JP5343387B2 - リアクトル、及びコンバータ - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車のDC‐DCコンバータの構成部品などに利用されるリアクトルに関する。特に、小型で、低コスト化が図れると共に、放熱性能に優れるリアクトルに関する。
従来、磁性材料からなるコアと、このコアに配置されるコイルとを備えるリアクトルが知られている。代表的なリアクトルの構造としては、開口部を有するアルミケース内にリアクトルを収容し、このケース内に樹脂を注入してリアクトルを封止した構造が挙げられる。このケースは、リアクトルの駆動時に発熱するコイルやコアを冷却するための冷却ベース(冷却器やヒートシンク)に取り付けられる(例えば、特許文献1,2参照)。
また、近年、リアクトルの高周波化に伴い、コアに、ケイ素鋼板を積層した積層鋼板に代えて、鉄等の軟磁性材料の粉末表面に絶縁被覆を施し、この粉末を加圧成形した圧粉成形体を採用することが検討されている。
特開2007‐129146号公報(段落0043,図5) 特開2008‐28290号公報
しかし、従来のリアクトルでは、低コスト化と高い放熱性能を両立することが難しい。
昨今、ハイブリッド自動車などのDC‐DCコンバータの構成部品に利用されるリアクトルは、高周波化、大電流化が求められており、発熱量が増大するコイルやコアの冷却能力を上げるため、リアクトルの放熱性能を更に向上させる必要がある。また、リアクトルの低コスト化を実現するためには、使用する材料の使用量を削減することが好ましい。
また、本発明者らが検討した結果、特に圧粉成形体のコアは圧環強度といった機械的強度が低く、実使用上耐え得る程度にコアを補強する必要があることが分かった。
特許文献1では、従来、リアクトル全体を囲むように覆っていたポッティング材を省略し、コイルと冷却器との間にシリコーン系樹脂製のシートを配置する構成を開示している。しかし、特許文献1に記載のリアクトルでは、ポッティング材を省略したことによりポッティング材による補強効果が期待できないため、実使用上要求される強度を達成することが困難な場合がある。
一方、特許文献2では、コイルの最高温度領域、具体的にはコイルの各環状部分の中央部上側のコーナー部からケースの内周面に亘る領域に放熱用樹脂層(エポキシ樹脂)を設ける構成を開示している。しかし、特許文献2に記載の放熱用樹脂層はコアを補強するように設けられておらず、特許文献2に記載のリアクトルも実使用上要求される強度を達成できない虞がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、小型で、低コスト化が図れると共に、放熱性能に優れるリアクトルを提供することにある。
本発明者らは、リアクトル全体を樹脂モールドするのではなく、リアクトルの側面外周、即ち正背面及び左右側面の周囲4面を囲むように樹脂モールドすることにより、実使用上耐え得る程度にコアを補強すると共に、樹脂材の使用量を削減することを提案する。また、リアクトルを冷却ベースに取り付けた状態において、冷却ベースに設置されるリアクトルの設置側とは反対側に位置するコイルの部分は、冷却ベースと離れているため、温度上昇が大きく、効果的に冷却する必要がある。そこで、本発明者らは、コイル外周面のうち、リアクトルの設置側とは反対側に位置するコイル反対面側において、コイルのターンの一部を樹脂被覆部から露出させることで、コイルの反対面側を空冷することを提案する。
本発明のリアクトルは、コイル巻回部を有するコアと、コイル巻回部に配置されるコイルとを備える。そして、コアとコイルの周囲に形成される樹脂被覆部と、コイルのターンの一部であって、リアクトルの設置側とは反対側において、樹脂被覆部から露出するコイル露出部と、コアの一部であって、コイル巻回部以外の箇所において、コイル巻回部の外周面よりも突出する突出部とを備えることを特徴とする。
本発明のリアクトルは、コアとコイルの周囲、即ちリアクトルの側面外周に樹脂被覆部を備えることで、実使用上耐え得る程度にコアを補強することができる。また、コイル反対面側において、コイルのターンの一部が樹脂被覆部から露出するコイル露出部を備えることで、リアクトル全体を樹脂被覆部で囲む場合に比べて樹脂材の使用量を削減することができ、低コスト化が図れると共に、コイルの反対面側を空冷することができ、放熱性能に優れる。さらに、コイル巻回部以外の箇所において、コアの一部がコイル巻回部の外周面よりも突出する突出部を備えることで、後述するコア長を短くすることができ、小型化を実現できる。
リアクトルの小型化を実現できる理由についてより詳しく説明する。従来のリアクトルにおけるコアは、リアクトルを冷却ベースに設置した状態において、コイル巻回部とコイル巻回部以外の箇所の上下面とが面一である(例えば、特許文献1の図5参照)。つまり、従来のコアは、コイル巻回部とコイル巻回部以外の箇所の高さが同じである。これに対し、本発明のリアクトルにおけるコアは、例えば図2に示すように、コイル巻回部以外の箇所がコイル巻回部の外周面よりも突出しており、コイル巻回部(図2中の直方体状ブロック2a)とコイル巻回部以外の箇所(図2中の湾曲状ブロック2b)の上下面のうちの少なくとも一方が面一でない。つまり、本発明におけるコアは、コイル巻回部以外の箇所の高さLb(リアクトルの設置側に位置する下面から上面までの距離)が、コイル巻回部の高さLaに比べて高くなっている。そのため、本発明におけるコアは、コイル巻回部以外の箇所の体積を一定とすると、従来のコアに比べて、平面視した場合におけるコイル巻回部以外の箇所の面積、つまりコイル巻回部以外の箇所の投影面積を小さくすることができ、コア長Lc(図2,3中において、一方の湾曲状ブロック2bの端面から他方の湾曲状ブロック2bの端面までの距離)を短くすることができる。
本発明におけるコアおいて、突出部は、リアクトルの設置側に突出する第一突出面、又は、リアクトルの設置側とは反対側に突出する第二突出面の少なくとも一方を有することが好ましい。特に、コアが第一突出面を有する場合、第一突出面と冷却ベースが近接することになり、コアの熱を冷却ベースに効率よく伝えることができ、放熱性能が向上する。
本発明におけるコアにおいて、コアが第一突出面を有する場合は、コイル外周面のうち、リアクトルの設置側に位置するコイル設置面と、コアの第一突出面とが、面一であることが好ましい。また、コアが第二突出面を有する場合は、コイル外周面のうち、リアクトルの設置側とは反対側に位置するコイル反対面と、コアの第二突出面とが、面一であることが好ましい。
従来のコアは、コイル巻回部とコイル巻回部以外の箇所の高さが同じであるため、コイル巻回部にコイルを配置した際、コイルの外周面全体がコアの外周面よりも突出した状態となる(例えば、特許文献1の図5参照)。コイルのコイル設置面とコアの第一突出面とが面一であれば、冷却ベースが平坦な場合であっても、リアクトルの設置側において、第一突出面と冷却ベースが接することになり、コアの熱を冷却ベースに更に効率よく伝えることができ、放熱性能がより向上する。また、コイルのコイル反対面とコアの第二突出面とが面一であれば、例えばリアクトルの設置側とは反対側にコイルの端部を接続する端子台を配置する場合、端子台を安定して配置できる。
本発明におけるコアは、圧粉成形体であることが好ましい。
圧粉成形体のコアは、積層鋼板と比較して、高周波領域での鉄損が小さく、複雑な三次元形状のコアであっても容易に得ることができる。
本発明のリアクトルは、周囲に樹脂被覆部を備えると共に、コイル反対面側のターンの一部が樹脂被覆部から露出するコイル露出部を備えることで、コアの補強が図れると共に、低コスト化と高い放熱性能を両立することができる。また、本発明のリアクトルは、コアのコイル巻回部以外の箇所に突出部を備えることで、コア長を短くすることができ、小型化を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜4を参照して説明する。また、図中において同一部材には同一符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明のリアクトルの斜視図、図2は、本発明のリアクトルを冷却ベースに取り付けた状態での右側面図、図3は、本発明のリアクトルに備えるコアの平面図である。図2において、冷却ベースは断面で示す(後述する図4も同様)。
リアクトル1は、内部に冷媒の循環路(図示せず)が形成された冷却ベースBに取り付けられ、磁性材料からなるコア2と、コア2に配置されるコイル3と、これらコア2とコイル3の周囲に配置される樹脂被覆部4とを主要構成部材とする。また、リアクトル1は、冷却ベースBに取り付ける際に、冷却ベースBに設置される設置側がある。冷却ベースBは、リアクトル1が設置される面が平坦に形成されている。
コア2は、図3に示すように、対向し合うコイル巻回部2cを有し、閉磁路を形成する環状の部材であり、磁性体部2mとギャップ部2gとからなる。ここでは、磁性体部2mは、軟磁性粉末の圧粉成形体からなり、直方体状ブロック2aと、直方体の角部が湾曲した湾曲状ブロック2bとからなる。ギャップ部2gは、ガラスエポキシ樹脂やアルミナなどの非磁性材料からなる矩形状の板材である。また、ここでは、6つの直方体状ブロック2aと、一対の湾曲状ブロック2bとを用意し、3つの直方体状ブロック2aを一纏まりとした直方体組を一対作製し、これら直方体組を離間した状態で湾曲ブロック2bの間に配置して、これらを接合することで環状のコア2を形成している。そして、コア2において、直方体状ブロック2aにより形成される各直方体組がコイル巻回部2cとなり、湾曲状ブロック2bがコイル巻回部以外の箇所となる。なお、コア2の直方体状ブロック2a同士間には、計4つのギャップ部2gを配置している。
湾曲状ブロック2bは、直方体状ブロック2a(直方体組)の外周面よりも突出する突出部が設けられており、この突出部は、リアクトルの設置側に突出する第一突出面と、リアクトルの設置側とは反対側に突出する第二突出面とを有する。即ち、直方体状ブロック2aと湾曲状ブロック2bは、高さ(リアクトルの設置側に位置する下面から上面までの距離)が異なり、図2に示すように側面から見ると、このコア2はH状である。また、コイル巻回部2cの外周にコイル3が配置された状態において、リアクトルの設置側に位置するコイル3の面(コイル設置面3i)とコア2の第一突出面(コア設置面2i)とが面一になるように、湾曲状ブロック2bの高さLbが直方体状ブロック2aの高さLaに対して設定されており、リアクトルの設置側に位置するコア設置面2i及びコイル設置面3iが冷却ベースBに接している。さらに、リアクトルの設置側とは反対側に位置するコイル3の面(コイル反対面3o)とコア2の第二突出面(コア反対面2o)が面一になるように、湾曲状ブロック2bの高さLbが直方体状ブロック2aの高さLaに対して設定されており、リアクトルの設置側とは反対側に位置する面が平坦に形成されている。
コイル3は、巻線を巻回したものであり、外周面が巻線のターンにより形成されている。ここでは、平角銅線の表面にエナメル被覆を施した巻線をエッジワイズ巻きした第一コイル3a及び第二コイル3bを用意し、コイル巻回部2cに配置した後、両コイル3a,3bの一方の端部を溶接することで、コイル3を形成している(図1参照)。コイルは、連続する巻線により形成することも可能であり、この場合、一方のコイル巻回部2cの一端側から他端側に向かって巻線を巻回し、他端側で折り返して、他方のコイル巻回部2cの他端側から一端側に向かって連続的に巻線を巻回すればよい。ここでは、コイル3に折り返しが形成されていないため、その分だけコア長Lc(一方の湾曲状ブロック2bの端面から他方の湾曲状ブロック2bの端面までの距離、図2,3参照)を短くすることができる。
コイル3がコイル巻回部2c(直方体状ブロック2aの直方体組)に配置されると、直方体状ブロック2aはコイル3に覆われ、湾曲状ブロック2bはコイル3から露出した状態となる。
このコア2とコイル3との組立体には、インシュレータ5が設けられている。インシュレータ5は、コイル巻回部2cの外周を覆う筒状部(図示せず)と、コイル3の各端面と当接する一対の鍔部5fとを具える。筒状部は、半割れの角筒片同士を係合することでコイル巻回部2cの外周を覆う。鍔部5fは、筒状部の両端部に対向するように配置され、コイル3の各端面と当接する一対の矩形枠である。インシュレータ5には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(LCP)などの合成樹脂が好適に利用できる。
さらに、リアクトル1は、コア2とコイル3の周囲に樹脂被覆部4を備える。ここでは、コア2とコイル3との組立体を作製した後、金型に配置し、エポキシ樹脂を注型成形することで、直方体状の樹脂被覆部4を形成している。樹脂被覆部4は、リアクトル1の側面外周、即ち正背面及び左右側面の周囲4面を囲むように形成されており、リアクトル1の上下面には存在しない。具体的には、樹脂被覆部4は、コア2とコイル3の周囲を覆う箇所の厚さが約1〜2mmであり、高さ(リアクトルの設置側に位置する下面から上面までの距離)が湾曲状ブロック2bの高さ、つまりリアクトルの側面の高さの約半分である。そのため、コア2のコア設置面2i及びコイル3のコイル設置面3iは、樹脂被覆部4から露出しており、冷却ベースBに接することになる。また、コア2のコア反対面2o、コイル3のコイル反対面3o、及びコア2とコイル3の側面の上側は、樹脂被覆部4から露出しており、リアクトルの設置側とは反対側において、コイル3のターンの一部が樹脂被覆部4から露出するコイル露出部が形成されることになる。
この樹脂被覆部4には、コア2の湾曲状ブロック2bの湾曲部分を覆う箇所(樹脂被覆部4の四隅)のそれぞれに固定部4cが設けられており、この固定部4cには、リアクトル1を冷却ベースBに固定するためのボルト7(締結部材)が挿通される挿通孔4hが設けられている。樹脂被覆部4の形状は特に問わないので、コア2とコイル3との組立体の外形に概ね沿った形状としても構わない。また、固定部4cの設置箇所や形状、設置個数は、適宜選択すればよく、例えば、側面視した場合にコア2の正背面側から突出するように、或いは正面視した場合にコイル3の左右側面側から突出するように固定部4cを設けてもよい。
樹脂被覆部4は、(1)コア2を補強する、(2)コア2及びコイル3を一体化する、(3)コイルと周囲の部材との間で絶縁を確保する、といった種々の効果を奏する。
リアクトル1の冷却ベースBへの取り付けは、冷却ベースBに設けられたネジ穴Bhに、樹脂被覆部4の固定部4cの挿通孔4hを位置合わせし、ボルト7をねじ込み締め付けることにより行う。樹脂被覆部4に固定部4cが一体に設けられていることで、別途固定用部材を使用しなくても、冷却ベースBに簡単に取り付けられる。なお、樹脂被覆部4における固定部4c近傍は、樹脂が厚肉であるが、この厚肉箇所は、リアクトル1の周囲の四隅に限定されており、全体的には薄肉であるため、固定部4cの存在によるリアクトル1の放熱性能の低下を抑えることができる。
以上説明した実施の形態1に係るリアクトル1は、コア2とコイル3の周囲に樹脂被覆部4を備えると共に、コイル3のターンの一部が樹脂被覆部4から露出するコイル露出部を備える構成であり、コアの補強が図れると共に、樹脂材の使用量を削減することができるので、低コスト化が図れる。また、コイル反対面3o側において、コイル3のターンの一部が樹脂被覆部4から露出しているので、コイル3の反対面3o側を空冷することができ、放熱性能に優れる。
また、リアクトル1は、コア2のコイル巻回部以外の箇所(湾曲状ブロック2b)に突出部を備える構成であり、コイル3のコイル設置面3iとコア2のコア設置面2iとが面一であるため、コア2の熱も冷却ベースBに効率よく伝えることができる。かつ、この構成により、湾曲状ブロック2bの体積を一定とした場合、直方体状ブロック2aと湾曲状ブロック2bの高さが同じであるもの(特許文献1の図5参照)に比べて、平面視した場合におけるコイル3から露出するコア2の面積、即ちコア設置面2iの面積を小さくすることができる。そのため、コア長Lcを短くすることができ、コア2(リアクトル1)の小型化が図れる。
(変形例1‐1)
上記した実施の形態1では、樹脂被覆部4にリアクトル1を冷却ベースBに固定するための固定部4cを設ける構成を例に説明したが、コア2自体にボルトが挿通される挿通孔を設けてもよい。例えば、湾曲状ブロック2bの湾曲部分から突出する部分を設け、この突出部分に挿通孔を設ければ、コア2の磁気特性に影響を及ぼし難い。この突出部分の形状や設置個数は適宜選択することができ、特に問わない。また、このような挿通孔を有するコア2は、圧粉成形体とすることで容易に作製することができる。この突出部分も樹脂被覆部4で覆う場合は、コア2の挿通孔と連続するように樹脂被覆部4にも挿通孔を設けておく。
(変形例1‐2)
その他、樹脂被覆部4に固定部4c或いはコア2に挿通孔を設けずに、固定用部材を別途用意して、この固定用部材によりリアクトル1を冷却ベースBに固定してもよい。固定用部材には、ステンレス製の、例えば一端側にボルトが挿通される挿通孔を有する一対の脚部と、脚部同士を連結する連結部とからなる[状の部材が好適に利用できる。この固定用部材は、連結部をコア長方向と直交する方向(図3の上下方向)に亘るようにコア反対面2oに配置し、脚部の一端側をボルトにより冷却ベースBに固定することで、コア2及びコイル3を冷却ベース側に押え付ける構成とする。また、連結部の中央部分に、コア長方向に延び且つ湾曲状ブロック2bの正面又は背面に沿って屈曲したL状の鉤片を設けることで、リアクトル1が前後左右上下方向に動くことを防止できる。
さらに、連結部の中央部分がコア反対面2oに接するように連結部を弓状に湾曲させ、連結部の弾性によりコア2を押圧して、コア2及びコイル3を冷却ベース側に押え付ける構成としてもよい。
(実施の形態2)
図4は、別の実施の形態に係るリアクトルを冷却ベースに取り付けた状態での右側面図である。リアクトル10も、コア2、コイル3、及び樹脂被覆部4を主要構成部材とするものであり、コイル3と冷却ベースBとの間に絶縁シート6が介在する点が実施の形態1のリアクトル1と異なり、その他の点は同様である。
絶縁シート6は、リアクトルの設置側に位置するコイル3のコイル設置面3iに配置され、リアクトル10が冷却ベースBに設置された状態において、コイル3と冷却ベースBとの間に介在することで、コイル3と冷却ベースBとの絶縁を確保する機能を有する。絶縁シート6は、コイル3と接触するコイル接触面6cと、冷却ベースBと接触するベース接触面6bとを有し、第一コイル3a及び第二コイル3bの双方のコイル設置面3iを覆うことができる程度の面積を有する板状部材である。
絶縁シート6は、電気絶縁性と熱伝導性に優れた材料、例えば窒化珪素(熱伝導率(α)=20〜150W/m・K程度)、アルミナ(α=20〜30W/m・K程度)、窒化アルミニウム(α=200〜250W/m・K程度)、窒化硼素(α=50〜65W/m・K程度)、及び炭化珪素(α=50〜130W/m・K程度)といったセラミックスで構成することが好ましく、特に窒化珪素が好適に利用できる。絶縁シート6が、このようなセラミックスといった絶縁性無機材料で構成されていることで、コイル3と冷却ベースB間の絶縁を確実に行うことができると共に、コイル3から冷却ベースBへの熱伝導が大きく阻害されることもない。絶縁シート6のベース接触面6bにグリースなどを塗布しておくと、絶縁シート6と冷却ベースBとの密着性が高まり、接触熱抵抗を低減できるので好ましい。
さらに、絶縁シート6は、樹脂被覆部4の形成前にコイル3から脱落しないように、熱伝導性に優れる接着剤(具体例、ナガセケムテックス株式会社製のシート状熱伝導性エポキシ接着剤(α=5W/m・K))により、事前にコイル3に固定して一体化しておいてもよい。
また、リアクトル10は、リアクトルの設置側に位置する絶縁シート6のベース接触面6bとコア2の第一突出面(コア設置面2i)とが面一になっており、コア設置面2iが冷却ベースBに接している。
(変形例I)
上記した実施の形態では、リアクトルを冷却ベースの上面に取り付ける構成を例に説明したが、冷却ベースの下面にリアクトルを取り付ける構成としてもよい。
(変形例II)
上記した実施の形態では、リアクトルをケースに収容しない構成を例に説明したが、リアクトルをケースに収容し、このケースを冷却ベースに取り付ける構成としてもよい。ケースは、熱伝導性に優れた材料で構成することが好ましく、例えばアルミニウム(α=236W/m・K)、銅(α=390W/m・K)、これらの合金、及びオーステナイト系ステンレス(例、SUS304:α=16.7W/m・K)が好適に利用できる。
リアクトルをケースに収容することで、リアクトルの側面外周に形成される樹脂被覆部からケースを介して冷却ベースに熱を効率よく伝えることができ、樹脂被覆部の排熱性が向上するので、リアクトルの放熱性能が一層向上する。
(変形例III)
上記した実施の形態では、樹脂被覆部の高さをリアクトルの側面(湾曲状ブロック)の高さの半分とする構成を例に説明したが、樹脂被覆部の厚さや高さは、コアを補強できる範囲内であれば、適宜変更してもよい。コアの補強効果とコイルの空冷効果を考慮すれば、樹脂被覆部の高さは、湾曲状ブロックの高さの1/5以上4/5以下とすることが好ましい。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、コアを積層鋼板で構成してもよい。
本発明のリアクトルは、小型で、低コスト化が図れると共に、放熱性能に優れており、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車のDC‐DCコンバータの構成部品などに好適に利用できる。
実施の形態1に係るリアクトルの斜視図である。 実施の形態1に係るリアクトルの右側面図である。 実施の形態1に係るリアクトルのコアの平面図である。 実施の形態2に係るリアクトルの右側面図である。
符号の説明
1,10 リアクトル
2 コア
2m 磁性体部 2g ギャップ部
2a 直方体状ブロック 2b 湾曲状ブロック 2c コイル巻回部
2i コア設置面(第一突出面) 2o コア反対面(第二突出面)
3 コイル
3a 第一コイル 3b 第二コイル
3i コイル設置面 3o コイル反対面
4 樹脂被覆部
4c 固定部 4h 挿通孔
5 インシュレータ
5f 鍔部
6 絶縁シート
6c コイル接触面 6b ベース接触面
7 ボルト
B 冷却ベース Bh ネジ穴

Claims (6)

  1. コイル巻回部を有するコアと、前記コイル巻回部に配置されるコイルとを備えるリアクトルであって、
    前記コアは、環状であり、対向し合う一対のコイル巻回部を有し、
    前記コイルは、各コイル巻回部に配置される第一コイル及び第二コイルを有し、第一コイルと第二コイルの一方の端部が接続されることで形成されており、
    前記コアとコイルの周囲に形成される樹脂被覆部と、
    前記コイルのターンの一部であって、リアクトルの設置側とは反対側において、前記樹脂被覆部から露出するコイル露出部と、
    前記コアの一部であって、前記コイル巻回部以外の箇所において、前記コイル巻回部の外周面よりも突出する突出部と
    前記コイルとリアクトルが設置される冷却ベースとの間に介在される絶縁シートとを備え、
    前記樹脂被覆部には、リアクトルを冷却ベースに固定するための締結部材が挿通される挿通孔が形成された固定部が設けられており、
    前記絶縁シートが、接着剤により前記コイルに固定されると共に、グリースを介して前記冷却ベースに接触されることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記絶縁シートが、セラミックスで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記セラミックスの熱伝導率が、20W/m・K以上であることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記樹脂被覆部において、前記固定部が、前記コアの外側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 前記突出部が、前記コイル巻回部の外周面よりもリアクトルの設置側に突出する第一突出面を有し、
    前記コイルの外周面のうち、リアクトルの設置側に位置するコイル設置面と、前記コアの第一突出面とが、面一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリアクトル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のリアクトルを備えることを特徴とするコンバータ。
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