JP2007233158A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着作用部材に近い位置から記録媒体の経路を規定して記録媒体を安定して搬送することができる構成を備える定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置60は、定着ベルト610を備える定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に圧接配置された加圧ロール62とで構成されている。定着ベルトモジュール61と加圧ロール62との間にニップ部Nが形成され、そのニップ部Nの出口には、排紙ガイド70が配設されている。排紙ガイド70は、バッフル板71と下面案内板72とが上下に平行に配設されて、両者の間に定着作用が終了した記録用紙Pの移動通路である剥離排紙通路70Aを形成している。バッフル板71は、線熱膨張係数が6×10−6/K以下のインバー合金によって形成され、その先端を定着ベルト610にできる限り近接させて設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関し、より詳しくは回動するベルト部材を備えた定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置において、記録用紙等の記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着装置として、2ロール方式と呼ばれる構成が広く一般に用いられている。2ロール方式の定着装置は、加熱源(ヒータ)によって加熱される定着ロールに加圧ロールを圧接させて構成され、両ロールの圧接領域(ニップ部)に記録媒体を通過させることで加熱・加圧し、記録媒体上にトナー像を定着する。
また、記録媒体を加熱する加熱部材がフィルム状のベルト部材(定着ベルト)で構成された定着装置も知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
このような定着ベルトを用いた定着装置では、ニップ部に進入する前に定着ベルトを充分に加熱しておき、ニップ部で定着ベルトから記録用紙に熱を加えてトナー像を定着する。定着ベルトは熱容量が小さく、定着作用によって記録媒体に熱を奪われても短時間で所定の定着温度まで回復させることが可能であり、画像形成の高速化に対応することができる。
ところで、トナーを加熱溶融させて記録媒体に定着させる定着装置では、熱によって溶融したトナーの付着力で記録媒体が定着ロールや定着ベルト(以下定着作用部材と称する)から剥がれ難くなる。そのため、付着力に抗して記録媒体を定着作用部材から剥離させる構成が必要となる。
従来は、剥離性を高めるために、定着作用部材にシリコンオイルを塗布すると共に、剥離爪を定着作用部材に当接させて設けることが行われていた。しかし、そのシリコンオイルが光学系に悪影響を与えたり、また、シリコンオイルを定着作用部材に均一に塗布することが難しく画像ムラや汚れを招来するという問題があった。
このような問題を防ぐために、近時、トナーにワックス成分を含有させると共に、定着作用部材の表面に剥離性の良いフッ素樹脂等による皮膜(剥離層)を形成し、オイルレス化することが進められている。
定着作用部材の表面に剥離層を形成した構成では、剥離層が傷つくと画像品質の低下を招来し、また、定着作用部材の寿命も短くなるため、定着作用部材に剥離爪を当接させて設けることは好ましくない。
そこで、定着作用部材として定着ベルトを用いる定着装置では、定着ベルトからの記録媒体の剥離を促進させるために、ニップ部の出口部(下流部)の定着ベルトの内側に、定着ベルトの曲率を大きく設定する(定着ベルトの経路を小さなRで屈曲させる)剥離部材を設ける構成が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
剥離部材によって定着ベルトの経路を小さなRで屈曲させることにより、記録媒体は、定着ベルトの屈曲に追随できずにその自身の剛性(いわゆるコシ)で自然に定着ベルトから剥離する。
ここで、記録媒体がその剛性で定着作用部材から剥離する構成では、記録媒体の剛性の強弱や表面の平滑度、記録媒体の先端部の余白および画像密度等の要因によって剥離の難易度が異なる。このため、これらの要因によって定着作用部材から記録媒体が剥離する位置が変化する。
たとえば、薄く剛性の小さい記録用紙は剥離し難い、逆に厚く剛性の高い記録用紙は比較的容易に剥離する。また、表面が平滑な記録用紙では剥離し難い。さらに、先端の余白が狭い程剥離し難く、写真画像のようなトナー密度の高い画像では剥離し難い。このような剥離し難い要因があると、記録用紙の剥離位置は、容易に剥離する場合に比較して定着作用部材の移動方向下流側となる。
その結果、定着装置からの記録媒体の排出経路が定まらないこととなり、それ以降の記録媒体の搬送が良好に行えなくなる虞がある。
このため、定着作用部材から記録媒体が剥離する位置の近傍に、その剥離経路を規定する剥離部案内部材が設けられる。
剥離部案内部材は、できるだけ上流側から記録媒体の経路を規定することができ、且つ、その先端と定着作用部材の間に記録媒体が侵入して搬送不良を招来することの無いように、先端を定着作用部材にできるだけ接近させて配設することが好ましい。また、剥離部案内部材は、定着作用部材と加圧ロールとの間の狭い空間内に接近させて配置する必要から、強度の高い金属素材によって先端部の板厚を薄く形成されることが多い。
しかしながら、このように配置された剥離部案内部材は、ニップ部から出たばかりで高温の記録用紙が接触することによって、また、高温の定着作用部材からの輻射熱によって加熱されて高温化し、下記のごとき不具合を生ずる。
すなわち、剥離部案内部材が熱膨張によって伸長し、先端が定着作用部材に接触して傷付けてしまう。
また、剥離部案内部材は、その先端部は容易に高温化するが、先端部から遠い後端側(記録媒体移動方向下流側)は輻射熱が少なく熱伝導も悪い(薄板状の剥離案内部材は熱抵抗が大きいことによる)ことから相対的に温度が低い。その結果、先端部と後端側との温度差による熱膨張量の差で、先端部が波打つように変形し、記録媒体に偏接触して画像不良を招来する。
このような不具合を防ぐためには、剥離案内部材を定着作用部材から離間させて設置する必要がある。しかし、そうすると、記録用紙を良好に案内することができなくなるとと共に、定着作用部材との間に記録媒体を咬み込んで搬送不良を生ずる虞が高くなる。
特許文献4には、このような不具合を解消することのできる剥離補助部材が提案されている。
特許文献4に開示の剥離補助部材は、画像記録用のシートの表面側に接触する表面側回転部材および裏面側に接触する裏面側回転部材のいずれかの表面に近接して配設され、金属製薄板部の先端部にスリットまたは孔が形成され、且つ、薄板部の基端部を支持する熱膨張率が同一の材料により構成された厚板部を備えたものである。
特開平3−133871号公報 特開昭63−193168号公報 特開2003−5566号公報 特開2003−66755号公報
しかしながら、上記従来構成の剥離補助部材では、構造が複雑で製作が面倒であり、製造コストが高い。
また、剥離案内部材は前述のごとくその先端を定着作用部材に極力接近させて配設されるため、剥離案内部材より記録媒体の移動方向下流側で搬送不良による紙詰まりが発生すると、通路内に詰まった記録媒体に押圧されて剥離案内部材が移動し、定着作用部材に当接して傷付けてしまうという問題もある。
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定着作用部材に近い位置から記録媒体の経路を規定して記録媒体を安定して搬送することができる構成を備える定着装置および画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、紙詰まりを生じた記録媒体に押圧された剥離案内部材が定着作用部材を傷付けることがない構成を備える定着装置および画像形成装置を提供することにある。
かかる目的のもと、本発明に係る定着装置は、記録媒体に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、記録媒体を加熱する加熱部材と、加熱部材に記録媒体を圧接させるニップ部を形成する加圧部材と、ニップ部から記録媒体が排出される下流側に加熱部材に先端を近接させて設けられて記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、を備え、案内部材は、線熱膨張係数が6×10−6/K以下の素材で形成されていることを特徴とする。
ここで、案内部材は、インバー合金で形成されていることを特徴とすることができ、また、加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とすることができる。
さらに、上記構成に加え、ニップ部の下流側の定着ベルト部材と定着ロール部材の間に介設され、定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて定着ベルト部材から記録媒体を剥離させる剥離部材を、備えることを特徴とすることができる。
本発明に係る他の定着装置は、記録媒体に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、記録媒体を加熱する加熱部材と、加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、ニップ部から記録媒体が排出される下流側に加熱部材に先端部を近接させて設けられ、記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、案内部材に対する記録媒体の作用による案内部材の先端部が加熱部材に向かう移動を規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、規制手段は、案内部材を先端部近傍で揺動可能に支持する支点と、先端部が加熱部材に近接する側への案内部材の揺動を規制する規制部材と、を備え、案内部材は、案内部材を加熱部材に向けて押圧する記録媒体の作用によって、先端部が加熱部材から離間する側に揺動するように構成されていることを特徴とすることができる。
また、規制手段は、案内部材を記録媒体の排出方向に移動可能に支持する移動許容支持部材と、案内部材と係合して案内部材を排出方向に移動不能に支持する係合支持部材と、を備え、案内部材は、案内部材を加熱部材に向けて押圧する記録媒体の作用によって、係合支持部材による係合が外れて先端部が加熱部材から離間する側に移動するように構成されていることを特徴とすることができる。
さらに、加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とすることができ、ニップ部の下流側の定着ベルト部材と定着ロール部材の間に介設され、定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて定着ベルト部材から記録媒体を剥離させる剥離部材を、さらに備えることを特徴とすることができる。
本発明に係る画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に定着する定着装置と、を備えて構成され、定着装置は、記録媒体を加熱する加熱部材と、加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、ニップ部から記録媒体が排出される下流側に加熱部材に先端を近接させて設けられ、記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、案内部材を加熱して所定温度に調節する温度調節手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、温度調節手段は、案内部材を冷却して所定温度に調整することを特徴とすることができる。
また、上記構成に加えて、電源投入後に、定着装置の加熱手段を昇温させる暖機制御を行う暖機制御手段を備え、暖機制御手段は、暖機制御の際に温度調整手段を駆動して案内部材を所定温度に制御することを特徴とする。
さらに、加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とすることができ、ニップ部の下流側の定着ベルト部材と定着ロール部材の間に介設され、定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて定着ベルト部材から記録媒体を剥離させる剥離部材を、さらに備えることを特徴とすることができる。
以上のように構成された本発明の定着装置等および画像形成装置によれば、定着作用部材に近い位置から記録媒体の経路を規定して記録媒体を安定して搬送することができる。
また、紙詰まりを生じた記録媒体に押圧された剥離案内部材の、定着作用部材に当接する側への移動を防ぐことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態を適用した画像形成装置1の概略構成図である。
画像形成装置1は、いわゆるタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成するトナー像形成手段としての複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次重畳して転写(一次転写)させる一次転写部10とを備えている。また、画像形成装置1は、中間転写ベルト15上に転写されたトナー画像を記録媒体としての記録用紙Pに一括転写(二次転写)させる転写手段としての二次転写部20と、二次転写された画像を記録用紙P上に定着させる定着装置60とを備えている。さらに、画像形成装置1は、記録用紙搬送機構50と、上記各装置(各部)の動作を制御する制御部40とを有している。なお、本発明は、このようなタンデム型のカラー画像形成装置に限るものではなく、回転式現像装置を用いたカラーの画像形成装置や、モノクロの複写機等に適用しても良いものである。
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、図中画像形成ユニット1Yに代表して示すように、矢印A方向に回転する感光体ドラム11を備えている。感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーを収容して感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14とが配設されている。さらに、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17とが配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる経路を有して張架され、図1に示す矢印B方向に所定の速度で循環駆動(回動)されるようになっている。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向配置された一次転写ロール16によって構成されている。一次転写ロール16は感光体ドラム11に中間転写ベルト15を圧接させるようになっている。また、一次転写ロール16にはトナーの帯電極性と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト15に順次静電吸引し、中間転写ベルト15上にトナー像を重畳形成する。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、中間転写ベルト15を挟んでこの二次転写ロール22に対向配置されたバックアップロール25とによって構成されている。
バックアップロール25には二次転写バイアスが印加されると共に、二次転写ロール22は接地されており、バックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成されるようになっている。そして、中間転写ベルト15が担持したトナー像を、搬送供給される記録用紙P上に二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が設けられている。
記録用紙搬送機構50は、記録用紙Pを収容する記録用紙トレイ51から、記録用紙Pを二次転写部20へと搬送すると共に、二次転写部20でトナー像が転写(二次転写)された記録用紙Pを定着装置60に搬送する。
そして、画像形成装置1は、制御部40によって制御され、下記のようにして画像形成を行う。
すなわち、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kのそれぞれの感光体ドラム11上にそれぞれの色のトナー像を形成する。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおけるトナー像の形成は、帯電器12によって帯電された感光体ドラム11上をレーザ露光器13で走査露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像器14によって現像してトナー像を形成することによって行われる。
ついで、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成したトナー像を、各一次転写部10において中間転写ベルト15上に重ね合わせて転写し、二次転写部20において記録用紙搬送機構50によって搬送される記録用紙P上に一括して静電転写する。
その後、トナー像が転写された記録用紙Pを、記録用紙搬送機構50によって定着装置60に搬送し、定着装置60によって熱および圧力によってトナー像を記録用紙P上に定着させ、図示しない排紙載置部に排出するものである。
つぎに、本発明の実施の形態である定着装置60について詳細に説明する。
図2は定着装置60の概略構成を示す断面図であり、図3はニップ部Nの出口近傍の拡大断面図である。
定着装置60は、加熱部材としての定着ベルト610を備える定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に圧接配置された加圧部材としての加圧ロール62とで構成されている。そして、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62との間に、記録用紙Pを加圧加熱してトナー像を定着させるニップ部Nを形成している。ニップ部Nは、ロールニップ部N1と、剥離パッドニップ部N2とから成る。
ニップ部Nの、記録用紙Pの移動方向下流側(図中右側)には、上下方向に所定間隔の剥離排紙通路70Aを形成する排紙ガイド70が配設されている。排紙ガイド70の下流側には、上下の通路板65U,65Lが所定間隔で配設されて成る排紙通路65が接続され、そのさらに下流側に排紙ロール66が配設されている。
定着ベルトモジュール61は、定着ベルト部材としての定着ベルト610と、この定着ベルト610を張架しながら回転駆動する定着ロール部材としての定着ロール611と、内側から定着ベルト610を張架する張架ロール部材としての張架ロール612とを備えている。また、定着ベルト610の外側に配設されてその周回経路を規定する張架ロール613と、定着ロール611と張架ロール612との間の定着ベルト610の外側に配設されて定着ベルト610の経路を規定する張架ロール614とを備えている。さらに、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接する領域であるニップ部N内の下流側の、定着ロール611の近傍に配置された剥離部材としての剥離パッド64と、ニップ部Nの下流側において定着ベルト610を張架する張架ロール615とを備えている。
定着ベルト610は、周長314mm、幅340mmのフレキシブルなエンドレスベルトである。厚さ80μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層の表面側(外周面側)に積層された厚さ200μmのシリコーンゴムからなる弾性体層と、さらに弾性体層上に被覆された厚さ30μmのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)チューブからなる剥離層とで構成されている。なお、この定着ベルト610の構成は、使用目的や使用条件等の装置設計条件に応じて、材質・厚さ・硬度等を適宜選択することができる。
定着ロール611は、外径65mm、長さ360mm、厚さ10mmのアルミニウムからなる円筒状のコアロール(芯金)に、表面の金属磨耗を防止する保護層として、厚さ200μmのフッ素樹脂が被覆されて形成されたハードロールである。ただし、定着ロール611は、この構成に限るものではなく、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する際に、加圧ロール62からの押圧力に対して殆ど変形を生じない充分にハードなロールとして機能する構成であればよい。そして定着ロール611は、図示しない駆動モータからの駆動力を受けて、264mm/sの表面速度で図2中矢印C方向に回転する。
また、定着ロール611の内部には、加熱手段として定格900Wのハロゲンヒータ616aが配設され、定着ロール611の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置の制御部40(図1参照)が定着ロール611の表面温度をたとえば150℃に制御している。
張架ロール612は、外径30mm、厚さ2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。そして、張架ロール612の内部には加熱源として定格1000Wのハロゲンヒータ616bが配設されており、温度センサ617bと制御部40(図1参照)とによって、表面温度がたとえば190℃に制御されている。したがって、張架ロール612は、定着ベルト610を張架する機能とともに、定着ベルト610を内周面側から加熱する機能をも併せ持っている。
また、張架ロール612の両端部には定着ベルト610を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設され、定着ベルト610全体の張力を15kgfに設定し、定着ベルト610の張力を幅方向に亘って均一としている。
さらに、この張架ロール612は、詳細は図示しないが、一方の端部の支点70Cを中心として他端が定着ロール611に対して離接する方向に揺動可能に設けられており、その揺動によって定着ベルト610の蛇行を所定の範囲に規定する機能を有している。
張架ロール613は、外径25mm、厚さ2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。また、張架ロール613の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト610の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が張架ロール613に堆積するのを防止するために形成されるものである。
張架ロール613の内部には、加熱手段としての定格1000Wのハロゲンヒータ616cが配設されており、温度センサ617cと制御部40(図1参照)とによって、表面温度がたとえば190℃に制御されている。したがって、張架ロール613は、定着ベルト610を張架する機能とともに、定着ベルト610を外周面側から加熱する機能をも併せ持っている。したがって、本実施の形態では、定着ロール611と張架ロール612および張架ロール613とによって定着ベルト610が加熱される構成を採用している。
張架ロール614は、外径15mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円柱状ロールである。回転自在に支持されており、張架ロール612から定着ロール611に至る定着ベルト610の経路を規定している。
剥離パッド64は、例えばSUS等の金属や樹脂等の剛体で形成された、定着ロール611と対応する長さのブロック状の部材である。その断面形状は、定着ロール611に面する内側面64aと、定着ベルト610を加圧ロール62に押圧する押圧面64bと、押圧面64bに対して所定の角度を有して定着ベルト610の進行方向を急激に変化させる外側面64cと、上面64dと、に囲まれた円弧状を呈している。
そして、図示しないがその両端で、定着ロール611の支持軸に揺動可能に嵌合したアームによって支持されて、加圧ロール62が定着ベルトモジュール61に圧接する領域(ロールニップ部N1)の下流側の、定着ベルト610の内側に、定着ロール611の軸方向全域に亘って配設されている。また、この剥離パッド64は、スプリング等の図示しない付勢手段によって揺動付勢され、その押圧面64bで定着ベルト610を加圧ロール62に所定の荷重(例えば、10kgf)で押圧するように設けられている。これにより、例えば、定着ベルト610の進行方向に沿って5mmの幅の剥離パッドニップ部N2を形成する。
張架ロール615は、外径12mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円柱状ロールである。そして、剥離パッド64を通過した定着ベルト610が定着ロール611に向けて円滑に回動するように、剥離パッド64の定着ベルト610の進行方向下流側近傍に配置されている。
加圧ロール62は、直径45mm、長さ360mmのアルミニウムからなる円柱状ロール621を基体として、基体側から順に、ゴム硬度30°(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層622と、膜厚150μmのPFAチューブからなる離型層623とが積層されて構成されたソフトロールである。そして、加圧ロール62は、定着ベルトモジュール61に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール61の定着ロール611の回転に伴って従動し、図3中矢印E方向に回動する。
排紙ガイド70は、案内部材としてのバッフル板71と、下面案内板72とで、定着作用が終了した記録用紙Pの移動を案内する剥離排紙通路70Aを形成している。
バッフル板71は、その先端を定着ベルト610の剥離パッド64によって経路が急変した部位の下流側に近接させて設けられており、経路の急変によって定着ベルト610から剥離した記録用紙Pを剥離排紙通路70A内に導くようになっている。この排紙ガイド70の構成については、後に詳述する。
そして、上記のごとく構成された定着装置60は、下記のようにして定着作用を行う。
すなわち、画像形成装置1の二次転写部20(図1参照)において未定着トナー像が静電転写されて、記録用紙搬送機構50によって図2中矢印Fで示す方向に搬送される記録用紙Pを、ニップ部Nを通過させて、主としてロールニップ部N1に作用する圧力と熱とによってトナー像を記録用紙Pに定着させる。
このとき、ニップ部Nに作用する熱は、主として定着ベルト610によって供給される。定着ベルト610は、定着ロール611の内部に配置されたハロゲンヒータ616aから定着ロール611を通じて供給される熱と、張架ロール612の内部に配置されたハロゲンヒータ616bから張架ロール612を通じて供給される熱と、張架ロール613の内部に配置されたハロゲンヒータ616cから張架ロール613を通じて供給される熱とによって加熱される。そのため、主に張架ロール612および張架ロール613から適切かつ速やかに定着ベルト610に熱エネルギーを補給することができるので、ニップ部Nにおいては、プロセススピードがたとえば264mm/sという高速であっても充分な熱量を確保することができる。
ここで、ロールニップ部N1を形成する一方の定着ロール611は前述のごとくハードロールであり、他方の加圧ロール62はその周面に弾性層622を備えるソフトロールである。このため、本実施の形態のロールニップ部N1は、専ら加圧ロール62の弾性層622の変形によって形成される。
このように、ロールニップ部N1において、定着ベルト610がラップしている定着ロール611は殆ど変形しないため、その表面に沿って回動する定着ベルト610の回動半径は変化しない。このため、定着ベルト610はその進行速度を一定に維持してロールニップ部N1を通過することができ、その通過の際にシワや歪みを生ずることがない。その結果、定着画像の画像乱れが抑制され、良質の定着画像を安定的に提供することができる。なお、本実施の形態の定着装置60では、ロールニップ部N1は定着ベルト610の進行方向に15mm(すなわちニップ幅15mm)に設定されている。
ロールニップ部N1を通過した後、記録用紙Pは剥離パッドニップ部N2に移動する。定着ロール611の曲率によって下に凸の湾曲した形状のロールニップ部N1に対して、剥離パッドニップ部N2は所定の角度を有して形成されている。このため、ロールニップ部N1において定着ロール611の曲率のもとで加熱加圧された記録用紙Pは、剥離パッドニップ部N2とのニップ境界点において進行方向が変化し、これによってトナー像と定着ベルト610との付着力が弱められて、記録用紙Pは定着ベルト610から剥離され易くなる。
剥離パッドニップ部N2の出口では、定着ベルト610は押圧面64bから外側面64cへと剥離パッド64に巻き付くように回動し、その進行方向が急激に変化する。これにより、記録用紙Pは、それ自身が有しているコシによって定着ベルト610から自然に剥離する。つまり、記録用紙Pは、剥離パッドニップ部N2を出た時点で定着ベルト610から安定的に分離される。
そして、定着ベルト610から分離された記録用紙Pは、排紙ガイド70を構成するバッフル板71によって定着ベルト610に沿った方向の移動が規制され、また、下面案内板72によって加圧ロール62の外周面に沿った方向の移動が規制され、剥離排紙通路70Aから排紙通路65を通り、排紙ロール66によって装置外に排出されるものである。
つぎに、排紙ガイド70について詳細に説明する。
[実施の形態1]
排紙ガイド70は、前述のごとく案内部材としての薄板状のバッフル板71と、同様に薄板状の下面案内板72とが、図中上下に所定の間隔で平行に配設されて、両者の間に定着作用が終了した記録用紙Pの移動通路である剥離排紙通路70Aを形成している。
バッフル板71は、定着ロール611の軸方向の長さと対応する長さで、記録用紙Pの移動方向に所定幅の薄板状である。そして、その下流側(図2および図3中右側)の基端部でベースプレート73によって支持され、先端を定着ベルト610の剥離パッド64によって経路が急変した部位の下流側に近接させて設けられている。
すなわち、図3に示すように、ニップ部Nの下流側において定着ベルト610と加圧ロール62とが成す剥離角θsを均等に二分する線より、定着ベルト610側の領域内にその先端を位置させて設けられている。なお、剥離角θsは、ニップ部Nの下流側において、ニップ部Nの出口(剥離パッドニップ部N2)の延長線(押圧面64bの延長線)と、剥離パッドニップ部N2より下流側の定着ベルト610とが成す角である。
バッフル板71の先端の縁は、対向する定着ベルト610の面と対応するように、斜めに形成されている。
ここで、定着ベルト610から剥離した記録用紙Pを確実に安定して剥離排紙通路70A内に導くために、バッフル板71は、その先端を定着ベルト610にできる限り近接させて設けることが好ましい。すなわち、定着ベルト610の表面とバッフル板71の先端の間隔(設置距離:D)は、できる限り小さく設定したいものである。
表1は、定着ベルト610から剥離した記録用紙Pを安定して剥離排紙通路70A内に導くことのできる設置距離:Dを、実験により確認した結果を示す。用いた記録用紙は最も剥離が困難な坪量:59g/mの中質コート紙である。表中、○は良好、△は希に案内不良が発生、×は案内不良が発生したものである。
Figure 2007233158
このように、記録用紙Pを安定して案内するためには、設置距離:Dを少なくとも0.4mm以下、望ましくは0.3mm以下とすべきであるとの結果が得られた。
しかし、バッフル板71の先端を定着ベルト610に近接させると、バッフル板71が定着ベルト610から多くの輻射熱を受けて熱膨張によって伸長し、定着ベルトを傷付けたり、波打ちを生じて画像不良を招来するといった不具合を生ずる虞が増大する。
このため、本実施の形態では、バッフル板71を熱膨張の少ない素材によって形成する。
このような素材としては、たとえば、Fe−34%Ni合金がある。これは、通称インバー合金と呼ばれ、その20℃〜100℃における線熱膨張係数は2×10−6/K以下であり、一般の鋼板(Fe)の線熱膨張係数が12×10−6/Kであるのに比較して極めて小さい。
このような素材を用いてバッフル板71を形成することで、鋼板によって形成されたものに比較して設置距離:Dを極めて小さく設定することができる。
一例として、バッフル板71の形状を、長さ350mm,幅40mm,厚さ0.2mmとして、温度が室温20℃から170℃に上昇すると想定した場合の熱膨張量を算出すると、
線熱膨張係数が17.3×10−6/KのSUS304(従来例)によって形成したものでは、
最大熱膨張量:ΔL=17.3×10−6/K×150×40=0.1mm
となる。
一方、
線熱膨張係数が2×10−6/Kのインバー合金(本願構成例)によって形成したものでは、
最大熱膨張量:ΔL=2×10−6/K×150×40=0.012mm
となる。
ここで、熱膨張係数の異なる素材によってバッフル板71を形成し、設置距離:Dを変化させて比較実験を行った。
表2には、バッフル板71を、線熱膨張係数が異なる複数種類のインバー合金によって形成したものと、線熱膨張係数が17.3×10−6/KのSUS304とによって形成した従来例とで、設置距離:Dを変化させて比較実験を行った結果を示す。なお、ここでの線熱膨張係数は、ASTM D696規格で100℃における数値である。
実験は常温から連続1000枚を1セットとしてこれを5セット行い(合計5000枚)、画像不良の発生や記録用紙の案内性能を評価した。表中○で示す距離では、定着ベルト610への接触や波打ちによる画像不良等の不具合を生ずることなく記録用紙を良好に案内することができた。
バッフル板71の試料は、長さ:350mm,幅:40mm,厚さ:0.2mmであり、後端でベースプレート73に固定ネジで締着して設置した。用いた記録用紙は坪量:59g/mの中質コート紙である。
Figure 2007233158
その結果、線熱膨張係数が17.3×10−6/Kである従来例は、設置間隔:Dが0.3mm以下では先端部の波打ちの発生によって設置不可となった。また、インバー合金であっても線熱膨張係数が7×10−6/K以上だと、設置間隔:Dが0.3mm以下で希に搬送不良が見られた。これに対して、線熱膨張係数が6×10−6/K以下では設置間隔が0.2mmまで問題なく設置可能であった。
これにより、線熱膨張係数が6×10−6/K以下のバッフル板71であれば、定着ベルト610への当接や画像不良を招来する波打ちを生ずることなく、その先端を定着ベルト610に0.2mm以下まで近接させて設置可能であることが確認できた。
このように、線熱膨張係数が6×10−6/K以下の素材でバッフル板71を形成することで、定着ベルト610に0.2mm以下まで近接させて設置することができ、種々の要因によって定着ベルト610からの剥離位置が異なっても、安定した経路で案内することができる。また、バッフル板71の先端と定着ベルト610の間に記録用紙Pを咬み込む虞も極めて少なくなるものである。
なお、バッフル板71の素材は、インバー合金に限るものではなく、線熱膨張係数が6×10−6/K以下のものであれば良い。たとえば、インバー合金のNiの一部をCoに置換したスーパーインバー合金や、低熱膨張鋳鉄のノビナイト(登録商標)等であっても良いものである。
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2を適用した定着装置600の概略構成を示す断面図である。なお、図中前述の実施の形態1と同じ構成部材には同符号を付して説明は省略する。
この実施の形態の排紙ガイド700は、基本的な全体構成は前述の実施の形態1の排紙ガイド70と同様であるが、その構成に加えてバッフル板71の温度を調整する温度調整手段としての温度調整機構80を備えている。そして、この温度調整機構80によってバッフル板71を所定の温度に維持し、定着作用中の熱膨張による変形に起因する不具合を防ぐものである。
温度調整機構80は、加熱手段としてのセラミックヒーター81と、冷却手段としてのペルチェ素子82と、放熱フィン83と、送風ファン84と、で構成されている。
セラミックヒーター81は、発熱体とセラミックとを所定厚さの板状に一体成形したもので、バッフル板71とその基端部を支持するベースプレート73の間に介設されている。そして、通電によって発熱し、バッフル板71を加熱することができるようになっている。
ペルチェ素子82は、所定厚さの板状で、通電によるゼーベック効果によって一方の面から吸熱し、他方の面から放熱するものである。そして、その吸熱面でベースプレート73の上面に装着されており、通電によってベースプレート73を介してバッフル板71を冷却することができるようになっている。
放熱フィン83は、アルミニウム等の熱伝導の良い素材によって、所定面積の基板上に複数のフィンが立設されて形成されている。そして、その基板でペルチェ素子82の放熱面に設けられている。
冷却ファン84は、モータ等によって回転駆動されるファンであって、放熱フィン83に向かって送風し、放熱を促進するように設けられている。
このように構成された温度調整機構80は、画像形成装置1の制御部40(図1参照)によって制御され、バッフル板71を所定温度に加熱または冷却する。
制御部40は、バッフル板71に設けられた図示しない温度センサによる検知温度情報に基づいて温度調整機構80を駆動し、バッフル板71を所定温度に制御する。
すなわち、制御部40は、画像形成装置1の電源が投入されると、通常制御として、定着装置600の各ヒーター類(ハロゲンヒータ616a,ハロゲンヒータ616b,ハロゲンヒータ616c)を制御して、加熱ロール(定着ロール611,張架ロール612,張架ロール613)を昇温させて定着ベルト610を所定温度とするウォームアップ(暖機制御)を行う。つまり、制御部40は、暖機制御手段としての機能も有している。そのウォームアップの際に、バッフル板71全体を略均一な所定温度に昇温させる。また、その後の定着作用中においては所定温度範囲に制御する。
そのバッフル板71の制御温度は、必要以上(120℃以上またはトナーの軟化点以上)に高いと、バッフル板71全体が均一温度であっても当接した記録用紙Pの画像に乱れを生ずる虞がある。このため、たとえば、80℃〜90℃とするのが望ましい。
なお、バッフル板71の先端と定着ベルト610との距離(設置間隔:D)は、熱膨張の伸長代を考慮して設定する。つまり、バッフル板71が所定温度に昇温した状態で、ニップ部Nを出た記録用紙Pを安定して案内することができる間隔(たとえば0.2mm)となるように設定する。
ここで、実験の結果、バッフル板71の熱膨張による伸長量が0.05mm以下であれば、波うちも起こらず記録用紙Pを良好に案内できることが確認された。
従って、熱膨張による伸長量が0.05mm以下となる範囲にバッフル板71の温度を制御すれば、安定した案内性能を維持できることになる。
たとえば、幅:40mmのバッフル板71を、線熱膨張係数が17.3×10−6/KのSUS304によって形成し、80℃〜120℃の範囲で温度制御すれば、
熱膨張量:ΔL=17.3×10−6/K×40×40=0.028mm
となって0.05mm以下となり、この条件を満足する。
このような構成の排紙ガイド700では、SUS等の一般的な素材によってバッフル板71を形成しても、ニップ部Nを出て定着ベルト610から剥離した記録用紙Pを安定した経路で案内することができると共に、バッフル板71の先端と定着ベルト610の間に記録用紙Pを咬み込む虞も極めて少ないものである。
なお、バッフル板71を温度制御する構成は、上記温度調整機構80の構成に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。たとえば、温度上昇の上限が限度内で定まれば、冷却手段(ペルチェ素子82)は必ずしも備えなくても良いものである。
[実施の形態3]
つぎに、バッフル板の支持構造に特徴を有する実施の形態について説明する。
図5は、本実施の形態における排紙ガイド90を概念的に示す図である。また、図6はその比較対象の作用説明図である。
図5に示す排紙ガイド90は、前述の実施の形態1および2と同様に、バッフル板91と、下面案内板92とが、所定の間隔を有して平行に配設されて、両者の間に剥離排紙通路90Aを形成している。
バッフル板91は、所定の厚さの金属板によって、先端が先細りに形成されている。そして、先端近傍の支点としての枢支軸94と、後端近傍の規制部材としての後端支持部材95とによって支持され、先端を定着ベルト610の剥離パッド64によって経路が急変した部位の下流側に近接させて設けられている。
枢支軸94は、バッフル板91の長手方向と平行(定着ベルト610の移動方向と直行する方向)に設けられており、これにより、バッフル板91は後端を上下させる方向に揺動可能となっている。
後端支持部材95は、バッフル板91の後端部の下側に設けられ、バッフル板91が下面案内板92と平行となるように支持している。
ここで、バッフル板91は、通常は後端が後端支持部材95によって支持された姿勢を保ち、下側(剥離排紙通路90A側)から所定以上の押圧力が作用すると枢支軸94を中心として揺動するように揺動抵抗が設定される。この揺動抵抗は、枢支軸94の嵌合公差による摺動抵抗によって設定することができる。また、バネや磁力を利用しても良いものである。
なお、これら枢支軸94と後端支持部材95は、剥離排紙通路90Aの内部を移動する記録用紙Pの障害とならない(当接することのない)ように、バッフル板91の左右の側縁部等の非通紙部に設けられるものである。
このような枢支軸94と後端支持部材95とによるバッフル板91の支持構造では、バッフル板91は、枢支軸94を中心として図中反時計回りには揺動可能であり、時計回りの揺動は後端支持部材95に妨げられるために不能となる。つまり、枢支軸94より先端側が定着ベルト610から離間する側には移動可能であるが、その逆の先端側が定着ベルト610に近接する側には移動不能となっている。
これにより、バッフル板91に下側(剥離排紙通路90A側)から上側に押圧する力が作用しても、バッフル板91は図中矢印で示すようにその先端が定着ベルト610から離間する側に揺動し、その逆(先端が定着ベルト610に当接する側)には揺動することがない。
たとえば、剥離排紙通路90A内の下流側で記録用紙Pが紙詰まりを生じ、排出できなくなった記録用紙Pが剥離排紙通路90A内で折り畳まれてバッフル板91を押し上げても、バッフル板91は図中矢印で示すようにその先端が定着ベルト610から離間する側に揺動することとなる。従って、バッフル板91の先端で定着ベルト610を傷付けることがないものである。このような支持構造が適用されていない場合には、図6に示すように紙詰まりを生じた記録用紙Pがバッフル板91を上方に押し上げ、その先端が定着ベルト610に当接して傷付けてしまう虞がある。
図7は、上記とは異なるバッフル板の支持構造の排紙ガイド900を示す概念図である。
図7に示すバッフル板91は、その先端近傍で移動許容支持部材96によって支持され、後端近傍で係合支持部材97によって支持されている。
移動許容支持部材96は、バッフル板91の延設方向に沿うスリット96Sを備えており、そのスリット96Sにバッフル板91の側縁を嵌合させて、バッフル板91を図中上下方向には移動不能であるが板面に沿った方向(記録用紙Pの排出方向に等しい)には移動可能に支持している。
係合支持部材97は、上面側に開放する嵌合溝97Aを備えており、上面でバッフル板91を支持している。その嵌合溝97Aには、バッフル板91の後縁部下面に突設された嵌合突起91Aが遊嵌し、バッフル板91の前後方向の移動を規制するようになっている。
また、バッフル板91の後端は、引っ張りバネ98で記録用紙Pの排出方向斜め下方側に向けて所定の力で引っ張り付勢されている。
つまり、先端側の移動許容支持部材96はバッフル板91を上下方向には移動不能且つ前後方向には移動可能に支持し、後端側の係合支持部材97はバッフル板91を前後方向には移動不能として支持しているものである。
なお、移動許容支持部材96、係合支持部材97および引っ張りバネ98等は、剥離排紙通路90Aの内部を移動する記録用紙Pの障害とならない(当接することのない)ように、バッフル板91の左右の側縁部等の非通紙部に設けられるものである。
このような構成では、嵌合突起91Aの嵌合溝97Aへの嵌合は、バッフル板91を引っ張りバネ98の付勢力に抗して上側に持ち上げることで解除される。嵌合突起91Aの嵌合溝97Aへの嵌合が解除されると、バッフル板91は引っ張りバネ98の付勢力で記録用紙Pの排出方向(図中右側)に移動する。
このような、バッフル板91の支持構造では、バッフル板91に、その下側(剥離排紙通路90A側)から上側に押圧する力が作用しても、バッフル板91はその先端が定着ベルト610から離間する方向に移動し、定着ベルト610に当接する方向に移動することはない。
たとえば、図7(b)に示すように、剥離排紙通路90A内の下流側で記録用紙Pが紙詰まりを生じ、排出できなくなった記録用紙Pが剥離排紙通路90A内で折り畳まれてバッフル板91を押し上げると、バッフル板91は図中矢印で示すように係合支持部材97との係合が外れて記録用紙Pの排出方向側に移動する。従って、バッフル板91がその先端で定着ベルト610を傷付けることがないものである。
なお、本実施の形態3におけるバッフル板の支持構造は、前述の実施の形態1,2のようにバッフル板71をベースプレート73(図2および図3参照)によって支持する構成のものにも適用可能である。その場合には、ベースプレート73を本実施の形態の支持構造によって支持するように構成すれば良いものである。
本実施の形態を適用した画像形成装置1の概略構成図である。 定着装置の概略構成を示す断面図である。 ニップ部の出口近傍の拡大断面図である。 実施の形態2を適用した定着装置の概略構成を示す断面図である。 実施の形態3における排紙ガイドを概念的に示す図である。 実施の形態3の比較対象の作用説明図である。 異なる構成の排紙ガイドの概念図である。
符号の説明
1…画像形成装置、1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット(トナー像形成手段)、20…二次転写部(転写手段)、40…制御部(暖機制御手段)、60…定着装置、610…定着ベルト(加熱部材,定着ベルト部材)、62…加圧ロール(加圧部材,加圧ロール部材)、64…剥離パッド(剥離部材)、70…排紙ガイド、71,91…バッフル板(案内部材)、73…ベースプレート、80…温度調整機構(温度調節手段)、81…セラミックヒーター(加熱手段)、82…ペルチェ素子(冷却手段)、94…枢支軸(支点)、95…後端支持部材(規制部材)、96…移動許容支持部材、97…係合支持部材、N…ニップ部、P…記録用紙(記録媒体)

Claims (14)

  1. 記録媒体に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    前記記録媒体を加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材に前記記録媒体を圧接させるニップ部を形成する加圧部材と、
    前記ニップ部から前記記録媒体が排出される下流側に前記加熱部材に先端を近接させて設けられ、当該記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、を備え、
    前記案内部材は、線熱膨張係数が6×10−6/K以下の素材で形成されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記案内部材は、インバー合金で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、
    前記加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記ニップ部の下流側の前記定着ベルト部材と前記定着ロール部材の間に介設され、当該定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて当該定着ベルト部材から前記記録媒体を剥離させる剥離部材を、さらに備えることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 記録媒体に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
    前記記録媒体を加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記ニップ部から前記記録媒体が排出される下流側に前記加熱部材に先端部を近接させて設けられ、当該記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、
    前記案内部材に対する前記記録媒体の作用による当該案内部材の先端部が前記加熱部材に向かう移動を規制する規制手段と、
    を備えることを特徴とする定着装置。
  6. 前記規制手段は、
    前記案内部材を前記先端部近傍で揺動可能に支持する支点と、
    前記先端部が前記加熱部材に近接する側への前記案内部材の揺動を規制する規制部材と、を備え、
    前記案内部材は、当該案内部材を前記加熱部材に向けて押圧する前記記録媒体の作用によって、前記先端部が当該加熱部材から離間する側に揺動するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記規制手段は、
    前記案内部材を前記記録媒体の排出方向に移動可能に支持する移動許容支持部材と、
    前記案内部材と係合して当該案内部材を前記排出方向に移動不能に支持する係合支持部材と、を備え、
    前記案内部材は、当該案内部材を前記加熱部材に向けて押圧する前記記録媒体の作用によって、前記係合支持部材による係合が外れて前記先端部が当該加熱部材から離間する側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  8. 前記加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、
    前記加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  9. 前記ニップ部の下流側の前記定着ベルト部材と前記定着ロール部材の間に介設され、当該定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて当該定着ベルト部材から前記記録媒体を剥離させる剥離部材を、さらに備えることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
    前記記録媒体上に転写されたトナー像を当該記録媒体上に定着する定着装置と、を備えて構成され、
    前記定着装置は、
    前記記録媒体を加熱する加熱部材と、
    前記加熱部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記ニップ部から前記記録媒体が排出される下流側に前記加熱部材に先端を近接させて設けられ、当該記録媒体の移動経路を規定する案内部材と、
    前記案内部材を加熱して所定温度に調節する温度調節手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 前記温度調節手段は、前記案内部材を冷却して所定温度に調整することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 電源投入後に、前記定着装置の前記加熱部材を昇温させる暖機制御を行う暖機制御手段をさらに備え、
    前記暖機制御手段は、前記暖機制御の際に前記温度調整手段を駆動して前記案内部材を所定温度に制御することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記加熱部材は定着ロール部材に回動可能に張架された定着ベルト部材であり、
    前記加圧部材は表面に弾性層を有する加圧ロール部材であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  14. 前記ニップ部の下流側の前記定着ベルト部材と前記定着ロール部材の間に介設され、当該定着ベルト部材を大きな曲率で屈曲させて当該定着ベルト部材から前記記録媒体を剥離させる剥離部材を、さらに備えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
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JP2011123372A (ja) * 2009-12-11 2011-06-23 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置および画像形成装置
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CN105988347A (zh) * 2015-03-19 2016-10-05 株式会社理光 定影出口导向板、定影设备以及图像形成装置

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