上記した特許文献1の構成にあっては、細幅の強接着剤部を含む細幅の区画領域が設けられており、該区画領域により、隠蔽基材を本体基材から引き剥がす際にむしり取られる領域が制限されている。このように比較的正確に区画領域をむしり取るようにした構成にあっては、該区画領域を強接着剤部により充分に支持できる範囲(広さ)とするように、強接着剤部に比して若干大きな広さの区画領域を設定している。ところで、この従来構成にあっては、区画領域を比較的正確にむしり取ることができる反面、その後、スティック糊等により容易に再接着することが可能である。そして、再接着後に引き剥がしても、再接着した区画領域で再度むしり取られることから、前に引き剥がした痕跡が分かり難い。すなわち、仮に他人が先に開封して秘匿情報を知得しても、該秘匿情報を他人が知ったことも分からないため、秘匿情報を悪用されてしまうことも考えられ得る。このように、従来構成にあっては、所望の秘密保持性を発揮できないという問題があった。
本発明は、開封した痕跡が確実に残り、秘匿情報の秘密保持性に優れた情報隠蔽帳票を提案するものである。
本発明は、秘匿情報を記入するための秘匿情報記入領域に設けられた矩形状の本体紙片と、折り込み可能な折込線を介して本体紙片に連成された、該折込線で折り返すことにより本体紙片の秘匿情報記入領域を被覆する矩形状の隠蔽紙片とを備えてなるものであって、本体紙片が、その秘匿情報記入領域の外側部位に、折込線を除く該本体紙片の三辺に沿って夫々形成された、ハーフカット状の切り込み線により囲繞されてなる帯状の剥脱部を備えると共に、隠蔽紙片は、前記秘匿情報記入領域を被覆する内面の、前記した各剥脱部と重なり合う部位に、各剥脱部毎にその長手方向に沿って接着される一又は複数に分断された接着層部を備えてなり、各剥脱部と接着層部との長手方向の接着長さを、接着相手の剥脱部の帯長さに比して20%以上且つ80%以下となるようにしたものであることを特徴とする情報隠蔽帳票である。
本構成にあって、接着層部としては、分断されていない一体形のものと、複数に分断されたものとのいずれか一方のみを備える構成であっても良いし、両者を夫々に備えた構成であっても良い。そして、複数に分断された接着層部の場合には、夫々に分断された各部位(以下、分断接着部という)が、長手方向に沿って間欠的に列設されてなり、これら各分断接着部と剥脱部とを接着した長さを合計した長さが接着長さとなる。また、複数に分断された場合には、各分断接着部と剥脱部とを接着した夫々の長さが、それぞれ異なる長さでも良いし、全て同じ長さとしても良い。
かかる構成は、隠蔽紙片を折込線で折り返して本体紙片に重ね合わせて各接着層部を該本体紙片と接着することにより封緘し、その後、開封すると、各接着層部と夫々に接着した剥脱部が紙間剥離することにより本体紙片からむしり取られる。ここで、各剥脱部毎に接着した接着層部は、剥脱部との接着長さを剥脱部の帯長さに比して短くなるようにしていることから、剥脱部には接着層部と直接接着していない未接着部位もあるが、該未接着部位でも、接着層部と直接接着した接着部位に生じた紙間剥離が連続して生じてむしり取られる。これは、接着層部の接着長さが、接着相手の剥脱部の帯長さに比して20%以上としていることに因る。一方、前記のように一度開封した後に、仮に、引き剥がした剥脱部にスティック糊等を塗布して再封緘されると、その後に開封する場合に、該剥脱部は、接着層部との接着部位が本体紙片から引き剥がされるが、接着層部との未接着部位が本体紙片と接着したまま剥がれ難いことから、引き裂かれて分離する。そのため、剥脱部の一部分(主として未接着部位の一部)が本体紙片に残った状態となる。すなわち、この本体紙片に残った剥脱部の一部分が、開封された後に再封緘したことを示す痕跡となる。このように、本構成にあっては、封緘後に一度開封すれば、例えその後再封緘しても前に開封した痕跡を確実に残すことができることから、極めて高い秘密保持性を有するものである。
ここで、各剥脱部に接着される一又は複数に分断された接着層部としては、その接着長さを接着相手の剥脱部の帯長さに比して80%以下とすることにより、上述したように、一度開封して再封緘した後に再開封した場合に、再封緘した痕跡を確実に残すことができる。尚、接着長さが80%より大きいと、再封緘した後の再開封により、剥脱部の全範囲を引き剥がし易くなるため、前記した痕跡が残り難くなる(又は、分かり難くなる)。一方、接着長さを剥脱部の帯長さに比して20%以上とすることにより、通常の封緘後に最初に開封する際に、切り込み線により囲繞された剥脱部の全範囲を安定してむしり取ることができる。尚、接着長さが20%より小さいと、正規に開封する際にも、剥脱部の全範囲で紙間剥離を生じ難くなるため、該剥脱部の一部分が分裂して本体紙片側に残ってしまい易い。このような接着長さとしては、接着相手の剥脱部の帯長さに比して40%以上とすることが好適であり、さらに70%以下とすることが好適である。
上述した情報隠蔽帳票としては、隠蔽紙片または/および本体紙片の一角縁を開封開始縁として設定しているものであって、隠蔽紙片の接着層部は、その長手方向に沿った開封開始縁側の側縁部を、接着相手の剥脱部から開封開始縁側へはみ出し、且つ長手方向で最も開封開始縁側となる先端部を、当該剥脱部の開封開始縁側の端縁に近接するように形成している構成が提案される。
かかる構成にあっては、封緘された隠蔽紙片および本体紙片を開封開始縁から開封する際に、剥脱部を、その開封開始縁側の端縁から紙間剥離を生じさせ易く、本体紙片から正確かつ容易にむしり取ることができる。そして、正規に開封する際に、剥脱部の開封開始縁側の端縁部位が本体紙片から引き剥がされずに残ってしまうことがない。また、本構成にあっては、開封開始縁が設定されていることことから、開封する方向が定まるため、上述のように、剥脱部の帯長さに比して短い接着長さとする接着層部を形成した場合にあっても、各剥脱部を容易かつ安定してむしり取ることができる。そして、仮に再封緘した後に再開封した場合に、一度開封された痕跡を残すという本発明の作用効果を一層適正に生じ得る。
ここで、剥脱部の開封開始縁側の端縁に近接する接着層部の先端部としては、該先端部が、剥脱部から開封開始縁側へはみ出していても良いし、はみ出さないようにしても良い。
上述した情報隠蔽帳票にあって、本体紙片の剥脱部は、その帯幅方向に横断するハーフカット状の切り込み横断線が一又は複数形成されて、複数の剥脱区画部に区画されてなると共に、隠蔽紙片の接着層部は、その長手方向で開封開始縁側となる先端部を、切り込み横断線又は当該剥脱部から開封開始縁側へはみ出し、且つ長手方向の末端部を剥脱区画部の内寄り部位に接着するように形成されている構成が提案される。
かかる構成にあっては、剥脱部を複数の剥脱区画部に区画していることから、接着層部と接着した剥脱区画部で比較的容易に紙間剥離を生じさせ易く、当該剥脱区画部をむしり引ることができ得る。特に、切り込み横断線から先端部をはみ出すようにしている場合には、当該切り込み線から紙間剥離を生じ易く、当該切り込み線により区画された剥脱区画部を安定してむしり取ることができ得る。また、接着層部の末端部を、剥脱区画部の内寄り部位に接着していることにより、再封緘した後に再開封した場合に、剥脱区画部の非接着部位で分裂した痕跡が本体紙片に残る。これにより、一度開封された痕跡を残すという本発明の作用効果が適正に生じ得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、隠蔽紙片の接着層部が、その長手方向で複数に分断されて間欠的に配列された複数の分断接着部から構成されてなり、各分断接着部が、その開封開始縁側となる分断先端部を、剥脱部に設けられた切り込み横断線から開封開始縁側へはみ出し、且つ分断末端部を剥脱区画部の内寄り部位に接着するように形成されている構成が提案される。
かかる構成にあっては、接着層部を構成する分断接着部が、切り込み横断線からはみ出すように接着されていることから、当該切り込み横断線から紙間剥離を生じ易く、分断接着部を接着した剥脱区画部を安定してむしり取ることができる。また、分断接着部の分断末端部を剥脱区画部の内寄り部位に接着していることから、再封緘した後に再開封した場合に、剥脱区画部が分裂した痕跡が本体紙片に残る。これにより、一度開封された痕跡を残すという本発明の作用効果が適正に生じ得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、本体紙片は、各剥脱部の周囲の、隠蔽紙片の接着層部と接着する領域に、離型剤を塗布した離型層部を形成するようにしている構成が提案される。
かかる構成にあっては、接着層部の側縁部や始端部を剥脱部からはみ出すように形成した場合にあっても、離型層部により剥脱部以外で紙間剥離してしまうことを確実に防止することができる。
上述した情報隠蔽帳票にあって、隠蔽紙片の接着層部は、エマルジョン接着剤により形成されてなるものであるとした構成が提案される。
ここで、エマルジョン接着剤は、印刷等によって、所望の形状パターンに正確かつ安定して塗布することができるため、比較的多量の生産に適している。そして、精度良く塗布することができることにより、接着相手の剥脱部に重ね合わされる部位に、接着剤層を正確に形成することができる。そのため、上述したように、側縁部や先端部をはみ出すように形成する構成を、安定して得ることができ、その作用効果を適正に発揮することができる。
本発明の情報隠蔽帳票は、上述したように、隠蔽紙片が、本体紙片の秘匿情報記入領域を被覆する内面の、該本体紙片の各剥脱部と重なり合う部位に、各剥脱部毎にその長手方向に沿って接着される一又は複数に分断された接着層部を備えてなり、各剥脱部と接着層部との長手方向の接着長さを、接着相手の剥脱部の帯長さに比して20%以上且つ80%以下となるようにした構成であるから、本体紙片と隠蔽紙片とを封緘した後に正規に開封する場合には、接着層部と接着した各剥脱部で紙間剥離を生じて本体紙片からむしり取られることにより、隠蔽紙片と本体紙片とを開封することができる。そして、仮に、開封後に引き剥がした剥脱部にスティック糊等を塗布することにより再封緘された場合、その後の開封の際に、剥脱部と接着層部との接着部位が本体紙片から引き剥がされ、接着層部との未接着部位が剥がれ難いために、剥脱部が引き裂かれて分裂し、該剥脱部の一部が本体紙片に残ってしまう。この痕跡により、開封された後に再封緘されたことがわかる。したがって、本構成によれば、不正に開封して再封緘した場合にも、その痕跡を残すことができるため、秘匿情報を保護する効果が極めて高い。
上述した情報隠蔽帳票にあって、隠蔽紙片の接着層部が、一角縁に設定された開封開始縁側の側縁部を、接着相手の剥脱部から開封開始縁側へはみ出し、且つ長手方向で最も開封開始縁側となる先端部を、当該剥脱部の開封開始縁側の端縁に近接するように形成した構成の場合には、剥脱部を、開封開始縁側の端縁から紙間剥離を生じさせ易く、比較的容易かつ安定してむしり取ることができる。そして、再封緘された場合にも、一度開封された痕跡を残すことができるため、秘匿情報の保護効果に優れるという本発明の作用効果を一層適正に奏し得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、本体紙片の剥脱部が、ハーフカット状の切り込み横断線により複数の剥脱区画部に区画されてなると共に、隠蔽紙片の接着層部が、その先端部を、切り込み横断線又は当該剥脱部から開封開始縁側へはみ出し、且つ末端部を剥脱区画部の内寄り部位に接着するように形成された構成の場合には、接着層部と接着した剥脱区画部で紙間剥離を生じさせ易く、当該剥脱区画部を容易かつ安定してむしり取ることができる。そして、再封緘された場合にも一度開封された痕跡が残るため、本発明の作用効果を適正に発揮し得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、隠蔽紙片の接着層部が、間欠的に配列された複数の分断接着部から構成されてなり、各分断接着部の分断先端部を、切り込み横断線から開封開始縁側へはみ出し、且つ分断末端部を剥脱区画部の内寄り部位に接着するように形成された構成の場合には、各分断接着部と接着した剥脱区画部を容易かつ安定してむしり取ることができる。そして、再封緘された場合にも一度開封された痕跡が残るため、本発明の作用効果を適正に発揮し得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、本体紙片は、各剥脱部の周囲の、隠蔽紙片の接着層部と接着する領域に、離型剤を塗布した離型層部を形成するようにしている構成の場合には、剥脱部以外で紙間剥離してしまうことを防止することができ、該剥脱部を容易かつ安定してむしり取ることができ得る。
上述した情報隠蔽帳票にあって、隠蔽紙片の接着層部は、エマルジョン接着剤により形成されてなるものであるとした構成の場合には、接着層部を所望の形成位置に所望の寸法形状で正確かつ安定して形成することができるため、上述した本発明の作用効果を安定かつ正確に発揮するものを容易に得ることができる。
本発明にかかる実施例を、添付図面を用いて詳述する。ここで、隠蔽葉書1が、本発明にかかる情報隠蔽帳票であり、往復葉書として構成している。
図1は、隠蔽葉書1の、その隠蔽紙片3を本体紙片2に接着する前の状態を示す平面図であり、図2は斜視図である。隠蔽紙片3と本体紙片2とは、同じ寸法形状の矩形状を成し、折込線11を介して連成されている。
ここで、本体紙片2の内面(図1の正面)には、折込線11を除く三辺にそれぞれ沿うように、帯状の剥脱部21〜29が夫々設けられている。各剥脱部21〜29は、それぞれハーフカット状の切り込み線31〜39により囲繞されている。そして、本体紙片2の上辺に沿って形成された剥脱部21は、該上辺に沿って長尺状に形成されており、上下方向に横断するように形成された複数の切り込み横断線31aにより、複数の剥脱区画部21a〜21hに区画されている。尚、当該剥脱部21の右端近傍に切り込み横断線31aが形成されており、その他は、二本の切り込み横断線31aを隣接して一対の二重線となるように夫々設けている。
本体紙片2の側辺に沿って形成された5個の剥脱部22〜26には、それぞれ1本づつ切り込み横断線32a〜36aが形成されている。各切り込み横断線32a〜36aは、各剥脱部22〜26の下端近傍に形成されており、各剥脱部22〜26を、下側の小さな剥脱区画部22a〜26aと上側の大きな剥脱区画部22b〜26bとに区画している。
本体紙片2の下辺に沿って形成された3個の剥脱部27〜29には、それぞれ1本づつ切り込み横断線37a〜39aが形成されている。各切り込み横断線37a〜39aは、各剥脱部27〜29の右端近傍に形成されており、各剥脱部27〜29を、右側の小さな剥脱区画部27a〜29aと左側の大きな剥脱区画部27b〜29bとに区画している。
尚ここで、ハーフカット状の切り込み線31〜39および切り込み横断線31a〜39aとしては、本体紙片2を構成する用紙を、その厚み方向で貫通しない程度に切り込むようにして形成されており、本実施例にあっては、用紙の厚みの約半分まで切り込まれてなる(図5参照)。
また、この本体紙片2の内面には、前記各剥脱部21〜29と折込線11とにより囲繞される内側に、所定の秘匿情報を記入するための秘匿情報記入領域18が設けられている。この秘匿情報記入領域18は、隠蔽紙片3を折込線11で折り返して本体紙片2に重ねることにより、該隠蔽紙片3で被覆される。尚、本実施例にあって、本体紙片2の外面(図1における裏面)は、返信用の宛名が記載されるようになっており、往復葉書の返信用の表紙となる(図示せず)。
一方、隠蔽紙片3の、本体紙片2の内面と連続する内面(図1の正面)には、当該隠蔽紙片3を折込線11で折り返した場合に本体紙片2の各剥脱部21〜29と夫々重なり合う部位に、所定の接着剤を塗布してなる略長方形状の接着層部51〜59が夫々設けられている。各接着層部51〜59は、相対する剥脱部21〜29と同様に、折込線11を除く隠蔽紙片3の三辺に沿って形成されている。
尚、本実施例にあって、各接着層部51〜59は、エマルジョン接着剤を印刷等することにより塗布して形成されている。ここで、エマルジョン接着剤としては、酢酸ビニル、EVA、アクリルなどの合成樹脂ポリマーを水中で均一に分散させた水性接着剤である。そのため、印刷などにより、所定位置に所定の塗布パターン形状で精度良く形成することができる。そして、エマルジョン接着剤を用いることによって、本実施例の接着層部としては、約5mmの長さ(及び幅)形状とする場合にも正確に形成することも可能であることから、各接着層部52〜59および接着層部51を構成する分断接着部61〜64を、それぞれ5mm以上の長さとなるように形成している。また、エマルジョン接着剤は、前記のように水性接着剤であることから、厳密に観ると、その外周縁部分が徐々に薄肉化している。すなわち、エマルジョン接着剤により形成された接着層部51〜59は、所定層厚みの内部接着領域71と該内部接着領域71から外方へ延出した端ダレ領域72とから構成されている(図6参照)。この内部接着領域71では、所望の接着力を発揮し、端ダレ領域72では、内部接着領域71に比して接着力が低減する。ここで、内側接着領域71は、その層厚みが、充分な接着力を発揮する10〜30μmとするように設定しており、この10μm未満となる外周縁部位が端ダレ領域72となる。尚、接着層部51は、後述するように、複数の分断接着部61〜64に分断されていることから、各分断接着部61〜64がそれぞれ、内部接着領域71と端ダレ領域72とから構成されている。
本体紙片2の剥脱部21に重なる接着層部51は、その長手方向に沿って複数に分断されて間欠的に一列に配列された略長方形状の分断接着部61〜64により構成されている。ここで、図1における最も左方(図4中では右方)に配設された分断接着部61の左端(図4中では右端)となる当該接着層部51の先端部51aは、図4のように接着相手の剥脱部21と重ね合わせた場合に、該剥脱部21の右端縁近傍に形成された切り込み横断線31aから右方へはみ出すように形成されている。そして、この分断接着部61の分断末端部61bは、当該剥脱部21の剥脱区画部21bの内寄り部位に重なるように形成されている。また、他の分断接着部62〜64は、図4のように重ね合わせた場合に、それぞれの右端(図1中では左端)となる分断先端部62a〜64aが、一対の切り込み横断線31a,31aの、その左側の切り込み横断線31aから右方へはみ出すように形成されている。そして、分断接着部62,63の左端(図1中では右端)となる分断末端部62b,63bおよび分断接着部64の左端(図1中では右端)となる当該接着層部51の末端部51bが、当該剥脱部21の剥脱区画部21d,21f,21hの各内寄り部位に夫々重なるように形成されている。さらに、この接着層部51は、その各分断接着部61〜64の長手方向に沿った下側の分断側端縁61c〜64cを、当該剥脱部21の下端から下方へはみ出すように形成されている。そして、各分断接着部61〜64の上側の分断側端縁(図示省略)は、当該剥脱部21内と重なるように形成されている。尚、各分断接着部の下側の分断側端縁61c〜64cにより、当該接着層部51の下側の側端縁を構成しており、上側の分断側端縁により、当該接着層部51の上側の側端縁を構成している。
この接着層部51は、図5(A)のように、各分断接着部61〜64が本体紙片2の剥脱部21に接着した場合に、その長手方向の接着長さX1(=x1+x2+x3+x4)が、剥脱部21の長さY1に比して40%〜60%の長さとなるように各分断接着部61〜64の寸法形状を夫々設定している。ここで、接着層部51の接着長さX1は、各分断接着部61〜64と剥脱部21とが夫々に接着する接着長さx1〜x4の合計である。このように接着長さX1(x1〜x4)を設定することにより、この接着層部51と剥脱部21との接着後に開封する際に、該剥脱部21をその切り込み線31に囲繞された範囲全体で紙間剥離を生じさせることができ、剥脱部21を本体紙片2からむしり取ることができる。尚、剥脱部21の、分断接着部61〜64と接着していない非接着部位にあっても、該分断接着部61〜64が強固に接着している接着部位により引っ張られてむしり取られる(図6参照)。
さらに、接着層部51を構成する各分断接着部61〜64にあっては、上述したように、内部接着領域71と端ダレ領域72とから構成されている(図示省略)。詳述すれば、各分断接着部61〜64の外周縁部位となる、上記した先端部51a、末端部51b、分断先端部62a〜64a、分断末端部61b〜63b、下側の分断側端縁61c〜64c、上側の分断側端縁(図示省略)を、前記端ダレ領域72により構成し、これら外周縁部位の内側を内部接着領域71により構成している。そのため、各分断側端縁61c〜64cを、本体紙片2の剥脱部21から下方へはみ出して接着した場合であっても、その接着力が比較的弱いことから、比較的容易に剥がすことができ、剥脱部21の周囲が破損することを抑制する効果が高い。一方、各分断接着部61〜64は、その各内部接着領域71が剥脱部21と比較的強く接着することから、開封する際には、当該剥脱部21を、その切り込み線31で囲繞された領域内で紙間剥離を生じてむしり取り易くなっている。
本体紙片2の側辺に沿った剥脱部22〜26と重なる接着層部52〜56は、図4のように重ね合わせた場合に、その下端となる先端部52a〜56aを、各剥脱部22〜26の切り込み横断線32a〜36aから下方へはみ出すように形成し、その上端となる末端部52b〜56bを、剥脱区画部22b〜26bの内寄り部位に接着されるように形成している。さらに、各接着層部52〜56の右側(図1中では左側)の側端縁52c〜56cを、夫々の剥脱部22〜26の右端から右方へはみ出すようにし、左側の側端縁(図示省略)を各剥脱部22〜26内と重なるようにして形成されている。これら接着層部52〜56にあっても、その外周縁部位となる先端部52a〜56aと末端部52b〜56bと左右の側端縁52c〜56cとが、端ダレ領域72により構成されており、その内側が内部接着領域71により構成されている(図示省略)。そのため、各側端縁52c〜56cが、本体紙片2の剥脱部22〜26の右方へはみ出して接着しても、開封の際に該剥脱部22〜26の周囲で破損することを抑制できると共に、各剥脱部22〜26を、その切り込み線32〜36で囲繞された領域内で紙間剥離を生じてむしり取り易い。
ここで、各接着層部52〜56は、図5(A)のように、夫々の接着相手である剥脱部22〜26との接着長さX2〜X6が、各剥脱部22〜26の帯長さY2〜Y6に比して40%〜60%となるように、夫々の寸法形状を設定している。これにより、各接着層部52〜56と剥脱部22〜26とを接着した後に開封する際に、上述した接着層部51の場合と同様、各剥脱部22〜26をその全域で紙間剥離させてむしり取ることができる。
本体紙片2の下辺に沿った剥脱部27〜29と重なる接着層部57〜59は、図4のように重ね合わせた場合に、その右端(図1中では左端)となる先端部57a〜59aを、各剥脱部27〜29の切り込み横断線37a〜39aから右方へはみ出すように形成し、その左端(図1中では右端)となる末端部57b〜59bを、剥脱区画部27b〜29bの内寄り部位に接着されるように形成している。さらに、各接着層部57〜59の下側の側端縁57c〜59cを、夫々の剥脱部27〜29の下端から下方へはみ出すようにし、上側の側端縁(図示省略)を各剥脱部27〜29内と重なるようにして形成されている。これら接着層部57〜59にあっても、その外周縁部位となる先端部57a〜59aと末端部57b〜59bと上下の側端縁57c〜59cとが、端ダレ領域72により構成されており、その内側が内部接着領域71により構成されている(図示省略)。そのため、各側端縁57c〜59cが、本体紙片2の剥脱部27〜29から下方へはみ出して接着しても、開封の際に剥脱部27〜29の周囲で破損することを抑制できると共に、各剥脱部27〜29を、その切り込み線37〜39で囲繞された領域内で紙間剥離を生じて引き剥がすことができる。
ここで、各接着層部57〜59は、図5(A)のように、夫々の接着相手である剥脱部27〜29との接着長さX7〜X9が、各剥脱部27〜29の長手方向の長さY7〜Y9に比して40%〜60%となるように、夫々の寸法形状を設定している。これにより、各接着層部57〜59と剥脱部27〜29とを接着した後に開封する際に、上述した接着層部51〜56の場合と同様、各剥脱部27〜29をその全域で紙間剥離させてむしり取ることができる。
また、本体紙片2の内面の、剥脱部21〜29の周囲には、図1,4のように、メジウムインキを塗布した離型層部67が夫々形成されている。各離型層部67は、隠蔽紙片3と重ね合わせた際に、上記した接着層部51の分断側端縁61c〜64cと接着層部52〜59の側端縁52c〜59cと夫々重なる。そのため、開封する際に、分断側端縁61c〜64cと側端縁52c〜59cと容易に離型することができ、破損等を生じない。
また、本実施例にあっては、図1,2のように、隠蔽紙片3の内面の、各接着層部51〜59の内側領域に、再剥離可能な接着剤を塗布してなる再剥離層部68が設けられている。この再剥離層部68の接着剤は、上記した本体紙片2に接着した後、破損することなく容易に引き剥がすことができ、再び接着することができるものである。すなわち、再剥離層部68は、接着と剥離とを繰り返すことが可能である。これに対して、接着層部51〜59の接着剤は、一度接着してしまうと引き剥がすことができない所定の接着力を有するものである。
また、隠蔽紙片3と本体紙片2とを連成する折込線11は、該隠蔽紙片3を本体紙片2の秘匿情報記入領域18を覆うように折り曲げ易くするようにすると共に、折り返した際に隠蔽紙片3と本体紙片2とが比較的正確に重なり合うように形成されている。
また、隠蔽紙片3には、図1のように、折込線11に対向する側辺と下辺とが交わる角縁の外面(図1における裏面)に、開封の開始端であることを示す記載が印刷されている(図示省略)。この記載としては、例えば、開封方向を示す矢印や「ここから開封して下さい」というものである。このように開封を開始する部位であることを示す記載がされていることにより、封緘された隠蔽紙片3と本体紙片2とを開封する際に、その開封を開始する部位(角縁)が明確化され、当該部位から開封開始するように促すことができる。この開封開始を促す記載が印刷された角縁により、本発明にかかる開封開始端16を構成している。
本実施例の隠蔽葉書1には、図2のように、隠蔽紙片3の内面を略全体的に覆うように離型シート70が再剥離可能に接着されている。この離型シート70は、隠蔽紙片3の内面に対向して貼り付けられる裏面の全域に所定の離型剤が塗布された離型面を備えている。そして、離型シート70が、隠蔽紙片3の内面を覆うにようにして貼り付けられており、該隠蔽紙片3の接着層部51〜59と再剥離層部68との各接着剤の劣化を防ぐようにしている。さらに、この離型シート70の表面には、往復葉書としての往信用の宛名が記載されるようになっており、往信の際の表紙となる。
次に、上述した隠蔽葉書1を使用する方法について説明する。
本実施例の隠蔽葉書1は、上述したように往復葉書であり、上記した離型シート70の表面に記載された往信用の宛名に従って、郵送される。尚、この際には、隠蔽葉書1は、隠蔽紙片3と本体紙片2とが接着されておらず、折込線11で折り曲げずに郵送されるか、隠蔽紙片3と本体紙片2の各外面が対向するように折込線11で折り曲げて郵送される。
この隠蔽葉書1は、往信先の受取人により、本体紙片2の秘匿情報記入領域18に所定の秘匿情報を記入されて返信される。すなわち、秘匿情報記入領域18に秘匿情報を記入すると、図2(B)のように、隠蔽紙片3の内面に接着されている離型シート70を引き剥がす。ここで、離型シート70は、上述したように、その離型面(図示省略)を隠蔽紙片3の内面に接着していることから、該隠蔽紙片3の接着層部51〜59および再剥離層部68から比較的容易に引き剥がすことができる。その後、図3のように、折込線11で隠蔽紙片3を折り返して、該隠蔽紙片3の内面と本体紙片2の内面とが対面して重なるように、この両者を重ね合わせる。これにより、隠蔽紙片3の接着層部51〜59が、本体紙片2の剥脱部21〜29に夫々接着すると共に、隠蔽紙片3の再剥離層部68が、本体紙片2の内面に接着する(図4参照)。
このように隠蔽紙片3と本体紙片2とを接着した状態で、接着層部51は、図4のように、各分断接着部61〜64が剥脱部21に夫々接着しており、夫々の下側の側端縁61c〜64cが剥脱部21から下方へはみ出している。さらに、各分断接着部61〜64の先端部51aおよび分断先端部62a〜64aが、剥脱部21の、一対の切り込み横断線31a間に左側からはみ出していると共に、分断末端部61b〜63bおよび末端部51bが各剥脱区画部21b,21d,21f,21hの各内寄り部位に接着している。
同様に、接着層部52〜56は、図4のように、各剥脱部22〜26に夫々接着しており、右側(図1,2の折り返す前では左側)の側端縁52c〜56cが剥脱部22〜26の右端から右方へはみ出している。さらに、各接着層部52〜56の先端部52a〜56aが、各剥脱部22〜26の切り込み横断線32a〜36aから下方へはみ出していると共に、末端部52b〜56bが各剥脱区画部22b〜26bの内寄り部位に接着している。また、同様に、接着層部57〜59は、下側の側端縁57c〜59cが剥脱部27〜29から下方へはみ出し、先端部57a〜59aが、各剥脱部27〜29の切り込み横断線37a〜39aから右方へはみ出し、末端部57b〜59bが各剥脱区画部27b〜29bの内寄り部位に接着している。
上記のように隠蔽紙片3と本体紙片2とを重ね合わせて接着することにより、該本体紙片2の秘匿情報記入領域18を隠蔽している。このような手順により、隠蔽葉書1を、本体紙片2の秘匿情報記入領域18を隠蔽して封緘した形態(以下、封緘形態という)として、郵送により返信できるようにしている。
この隠蔽葉書1は、上記の封緘形態により、本体紙片2の秘匿情報記入領域18に記入された秘匿情報を保護する効果に優れている。そして、隠蔽葉書1は、秘匿情報を記入して封緘形態にするまでの作業を容易且つ短時間で実施できることから、取扱性にも優れている。
封緘形態により返信用の宛先に郵送された隠蔽葉書1は、通常、返信先の受取人により開封される。この開封作業としては、隠蔽紙片3を、上記した開封開始端16から対角方向へ向かって本体紙片2から開くように引き剥がしていく。これにより、開封開始端16に近い接着層部51〜59から順に夫々に接着した剥脱部21〜29をむしり取っていき、隠蔽紙片3と本体紙片2とを引き剥がす。
ここで、隠蔽紙片3の下辺に沿って設けられた接着層部57〜59にあっては、上述したように、側端縁57c〜59cが各剥脱部27〜29から下方(上下方向における開封開始端16側)へはみ出していると共に、先端部57a〜59aが各剥脱部27〜29の開封開始端16側の端縁近傍に接着している(図4参照)。そのため、各剥脱部27〜29を開封開始端16側から順に紙間剥離を生じさせ易い。そして、各剥脱部27〜29では、紙間剥離が、接着層部57〜59との接着部位から未接着部位へおよぶことから、図5(B)のように、各剥脱部27〜29が、本体紙片2からむしり取られるように分離し、その痕に剥離痕部87〜89が残る。詳述すれば、例えば接着層部57と剥脱部27の場合、図6(A),(B)のように接着して封緘した後に開封する際には、接着層部57の先端部57a側から引き剥がされるため、剥脱部27の開封開始端16側から徐々に紙間剥離を生じさせ、該紙間剥離が剥脱部27を形成する切り込み線37の内部領域全体に亘って生じ得る。これにより、図6(C)のように、剥脱部27を接着層部57に接着したままで引き剥がす。そして、本体紙片2には、剥脱部27がむしり取られた痕には剥離痕部87が残る。
同様に、隠蔽紙片3の側辺に沿って設けられた接着層部52〜56にあっても、上述したように、側端縁52c〜56cを各剥脱部22〜26から外側方(左右方向における開封開始端16側)へはみ出していると共に、先端部52a〜56aを各剥脱部22〜26の下端縁近傍に接着している(図4参照)。そのため、各剥脱部22〜26をその下端縁から順に紙間剥離を生じさせ易い。そして、各剥脱部22〜26では、紙間剥離が接着層部52〜56の接着部位から未接着部位へも連続しておよび、図5(B)のように、剥脱部22〜26を、本体紙片2からむしり取るようにして分離し、その痕に剥離痕部82〜86が残る。
さらに、隠蔽紙片3の上辺に沿って設けられた接着層部51にあっても、上述したように、各分断接着部61〜64が剥脱部21の下辺方へはみ出していると共に、一対となる切り込み横断線31a間にはみ出していることから(図4参照)、各分断接着部61〜64が接着した剥脱区画部21a〜21hを開封開始端16側から順に紙間剥離を生じさせ易い。そして、剥脱部21の各剥脱区画部21a〜21hでは、紙間剥離が、側辺方から順に分断接着部61〜64毎にその接着部位から未接着部位へ順におよび、図5(B)のように、当該剥脱部21を本体紙片2からむしり取るように分離し、その痕に剥離痕部81が残る。
このように隠蔽紙片3を、開封開始端16から対角方向へ引き剥がすことにより、各接着層部51〜59と夫々に接着した剥脱部21〜29を紙間剥離を生じさせてむしり取ることができる。尚、本実施例にあっては、各接着層部51〜59が、その先端部51a〜59aを、各剥脱部21〜29の開封開始端16側端部に形成した切り込み横断線31a〜39aからはみ出すように形成している。これら先端部51a〜59aは、上述したように端ダレ領域72から夫々に形成されているため、その接着力が比較的弱い。そのため、これら先端部51a〜59aが接着している剥脱区画部21a〜29aは紙間剥離を生じずに本体紙片2に残ることもあり得る。このように剥脱区画部21a〜29aが残った場合にあっても、各接着層部51〜59と接着した剥脱区画部21b〜29bが紙間剥離してむしり取られることにより、本発明の意義が充分に発揮されている。そのため、本実施例にあっては、便宜上、剥脱部21〜29が本体紙片2からむしり取られているとしている。また、剥脱部21にあっては、同様に、その剥脱区画部21a,21c,21e,21gが本体紙片2に残ることもあり得る。
隠蔽葉書1は、上述したように隠蔽紙片3と本体紙片2とを開封することにより、該本体紙片2の秘匿情報記入領域18の秘匿情報を正確かつ確実に読み取ることができる。尚、開封後に隠蔽紙片3と本体紙片2とを折込線11でハサミなどにより切断し、本体紙片2のみを保管することができ得る。
このように正規の受取人が開封した場合には、秘匿情報の秘密性が保持される。ところが、正規の受取人が受け取る前に開封されると、秘匿情報が悪用される危険もある。例えば、悪意を有する者が、正規の受取人が開封する前に、上述したように開封した場合、秘匿情報記入領域18の記入されている秘匿情報を知得できる。その後に、本体紙片2から剥脱部21〜29をむしり取った剥離痕部81〜89に、スティック糊等の接着剤79を塗布し、該剥離痕部81〜89と、隠蔽紙片3の各接着層部51〜59に接着している剥脱部21〜29とを再度接着することにより、再封緘することができる(図8参照)。そして、再封緘した隠蔽葉書1を正規の受取人が受け取ると、上述したように開封される。再封緘後の開封の際にあって、各剥脱部21〜29の、接着層部51〜59との接着部位では、該接着層部51との強い接着状態が維持されていることから、各剥脱部21〜29又は剥離痕部81〜89で紙間剥離を生じてむしり取られる。一方、各剥脱部21〜29の、接着層部51〜59との未接着部位では、本体紙片2の剥離痕部81〜89と接着していることから、前記接着部位から分裂して、部分的に本体紙片2と接着したまま残る。詳述すれば、例えば接着層部57と剥離痕部87との場合、図8(A)のように、剥脱痕部87に接着剤79を塗布して、図8(B)のように接着することにより、再封緘する。その後、図8(C)のように再開封すると、剥脱部27の、接着層部57との接着部位では、剥離痕部87で紙間剥離を生じてむしり取られるが、未接着部位では、接着剤79による接着力のために剥脱部27で紙間剥離を生じ、当該剥脱部27が引き裂かれてしまう。これにより、隠蔽紙片3側に接着した分裂部97aと、本体紙片2側に接着した残部97bとに分裂すると共に、分裂部97aの紙間剥離した痕に剥離痕部87’が残る。
このように、各剥脱部21〜29は、図7のように、隠蔽紙片3の接着層部51〜59と接着したまま剥がれる分裂部91a〜99aと、本体紙片2と接着したまま残る残部91b〜99bとに分裂すると共に、分裂部91a〜99aの紙間剥離した痕に剥離痕部81’〜89’が残る。これは、最初に開封した場合態のように各剥脱部21〜29が正確に本体紙片2から引き剥がされている状態(図5(B)参照)と異なっている。このように、一度開封された後に再び封緘された場合には、再封緘したことによる痕跡が明確に残る。そのため、開封後に、隠蔽紙片3の接着層部51〜59や本体紙片2の剥脱部21〜29の痕を確認することによって、正規の受取人が開封する前に、他人が開封しているか否かを容易に判断できる。
本実施例の隠蔽葉書1は、上述したように、封緘後に最初に開封すると、隠蔽紙片3の各接着層部51〜59に接着した各剥脱部21〜29が、その切り込み線31〜39内で紙間剥離を生じて本体紙片2からむしり取られる。これにより、隠蔽葉書1が正規に郵送されて開封されたことが明らかであり、秘匿情報記入領域18に記入されている秘匿情報の秘密性が保持されている。一方、開封された後に、スティック糊等により再度封緘された場合には、次に開放される際に、剥脱部21〜29が、接着層部51〜59と接着した分裂部91a〜99aと本体紙片2に残った残部91b〜99bに引き裂かれる(図7参照)。この引き裂かれた痕跡により、当該開封前に一度開封されて再封緘されたことが明確に分かる。これにより、秘匿情報記入領域18に記入されている秘匿情報の秘密性が喪失していることも明らかとなるため、これに対する対処を迅速かつ適正に実施することができる。また、このように不適切に開封して再封緘しても、再封緘したことが明確に分かるために、不適切な開封する行為を抑制する効果も生じ得る。
このように本実施例の隠蔽葉書1は、不適切に開封されて再封緘された場合にあっても、既に開封されたことを示す痕跡を明確に残すことができるため、秘匿情報を保護する高い効果を発揮することができる。そして、上述したように、封緘作業と開封作業とを比較的容易かつ短時間で行うことができることから、隠蔽葉書1は、総じて、優れた取扱性とセキュリティ性とを有するものとなっている。
上述した実施例にあっては、隠蔽紙片の上辺に沿って設けた接着層部を複数に分断した構成としたものであるが、その他の構成として、複数に分断した接着層部を隠蔽紙片の側辺や下辺に沿って設ける構成としても良いし、又は、本体紙片の折込線を除く三辺全てに複数の剥脱部を形成し且つ隠蔽紙片の折込線を除く三辺全てに前記各剥脱部毎に夫々対応する一体形状の接着層部を設ける構成としても良い。また、各接着層部は、その先端部を、各剥脱部の剥がし口部(開封開始端)側の端部からはみ出すように形成した構成とすることもできる。そして、この場合には、切り込み横断線を設けない構成としても良い。いずれの場合にあっても、上記した本実施例と同様の作用効果を奏し得る。
また、上述した実施例の折込線を、ミシン目やプルトップ形状により形成した構成とすることもできる。このように折込線をミシン目やプルトップ形状の構成とした場合には、折込可能とすると共に、比較的容易に切断することも可能である。尚、このように切断可能な折込線を備えた構成の場合には、往復葉書以外の用途に適用され得る。
また、上述した実施例にあっては、隠蔽紙片3の下辺と側辺とが交わる角縁の外面に、開封の開始を示す記載をすることにより、当該角縁を開封開始端とした構成であるが、その他の構成として、該角縁に、傾斜方向に切断してなる開封用の剥がし口部を形成した構成とすることもできる。この場合には、往復葉書以外の用途に適用され得る。尚、前記の剥がし口部を形成し、かつ開封の開始を示す記載を印刷するようにしても良い。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。上記した実施例では、往復葉書としての隠蔽葉書について例示しているが、往復葉書以外の用途にも用いることができる。