JP3848001B2 - 加熱定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真方式の複写機、プリンタ、記録装置等に用いられる加熱定着装置および該加熱定着装置を適用した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の加熱定着手段としては、熱効率、安全性が良好な接触加熱型の熱ローラ定着方式や、省エネルギータイプのフィルム加熱方式を採用している。
【0003】
熱ローラ定着方式の加熱定着装置は、加熱用回転体としての加熱ローラ(定着ローラ)と、これに圧接させた加圧用回転体としての弾性加圧ローラを基本構成とし、この一対のローラを回転させて該両ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に未定着画像(トナー画像)を形成担持させた被加熱材としての記録材(転写材シート・静電記録紙・エレクトロファックス紙・印字用紙等)を導入して圧接ニップ部を挟持搬送通過させることで、定着ローラからの熱と圧接ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を記録材面に永久固着画像として熱圧定着させるものである。
【0004】
また、フィルム加熱方式の加熱定着装置は例えば特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報、特開平4−44075号公報〜特開平4−4083号公報、特開平4−204980号公報〜特開平4−204984号公報等に提案されており、発熱体に加熱用回転体である耐熱性フィルム(定着フィルム、以下、単にフルムと称する)を加圧用回転体(弾性ローラ)で密着させて摺動搬送させ、このフィルムを挟んで加熱体(ヒータ)と加圧部材とで形成される圧接ニップ部に未定着トナー画像を担持した記録材(以下、転写材と称する)を導入して該フィルムと一緒に搬送させて、フィルムを介して付与されるヒータからの熱と圧接ニップ部の加圧力によって未定着トナー画像を転写材上に永久画像として定着させるものである。
【0005】
このフィルム加熱方式の加熱定着装置は、ヒータとして低熱容量線状加熱体を、また、フィルムとして薄膜の低熱容量のものを用いることができるため、省電力化・ウェイトタイム短縮化(クイックスタート性)が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフルム加熱方式の加熱定着装置は以上のように構成されているので、加熱体としてのヒータおよび加熱用回転体であるフィルムがともに熱容量が小さいために、記録材としての転写材の送り方向と直交する方向(以下、長手方向と称す)の熱伝導率が悪く、最大サイズより小さい幅の転写材を通紙したときに、非通紙領域での温度上昇が大きくなりやすく、ヒータを保持する部材、フィルム、加圧ローラ等への熱的損傷を与え易くなり、それを防止する為には小サイズ紙のスループットを低下させなければならなかった。
【0007】
また、小サイズ紙通紙直後に幅の広い転写材を通紙すると、小サイズ紙の非通紙領域のみヒータ、加圧ローラが高温となっているために、当該部分でホットオフセットが発生し易く、この現象を防止するためには小サイズ通紙後の大サイズ紙プリントまでに休止時間を設けなければいけないという課題があった。
【0008】
更に最近では、レーザービームプリンタを使用して封筒等の郵便物を印字する機会が増加している。この時、封筒に相手先の住所を印字し、普通紙に文面を印字する作業を交互に行う使われ方(以下、交互給紙)が普及している。この交互給紙は、封筒・普通紙の交互給紙間隔を広げないと封筒通紙後の普通紙にホットオフセットが発生してしまう不都合があり、交互給紙の連続プリント枚数の増加に従い給紙間隔を広げる必要があったが、様々なプリントモードを想定した場合(特に定着装置の交互給紙開始以前の履歴等)の制御が複雑となり、実際には給紙間隔を一定にすることのみが実用化されている。
【0009】
そのため、交互給紙の給紙間隔は連続プリント枚数が多い場合を想定しあらかじめ充分余裕をもたせた間隔にするために非常に長いものとなる。例えば毎分A4サイズの転写材を16枚印字する能力がある画像形成装置でも、交互給紙では封筒・普通紙を1セットとしたときに毎分2セット程度のスループットしか得ることができずスループットの低下が極端であった。
【0010】
また、高速の画像形成装置では供給電圧が低下し、低温環境、厚紙通紙等の条件が重なると、加熱定着装置の供給電力が消費電力に追いつかず温調温度を維持できないことが多い。特に、フィルム加熱方式の加熱定着装置では熱を蓄熱するものが殆ど無いために、供給電力が不足し、所定の温調温度を維持できないと、すぐに定着不良が発生する。
【0011】
そこで、供給電力を十分確保する為に発熱体の抵抗値低くすると、通電制御時にノイズが発生したり、電源電圧のふらつきが生じ、他の電気機器への影響(フリッカ)が無視できなくなるとともに、発熱体の駆動回路が複雑となり、コスト高を招く結果となる。
【0012】
この対策として、同一の発熱分布を有する発熱体を2本とし、各々を独立に通電制御することで、同一位相で通電制御することが無くなるために、上記のノイズやフリッカの課題を解決することが可能であるが、上記のように転写材サイズに応じて複数の発熱体を駆動する構成においては、各発熱体を倍の本数設けなくてはならず、限られた基板幅内に多数の発熱体を設けることは非常に困難になるという課題があった。
【0013】
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、フィルム加熱方式の加熱定着装置(オンデマンド定着)における非通紙昇温低減と、電力不足時の定着性向上、フリッカ、高周波歪の低減を図ることのできる加熱定着装置を得ることを目的とする。
【0014】
また、この加熱定着装置を適用して、円滑な定着動作により高品質の画像形成動作を行う画像形成装置を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成からなることを特徴とする加熱定着装置および画像形成装置である。
【0016】
(1)表面に未定着トナー像を有する記録材を、加熱用回転体および加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより、前記未定着トナー像を前記記録材表面に永久定着する加熱定着装置において、
前記加熱用回転体は表層に離型層が形成された可撓性フィルムと、各々独立に通電が制御されて前記記録材送り方向と直交する方向内で異なる発熱分布を有する複数の発熱体を耐熱性基板上に設け前記可撓性フィルムの内周面に接触するように固定配置されたヒータとを有し、
前記記録材サイズに応じて通電制御する前記発熱体を選択するとともに、選択された前記発熱体による通電のみでは所定温度を維持できないと判断したとき、該発熱体と異なる発熱分布を有する発熱体の通電を制御する加熱定着装置であって、前記記録材サイズが幅広または不明の場合には、記録材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、その立ち上げ時のヒータ温度上昇率に応じて幅狭用記録材サイズに対応する発熱体を定着動作時に通電制御することを特徴とする加熱定着装置。
(2)幅狭用記録材サイズに対応する発熱体について、幅狭用記録材サイズ外側領域の対応部の単位長さあたりの発熱量は、幅狭用記録材サイズ内側領域の対応部の単位長さあたりの発熱量の0.2〜0.7とすることを特徴とする(1)に記載の加熱定着装置。
(3)さらに、記録材の給紙間隔を制御することを特徴とする(1)または(2)に記載の加熱定着装置。
【0017】
(4)可撓性フィルムは、厚みが20〜100μmの円筒状あるいはエンドレス状もしくは巻き取り式のウェブ状のいずれかであることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の加熱定着装置。
【0018】
(5)耐熱性基板は、セラミックであることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の加熱定着装置。
【0022】
(6)表面に未定着トナー像を有する記録材を、加熱用回転体および加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより、前記未定着トナー像を前記記録材表面に永久定着する加熱定着装置において、
前記加熱用回転体は、表層に離型層が形成された可撓性フィルムと、各々独立に通電が制御されて前記記録材送り方向と直交する方向内で異なる発熱分布を有する複数の発熱体を耐熱性基板上に設け前記可撓性フィルムの内周面に接触するように固定配置されたヒータとを有し、
前記記録材サイズに応じて通電制御する前記発熱体を選択するとともに、選択された前記発熱体による通電のみでは所定温度を維持できないと判断したとき、該発熱体と異なる発熱分布を有する発熱体の通電を制御する加熱定着装置であって、前記記録材サイズが幅広または不明の場合には、記録材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、定着動作中の温度低下率を検知し、記録材サイズに応じて選択された発熱体以外の発熱体を定着動作時に通電制御することを特徴とする加熱定着装置。
【0023】
(7)記録材に未定着トナー画像を形成担持させる作像手段と、前記記録材に形成担持させた未定着トナー画像を該記録材に加熱定着させる加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段が(1)から(6)のうちのいずれか1項記載の加熱定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
【0025】
図1は、本発明の実施の形態1によるフィルム加熱型定着装置を示す概略断面図である。図1において、10は円筒状あるいはエンドレスベルト状のフィルムであり、半円弧状のフィルムガイド部材(スティ)13に対して周長に余裕を持たせて外嵌している。このフィルム10は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、肉厚を総厚100μm以下、好ましくは60μm以下20μm以上としたポリイミドフィルム、PEEKフィルム等の耐熱樹脂からなるフィルムを使用する。11は加圧用回転体としての加圧ローラであり、鉄、アルミ等の芯金11aの上にシリコーンゴム層11b、このシリコーンゴム層の上に離型層としてPFAチューブ等の樹脂チューブ層11cを有する。
【0026】
上記フィルム10は加圧ローラ11の回転により、少なくとも画像定着実行時は矢示の時計方向にヒータ12面に密着して該ヒータ面を摺動しながら所定の周速度、即ち不図示の画像形成部側から搬送されてくる未定着トナー画像Tを担持した転写材Pの搬送速度と略同一周速度でシワなく回転駆動される。
【0027】
ヒータ12は図2に示すように、電力供給により発熱する発熱源としての発熱体(抵抗発熱体)12a,12bを、セラミック等の耐熱性基板15上に有し、この発熱体12a,12bの発熱により昇温する。
【0028】
上記転写材Pは定着ニップ部Nを通過していく過程で、ヒータ12からフィルム10を介して熱エネルギーが付与されるため、転写材P上の未定着トナー画像Tが加熱溶融定着され、転写材Pは定着ニップ部通過後フィルム10から分離して排出される。
【0029】
この実施の形態1の加熱定着装置に用いられる定着フィルム10は、ポリイミドワニスを筒型表面に所定厚塗布し、それを加熱硬化した後、表面にPFA,PTFE又はその混合物を塗布焼成することにより得られる。また、この実施の形態1ではフィルム基体として厚み50μmのポリイミドを用い、その上に厚み10μmのPFA層を設ける構成とし、フィルム内径は25φとしている。
【0030】
加圧ローラ11は鉄、アルミ等の芯金11aを、プラスト等の表面粗し処理を行った後、洗浄し、次いで芯金11aを筒型に挿入し、液状のシリコーンゴムを型内に注入し加熱硬化させる。この時、加圧ローラ表面層に離型層としてPFAチューブ等の樹脂チューブ層11cを形成するために、型内に予め内面にプライマーを塗布したチューブを挿入しておくことにより、ゴムの加熱硬化と同時に樹脂チューブ層11cとゴム層11bの接着を行う。このようにして成型された加圧ローラ11は、脱型処理した後、2次加硫を行う。この時、加圧ローラ11の芯金径はφ14、ゴム層の肉厚は4mm、チューブ層の厚みは50μmとし、外径約φ22の加圧ローラとする。
【0031】
加熱用ヒータであるヒータ12は、Al基板15上に図2に示したパターンでAg・Pdペーストを厚膜印刷し、これを焼成することで発熱体12a,12bを形成し、その上に厚み50〜60μmのガラスコーティング層12cを設けたものである。上記発熱体12bは、中央部が幅狭12b1、両端部が幅広12b2であり、発熱体12a,12bの形成面とは反対側の基板上には、チップ状のサーミスタ14aを発熱体12aと幅狭12b1が共に存在する領域(最小サイズ幅転写材の通過領域内)に、予め厚膜印刷で形成された電極パターン上に接着固定することで、ヒータ基板温度をモニターし、更に発熱体12aの端部近傍の位置にもサーミスタ14bを設ける。このサーミスタ14bは接着剤の耐熱温度を超えるような温度も検知する為に、不図示のバネ等の加圧手段により基板に所定の圧力で固定されている。
【0032】
このような構成とすることで、正確な転写材幅情報が無くともサーミスタ14a,14bの温度情報により、発熱体12a,12bの通電をコントロールすることで、過度の非通紙昇温を防止しながら最適な定着性を維持することが可能となる。
【0033】
この実施の形態1では搬送路中に発熱体12bの幅より僅か外側にセンサーを設け、そのセンサーの信号に応じて通電制御する発熱体を選択する。具体的には転写材の最大サイズ幅をレター(216mm)とし、A5サイズ(148mm)以下の転写材は発熱体12bへの通電制御で温度コントロールして定着動作を行い、A5サイズより幅広の転写材Pはサーミスタ14a,14bの温度検知結果に基づき、発熱体12a,12bの通電を制御する。
【0034】
以下、具体的例を基に本発明の作用効果を説明する。
【0035】
この加熱定着装置を毎分16枚(A4サイズ縦送り)のレーザービームプリンタに適用し、ヒータ基板幅を14mmに対し、発熱体12aは幅が5mm、長さを222mm、発熱体12bは全長が222mmだが発熱体幅が3mmの幅狭部分12b1の長さを154mm、その外側の領域12b2の幅を幅広6mmとする。本発熱体はすべて同一抵抗値のペーストで1回塗りによって形成されるため発熱体12b中の発熱量は幅狭12b1部の発熱量が幅広12b2部発熱量の2倍となっている。発熱体12b1の長さを154mmとし、サーミスタ14aは転写材通紙領域の中央部分に相当する最小サイズ転写材通紙領域内で、発熱体位置12a,12bの発熱体領域内(この実施の形態1は中央基準の転写材搬送とする)に設けられ、サーミスタ14bはB5サイズ幅より外側の領域で発熱体12a端部から10mmの位置に配置される。
【0036】
このような加熱定着装置でA4サイズ幅(210mm)以上の転写材は毎分16枚のスループットを、ヒータ基板上に設けたサーミスタ14aにより該サーミスタ部のヒータ温度が190℃となるように、発熱体12aの通電を制御回路21でコントロールすることで、十分な定着性を確保しながら得ることができた。一方、A5サイズ幅以下の転写材は毎分10枚のスループットを、上記と同様にサーミスタ14aにより該サーミスタ部のヒータ温度が190℃となるように、発熱体12bの通電を制御回路22でコントロールすることで十分な定着性を確保しながら得ることができた。
【0037】
一方、A5サイズ幅以下の転写材は画像形成装置本体内に設けられた不図示の転写材幅検知センサによりA5サイズ幅以下と認識される。この認識結果に基づきサーミスタ14aにより、サーミスタ部のヒータ温度が190℃となるように発熱体12bの通電を制御回路22でコントロールしながら、最初は毎分16枚のスループットで通紙を行う。次いでサーミスタ14bの検知温度に基づき所定温度より高いと判断されたとき(この実施の形態1では260℃)スループットが制御され、給紙間隔を広げられる。
【0038】
具体的には、A5サイズ幅の転写材を通紙したときは、その外側の領域はA5サイズ幅の転写材通過領域の発熱量の1/2で通電制御されているために非通紙昇温量も少なく、A5サイズ幅で坪量80g/m2 の転写材を連続通紙したときには100枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下し、A5サイズ幅で坪量128g/m2 の転写材を通紙したときは45枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下する結果となった。
【0039】
A5サイズ幅以下の転写材に関しても同様の制御を行い、スループットを制御することができる。A5サイズ幅より大きく、A4サイズ幅より小さい転写材はサーミスタ14bの検知温度に基づきスループットが制御される。
【0040】
具体的には例えばB5サイズ幅(182mm)の転写材を通紙するとき、最初は16ppmのスループットで給紙間隔を制御するが、サーミスタ14bの検知温度が所定温度より高くなった時には、給紙間隔を12ppm相当のスループットになるように広げる制御行う。この結果、B5サイズ幅で坪量80g/m2 の転写材を連続通紙したときには60枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下させ、B5サイズ幅で坪量128g/m2 の転写材を通紙したときは20枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下させる結果となった。
【0041】
上記の様な構成でフィルム加熱方式の加熱定着装置において、幅の狭い転写材でも極端にスループットを低下させることなく、非通紙昇温を抑えることが可能となることがわかる。
【0042】
次にこの実施の形態1の構成において、供給電力が不足した場合の制御方式について説明する。
【0043】
ヒータ12の抵抗値は前記したように発熱体12aが15.0Ω、発熱体12bが21.2Ωとされる。この結果、発熱体12aは100Vで駆動すると、667Wの電力が生じる。電源電圧は変動するために例えば電源電圧が10%低下したときは発熱体12aの駆動電力は540Wになってしまう。このような状態で画像形成速度100mm/sec、スループットが16ppmの条件でA4サイズ幅の厚紙等を通紙した場合、電力が不足し、所定の温調温度を維持することが不可能となり、定着不良が発生する。
【0044】
そこで、この実施の形態1ではプリント開始時のヒータ立ち上げ制御時(発熱体12aへの通電制御を行う)に、ヒータ12の昇温傾きを計測し、それが所定値以下の場合、供給電力が不足していると判断し、転写材が定着部に突入後発熱体12bへの通電を開始し、補助発熱体としての機能をすることにより定着不良を防止する。
【0045】
以下、具体的な制御アルゴリズムに基づき、図3のフローチャートを用い、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0046】
パーソナルコンピュータ等の外部機器により、画像形成装置に印字開始命令が送信されると、給紙動作、加熱定着装置のヒータ立ち上げ動作を開始する。この時、給紙される転写材サイズが判っているときには、そのサイズに応じた発熱体を選択して立ち上げ、転写材サイズが不明の場合は大サイズ用の発熱体12aを立ち上げる(S1)が、この実施の形態1では転写材サイズがA4の場合について説明をする。
【0047】
発熱体12aの立ち上げ動作中、ヒータ温度Tがサーミスタ14aでモニターされ、所定温度T0(この実施の形態1では120℃)からT 1(160℃)に到達する時間tを検知し、この時間tが所定時間t0 (この実施の形態1では3sec)よりも長い場合には供給電力不足と判断する(S3〜S6)。
【0048】
その後、ヒー夕立ち上げ動作は継続され、転写材が所定の待機位置から定着部へ到達する時間内に定着可能温度に立ち上がることが可能な転写材再給送開始温度T2 (この実施の形態1では180℃)になったときに転写材の再給送を行い、像担持体上のトナー像を転写した後、定着部に転写材は突入する(S7,S8)。
【0049】
転写材が定着部に突入するタイミングに合わせ、時間tが時間t0 より大の場合は、発熱体12aはフル通電のままサーミスタ14aの温度が所定温度T3 (この実施の形態では200℃)となるように発熱体12bの通電制御を行う(S9,Sl0)。この時、T3 は時間tが時間t0 より小の場合に設定される温度T4 (190℃)に比べ大とする。この様な制御を行うことで発熱体12b1領域のヒータ温度は200℃に維持され、発熱体12b2領域の温度は発熱体12aへの供給電力により差がでるが、185〜195℃の温度に維持される。この時、発熱体12bにはトータルで約110Wの電力が供給されており、発熱体12b1領域には90W、発熱体12b2領域には20W相当の割合で電力が供給され、単位長さあたりの発熱量は3:2.7(W/mm)となり、上記レベルの温度差が発生する。
【0050】
この時、発熱体12b1領域には発熱体12bの補助通電がない場合に比べ約23%増の電力が供給され、一方、発熱体12b2領域は同様に約12%増の電力供給が行われることになる。また、ヒータ基板内の熱伝導により長手方向温度分布は若干供給電力費よりもブロードになる効果もこの実施の形態では良い方向に作用している。この結果、転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。
【0051】
例えば、発熱体12aへの供給電力が540Wの時、A4サイズ幅で坪量が128g/m2 の厚紙を通紙したとき、10℃の環境下で発熱体12aのみで通電制御した場合は2枚目からヒータ温度が175℃、3枚目では170℃まで低下し、2枚目の画像後端から上記転写材で定着不良が発生したが、この実施の形態では同条件下で発熱体12b1領域のヒータ温度が205℃、発熱体12b2領域のヒータ温度が190℃となり、良好な定着性が幅方向全域にわたって維持された。
【0052】
この様に小サイズの転写材に対応した発熱分布を有する発熱体を、大サイズ用発熱体の供給電力が不足したときに補助加熱用発熱体として使用することで、ヒータ幅方向内で温度分布が発生するが、最大温度部でホットオフセットが発生せず、最小温度部で定着不良が発生しない範囲内で温度分布が形成されれば、この実施の形態のように幅方向全域にわたり良好な定着性を維持することができる。
【0053】
実施の形態2.
この実施の形態2では前記実施の形態1に加え、ヒータ立ち上げ時の昇温傾きに応じて転写材の給紙間隔を可変とすることを特徴としている。以下、具体的にこの実施の形態の特徴を説明する。
【0054】
この実施の形態2による加熱定着装置を毎分16枚(A4サイズ縦送り)のレーザビームプリンタに適用したもので、この加熱定着装置に適用するヒータを図4について説明する。このヒータは14mmのヒータ基板幅に対し、発熱体12aは幅が5mm、長さを222mmとし、発熱体12bは全長は222mmだが中央部の発熱体幅が3mmの領域12b1の長さを154mm、その両端部の領域12b2の幅は3mmで抵抗値が1/3倍の値を持つぺーストを塗布している。この発熱体は抵抗値管理が厳しい発熱体12a及び発熱体12b1領域はすべて同一抵抗値のぺ一ストで1回塗りによって形成している。
【0055】
サーミスタ14aは転写材通紙領域の中央部に相当し、最小サイズ転写材通紙領域内で、発熱体12a,12bの発熱領域内(この実施の形態2は中央基準の転写材搬送とする)に設けられ、サーミスタ14bはB5サイズ幅より外側の領域で発熱体12a端部から10mmの位置に配置される。
【0056】
このような加熱定着装置でA4サイズ幅(210mm)以上の転写材は、転写材送り速度100mm/secの条件でヒータ基板上に設けられたサーミスタ14aにより、サーミスタ部のヒータ温度が190℃となるように、発熱体12aの通電を制御回路21でコントロールすることで、毎分16枚のスループットを十分な定着性を確保しながら得ることができた。
【0057】
一方、A5サイズ幅以下の転写材は画像形成装置本体内に設けられた不図示の転写材幅検知センサによりA5サイズ幅以下と認識される。この認識結果に基づき、サーミスタ14aによりサーミスタ部のヒータ温度が190℃となるように発熱体12bの通電を制御回路22でコントロールしながら最初は毎分16枚のスループットで通紙を行う。
【0058】
次いで、サーミスタ14bの検知温度に基づき所定温度より高いと判断されたとき(この実施の形態2では260℃)スループットが制御され、給紙間隔を広げられる。
【0059】
具体的にはA5サイズ幅の転写材を通紙したときは、その外側の領域はA5サイズ幅の転写材通過領域の発熱量の1/3で通電制御されているために、非通紙昇温量も少なく、A5サイズ幅で坪量80g/m2 の転写材を連続通紙したときには16ppmのスループットを維持し続け、A5サイズ幅で坪量128g/m2 の転写材を通紙したときは200枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下する結果となった。
【0060】
A5サイズ幅以下の転写材に関しても同様の制御を行いスループットを制御することができ、実施の形態1よりも多くの紙種でスループットを高くすることが可能となる。A5サイズ幅より大きく、A4サイズ幅より小さい転写材は、サーミスタ14bの検知温度に基づき、スループットが制御される。
【0061】
具体的には、例えばB5サイズ(182mm)幅の転写材を通紙するとき、最初は16ppmのスループットで給紙間隔を制御するが、サーミスタ14bの検知温度が所定温度より高くなった時には、給紙間隔を12ppm相当のスループットになるように広げる制御を行う。この結果、B5サイズ幅で坪量80g/m2 の転写材を連続通紙したときには、60枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下させ、B5サイズで坪量128g/m2 の転写材を通紙したときは20枚目まで16ppmのスループットを維持し、その後は12ppmにスループットを低下させる結果となった。
【0062】
この実施の形態2では、小サイズ用発熱体の小サイズ対応部領域外の発熱量を少なくしたために、小サイズのスループットは全般的に向上しているが、大サイズ通紙時供給電力不足の時は補助発熱体としての機能が若干低下する、そこで、この実施の形態2では図5のフローチャートに示すように、大サイズ発熱体への供給電力条件によっては大サイズ通紙時のスループットを低下させる。
【0063】
以下、具体例を説明する。パーソナルコンピュータ等の外部機器により画像形成装置に印字開始命令が送信されると、給紙動作、加熱定着装置のヒータ立ち上げ動作を開始する(S41,S42)。この時、給紙される転写材サイズが判っているときには、そのサイズに応じた発熱体を選択して立ち上げ、転写材サイズが不明の場合は大サイズ用の発熱体12aを立ち上げるが、この実施の形態2では転写材サイズ幅がA4の場合について説明を行う。
【0064】
発熱体12aの立ち上げ動作中、ヒータ温度がサーミスタ14aでモニターされ、所定温度T0(この実施の形態2では120℃)からT 1(160℃)に到達する時間tを検知し、この時間tが所定時間t0 (この実施の形態2では3sec)よりも長い場合には、供給電力不足と判断する(S43〜S46)。
【0065】
さらに所定時間t1 (この実施の形態2では5sec)よりも長い場合は、供給電力不足が大と判断し、後述の転写材スループットダウンモードヘの移行を行う。その後、ヒータ立ち上げ動作は継続され、転写材が所定の待機位置から定着部へ到達する時間内に定着可能温度に立ち上がることが可能な転写材再給送開始温度T2 になったときに 転写材の再給送を行い、像担持体上のトナー像を転写した後、定着部に転写材は突入する(S48)。
【0066】
転写材が定着部に突入するタイミングに合わせ、時間tが時間t0 より大の場合は、発熱体12aはフル通電のままサーミスタ14aの温度が所定温度T3 (この実施の形態2では200℃)となるように発熱体12bの通電制御を行う。この時、所定温度T3 は時間tが時間t0 より小の場合に設定される温度T 4(190℃)に比べ大とする(S49,S51)。また、時間tがt1 よりも大の場合、小サイズ用発熱体12bによる補助通電のみでは、小サイズ対応部12b1領域と非対応部12b2領域の温度差が大となり、サーミスタ14aの温度が所定温度T3 となるように発熱体12bの通電制御を行うのみでは、小サイズ対応部領域外で定着不良が発生する可能性が有るため、転写材の給紙間隔を広げる(S49,S53)。
【0067】
この実施の形態2ではスループットが14ppmとなるよう給紙間隔を制御する。この実施の形態2のような場合は、例えば入力電圧が極端に低くなった場合、発熱体の抵抗値がばらきの範囲内で高めにシフトした場合等に現れ、この実験例では入力電力が500W以下の場合に小サイズ用発熱体の通電割合が大サイズ用発熱体の通電割合に対して相対的に高くなり、小サイズ用発熱体の温度分布が顕著に現れる。
【0068】
前記実施の形態1と同様に入力電力が540Wの時の昇温時間(速度)tはt0 より大だが時間t1 より小の時 発熱体12bにはトータルで約102Wの電力が供給されており、発熱体12b1領域には89W、発熱体12b2領域には13W相当の割合で電力が供給され、単位長さあたりの発熱量は3:2.6(W/mm)となる。
【0069】
この時、 発熱体1 2b1領域には発熱体 12bの補助通電がない場合に比べ約23%増の電力が供給され、発熱体12b2領域は同様に約8%増の電力供給が行われることになり、 このレベルの電力供給量差ならば発熱体12b1領域の温度を200℃に維持したとき、発熱体12b2領域の温度は180〜190℃の温度に維持でき、前記実施の形態1と同様に転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。
【0070】
一方、入力電力が450Wと大きく低下したとき、昇温時間(速度)tが時間tより大の時は、スループットが16ppmの時には上記と同様の制御を行うと、発熱体12bにはトータルで約172Wの電力が供給されており、発熱体12b1領域には150W、発熱体12b2領域には22W相当の割合で電力が供給され、単位長さあたりの発熱量は3:2.4(W/mm)となり、この時、発熱体12b1領域には発熱体12bの補助通電がない場合に比べ約48%増の電力が供給される。
一方、発熱体12b2領域は同様に約16%増の電力供給が行われることになり、このレベルの電力供給量差では発熱体12b1領域の温度を200℃に維持したとき、発熱体12b2領域の温度は180℃に維持するのが困難となり、転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが難しい。そこで、転写材の給紙間隔を制御し、スループットを14ppmに落とすことで発熱体12bへの通電量が減り、上記温度分布を小さくすることができる。この条件において、14ppmにスループットを低下させた場合、発熱体12bにはトータルで約118Wの電力が供給されており、発熱体12b1領域には103W、発熱体12b2領域には15W相当の割合で電力が供給され、単位長さあたりの発熱量は2.7:2.25(W/mm)となる。
【0071】
この時、発熱体12b1領域には発熱体12bの補助通電がない場合に比べ約33%増の電力が供給され、発熱体12b2領域は同様に約11%増の電力供給が行われることになり、このレベルの電力供給量差ならば、発熱体12b1領域の温度を200℃に維持したとき、発熱体12b2領域の温度は180〜190℃の温度に維持でき、前記実施の形態1と同様に転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。また、加熱用ヒータ基板内の熱伝導により、長手方向温度分布は若干供給電力費よりもブロードになる効果もこの実施の形態2では良い方向に作用している。
【0072】
この結果、前記実施の形態1と同様に転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。
【0073】
このように、小サイズ用発熱体の小サイズ対応領域外の発熱量を小サイズ対応領域に対して小さくすると、大サイズ用発熱体への供給電力が極端に減った場合、ヒータ基板内に生じる温度分布が大きくなるが、この実施の形態2のように供給電力に応じてスループットを低下させることにより、十分な定着性を維持することが可能となる。
【0074】
また、この実施の形態2のように転写材の給紙間隔を広げることにより、スループットを制御して定着不良を防止するために1枚目の転写材が加熱定着装置に突入した時点では既に2枚目の転写材が給紙されており、1枚目の給紙タイミング前に定着不良が発生する可能性があるかどうか判断しなくてはならない。そのために供給電力不足をみるには、この実施の形態2のように、ヒータの立上り昇温速度を検知するのが有効な方法であり、また、ヒータ立上り時の昇温速度検知以外にも、ヒー夕立上げ時の入力電圧検知により、入力電圧が所定値よりも小さい場合に本発明を適用することも可能である。
【0075】
上記実施の形態1、2より小サイズ通紙時の非通紙昇温と、大サイズ用発熱体の供給電力が不足したときに小サイズ用発熱体を補助用発熱体として用いるためには最大サイズに対応した発熱体12aをフル通電させた状態で補助的に小サイズに対応した発熱体12bを使用し、小サイズ対応発熱体12bの発熱分布が小サイズ以外の領域でも一定量以上の発熱量を有することが必要である。小サイズ部位外の領域の発熱量が大きいほどヒータ幅方向内の温度分布は均一化されるが、小サイズ通紙時の非通紙昇温は緩和されにくくなる。
【0076】
図6は小サイズ用発熱体の小サイズ対応部と非対応部の発熱比率を変化させ、この実施の形態2に用いた画像形成装置で実験をした時に、小サイズ紙(坪量80g/m2 のA5サイズ紙)のスループットと大サイズ用発熱体への供給電力が不足(フリッカ等を満足させ易い発熱体抵抗値から供給電力の最小値は540Wとした)したとき、小サイズ用発熱体への補助通電により定着可能な大サイズ紙(坪量128g/m2 のA4サイズ紙)のスループットを示したものである。
【0077】
ここで、小サイズ対応部に対する小サイズ部位外の単位長さあたりの発熱量の上限を小サイズスループットが最大サイズに対して1/2以上確保できるとし、下限は大サイズ用発熱体の供給電力不足の時のスループット低下をユーザビリティの観点から最大スルーブットの2/3程度を限度としたとき、図6に示すグラフより小サイズ対応部に対する小サイズ部位外の単位長さあたりの発熱量は小サイズ対応部発熱量比は0.2〜0.7の間が好ましいことがわかる。
【0078】
実施の形態3.
この実施の形態3では、大サイズ用発熱体への供給電力不足を転写材が定着器に突入した後のヒータの温度低下率又は低下量を検知し、小サイズ用発熱体への補助通電を行うことを特徴とする。
【0079】
この実施の形態3を適用する加熱定着装置は実施の形態1と同様なので説明は省略する。ヒータ12の抵抗値は実施の形態1と同様に発熱体12aが15.0Ω、発熱体12bが21.2Ωとされる。この結果、発熱体12aは100Vで駆動すると667Wの電力が生じるが電源電圧の変動で該電源電圧が例えば10%低下したときは、発熱体12aの駆動電力は540Wになってしまう。
【0080】
このような状態で画像形成速度100mm/sec、スループットが16ppmの条件でA4サイズ幅の厚紙等を通紙した場合、電力が不足し、所定の温調温度を維持することが不可能となり、定着不良が発生する。
【0081】
そこで、この実施の形態3では、プリント時に転写材が定着部に突入後の加熱用ヒータ温度低下量を計測し、それが所定値以下の場合、供給電力が不足していると判断し、発熱体12bへの通電を開始し、補助発熱体としての機能をすることにより定着不良を防止する。
【0082】
以下、具体的な制御アルゴリズムに基づき、図7のフローチャートを用いこの実施の形態3の作用効果を説明する。
【0083】
パーソナルコンピュータ等の外部機器により画像形成装置に印字開始命令が送信されると、給紙動作、加熱定着装置のヒー立ち上げ動作を開始する。この時、給紙される転写材サイズが判っているときには、そのサイズに応じた発熱体を選択して立ち上げ、転写材サイズが不明の場合は、大サイズ用の発熱体12aを立ち上げるが、この実施の形態3では転写材サイズがA4の場合について説明を行う(S61,S62)。
【0084】
発熱体12aの立ち上げ動作開始後、転写材が所定の待機位置から定着部へ到達する時間内に、定着可能温度に立ち上がることが可能な転写材再給送開始温度T2 になったときに転写材の再給送を行い(S63,S64)、像担持体上のトナー像を転写した後、定着部に転写材は突入する。
【0085】
この時、ヒータ12はT4 (190℃)で温調制御されるが、転写材が定着部に突入後、100msec経過したとき、発熱体12aはフル通電にも関わらずサーミスタ14aの温度が所定温度T5 (本例では185℃)を下回った場合は、発熱体12bの通電制御を行い、同時にサーミスタ14aでの制御目標温度T3 を200℃に切り替え、発熱体12aはフル通電され、発熱体12bの通電制御によりヒータ12のサーミスタ14a部温度を一定に保つ(S65,S66,S68)。
【0086】
一方、上記条件を満たさないときは、発熱体12aのみでサーミスタ14aの温度をT4 に維持するための通電制御を行う(S65,S66,S67)。更に転写材が定着部に突入後500msec経過したとき、発熱体12aはフル通電にも関わらずサーミスタ14aの温度が所定温度T5 (この実施の形態3では185℃)を下回った場合は発熱体12bの通電制御を行い、サーミスタ14aでの制御目標温度T4 のままとする(S69,S70,S72)。
【0087】
この様な制御を行うことで坪量128g/m2 の厚紙では、ヒータ12から奪う熱量が大のため、S68のルーチンに入り、発熱体12b1領域のヒータ温度は200℃に維持され、12b2領域の温度は発熱体12aへの供給電力により差がでるが、185〜195℃の温度に維持され、この結果、転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。ここで転写材先端部のみはヒータ温度はサーミスタ14aの応答遅れにより185℃以下となる場合があるが、先端部は加圧ローラ温度が前回転中に十分温まっているために、良好な定着性が得やすく、定着不良が発生することは無い。また、坪量90g/m2 〜105g/m2 の厚さの紙ではヒータ12から奪う熱量が中程度のため、S72のルーチンに入り同様に発熱体12b1領域のヒータ温度は190℃に維持され、12b2領域の温度は発熱体12aへの供給電力により差がでるが180〜185℃の温度に維持され、この結果、転写材の幅方向にわたって良好な定着性を維持することが可能となる。
【0088】
さらに、転写材として薄紙(坪量64g/m2 以下)では、ヒータから奪う熱量が少ないため発熱体12aへの通電制御のみとなる(S71)。この様に、小サイズの転写材に対応した発熱分布を有する発熱体を大サイズ用発熱体の供給電力が不足したときに補助加熱用発熱体として使用することで、ヒータ幅方向内で温度分布が発生するが、最大温度部でホットオフセットが発生せず、最小温度部で定着不良が発生しない範囲内で温度分布が形成されれば、この実施の形態3のように幅方向全域にわたり良好な定着性を維持することができる。
【0089】
通紙時のヒータ温度降下量、または降下率を検知することで転写材の厚みによりヒータ制御温度も自動的に変えられ、最適な電力供給が可能となる。また、実施の形態3をより精度の高い制御方法とするために前記実施の形態1のアルゴリズムと組合せ、ヒータの立ち上げ時の昇温速度により供給電力を予測し、転写材が定着器に突入後のヒータ温度降下量から転写材が定着するために必要な電力を予想し、ヒータの温調温度を制御することも可能である。
【0090】
実施の形態4.
図8は本発明の加熱定着装置を適用した画像形成装置を示す構成図であり、図8において、1は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料をアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基板上に形成した構成から成る。この感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、まず、はじめにその表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。次に、露光手段であるレーザービーム3を画像情報に応じてON/OFF制御した走査露光がなされ、感光ドラム1上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4で現像されて可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。可視化されたトナー像は、転写装置である転写ローラ5により、感光ドラム1上から所定のタイミングでカセットまたはマルチパーパストレイ等の給紙口より給紙、搬送された転写材P上に転写される。トナー像を保持した転写材Pは前記各実施の形態に示した定着装置6へ搬送され、この定着装置6のニップ部で加熱・加圧され、トナー像は転写材P上に定着された永久画像となる。一方、転写後に感光ドラム1上に残留する転写残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1の表面より除去されて次の画像形成に供される。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、転写材上に転写されたトナー像を加熱用回転体、及び加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより永久定着する加熱定着装置において、上記加熱用回転体は厚みが20〜100μmの薄肉の可撓性を有するフィルムからなり、この表層には離型層が形成されており、上記ニップ部と対向するフィルム内周面に接触するヒータがフィルムに対し固定配置され、ヒータは基板上に各々独立に通電が制御される複数の発熱体パターンを形成されており、基板上転写材送り方向と直交する方向内で異なる発熱分布を有し、転写材サイズに応じて通電制御する発熱体を選択するとともに、選択された発熱体による通電のみでは所定温度を維持できないと判断したとき、この発熱体と異なる発熱分布を有する発熱体の通電を制御するように構成したので、記録材サイズによって発熱体を選択駆動することで非通紙部昇温の問題を緩和することが出来、同時に選択された発熱体の電力が不足したときにも、他方の発熱体が補助ヒータとしての役目を果たすことが可能となり、発熱体の抵抗値を極端に下げずとも画像形成装置の高速化を達成することが可能となる。
【0092】
また、転写材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、その立ち上げ時のヒータ温度上昇率に応じて幅狭用の発熱体を定着動作時に通電制御するように構成したので、特別な電力検知手段を設けず画像形成装置のコストアップなしに上記効果を得ることができる。
【0093】
更に、転写材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、その立ち上げ時のヒータ温度上昇率に応じて幅狭用の発熱体を定着動作時に通電制御すると同時に転写材の給紙間隔を制御するように構成したので、供給電力が極端に低下した場合においても転写時の定着不良を生じさせることのない加熱定着装置を得ることができる効果がある。
【0094】
また、更に、定着動作中の温度低下率を検知し記録材サイズに応じて選択された発熱体以外の発熱体を通電制御するように構成したので、供給電力が少ないときに転写材厚み等に応じて最適な加熱用ヒータ温度制御を行うことが可能となる効果が得られる加熱定着装置を提供することができる。
【0095】
また、この加熱定着装置を適用することにより、円滑な定着動作によって、高品質の画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による加熱定着装置の概略断面図である。
【図2】 図1の加熱定着装置に適用するヒータの説明図である。
【図3】 本発明の加熱定着装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 本発明の実施形態2による加熱定着装置に適用するヒータの説明図である。
【図5】 実施の形態2による加熱定着装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】 本発明の加熱定着装置の動作を説明するためのグラフである。
【図7】 実施の形態3による加熱定着装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】 本発明の加熱定着装置を適用する画像形成装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム(作像手段)、2 帯電ローラ(作像手段)、3 レーザ光(作像手段)、6 加熱定着装置、P 記録材(転写材)、10 加熱用回転体(フィルム)、11 加圧用回転体、12 ヒータ、12a,12b 発熱体。

Claims (7)

  1. 表面に未定着トナー像を有する記録材を、加熱用回転体および加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより、前記未定着トナー像を前記記録材表面に永久定着する加熱定着装置において、
    前記加熱用回転体は表層に離型層が形成された可撓性フィルムと、各々独立に通電が制御されて前記記録材送り方向と直交する方向内で異なる発熱分布を有する複数の発熱体を耐熱性基板上に設け前記可撓性フィルムの内周面に接触するように固定配置されたヒータとを有し、
    前記記録材サイズに応じて通電制御する前記発熱体を選択するとともに、選択された前記発熱体による通電のみでは所定温度を維持できないと判断したとき、該発熱体と異なる発熱分布を有する発熱体の通電を制御する加熱定着装置であって、前記記録材サイズが幅広または不明の場合には、記録材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、その立ち上げ時のヒータ温度上昇率に応じて幅狭用記録材サイズに対応する発熱体を定着動作時に通電制御することを特徴とする加熱定着装置。
  2. 幅狭用記録材サイズに対応する発熱体について、幅狭用記録材サイズ外側領域の対応部の単位長さあたりの発熱量は、幅狭用記録材サイズ内側領域の対応部の単位長さあたりの発熱量の0.2〜0.7とすることを特徴とする請求項1に記載の加熱定着装置。
  3. さらに、記録材の給紙間隔を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱定着装置。
  4. 可撓性フィルムは、厚みが20〜100μmの円筒状あるいはエンドレス状もしくは巻き取り式のウェブ状のいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加熱定着装置。
  5. 耐熱性基板は、セラミックであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加熱定着装置。
  6. 表面に未定着トナー像を有する記録材を、加熱用回転体および加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより、前記未定着トナー像を前記記録材表面に永久定着する加熱定着装置において、
    前記加熱用回転体は、表層に離型層が形成された可撓性フィルムと、各々独立に通電が制御されて前記記録材送り方向と直交する方向内で異なる発熱分布を有する複数の発熱体を耐熱性基板上に設け前記可撓性フィルムの内周面に接触するように固定配置されたヒータとを有し、
    前記記録材サイズに応じて通電制御する前記発熱体を選択するとともに、選択された前記発熱体による通電のみでは所定温度を維持できないと判断したとき、該発熱体と異なる発熱分布を有する発熱体の通電を制御する加熱定着装置であって、前記記録材サイズが幅広または不明の場合には、記録材サイズが幅広の場合に通電される発熱体によりヒータ温度立ち上げ動作を行い、定着動作中の温度低下率を検知し、記録材サイズに応じて選択された発熱体以外の発熱体を定着動作時に通電制御することを特徴とする加熱定着装置。
  7. 記録材に未定着トナー画像を形成担持させる作像手段と、前記記録材に形成担持させた未定着トナー画像を該記録材に加熱定着させる加熱定着手段とを有する画像形成装置において、前記加熱定着手段が請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の加熱定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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