JP4426897B2 - 隠蔽葉書 - Google Patents

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この発明は、葉書上の秘密情報を隠蔽し、開封された事実を証拠として残すことができる隠蔽葉書に関する。
葉書上の秘密情報を隠蔽するために、隠蔽用のシールが用いられている。なお、隠蔽用のシールは、葉書と別体にしてもよく、たとえば折返し用のミシン目を介して葉書と一体に連接し、いわゆる隠蔽葉書としてもよい。
隠蔽葉書の隠蔽用のシールについて、折返しの先端側の端縁に沿って剥離不能な強粘着剤を細幅に塗布し、強粘着剤の領域の直近内側に切離し用のミシン目を形成するものが提案されている(特許文献1)。ただし、強粘着剤の領域以外の全域には、剥離可能な粘着剤が塗布されている。このものは、切離し用のミシン目に沿って隠蔽用のシールを破断しながら剥離して開封するものであり、秘密情報の秘密保持性を高めるとともに、切り離されたシールの一部が葉書上に残るから、開封された事実を証拠として確実に残すことができる。
なお、強圧力を加えて隠蔽用のシールを接着し、一旦開封すると再接着不能な隠蔽葉書も知られている(特許文献2)。このものは、開封すると再接着不能となり、開封された事実を証拠として残すことができるが、シールの接着に専用設備が必要であるため、たとえば個人が秘密情報を隠蔽する用途に対し、明らかに不適切である。
特開平7−17165号公報 特公平5−57118号公報
かかる従来技術の前者(特許文献1)によるときは、隠蔽用のシールは、切離し用のミシン目に沿って破断しながら剥離しなければならないから、開封作業が簡単でなく、開封作業の作業性がよくないという問題があった。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、ハーフカット線による区画領域を設けることによって、接着に専用設備を必要とせず、開封された事実を証拠として確実に残しながら、一挙に簡単に開封することができる隠蔽葉書を提供することにある。
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、葉書大の本体用紙と、折返し用のミシン目を介して本体用紙に連接する基材用紙とからなり、基材用紙は、本体用紙上の秘密情報を隠蔽可能であり、剥離不能な感圧性の強粘着剤をミシン目に対向する1辺に沿って細幅に配置し、剥離可能な感圧性の粘着剤を強粘着剤の領域以外のほぼ全域に配置し、本体用紙には、基材用紙を本体用紙に折り重ねると強粘着剤の領域を含むように、ハーフカット線により区画する細幅の区画領域を形成することをその要旨とする。
ただし、この発明の前提となる葉書用の隠蔽シールの構成は、葉書上の秘密情報を隠蔽可能な方形の基材用紙からなり、基材用紙は、剥離不能な感圧性の強粘着剤を少なくとも相対向する2辺に沿って細幅に配置し、剥離可能な感圧性の粘着剤を強粘着剤の領域以外のほぼ全域に配置し、強粘着剤の領域を含むように、ハーフカット線により区画する細幅の区画領域を形成することをその要旨とする。
なお、基材用紙には、強粘着剤、粘着剤を保護する剥離紙を付加することができる。
ただし、この出願において、「ハーフカット線」とは、紙材の一方の面から他方の面に向けて切り込む刃物の軌跡であって、その切込み深さが紙材の厚さの全部でなく、一部に留まるものをいう。また、「ほぼ全域」とは、たとえばハーフカット線による区画領域の外側や、強粘着剤、粘着剤の各領域の間などに残す微少幅のスペースを除く全域をいう。
前提発明としての葉書用の隠蔽シールの構成によるときは、基材用紙は、強粘着剤、粘着剤を介して葉書に接着することにより、葉書上の秘密情報を隠蔽することができる。すなわち、基材用紙は、葉書より大きくなく、葉書上の秘密情報の表示領域を十分被覆可能な大きさであり、秘密情報を読み取ることができないように、光の透過性が十分小さいものとする。なお、強粘着剤、粘着剤は、専用設備を必要とせず、手指の圧力により簡単に接着可能である。
秘密情報を読み取るときは、基材用紙を剥離して開封するが、このとき、ハーフカット線による区画領域内の強粘着剤は、剥離不能であるため、区画領域内の基材用紙の層間剥離を引き起し、その表面部分のみをむしり取るように作用する結果、開封後の葉書の表面には、むしり取られた基材用紙の表面部分が細幅に移行し、開封された事実を証拠として確実に残すことができる。また、このようにして区画領域内の表面部分をむしり取りながら基材用紙を剥離するのに、格別な配慮や技能は何ら必要でなく、基材用紙は、剥離可能な粘着剤のみを介して接着されている場合と同様にして、一挙に簡単に剥離することができる。
基材用紙は、ハーフカット線による区画領域内の表面部分のみが強粘着剤により層間剥離を起して簡単にむしり取られるような紙材であれば、通常の白色の上質紙の他、任意の紙材が使用可能である。また、ハーフカット線は、たとえば一対の転がしスリッタ刃を使用して等間隔の2条を形成することにより、細幅の区画領域を簡単に形成することができる。ただし、ハーフカット線は、2条以上の多条としてもよく、梯子状にしてもよい。また、ハーフカット線は、直線状に形成する他、曲線状、湾曲線状などに形成してもよい。ハーフカット線の間隔、切込み深さは、たとえば厚さ0.15mmの上質紙に対し、それぞれ5mm、0.05mmとすることにより、区画領域内の表面部分のみを強粘着剤により円滑にむしり取ることができる。
粘着剤は、たとえば天然ゴム主成分の水性エマルジョン形感圧接着剤であって、剥離強度5〜20g/cm程度の接着力を有するものが好ましく、強粘着剤は、たとえばホットメルト形感圧接着剤であって、オープンタイム0.5秒以下、接着後1〜12時間程度で基材用紙の層間剥離を引き起すだけの接着力を発現するものが好ましい。また、強粘着剤は、基材用紙の少なくとも相対向する2辺に配置することにより、証拠を残さずに開封することが難しくなり、内部の秘密情報を十分に秘密保持することが可能である。
この発明の構成によるときは、隠蔽用の基材用紙が折返し用のミシン目を介して葉書用の本体用紙に連接されており、したがって、両者が一体に構成されている点を除き、前提発明とほぼ同等である。すなわち、この発明も、前提発明と同様の強粘着剤、粘着剤を使用し、同様のハーフカット線による区画領域を形成して、ミシン目を介して基材用紙を本体用紙に折り重ねることにより、同様に作用し、同様の効果を奏することができる。なお、この発明の基材用紙は、それを剥離して開封するとき、本体用紙から切り離す訳ではないため、ミシン目に対向する一辺に沿って強粘着剤を配置しておけば十分である。ただし、強粘着剤は、基材用紙の残りの各辺の一部または全部に沿って配置してもよい。
ハーフカット線による区画領域は、基材用紙側に代えて本体用紙側に形成することにより、本体用紙側を強粘着剤によりむしり取り、むしり取られた区画領域内の表面部分を基材用紙側に移行させることができる。区画領域は、基材用紙を本体用紙に折り重ねると、基材用紙側の強粘着剤の領域を含むように形成されているからである。なお、本体用紙側の区画領域は、基材用紙側の強粘着剤、粘着剤の各領域から独立して形成し得るから、基材用紙側の強粘着剤の領域を含み、強粘着剤により適切に区画領域内の層間剥離を生じさせることができる限り、位置精度、寸法精度を適宜緩和することができる。
基材用紙に剥離紙を付加することにより、本体用紙、基材用紙を見開きにして積層しても、強粘着剤、粘着剤を適切に保護することができる。なお、剥離紙は、使用時に強粘着剤から円滑に剥がして除去し得るように、シリコーン含有ニスなどによる離型処理紙を使用するものとする。
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
隠蔽葉書は、葉書大の本体用紙11に隠蔽用の基材用紙12を連接してなる(図1)。ただし、図1(A)、(B)は、それぞれ全体平面相当図、全体側面相当図であり、同図(B)は、本体用紙11、基材用紙12の厚さ方向を誇張して図示されている。
本体用紙11の表面には、「郵便はがき」の表示、切手欄の表示の他、宛名用の記載領域11a、秘密情報の表示領域11bが設けられている。
基材用紙12は、本体用紙11の下側の短辺に対し、折返し用のミシン目13を介して連接されている。基材用紙12は、本体用紙11と同幅の方形に形成されており、ミシン目13を介して本体用紙11上に折り重ねるとき、本体用紙11上の秘密情報の表示領域11bを全部被覆して秘密情報を隠蔽することができる。基材用紙12には、ミシン目13に対向する1辺に沿って、剥離不能な感圧性の強粘着剤21が細幅に塗布して配置されている。また、基材用紙12には、強粘着剤21の領域以外のほぼ全域に対し、剥離可能な感圧性の粘着剤22が塗布して配置されている。なお、細幅の強粘着剤21の両側には、ハーフカット線12a、12aが基材用紙12の全幅に亘って形成されており、したがって、強粘着剤21の領域は、ハーフカット線12a、12aにより区画する細幅の区画領域Aに完全に含まれている。また、基材用紙12には、強粘着剤21、粘着剤22を保護する共通の剥離紙14が付加されている。
かかる隠蔽葉書は、基材用紙12から剥離紙14を剥がし取って除去した上、ミシン目13を介して基材用紙12を本体用紙11上に折り重ね、強粘着剤21、粘着剤22を介して本体用紙11に接着することにより、本体用紙11上の秘密情報を隠蔽することができる(図2(A)、(B))。ただし、図2(A)、(B)は、それぞれ基材用紙12を折り重ねた状態の図1(A)、(B)相当図である。そこで、隠蔽葉書は、このまま投函し、葉書として郵送することができる。
隠蔽葉書の受取人は、本体用紙11から基材用紙12を剥離することにより、本体用紙11上の秘密情報を開封して読み取ることができる(図2(C))。このとき、強粘着剤21は、再剥離不能であるため、基材用紙12を剥離するに従って、ハーフカット線12a、12aによる区画領域A内の基材用紙12に層間剥離を生じさせ、区画領域A内の表面部分A1 だけを本体用紙11上に移行させ、本体用紙11上に残すことができる。すなわち、本体用紙11上の細幅の表面部分A1 は、開封の事実を示す証拠として利用することができる。
ハーフカット線12a、12aによる細幅の区画領域Aは、基材用紙12に形成するに代えて、本体用紙11に形成してもよい(図3)。
図3において、基材用紙12は、折返し用のミシン目13を介し、本体用紙11の一方の長辺側に連接されている。また、基材用紙12は、葉書大の本体用紙11の幅より僅かに小さい幅に形成されている。本体用紙11側の区画領域Aは、基材用紙12を本体用紙11上に折り重ねるとき、基材用紙12上の強粘着剤21の領域を含むように、ミシン目13と対向する本体用紙11の1辺に沿って細幅に形成されている。
そこで、基材用紙12は、剥離紙14を除去して本体用紙11上に折り重ねて接着することにより(図3の二点鎖線、図4の実線)、本体用紙11上の秘密情報を隠蔽することができ、基材用紙12を剥離して秘密情報を開封することができる(図4の二点鎖線)。なお、基材用紙12を剥離すると、強粘着剤21により本体用紙11側の区画領域Aの表面部分A1 がむしり取られ、基材用紙12側に移行する。
基材用紙12は、葉書Pと別体の葉書用の隠蔽シールとして形成することができる(図5)。ただし、図5(A)、(B)は、それぞれ全体平面図、使用状態平面図であり、同図(C)は、同図(B)のX−X線矢視相当拡大断面図である。
強粘着剤21は、方形の基材用紙12の短辺側の2辺に沿って細幅に塗布して配置されている(図5(A))。また、強粘着剤21の各領域は、ハーフカット線12a、12aによる細幅の区画領域Aに含まれている(同図(C))。そこで、基材用紙12は、剥離紙14を除去し、強粘着剤21、21、粘着剤22を介して葉書P上の秘密情報の表示領域P1 上に接着することにより、表示領域P1 内の秘密情報を隠蔽することができる(同図(B)、(C))。また、基材用紙12を剥離して開封すると、強粘着剤21により基材用紙12側の各区画領域A内の表面部分がむしり取られて葉書P側に移行する。なお、図5において、強粘着剤21は、区画領域Aとともに、基材用紙12の長辺側の2辺に沿って配置してもよく、相対向する2辺を含む3辺以上に沿って配置してもよい。
以上の説明において、細幅の区画領域Aを形成するハーフカット線12a、12aは、必ずしも直線でなくてもよく、湾曲線などであってもよい。また、区画領域Aは、基材用紙12の端縁に十分近い位置に単一のハーフカット線12aを形成することにより、ハーフカット線12aと基材用紙12の端縁との間に形成してもよい(図6)。本体用紙11側に区画領域Aを形成するときも同様である(図示せず)。
全体構成説明図 使用状態説明図 他の実施の形態を示す全体平面図 図3の使用状態説明図 他の実施の形態を示す構成説明図 他の実施の形態を示す要部拡大図
符号の説明
P…葉書
A…区画領域
11…本体用紙
12…基材用紙
12a…ハーフカット線
13…ミシン目
14…剥離紙
21…強粘着剤
22…粘着剤

特許出願人 福島印刷株式会社
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

Claims (2)

  1. 葉書大の本体用紙と、折返し用のミシン目を介して前記本体用紙に連接する基材用紙とからなり、該基材用紙は、前記本体用紙上の秘密情報を隠蔽可能であり、剥離不能な感圧性の強粘着剤を前記ミシン目に対向する1辺に沿って細幅に配置し、剥離可能な感圧性の粘着剤を前記強粘着剤の領域以外のほぼ全域に配置し、前記本体用紙には、前記基材用紙を前記本体用紙に折り重ねると前記強粘着剤の領域を含むように、ハーフカット線により区画する細幅の区画領域を形成することを特徴とする隠蔽葉書。
  2. 前記基材用紙には、前記強粘着剤、粘着剤を保護する剥離紙を付加することを特徴とする請求項記載の隠蔽葉書。
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