JP5267680B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

この発明は、リアクトルに関するものである。詳しくは、2つのコイルを並列に配置し、2つのU字型形状の鉄芯を、各コイル内にコイル両側からコイル軸心方向にそれぞれ挿通して対向させ、トラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルに関するものである。
従来より、ハイブリッド自動車の駆動制御システム等には、システムの電圧を昇圧させるため、例えば、特許文献1に開示されたようなリアクトルが搭載されている。図11は、特許文献1に開示されたリアクトルを説明する説明図である。
特許文献1のリアクトル110は、図11に示すように、コイル120と、鉄芯130とを有し、コイル120に流れる電流の状態が変化すると、鉄芯130に生成される磁気回路において、磁束密度の変化に伴ってインダクタンスが変化して、起電力が生じる。
ここで、例示した特許文献1のリアクトル110のような、従来のリアクトルの構造について、図12乃至図14を用いて詳細に説明する。図12は、従来のリアクトルの構造を一例として示す説明図である。図13は、図12に示すリアクトルの要部を概略的に示した図であり、図12中、C側から見た平面図である。図14は、図12中、D側から見た側面図である。
図12乃至図14に示すように、リアクトル210は、電気的に直列に接続した2つのコイル221,221を並列に配置し、2つのU字型形状の鉄芯230,230を、各コイル221内にコイル221両端からコイル軸心方向(図12中、右上−左下方向)にそれぞれ挿入して対向させ、ギャップ体235を挟んでトラック形状に繋ぎ合わされている。
捲回されたコイル221,221径内では、鉄芯230の両側の鉄芯挿入部230A,230Aが、コイル221との隙間を一定に保ちながらコイル221に沿うよう挿入されているが、コイル221のコイル軸心方向両側にあるコイルエンド(図13中、上下両側、図14中、左右両側)では、コイル軸心方向に対し、コイル221と鉄芯230とは対向していない。
リアクトル210では、鉄芯230と薄板とが一体成形され、この薄板の一部を屈曲変形させて形成されたステイ225が、ちょうど各コイル221のコイルエンド両端付近に4箇所設けられている。リアクトル210は、このステイ225の挿通孔225Hにボルトを挿通し、図示しない筐体に載置しボルト締めで筐体に固定される。
特開2007−180225号公報
しかしながら、特許文献1のように、従来のリアクトルでは、次の2つの問題があった。
(1)鉄芯が大型化する問題
(2)小型化した鉄芯の成形が困難である問題
これらの問題は、次の理由によって生じる。
(1)鉄芯が大型化する問題
図15は、従来のリアクトルの磁気回路における磁気経路を模式的に示した図であり、磁気経路と磁気飽和との関係を説明する説明図である。
リアクトルでは、磁場は、捲回されたコイルの径内側にある鉄芯本体、及びコイルと鉄芯との隙間のほか、コイルのコイルエンド付近で、コイル軸心方向に対し、コイルと隣接する部分まで及ぶ範囲にわたって、コイル周辺に生成される。
一方、リアクトルの特性上、コイルに流れる電流が増加すると、磁束密度も増加し、磁場が一定の強さになったところで、磁気飽和が起きる。通常、磁束密度は、電流値の増加に伴って、参照する図15に示すように、磁力線の経路MRがより短い磁気経路(最も太い矢印)からより長くなる磁気経路(最も細い矢印)に向けて徐々に満たされて飽和する。
従来のリアクトル210の鉄芯230では、コイル221径内に挿入されている鉄芯挿入部230A、及びコイル221外側で鉄芯挿入部230A,230A同士を繋ぐ鉄芯コイル外部230Bが、磁場に位置しており、磁気回路として利用されている。
しかしながら、この鉄芯230では、鉄芯コイル外部230Bが、図13及び図14に示すように、コイル軸心方向に対し、コイル221,221のコイルエンドと隣接する位置まで存在していない。本来、コイル221のコイルエンド付近で、コイル軸心方向に対し、コイル221、221と隣接する部分(以下、単に「コイルエンド隣接部」と称する。)Eの磁場も、磁気回路として利用できる範囲に属するが、図14及び図15に示すように、コイルエンド隣接部Eが、デッドスペースとなっている。
このようなコイルエンド隣接部Eがデッドスペースになっていると、リアクトルの作動時に、磁気回路上、磁気経路からより長くなる部分がより少なくなるため、コイルに流れる電流を増加させても、より低い電流値で磁気飽和が起きてしまい、所望の電圧値にまで昇圧できない。
この現象を回避するため、リアクトル210は、図15に示すように、U字型形状の鉄芯230において、その周長(全長)をより長く、断面積をより大きくして、鉄芯230全体の体積を大きくすることで、磁気経路MRがより長くなる長経路Rmを確保して、磁気飽和が起きる前に、所望の電圧値まで昇圧できるようになっていた。
しかしながら、リアクトル210は、2つのU字型形状の鉄芯230,230を、ギャップ体235を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせて形成しているため、1つの鉄芯230が大型化すると、リアクトル210全体が大きくなってしまい、スペース等上、問題となっていた。
(2)小型化した鉄芯の成形が困難である問題
鉄芯には、大別して、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯と、磁性を有する金属粉末を圧縮し一体的に固めて形成された圧粉鉄芯とがある。
前述した(1)の問題を解決するため、本出願人は、デッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部Eをも磁気回路に利用して、鉄芯230全体をより小型化することを、積層鋼板型鉄芯の場合と圧粉鉄芯の場合の両方の場合について、検討した。図16は、圧粉鉄芯の場合について検討した参考例に係るリアクトルの鉄芯を示す斜視図である。
まず、検討した鉄芯の形状について説明する。
鉄芯230,230は、参照する図13及び図14に示すように、U字型形状に形成されており、その両側の鉄芯挿入部230A,230Aが、コイル221,221内に挿入されている。コイル221外側でデッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部Eに相当する部分を、図16に示すように、鉄芯コイル332の外部の一部にしようとすると、鉄芯挿入部331の基準面P1,P2と鉄芯コイル外部332の基準面Q1,Q2との間に段差R1,R2が生じた3次元形状の鉄芯330が必要となる。
ところが、鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合には、従来の積層鋼板型鉄芯の成形で用いる通常の設備により、参照する図16に示すように、薄い鋼板を複数積層して、上述した3次元形状の鉄芯330を形成することは、技術的に困難である。また、仮に特殊な専用設備を用いて、そのような3次元形状の積層鋼板型鉄芯330が形成できたとしても、相当コスト高となるため、コイルエンド隣接部も磁気回路の一部とした積層鋼板鉄芯の実現は、かなり難しい。
一方、圧粉鉄芯は、積層鋼板型鉄芯と比べて低コストであり、鉄芯に多く用いられている。そのため、圧粉鉄芯についても、従来の圧粉鉄芯の成形方法と同様、ある程度の自由度がある型締めによる成形方法で、鉄芯挿入部331と鉄芯コイル外部332との間で段差R1,R2を有した3次元形状の鉄芯330を形成することを検討した。
すなわち、検討した鉄芯330は、図16に示すように、2つのコイル内に、コイル両側からコイル軸心方向にそれぞれ挿入される鉄芯挿入部331,331と、コイル片側で鉄芯挿入部331,331同士を繋ぐと共に、コイルエンド隣接部(図14中、E部参照)にも配置される鉄芯コイル外部332とからなる。この鉄芯330は、その全体を、圧粉により一体に成形したものである。
しかしながら、成形された鉄芯330を調査してみると、鉄芯コイル外部332のうち、特に角部332Cが所望とする機械的強度を満たさず、通常の圧粉鉄芯の成形を行っている成形設備を用いて、圧粉で鉄芯330を形成することは困難であることが分かった。その理由の一つとして、成形時に、型締めによる押圧力が、型締めされる圧粉に対し、角部332Cにまで均一に伝わらず、角部332Cでは金属粉末同士が十分な結合力で固められていないためと考えられる。
そこで、角部332Cの機械的強度が所望強度を満たすことができるよう、特殊な成形設備を用いて、鉄芯330を成形することも検討したが、圧粉で成形した鉄芯330は、結果的にコスト高になることも分かった。
前述したように、従来のリアクトルにおいて、デッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部をも磁気回路に利用して、鉄芯全体をより小型化することを、積層鋼板型鉄芯と圧粉鉄芯の両方の場合について、検討した。しかしながら、何れの鉄芯の場合についても、参照する図16に示すように、鉄芯挿入部331の基準面P1,P2と鉄芯コイル外部332の基準面Q1,Q2との間で段差R1,R2を有した3次元形状の鉄芯330を形成することは、技術的に困難である問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、性能を維持したまま、リアクトル全体を従来のリアクトルよりも小型化することができるリアクトルを提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するために、本発明の一態様におけるリアクトルは、次の構成を有している。
(1)電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、2つのコイルに対し、各コイルの径外側を樹脂でモールドして一体化されたモールドコイルと、U字型形状の鉄芯を2つ有し、コアとして、鉄芯の両側にある鉄芯挿入部を、各鉄芯ともそれぞれ、各コイル内にコイル片側からコイル軸心方向に挿入して対向させ、ギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルにおいて、モールドコイルは、略六面形状に形成されていること、鉄芯は、各コイル内に挿入した鉄芯挿入部の両側を、各コイルの外部で繋ぐ鉄芯コイル外部を有すること、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂に混在させた磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層が、鉄芯コイル外部の外面に形成されていること、モールドコイルには、締結部材と共に、当該リアクトルを支持する筐体に当該リアクトルを保持させて固定する締結部材保持部を備えていること、締結部材と締結部材保持部とにより、モールドコイルが、筐体から離間した状態で保持されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載するリアクトルにおいて、磁性金属含有樹脂層は、鉄芯コイル外部のうち、コイル軸心方向両端に位置する各コイルのコイルエンドで、コイルの径方向に沿う方向に対し、径外側に位置する部位に、少なくとも形成されていることが好ましい。
(3)(1)または(2)に記載するリアクトルにおいて、鉄芯では、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部とが同じ高さで形成されている一方、鉄芯コイル外部の断面積が鉄芯挿入部の断面積より小さく形成されていることが好ましい。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するリアクトルにおいて、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。
(5)(4)に記載するリアクトルにおいて、磁性金属含有樹脂が、鉄芯の鉄芯挿入部に被覆されていることが好ましい。
(6)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するリアクトルにおいて、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
(7)(1)に記載するリアクトルにおいて、締結部材保持部は、コイル軸心方向に沿うモールドコイルの厚み方向中央に設けられていることが好ましい。
(8)(7)に記載するリアクトルにおいて、締結部材保持部は、コイルの径方向にモールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、締結部材が、リアクトル保持部材の貫通孔に挿通して筐体と締結されることが好ましい。
(9)(8)に記載するリアクトルにおいて、リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイルと一体となっていることが好ましい。
上記構成を有する本発明のリアクトルの作用効果について説明する。
(1)上述態様のリアクトルでは、モールドコイルは、略六面形状に形成されていること、鉄芯は、各コイル内に挿入した鉄芯挿入部の両側を、各コイルの外部で繋ぐ鉄芯コイル外部を有すること、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂に混在させた磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層が、鉄芯コイル外部の外面に形成されているので、コイル径内にある鉄芯の鉄芯挿入部、及びコイル外側にある鉄芯の鉄芯コイル外部に位置する磁場が、磁気回路として利用できているほか、コイルのコイルエンド付近で、コイル軸心方向に対し、コイルと隣接する部分(以下、「コイルエンド隣接部」と称す。)に位置する磁場をも、磁性金属含有樹脂層が存在することで、磁気回路として有効に利用できるようになる。
すなわち、磁性金属含有樹脂に混在する金属粉末は、例えば、Feを主とするフェライト系の金属のほか、Zn、Mn等の金属、Fe−C系、Fe−Si系のFe基合金等からなる粉末であり、粉末の粒径が数μm〜数十μmの大きさとなっている。このような金属粉末は、磁性金属含有樹脂に、バインダ樹脂との重量比で、例えば、90%程度の割合で多量に含まれており、この磁性金属含有樹脂によって鉄芯コイル外部の外面に形成された磁性金属含有樹脂層は、透磁率が圧粉鉄芯より劣るものの、コアとして機能し磁気回路になり得る。
従って、リアクトルの作動時に、コイルエンド隣接部にも生成されている磁場に、磁性金属含有樹脂層が位置していることで、鉄芯のほか、その鉄芯コイル外部の外面に形成された磁性金属含有樹脂層が存在することで、磁気回路として有効に利用できるようになる。
よって、従来の鉄芯と同じ体積に相当する分の磁気回路を、上述態様の鉄芯及び磁性金属含有樹脂層で生成すると、磁性金属含有樹脂層の体積にほぼ相当する分、上述態様の鉄芯は、従来の鉄芯よりも小さくすることができる。
ひいては、従来のリアクトルの性能を維持したまま、各鉄芯の両側にある鉄芯挿入部を、それぞれのコイル内にコイル片側からコイル軸心方向に挿通して対向させ、ギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせた上述態様のリアクトルは、従来のリアクトルより小型化できる、という優れた効果を奏する。
(2)また、上述態様のリアクトルでは、磁性金属含有樹脂層は、鉄芯コイル外部のうち、コイル軸心方向両端に位置する各コイルのコイルエンドで、コイルの径方向に沿う方向に対し、径外側に位置する部位に、少なくとも形成されているので、磁性金属含有樹脂が、鉄芯コイル外部の外面を保護し、鉄芯において、少なくとも磁性金属含有樹脂で保護された部分で、割れ、欠け等の損傷の発生を抑制することができると共に、防錆ができる。
また、磁性金属含有樹脂による磁性金属含有樹脂層が、鉄芯コイル外部の外面に形成されているため、上述態様の鉄芯が、積層鋼板型鉄芯または圧粉鉄芯の場合に関わらず、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯及び磁性金属含有樹脂層により低コストで形成できる。
すなわち、鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合、従来、薄い鋼板を複数積層して、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部との間で段差を有した3次元形状の鉄芯を、参照する図16に示すように形成することは、技術的に相当困難を伴うと共に、コスト高を招き、コイルエンド隣接部を磁気回路の一部に利用した鉄芯の実現は、かなり困難であった。
これに対し、上述態様のリアクトルでは、上述態様の鉄芯が積層鋼板型鉄芯であっても、鉄芯は、従来の積層鋼板型鉄芯と同様の製造方法で製造できる上、磁性金属含有樹脂層は、鉄芯を構成する鋼板上に、例えば、接着材で固着する方法、射出成形により磁性金属含有樹脂と鉄芯とを一体成形する方法等、周知の製造方法で形成できる。
従って、上述態様のリアクトルでは、鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合でも、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯及び磁性金属含有樹脂層により低コストで形成できる。
一方、鉄芯が圧粉鉄芯である場合、従来の圧粉鉄芯と同様な成形方法で、参照する図16に示すように、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部との間で段差を有した3次元形状の鉄芯を形成すると、鉄芯コイル外部のうち、特に角部で所望とする機械的強度を満たさない問題があった。また、この角部の機械的強度が所望強度を満たすことができるよう、特殊な成形設備を用いて、鉄芯を成形することも検討したが、かえってコスト高になる問題があった。
これに対し、上述態様のリアクトルでは、鉄芯は、従来の圧粉鉄芯と同じ成形方法で成形できる上、例えば、接着材で固着する方法、射出成形により磁性金属含有樹脂と鉄芯とを一体成形する方法等により、成形後の鉄芯の鉄芯コイル外部と磁性金属含有樹脂層とが、一体的に密着できる。これにより、従来の鉄芯でデッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部をも、簡単に磁気回路の一部とすることができる。
従って、上述態様のリアクトルでは、鉄芯が圧粉鉄芯である場合でも、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯及び磁性金属含有樹脂層により低コストで形成できる。
しかも、鉄芯を圧粉鉄芯で構成し、コイルエンド隣接部に磁性金属含有樹脂層が形成されていても、上述態様の鉄芯を、従来の鉄芯よりも小さくすることができていることから、上述態様のリアクトルは、コスト高を抑えて製造することができる。
(3)また、上述態様のリアクトルによれば、鉄芯では、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部とが同じ高さで形成されている一方、鉄芯コイル外部の断面積が鉄芯挿入部の断面積より小さく形成されているので、コイル軸心方向に沿う方向に対し、上述態様のリアクトルの全長は、従来のリアクトルよりも短くできる。
ひいては、上述態様のリアクトルを、リアクトルの性能上、従来のリアクトルと同じ仕様で製造した場合、上述態様のリアクトルは、従来のリアクトルよりもコンパクトにできるため、スペースがより狭いところでも搭載できるようになる。
特に、上述態様のリアクトルを、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車等の駆動制御システム等に、そのシステムの電圧を昇圧させるために搭載する場合、上述態様のリアクトルが小型化していれば、このリアクトルを搭載するスペースの制約が小さくなるため、同じ仕様の当該リアクトルが、より多くの車種に搭載できるようになる。その結果、上述態様のリアクトルが、同じ仕様で大量生産できるようになり、上述態様のリアクトルは安価になる。
(4)また、上述態様のリアクトルでは、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、エポキシ樹脂であるので、エポキシ樹脂は、その特性上、別体の部材同士を結合させる接着性を有しているため、磁性金属含有樹脂に混在させる金属粉末を、例えば、重量比90%程度まで多量に含有させても、金属粉末同士を、バインダ樹脂を介して一体的に結合することができる。
また、バインダ樹脂をエポキシ樹脂にすることにより、磁性金属含有樹脂に多量の金属粉末が含有できるようになると、金属粉末は熱伝導率が高いため、磁性金属含有樹脂全体が、熱伝導率が高い物性となる。そのため、リアクトルの作動時に、モールドコイル内のコイルで発熱した熱は、鉄芯を介して熱伝導率の高い磁性金属含有樹脂に伝熱し易くなり、磁性金属含有樹脂から外部に効率良く放熱することができるようになる。
(5)また、上述態様のリアクトルでは、磁性金属含有樹脂が、鉄芯の鉄芯挿入部に被覆されているので、上述態様のリアクトルの製造工程において、ギャップ体を挟んで各鉄芯同士を繋ぎ合わせるとき、磁性金属含有樹脂に混在するエポキシ樹脂を、鉄芯とギャップ体とを固着させる接着剤として利用することができる。
すなわち、リアクトルでは、2つのU字型形状の鉄芯が、各コイル内にコイル両側からコイル軸心方向にそれぞれ挿入して対向させ、トラック形状に繋ぎ合わされているが、一般的に、向き合う鉄芯の鉄芯挿入部同士の間には、透磁率が鉄芯よりも小さいギャップ体が介在する。
従来のリアクトルでは、その製造工程において、ギャップ体を挟んで各鉄芯同士を繋ぎ合わせてコアを形成するときに、接着工程で、接着剤を別途用いて鉄芯とギャップ体とを接着炉内で固着させていた。
しかしながら、上述態様のリアクトルでは、このような接着炉が不要となり、鉄芯の鉄芯挿入部に被覆した磁性金属含有樹脂により、ギャップ体と鉄芯の鉄芯挿入部とが密着して固着できる。
また、鉄芯コイル外部に磁性金属含有樹脂層を形成するときに、鉄芯挿入部を磁性金属含有樹脂で覆って鉄芯コイル外部の保護対策を行えば、磁性金属含有樹脂で保護された鉄芯全体に対し、割れ、欠け等の損傷や、錆びの発生が抑制できる。
しかも、このような鉄芯の保護対策が、磁性金属含有樹脂層を鉄芯コイル外部の外面に形成するときに同時に実施できるので、鉄芯の保護対策にかかる生産性は従来の保護対策に比して向上し、結果的に鉄芯の保護対策に掛かるコストも低減することができる。
(6)また、上述態様のリアクトルでは、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、熱可塑性樹脂であるので、磁性金属含有樹脂層を鉄芯コイル外部の外面に形成する工程や、鉄芯挿入部を磁性金属含有樹脂で覆う工程等を、ハイサイクルで実施することができる。
従って、磁性金属含有樹脂層の形成、及び磁性金属含有樹脂による鉄芯挿入部の被覆に伴う生産性が高くなることから、上述態様のリアクトルのコストが低減できる。
なお、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)のほか、ナイロン、ポリアミド等の材料となるポリアミド樹脂等が挙げられる。
(7)また、上述態様のリアクトルでは、モールドコイルには、締結部材と共に、当該リアクトルを支持する筐体に当該リアクトルを保持させて固定する締結部材保持部を備えているので、リアクトルの作動時に鉄芯が振動し、この振動が起振源ではないモールドコイルに伝播しても、振動伝播は、モールドコイルのうち、樹脂によるモールド層で低減できる。
リアクトルの作動時では、コイルに流れる電流の状態が変化すると、磁束密度の変化により鉄芯間で作用する電磁吸引力と、各鉄芯で生じる磁歪とが生じて、双方の鉄芯が伸縮変位し振動する。
上述態様のリアクトルでは、このような振動の起振源ではないモールドコイルに、締結部材保持部を設けているので、鉄芯の振動がモールドコイルに伝播しても、振動伝播がモールドコイルのモールド層で低減された状態で、当該リアクトルが筐体に固定できる。
(8)また、上述態様のリアクトルでは、締結部材保持部は、コイル軸心方向に沿うモールドコイルの厚み方向中央に設けられているので、この位置に設けた締結部材保持部で当該リアクトルを筐体に保持させ、締結部材で固定すると、リアクトルの作動時に、鉄芯の振動が、モールドコイル、締結部材を介して筐体に伝播したとしても、筐体への振動伝播はより小さく抑えることができる。
すなわち、リアクトルの作動時には、前述したように、鉄芯同士が互いに伸縮変位して振動する。鉄芯には、大別して、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯と、圧粉で形成された圧粉鉄芯とがあり、圧粉鉄芯は、積層鋼板型鉄芯と比べて低コストであるため、鉄芯に多く用いられている。
その一方で、積層鋼板型鉄芯と圧粉鉄芯との機械的性質を比較してみると、圧粉鉄芯のヤング率は積層鋼板型鉄芯よりも小さく、圧粉鉄芯の共振周波数は、積層鋼板型鉄芯の共振周波数よりも低くなる。
鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合には、積層鋼板型鉄芯の共振周波数が、リアクトルの作動時に鉄芯が振動する駆動周波数(約10KHz)と、数KHz以上も離れているため、共振周波数の悪影響を受けて鉄芯が、大きく振動してしまうことはない。
ところが、鉄芯が圧粉鉄芯である場合には、リアクトルの作動時には、鉄芯の駆動周波数が、圧粉鉄芯の共振周波数に近づいてしまい、鉄芯が大きく振動する状態となってしまい、問題であった。
また、鉄芯の振動は、鉄芯が圧粉鉄芯または積層鋼板型鉄芯である場合に関わらず、主として、鉄芯同士が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動(縦振動)であり、振幅が最も大きい「腹」と、最も小さい「節」とを含んでいる。
特に、鉄芯が圧粉鉄芯である場合には、鉄芯が、その共振周波数に近い駆動周波数で振動し、振幅が最も大きい「腹」の位置に相当するところで、リアクトルが、それを支持する筐体に、締結部材で固定されていると、鉄芯による大きな振動が筐体に伝播してしまい、鉄芯の振動に起因した騒音が発生し問題となる。
これに対し、上述態様のリアクトルでは、モールドコイルの厚み方向中央は、2つの鉄芯による縦振動に対し、この振動の節に相当する位置となり、2つの鉄芯における磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
また、鉄芯が低コストの圧粉鉄芯で構成されている場合、鉄芯の駆動周波数がたとえ鉄芯の共振周波数の近くにあっても、モールドコイルの厚み方向中央では、鉄芯の振動はその振幅が最も小さくなっている。
そのため、締結部材と共に、モールドコイルの厚み方向中央に設けた締結部材保持部により、当該リアクトルを筐体に保持させて固定すると、リアクトルの作動時に、鉄芯の振動が、モールドコイル、締結部材を介して筐体に伝播したとしても、筐体への振動伝播はより小さく抑えることができる。
ひいては、リアクトルの作動時に生じる鉄芯の振動が筐体に伝播するのを低減できるため、この振動に起因する騒音を、より確かに抑制することができる。
(9)また、上述態様のリアクトルでは、締結部材保持部は、コイルの径方向にモールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、締結部材が、リアクトル保持部材の貫通孔に挿通して筐体と締結されるので、リアクトルの作動時に、鉄芯からリアクトル保持部材、締結部材を介して筐体に伝わる振動伝播も小さく抑えることができる。従って、この振動伝播に起因した、筐体と締結する締結部材の緩みが抑制され、リアクトルと筐体とが、長期間、安定した締結力でしっかりと固定できる。
(10)また、上述態様のリアクトルでは、リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイルと一体となっているので、モールドコイル内のコイルで発熱した熱は、モールドコイルのモールド層を介して熱伝導率の大きいリアクトル保持部材に伝熱し易くなり、リアクトル保持部材から外部に効率良く放熱することができる。
本発明に係るリアクトルでは、性能を維持したまま、リアクトル全体を従来のリアクトルよりも小型化することができる。
実施例1,2に係るリアクトルを示す斜視図である。 図1中、A−A矢視断面図である。 実施例1,2に係るリアクトルの要部を示す斜視図であり、モールド層を除いた状態で示した図である。 図3に示すリアクトルの要部を、Z方向から見た平面図であり、磁性金属含有樹脂の部分を除いた状態を示す図である。 実施例1,2に係るリアクトルを示す分解斜視図であり、磁性金属含有樹脂層及び鉄芯保護層を除いた状態を示す説明図である。 実施例1,2に係るリアクトルのモールドコイルを示す図であり、図5中、B−B矢視断面図である。 実施例1,2に係るリアクトルの磁気回路において、磁気経路と磁気飽和との関係を説明するイメージ図である。 鉄芯等について、その材質とB−H特性との関係を示すグラフである。 実施例1,2に係るリアクトルを含む駆動制御システムの構造の一例を概略的に示すブロック図である。 図9中、PCUの主要部を示す回路図である。 特許文献1に開示されたリアクトルの固定構造を説明する説明図である。 従来のリアクトルを一例として示す説明図である。 図12に示すリアクトルの要部を概略的に示した図であり、図12中、C側から見た平面図である。 図13と同様の図であり、図12中、D側から見た側面図である。 従来のリアクトルに係る磁気回路の磁気経路を模式的に示した図であり、磁気経路と磁気飽和との関係を説明する説明図である。 圧粉鉄芯の場合について検討した参考例に係るリアクトルの鉄芯を示す斜視図である。
以下、本発明の一態様におけるリアクトルについて、実施例1,2を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1,2に係るリアクトルは、ハイブリッド自動車の駆動制御システムにおいて、バッテリの電圧値から、モータジェネレータに印加する電圧値まで昇圧させる目的で搭載されている。
そこで、はじめに駆動制御システムの構成について説明した後、実施例に係るリアクトルについて説明する。
まず、駆動制御システムについて、図9及び図10を用いて説明する。
図9は、実施例1,2に係るリアクトルを含む駆動制御システムの構造の一例を概略的に示すブロック図である。図10は、図9中、PCUの主要部を示す回路図である。
駆動制御システム1は、図9に示すように、PCU2(Power Control Unit)と、モータジェネレータ6と、バッテリ7と、端子台8と、ハウジング71と、減速機構72と、ディファレンシャル機構73と、ドライブシャフト受け部74等とから構成されている。
次に、PCU2について、図10を用いて説明する。
PCU2は、図10に示すように、コンバータ3と、インバータ4と、制御装置5と、コンデンサC1,C2と、出力ライン6U,6V,6Wとを含む。
コンバータ3は、バッテリ7とインバータ4との間に接続され、インバータ4と電気的に並列に接続されている。インバータ4は、出力ライン6U,6V,6Wを介してモータジェネレータ6と接続されている。
バッテリ7は、例えば、ニッケル水素、リチウムイオン電池等の二次電池であり、直流電流を介してコンバータ3に供給すると共に、コンバータ3から流れる直流電流によって充電される。
コンバータ3は、パワートランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2と、後に詳述するリアクトル10とからなる。パワートランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2,PL3間に直列に接続され、制御装置5の制御信号をベースに供給する。ダイオードD1,D2は、それぞれパワートランジスタQ1,Q2のエミッタ側からコレクタ側へ電流が流れるよう、パワートランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間に接続されている。
リアクトル10は、その一端を、バッテリ7の正極と接続する電源ラインPL1に接続し、パワートランジスタQ1,Q2の接続点に他端を接続して配置されている。
コンバータ3は、リアクトル10によりバッテリ7の直流電圧を昇圧し、昇圧後の電圧で直流電圧を電源ラインPL2に供給する。また、コンバータ3は、インバータ4から受ける直流電圧を降圧してバッテリ7に充電する。
インバータ4は、U相アーム4U、V相アーム4V及びW相アーム4Wからなる。各相アーム4U,4V,4Wは、電源ラインPL2,PL3間に並列に接続される。U相アーム4Uは、直列に接続されたパワートランジスタQ3,Q4からなり、V相アーム4Vは、直列に接続されたパワートランジスタQ5,Q6からなり、W相アーム4Wは、直列に接続されたパワートランジスタQ7,Q8からなる。ダイオードD3乃至D8は、それぞれパワートランジスタQ3乃至Q8のエミッタ側からコレクタ側へ電流が流れるよう、パワートランジスタQ3乃至Q8のコレクタ−エミッタ間にそれぞれ接続されている。各相アーム4U,4V,4Wにおいて各パワートランジスタQ3乃至Q8の接続点は、出力ライン6U,6V,6Wを介してモータジェネレータ6の各U相,V相,W相の反中性点側にそれぞれ接続されている。
このインバータ4は、制御装置5の制御信号に基づいて、電源ラインPL2に流れる直流電流を交流電流に変換してモータジェネレータ6に出力する。また、インバータ4は、モータジェネレータ6で発電された交流電流を整流して直流電流に変換し、変換した直流電流を電源ラインPL2に供給する。
コンデンサC1は、電源ラインPL1,PL3間に接続され、電源ラインPL1における電圧レベルを平滑化する。また、コンデンサC2は、電源ラインPL2,PL3間に接続され、電源ラインPL2における電圧レベルを平滑化する。
制御装置5は、モータジェネレータ6の回転子の回転角度、モータトルク指令値、モータジェネレータ6のU相、V相及びW相における電流値、インバータ4の入力電圧に基づいて、モータジェネレータ6のU相、V相及びW相におけるコイル電圧を演算する。また、制御装置5は、その演算結果に基づいて、パワートランジスタQ3乃至Q8をオン/オフするPWM(Pulse Width Modulation)を生成して、インバータ4へ出力する。
また、制御装置5は、インバータ4の入力電圧を最適にするため、パワートランジスタQ1,Q2のデューティ比を、上述したモータトルク指令値、及びモータ回転数に基づいて演算し、その演算結果に基づいて、パワートランジスタQ1,Q2のオン/オフを行うPWM信号を生成してコンバータ3へ出力する。
さらに、制御装置5は、モータジェネレータ6で発電された交流電流を直流電流に変換してバッテリ7に充電させるため、コンバータ3及びインバータ4においてパワートランジスタQ1乃至Q8のスイッチング動作を制御する。
上記構成を有するPCU2では、コンバータ3は、制御装置5の制御信号に基づいて、バッテリ7の電圧を昇圧させ、昇圧後の電圧を電源ラインPL2に印加する。コンデンサC1は、電源ラインPL2にかかる電圧を平滑化し、インバータ4は、コンデンサC1により平滑化された直流電圧を、交流電圧に変換してモータジェネレータ6に出力する。
その一方で、インバータ4は、モータジェネレータ6の回生で発電された交流電圧を、直流電圧に変換して電源ラインPL2に出力する。コンデンサC2は、電源ラインPL2にかかる電圧を平滑化し、コンバータ3は、コンデンサC2により平滑化された直流電圧を降圧してバッテリ7に充電する。
(実施例1)
次に、本実施例に係るリアクトルについて、図1乃至図6を用いて説明する。
図1は、本実施例に係るリアクトルを示す斜視図であり、筐体への取付けを説明する説明図である。図2は、図1中、A−A矢視断面図である。図3は、本実施例に係るリアクトルの要部を示す斜視図であり、モールド層を除いた状態を示す図である。図4は、図3に示すリアクトルの要部を、Z方向から見た平面図であり、磁性金属含有樹脂の部分を除いた状態を示す図である。図5は、本実施例に係るリアクトルを示す分解斜視図であり、磁性金属含有樹脂層及び鉄芯保護層を除いた状態で示した説明図である。図6は、本実施例に係るリアクトルのモールドコイルを示す図であり、図5中、B−B矢視断面図である。
なお、本実施例では、以下、図1に図示するX方向及びZ方向を、コイルの径方向とし、Y方向を、コイル軸心方向及びモールドコイルの厚み方向とする。図2以降の図面に示すX方向、Y方向及びZ方向は、図1に図示するX方向、Y方向及びZ方向に準じる。
本実施例に係るリアクトル10は、図1に示すように、当該リアクトル10を支持する筐体60と、ボルト50(締結部材)によるネジ締結で固定される。
筐体60は、例えば、アルミ鋳造等の金属からなり、リアクトル10の配置スペースに合わせて形成された所定形状の筐体本体部と、この筐体本体部と離れる側(図1中、Z方向上側)に突出した筐体締結部61,61を2つ有している。各筐体締結部61,61には、ボルト50と螺合する雌ネジが形成されている。
リアクトル10は、図1及び図2に示すように、リアクトル本体部11、リアクトル保持部材25、磁性金属含有樹脂層33、及び鉄芯保護層34等とからなる。さらに、リアクトル本体部11は、モールドコイル20と、2つのU字型形状の鉄芯30と、2枚のギャップ体35とからなる。
はじめに、リアクトル本体部11について説明する。
モールドコイル20は、図2乃至図6に示すように、電気的に直列に接続する2つのコイル21,21を並列に配置し、この2つのコイル21,21に対し、各コイル21の径外側全体を、エポキシ樹脂等でモールドされたモールド層20Mで一体成形されており、略六面形状に形成されている。
モールドコイル20は、各コイル21,21の径内側にある貫通部に、後述する鉄芯30の鉄芯挿入部31がそれぞれ挿入されるようになっており、モールド層20Mには、コイル21,21内に挿入された鉄芯挿入部31を固定させる凸部22が、各コイル21,21の径内に向けて突出した形状で形成されている。
モールドコイル20の貫通部には、例えば、厚みがt=2mm程度のセラミック板等、非磁性体の材料からなる板状のギャップ体35が、モールドコイル20の厚み方向Yの中央位置に、それぞれ配設されている。
また、モールドコイル20は、2本のボルト50と共に、リアクトル10を支持する筐体60にリアクトル10を保持させて固定する締結部材保持部として、リアクトル保持部材25を備えている。
リアクトル保持部材25は、図1及び図6に示すように、リアクトル10の筐体60への固定時にある程度のバネ力を持ってリアクトル10を固定できるよう、バネ性を備えた金属板をコの字状に屈曲させ、屈曲したその両端部を、さらに90°折り曲げて変形させた形状で形成されている。リアクトル保持部材25は、コイル21の軸心方向Yに沿うモールドコイル20の厚み方向Y中央に設けられ、コイル21の径方向Xにモールドコイル20を跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイル20の外側となる位置に、貫通孔25H,25Hを各側1つ有している。リアクトル保持部材25は、その一方側表面に、例えば、アンダーカット、エンボス等の加工が施されており、インサート成形によりモールドコイル20と一体となっている。
リアクトル10は、2本のボルト50を、リアクトル保持部材25の貫通孔25H,25Hに挿通し、筐体60の各筐体締結部61,61の雌ネジと締結させて、筐体60に固定される。
次に、鉄芯30について説明する。
鉄芯30は、本実施例では、磁性を有する金属粉末を圧縮し一体的に固めて形成された圧粉鉄芯である。鉄芯30は、2つ有し、図3及び図5に示すように、それぞれU字型形状に形成されている。各鉄芯30は、両側先端側にある鉄芯挿入部31,31と、モールドコイル20の各コイル21,21内に挿入した両側の鉄芯挿入部31,31を各コイル21の外部で繋ぐ鉄芯コイル外部32と、を有している。
各鉄芯30では、鉄芯挿入部31,31及び鉄芯コイル外部32の断面が略長方形状であり、鉄芯挿入部31,31と鉄芯コイル外部32とが同じ高さで形成されている一方、鉄芯コイル外部32の断面積が各鉄芯挿入部31の断面積より小さく形成されている。
具体的には、図4に示すように、鉄芯コイル外部32におけるX方向に沿う第2外面32bとY方向に沿う第1外面32aとが直角に形成されており、鉄芯コイル外部32のY方向に対する厚みt2が、鉄芯挿入部31のX方向に対する厚みt1よりも小さくなっている。
すなわち、この鉄芯挿入部31の厚みt1は、参照する図13に示す従来の鉄芯挿入部230Aの厚みs1と同じであるものの、鉄芯コイル外部32の厚みt2は、従来の鉄芯コイル外部230Bの厚みs2よりも小さくなっている。
各鉄芯30には、磁性金属含有樹脂層33が、図1、図2及び図4に示すように、鉄芯コイル外部32のうち、コイル軸心方向Yの両端に位置する各コイル21のコイルエンド21E,21Eで、コイル21の径方向Xに沿う方向に対し、コイル21の径外側に位置する第1外面32aに、この第1外面32aと密着して形成されている。すなわち、磁性金属含有樹脂層33は、各コイル21のコイルエンド21E,21Eと対向した位置に配置されている。磁性金属含有樹脂層33は、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂に混在させた磁性金属含有樹脂からなる。
バインダ樹脂は、本実施例では、エポキシ樹脂である。また、金属粉末は、例えば、Feを主とするフェライト系の金属のほか、Zn、Mn等の金属、Fe−C系、Fe−Si系のFe基合金等からなる粉末であり、粉末の粒径が数μm〜数十μmの大きさとなっている。磁性金属含有樹脂は、このような金属粉末を、エポキシ樹脂との重量比で、例えば、90%程度の割合で多量に含ませて構成されている。
また、各鉄芯コイル外部32の第2外面32bには、鉄芯保護層34が、磁性金属含有樹脂で形成されている。鉄芯保護層34は、1つの鉄芯30で隣り合う磁性金属含有樹脂層33,33と一続きとなっており、磁性金属含有樹脂層33よりも厚みが小さく、第2外面32bに密着して被覆されている。
また、鉄芯保護層34と同様、鉄芯コイル外部32の第2外面32bと同一面上にある鉄芯挿入部31の第1外面31a、及び四方の第1外面31aと繋がり、ギャップ体35との当接面となる第2外面31bにも、磁性金属含有樹脂が被覆されている。
ところで、鉄芯コイル外部32において、第1外面32aと第2外面32bとが直角になっていると、そのままの状態では、本来、両面の角部での機械的強度が十分でない虞がある。しかしながら、本実施例のリアクトル10では、第1外面32aに磁性金属含有樹脂層33が、第2外面32bに鉄芯保護層34が、それぞれ密着して形成されているため、第1外面32aと第2外面32bとの角部が機械的に脆くなっておらず、このような角部での欠け等の損傷は生じない。
本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂層33、鉄芯保護層34、及び磁性金属含有樹脂による第1,第2外面31a,31bの被覆層が形成された2つの鉄芯30,30と、2枚のギャップ体35,35とが、コアとして構成されている。そして、鉄芯30の鉄芯挿入部31,31を、各鉄芯30ともそれぞれ、各コイル21内にコイル片側からコイル軸心方向Yに挿入して対向させ、ギャップ体35,35を挟んで、2つの鉄芯30,30がトラック形状に繋ぎ合われている。
2つの鉄芯30,30とギャップ体35,35とは、本実施例では、鉄芯30の鉄芯挿入部31の第1外面31aに被覆された磁性金属含有樹脂に含むバインダ樹脂、すなわちエポキシ樹脂により接着され、密着した状態で固着されている。
次に、リアクトル10の組付けについて説明した後、リアクトル10の筐体60への固定について説明する。
まず、リアクトル10の組付けでは、モールドコイル20の貫通部に、それぞれギャップ体35,35を挿入し、モールドコイル20の厚み方向Yの中央位置にそれぞれ配置する。次いで、鉄芯30の鉄芯挿入部31,31側を、各鉄芯30とも、モールドコイル20の各コイル21,21内に、コイル21,21片端からコイル21の軸心方向Yにそれぞれ挿入して対向させ、ギャップ体35を鉄芯30,30間に挟んで、鉄芯30,30をトラック形状に繋ぎ合わせる。
具体的には、一方側の鉄芯30の鉄芯挿入部31,31を、モールドコイル20の一方側にある2つの貫通部から各コイル21の径内側に挿入する。挿入した鉄芯挿入部31,31の第2外面31b,31bをギャップ体35の一方側板面に当接して密着させ、この第2外面31b,31bを被覆した磁性金属含有樹脂に含むエポキシ樹脂(バインダ樹脂)で、鉄芯30とギャップ体35とを固着する。
同様に、他方側の鉄芯30の鉄芯挿入部31,31を、モールドコイル20の他方側にある2つの貫通部から各コイル21,21の径内側に挿入する。挿入した鉄芯挿入部31,31の第2外面31b,31bをギャップ体35の他方側板面に当接して密着させ、この第2外面31b,31bを被覆した磁性金属含有樹脂に含むバインダ樹脂で、鉄芯30とギャップ体35とを固着する。
モールドコイル20の両側から挿入された4つの鉄芯挿入部31は、モールドコイル20のモールド層20Mの凸部22で弾力的に保持し固定されているので、特にギャップ体35との接着直後でも、モールドコイル20に安定して取付けられる。
かくして、参照する図3に示すように、ギャップ体35が介在したトラック形状の鉄芯30,30が、モールドコイル20にある2つのコイル21,21を挿通し、樹脂モールドの図示が省略された状態のリアクトル本体部11、すなわちリアクトル10が得られる。
その後、図3に示す状態のリアクトル本体部11を樹脂成形型内にセットし、磁性金属含有樹脂を注入して、コイル21,21及び鉄芯コイル外部32,32に対し、完全にオーバーモールドすることにより、参照する図1に示すように、磁性金属含有樹脂層33と鉄芯保護層34とが形成される。
次いで、リアクトル10の筐体60への固定では、図1に示すように、筐体60の筐体締結部61,61間に、リアクトル10のモールドコイル20本体部(リアクトル本体部11のコイル21及びギャップ体35が位置する部分)を配置し、リアクトル保持部材25の両端部を筐体締結部61,61上に載置する。載置後には、リアクトル10のモールドコイル20本体部は、筐体60から離間しており、モールドコイル20と筐体60との間に隙間が形成されている。この状態で、2本のボルト50,50を、リアクトル保持部材25の貫通孔25H,25Hに挿通し、各ボルト50,50をそれぞれ筐体締結部61,61と螺合させ、リアクトル保持部材25と筐体締結部61,61とを締結する。
かくして、リアクトル10が、2本のボルト50,50で筐体60に固定される。
前述した構成を有する本実施例に係るリアクトル10の作用効果について説明する。
図7は、本実施例に係るリアクトルの磁気回路において、磁気経路と磁気飽和との関係を説明するイメージ図である。図8は、鉄芯等を構成する材質とB−H特性との関係を示すグラフである。
本実施例のリアクトル10では、モールドコイル20は、略六面形状に形成されていること、鉄芯30は、各コイル21内に挿入した鉄芯挿入部31,31の両側を、各コイル21,21の外部で繋ぐ鉄芯コイル外部32を有すること、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂(エポキシ樹脂)に混在させた磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層33が、鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成されているので、コイル21径内にある鉄芯30の鉄芯挿入部31,31、及びコイル21外側にある鉄芯30の鉄芯コイル外部32に位置する磁場が、磁気回路として利用できているほか、コイル21のコイルエンド21E付近で、コイル軸心方向Yに対し、コイル21と隣接する部分(以下、「コイルエンド隣接部」と称す。)に位置する磁場をも、磁性金属含有樹脂層33が存在することで、参照する図7に示すように、磁気回路として有効に利用できるようになる。
すなわち、磁性金属含有樹脂に混在する金属粉末は、例えば、Fe、Zn、Mn等を主とするフェライト系の金属のほか、Fe−C系、Fe−Si系のFe基合金等からなる粉末であり、粉末の粒径が数μm〜数十μmの大きさとなっている。このような金属粉末は、磁性金属含有樹脂に、バインダ樹脂との重量比で、例えば、90%程度の割合で多量に含まれており、この磁性金属含有樹脂によって鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成された磁性金属含有樹脂層33は、図8に示すように、透磁率が圧粉鉄芯より劣るものの、コアとして機能し磁気回路になり得る。
ここで、一般的なリアクトルの特性について説明する。
一般的なリアクトルには、直流重畳特性があり、コアにギャップ体を設けていないと、コイルに流れる直流電流の電流値が低いときに、インダクタンスが大きく得られるが、電流値が大きくなると、インダクタンスは急激に低下してしまう。その結果、低い電流値で磁気飽和が起きてしまい、所望の電圧値にまで昇圧することができない。
この現象を避けるため、透磁率が鉄芯よりも小さいギャップ体が、鉄芯同士の間に挟まれている。ギャップ体があると、電流値が低いときには、インダクタンスは、ギャップ体がない場合に比べて小さくなるが、インダクタンスが低下し始める直流バイアス電流値が、ギャップ体がない場合に比べて大きくなる傾向にある。すなわち、インダクタンスは、ギャップ体がない場合と異なり、コイルに流れる電流の電流値が低いときから高くなるまで、ほぼ横ばいに推移した後、徐々に減少する。そのため、磁気飽和が起きる電流値も高く、所望の電圧値まで昇圧に必要な電流値に対しても、磁気飽和は起きない。
磁気飽和は、リアクトルの特性上、コイルに流れる電流が増加すると、磁束密度も増加し、磁場が一定の強さになったところで起きる。通常、磁束密度は、電流値の増加に伴って、参照する図7に示すように、磁力線の経路MRがより短い磁気経路(最も太い矢印)からより長くなる磁気経路(最も細い矢印)に向けて徐々に満たされて飽和する。
ここで、従来のリアクトル210の磁気回路と本実施例のリアクトル10の磁気回路とを、図7及び図15を用いて対比する。
従来のリアクトル210の鉄芯230では、コイルエンド隣接部Eがデッドスペースになっている分、鉄芯230において、その周長(全長)をより長く、断面積をより大きくして、鉄芯230全体の体積を大きくすることで、磁気経路MRがより長くなる長経路Rmが確保されていた。
これに対し、本実施例のリアクトル10では、その磁気回路が、特性上、従来のリアクトル210の磁気回路と同じであっても、図15に示す磁気経路MRがより長くなる長経路Rmに代えて、磁力線の経路MRがより長くなる長経路(最も細い矢印)(長経路Rn)が、磁性金属含有樹脂層33を通じて確保されている。
すなわち、本実施例では、リアクトル10は、ハイブリッド自動車の駆動制御システムにおいて、バッテリの電圧値から、モータジェネレータに印加する電圧値まで昇圧させる目的で搭載される。リアクトル10には、磁性金属含有樹脂層33が、鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成されている。
鉄芯には、大別して、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯と、磁性を有する金属粉末を圧縮し一体的に固めて形成された圧粉鉄芯とがあり、本実施例のリアクトル10では、このような圧粉鉄芯である鉄芯30の鉄芯コイル外部32の第1外面32aに、磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層33が形成されている。
その一方で、積層鋼板、圧粉及び磁性金属含有樹脂について、それぞれの透磁率を比較してみると、積層鋼板、圧粉、磁性金属含有樹脂の順に、非磁性体が混在する割合が多くなるために、この順で透磁率も小さくなる。また、前述したように、コアに、透磁率が鉄芯より小さいギャップ体を設けていないと、低い電流値で磁気飽和が起きてしまい、所望の電圧値にまで昇圧することができない。
従来のリアクトル210の磁気回路における磁気経路MRのうち、長経路Rmに代えて、本実施例のリアクトル10では、磁気経路MRがより長くなる長経路Rnが、図7に示すように、磁性金属含有樹脂層33に確保されている。この磁性金属含有樹脂層33の存在によっても、磁気飽和が起きる前に、リアクトル10は、所望の電圧値まで昇圧できるようになっている。
従って、磁気飽和が起きる電流値も高く、所望とする高電圧値まで昇圧に必要な電流値に対しても、磁気飽和が起きず、ハイブリッド自動車や電機自動車等の駆動制御システムの昇圧に適したリアクトル10を得ることができる。
このように、リアクトル10の作動時に、参照する図14及び図15に示すように、従来のリアクトル210でデッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部Eに相当するコイルエンド隣接部にも生成されている磁場に、磁性金属含有樹脂層33が位置していることで、鉄芯30のほか、その鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成された磁性金属含有樹脂層33が、磁気回路として有効に利用できるようになる。
よって、ギャップ体35のほか、参照する図13及び図4に示すように、従来の鉄芯230と同じ体積に相当する分の磁気回路を、本実施例の鉄芯30,30及び磁性金属含有樹脂層33で生成すると、磁性金属含有樹脂層33の総体積にほぼ相当する分、鉄芯30,30は、従来の鉄芯230,230よりも小さくすることができる。
ひいては、従来のリアクトル210の性能を維持したまま、本実施例のリアクトル10は、従来のリアクトル210より小型化できる、という優れた効果を奏する。
また、本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂層33は、鉄芯コイル外部32のうち、コイル軸心方向Y両端に位置する各コイル21のコイルエンド21E,21Eで、コイル21の径方向Yに沿う方向に対し、コイル21の径外側に位置するコイルエンド隣接部に、形成されているので、磁性金属含有樹脂が、鉄芯コイル外部32の第1外面32aを保護し、鉄芯30において、磁性金属含有樹脂で保護された鉄芯保護層34、及び磁性金属含有樹脂が被覆された鉄芯挿入部31の第1外面31a部分で、割れ、欠け等の損傷の発生を抑制することができると共に、防錆ができる。
また、磁性金属含有樹脂による磁性金属含有樹脂層33が、鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成されているため、鉄芯30が、積層鋼板型鉄芯または圧粉鉄芯の場合に関わらず、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯30及び磁性金属含有樹脂層33により低コストで形成できる。
すなわち、本実施例のリアクトル10とは異なり、鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合、従来、薄い鋼板を複数積層して、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部との間で段差を有した3次元形状の鉄芯を、参照する図16に示すように形成することは、技術的に相当困難を伴うと共に、コスト高を招き、コイルエンド隣接部を磁気回路の一部に利用した鉄芯の実現は、かなり困難であった。
これに対し、本実施例のリアクトル10では、鉄芯30が積層鋼板型鉄芯であっても、鉄芯30は、従来の積層鋼板型鉄芯と同様の製造方法で製造できる上、磁性金属含有樹脂層33は、鉄芯30を構成する鋼板上に、例えば、接着材で固着する方法、射出成形により磁性金属含有樹脂と鉄芯とを一体成形する方法等、周知の製造方法で形成できる。
従って、本実施例のリアクトル10では、鉄芯30が積層鋼板型鉄芯である場合でも、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯30及び磁性金属含有樹脂層33により低コストで形成できる。
他方、鉄芯30が圧粉鉄芯である場合、従来の圧粉鉄芯と同様な成形方法で、参照する図16に示すように、鉄芯挿入部と鉄芯コイル外部との間で段差を有した3次元形状の鉄芯を形成すると、鉄芯コイル外部のうち、特に角部で所望とする機械的強度を満たさない問題があった。また、この角部の機械的強度が所望強度を満たすことができるよう、特殊な成形設備を用いて、鉄芯を成形することも検討したが、かえってコスト高になる問題があった。
これに対し、本実施例のリアクトル10では、鉄芯30は、従来の圧粉鉄芯と同じ成形方法で成形できる上、例えば、接着材で固着する方法、射出成形により磁性金属含有樹脂と鉄芯とを一体成形する方法等により、成形後の鉄芯30の鉄芯コイル外部32と磁性金属含有樹脂層33とが、一体的に密着できる。これにより、従来の鉄芯230でデッドスペースとなっていたコイルエンド隣接部Eをも、簡単に磁気回路の一部とすることができる。
従って、本実施例のリアクトル10では、鉄芯30が圧粉鉄芯である場合でも、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁気回路の一部として有効に利用したコアが、鉄芯及び磁性金属含有樹脂層により低コストで形成できる。
しかも、鉄芯30を圧粉鉄芯で構成し、コイルエンド隣接部に磁性金属含有樹脂層33が形成されていても、鉄芯30を、従来の鉄芯230よりも小さくすることができていることから、リアクトル10は、コスト高を抑えて製造することができる。
また、本実施例のリアクトル10によれば、鉄芯30では、鉄芯挿入部31と鉄芯コイル外部32とが同じ高さで形成されている一方、鉄芯コイル外部32の断面積が鉄芯挿入部31の断面積より小さく形成されているので、参照する図4及び図13に示すように、コイル軸心方向Yに沿う方向に対し、リアクトル10の全長Lは、従来のリアクトル210の全長L0(L0<L)よりも短くできる。
ひいては、本実施例のリアクトル10を、リアクトルの性能上、従来のリアクトル210と同じ仕様で製造した場合、リアクトル10は、従来のリアクトル210よりもコンパクトにできるため、スペースがより狭いところでも搭載できるようになる。
特に、本実施例のリアクトル10を、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車等の駆動制御システム等に、そのシステムの電圧を昇圧させるために搭載する場合、リアクトル10が小型化していれば、このリアクトル10を搭載するスペースの制約が小さくなるため、同じ仕様の当該リアクトル10が、より多くの車種に搭載できるようになる。その結果、本実施例のリアクトル10が同じ仕様で大量生産できるようになり、リアクトル10は安価になる。
また、本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、エポキシ樹脂であるので、エポキシ樹脂は、その特性上、別体の部材同士を結合させる接着性を有しているため、磁性金属含有樹脂に混在させる金属粉末を、例えば、重量比90%程度まで多量に含有させても、金属粉末同士を、バインダ樹脂を介して一体的に結合することができる。
また、バインダ樹脂をエポキシ樹脂にすることにより、磁性金属含有樹脂に多量の金属粉末が含有できるようになると、金属粉末は熱伝導率が高いため、磁性金属含有樹脂全体が、熱伝導率が高い物性となる。そのため、リアクトル10の作動時に、モールドコイル20内のコイル21,21で発熱した熱は、鉄芯30,30を介して熱伝導率の高い磁性金属含有樹脂に伝熱し易くなり、磁性金属含有樹脂から外部に効率良く放熱することができるようになる。
また、本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂が、各鉄芯30の鉄芯挿入部31,31の第1,第2外面31a,31bに被覆されているので、リアクトル10の製造工程において、ギャップ体35を挟んで各鉄芯30,30同士を繋ぎ合わせるとき、磁性金属含有樹脂に混在するエポキシ樹脂を、鉄芯30とギャップ体35とを固着させる接着剤として利用することができる。
すなわち、リアクトルでは、2つのU字型形状の鉄芯が、各コイル内にコイル両側からコイル軸心方向にそれぞれ挿入して対向させ、トラック形状に繋ぎ合わされているが、一般的に、向き合う鉄芯の鉄芯挿入部同士の間には、透磁率が鉄芯よりも小さいギャップ体が介在する。
従来のリアクトル210では、その製造工程において、ギャップ体235を挟んで各鉄芯230同士を繋ぎ合わせてコアを形成するときに、接着工程で、接着剤を別途用いて鉄芯230とギャップ体235とを接着炉内で固着させていた。
しかしながら、本実施例のリアクトル10では、このような接着炉が不要となり、鉄芯30の鉄芯挿入部31,31に被覆した磁性金属含有樹脂により、ギャップ体35と鉄芯30の鉄芯挿入部31とが密着して固着できる。
また、鉄芯コイル外部32に磁性金属含有樹脂を形成するときに、鉄芯挿入部31を磁性金属含有樹脂で覆って鉄芯コイル外部32の保護対策を行えば、磁性金属含有樹脂で保護された鉄芯30全体に対し、割れ、欠け等の損傷や、錆びの発生が抑制できる。
しかも、このような鉄芯30の保護対策が、磁性金属含有樹脂層を鉄芯コイル外部32の第1,第2外面32a,32bに形成するときに同時に実施できるので、鉄芯30の保護対策にかかる生産性は従来の保護対策に比して向上し、結果的に鉄芯30の保護対策に掛かるコストも低減することができる。
また、本実施例のリアクトル10では、モールドコイル20には、ボルト50と共に、当該リアクトル10を支持する筐体60に当該リアクトル10を保持させて固定する締結部材保持部25(リアクトル保持部材25)を備えているので、リアクトル10の作動時に鉄芯30が振動し、この振動が起振源ではないモールドコイル20に伝播しても、振動伝播は、モールドコイル20のうち、樹脂によるモールド層20Mで低減できる。
リアクトル10の作動時では、コイル21に流れる電流の状態が変化すると、磁束密度の変化により鉄芯30,30間で作用する電磁吸引力と、各鉄芯30で生じる磁歪とが生じて、双方の鉄芯30,30が伸縮変位し振動する。
本実施例のリアクトル10では、このような振動の起振源ではないモールドコイル20に、締結部材保持部25を設けているので、鉄芯30の振動がモールドコイル20に伝播しても、振動伝播がモールドコイル20のモールド層20Mで低減された状態で、当該リアクトル10が筐体60に固定できる。
また、本実施例のリアクトル10では、締結部材保持部25は、コイル軸心方向Yに沿うモールドコイル20の厚み方向Y中央に設けられているので、この位置に設けた締結部材保持部25で当該リアクトル10を筐体60に保持させ、ボルト50で固定すると、リアクトル10の作動時に、鉄芯30の振動が、モールドコイル20、ボルト50を介して筐体60に伝播したとしても、筐体60への振動伝播はより小さく抑えることができる。
すなわち、リアクトルの作動時には、前述したように、鉄芯同士が互いに伸縮変位して振動する。鉄芯には、大別して、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯と、圧粉で形成された圧粉鉄芯とがあり、圧粉鉄芯は、積層鋼板型鉄芯と比べて低コストであるため、鉄芯に多く用いられている。
その一方で、積層鋼板型鉄芯と圧粉鉄芯との機械的性質を比較してみると、圧粉鉄芯のヤング率は積層鋼板型鉄芯よりも小さく、圧粉鉄芯の共振周波数は、積層鋼板型鉄芯の共振周波数よりも低くなる。
鉄芯が積層鋼板型鉄芯である場合には、積層鋼板型鉄芯の共振周波数が、リアクトルの作動時に鉄芯が振動する駆動周波数(約10KHz)と、数KHz以上も離れているため、共振周波数の悪影響を受けて鉄芯が、大きく振動してしまうことはない。
ところが、鉄芯が圧粉鉄芯である場合には、リアクトルの作動時には、鉄芯の駆動周波数が、圧粉鉄芯の共振周波数に近づいてしまい、鉄芯が大きく振動する状態となってしまい、問題であった。
また、鉄芯の振動は、鉄芯が圧粉鉄芯または積層鋼板型鉄芯である場合に関わらず、主として、鉄芯同士が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動(縦振動)であり、振幅が最も大きい「腹」と、最も小さい「節」とを含んでいる。
特に、鉄芯が圧粉鉄芯である場合には、鉄芯が、その共振周波数に近い駆動周波数で振動し、振幅が最も大きい「腹」の位置に相当するところで、リアクトルが、それを支持する筐体に、締結部材で固定されていると、鉄芯による大きな振動が筐体に伝播してしまい、鉄芯の振動に起因した騒音が発生し問題となる。
これに対し、本実施例のリアクトル10では、モールドコイル20の厚み方向Y中央は、2つの鉄芯30,30による縦振動に対し、この振動の節に相当する位置となり、2つの鉄芯30,30における磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
また、本実施例のように、鉄芯30が低コストの圧粉鉄芯で構成されている場合、鉄芯30の駆動周波数がたとえ鉄芯30の共振周波数の近くにあっても、モールドコイル20の厚み方向Y中央では、鉄芯30の振動はその振幅が最も小さくなっている。
そのため、ボルト50と共に、モールドコイル20の厚み方向中央Yに設けた締結部材保持部25により、当該リアクトル10を筐体60に保持させて固定すると、リアクトル10の作動時に、鉄芯30の振動が、モールドコイル20、ボルト50を介して筐体60に伝播したとしても、筐体60への振動伝播はより小さく抑えることができる。
ひいては、リアクトル10の作動時に生じる鉄芯30の振動が筐体60に伝播するのを低減できるため、この振動に起因する騒音を、より確かに抑制することができる。
また、本実施例のリアクトル10では、締結部材保持部25は、コイル21の径方向Xにモールドコイル20を跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイル20の外側となる位置に、貫通孔25H,25Hを有するリアクトル保持部材25であり、ボルト50が、リアクトル保持部材25の貫通孔25H,25Hに挿通して筐体60と締結されるので、リアクトル10の作動時に、鉄芯30からリアクトル保持部材25、ボルト50を介して筐体60に伝わる振動伝播も小さく抑えることができる。従って、この振動伝播に起因した、筐体60と締結するボルト50,50材の緩みが抑制され、リアクトル10と筐体60とが、長期間、安定した締結力でしっかりと固定できる。
また、本実施例のリアクトル10では、リアクトル保持部材25は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイル20と一体となっているので、モールドコイル20内のコイル21,21で発熱した熱は、モールドコイル20のモールド層20Mを介して熱伝導率の大きいリアクトル保持部材25に伝熱し易くなり、リアクトル保持部材25から外部に効率良く放熱することができる。
(実施例2)
以下、実施例2について、参照する図1、図2及び図4を用いて説明する。
実施例1のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂層33及び鉄芯保護層34を形成すると共に、鉄芯挿入部31の第1,第2外面31a,31bを被覆した磁性金属含有樹脂に混在するバインダ樹脂を、エポキシ樹脂とした。
これに対し、本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂に混在するバインダ樹脂を、エポキシ樹脂に代えて、熱可塑性樹脂とした。
よって、実施例1と実施例2とは、バインダ樹脂の材質が異なるが、それ以外の部分は、実施例1と同様である。
従って、図面の符号は実施例1と同じ符号を使用し、実施例1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
本実施例では、各鉄芯30には、磁性金属含有樹脂層33が、図1、図2及び図4に示すように、鉄芯コイル外部32のうち、コイル軸心方向Yの両端に位置する各コイル21のコイルエンド21E,21Eで、コイル21の径方向Xに沿う方向に対し、コイル21の径外側に位置する第1外面32aに、この第1外面32aと密着して形成されている。すなわち、磁性金属含有樹脂層33は、各コイル21のコイルエンド21E,21Eと対向した位置に配置されている。磁性金属含有樹脂層33は、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂に混在させた磁性金属含有樹脂からなる。
また、各鉄芯コイル外部32の第2外面32bには、鉄芯保護層34が、磁性金属含有樹脂で形成されている。鉄芯保護層34は、1つの鉄芯30で隣り合う磁性金属含有樹脂層33,33と一続きとなっており、磁性金属含有樹脂層33よりも厚みが小さく、第2外面32bに密着して被覆されている。また、鉄芯保護層34と同様、鉄芯挿入部31の第1外面31aも、磁性金属含有樹脂で被覆されている。
磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、何れも熱可塑性樹脂であり、本実施例では、ポリフェニレンサルファイド(PPS)としている。
但し、本実施例のリアクトル10では、鉄芯30の鉄芯挿入部31の第2外面31bと、ギャップ体35の板面とは、エポキシ樹脂等の接着材で固着されている。
前述した構成を有する本実施例に係るリアクトル10の作用効果について説明する。
実施例1と同様、本実施例のリアクトル10でも、モールドコイル20は、略六面形状に形成されていること、鉄芯30は、各コイル21内に挿入した鉄芯挿入部31,31の両側を、各コイル21,21の外部で繋ぐ鉄芯コイル外部32を有すること、磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂(PPS)に混在させた磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層33が、鉄芯コイル外部32の第1外面32aに形成されているので、参照する図7に示すように、コイル21径内にある鉄芯30の鉄芯挿入部31,31、及びコイル21外側にある鉄芯30の鉄芯コイル外部32に位置する磁場が、磁気回路として利用できているほか、コイルエンド隣接部に位置する磁場をも、磁性金属含有樹脂層33が存在することで、磁気回路として有効に利用できるようになる。
よって、ギャップ体35のほか、参照する図13及び図4に示すように、従来の鉄芯230と同じ体積に相当する分の磁気回路を、本実施例の鉄芯30,30及び磁性金属含有樹脂層33で生成すると、磁性金属含有樹脂層33の総体積にほぼ相当する分、鉄芯30,30は、従来の鉄芯230,230よりも小さくすることができる。
ひいては、従来のリアクトル210の性能を維持したまま、各鉄芯30の両側にある鉄芯挿入部31,31を、それぞれのコイル21内にコイル片側からコイル軸心方向Yに挿通して対向させ、ギャップ体35,35を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトル10は、従来のリアクトル210より小型化できる、という優れた効果を奏する。
また、本実施例のリアクトル10では、磁性金属含有樹脂のバインダ樹脂は、PPSであるので、磁性金属含有樹脂層33を鉄芯コイル外部31の第1外面32aに形成する工程や、鉄芯挿入部31を磁性金属含有樹脂で覆う工程等を、ハイサイクルで実施することができる。
従って、磁性金属含有樹脂層33の形成、及び磁性金属含有樹脂による鉄芯挿入部31の被覆に伴う生産性が高くなることから、本実施例のリアクトル10のコストが低減できる。
なお、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)のほか、ナイロン、ポリアミド等の材料となるポリアミド樹脂等が挙げられる。
以上において、本発明の一態様を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上記実施例1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施例1,2では、鉄芯30を圧粉鉄芯としたが、鉄芯は、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯であっても良い。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、鉄芯を保護すると共に、性能を維持したまま、リアクトル全体を従来のリアクトルよりも小型化することができるリアクトルを提供することができる。
10 リアクトル
20 モールドコイル
21 コイル
21E コイルエンド
25 リアクトル保持部材
25H 貫通孔
30 鉄芯
31 鉄芯挿入部
32 鉄芯コイル外部
32a 第1外面(外面)
33 磁性金属含有樹脂層
50 ボルト(締結部材)
60 筐体
X,Z コイルの径方向
Y コイル軸心方向、モールドコイルの厚み方向

Claims (9)

  1. 電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、前記2つのコイルに対し、前記各コイルの径外側を樹脂でモールドして一体化されたモールドコイルと、U字型形状の鉄芯を2つ有し、コアとして、前記鉄芯の両側にある鉄芯挿入部を、前記各鉄芯ともそれぞれ、前記各コイル内に前記コイル片側からコイル軸心方向に挿入して対向させ、ギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルにおいて、
    前記モールドコイルは、略六面形状に形成されていること、
    前記鉄芯は、前記各コイル内に挿入した前記鉄芯挿入部の両側を、前記各コイルの外部で繋ぐ鉄芯コイル外部を有すること、
    磁性を有する金属粉末をバインダ樹脂に混在させた磁性金属含有樹脂からなる磁性金属含有樹脂層が、前記鉄芯コイル外部の外面に形成されていること、
    前記モールドコイルには、締結部材と共に、当該リアクトルを支持する筐体に当該リアクトルを保持させて固定する締結部材保持部を備えていること、
    前記締結部材と前記締結部材保持部とにより、前記モールドコイルが、前記筐体から離間した状態で保持されていること、
    を特徴とするリアクトル。
  2. 請求項1に記載するリアクトルにおいて、
    前記磁性金属含有樹脂層は、前記鉄芯コイル外部のうち、前記コイル軸心方向両端に位置する前記各コイルのコイルエンドで、前記コイルの径方向に沿う方向に対し、径外側に位置する部位に、少なくとも形成されていることを特徴とするリアクトル。
  3. 請求項1または請求項2に記載するリアクトルにおいて、
    前記鉄芯では、前記鉄芯挿入部と前記鉄芯コイル外部とが同じ高さで形成されている一方、前記鉄芯コイル外部の断面積が前記鉄芯挿入部の断面積より小さく形成されていることを特徴とするリアクトル。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するリアクトルにおいて、
    前記磁性金属含有樹脂の前記バインダ樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とするリアクトル。
  5. 請求項4に記載するリアクトルにおいて、
    前記磁性金属含有樹脂が、前記鉄芯の前記鉄芯挿入部に被覆されていることを特徴とするリアクトル。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するリアクトルにおいて、
    前記磁性金属含有樹脂の前記バインダ樹脂は、熱可塑性樹脂であることを特徴とするリアクトル。
  7. 請求項1に記載するリアクトルにおいて、
    前記締結部材保持部は、前記コイル軸心方向に沿う前記モールドコイルの厚み方向中央に設けられていることを特徴とするリアクトル。
  8. 請求項に記載するリアクトルにおいて、
    前記締結部材保持部は、前記コイルの径方向に前記モールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだ前記モールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、
    前記締結部材が、前記リアクトル保持部材の前記貫通孔に挿通して前記筐体と締結されることを特徴とするリアクトル。
  9. 請求項に記載するリアクトルにおいて、
    前記リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形により前記モールドコイルと一体となっていることを特徴とするリアクトル。
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