JP2008159602A - 電圧変換装置およびこの電圧変換装置を備えた車両 - Google Patents

電圧変換装置およびこの電圧変換装置を備えた車両 Download PDF

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Abstract

【課題】ベース部に伝達されるリアクトルの振動の軽減が図られた電圧変換装置を提供する。
【解決手段】電圧変換装置150は、外部固定部位に固定可能なベース部286と、ベース部286に固定可能な固定部材500と、ベース部286と対向する部分から離れた部分で固定部材500に固定され、ベース部286から離間するリアクトルL1とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、電圧変換装置およびこの電圧変換装置を備えた車両に関し、特に、磁歪などによる騒音源となるリアクトルを含む電圧変換装置ならびにそれを備えた車両に関する。
近年ますます高まりつつある省エネ・環境問題を背景に、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きく注目されている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
ハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。すなわち、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換された交流電圧によりモータを回転させることによって動力源を得るものである。また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
このようなハイブリッド自動車または電気自動車においては、直流電源からの直流電圧をリアクトルなどの電圧変換装置によって変圧(たとえば、昇圧)し、その変圧された直流電圧をインバータに供給することによってモータを駆動する。
そして、ハイブリッド電気自動車または電気自動車においては、車内快適性が求められるところ、上記の電圧変換装置内に設けられたリアクトルによって、一般に、コア部材の磁歪(「磁気ひずみ」とも称される。)に起因した騒音が発生する。
そこで、たとえば、特開2005−72199号公報では、ワニス含浸された複数の積層鋼板をギャップスペーサを介して互いに突き当てて、その突き当て面とギャップスペーサとの間に固定用接着剤を充填して硬化したリアクトルが提案されている。
このリアクトルによれば、突き当て面とギャップスペーサとを固定接着剤で両者を強固に固定して、磁束の変化による吸引力や磁歪によってギャップスペーサに応力がかかった際に、積層鋼板やギャップスペーサが振動することを抑制している。
また、特開2004−193322号公報には、内部にリアクトルを収容し、樹脂が封入されたケースが提案されている。このケース内に収容されたリアクトルは、リアクトルの両端をケースに形成されたボスにネジ止めされている。
さらに、特開2004−241475号公報には、アルミケースの底面にリアクトルが固定されたリアクトルが記載されている。
特開2005−72199号公報 特開2004−193322号公報 特開2004−241475号公報
上記従来のリアクトルを有する電圧変換装置は、リアクトルと、冷却器などのベース部の表面に固定され、リアクトルが収容される収容ケースとを有している。そして、リアクトルは、収容ケースのうち、ベース部と直接接触する部分の内表面に固定されている。
このため、リアクトルに生じる振動が、ベース部に達するまでの伝達経路は、収容ケースの厚み程度となっており、リアクトルの振動が減衰することなく、ベース部に伝達されてしまう。これにより、ベース部自体およびベース部が固定されている外部固定部位も振動してしまい、大きな騒音が生じるという問題があった。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベース部に伝達されるリアクトルの振動の軽減して、外部固定部位に振動が伝達される振動を低減して、生じる騒音の低減が図られた電圧変換装置を提供することである。
本発明に係る電圧変換装置は、外部固定部位に固定可能なベース部と、ベース部に固定可能な固定部材と、ベース部と対向する部分から離れた部分で固定部材に固定され、ベース部から離間するリアクトルとを備える。好ましくは、上記固定部材は、天板部と、天板部の周縁部からベース部に向けて垂下する環状の周壁部とを含み、リアクトルは、天板部の内壁面に固定されて、固定部材内に収容される。好ましくは、上記固定部材内に充填され、リアクトルの周囲を覆う樹脂をさらに備える。好ましくは、上記リアクトルは、複数のブロックコアと、隣り合うブロックコア同士を連結する連結部材とを含み、いずれか1つのブロックコアが固定部材に固定される。本発明に係る車両は、直流電源と、モータと、直流電源から受ける直流電圧を電圧変換して出力する上記電圧変換装置と、電圧変換装置によって電圧変換された直流電圧を受けてモータを駆動するインバータを備える。
本発明に係る電圧変換装置によれば、リアクトルのうち、ベース部と対向する部分から離れた部分で固定部材に固定されているため、リアクトルと固定部材との固定位置と、固定部材と収容ケースとの固定位置とは離間しており、振動の伝達経路を長くすることができ、ベース部まで達するリアクトルの振動を低減することができる。これにより、ベース部がリアクトルの振動に共振することを抑制することができ、発生する騒音を低減することができる。
以下、図面を用いて本実施の形態に係る電圧変換装置およびこの電圧変換装置を備えた車両について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
図1は、本実施の形態に係る車両の駆動ユニットの構造の一例を示す概略図である。図1に示される例では、駆動ユニット1は、ハイブリッド車両に搭載される駆動ユニットであり、モータジェネレータ100と、ハウジング200と、減速機構300と、ディファレンシャル機構400と、ドライブシャフト受け部900と、端子台600とを含んで構成される。
モータジェネレータ100は、電動機または発電機としての機能を有する回転電機であり、軸受120を介してハウジング200に回転可能に取付けられた回転シャフト110と、回転シャフト110に取付けられたロータ130と、ステータ140とを有する。
モータジェネレータ100から出力された動力は、減速機構300からディファレンシャル機構400を介してドライブシャフト受け部900に伝達される。ドライブシャフト受け部900に伝達された駆動力は、ドライブシャフト(図示せず)を介して車輪(図示せず)に回転力として伝達されて、車両を走行させる。
一方、ハイブリッド車両の回生制動時には、車輪は車体の慣性力により回転させられる。車輪からの回転力によりドライブシャフト受け部900、ディファレンシャル機構400および減速機構300を介してモータジェネレータ100が駆動される。このとき、モータジェネレータ100が発電機として作動する。モータジェネレータ100により発電された電力は、PCU700におけるインバータを介してバッテリ800に蓄えられる。
駆動ユニット1には、レゾルバロータと、レゾルバステータとを有するレゾルバ(図示せず)が設けられている。レゾルバロータは、モータジェネレータ100の回転シャフト110に接続されている。また、レゾルバステータは、レゾルバステータコアと、該コアに巻回されたレゾルバステータコイルとを有する。上記レゾルバにより、モータジェネレータ100のロータ130の回転角度が検出される。検出された回転角度は、PCU700へ伝達される。PCU700は、検出されたロータ130の回転角度と、外部ECU(Electrical Control Unit)からのトルク指令値とを用いてモータジェネレータ100を駆動するための駆動信号を生成し、その生成した駆動信号をモータジェネレータ100へ出力する。
図2は、PCU700の主要部の構成を示す回路図である。図2を参照して、PCU700は、コンバータ710と、インバータ720と、制御装置730と、コンデンサC1、C2と、電源ラインPL1〜PL3と、出力ライン740U、740V、740Wとを含む。コンバータ710は、バッテリ800とインバータ720との間に接続され、インバータ720は、出力ライン740U、740V、740Wを介してモータジェネレータ100と接続される。
コンバータ710に接続されるバッテリ800は、たとえば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池である。バッテリ800は、発生した直流電圧をコンバータ710に供給し、また、コンバータ710から受ける直流電圧によって充電される。
コンバータ710は、パワートランジスタQ1、Q2と、ダイオードD1、D2と、リアクトルL1とからなる。パワートランジスタQ1、Q2は、電源ラインPL2、PL3間に直列に接続され、制御装置730からの制御信号をベースに受ける。ダイオードD1、D2は、それぞれパワートランジスタQ1、Q2のエミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにパワートランジスタQ1、Q2のコレクタ−エミッタ間にそれぞれ接続される。リアクトルL1は、バッテリ800の正極と接続される電源ラインPL1に一端が接続され、パワートランジスタQ1、Q2の接続点に他端が接続される。
このコンバータ710は、リアクトルL1を用いてバッテリ800から受ける直流電圧を昇圧し、その昇圧した昇圧電圧を電源ラインPL2に供給する。また、コンバータ710は、インバータ720から受ける直流電圧を降圧してバッテリ800を充電する。
インバータ720は、U相アーム750U、V相アーム750VおよびW相アーム750Wからなる。各相アームは、電源ラインPL2、PL3間に並列に接続される。U相アーム750Uは、直列に接続されたパワートランジスタQ3、Q4からなり、V相アーム750Vは、直列に接続されたパワートランジスタQ5、Q6からなり、W相アーム750Wは、直列に接続されたパワートランジスタQ7、Q8からなる。ダイオードD3〜D8は、それぞれパワートランジスタQ3〜Q8のエミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにパワートランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間にそれぞれ接続される。そして、各相アームにおける各パワートランジスタの接続点は、出力ライン740U、740V、740Wを介してモータジェネレータ100の各相コイルの反中性点側にそれぞれ接続されている。
このインバータ720は、制御装置730からの制御信号に基づいて、電源ラインPL2から受ける直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ100へ出力する。また、インバータ720は、モータジェネレータ100によって発電された交流電圧を直流電圧に整流して電源ラインPL2に供給する。
コンデンサC1は、電源ラインPL1、PL3間に接続され、電源ラインPL1の電圧レベルを平滑化する。また、コンデンサC2は、電源ラインPL2、PL3間に接続され、電源ラインPL2の電圧レベルを平滑化する。
制御装置730は、モータジェネレータ100の回転子の回転角度、モータトルク指令値、モータジェネレータ100の各相電流値、およびインバータ720の入力電圧に基づいてモータジェネレータ100の各相コイル電圧を演算し、その演算結果に基づいてパワートランジスタQ3〜Q8をオン/オフするPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成してインバータ720へ出力する。
また、制御装置730は、上述したモータトルク指令値およびモータ回転数に基づいてインバータ720の入力電圧を最適にするためのパワートランジスタQ1、Q2のデューティ比を演算し、その演算結果に基づいてパワートランジスタQ1、Q2をオン/オフするPWM信号を生成してコンバータ710へ出力する。
さらに、制御装置730は、モータジェネレータ100によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ800を充電するため、コンバータ710およびインバータ720におけるパワートランジスタQ1〜Q8のスイッチング動作を制御する。
このPCU700においては、コンバータ710は、制御装置730からの制御信号に基づいて、バッテリ800から受ける直流電圧を昇圧して電源ラインPL2に供給する。そして、インバータ720は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を電源ラインPL2から受け、その受けた直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ100へ出力する。
また、インバータ720は、モータジェネレータ100の回生動作によって発電された交流電圧を直流電圧に変換して電源ラインPL2へ出力する。そして、コンバータ710は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を電源ラインPL2から受け、その受けた直流電圧を降圧してバッテリ800を充電する。
PCU700は、インバータ720と、リアクトルL1とを備える。そして、リアクトルL1は、インバータ720への電力供給経路に設けられる。
上記のリアクトルL1、コンバータ710、インバータ720、コンデンサC1およびコンデンサC2は、格納ケースとしてのPCUケース内に収容される。
図3は、本実施の形態に係る電圧変換装置150の側断面図であり、図4は、電圧変換装置150に含まれるリアクトルL1の斜視図である。また、図5は、図3におけるV−V線における断面図である。図3に示す例においては、電圧変換装置150は、リアクトルL1と、このリアクトルL1を支持固定すると共に、PCUケース510(外部固定部位)に固定された冷却器(ベース部)286に固定される収容ケース(固定部材)500とを備えている。
PCUケース510は、図2に示すインバータ720やコンバータ710を収容可能とされており、収容ケース500より大きな容積を有している。
そして、図3に示す例においては、PCUケース510の外周面側に冷却器286が設けられており、PCUケース510の内表面側に収容ケース500およびリアクトルL1が収容されている。なお、この例に限られず、PCUケース510の外表面側に収容ケース500を固定して、この収容ケース500内にリアクトルL1を収容してもよい。収容ケース500は、冷却器286の表面から離れた天板部501と、この天板部501の周縁部に形成され、冷却器286の表面に向けて垂下する周壁部502とを備えている。
周壁部502の端部の開口縁部550は、冷却器286の表面に固定されている。そして、天板部501の内表面にリアクトルL1が固定されている。
リアクトルL1は、リアクトルL1の表面のうち、PCUケース510の内表面と対向する表面A1に対して反対側に位置する表面A2において、収容ケース500に固定されている。
このため、リアクトルL1からPCUケース510までの振動伝達経路は、収容ケース500のうち、リアクトルL1の固定部520からリアクトルL1の側面側および収容ケース500の開口縁部550を通る経路となっている。
このため、たとえば、PCUケース510の冷却器286の表面に底面が固定された収容ケースが設けられ、この収容ケースの底面にリアクトルが固定された場合と比較すると、振動伝達経路を長く確保することができる。
リアクトルL1には、表面A1から表面A2に達する貫通孔284Aが形成され、この貫通孔284Aに挿入されたボルト284によってリアクトルL1の表面A2の固定部520が天板部501の内表面に固定される。
したがって、リアクトルL1からの振動は、天板部501のうち、固定部520と当接する部分から、天板部501および周壁部502を介して、開口縁部550を通って冷却器286に伝達される。なお、本実施の形態においては、リアクトルL1の表面A2にて、収容ケース500に固定しているが、リアクトルL1の周面A3にて固定してもよい。
このように、リアクトルL1からPCUケース510の冷却器286までの振動伝達経路を長くすることにより、リアクトルL1からの振動が冷却器286に伝達されるまでの間に振動を減衰させることができ、冷却器286に伝達される振動エネルギを小さく抑えることができる。これにより、PCUケース510がリアクトルL1からの振動によって振動・共振することを抑制することができ、PCUケース510自体の振動による騒音の発生を抑制することができる。
ここで、PCUケース510は、収容ケース500よりも容積が大きくなっており、PCUケース510が振動すると収容ケース500が振動した場合より大きな騒音が生じやすいため、PCUケース510への振動伝達を抑制することで、騒音を効率よく低減することができる。
図4に示すように、リアクトルL1は、2つのブロックコア(第1コア)250、251と、このブロックコア250、251の両側に配置されたU字型ブロックコア(第2コア)260、262とを含むコア290と、コイル266、267とを備えている。
ブロックコア250は、2つのI字型ブロックコア252、254を有している。そして、I字型ブロックコア252とI字型ブロックコア254とは互いに離間しており、I字型ブロックコア252とI字型ブロックコア254との間には、接着剤270が充填されている。これにより、I字型ブロックコア252とI字型ブロックコア254とは一体とされ、ブロックコア(第1コア)250を形成している。
ブロックコア251は、2つのI字型ブロックコア256、258を有している。そして、I字型ブロックコア256とI字型ブロックコア258とは互いに離間しており、I字型ブロックコア256とI字型ブロックコア258との間には、接着剤276が充填されている。これにより、I字型ブロックコア256とI字型ブロックコア258とは一体とされ、ブロックコア251を形成している。
そして、U字型ブロックコア262とI字型ブロックコア254との間には、U字型ブロックコア262とI字型ブロックコア254とを互いに接着固定する接着剤268が充填されている。
U字型ブロックコア262とI字型ブロックコア258との間には、U字型ブロックコア262とI字型ブロックコア258とを互いに接着固定する接着剤274が充填されている。
U字型ブロックコア260とI字型ブロックコア252との間には、U字型ブロックコア260とI字型ブロックコア252とを接着固定する接着剤272が充填されている。
U字型ブロックコア260とI字型ブロックコア256との間には、U字型ブロックコア260とI字型ブロックコア256とを接着固定する接着剤278が充填されている。
このため、U字型ブロックコア260、ブロックコア250、251およびU字型ブロックコア262は、一体とされている。なお、各接着剤268〜278は、絶縁性の接着剤とされており、各ブロックコア間に絶縁性のプレートを設け、接着剤を介して絶縁性プレートおよび各ブロックコアを接続してもよい。
I字型ブロックコア252〜258およびU字型ブロックコア260、262は、いずれも、電磁特性に優れた珪素鋼板を積層してかしめた積層型のコアである。そして、U字型ブロックコア260、262は、I字型ブロックコア252〜258を構成する珪素鋼板の磁歪特性よりも優れた低磁歪材によって構成されている。ここで、磁歪とは、強磁性材が磁化されるときに発生する僅かな変形(ひずみ)である。たとえば、磁歪が0.1×10−6程度の珪素鋼板は、低磁歪材に相当し、磁歪が1×10−6を超えるような珪素鋼板は、上記の低磁歪材に対して高磁歪材であるといえる。そして、磁歪特性に優れる低磁歪材は、高磁歪材に比べてコストが高い。
図4に示す例においては、2つのコイル266、267は、ブロックコア250、251にぞれぞれ巻回されている。そして、コイル266、267は、図2で示した電源ラインPL1と、パワートランジスタQ1、Q2の接続点に接続されている。
図4において、コイル266、267に矢印で示される方向に直流電流が流されると、I字型ブロックコア252〜258内部に磁束が発生する。I字型ブロックコア252、254において発生した磁束は、ギャップを介してU字型ブロックコア260へ伝播し、さらにI字型ブロックコア256へと伝播する。また、I字型ブロックコア256、258において発生した磁束は、ギャップを介してU字型ブロックコア262へ伝播し、さらにI字型ブロックコア254へと伝播する。このように、直流電流がコイル266、267に流されると、磁束は、I字型ブロックコア252〜258およびU字型ブロックコア260、262によって構成される環状コアの内部を循環する。
図1において、PCU700がモータジェネレータ100を駆動するとき、図2に示すコンバータ710のパワートランジスタQ2が高周波でオン/オフされる。そして、パワートランジスタQ2がオンされると、電源ラインPL1、PL3、リアクトルL1、パワートランジスタQ2およびバッテリ800からなる閉回路に直流電流が流れる。そうすると、リアクトルL1の環状コアに磁束が発生する。
この磁束の発生によって、図4に示すI字型ブロックコア252〜258およびU字型ブロックコア260、262には磁歪が発生するが、U字型ブロックコア260、262は、低磁歪材によって構成されているので、ハイブリッド自動車における快適性が阻害されるレベルの騒音を発生させるような磁歪振動は発生しない。
なお、上記のように、パワートランジスタQ2がオンとなり閉回路に直流電流が流れると、I字型ブロックコア252、254、256、258に磁束が流れ、U字型ブロックコア260、262がI字型ブロックコア252、254、256、258側に引かれる。
そして、パワートランジスタQ2がオフとなると、I字型ブロックコア252、254、256、258に磁束が発生しないので、U字型ブロックコア260、262はI字型ブロックコア252、254、256、258に引かれなくなる。
したがって、パワートランジスタQ2がオン/オフされると、リアクトルL1に各I字型およびU字型ブロックコア252〜262の配列方向に振動が生じることになる。
その一方で、図3に示すように、リアクトルL1は、U字型ブロックコア262のみが収容ケース500に固定されており、略方持ち状態で天板部501に固定されている。そして、他のU字型ブロックコア260、I字型ブロックコア252、254、256、258は、天板部501の内表面に接触しており、少なくとも、天板部501の内表面に沿って振動可能とされている。
このため、リアクトルL1が各I字型およびU字型ブロックコア252、254、256、258、260、262の配列方向に振動するときには、各I字型およびU字型ブロックコア252、254、256、260は、天板部501の内表面に沿って振動する。したがって、リアクトルL1の各I字型およびU字型ブロックコア252、254、256、258、260の配列方向の振動は、天板部501に伝達され難くなっている。
さらに、図3、図5において、U字型ブロックコア260、262およびI字型ブロックコア252、254、256、258の周面は、収容ケース500の内表面から離れている。このため、リアクトルL1が各I字型およびU字型ブロックコア252、254、256、258、260、262の配列方向に振動しても、各ブロックコア252、254、256、260、262の周面と収容ケース500の内表面との接触および当接が抑制され、リアクトルL1からの振動が収容ケース500に伝達され難くなっている。
なお、収容ケース500に固定されているU字型ブロックコア262は、他のI字型ブロックコアよりも低磁歪材料から構成されているのでU字型ブロックコア262に厚み方向の振動が生じたとしても、収容ケース500に伝達される振動エネルギは小さく抑えられている。
各U字型ブロックコア260、262およびI字型ブロックコア252、254、256、258は、上記のように複数の珪素鋼板を厚さ方向に積層して構成されており、ボルト284は、珪素鋼板の積層方向に延在しており、リアクトルL1を珪素鋼板の積層方向に圧迫している。
その一方で、各U字型ブロックコア260、262およびI字型ブロックコア262、254、256、258に生じる振動のうち、リアクトルL1の長手方向(X軸方向)と、この長手方向に直交する幅方向(Y軸方向)と、リアクトルコアの厚さ方向(珪素鋼板の積層方向:Z軸方向)とを比較すると、厚さ方向の振動が最も小さい。
このため、ボルト284によってリアクトルL1が珪素鋼板の積層方向の振動が拘束され、かつ、収容ケース500に固定されたとしても、収容ケース500に伝達される振動を小さく抑えることができる。
なお、本実施の形態においては、各U字型ブロックコア260、262およびI字型ブロックコア252、254、256、258は、珪素鋼板を積層して構成されているが、これに限られない。たとえば、各U字型ブロックコア260、262およびI字型ブロックコア252、254、256、258を圧粉磁心によって構成してもよい。
ここで、図6〜図9を用いて、圧粉磁心によって構成されたリアクトルL1(タイプ1)と、タイプ1のリアクトルL1より低磁歪の圧粉磁心によって構成されたリアクトルL1(タイプ2)と、珪素鋼板を積層して構成されたリアクトルL1(タイプ3)とについて、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の振動について検証した結果を示す。
図6は、本検証におけるリアクトルL1の固定状態を示す断面図である。この図6に示すように、上面の中央部にリアクトルL1のコイルの一部を受け入れる凹部が形成された平板状の固定部材650と、この固定部材650の上面に配置されたリアクトルL1と、このリアクトルL1の表面を覆うと共に、固定部材650の上面を覆うポッティング材282と、このポッティング材282を拘束する板バネL4Bとを備えている。なお、固定部材650は、冷却器286の表面に固定されている。
図7は、上記タイプ1〜タイプ3のリアクトルL1のX軸方向の振動を示すグラフであり、図8は、Y軸方向の振動を示すグラフである。さらに、図9は、Z軸方向の振動を示すグラフである。これら、図7から図9に示されるように、タイプ3の珪素鋼板から構成されたリアクトルL1においては、X,Y,Z軸方向のうち、Z軸方向の振動が最も小さいことが分かる。
さらに、珪素鋼板から構成されたリアクトルL1は、圧粉磁心から構成されたタイプ1、2のリアクトルL1よりもX,Y,Z軸方向の振動が小さいことが分かる。なお、圧粉磁心からリアクトルL1を構成した場合には、その形状を容易に変更することができ、所望の形状とすることができる。
図3において、収容ケース500内には、ポッティング材282が充填されており、リアクトルL1の表面を覆うように形成されている。このポッティング材282は、収容ケース500の周壁部502の内表面と接触しており、周壁部502の振動を低減する。これにより、周壁部502を介して冷却器286に伝達される振動を低減することができ、冷却器286に伝達される振動を低減することができる。
このポッティング材282は、リアクトルL1の表面を模るようにモールドされており、収容ケース500の開口部にて冷却器286の表面と接触している。このため、リアクトルL1からの熱は、ポッティング材282を介して冷却器286に良好に放熱される。なお、ポッティング材282としては、たとえば、伝導率が高い不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等が挙げられる。
収容ケース500の周壁部502は、天板部501の周縁部に環状に形成されており、収容ケース500は、リアクトルL1を覆うように形成されている。このため、リアクトルL1からの放射音が外部に漏れることを抑制することができる。なお、本実施の形態にか係る収容ケース500は、箱型形状をしているが、この形状に限られず、たとえば、アーム状に構成してもよい。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、電圧変換装置およびこの電圧変換装置を備えた車両、特に、磁歪などによる騒音源となるリアクトルを含む電圧変換装置ならびにそれを備えた車両に好適である。
本実施の形態に係る車両の駆動ユニットの構造の一例を示す概略図である。 PCUの主要部の構成を示す回路図である。 本実施の形態に係る電圧変換装置の側断面図である。 電圧変換装置に含まれるリアクトルの斜視図である。 図3におけるV−V線における断面図である。 本検証におけるリアクトルの固定状態を示す断面図である。 タイプ1〜タイプ3のリアクトルL1のX軸方向の振動を示すグラフである。 タイプ1〜タイプ3のリアクトルL1のY軸方向の振動を示すグラフである。 タイプ1〜タイプ3のリアクトルL1のZ軸方向の振動を示すグラフである。
符号の説明
L1 リアクトル、252,254,256,258 I字型ブロックコア、260,262 U字型ブロックコア、282 ポッティング材、500 収容ケース、501 天板部、502 周壁部。

Claims (5)

  1. 外部固定部位に固定可能なベース部と、
    前記ベース部に固定可能な固定部材と、
    前記ベース部と対向する部分から離れた部分で前記固定部材に固定され、前記ベース部から離間するリアクトルと、
    を備えた電圧変換装置。
  2. 前記固定部材は、天板部と、前記天板部の周縁部から前記ベース部に向けて垂下する環状の周壁部とを含み、
    前記リアクトルは、前記天板部の内壁面に固定されて、前記固定部材内に収容された、請求項1に記載の電圧変換装置。
  3. 前記固定部材内に充填され、前記リアクトルの周囲を覆う樹脂をさらに備えた、請求項2に記載の電圧変換装置。
  4. 前記リアクトルは、複数のブロックコアと、隣り合う前記ブロックコア同士を連結する連結部材とを含み、いずれか1つの前記ブロックコアが前記固定部材に固定された、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電圧変換装置。
  5. 直流電源と、
    モータと、
    前記直流電源から受ける直流電圧を電圧変換して出力する請求項1から請求項4のいずれかに記載の電圧変換装置と、
    前記電圧変換装置によって電圧変換された直流電圧を受けて前記モータを駆動するインバータと、
    を備えた車両。
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