JP5299851B2 - リアクトル - Google Patents

リアクトル Download PDF

Info

Publication number
JP5299851B2
JP5299851B2 JP2010262867A JP2010262867A JP5299851B2 JP 5299851 B2 JP5299851 B2 JP 5299851B2 JP 2010262867 A JP2010262867 A JP 2010262867A JP 2010262867 A JP2010262867 A JP 2010262867A JP 5299851 B2 JP5299851 B2 JP 5299851B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
core
resin
reactor
exposed core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010262867A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011199255A (ja
JP2011199255A5 (ja
Inventor
浩平 吉川
伸一郎 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2010262867A priority Critical patent/JP5299851B2/ja
Publication of JP2011199255A publication Critical patent/JP2011199255A/ja
Publication of JP2011199255A5 publication Critical patent/JP2011199255A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5299851B2 publication Critical patent/JP5299851B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、リアクトルに関するものである。特に、コアとコイルの組立体の外側を覆う外側樹脂部を備えるリアクトルにおいて、外側樹脂部の成形時に、同樹脂部の構成樹脂をコアとコイルとの間に充填しやすくできるリアクトルに関するものである。
電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されるリアクトルは、コアと、コアに巻回されたコイルとを備える。このコイルは、代表的には、一対のコイル素子を並列状態で連結した構成とされ、コアは各コイル素子に嵌め込まれる環状に構成されている。
特許文献1には、コアのうちコイルが巻回された部分(内側コア部)よりもコイルが巻回されていない部分(露出コア部)を上下・左右に突出させたリアクトルが開示されている。この構成により、コアとコイルとの組立体をほぼ四角いブロック状とすることで、リアクトルの小型化を図っている。
一方、特許文献2には、コアとコイルの組立体を樹脂で覆い、組立体の機械的保護を図ったリアクトルが開示されている。
特開2004−327569号公報(図1) 特開2007−180224号公報(図7)
しかし、コアとコイルの組立体の外周が樹脂で覆われた形態のリアクトルでは、コアとコイルとの間に十分に樹脂を充填させることが難しいという問題がある。
リアクトルの小型化を図るためには、コアとコイルとのクリアランスを小さくすることが望まれる。しかし、上記クリアランスが小さいと、コアとコイルとの間を介して樹脂を十分に充填し難い。また、通常、コイルは、その軸方向に圧縮状態でコアの外周に配置され、コイルの隣接するターン同士はほぼ接触するぐらいに近接されている。そのため、特許文献2に記載されるような組立体の外側を樹脂で覆う形態では、上記クリアランスやターン間の隙間を介して樹脂を十分に充填することは難しい。特に、小型化のために隣接するコイル素子の間も比較的間隔を狭くすることで、樹脂の充填の困難性を伴う。
一方、特許文献1に記載の組立体の外側に樹脂を充填することを想定した場合、樹脂を充填することの困難性はさらに顕著になる。特許文献1に係るコアでは、コイルの端面に露出コア部が対向され、コイルの端面と露出コア部との隙間が非常に狭くなっている。従って、この隙間を介してコイルとコアとの間に樹脂を充填することが難しく、コアとコイルとの間に樹脂の空孔が形成される虞があり、機械的又は電気的に組立体の樹脂による保護が不十分となることが考えられる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、コアとコイルとの間に樹脂を十分充填しやすくできるリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトルは、巻線を螺旋状に巻回した一対のコイル素子を互いに並列状態で連結したコイルと、両コイル素子に嵌め込まれて環状のコアの一部を構成する内側コア部と、各コイル素子から露出して内側コア部同士を連結することで環状のコアの残部を形成する露出コア部とを備えるリアクトルに係る。このリアクトルは、前記コイルとコアとの組立体の少なくとも一部を覆う外側樹脂部を備える。そして、このリアクトルは、前記露出コア部のうち、前記コイルの端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面との接合箇所の少なくとも一部に切欠角部を備えることを特徴とする。
上記切欠角部は、代表的には、内端面と隣接面との稜線の少なくとも一部が曲面又は平面により切り欠かれた部分をいい、曲面及び平面の少なくとも一方で構成される。内端面と隣接面との接合箇所において切欠角部を備える箇所は、上述のように切欠角部を構成する曲面や平面が存在することで、内端面と隣接面との実際の稜線が存在しない。従って、内端面と隣接面との接合箇所は、切欠角部により構成される形態、切欠角部と、内端面と隣接面との稜線とで構成される形態が挙げられる。
この構成によれば、露出コア部のうち、コイルの端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面との接合箇所の少なくとも一部に切欠角部を設けることで、コイルの端面と露出コア部の内端面との隙間が狭い場合やコイル素子間の間隔が狭い場合でも、切欠角部を介してコアとコイルとの間に外側樹脂部の構成樹脂を案内することができる。そのため、上記構成によれば、この構成樹脂の充填性を向上させることができ、コアとコイルとの間に空孔が生じることを可及的に抑制できる。また、切欠角部は、リアクトル組立時などに、露出コア部の損傷や露出コア部と組み合わせる他の部材の損傷を抑制することもできる。露出コア部の搬送時、マニピュレータなどで露出コア部をハンドリングしたり、露出コア部が他の部材に接触することがある。その際、露出コア部に切欠角部を設けておくことで、その角部の欠け等を抑制することができる。さらに、切欠角部により、前記内端面と隣接面との接合箇所がエッジ状になっていないため、露出コア部がコイルに接触しても、コイルの絶縁被覆を損傷させることを防止し易い。
本発明のリアクトルの一形態として、前記切欠角部は、前記内端面と前記隣接面との稜線を丸めることで構成されてなることが挙げられる。
この構成によれば、内端面と隣接面とが形成する稜線を丸めることで、内端面と隣接面との仮想稜線に沿った形状で、かつ外側樹脂部の構成樹脂が回り込み易い形状の切欠角部を形成できる。そのため、この切欠角部からコアとコイルとの間に前記構成樹脂を容易に導入できる。また、切欠角部が内端面と隣接面との稜線を丸めた構成である場合、切欠角部が曲面により構成されることで、上述したリアクトル組立時の露出コア部の損傷を一層抑制し易い。
本発明のリアクトルの一形態として、前記露出コア部におけるリアクトルの設置側の面及びその反対面の少なくとも一方が、前記内側コア部におけるリアクトルの設置側の面及びその反対面の少なくとも一方よりも突出していることが挙げられる。
この構成によれば、露出コア部の特定面(上記設置側の面、及びその反対面。代表的には、上下面)を内側コア部よりも特定面と直交方向に突出させること(このようなコアを3Dコアという)で、露出コア部におけるコイル軸方向の長さ(露出コア部の厚さ)を小さくでき、リアクトルを平面視した場合の投影面積を小さくすることができる。また、この露出コア部の特定面の突出により、内端面のうち、コイルの端面と対向する領域が広くなり、コイル端面側におけるコアとコイルとの隙間が封鎖されることになる。結果として、コアとコイルとの間に前記構成樹脂を充填することがより困難になる。そのため、3Dコアの場合、内端面と隣接面との接合箇所に切欠角部を備える構成とすることは、円滑な構成樹脂の充填を行う上で、特に効果的である。
本発明のリアクトルの一形態として、露出コア部の隣接面を、前記内端面に隣接する側面とすることが挙げられる。
この構成によれば、露出コア部の側面とコイル端面との間から構成樹脂を充填し易くできる。特に、圧粉成形体で露出コア部を構成する場合、内端面と側面とが形成する稜線に沿った方向を、成形型から露出コア部を抜き出す方向に対応させることができ、この稜線に沿って切欠角部を備える構成とすると、内端面と隣接面との接合箇所が鋭角にならず、露出コア部を成形型から容易に抜くことができる。
本発明のリアクトルの一形態として、前記露出コア部の隣接面は、前記内端面に隣接するリアクトルの設置側の面及びその反対面の少なくとも一方で、前記切欠角部は、コイルの端面のうち、各コイル素子の巻線が隣合わせに並列配置される箇所に対向して形成されていることが挙げられる。
この構成によれば、露出コア部の設置側の面やその反対面とコイル端面との間から構成樹脂を充填し易くできる。特に、露出コア部の特定面(上記設置側の面、及びその反対面。代表的には、上下面)が内側コア部の特定面と面一となったコア(このコアを平坦コアという)であっても、切欠角部が、コイルの端面のうち、各コイル素子の巻線が隣合わせに並列配置される箇所に対向して形成されているため、コイル素子間に構成樹脂を容易に充填することができる。
上記平坦コアの変形として、例えば、露出コア部の設置側の面に平行で、かつコイルの軸方向に垂直な方向に、露出コア部の長さが長くなった形態とすることができる。この場合、上述した3Dコアと同様に、露出コア部の内端面のうち、コイルの端面と対向する領域が広くなることで、当該内端面とコイルの端面との隙間が閉鎖され得る。特に、コイルの外周面と露出コア部の隣接面(側面)とが面一となるように露出コア部が形成されている場合、上記隙間が実質的に塞がれる。これに対して、上述のように、内端面と隣接面との接合箇所に切欠角部を備える構成とすることで、コアとコイルとの間に外側樹脂部の構成樹脂を回り込み易くすることができる。但し、この切欠角部は、後述するように、切欠角部による磁束の流れの変化が無視できる程度となるように設けることが好ましい。
上述のように露出コア部の内端面と隣接面(側面や、設置側の面及びその反対面)との接合箇所に切欠角部を設ける場合、切欠角部を大きくするほど、露出コア部とコイルとの間から構成樹脂を導入し易い。しかし、切欠角部が大き過ぎると、コイルを励磁した際にコア内に形成される磁路面積が減少したり、露出コア部と内側コア部との間で漏れ磁束を生じる恐れがある。従って、磁路面積を十分に確保でき、漏れ磁束による損失が許容範囲となるように切欠角部の大きさを適宜設定する。即ち、切欠角部による磁束の流れの変化が無視できる程度となるように切欠角部を設けることが好ましい。こうすることで、コイルの端面と露出コア部との隙間やコイル素子間の間隔を狭くして小型化を図る場合でも、磁路面積を十分に有し、かつ構成樹脂を導入し易くすることができる。
本発明のリアクトルの一形態として、前記コアが圧粉成形体であることが挙げられる。
この構成によれば、圧粉成形体であることで、切欠角部を有していたり、上述した3Dコアのような複雑形状なコアであっても容易に構成することができる。
本発明のリアクトルの一形態として、前記露出コア部の内端面と前記コイルの端面との間隔が0.5mm〜4.0mmであることが挙げられる。
この構成によれば、露出コア部の内端面とコイルの端面との間への外側樹脂部の構成樹脂の充填を確保しながら、リアクトル(コア)自体が大型化することを抑制できる。
本発明のリアクトルの一形態として、さらに、前記コイルの形状を保持する内側樹脂部を備える構成が挙げられる。この場合、前記外側樹脂部は、前記コアと内側樹脂部を備えるコイルとの組立体の少なくとも一部を覆う。
この構成によれば、内側樹脂部がコイルの形状を保持することで、コイルを伸縮しない部材として取り扱うことができ、リアクトルの製造性を向上することができる。また、コイルやコアは、内側樹脂部と外側樹脂部とで二重に覆われる箇所を有するため、機械的・電気的に十分に保護することもできる。そして、切欠角部の形成により、露出コア部の内端面と内側樹脂部のコイル端面側の表面との間に外側樹脂部の構成樹脂を確実に充填させることができる。
本発明のリアクトルの一形態として、さらに、前記コイルとコアとの組立体を収納するケースを備えることが挙げられる。
この構成によれば、組立体をケースに収納することで、組立体自体を機械的、電気的に保護することができる。また、ケースを熱伝導性に優れる材質で構成したり、ケースを表面積の大きな形態(例えば、フィンを有する形態)とすることで、ケースを通じて組立体の放熱性を高めることもできる。さらに、組立体とケースとの間に外側樹脂部の構成樹脂を充填する際、上記切欠角部によりケースと組立体との間における構成樹脂の流路を形成し易くできる。
本発明のリアクトルによれば、コアとコイルとの間に外側樹脂部の構成樹脂を十分に充填することができ、外側樹脂部でコアとコイルとの組立体を確実に被覆したリアクトルとすることができる。また、リアクトル組立時のコアの損傷も抑制できる。
図1は、実施形態1に係る本発明リアクトルを示す斜視図である。 図2は、図1のリアクトルの底面図である。 図3は、図1のリアクトルを構成する組立体の分解斜視図である。 図4(I)は図1のリアクトルに用いたコアの分解斜視図、図4(II)はそのコアを構成する露出コア部の平面図である。 図5は、リアクトルのコイルを励磁したときの磁束の流れを示す説明図であり、図5(I)は、実施形態1に係る本発明リアクトルの例、図5(II)は、切欠角部を有していないコアを備えるリアクトルの例を示す。 図6は、実施形態1に備える露出コア部の別の形状を示す斜視図であり、図6(I)は、内端面の仮想の周縁の全周に亘って切欠角部を備える例、図6(II)は、側面と内端面との接合箇所、内端面における両コイル素子が並列配置される箇所との対向箇所、設置側の面と内端面との接合箇所に切欠角部を備える例、図6(III)は、側面と内端面との接合箇所、設置側の面と内端面との接合箇所の一部のみに切欠角部を備える例、図6(IV)は、設置側の面と内端面との接合箇所において側面寄りの一部のみに切欠角部を備える例、図6(V)は、設置側の面と内端面との接合箇所において中央部のみに切欠角部を備える例、図6(VI)は、設置側の面と内端面との接合箇所に切欠角部を備える例、図6(VII)は、側面と内端面との接合箇所の一部にのみ切欠角部を備える例を示す。 図7は、実施形態1に係る本発明リアクトルに備えるコアとコイルとの組立体の変形例を示し、図7(I)は、概略正面図、図7(II)は、コアの分解斜視図である。 図8は、実施形態2に係る本発明リアクトルに用いるコアを示し、図8(I)は断面が矩形の切欠角部を有するコアの部分斜視図、図8(II)は断面が三角形の切欠角部を有するコアの部分斜視図、図8(III)は図8(I)、図8(II)に示す露出コア部の平面図である。 図9は、実施形態3に係る本発明リアクトルを示す概略斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係る本発明のリアクトルを図1〜図5に基づいて説明する。各図において、同一部材には同一符号を付している。
[全体構成]
このリアクトル1は、コイル10(図3)と環状のコア20(図3)の一部とを内側樹脂部30(図3)で一体に成形したコイル成形体1M(図3)と、コア20の残部との組立体1A(図3)が外側樹脂部40(図1)で覆われてなる。コア20は、コイル10の内側に嵌め込まれる内側コア部22(図3、図4)と、これら内側コア部22の端面同士を接合して、コイル10から露出される露出コア部24(図2〜図4)とを備える。さらに、外側樹脂部40により端子金具50(図1)を一体に成形すると共にナット穴43(図1)も成形し、そのナット穴43に嵌め込まれたナット60(図1)及び端子金具50を用いて端子台を構成している。
[設置状態、用途]
このリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。このリアクトル1が、例えば、ハイブリッド自動車のDC‐DCコンバータの構成部品として用いられる場合、リアクトル1の平坦な下面を設置面(図2の内側樹脂部30の下面や露出コア部24の下面が露出された面)として、図示しない冷却ベース(固定対象)に直接設置して使用される。
このリアクトル1の最も特徴とするところは、図4に示すように、両露出コア部24において、内側コア部22とコイルの端面の双方に対向される内端面24fと、その内端面24fに隣接する側面24sとで形成される稜線を丸めて切欠角部24gを形成した点にある。以下、リアクトル1及びその構成要素において、リアクトル1を冷却ベースに設置したときに設置側を下側、その対向側を上側として説明する。
[コイル成形体]
図3に示すように、リアクトル1を構成するコイル成形体1Mは、コイル10と、コイル10の外周の大半を覆う内側樹脂部30と、後述する内側コア部22とを備える。
《コイル》
コイル10は、巻線10wを螺旋状に巻回して形成した一対のコイル素子10A、10Bを備える。両コイル素子10A、10Bは、互いに同一巻数で、軸方向から見た形状がほぼ矩形(角部を丸めた長方形状)のコイルで、その軸方向が平行になるように横並びに並列されている。また、これら両コイル素子10A、10Bは、接合部のない一本の巻線で構成されている。即ち、コイル10の一端側において、巻線10wの一方の端部10eと他方の端部10eが上方に引き出され、コイル10の他端側において、巻線10wをU型に屈曲した連結部10rを介して両コイル素子10A、10Bを連結している。この構成により、両コイル素子10A、10Bの巻回方向は同一となっている。また、本例では、連結部10rがコイル素子10A、10Bの上部のターン形成面10fよりも外側に高く突出されている。そして、各コイル素子10A、10Bの端部10eは、それぞれ、ターン部10t(ここではターン形成面10f)の上方に引き出され、コイル素子10A、10Bに電力供給するための端子金具50(図1)に接続される。
上記コイル素子10A、10Bを構成する巻線10wには、銅製の平角線をエナメル(代表的には、ポリアミドイミド)で被覆した被覆平角線を用いる。被覆平角線は、エッジワイズ巻きされて中空角筒状のコイル素子10A、10Bを形成する。その他、巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。平角線は、丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを形成し易い。
《内側樹脂部》
このようなコイル10の外周には、コイル10を圧縮状態に保持する内側樹脂部30が形成されている。内側樹脂部30は、各コイル素子10A、10Bの外形にほぼ沿うように各コイル素子10A、10Bのターン部10tを覆うターン被覆部31と、連結部10rの外周を覆う連結部被覆部33とを備える。ターン被覆部31と連結部被覆部33とは一体に成形され、ターン被覆部31は実質的に均一な厚さでコイル10を覆っている。本例では、内側樹脂部30により内側コア部22がコイル10と一体化されているが、その内側コア部22とコイル10との間も内側樹脂部30の厚さが実質的に均一とされている。但し、各コイル素子10A、10Bの角部と巻線の端部10eとは内側樹脂部30から露出されている。また、ターン被覆部31は、主として、コイル素子10A、10Bと内側コア部22との間の絶縁を確保すると共に、コイル素子10A、10Bに対する内側コア部22の位置決め機能を有する。一方、連結部被覆部33は、リアクトル1の外周に外側樹脂部40(図1、図2)を形成する際、連結部10rを機械的に保護する機能を有する。
また、内側樹脂部30における両コイル素子10A、10B間には、図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を収納するセンサ用穴41h(図1)が形成されている。
このような内側樹脂部30の構成樹脂は、コイル成形体1Mを備えるリアクトル1を使用した際に、コイルや磁性コアの最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。また、上記樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合すると、放熱性を高められる。
[コア]
コア20は、コイル10を励磁した際に環状の磁路(閉磁路)を形成する環状部材である。このコア20は、各コイル素子10A,10Bの内側に嵌め込まれる一対の内側コア部22と、コイル10から露出される一対の露出コア部24とを備える。
コア20のうち、内側コア部22は、概略直方体状の部材である。内側コア部22は、図4に示すように、鉄や鋼などの軟磁性材料からなるコア片22cと、コア片よりも透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材からなるギャップ材22gとを交互に配置して接着剤で接合されている。コア片22cには、複数の電磁鋼板を積層した積層体や軟磁性粉末の圧粉成形体が利用できる。ここでは圧粉成形体を用いている。ギャップ材22gは、インダクタンスの調整のためにコア片22c間に配置される板状材である。コア片22cやギャップ材22gの個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片22cやギャップ材22gの形状は適宜選択することができる。そして、この内側コア部22の両端面は、内側樹脂部30の端面からわずかに突出されている。
一方、露出コア部24は、コア片22cと同様の材質から構成されるブロック体である。ここでは、軟磁性粉末の圧粉成形体からなって、コイル成形体1Mの端面に対面する内端面24fと、内端面24fと対向して環状のコアの外側に現れる外端面24bと、内端面24f及び外端面24bをつなぐ両側面24sと、リアクトル1(図1)を設置したときに設置面となる略台形状の面(下面24d(図2))及びその反対面(上面24u)とを備える略台形断面の露出コア部24を用いている。
さらに、この内端面24fと両側面24sとの接合箇所に切欠角部24gを備える。本例では、内端面24fと両側面24sとの稜線を丸めることで、露出コア部24の上下方向に沿って一様な曲率を有する切欠角部24gを構成している。また、内端面24fと各側面24sとは、切欠角部24gを構成する曲面により接合されている。この切欠角部24gは、上記稜線が丸められて形成される曲面部分を有する成形型を用いて圧粉成形体の成形時に形成することが好ましい。このような成形型を用いることで、当該成形型の曲線部分により、切欠角部24gが容易に形成される。その他、丸められていない稜線を有する圧粉成形体を形成しておき、その稜線を切削、研削、研磨などにより事後的に加工して切欠角部24gを形成してもよい。例えば、本例では、露出コア部24の内端面24fと各側面24sとの仮想稜線の全域に亘ってそれぞれ切欠角部24gを備える構成としているが、上記切削などの加工を適宜利用することで、内端面24fと側面24sとの接合箇所の一部にのみ切欠角部が設けられ、内端面24fと側面24sとの稜線の一部が存在する構成とすることができる。また、切欠角部24gの断面形状は円弧状に限らず、内端面24fと側面24sとの稜線を平面で面取りした形状でもよい。この場合、切欠角部24gは平面で構成される。このような切欠角部24gは、露出コア部の断面積が内側コア部の断面積以下にならず、当該切欠角部による磁束の流れの変化が無視できる程度となるように設けることが好ましい。
本例の切欠角部24gの円弧半径は3mmとした。この円弧半径は1mm以上、10mm以下程度であると、切欠角部24gの形成により磁路面積が過度に低減されることを防止できる。図5は、コイルを励磁した際の磁束の流れをシミュレーションにより求めた結果であり、細線は磁束を示す。図5に示すリアクトルはいずれも、一方のコイル素子及びその近傍のみを示すが、実際には一点鎖線を中心線として対称な構成が存在する。なお、図5では、内側樹脂部を省略している。また、図5のコア片及びギャップ材の数は例示である。
図5(II)に示すリアクトル1000は、切欠角部を有していない点を除いてリアクトル1と同様の構成であり、コイル100と、内側コア部220及び露出コア部240を有するコア200とを備える。リアクトル1000では、図5(II)に示すようにコイル100が配置される内側コア部220と、コイル100が配置されない露出コア部240との間(ギャップ材220g部分)において、僅かに磁束が漏れるものの、この漏れによる損失は許容範囲である。一方、切欠角部24gを備えるリアクトル1でも、コイル10が配置される内側コア部22と、コイル10が配置されない露出コア部24との間(ギャップ材22g部分)において、僅かに磁束の漏れがみられるものの、リアクトル1000と同程度であることが分かる。このようにリアクトル1では、漏れ磁束に伴う損失が実質的に無視できる程度となるように切欠角部24gを設けている。なお、図5(I)に示す例のように、ギャップ材22gにも切欠角部24gと同様な切欠を設けることで、内側コア部22の磁路面積を実質的に減少することなく、内側コア部22にも切欠角部24gと同様な機能(後述)を有する切欠を備える形態とすることができる。
この切欠角部24g(上述したギャップ材の切欠も同様)は、例えば、図2に示すように、コイル成形体1Mと露出コア部24とを組み合わせて組立体1A(図3)を構成した際、露出コア部24の側面24sとコイル成形体1Mにおけるターン被覆部31の側面との間に溝(図2)を形成する。この溝は、組立体1Aの外側に外側樹脂部40を成形する際、外側樹脂部40の構成樹脂を露出コア部24の内端面24fとコイル成形体1Mの端面との間に導入するための案内溝として機能する。また、この組立体1Aの構成時、切欠角部24gは、露出コア部24をマニピュレータなどでハンドリングしても露出コア部24の周縁が欠けることを抑制する機能も兼ねる。そして、この露出コア部24は、並列された一対の内側コア部22の両端部同士をつなぐように配され、接着剤で内側コア部22と接合される。これら内側コア部22と露出コア部24の接合により閉ループ状(環状)のコア20(図3)が形成される。内側コア部22(図3)と露出コア部24とを接合した状態において、露出コア部24の側面は、内側コア部22の外側面よりも外方に突出している。そのため、内側コア部22の外周にコイルを配置すると、コイル端面のほぼ全周が露出コア部の内端面24fに対向することになる。
また、図3、4に示すように、各露出コア部24は高さ(図3、4において上下方向の寸法)が異なる。連結部被覆部33の下方に配される一方(図3の右側)の露出コア部24の上下面は内側コア部22の上下面よりも上下に突出し、かつターン被覆部31の上下面とほぼ面一となっている。これに対して、巻線の端部10e側に配される他方(図3の左側)の露出コア部24の下面24d(図2)は内側コア部22の下面よりも下方に突出してターン被覆部31の下面とほぼ面一となっているが、露出コア部24の上面24uは内側コア部22の上面とほぼ面一となってターン被覆部31の上面よりも低い。その一方で、一方の露出コア部24は、他方の露出コア部24に比べて厚み(コイル軸方向の寸法)が薄い。つまり、両露出コア部24は、互いに高さと厚みとを変えるが実質的に同体積を確保することで、各露出コア部24における磁気特性を実質的に等価としている。その上、コイル10の連結部10rをターン形成面10fよりも上方に形成したことで(図3)、連結部被覆部33の下方に他方の露出コア部24よりも薄い露出コア部24を配することができ、リアクトルの投影面積を小型化することができる。露出コア部24の上下面は少なくとも、内側コア部22の上下面と面一となる程度とすることが好ましい。例えば、内側コア部22の上面よりも露出コア部24の上面24uが低くなれば、内側コア部22から露出コア部24に移行する過程で十分な磁路を確保できない虞があるためである。
さらに、リアクトル1では、図2に示すように環状に組まれた状態のコア20における露出コア部24の下面24dは、コイル成形体1Mの設置面となる下面とほぼ面一となるように構成されている。この構成により、リアクトル1を冷却ベースに固定したときに、内側樹脂部30だけでなく、露出コア部24も冷却ベースに接触することになるので、運転時にリアクトル1で発生する熱を効率良く放熱させることができる。
その他、この露出コア部24の内端面24fとコイルの端面との間隔は、0.5mm〜4.0mmとすることが好ましい。この間隔を0.5mm以上とすることで、露出コア部24の内端面24fとコイル10(図3)の端面との間に外側樹脂部40の構成樹脂を充填し易くできる。また、この間隔を4.0mm以下とすることで、コア20が大型化することを抑制できる。なお、内側樹脂部30を設けたコイル10の場合、この露出コア部24の内端面24fとコイル10の端面との間隔は、露出コア部24の内端面24fとコイル成形体1Mの端面との間隔とする。本例では、この露出コア部24の内端面24fとコイル成形体1Mの端面との間隔を0.5mmとしている。
[端子金具とナット]
コイルを構成する巻線の各端部10e(図3)には、各々端子金具50(図1)が接続される。端子金具50は、電源などの外部機器側と接続するための接続面52と、巻線の端部10eに溶接される溶接面(図示略)と、接続面52と溶接面とを一体化して、外側樹脂部40に覆われる埋設部(図示略)とを備える。同金具50の殆どは外側樹脂部40に埋没しており、接続面52のみが後述する外側樹脂部40から露出されている。この接続面52は、高さが低い他方の露出コア部24(図3)の上方に配置され、この露出コア部24の上面24u(図3)と接続面52との間に外側樹脂部40が充填されて端子台が構成される。高さの低い露出コア部24の上に端子金具50を配するため、コイルの上方に端子金具を設けて端子台を別途形成する場合に比べて、端子金具50を含むリアクトルの高さを小さくできる。
この端子台には、接続面52の下方においてナット60が配置される(図1)。このナット60は、後述する外側樹脂部40で成形されたナット穴43に回り止めされた状態で収納される。この回り止めは、六角形のナット60を六角形のナット穴43に嵌め込むことで実現している。そして、ナット穴43の開口部には、接続面52が覆うように配される。
接続面52にはナット60の対角寸よりも小さな内径の挿通孔52hが形成されており、ナット60がナット穴43から抜け出すことを接続面52が阻止する。リアクトルを利用する際、図示しないリード線の先端に設けられた端子を接続面52に重ね、この端子及び接続面52をボルト(図示略)で貫通してナット60に螺合することで、リード線の基端につながる外部機器(図示略)からコイル10(図3)に給電する。本例では、この端子とボルトとを端子台に取り付けた状態において、リアクトルの最も高い位置、つまり後述する外側樹脂部40のうち、コイルの連結部を覆う連結部被覆部33と、巻線端部10e(図3)と端子金具50との溶接個所を覆う保護部とを結ぶ平面よりもボルトの上面が低くなるように接続面52の高さが設定されている。そのため、ボルトの頭部がリアクトル1から局部的に突出することもない。
[外側樹脂部]
外側樹脂部40は、図2に示すようにコイル成形体1Mの下面と露出コア部24の下面24dとが露出され、かつ図1に示すようにコイル成形体1Mと露出コア部24との組立体1A(図3)における上面の大半と外側面の全部とを覆うように形成されている。コイル成形体1Mの下面及び露出コア部24の下面24dを外側樹脂部40から露出することで、リアクトル1で発生した熱を効率的に冷却ベースに放熱する。また、前記のように組立体1Aの上面と外側面とを外側樹脂部40で覆うことにより、前記組立体1Aを機械的に保護する。
より具体的には、図2に示すように、リアクトル1の設置面側において露出コア部24の下面24dとコイル成形体1M(ターン被覆部31)の下面とが露出し、図1に示すように、リアクトル1の上側において連結部被覆部33の上面が露出するように外側樹脂部40が形成されている。
また、外側樹脂部40は、リアクトルを平面視した場合、コイル成形体1Mと露出コア部24(図3)との組立体1A(図3)の輪郭よりも外側に突出したフランジ部42を備える。このフランジ部42には、リアクトル1を冷却ベースに固定するためのボルト(図示略)の貫通孔42hが形成されている。本例では、金属カラー42cを外側樹脂部40でインサート成形し、このカラー42cの内部を貫通孔42hとしている。金属カラー42cには、真鍮、鋼、ステンレス鋼などが利用できる。貫通孔42hは、外側樹脂部40の構成樹脂により形成してもよい。
さらに、外側樹脂部40の上面には、コイルの端部10e(図3)と端子金具50との接合部分を覆う保護部を有する。保護部は、ほぼ矩形のブロック状に成形されている。その他、外側樹脂部40の上面は、内側樹脂部30から突出するセンサ収納管の先端と面一に成形されて、センサ用穴41hが構成されている。
そして、外側樹脂部40の側面は、リアクトル1の上部から下部に向かって広がる傾斜面で形成されている。このような傾斜面を設けることで、後述するようにコイル成形体1Mと露出コア部24(図3)との組立体1A(図3)を倒立状態として外側樹脂部40を成形する場合、成形後のリアクトルを金型から容易に抜き出すことができる。
外側樹脂部40の構成樹脂には、不飽和ポリエステルが利用できる。不飽和ポリエステルは、割れが生じ難く、安価であるので好ましい。その他、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂なども外側樹脂部40に利用できる。外側樹脂部40の構成樹脂は、内側樹脂部30の構成樹脂と同じでも異なっていてもよい。また、外側樹脂部40の構成樹脂にも上述したセラミックスからなるフィラーを含有させて、放熱性を高めてもよい。
<リアクトルの製造方法>
以上説明したリアクトル1は、大きく分けて以下の(1)〜(3)の工程を経て作製される。
(1)コイル及び内側コア部に対して内側樹脂部を成形してコイル成形体を得る第一成形工程
(2)コイル成形体と露出コア部とを組み立てて組立体とする組立工程
(3)この組立体に対して外側樹脂部を成形してリアクトルとする第二成形工程
(1)第一成形工程
まず、1本の巻線10wを巻回して、一対のコイル素子10A、10Bが連結部10rで連結されたコイル10を形成する(図3)。次いで、内側コア部22を用意し、各コイル素子10A、10Bの内側に内側コア部22を挿入する。続いて、組み合わせたコイル10と内側コア部22との外周に内側樹脂部30を成形するための金型を用意し、その金型にコイル10と内側コア部22とを収納する。その際、各コイル素子10A、10Bの角部に相当する個所を金型内面の凸部(図示略)で支持し、凸部以外の金型内面とコイル10との間には、一定のギャップが形成されるようにする。さらに、内側コア部22の端面を金型の凹部で支持して、内側コア部22と各コイル素子10A、10Bとの間にも一定のギャップが形成されるようにする。
成形に用いる金型は、開閉する第一金型と第二金型との一対から構成される。第一金型は、コイル10の一端側(始端・終端側)に位置する端板を備える。一方、第二金型は、コイルの他端側(連結部10r側)に位置する端板と、コイル10の周囲を覆う側壁とを備える。
また、第一・第二金型には、駆動機構で金型の内部に進退可能な複数の棒状体が設けられている。ここでは、合計8本の棒状体を用い、各コイル素子10A、10Bのほぼ角部を押圧してコイル10を圧縮させる。但し、連結部10rは棒状体で押すことが難しいため、連結部10rの下方を棒状体で押すこととしている。棒状体は、コイル10が内側樹脂部で被覆されない箇所を少なくするため極力細くするが、コイル10を圧縮するのに十分な強度と耐熱性とを備えたものとする。コイル10を金型内に配置した段階では、コイル10は未だ圧縮されておらず、隣接するターンの間に隙間が形成された状態となっている。
次に、棒状体を金型内に進出してコイル10を圧縮する。この圧縮により、コイル10の隣接するターン同士が接触され、各ターン間に実質的に隙間のない状態となる。また、金型内における圧縮状態のコイル10の所定の位置に上記センサ収納管を配置する。
その後、樹脂注入口から金型内にエポキシ樹脂を注入する。注入された樹脂がある程度固化して、コイル10を圧縮状態に保持できるようになれば、棒状体を金型内から後退させても良い。
そして、樹脂が固化して、コイル10を圧縮状態に保持すると共に内側コア部22も一体化したコイル成形体1Mが成形されると、金型を開いて同成形体1Mを金型から取り出す。
得られたコイル成形体1M(図3)は、棒状体で押圧されていた箇所が内側樹脂部で覆われておらず、複数の小穴を有する形状に成形されている。この小穴は、適宜な絶縁材などで充填しても良いし、そのまま放置しておいても良い。なお、コイル10を圧縮しないで自由長のままとする場合、上記棒状体による押圧を行わなくてよい。また、金型内でコイル10を圧縮する棒状体を用いる代わりに、コイル10を圧縮状態に保持する適宜な治具(図示略)を用い、この治具ごとコイル10を金型内に収納してコイル成形体1Mを成形してもよい。
(2)組立工程
まず、作製したコイル成形体1Mの巻線の端部に端子金具50を溶接する。この溶接を行う段階では、端子金具の接続面52は溶接面とほぼ平行に配され、図1の上下方向に伸びている。この接続面52は、外側樹脂部40の成形後、ナット60の上方を覆うようにほぼ90°屈曲される。
次に、両内側コア部22の端面を露出コア部24で挟み込み、これら内側コア部22と露出コア部24とを接合して環状のコア20を形成する。露出コア部24と内側コア部22との接合は、接着剤により行う。
(3)第二成形工程
次に、組立工程で得られた組立体1Aの外周に外側樹脂部40を形成するための金型を用意する。この金型は、上部に開口を有する容器状の基部と、基部の開口を閉じる蓋部とを備える。基部の内部には、組立体1Aが図1の上面を下向きにした倒立状態で収納される。
基部の内底面は、図1に示す外側樹脂部40の外形、即ち、リアクトル1の外形のうち、主に上面側の形状を形作るように形成されている。具体的には、基部の内底面には凹部が形成されており、この凹部にコイル成形体1Mの連結部被覆部33を嵌合できるようになっている。この嵌合により、基部内での組立体1Aの位置合わせを容易に行える。その他、図1に示すナット穴43を成形するための凸部や端子金具50の接続面52が挿入されるスリットも基部の内底面に形成されている。
また、基部の内底面には、同一直線上に乗る合計3つの樹脂注入ゲートが形成されている。3つのゲートのうち、中間に位置する内側ゲートは、基部内に組立体1Aを配置した際、並列される一対のコイル素子10A、10Bの間に開口している。また、内側ゲートを挟む残り2つの外側ゲートは、それぞれ内側ゲートとの間に露出コア部24を挟む位置に開口している。樹脂注入ゲートは、蓋部に設けることもできる。
一方、蓋部の基部に対向する面は平面に形成され、リアクトルの設置面を平坦な面に成形することができる。蓋部の基部に対向する面が平面であれば、蓋部で封止した金型内に樹脂を注入する際、空気が溜まり易い凹凸が蓋部にないため、外側樹脂部40に欠陥が生じ難い。なお、リアクトル1の設置面に全く凹凸を形成しないのであれば、蓋部を用いることなく基部内に樹脂を注入するだけでも良い。その場合、注入した樹脂の液面が、設置面を形成することになる。
金型内に組立体1Aを配置したら、基部の開口側に蓋部を被せる。金型を閉じたら、各樹脂注入ゲートから外側樹脂部40となる不飽和ポリエステルを金型内に注入する。このとき、露出コア部24の切欠角部24gは、コイル成形体1Mの端面と露出コア部24との間に溝を形成している。そのため、この溝を介して不飽和ポリエステルが、露出コア部24の内端面24fとコイル成形体1Mの端面との間に容易に入り込む。その結果、コイル成形体1Mと露出コア部24との間に外側樹脂部40の構成樹脂が十分に充填され、当該外側樹脂部40に空孔が形成されることもない。また、複数の樹脂注入ゲートにより、環状のコア20の内側からと外側から樹脂が注入されるため、コアの内側から外側に向かってコアに作用する圧力と、コアの外側から内側に向かってコアに作用する圧力とが打ち消しあい、コア20が損壊することなく、早期に樹脂の充填が行える。この効果は、樹脂の注入圧力が高い場合に特に顕著である。
外側樹脂部40の成形を終えたら金型を開き、その内部からリアクトル1を取り出す。その後、取り出したリアクトルのナット穴43にナット60を嵌め込む(図1)。そして、端子金具の接続面52をほぼ90°屈曲して、その接続面52がナット60の上部を覆うようにしてリアクトル1を完成する。
以上説明したように、本発明のリアクトルによれば、次の効果を奏することができる。
露出コア部24における内端面24fと側面24sとの接合箇所に切欠角部24gを備えることで、この切欠角部24gを介して露出コア部24とコイル成形体1Mのターン被覆部31の端面との間に十分に外側樹脂部40の構成樹脂を充填することができる。特に、リアクトル1では、切欠角部24gに加えて、露出コア部24とコイル成形体1Mの端面との間隔を0.5mmとしていることからも、外側樹脂部40の構成樹脂を十分に充填できる。また、リアクトル1は、切欠角部24gを適宜な大きさとすることで、若干の漏れ磁束があるものの、この漏れ磁束による損失を抑制することができる。そして、このような切欠角部24gを有することで、例えば、コイル素子10A、10B間を狭めて小型化を図ることができながら、生産性よくリアクトル1を製造することができる。
露出コア部24とコイル成形体1Mとを組立時、露出コア部24をマニピュレータなどでハンドリングしても、内端面24fと隣接面(ここでは側面24s)との仮想稜線に切欠角部24gが設けられているため、この角部24gの損傷を抑制することができる。加えて、この組立時に露出コア部24がコイル10と接触しても、切欠角部24gによりコイル10の絶縁被覆が損傷される可能性を低減できる。
内側樹脂部30がコイル10を伸縮不能に保持するため、伸縮に伴うコイルのハンドリングの困難性を改善できる。
内側樹脂部30がコイル10とコア20との絶縁の機能も果たすため、従来のリアクトルで用いていた筒状ボビン・枠状ボビンを必要としない。
内側樹脂部30及び外側樹脂部40の成形によりセンサ用穴41hが成形されるため、後加工によりセンサ用穴41hを形成する必要がない。そのため、効率的なリアクトル1の製造が行え、かつセンサ用穴を後加工する場合に問題となったコイル10やコア20の損傷も回避できる。
内側樹脂部30と外側樹脂部40との2層の樹脂部でリアクトルを構成することで、コイル10やコア20が機械的・電気的に保護されたリアクトル1を容易に形成できる。特に、内側樹脂部30を放熱性の高い樹脂とし、外側樹脂部40を耐衝撃性に強い樹脂とすることで、放熱性と機械的強度とを兼備したリアクトルとできる。とりわけ、外側樹脂部40を有することで、軟磁性粉末の圧粉成形体でコアを構成した場合にも機械的強度の高いリアクトル1とすることができる。
外側樹脂部40のフランジ部42に、リアクトル1を冷却ベースに固定するための貫通孔42hを成形することで、この貫通孔42hにボルトを挿通して冷却ベースにねじ込むだけで、ボルト以外にリアクトルの押え金具を別途用意することなくリアクトル1の設置が行える。特に、貫通孔に金属カラー42cを用いることで貫通孔42hが補強され、ボルトの締め付けによりフランジ部42に亀裂が生じることも抑制できる。
一対の露出コア部24の高さを異なるようにし、高さが低い露出コア部24の上に端子金具50を配置し、外側樹脂部40で露出コア部24やコイル成形体1Mを一体に成形することで、端子金具50を含むリアクトル1の高さが大きくなることがない。
外側樹脂部40で端子金具50を一体に成形することで、外側樹脂部40の成形と同時に端子台を構成できる。そのため、別途作製した端子台をリアクトル1に固定するための部材や作業を省略できる。
コイルの連結部10rをターン形成面10fよりも高くすることで、露出コア部24の高さを大きくする一方で厚さ(コイル軸方向の長さ)を小さくでき、リアクトル1の投影面積を小さくできる。とりわけ、軟磁性粉末の圧粉成形体でコア20を構成することで、露出コア部24の高さが内側コア部22の高さと異なるコア20を容易に成形できる。また、露出コア部24の下面24dをコイル成形体1Mの下面及び外側樹脂部40の下面と面一にすることで、リアクトル1の設置面を平面とし、固定対象との広い接触面積を確保することで、安定して配置できる上に、効率的な放熱が可能になる。
外側樹脂部40でナット60自体ではなくナット穴43を成形することで、外側樹脂部40の成形時にナット60が存在せず、ナット内部に外側樹脂部40の構成樹脂が入り込むことを防止できる。一方で、ナット穴43にナット60を収納したのち、端子金具50の接続面52を屈曲させてナット穴43の開口を接続面52で覆うことで、ナット60の脱落を容易に防止できる。
(変形例1)
実施形態1では、内側コア部22が内側樹脂部30でコイル10と一体化されたコイル成形体1Mを用いたが、各コイル素子10A、10Bの内側に中空孔が形成されるように内側樹脂部を成形してもよい。この成形は、コイル10の内側に内側コア部22をはめ込む代わりに中子を挿入して、金型内に中子の挿入されたコイル10を収納した状態で内側樹脂部の構成樹脂を注入すればよい。
(変形例2)
実施形態1では、露出コア部24の内端面24fと各側面24sとの接合箇所にそれぞれ、切欠角部24gを備える構成を説明したが、その他、例えば、図6(I)に示す露出コア部24αのように、内端面24fと側面24sとの接合箇所に加えて、内端面24fと上下面(上面24u)との仮想稜線の全域に亘って、即ち、内端面24fの仮想の周縁の全域に亘って、切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。このような切欠角部24gは、コアを圧粉成形体とすることで容易に成形できる。その他、切欠角部24gは、上述したように切削や研磨などの加工により形成することができる。この形態によれば、コイル端面と露出コア部24αの内端面24fとの間に、内端面24fの全域に亘って、切欠角部24gによる隙間が設けられることで、コイルとコアとの間に外側樹脂部の構成樹脂を更に導入し易い。また、この露出コア部24αは、線対称図形となっていることから、設置側の面を図6(I)に示す上下面のいずれの面も利用可能であり、組立作業性に優れる。また、露出コア部24αは、仮想周縁の全域に切欠角部24gを備えることで、コイルの端面寸法が増減した場合にもある程度対応できるため、汎用性が高いと期待される。
或いは、図6(II)に示す露出コア部24βのように、内端面24fと各側面24sとの接合箇所に加えて、内端面24fと上下面の一方(ここでは上面24uとの対向面である下面)との仮想稜線の全域に亘って切欠角部24gが設けられた形態としたり、内端面24fのうち、リアクトルを組み立てた際に一対のコイル素子の巻線が隣合わせに並列される箇所に対向する箇所、端的に言うと内端面24fの中央部に切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。図6(II)に示す例では、内端面24fの上下方向の全域に亘って、断面矩形状の切欠角部24gが設けられ、[状の溝が設けられた状態になっており、溝の長さは適宜変更してもよい(図6(V)参照)。
或いは、図6(III)に示す露出コア部24γのように、内端面24fと各側面24sとの接合箇所に加えて、内端面24fと上下面の一方(ここでは上面24uとの対向面である下面)との接合箇所の一部にのみ切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。露出コア部24γでは、内端面24fと下面との接合箇所が、切欠角部24gと、内端面24fと下面との稜線とにより構成される。このような切欠角部24gは、コアを圧粉成形体とすることで容易に成形することができる。
実施形態1や図6(I)〜図6(III)に示すように、内端面24fの四つの仮想稜線のうち、複数の仮想稜線に切欠角部24gが設けられた形態の他、内端面24fの一つの仮想稜線にのみ、切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。例えば、図6(IV)に示す露出コア部24δのように、内端面24fと上下面の一方(ここでは上面24uとの対向面である下面)との仮想稜線の一部にのみ切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。特に、露出コア部24δでは、各側面24sに近い領域にそれぞれ切欠角部24gが設けられた形態である。或いは、図6(V)に示す露出コア部24εのように、内端面24fと上下面の一方(ここでは下面24d)との仮想稜線の一部(ここでは、コイル素子の巻線が隣合わせに並列される箇所に対向する中央部)にのみ切欠角部24gが設けられた形態としたり、図6(VI)に示す露出コア部24ζのように、内端面24fと上下面の一方(ここでは下面24d)との仮想稜線の全域に亘って、切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。なお、図6(V)及び図6(VI)のみ、下面24dを上方に向けた倒立状態で図示している。
或いは、実施形態1や図6(I)〜図6(III)に示すように、複数の仮想稜線の全域に亘って切欠角部24gが設けられた形態の他、図6(VII)に示す露出コア部24ηのように、複数の仮想稜線のそれぞれに対して、各仮想稜線の一部にのみ切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。露出コア部24ηでは、内端面24fと各側面24sとの仮想稜線のそれぞれに対して、上下面の一方(ここでは上面24uとの対向面である下面)に近い領域にのみ切欠角部24gが設けられた形態を示す。その他、内端面24fと少なくとも一方の側面24sとの仮想稜線の一部と、内端面24fと上下面の少なくとも一方との仮想稜線の一部とに切欠角部24gが設けられた形態とすることができる。また、露出コア部24ηでは、両切欠角部24gの形状、大きさ、形成箇所を同じにしているが、各切欠角部24gの形状、大きさ、形成箇所を異ならせることもできる。
図6(II)〜図6(VII)に示す形態によれば、内端面24fの四つの仮想稜線のうち少なくとも一つの仮想稜線の少なくとも一部に切欠角部24gを備えることで、例えば、外側樹脂部の形成にあたり、樹脂の導入側に切欠角部24gを配置させることで、コイルとコアとの間に樹脂を導入し易い。特に、図6(II),(III)に示す形態では、内端面24fの四つの仮想稜線のうち、複数の仮想稜線に切欠角部24gを備えると共に、少なくとも一つの仮想稜線の全域に亘って切欠角部24gを備えることで、樹脂の充填性に更に優れる。
また、図6に示す各形態において、特に、内端面24fと設置側となる面(ここでは下面24d)との接合箇所の少なくとも一部に切欠角部24gを備える形態は、図7に示すリアクトル1αのように、露出コア部の設置側となる面:下面24dが内側コア部22の設置側となる面よりも突出した形態に対して、樹脂の充填性の向上に寄与すると期待される。露出コア部が設置側に伸びた形態(図7では、露出コア部の上面24uと内側コア部22の上面とが面一である形態を示す)では、図7に示すように、コイル10の端面と露出コア部の内端面24fとの隙間が狭くなり易い。また、露出コア部の設置側の面が外側樹脂部の金型や後述するケースに接した状態で外側樹脂部を形成する場合、コイルとコアとの組立体と上記金型やケースとの間に十分なスペースを確保し難く、樹脂が充填され難くなる。これに対して、露出コア部24α〜24ηのように、特に、設置側となる面と内端面24fとの接合箇所に切欠角部24gを備えることで、外側樹脂部の構成樹脂の充填性を向上できる。図6(IV),図6(V),図6(VII)に示す露出コア部24δ,24ε,24ηのように、露出コア部の内端面24fと隣接面との接合箇所において、コイルの端面が近接する箇所の近傍のみに切欠角部24gが設けられている場合でも、樹脂の充填性を向上できると期待される。
なお、図7では、一方の露出コア部を図6(IV)に示す露出コア部24δとし、他方の露出コア部を図6(V)に示す露出コア部24εとしているが例示であり、通常、両露出コア部は、その形状が同じものを用いる。また、図6に示す切欠角部24gと、内端面24fや側面24s、上面24u、下面24dとの接合箇所は、エッジ状としてもよいが、図6に示すようにR状(角丸め)とすると、上述のようにコアの欠けやコイルの損傷などを防止できて好ましい。更に、図6(IV)〜図6(VI)に示す切欠角部24gは、内端面24fと上面24uとの接合箇所のみに設けたり、内端面24fと上面24uとの接合箇所及び内端面24fと下面24dとの接合箇所の双方に設けた形態とすることができる。
(実施形態2)
次に、実施形態1とは異なる切欠角部を有する実施形態2のリアクトルを図8に基づいて説明する。本例は、露出コア部の形態と、内側樹脂部を有しない点が実施形態1との主たる相違点であり、他の構成は実施形態1とほぼ共通するため、以下の説明は相違点を中心に行う。なお、図8では、露出コア部を実線で示し、内側コア部22は一方側のみ破線で示して他方側は省略している。また、説明の便宜上、切欠角部24gは実際の寸法よりも大きく誇張して図示している。
本例の露出コア部24θ,24ιはいずれも、その断面形状が実施形態1と同様に略台形状であるが、内側コア部22と同じ高さであり、露出コア部24θ,24ιの上下面(上面24u)が内側コア部22の上下面と面一に構成されている。即ち、実施形態2に示すコアは、平坦コアである。また、内側コア部22と露出コア部24θ又は露出コア部24ιとを組み合わせて環状のコアとしたとき、コアの外周面は内側コア部22と露出コア部24θ又は露出コア部24ιとで連続し、露出コア部24θの側面24sや露出コア部24ιの側面24sが内側コア部22の側面よりも外側に突出することがない。つまり、各内側コア部22の外側に各コイル素子を配置した場合、露出コア部24θ,24ιの内端面24fのうち、コイルの端面に対向する箇所は、各コイル素子の巻線が隣合わせに並列配置される箇所に対向する領域(ここでは中央部)のみである。
このような露出コア部24θ,24ιにおいて、切欠角部24gは露出コア部の内端面24fと上下面(上面24u)との接合箇所にそれぞれ設けられている。具体的には、図8(I)に示すように、露出コア部24θの左右方向(コイル軸方向と直交する水平方向)の中間部に断面が矩形の切欠を設けて切欠角部24gとする。この切欠角部24gの形成箇所は、内側コア部22の外側にコイルを配置した際、コイルの端面と対向する箇所であって、上記コイル素子の巻線が隣合わせに並列される箇所になる。その他、図8(II)に示す露出コア部24ιのように、露出コア部24θと同一箇所に断面が三角の切欠を設けて別構成の切欠角部24gとしてもよい。図8に示す露出コア部24θ,24ιでは、内端面24fと上下面(上面24u)との接合箇所が、切欠角部24gと、内端面24fと上下面(上面24u)との稜線とで構成される。
このようなコアでリアクトルを構成するには、まず内側コア部22の外側にコイルを配置する。次に、内側コア部22の両端面に露出コア部24θや露出コア部24ιを接合する。そして、このコアとコイルとの組立体の外周を外側樹脂部で覆う。
本例の場合も、切欠角部の箇所からコイルの端面における両コイル素子の間に向かって外側樹脂部の構成樹脂を案内することができる。そのため、切欠角部がない場合に比べて、コイルとコアとの間に外側樹脂部をより確実に充填することができる。なお、本例においても、内側樹脂部を有する形態とすることができる。
(実施形態3)
次に、ケースを用いた本発明の実施形態を図9に基づいて説明する。実施形態3のリアクトル1βの他の実施形態との相違点は、ケース70を用いていることに加え、内側樹脂部を用いていないことが挙げられる。露出コア部24に切欠角部が設けられている点は、実施形態1と同様である。以下、その相違点を主として説明する。
リアクトル1βに備える本例のケース70は、上部が開口した矩形の有底容器状のもので、アルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属材料で構成されている。このケース70に、コア20とコイル10との組立体が収納される。本例の組立体は、内側樹脂部を用いないコイル10にコア20が組み合わされ、内側樹脂部の代わりにボビン80が用いられている。このボビン80は、コイル10と内側コア部との間に介在される筒状ボビン(図示略)と、露出コア部24とコイル端面との間に介される枠状ボビン80Fとで構成される。枠状ボビン80Fは筒状ボビンと組み合わされることで、コア20とコイル10との絶縁を確保すると共に、コイル10の軸方向の長さを規定することにも寄与する。
そして、この組立体をケース70内に収納し、ケースと組立体の間に外側樹脂部40となるポッティング樹脂を充填することで、リアクトル1βが形成される。この樹脂にはエポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などが好適に利用できる。ポッティング樹脂は、コイル10の巻線10wの端部を除いて、組立体の構成部材をケース70内に封止する。
本例の構成によれば、ポッティング樹脂をケース70内に充填する際、露出コア部24の内端面と側面との接合箇所に切欠角部を備えることで、ケース70内面と上記切欠角部との間隔を確保し、この切欠角部周辺におけるポッティング樹脂の樹脂流れを良好にすることができる。また、切欠角部により、枠状ボビン80Fと露出コア部24との間の樹脂流れを良好にすることができる。それにより、ポッティング樹脂の充填時間を短縮化し、かつポッティング樹脂が組立体の周囲に十分に充填され、同樹脂内に空孔が生じることを抑制できる。勿論、ケース70とポッティング樹脂により、コイル10やコア20は機械的・電気的に保護される。
(変形例3)
上記実施形態では、コアの露出コア部に切欠角部を設ける構成を説明したが、露出コア部に切欠角部を設けることに加えて、コイルや磁性コアに接するように配置される種々のリアクトル部品にも、同様な切欠を設けた形態とすることができる。即ち、本発明の一形態として、コイル及びコアの少なくとも一部に接して配置されるリアクトル部品を備え、当該リアクトル部品は、その少なくとも一部が上記コイルとコアとの組立体を覆う外側樹脂部に覆われ、当該リアクトル部品において上記コイル及びコアの少なくとも一方に接する接触面と、この面に繋がる隣接面との接合箇所の少なくとも一部に切欠部を備える形態が挙げられる。
上記リアクトル部品としては、リアクトルの放熱性を高めるための放熱部材、磁性コアを固定するための固定部材、コアやコイルを支持する支持部材、上述したボビンやコアに備えるギャップ材など、種々の形態が挙げられる。より具体的には、ギャップ材のように接着剤や接着テープといった接合材料によりコアに一体化されるもの、ボルトなどの固定具によりコアやケースなどに固定又は一体化されるもの、ボビンや上記支持部材などのように外側樹脂部の構成樹脂により上記コイルやコア、ケースに固定されるもの、ケースに一体に成形されたものなどが挙げられる。これらリアクトル部品の構成材料は、金属(磁性体、非磁性体のいずれでもよい)、セラミックス、耐熱性樹脂などの種々の材料が挙げられる。
上記リアクトル部品がコアやコイルに接して配置される場合、コアとコイルとの間だけでなく、コアやコイルとこれらリアクトル部品との間も樹脂を十分に充填することが難しい。これに対して、上述のように上記リアクトル部品にも、露出コア部の切欠角部のような切欠部を設けることで、コアやコイルとリアクトル部品との間に樹脂を充填させ易くなり、樹脂の充填性を更に向上することができる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明のリアクトルは、コンバータなどの部品として利用することができる。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などの自動車用リアクトルとして好適に利用することができる。
1,1α,1β リアクトル
1M コイル成形体 1A 組立体
10 コイル
10A,10B コイル素子
10w 巻線 10e 端部(巻線端部)
10t ターン部 10f ターン形成面 10r 連結部
20 コア
22 内側コア部
22c コア片 22g ギャップ材
24,24α,24β,24γ,24δ,24ε,24ζ,24η,24θ,24ι 露出コア部
24f 内端面 24s 側面 24b 外端面 24u 上面 24d 下面
24g 切欠角部
30 内側樹脂部
31 ターン被覆部 33 連結部被覆部
40 外側樹脂部
41h センサ用穴 42 フランジ部 42h 貫通孔 42c 金属カラー
43 ナット穴
50 端子金具
52 接続面 52h 挿通孔
60 ナット
70 ケース
80 ボビン
80F 枠状ボビン
1000 リアクトル 100 コイル 200 コア
220 内側コア部 240 露出コア部 220g ギャップ材

Claims (1)

  1. 巻線を螺旋状に巻回した一対のコイル素子を互いに並列状態で連結したコイルと、両コイル素子に嵌め込まれて環状のコアの一部を構成する内側コア部と、各コイル素子から露出して内側コア部同士を連結することで環状のコアの残部を形成する露出コア部とを備えるリアクトルであって
    前記コイルとコアとの組立体の少なくとも一部を覆う外側樹脂部を備え、
    前記露出コア部のうち、前記コイルの端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面のうち側面との接合箇所一部にのみ切欠角部を備え
    前記切欠角部は、前記内端面と前記側面との稜線を丸めることで構成されてなるリアクトル。
JP2010262867A 2009-08-31 2010-11-25 リアクトル Active JP5299851B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010262867A JP5299851B2 (ja) 2009-08-31 2010-11-25 リアクトル

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009199648 2009-08-31
JP2009199648 2009-08-31
JP2010039278 2010-02-24
JP2010039278 2010-02-24
JP2010262867A JP5299851B2 (ja) 2009-08-31 2010-11-25 リアクトル

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010156872A Division JP4650755B1 (ja) 2009-08-31 2010-07-09 リアクトル

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013129856A Division JP5733343B2 (ja) 2009-08-31 2013-06-20 リアクトル

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2011199255A JP2011199255A (ja) 2011-10-06
JP2011199255A5 JP2011199255A5 (ja) 2013-07-04
JP5299851B2 true JP5299851B2 (ja) 2013-09-25

Family

ID=44877026

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010262867A Active JP5299851B2 (ja) 2009-08-31 2010-11-25 リアクトル
JP2013129856A Expired - Fee Related JP5733343B2 (ja) 2009-08-31 2013-06-20 リアクトル

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013129856A Expired - Fee Related JP5733343B2 (ja) 2009-08-31 2013-06-20 リアクトル

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP5299851B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013225688A (ja) * 2009-08-31 2013-10-31 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6041564B2 (ja) * 2012-07-26 2016-12-07 株式会社ケーヒン リアクトル装置
JP6098870B2 (ja) * 2012-12-27 2017-03-22 株式会社オートネットワーク技術研究所 リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置
JP7169108B2 (ja) * 2018-07-25 2022-11-10 株式会社タムラ製作所 リアクトル

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6155327U (ja) * 1984-09-17 1986-04-14
JP3340700B2 (ja) * 1999-05-31 2002-11-05 ティーディーケイ株式会社 インダクター用フェライトコア及びこれを用いたチップインダクター
JP2003007547A (ja) * 2001-04-17 2003-01-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd インダクタ部品、電子機器及びインダクタ部品の放熱方法
JP2003197444A (ja) * 2001-10-15 2003-07-11 Tokyo Seiden Kk リアクトル装置及びその製造方法
JP2003243221A (ja) * 2002-02-21 2003-08-29 Tdk Corp 磁心及びコイル装置
JP4140461B2 (ja) * 2003-06-27 2008-08-27 トヨタ自動車株式会社 リアクトル装置
JP2008041877A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル
JP4877505B2 (ja) * 2006-12-25 2012-02-15 住友電気工業株式会社 リアクトル
JP2009026995A (ja) * 2007-07-20 2009-02-05 Toyota Motor Corp リアクトルコアおよびリアクトル
JP2009246221A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル
JP5343387B2 (ja) * 2008-03-31 2013-11-13 住友電気工業株式会社 リアクトル、及びコンバータ
JP5299841B2 (ja) * 2008-10-28 2013-09-25 シヤチハタ株式会社 回転印用無端印字ベルトを製造する方法及び回転印用無端印字ベルト
JP4650755B1 (ja) * 2009-08-31 2011-03-16 住友電気工業株式会社 リアクトル
JP5299851B2 (ja) * 2009-08-31 2013-09-25 住友電気工業株式会社 リアクトル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013225688A (ja) * 2009-08-31 2013-10-31 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013225688A (ja) 2013-10-31
JP2011199255A (ja) 2011-10-06
JP5733343B2 (ja) 2015-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4650755B1 (ja) リアクトル
JP5459120B2 (ja) リアクトル、リアクトル用部品、及びコンバータ
JP5263720B2 (ja) リアクトル用部品の製造方法及びリアクトル本体の製造方法
US8525632B2 (en) Reactor
US9007158B2 (en) Reactor
JP5429694B2 (ja) リアクトル、およびコンバータ
JP4873189B2 (ja) リアクトル
JP5051469B2 (ja) リアクトル
JP4968626B2 (ja) コイル成形体およびリアクトル
CN102714091A (zh) 电抗器
JP2012169425A (ja) リアクトル
JP5733343B2 (ja) リアクトル
JP5287612B2 (ja) リアクトル、及びコンバータ
JP2011029336A (ja) リアクトル及びリアクトルの取付構造
JP5333798B2 (ja) コイル成形体およびリアクトル、並びにコンバータ
JP7061291B2 (ja) リアクトル
JP2011049494A (ja) リアクトルの固定構造
JP2011054613A (ja) リアクトル
JP2012222089A (ja) リアクトルの製造方法及びリアクトル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130527

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5299851

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130609

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250