの曲率中心は分離板53の先端部53bにほぼ一致するために、先端部53bと定着ベルト21とのギャップG2はほとんど変化しない(G1≒G2)。すなわち、定着ベルト21(対向部材)の変形に対する分離板53(先端部53b)のギャップ追従性が向上するために、分離板53が定着ベルト21に接触することなく微小なギャップGを高精度に設定することができる。なお、上述したギャップGの範囲(0.1〜0.6mm)を満足するために、曲面部54aの曲率半径Rを0.6mm以下に設定することが好ましい。
詳しくは、図8を参照して、分離板53の回転支軸53a(図6及び図7をも参照できる。)は、当接部材が形成された基体56に対して一体的にカシメ止めされた板バネ55の穴部に係合する。これにより、各分離板53は、基体56に対して回転支軸53aを中心にして回動自在に保持される。また、分離板53の後端部(先端部53bに対する部位である。)には圧縮スプリング58の一端が接続されている。圧縮スプリング58の他端は、基体56上に接続されている。圧縮スプリング58は、ネジ59のねじ込み量を調整することで、その作用長が変化する。このような構成により、分離部材53の当接部材54(基体56)に対する相対的な位置が調整されることになる。
このように、幅方向に複数設置された分離板53をそれぞれ独立してギャップ調整できるために、最大画像領域Mが大きく設定された大型の画像形成装置であって基体56に幅方向のソリが生じてしまうような場合であっても、各分離板53について定着ベルト21に接触することなく微小なギャップGを高精度に調整することができる。
詳しくは、図9を参照して、分離板53の回転支軸53aが係合する穴部が形成された板バネ55(基体56にカシメ止めされている。)には、分離板53の回転支軸53a近傍に当接して分離板53をバネ力で下方に押し付ける押圧部55aが形成されている。これにより、分離板53の回転支軸53aのボス径と、板バネ55の穴部の穴径と、に隙間があっても、押圧部55aによる分離板53に対する一方向の付勢(下方への押し付け)により、ガタが生じないことになる。したがって、当接部材54(基体56)に対する分離板53の調整をガタツキなく高精度におこなうことができる。
これにより、先端部53bのトナーに対する離型性が高まるために、分離板53がトナーで汚れる不具合が確実に抑止される。また、仮に先端部53bが定着ベルト21に接触してしまっても、先端部53bの摩擦係数が低くなっているために、定着ベルト21に与えるダメージが小さくなる。
具体的に、分離板53の先端部53b(特に、定着ベルト21に近接する領域や通紙領域である。)に、PFA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等を、コーティングすることができる。このように、必要な部分にのみフッ素樹脂材料を用いることで、分離板53を低コスト化することができる。
これにより、分離板53が定着ベルト21に接触する状態は、先端部53bのR形状部が定着ベルト21に接触するか、対向面53cが定着ベルト21に腹当たりするか、なので、定着ベルト21に与えるダメージを小さくすることができる。
また、分離板53(先端部53b)とコロ65との間に、ガイド部材57が設置されている。ガイド部材57は、ニップ部から送出された記録媒体Pをコロ65の位置に向けて案内するものである。
このような構成により、ニップ部から送出された記録媒体Pは、ガイド部材57及びコロ65によって分離板53から離れて搬送されることになる。したがって、分離工程後に記録媒体Pの画像面が分離板53に摺接して、擦れ画像等の異常画像が発生する不具合を防止することができる。なお、ガイド部材57及びコロ65は、基体56に対して一体的に設置されているために、先端部53bに対する相対的な位置が一定に保たれて、記録媒体Pの搬送性が安定化する。
図11及び図12にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図11は、実施の形態2における定着装置を示す構成図である。図12は、定着装置においてニップ部の圧力解除がされた状態を示す図である。本実施の形態2における定着装置は、ニップ部における圧力を解除(又は低減)する切替手段60、68が設置されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
ここで、本実施の形態2では、ニップ部におけるニップ幅を充分に確保するために、定着補助ローラ22の弾性層を発泡性シリコーンゴムで形成している。しかし、加圧状態が長時間続けられると、定着補助ローラ22に圧縮永久歪が生じて寿命が低下しやすくなる。このような問題を解決するために、本実施の形態2では、2つの部材21(22)、31が圧接する力を解除又は低減する切替手段としての偏心カム60及び加圧レバー68を設置している。
そして、通常の画像形成時(定着工程時)には、偏心カム60が図11に示すような姿勢に保持されて、加圧レバー68によって加圧ローラ31が押し上げられて定着補助ローラ22(定着ベルト21)との間に所望のニップ部を形成する。
これに対して、装置本体1の主電源がオフされているときや、定着装置の待機時や立ち上がり時には、偏心カム60が図12に示すような姿勢に保持されて、加圧レバー68とともに加圧ローラ31が下がり、定着補助ローラ22(定着ベルト21)に対する加圧ローラ31の加圧力が解除(又は低減)される。
しかし、本実施の形態2では、定着ベルト21(定着補助ローラ22)の変形に対する分離板53(先端部53b)のギャップ追従性が向上されているために、分離板53が定着ベルト21に接触することなく微小なギャップGを高精度に維持することができる。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材、対向部材)、
22 定着補助ローラ、
23 加熱ローラ、
25 ヒータ、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
50 分離装置、 51 レバー、
52 分離板ユニット、 52a 回転支軸、
53 分離板(分離部材)、
53a 回転支軸、 53b 先端部、 53c 対向面、
54 当接部材(突き当て部材)、 54a 曲面部、
55 板バネ、 55a 押圧部、
57 ガイド部材、 58 圧縮スプリング、 59 ネジ、
60 偏心カム(切替手段)、 62 引張スプリング、
65 コロ、 68 加圧レバー。
Claims (12)
- 2つの部材の圧接により形成されるニップ部から送出される記録媒体を当該2つの部材のうち記録媒体の画像面に対向する対向部材から分離する分離装置であって、
前記対向部材の最大画像領域内に対応する位置に配設されるとともに、前記対向部材に対して間隙をあけて対向する分離部材と、
前記対向部材の幅方向両端であって最大画像領域外に対応する位置に配設されるとともに、前記対向部材に当接する曲面部を具備する当接部材と、
を備え、
前記分離部材及び前記当接部材は、一体的に前記対向部材の側に付勢され、
記録媒体の搬送方向に直交する方向からみて、前記曲面部の曲率中心が前記分離部材の先端部に一致するように形成されたことを特徴とする分離装置。 - 前記分離部材は、幅方向に分割して配設された複数の分離部材であって、
前記複数の分離部材は、それぞれ、前記当接部材に対する相対的な位置を調整可能に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の分離装置。 - 前記複数の分離部材は、それぞれ、前記当接部材に対して相対的に回動可能に配設されるとともに、その回動中心においてガタが生じないように所定方向に付勢されたことを特徴とする請求項2に記載の分離装置。
- 前記分離部材及び前記当接部材は、一体的に回動可能に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の分離装置。
- 前記当接部材は、前記曲面部の曲率半径が0.6mm以下になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の分離装置。
- 前記分離部材は、前記先端部が耐熱性を有するフッ素樹脂材料で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の分離装置。
- 前記分離部材は、前記先端部の曲率半径が0.05〜0.2mmになるように形成されるとともに、前記対向部材に対向する面が当該対向部材の対向位置における接線に対して平行になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の分離装置。
- 前記ニップ部に対して記録媒体の搬送方向下流側に対応する位置に配設されるとともに、前記ニップ部から送出された記録媒体の搬送を補助するコロと、
前記先端部と前記コロとの間に配設されるとともに、前記ニップ部から送出された記録媒体を前記コロの位置に向けて案内するガイド部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の分離装置。 - 前記2つの部材が圧接する力を解除又は低減する切替手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の分離装置。
- 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の分離装置を備えたことを特徴とする定着装置。
- 前記2つの部材のうち前記対向部材は、トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材であって、
前記2つの部材のうちもう一方の部材は、前記定着部材に圧接する加圧部材であることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。 - 請求項10又は請求項11に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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