JP5141879B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
オンデマンド方式の定着装置は、定着部材としての定着フィルム(エンドレスフィルム)、加圧ローラ(加圧部材)、セラミックヒータ等のヒータ(加熱手段)、等で構成されている。ヒータは、定着フィルムの内部に設置され、定着フィルムを介して加圧ローラに当接してニップ部を形成するとともに、定着フィルムを加熱する。そして、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される。
以下に詳しく説明する。
ヒータの寿命は有限であるために、定着装置においてしばしばヒータの交換メンテナンスがおこなわれる。しかし、ヒータは定着フィルムを介して加圧ローラに圧接しているために、圧力がかかった状態のヒータをそのまま幅方向(長手方向)に引き抜くことが難しかった。
このような不具合を解決するために、ヒータ(定着フィルム)と加圧ローラとの圧力を解除する機構を設ける方策も考えられる。すなわち、圧力解除機構を操作してヒータと加圧ローラとの圧力を解除した後に、装置からヒータを取出することができる。しかし、その場合には、圧力解除機構を設置するためのコストやスペースが余計に必要になってしまうことになる。
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着フィルム、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20を示す構成図である。図3は、定着装置20の一部を幅方向にみた図である。図4は、複数の加熱手段としてのヒータ群25が定着装置20から挿脱される状態を示す図である。図5は、定着装置20のニップ部近傍を示す部分拡大図である。
定着フィルム21の内部(内周面側)には、ヒータ群25(複数の加熱手段)、加熱板22、反射板23、保持部材24、等が固設されている。定着フィルム21は、加熱板22に押圧されて、加圧ローラ31との間にニップ部を形成する。
なお、本実施の形態1では、加熱板22の対向面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成している。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着フィルム21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上するとともに、ニップ部を通過する記録媒体Pにカールやシワが発生する不具合も低減する。さらに、ニップ部の出口側における定着フィルム21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着フィルム21から容易に分離することができる。
また、本実施の形態1における加熱板22は、定着フィルム21が摺接する面にフッ素樹脂がコーティングされている。これにより、定着装置20に固定支持された加熱板22に摺接する定着フィルム21の内周面の磨耗を軽減することができる。
ここで、赤外線ヒータ25a、25b(複数の加熱手段)は、加熱板22が定着フィルム21を介して加圧ローラ31に当接した状態で、定着装置20に対して挿脱できるように設置されている。これについては、後で図4にて詳しく説明する。
また、カーボンヒータを用いる場合には、その形状を最適化して、加熱板22に対向する方向(図2の上下方向である。)に発せられる輻射熱の熱量がその方向に直交する方向(図2の左右方向である。)に発せられる輻射熱の熱量よりも大きくなるように形成することが好ましい。これにより、ヒータ25a、25bから発せられる熱を加熱板22に集中的に向けることができるため、加熱板22の加熱効率が高められる。
なお、本実施の形態1では、赤外線ヒータ25a、25bから離間した位置に反射板23を設置したが、赤外線ヒータ25a、25bのガラス管の一部(加熱板22に対向する側の反対側である。)に金メッキやアルミニウム蒸着を施してもよい。この場合にも、ガラスに施した金メッキやアルミニウム蒸着が反射部材として機能するために、加熱板22の加熱効率が高められる。
また、加熱板22における対向面(赤外線ヒータ25a、25bに対向する側である。)に赤外線を吸収する吸収部材を設けることもできる。具体的には、加熱板22の対向面に黒色塗装を施すことができる。これにより、加熱板22における赤外線の吸収率が向上して、加熱板22の加熱効率が高められる。
特に、ヒータ群25は、第2保持部材としてのホルダ27を介して保持部材24に保持されている。詳しくは、保持部材24の幅方向両端にはそれぞれホルダ27がネジ締結されている。ホルダ27には、ヒータ群25の端部に係合する穴が設けられている。そして、保持部材24からホルダ27を取出することで、保持部材24(定着装置20)からヒータ群25(複数の赤外線ヒータ25a、25b)のみを脱離することができる。
以上述べた構成により、定着装置20における駆動機構及び加圧機構を簡素化することができる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、赤外線ヒータ25a、25bに電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ31との摩擦力によって、定着フィルム21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、ガイド板35に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着フィルム21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、加熱板22によって加熱された定着フィルム21による加熱と、加熱板22(定着フィルム21)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
具体的に、図3を参照して、最大通紙幅L1の記録媒体P(本実施の形態1の画像形成装置1で通紙可能な最大サイズの記録媒体であって、例えば、A4サイズの記録媒体である。)が通紙されるときには、すべての赤外線ヒータ25a、25bに電力が供給されて、加熱板22の幅方向全域(L1の範囲である。)が均一に加熱される。これに対して、最大通紙幅L1よりも小さなサイズL2の記録媒体P(例えば、A5サイズの記録媒体である。)が通紙されるときには、中央部の赤外線ヒータ25aのみに電力が供給されて、加熱板22の幅方向中央部(L2の範囲である。)のみが加熱される。これにより、加熱板22の幅方向全域を加熱して幅方向のサイズが小さな小サイズ紙を連続的に通紙した場合に生じる、定着フィルム21の両端部(非通紙領域)が過昇温してしまう不具合を確実に抑止することができる。
また、本実施の形態1では、最大通紙幅L1の記録媒体Pと、それよりも小さい通紙幅L2の記録媒体Pと、に対応するために、第1の赤外線ヒータ25aの両端に設置する赤外線ヒータ25bを1対のみとした。これに対して、複数種の小サイズ紙に対応させる場合には、第1の赤外線ヒータ25aの両端に設置する赤外線ヒータ25bを複数対設置することもできる。
本実施の形態1では、加熱板22が定着フィルム21を介して加圧ローラ31に当接した状態で、それらの部材21、22、31の圧力解除をおこなうことなく、定着装置20に対してヒータ群25(複数の赤外線ヒータ25a、25b)を挿脱できるように構成している。詳しくは、保持部材24に対するホルダ27(第2保持部材)の着脱とともに、定着装置20に対して赤外線ヒータ25a、25bが挿脱される。
さらに具体的に、ヒータ群25のメンテナンスをおこなうために定着装置20からヒータ群25を取出する場合には、まず、ネジ締結を解除して一方のホルダ27を保持部材24から取出する(図4の破線両矢印方向の移動である。)。その後、ホルダ27を取出した側から、ヒータ群25を引き出す(図4の白矢印方向の移動であって、図4右側への移動である。)。そして、新品のヒータ群25(又は修理後のヒータ群25)を定着装置20に装着する場合には、上述した取出動作と逆の動作をおこなう。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、立ち上がり時間が極めて高い構成であって、加熱板22(定着フィルム21)と加圧ローラ31との圧力を解除する機構を設けることなく、比較的簡易な構成で、交換頻度が比較的高い複数の赤外線ヒータ25a、25bの交換性・メンテナンス性を向上させることができる。
これにより、ニップ部の出口側(図5中の領域Aである。)では、定着フィルム21が加圧ローラ31の形状にならって加圧ローラ31側に凸状に変形することになる。したがって、定着工程後の記録媒体Pは、定着フィルム21から分離する方向(図5の矢印Y11方向である。)に送出されることになる。すなわち、ニップ部送出時の搬送分離性を高めることができる。
また、本実施の形態1では、モノクロ画像形成装置1に設置される定着装置に対して本発明を適用したが、カラー画像形成装置に設置される定着装置に対しても当然に本発明を適用することができる。そして、その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
図6にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6は、実施の形態2における定着装置の一部を幅方向にみた図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態2における定着装置は、複数の加熱手段25a、25bが幅方向に対して並列に配設されている点が、複数の加熱手段25a、25bが幅方向に対して直列に配設されている前記実施の形態1のものとは相違する。
そして、本実施の形態2においても、最大通紙幅L1の記録媒体Pが通紙されるときには、すべての赤外線ヒータ25a、25bに電力が供給されて、加熱板22の幅方向全域(L1の範囲である。)が均一に加熱される。これに対して、最大通紙幅L1よりも小さなサイズL2の記録媒体Pが通紙されるときには、中央部の赤外線ヒータ25aのみに電力が供給されて、加熱板22の幅方向中央部(L2の範囲である。)のみが加熱される。
そして、本実施の形態2における定着装置20も、前記実施の形態1のものと同様に、加熱板22が定着フィルム21を介して加圧ローラ31に当接した状態で、それらの部材21、22、31の圧力解除をおこなうことなく、定着装置20に対してヒータ群25(複数の赤外線ヒータ25a、25b)を挿脱できるように構成している。詳しくは、保持部材24に対するホルダ27(第2保持部材)の着脱とともに、定着装置20に対してヒータ群25が挿脱される。
図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図7は、実施の形態3における定着装置の一部を幅方向にみた図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態3における定着装置は、当接部材22に対向する1対の加熱手段25bの角度を可変できるように構成している点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
具体的に、最大通紙幅L1の記録媒体P1が通紙されるときには、第2の赤外線ヒータ25bが加熱板2に対して正対するように制御されて、すべての赤外線ヒータ25a、25bに電力が供給されて、加熱板22の幅方向全域(L1の範囲である。)が均一に加熱される。
これに対して、最大通紙幅L1よりも小さなサイズL2の記録媒体P2が通紙されるときには、第2の赤外線ヒータ25bが加熱板2に対して傾斜するように制御されて(図7の状態である。)、すべての赤外線ヒータ25a、25bに電力が供給される。このとき、第2の赤外線ヒータ25bは、幅方向中央部に向けて傾斜しているために、熱放射の方向が幅方向中央部に向くことになり、加熱板22の幅方向中央部(L2の範囲である。)が中心的に加熱される。これにより、小サイズ紙P2を連続通紙したときの、定着フィルム21の両端部の過昇温を抑止することができる。
図8にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図8は、実施の形態4における定着装置の一部を幅方向にみた図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態4における定着装置は、幅方向の長さが異なる加熱手段25A、25Bが幅方向に対して並列に配設されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
そして、最大通紙幅L1の記録媒体Pが通紙されるときには、第1の赤外線ヒータ25Aのみに電力が供給されて、加熱板22の幅方向全域(L1の範囲である。)が均一に加熱される。これに対して、最大通紙幅L1よりも小さなサイズL2の記録媒体Pが通紙されるときには、第2の赤外線ヒータ25Bのみに電力が供給されて、加熱板22の幅方向中央部(L2の範囲である。)のみが加熱される。
20 定着装置、
21 定着フィルム(定着部材)、
22 加熱板(当接部材)、
23 反射板(反射部材)、
24 保持部材、
25 ヒータ群(複数の加熱手段)、
25a、25b、25A、25B 赤外線ヒータ(加熱手段)、
27 ホルダ、
28 圧縮スプリング、
31 加圧ローラ(加圧部材)、 P 記録媒体。
Claims (11)
- トナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する定着部材と、
前記定着部材を介して加圧部材に当接してニップ部を形成するために前記定着部材の内部に固設された当接部材と、
前記定着部材の内周面に対向して前記定着部材をガイドするとともに、前記当接部材を保持する保持部材と、
前記当接部材を加熱する複数の加熱手段と、
前記複数の加熱手段が前記当接部材に対してギャップをあけて設置されるように前記複数の加熱手段を保持するとともに、前記保持部材にネジによって締結されたホルダと、
を備え、
前記当接部材が前記定着部材を介して前記加圧部材に当接した状態を解除する機構が設置されていなくて、
前記複数の加熱手段は、前記ネジの締結を解除して前記保持部材から前記ホルダを取出することで前記当接部材が前記定着部材を介して前記加圧部材に当接した状態で装置に対して挿脱できるように設置されたことを特徴とする定着装置。 - 前記複数の加熱手段は、前記ニップ部に搬送される記録媒体の幅方向のサイズ又は画像範囲に対応して前記当接部材に対する幅方向の加熱範囲を可変できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記複数の加熱手段は、幅方向中央部に配設された加熱手段とその幅方向両端に配設された少なくとも1対の加熱手段とであって、幅方向に対して直列に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記複数の加熱手段は、幅方向中央部に配設された加熱手段とその幅方向両端に配設された少なくとも1対の加熱手段とであって、幅方向に対して並列に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記当接部材に対向する前記1対の加熱手段の角度を可変する可変手段を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の定着装置。
- 前記可変手段は、前記ニップ部に搬送される記録媒体の幅方向のサイズ又は画像範囲に基づいて前記当接部材に対向する前記1対の加熱手段の角度を可変することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
- 前記複数の加熱手段は、幅方向の長さが異なり幅方向に対して並列に配設されたことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記加熱手段は、赤外線ヒータであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着フィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加圧部材は、装置における固定位置に回転自在に設置され、
前記当接部材は、前記加圧部材に向けて付勢されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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