JP5598088B2 - リアクトルの固定構造 - Google Patents

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Description

この発明は、リアクトルの固定構造に関するものである。詳しくは、作動時に、リアクトルを支持する筐体に振動の伝播を抑制したリアクトルの固定構造に関するものである。
従来より、例えば、ハイブリッド自動車の駆動制御システム等には、システムの電圧を昇圧させるリアクトルが搭載されている。
リアクトルは、電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、2つのU字形状のコアを、各コイル内にコイル両端からコイル軸心方向にそれぞれ挿通して対向させ、ギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたものである。
リアクトルには、直流重畳特性があり、ギャップ体を設けていないと、コイルに流れる直流電流の電流値が低いときに、インダクタンスが大きく得られるが、電流値が大きくなると、インダクタンスは急激に低下してしまう。その結果、低い電流値で磁気飽和が起きてしまい、所望の電圧値にまで昇圧することができない。
この現象を避けるため、透磁率がコアよりも小さいギャップ体が、コア同士の間に挟まれている。ギャップ体があると、電流値が低いときには、インダクタンスは、ギャップ体がない場合に比べて小さくなるが、インダクタンスが低下し始める直流バイアス電流値が、ギャップ体がない場合に比べて大きくなる傾向にある。すなわち、インダクタンスは、ギャップ体がない場合と異なり、コイルに流れる電流の電流値が低いときから高くなるまで、ほぼ横ばいに推移した後、徐々に減少する。そのため、磁気飽和が起きる電流値も高く、所望の電圧値まで昇圧に必要な電流値に対しても、磁気飽和は起きない。
このようなリアクトルは、アルミニウム等の金属製の筐体に支持させボルト締めで固定されている。
図13は、従来のリアクトルを一例として示す斜視図であり、筐体に固定する構造を説明するための説明図である。
図13に示すように、リアクトル210では、2つのU字形状のコア230,230がコイル220,220の径内で、ギャップ体235を介在させて繋ぎ合わさっており、このコア230,230と一体成形された薄板状のステイ225が、各コイル220のコイルエンド両端付近に4箇所設けられている。リアクトル210は、ステイ225の挿通孔225Hにボルトを挿通し、図示しない筐体に載置しボルト締めで筐体に固定される。
しかしながら、図13に示すようなリアクトルでは、コイルに流れる電流の状態が変化すると、磁束密度の変化によりコア間で作用する電磁吸引力と、各コアで生じる磁歪とが生じて、双方のコアが伸縮変位し振動する。その結果、この振動が筐体へと伝播して、騒音が発生する。
特に、図13に例示したリアクトル210では、ステイ225は、薄板を折り曲げて形成されているため、剛性が低く、コア230の振動によりステイ225そのものも低周波数で共振し易いため、騒音が発生し易い状態になっていた。
このような振動や騒音を抑制するため、例えば、特許文献1に記載されたリアクトルの固定構造が開発されている。図14は、特許文献1に開示されたリアクトルの固定構造を説明する説明図である。
特許文献1のリアクトル310は、コア330を圧粉鉄芯で形成している。特許文献1のリアクトルの固定構造では、図14に示すように、コイル320及びコア330とPCUケース360との間に樹脂部341を介在させることにより、リアクトル310とPCUケース360とを離間させ、板バネ340で、リアクトル310周囲を覆った樹脂部341をPCUケース360に押圧して、リアクトル310がPCUケース360に固定されている。
特開2007−180225号公報
しかしながら、特許文献1のように、従来のリアクトルでは、コアの振動時に、変位(振幅)が大きい振動が筐体に伝播し易い状態で、リアクトルが筐体に固定されていたため、コアの振動や、これに伴う騒音の抑制が十分にできていない問題があった。
この問題は、次の理由によって生じる。
コアには、大別して、薄い鋼板を複数積層して形成された積層鋼板型鉄芯と、圧粉で形成された圧粉鉄芯とがある。圧粉鉄芯は、積層鋼板型鉄芯と比べて低コストであるため、コアに多く用いられている。
その一方で、積層鋼板型鉄芯と圧粉鉄芯との機械的性質を比較してみると、圧粉鉄芯のヤング率は積層鋼板型鉄芯よりも小さく、圧粉鉄芯の共振周波数は、積層鋼板型鉄芯の共振周波数よりも低くなる。
コアが積層鋼板型鉄芯で形成されている場合には、積層鋼板型鉄芯の共振周波数が、リアクトルの作動時にコアが振動する駆動周波数(約10KHz)と、数KHz以上も離れているため、共振周波数の悪影響を受けてコアが、大きく振動してしまうことはない。
ところが、コアが圧粉鉄芯で形成されていると、コアの駆動周波数が、圧粉鉄芯の共振周波数に近づいてしまい、リアクトルの作動時にコアが大きく振動する状態となっていた。
また、コアの振動は、主として、コア同士が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動(縦振動)であり、振幅が最も大きい「腹」と、最も小さい「節」とを含んでいる。
特許文献1では、コア330が圧粉鉄芯で形成されている上、参照する図14に示すように、板バネ340が、コア330の縦振動方向(図14中、左右方向)にリアクトル310を跨いでPCUケース360に固定されている。
そのため、樹脂部341を介在させ、リアクトル310とPCUケース360とを離間させても、振幅が最も大きい「腹」を含む大きな振動が、コア330の共振周波数に近い周波数で、樹脂部341を介して板バネ340、PCUケース360にまで伝播してしまう。特に、静粛性に優れたハイブリッド自動車では、駆動周波数10KHz近傍のコアの振動がPCUケース360等に伝播して生じた騒音は、乗車人にとって不快な音であり、コアの振動に起因した騒音が十分に抑制できていなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、リアクトルの作動時に生じる振動が筐体に伝播するのを低減し、この振動に起因した騒音を抑制することができるリアクトルの固定構造を提供することを目的とする。
上記の問題点を解決するために、本発明のリアクトルの固定構造は、次の構成を有している。
(1)電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、圧粉鉄芯で形成された2つのU字型形状のコアを、各コイル内に前記コイル両端からコイル軸心方向にそれぞれ挿通して対向させ、コア間にギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルを、該リアクトルを支持する筐体に、締結部材で固定させるリアクトルの固定構造において、2つのコイルに対し、各コイルの径外側を樹脂でモールドして一体化したモールドコイルが、六面形状に形成され、モールドコイルには、コイル軸心方向に沿う当該モールドコイルの厚み方向中央に、締結部材を貫通孔に挿通して保持する締結部材保持部が形成されていること、締結部材保持部は、コア同士が互いに向き合う方向の振動における節に相当する位置に配置されていること、筐体と、モールドコイルにおけるコイルが配置されるモールドコイル本体部との間に隙間が形成されていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するリアクトルの固定構造において、締結部材保持部は、各コイルの径方向に沿うモールドコイルの幅方向に突出すると共に、モールドコイルと一体で成形されていることを特徴とする。
(3)(2)に記載するリアクトルの固定構造において、締結部材保持部の貫通孔と締結部材との間には、金属製のカラーが介在し、カラーは、インサート成形によりモールドコイルと一体となっていることを特徴とする。
(4)(1)に記載するリアクトルの固定構造において、締結部材保持部は、モールドコイルの厚み方向中央で、コイルの径方向にモールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、締結部材が、リアクトル保持部材の貫通孔を挿通して筐体と締結していることを特徴とする。
(5)(4)に記載するリアクトルの固定構造において、リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイルと一体となっていることを特徴とする。
上記構成を有する本発明のリアクトルの固定構造の作用効果について説明する。
本発明のリアクトルの固定構造では、電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、圧粉鉄芯で形成された2つのU字型形状のコアを、各コイル内にコイル両端からコイル軸心方向にそれぞれ挿通して対向させ、コア間にギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルを、該リアクトルを支持する筐体に、締結部材で固定させるリアクトルの固定構造において、2つのコイルに対し、各コイルの径外側を樹脂でモールドして一体化したモールドコイルが、六面形状に形成され、モールドコイルには、コイル軸心方向に沿う当該モールドコイルの厚み方向中央に、締結部材を貫通孔に挿通して保持する締結部材保持部が形成されているので、モールドコイルの厚み方向中央は、2つのコアが互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動に対し、この振動の節に相当する位置となり、2つのコアにおける磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
また、コアが低コストの圧粉鉄芯で構成され、コアの駆動周波数がたとえコアの共振周波数の近くにあっても、モールドコイルの厚み方向中央では、コアの振動はその振幅が最も小さくなっている。そのため、このモールドコイルの厚み方向中央に設けた結部材保持部の貫通孔に、締結部材を挿通して筐体と締結することで、コアの振動が、モールドコイル、締結部材を介して筐体に伝播したとしても、筐体への振動伝播はより小さく抑えることができる。
従って、リアクトルの作動時に生じるコアの振動が筐体に伝播するのを低減できているため、この振動に起因する騒音を、より確かに抑制することができる、という優れた効果を奏する。特に、静粛性に優れたハイブリッド自動車では、コアによる駆動周波数10KHz近傍の振動が筐体等に伝播して生じた騒音は、人にとって不快な音であり、このような騒音が抑制できる。
また、本発明のリアクトルの固定構造では、締結部材保持部は、各コイルの径方向に沿うモールドコイルの幅方向に突出すると共に、モールドコイルと一体で成形されているので、リアクトルと筐体との締結箇所を、従来のリアクトルの固定構造に比して少なくできる。
また、剛性の高いモールドコイルに締結部材保持部を一体に設けたことで、リアクトルと筐体との締結剛性を、従来の締結剛性よりも高くすることができ、従来、固定部材そのものが低い共振周波数で振動すること、及びこの振動に起因して発生していた騒音を抑止することができる。
すなわち、従来のリアクトルの固定構造では、1つのコアにつき、2つの薄板状のステイがコアと一体成形されており、2つのコアに計4つのステイを設けて、これらのステイを筐体に締結部材で締結させて、リアクトルを筐体に固定していた。
これに対し、本発明のリアクトルの固定構造では、例えば、モールドコイルの幅方向両側に締結部材保持部を2つ設ければ、リアクトルと筐体との締結箇所を従来よりも少ない2つにすることができ、リアクトル全体をコンパクトにすることができる上、コストも低減できる。
さらに、コアが圧粉鉄芯で形成されているため、リアクトルの作動時には、コアの駆動周波数がコアの共振周波数に近くある状態の下、従来のリアクトルの固定構造では、リアクトルを筐体に固定するための固定部材として、薄板状のステイ、板バネ等、何れも剛性が低い固定部材を用いていた。
しかしながら、固定部材の剛性を低くし、リアクトルと筐体との締結剛性を低くして、コアの振動が筐体に伝播するのを低減させようとしても、固定部材そのものが低い周波数で共振してしまい、固定部材によるこの共振に起因した騒音が抑制できていなかった。
これに対し、本発明のリアクトルの固定構造では、剛性の高い締結部材保持部で、その貫通孔から締結部材を挿通してリアクトルと筐体とを固定させるため、リアクトルと筐体との締結剛性が高くなっている。そのため、従来、固定部材そのものが低い共振周波数で振動し、この振動に起因した騒音も発生しない。
また、本発明のリアクトルの固定構造では、締結部材保持部の貫通孔と締結部材との間には、金属製のカラーが介在し、カラーは、インサート成形によりモールドコイルと一体となっているので、モールドコイルと筐体とを締結する締結部材の締結力が、金属製のカラーを介して作用するようになる。
そのため、締結部材でモールドコイルと筐体とが締結されていても、樹脂製の締結部材保持部にクリープが経時的に発生せず、締結部材保持部に生じるクリープに起因した締結部材による締結力の低下を防止することができている。
また、本発明のリアクトルの固定構造では、締結部材保持部は、モールドコイルの厚み方向中央で、コイルの径方向にモールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、締結部材が、リアクトル保持部材の貫通孔を挿通して筐体と締結しているので、リアクトルの作動時に、コアからリアクトル保持部材、締結部材を介して筐体に伝わる振動伝播も小さく抑えることができている。そのため、この振動伝播に起因した、筐体と締結する締結部材の緩みが抑制され、リアクトルと筐体とが、長期間、安定した締結力でしっかりと固定できている。
また、本発明のリアクトルの固定構造では、リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイルと一体となっているので、モールドコイル内のコイルで発熱した熱は、モールドコイルのモールド層を介して熱伝導率の大きいリアクトル保持部材に伝熱し易くなり、リアクトル保持部材から外部に効率良く放熱することができる。
実施形態1に係るリアクトルの分解斜視図である。 実施形態1,2及び変形例に係るリアクトルの要部を示す斜視図であり、モールド層を除いた状態で示した図である。 実施形態1に係るリアクトルについて、ギャップ体の図示を省略した説明図であり、一部を図1中、A−A矢視に相当する位置から見た断面で示す図である。 図3中、B部の拡大図である。 実施形態1,2及び変形例に係るリアクトルのコアが最も大きく振動している様子を模式的に示した図である。 実施形態1に係るリアクトルのコアに関する駆動周波数と共振周波数との関係を示すグラフである。 実施形態1,2及び変形例に係るリアクトルの固定構造を含む駆動制御システムの構造の一例を概略的に示す図である。 図7中、PCUの主要部を示す回路図である。 変形例に係るリアクトルについて、ギャップ体の図示を省略した説明図であり、一部を図1中、A−A矢視に相当する位置から見た断面で示す図である。 変形例に係るモールドコイルを下側を上向きにして示した斜視図である。 実施形態2に係るリアクトルの分解斜視図である。 図11中、C−C矢視断面図である 従来のリアクトルを一例として示す斜視図であり、筐体に固定する構造を説明するための説明図である。 特許文献1に開示されたリアクトルの固定構造を説明する説明図である。
以下、本発明に係るリアクトルの固定構造について、実施形態1,2及び変形例を図面に基づいて詳細に説明する。
後述する実施形態1,2及び変形例に係るリアクトルの固定構造で形成されたリアクトルは、ハイブリッド自動車の駆動制御システムにおいて、バッテリの電圧値から、モータジェネレータに印加する電圧値まで昇圧させる目的で搭載されている。
そこで、はじめに駆動制御システムの構成について説明した後、実施形態1,2及び変形例に係るリアクトルの固定構造で形成されたリアクトルについて説明する。
まず、駆動制御システムについて、図7及び図8を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係るリアクトルの固定構造を含む駆動制御システムの構造の一例を概略的に示す図である。図8は、図7中、PCUの主要部を示す回路図である。
駆動制御システム1は、図7に示すように、PCU2(Power Control Unit)と、モータジェネレータ6と、バッテリ7と、端子台8と、ハウジング71と、減速機構72と、ディファレンシャル機構73と、ドライブシャフト受け部74等とから構成されている。
次に、PCU2について、図8を用いて説明する。
PCU2は、図8に示すように、コンバータ3と、インバータ4と、制御装置5と、コンデンサC1,C2と、出力ライン6U,6V,6Wとを含む。
コンバータ3は、バッテリ7とインバータ4との間に接続され、インバータ4と電気的に並列に接続されている。インバータ4は、出力ライン6U,6V,6Wを介してモータジェネレータ6と接続されている。
バッテリ7は、例えば、ニッケル水素、リチウムイオン電池等の二次電池であり、直流電流を介してコンバータ3に供給すると共に、コンバータ3から流れる直流電流によって充電される。
コンバータ3は、パワートランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2と、後に詳述するリアクトル10とからなる。パワートランジスタQ1,Q2は、電源ラインPL2,PL3間に直列に接続され、制御装置5の制御信号をベースに供給する。ダイオードD1,D2は、それぞれパワートランジスタQ1,Q2のエミッタ側からコレクタ側へ電流が流れるよう、パワートランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間に接続されている。
リアクトル10は、その一端を、バッテリ7の正極と接続する電源ラインPL1に接続し、パワートランジスタQ1,Q2の接続点に他端を接続して配置されている。
コンバータ3は、リアクトル10によりバッテリ7の直流電圧を昇圧し、昇圧後の電圧で直流電圧を電源ラインPL2に供給する。また、コンバータ3は、インバータ4から受ける直流電圧を降圧してバッテリ7に充電する。
インバータ4は、U相アーム4U、V相アーム4V及びW相アーム4Wからなる。各相アーム4U,4V,4Wは、電源ラインPL2,PL3間に並列に接続される。U相アーム4Uは、直列に接続されたパワートランジスタQ3,Q4からなり、V相アーム4Vは、直列に接続されたパワートランジスタQ5,Q6からなり、W相アーム4Wは、直列に接続されたパワートランジスタQ7,Q8からなる。ダイオードD3乃至D8は、それぞれパワートランジスタQ3乃至Q8のエミッタ側からコレクタ側へ電流が流れるよう、パワートランジスタQ3乃至Q8のコレクタ−エミッタ間にそれぞれ接続されている。各相アーム4U,4V,4Wにおいて各パワートランジスタQ3乃至Q8の接続点は、出力ライン6U,6V,6Wを介してモータジェネレータ6の各U相,V相,W相の反中性点側にそれぞれ接続されている。
このインバータ4は、制御装置5の制御信号に基づいて、電源ラインPL2に流れる直流電流を交流電流に変換してモータジェネレータ6に出力する。また、インバータ4は、モータジェネレータ6で発電された交流電流を整流して直流電流に変換し、変換した直流電流を電源ラインPL2に供給する。
コンデンサC1は、電源ラインPL1,PL3間に接続され、電源ラインPL1における電圧レベルを平滑化する。また、コンデンサC2は、電源ラインPL2,PL3間に接続され、電源ラインPL2における電圧レベルを平滑化する。
制御装置5は、モータジェネレータ6の回転子の回転角度、モータトルク指令値、モータジェネレータ6のU相、V相及びW相における電流値、インバータ4の入力電圧に基づいて、モータジェネレータ6のU相、V相及びW相におけるコイル電圧を演算する。また、制御装置5は、その演算結果に基づいて、パワートランジスタQ3乃至Q8をオン/オフするPWM(Pulse Width Modulation)を生成して、インバータ4へ出力する。
また、制御装置5は、インバータ4の入力電圧を最適にするため、パワートランジスタQ1,Q2のデューティ比を、上述したモータトルク指令値、及びモータ回転数に基づいて演算し、その演算結果に基づいて、パワートランジスタQ1,Q2のオン/オフを行うPWM信号を生成してコンバータ3へ出力する。
さらに、制御装置5は、モータジェネレータ6で発電された交流電流を直流電流に変換してバッテリ7に充電させるため、コンバータ3及びインバータ4においてパワートランジスタQ1乃至Q8のスイッチング動作を制御する。
上記構成を有するPCU2では、コンバータ3は、制御装置5の制御信号に基づいて、バッテリ7の電圧を昇圧させ、昇圧後の電圧を電源ラインPL2に印加する。コンデンサC1は、電源ラインPL2にかかる電圧を平滑化し、インバータ4は、コンデンサC1により平滑化された直流電圧を、交流電圧に変換してモータジェネレータ6に出力する。
その一方で、インバータ4は、モータジェネレータ6の回生で発電された交流電圧を、直流電圧に変換して電源ラインPL2に出力する。コンデンサC2は、電源ラインPL2にかかる電圧を平滑化し、コンバータ3は、コンデンサC2により平滑化された直流電圧を降圧してバッテリ7に充電する。
(実施形態1)
実施形態1に係るリアクトルの固定構造で形成されたリアクトルについて、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るリアクトルの分解斜視図であり、図2は、本実施形態に係るリアクトルの要部を示す斜視図であり、モールド層を除いた状態を示す図である。図3は、本実施形態に係るリアクトについて、ギャップ体の図示を省略した説明図であり、一部を図1中、A−A矢視に相当する位置から見た断面で示す図である。図4は、図3中、
B部の拡大図である。
本実施形態に係るリアクトルの固定構造で形成されたリアクトル10は、図3に示すように、リアクトル10を支持する筐体60に、ボルト50(締結部材)によるネジ締結で固定されている。
筐体60は、例えば、アルミ鋳造等の金属製で、筐体60本体から離れる側(図3中、Z方向上側)に突出した筐体締結部61,61を2つ有している。各筐体締結部61,61には、雌ネジが形成されている。
リアクトル10は、図1に示すように、モールドコイル20と、コア30とからなる。コア30は、2つのU字型鉄芯31からなり、U字型鉄芯31,31は、何れも圧粉からなり、図3に示すように、両端部の断面が略長方形状に形成された圧粉鉄芯である。各U字型鉄芯31,31は、その両端部に、後述するギャップ体35と当接して密着する固着面31a,31a、固着面31b,31bをそれぞれ有している。
モールドコイル20は、電気的に直列に接続する2つのコイル21,21と、2枚のギャップ体35とを有している。モールドコイル20は、図1及び図3に示すように、六面形状に形成され、2つのコイル21,21に対し、各コイル21の径外側全体を樹脂でモールドして一体化されたものである。コイル21,21は、U字型鉄芯31,31の各端部の形状に対応した形態で捲回されたものであり、参照する図2に示すように、コイル21の軸心方向Yに対し、互いに平行な並列配置で設けられている。
コイル21,21の径内側では、モールドコイル20の厚み方向Yの中央に、例えば、厚みがt=2mm程度のセラミック板等、非磁性体であるギャップ体35,35が、それぞれモールドコイル20のモールド層と一体成形で設けられている。
一方側のU字型鉄芯31の固着面31a,31aは、図2に示すように、ギャップ体35の一方側の板面に当接し、接着剤で密着されている。同様に、その反対側にある他方側のU字型鉄芯31の固着面31b,31bは、ギャップ体35の他方側の板面に当接し、接着剤で密着されている。
モールドコイル20は、図1に示すように、コイル21の軸心方向Yに沿う当該モールドコイル20の厚み方向Yの中央に、ボルト50を貫通孔25Hに挿通して保持する締結部材保持部25を有している。締結部材保持部25は、各コイル21,21の径方向に沿うモールドコイル20からその幅方向Xに突出すると共に、射出成形により、モールドコイル20と一体に形成されている。
締結部材保持部25の貫通孔25Hには、図4に示すように、例えば、アルミニウム等の金属製で円筒状のカラー40が、インサート成形によりモールドコイル20と一体で設けられている。すなわち、貫通孔25Hにボルト50を挿通したときに、貫通孔25Hとボルト50の軸部との間に、カラー40が介在するようになっている。
次に、リアクトル10の組付けについて説明した後、リアクトル10の筐体60への固定について説明する。
まず、リアクトル10の組付けでは、U字型鉄芯31,31を、モールドコイル20の各コイル21,21内に、コイル21,21両端からコイル21の軸心方向Yにそれぞれ挿通して対向させ、モールドコイル20のギャップ体35をU字型鉄芯31,31間に挟んで、U字型鉄芯31,31をトラック形状に繋ぎ合わせる。
具体的には、一方側のU字型鉄芯31の固着面31a,31aをギャップ体35の一方側板面に当接して密着させ、接着剤でU字型鉄芯31とギャップ体35とを固着する。また、他方側のU字型鉄芯31の固着面31b,31bをギャップ体35の他方側板面に当接して密着させ、接着剤でU字型鉄芯31とギャップ体35とを固着する。これにより、参照する図2に示すように、ギャップ体35が介在したトラック形状のコア30が、モールドコイル20にある2つのコイル21,21を挿通し、リアクトル本体部11、すなわちリアクトル10が得られる。
次いで、リアクトル10の筐体60への固定では、筐体60の筐体締結部61,61間に、リアクトル10のモールドコイル20本体部(リアクトル本体部11のコイル21及びギャップ体35が位置する部分)を配置し、2つの締結部材保持部25,25を筐体締結部61,61上に載置する。載置後には、リアクトル10のモールドコイル20本体部は、筐体60から離間しており、モールドコイル20と筐体60との間に隙間が形成されている。この状態で、2本のボルト50,50を、締結部材保持部25,25の貫通孔25H,25Hに挿通し、各ボルト50,50をそれぞれ筐体締結部61,61と螺合させ、締結部材保持部25,25と筐体締結部61,61とを締結する。
かくして、リアクトル10が、2本のボルト50,50で筐体60に固定される。
前述した構成を有する本実施形態に係るリアクトル10の固定構造の作用効果について説明する。
ここで、本実施形態に係るリアクトル10のコア30が最も大きく振動している様子を模式的に示した図を、図5に示す。また、本実施形態に係るリアクトルのコアに関する駆動周波数と共振周波数との関係を示すグラフを、図6に示す。
本実施形態のリアクトル10の固定構造では、電気的に直列に接続した2つのコイル21,21を並列に配置し、圧粉鉄芯で形成された2つのU字型形状のU字型鉄芯31,31(コア30)を、各コイル21,21内にコイル21両端からコイル21の軸心方向Yにそれぞれ挿通して対向させ、U字型鉄芯31,31間にギャップ体35,35を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトル10を、このリアクトル10を支持する筐体60に、ボルト50,50で固定させるリアクトル10の固定構造において、2つのコイル21,21に対し、各コイル21,21の径外側を樹脂でモールドして一体化したモールドコイル20が、六面形状に形成され、モールドコイル20には、コイル21の軸心方向Yに沿う当該モールドコイル20の厚み方向Y中央に、ボルト50,50を貫通孔25H,25Hに挿通して保持する締結部材保持部25,25が形成されているので、モールドコイル20の厚み方向Y中央は、コア30において2つのU字型鉄芯31,31が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動に対し、この振動の節に相当する位置となり、2つのU字型鉄芯31,31における磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
すなわち、コイル21に通電する電流を変化させてU字型鉄芯31,31における磁束密度が変化すると、U字型鉄芯31,31間で作用する電磁吸引力と、各U字型鉄芯31,31に磁歪とが生じて、双方のU字型鉄芯31,31が伸縮変位し振動する。U字型鉄芯31,31の振動は、図5に示すように、主として、U字型鉄芯31,31同士が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動(縦振動)であり、振幅が最も大きい「腹」と、最も小さい「節」とを含んでいる。振動の「節」は、図5中、Sライン上に位置し、実際のリアクトル10では、モールドコイル20の厚み方向Y中央の位置に相当する部位である。その一方で、振動の「腹」は、図5中、Tライン上に位置し、実際のリアクトル10では、モールドコイル20の厚み方向の両側で、モールドコイル20から離れてU字型鉄芯31の両側先端部が折り返す位置に相当する部位である。
よって、モールドコイル20の厚み方向Y中央の部位は、2つのU字型鉄芯31,31における磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
また、U字型鉄芯31,31(コア30)が低コストな圧粉鉄芯で形成され、図6に示すように、リアクトル10として実際に機能するコア30の駆動周波数として、駆動周波数f0(約10KHz)がたとえコア30の2次共振周波数f2の近くにあっても、モールドコイル20の厚み方向Y中央では、コア30の振動はその振幅が最も小さくなっている。そのため、このモールドコイル20の厚み方向Y中央に設けた結部材保持部25,25の貫通孔25H,25Hに、ボルト50,50を挿通して筐体60と締結することで、コア30の振動が、モールドコイル20、ボルト50を介して筐体60に伝播したとしても、筐体60への振動伝播はより小さく抑えることができる。
従って、リアクトル10の作動時に生じるコア30の振動が筐体60に伝播するのを低減できているため、この振動に起因する騒音を、より確かに抑制することができる、という優れた効果を奏する。特に、静粛性に優れたハイブリッド自動車では、コア30による駆動周波数10KHz近傍の振動が筐体60等に伝播して生じた騒音は、人にとって不快な音であり、このような騒音が抑制できる。
また、本実施形態のリアクトル10の固定構造では、締結部材保持部25,25は、各コイル21の径方向Xに沿うモールドコイル20の幅方向Xに突出すると共に、モールドコイル20と一体で成形されているので、リアクトル10と筐体60との締結箇所を、従来のリアクトル210の固定構造に比して少なくできる。
また、剛性の高いモールドコイル20に締結部材保持部25,25を一体に設けたことで、リアクトル10と筐体60との締結剛性を、従来の締結剛性よりも高くすることができ、従来、固定部材そのものが低い共振周波数で振動し、この振動に起因して発生していた騒音を抑止することができる。
すなわち、従来のリアクトル210の固定構造では、1つのコアにつき、2つの薄板状のステイ225,225がコア230と一体成形されており、2つのコア230,230に計4つのステイ225を設けて、これらのステイ225を筐体に締結部材で締結させて、リアクトル210を筐体に固定していた。
これに対し、本実施形態のリアクトル10の固定構造では、モールドコイル20の幅方向両側に締結部材保持部25,25を2つ設ければ、リアクトル10と筐体60との締結箇所を従来よりも少ない2つにすることができ、リアクトル10全体をコンパクトにすることができる上、コストも低減できる。
さらに、コア30が圧粉鉄芯で形成されているため、リアクトル10の作動時には、コア30の駆動周波数f0がコア30の2次共振周波数f2に近くある状態の下、従来のリアクトル210,310の固定構造では、リアクトル210,310を筐体に固定するための固定部材として、薄板状のステイ225、板バネ340等、何れも剛性が低い固定部材を用いていた。
しかしながら、固定部材の剛性を低くし、リアクトルと筐体との締結剛性を低くして、コアの振動が筐体に伝播するのを低減させようとしても、固定部材そのものが低い周波数で共振してしまい、固定部材によるこの共振に起因した騒音が抑制できていなかった。
これに対し、本実施形態のリアクトル10の固定構造では、剛性の高い締結部材保持部25,25で、その貫通孔25H,25Hからボルト50,50を挿通してリアクトル10と筐体60とを固定させるため、リアクトル10と筐体60との締結剛性が高くなっている。そのため、従来、固定部材そのものが低い共振周波数で振動すること、及びこの振動に起因した騒音も発生しない。
また、本実施形態のリアクトル10の固定構造では、締結部材保持部25,25の貫通孔25H,25Hとボルト50,50との間には、例えば、アルミニウム等の金属製のカラー40,40が介在し、カラー40は、インサート成形によりモールドコイル20と一体となっているので、モールドコイル20と筐体60とを締結するボルト50の締結力が、金属製のカラー40を介して作用するようになる。
そのため、ボルト50でモールドコイル20と筐体60とが締結されていても、樹脂製の締結部材保持部25にクリープが経時的に発生せず、締結部材保持部25に生じるクリープに起因したボルト50による締結力の低下を防止することができている。
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図11及び図12を用いて説明する。
図11は、本実施形態に係るリアクトルの分解斜視図であり、図11中、C−C矢視断面図を図12に示す。
実施形態1のリアクトル10では、締結部材保持部25,25を、各コイル21,21の径方向に沿うモールドコイル20からその幅方向Xに突出すると共に、射出成形により、モールドコイル20と一体に形成した。
これに対し、本実施形態のリアクトル110では、締結部材保持部25,25に代えて、1つの板材を屈曲させて形成した金属製のリアクトル保持部材140を用い、このリアクトル保持部材140がモールドコイル120と一体に成形されている。
よって、実施形態1と実施形態2とは、ボルト50と筐体60の筐体締結部61との締結力を、リアクトル10,110に作用させる手段が異なるが、ボルト50による締結力でリアクトル10,110を筐体60に固定させる点、及びそれ以外の部分は、実施形態1と同様である。
従って、実施形態1とは異なる部分を中心に説明し、その他について説明を簡略または省略する。
本実施形態では、リアクトル110は、図11及び図12に示すように、モールドコイル120と、コア30とからなる。コア30は、2つのU字型鉄芯31からなり、U字型鉄芯31,31は、何れも圧粉からなり、両端部の断面が略長方形状に形成された圧粉鉄芯である。
モールドコイル120は、電気的に直列に接続する2つのコイル21,21と、2枚のギャップ体35,35とを有し、2つのコイル21,21に対し、各コイル21の径外側全体を樹脂でモールドして一体化されたものである。コイル21,21は、U字型鉄芯31,31の各端部の形状に対応した形態で捲回されたものであり、図12に示すように、コイル21の軸心方向Yに対し、互いに平行な並列配置で設けられている。
コイル21,21の径内側では、モールドコイル120の厚み方向Yの中央に、ギャップ体35,35が、それぞれモールドコイル120のモールド層と一体成形で設けられている。
また、このモールドコイル120は、図11及び図12に示すように、バネ性を有する金属板をコの字状に屈曲させ、屈曲したその両端部を、さらに90°折り曲げて変形させたリアクトル保持部材140を有している。リアクトル保持部材140は、その一方側表面に、例えば、アンダーカット、エンボス等の加工を施してあり、インサート成形によりモールドコイル120と一体となっている。
このリアクトル保持部材140は、コイル21の軸心方向Yに沿うモールドコイル120の厚み方向Y中央に、コイル21の径方向Xにモールドコイル120を跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイル120の外側となる位置に、貫通孔140H,140Hを各側1つ有している。
次に、リアクトル110の筐体60への固定では、筐体60の筐体締結部61,61間に、リアクトル110のモールドコイル120本体部(リアクトル本体部11のコイル21及びギャップ体35が位置する部分)を配置し、リアクトル保持部材140の両端部をそれぞれ筐体締結部61,61上に載置する(図3、図11及び図12参照)。載置後には、リアクトル110のモールドコイル120本体部は、筐体60から離間しており、モールドコイル120と筐体60との間に隙間が形成されている。この状態で、2本のボルト50,50を、リアクトル保持部材140の貫通孔140H,140Hに挿通し、各ボルト50をそれぞれ筐体締結部61,61と螺合させ、リアクトル保持部材140と筐体締結部61,61とを締結する。
かくして、リアクトル110が、2本のボルト50,50で筐体60に固定される。
前述した構成を有する本実施形態に係るリアクトル110の固定構造の作用効果について説明する。
本実施形態のリアクトル110の固定構造でも、実施形態1と同様、電気的に直列に接続した2つのコイル21,21を並列に配置し、圧粉鉄芯で形成された2つのU字型形状のU字型鉄芯31,31(コア30)を、各コイル21,21内にコイル21両端からコイル21の軸心方向Yにそれぞれ挿通して対向させ、U字型鉄芯31,31間にギャップ体35,35を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトル110を、このリアクトル110を支持する筐体60に、ボルト50で固定させるリアクトル110の固定構造において、2つのコイル21,21に対し、各コイル21,21の径外側を樹脂でモールドして一体化したモールドコイル120が、六面形状に形成され、モールドコイル120には、コイル21の軸心方向Yに沿う当該モールドコイル120の厚み方向Y中央に、ボルト50,50を貫通孔140H,140Hに挿通して保持するリアクトル保持部材140が形成されているので、モールドコイル120の厚み方向Y中央は、コア30において2つのU字型鉄芯31,31が互いに向き合う方向に伸縮を繰り返す振動に対し、この振動の節に相当する位置となり、2つのU字型鉄芯31,31における磁歪及び電磁吸引力による振動の振幅が、最も小さくなる部位となる。
また、U字型鉄芯31,31(コア30)が低コストな圧粉鉄芯で形成され、参照する図6に示すように、リアクトル110として実際に機能するコア30の駆動周波数として、駆動周波数f0(約10KHz)がたとえコア30の2次共振周波数f2の近くにあっても、モールドコイル120の厚み方向Y中央では、コア30の振動はその振幅が最も小さくなっている。そのため、このモールドコイル120の厚み方向Y中央に設けたリアクトル保持部材140の貫通孔140Hに、ボルト50を挿通して筐体60と締結することで、コア30の振動が、モールドコイル120、ボルト50を介して筐体60に伝播したとしても、筐体60への振動伝播はより小さく抑えることができる。
従って、リアクトル110の作動時に生じるコア30の振動が筐体60に伝播するのを低減できているため、この振動に起因する騒音を、より確かに抑制することができる、という優れた効果を奏する。特に、静粛性に優れたハイブリッド自動車では、コア30による駆動周波数10KHz近傍の振動が筐体60等に伝播して生じた騒音は、人にとって不快な音であり、このような騒音が抑制できる。
また、本実施形態のリアクトル110の固定構造では、本発明の締結部材保持部は、モールドコイル120の厚み方向Y中央で、コイル21の径方向にモールドコイル120を跨いで延び、覆い包み込んだモールドコイル120の外側となる位置に、貫通孔140H,140Hを有するリアクトル保持部材140であり、ボルト50,50が、リアクトル保持部材140の貫通孔140H,140Hを挿通して筐体60と締結しているので、リアクトル110の作動時に、コア30からリアクトル保持部材140、ボルト50,50を介して筐体60に伝わる振動伝播も小さく抑えることができている。そのため、この振動伝播に起因した、筐体60と締結するボルト50,50の緩みが抑制され、リアクトル110と筐体60とが、長期間、安定した締結力でしっかりと固定できている。
また、本実施形態のリアクトル110の固定構造では、リアクトル保持部材140は、金属製であり、インサート成形によりモールドコイル120と一体となっているので、モールドコイル120内のコイル21,21で発熱した熱は、モールドコイル120のモールド層を介して熱伝導率の大きいリアクトル保持部材140に伝熱し易くなり、リアクトル保持部材140から外部に効率良く放熱することができる。
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。(1)例えば、実施形態1では、2つのコイル21,21に対し、各コイル21の径外側全体を樹脂でモールドして一体化したモールドコイル20を、リアクトル10に用いた。そして、モールドコイル20本体部を筐体60から離間させ、モールドコイル20と筐体60との間に隙間を形成して、リアクトル10を筐体60に固定した。
しかしながら、本発明に係るリアクトルの固定構造は、実施形態1のモールドコイル20に代えて、図9に示すように、モールドコイル20Aを用いた固定構造であっても良い。
すなわち、図9は、変形例に係るリアクトルについて、ギャップ体の図示を省略した説明図であり、一部を図1中、A−A矢視に相当する位置から見た断面で示す図である。図10は、変形例に係るモールドコイルを下側を上向きにして示した斜視図である。
モールドコイル20Aは、2つのコイル21,21に対し、各コイル21の径外側一部が樹脂でモールドされず外部に露出し、その以外の部分を樹脂でモールドして一体化したものである。
具体的には、モールドコイル20Aの締結部材保持部25Aが、筐体60の筐体締結部61とボルト50による締結で固定された状態において、図9及び図10に示すように、モールドコイル20Aの下側(図9中、Z方向下方)で、コイル21,21の一部が外部に露出する形態に、モールドコイル20Aが形成されている。
また、このモールドコイル20Aが、その締結部材保持部25Aを筐体60の筐体締結部61に載置し、ボルト50による締結力で筐体60に固定された状態では、コイル21,21のうち、樹脂がモールドされず外部に露出している部分と、筐体60との間に介在させる放熱部70が設けられている。放熱部70は、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等、熱伝導性を有した樹脂からなり、コイル21で発熱した熱を、熱伝導率の高い金属製の筐体60に伝熱させ、外部へ放熱させる。
10,110 リアクトル
20,20A,120 モールドコイル
21 コイル
25,25A 締結部材保持部
25H 140H 貫通孔
30 コア
31 U字型鉄芯
35 ギャップ体
40 カラー
50 ボルト(締結部材)
60 筐体
140 リアクトル保持部材
X 径方向
Y 軸心方向、厚み方向

Claims (5)

  1. 電気的に直列に接続した2つのコイルを並列に配置し、圧粉鉄芯で形成された2つのU字型形状のコアを、前記各コイル内に前記コイル両端からコイル軸心方向にそれぞれ挿通して対向させ、前記コア間にギャップ体を挟んでトラック形状に繋ぎ合わせたリアクトルを、該リアクトルを支持する筐体に、締結部材で固定させるリアクトルの固定構造において、
    前記2つのコイルに対し、前記各コイルの径外側を樹脂でモールドして一体化したモールドコイルが、六面形状に形成され、
    前記モールドコイルには、前記コイル軸心方向に沿う当該モールドコイルの厚み方向中央に、前記締結部材を貫通孔に挿通して保持する締結部材保持部が形成されていること、
    前記締結部材保持部は、前記コア同士が互いに向き合う方向の振動における節に相当する位置に配置されていること、
    前記筐体と、前記モールドコイルにおける前記コイルが配置されるモールドコイル本体部との間に隙間が形成されていること、
    を特徴とするリアクトルの固定構造。
  2. 請求項1に記載するリアクトルの固定構造において、
    前記締結部材保持部は、前記各コイルの径方向に沿う前記モールドコイルの幅方向に突出すると共に、前記モールドコイルと一体で成形されていること
    を特徴とするリアクトルの固定構造。
  3. 請求項に記載するリアクトルの固定構造において、
    前記締結部材保持部の前記貫通孔と前記締結部材との間には、金属製のカラーが介在し、前記カラーは、インサート成形により前記モールドコイルと一体となっていること
    を特徴とするリアクトルの固定構造。
  4. 請求項1に記載するリアクトルの固定構造において、
    前記締結部材保持部は、前記モールドコイルの厚み方向中央で、前記コイルの径方向に前記モールドコイルを跨いで延び、覆い包み込んだ前記モールドコイルの外側となる位置に、貫通孔を有するリアクトル保持部材であり、
    前記締結部材が、前記リアクトル保持部材の前記貫通孔を挿通して前記筐体と締結していること
    を特徴とするリアクトルの固定構造。
  5. 請求項に記載するリアクトルの固定構造において、
    前記リアクトル保持部材は、金属製であり、インサート成形により前記モールドコイルと一体となっていること
    を特徴とするリアクトルの固定構造。
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