JP4632186B2 - 電子部品用錫電解めっき液、電子部品の錫電解めっき方法及び錫電解めっき電子部品 - Google Patents
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Description
例えば積層型磁器コンデンサは、図1に示すように、誘電体と内部電極を順次積層したセラミック素体1の両端に外部接続電極を2、2を形成したものであるが、プリント回路基板3のはんだ付けランド3a、3aにはんだ付け接続されて使用される。
このような電子部品の外部接続電極は、図1に示すように、AgあるいはAg−Pdを含む導電材料ペーストをセラミック素体1の両側に塗布し、焼付け処理をして導電体膜2aを形成し、その上にNiめっき層2bを形成し、さらに錫(Sn)あるいは錫鉛はんだ(Sn−Pb)(最近では無鉛対策からSnが用いられるようになってきた。)のSn含有めっき層(Snめっき層)2cを形成することにより作成されるのが一般的である。導電体膜2aはセラミック素体に直接電解めっきを施すことができないために設けられるが、Agが高価であるので、コストダウンのためには薄く形成される。Niめっき層2bは直接Sn含有めっき層を形成すると、下地層のAgがそのめっき層に溶け込む、いわゆる食われ現象を生じるのでSn含有めっき層に対するパリアー層として設けられ、下地層を薄くした場合に特に有効である。Sn含有めっき層は電子部品をプリント回路基板に実装するときにはんだ付け性を良くするためである。
メタンスルホン酸錫(可溶性第一錫塩)Sn2+として 24 メタンスルホン酸(酸) 65 グルコン酸ナトリウム(錯化剤) 218 アスコルビン酸(Sn2+の酸化防止剤) 1.5 を用い(数値の単位は「g/L」(Lは「1リットル当たり」を表す、以下同様)である)、pH4.0〜4.5に調整し、液温25℃、析出速度3.0〜7.0μm/時間で電解めっきを行うと、以下の(1)〜(3)の1つ又は2つ以上の特性を満足できず、従来用いられることがある添加剤を添加しても、これらの全ての特性を実用的にも十分満足できるSn電解めっき液は得られておらず、その出現が望まれている。
(1)安価なめっき加工が求められるので、Sn電解めっき液の限界電流密度を高くし、印加できる電流値を大きくとるという電流効率を高める必要がある。
(2)プリント回路基板に表面実装する電子部品のチップ部品をSn電解めっき加工する場合、バレル中でチップ部品のSnめっき膜同士がくっつく、いわゆる「くっつき」(チップ同士のペアリング)が起こる。「くっつき」はSnめっき液の添加剤の種類が影響することが経験的に分かっており、「くっつき」を起き難くするような添加剤の種類についての工夫が求められる。
(3)電子部品にSnめっき膜が形成された後、その電子部品がプリント回路基板に半田付けされるまでには長期間経過することもあるので、半田付け性を損なわないために半田濡れ性の長期的信頼性が必要となることから、Snめっき膜の経時的な酸化を防ぐ必要がある。そのために、Snめっき膜は空気との接触面積が小さくなるような平滑な皮膜であることが望まれる。
したがって、本発明は、(1)、外部接続電極付電子部品を得るために電子部品を錫電解めっきするのに用いる錫電解めっき液において、下記(a)〜(d)成分と、下記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤を含有する電子部品用錫電解めっき液を提供するものである。
(a)可溶性第一錫塩
(b)酸又はその塩
(c)オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸又はこれらの各酸塩から選ばれた少なくとも一種の錯化剤
(d)Sn2+の酸化防止剤
また、本発明は、(2)、上記一般式〔化1〕において、iso−Cn H2n+1のアルキル鎖がイソデシル基である上記(1)の電子部品用錫電解めっき液、(3)、上記(a)〜(d)成分は順に、Sn2+として10〜50g/L(Lは「1リットル当たり」を表す、以下同様)、0.1〜0.5モル/L、Sn2+に対して等モル以上、0.1〜10g/Lであり、上記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤は0.1〜10g/L含有される上記(1)又は(2)の電子部品用錫電解めっき液、(4)、上記(c)成分/Sn2+(モル比)>2、上記(d)成分は0.5〜3g/L、上記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤は1〜5g/L含有される上記(1)又は(2)の電子部品用錫電解めっき液、(5)、上記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、下記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤を含有する電子部品用錫電解めっき液、
(6)、上記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤は0.1〜10g/L含有される上記(5)の電子部品用錫電解めっき液、(7)、上記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤は0.5〜5g/L含有される上記(5)の電子部品用錫電解めっき液、(8)、下記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び下記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種を含有する上記(5)ないし(7)のいずれかの電子部品用錫電解めっき液、
(9)、上記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び上記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種は0.1〜10g/L含有される上記(8)の電子部品用錫電解めっき液、(10)、上記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び上記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種は0.2〜5g/L含有される上記(8)の電子部品用錫電解めっき液、(11)、pHは使用する上記(c)成分の錯化剤のpKa±1の範囲内に調整する上記(1)ないし(10)のいずれかの電子部品用錫電解めっき液、(12)、上記(c)成分の錯化剤はグルコン酸ナトリウムであり、該グルコン酸ナトリウムのpKaが3.6であり、pHは2.6〜4.6の範囲内に調整する上記(11)の電子部品用錫電解めっき液、(13)、上記(1)ないし(12)のいずれかの電子部品用錫電解めっき液を使用して電解めっきをする電子部品の錫電解めっき方法、(14)、上記(1)ないし(12)のいずれかの電子部品用錫電解めっき液を使用して錫電解めっきを施された錫電解めっき電子部品、(15)、プリント回路基板にはんだ付け実装される上記(14)の錫電解めっき電子部品を提供するものである。
これら(1)〜(3)を一緒に満足することができることにより性能の安定なSnめっき膜が安価に得られ、半田付け性能のよい電子部品を安価に製造することができる。
また、(c)成分の「オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸又はこれらの各酸塩から選ばれた少なくとも一種の錯化剤」としては、例えばグルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトンや、これらの各酸塩が挙げられ、Sn2+に対して等モル以上(錯化剤/Sn2+>1)、溶解度以下、好ましくは、錯化剤/Sn2+(モル比)>2である。これよりモル比が小さいと浴安定性、陽極溶解が悪くなり、大きいと不経済である。
また、(d)成分の「Sn2+の酸化防止剤」としては、例えばヒドロキノン、ピロカテコール、レゾルシン(芳香族ヒドロキシ化合物)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ヒドラジン(アミン系化合物)等が挙げられ、0.1〜10g/L、好ましくは0.5〜3g/L含有される。少な過ぎるとSn2+の酸化防止効果が少なく、多過ぎると不経済である。
上記一般式〔化1〕において、RがHのときは、(CH2 CRHO)m はエチレングリコールの重縮合物を表し、RがCH3 のときは、(CH2 CRHO)m はプロピレングリコールの重縮合物でもよいが、RがH又はCH3 のときは、エチレングリコールとプロピレングリコールの任意のモル比の重縮合物でもよく、ブロックポリマー、グラフトポリマーその他でもよく、その重縮合度mは7〜50である。また、nは8〜13であってiso−Cn H2n+1は分岐したアルキル基を表す。Cn H2n+1がn−Cn H2n+1(ノルマルアルキル基)であったり、nが8未満であったり、mが51以上になると上記したSn電解めっき膜の平滑性が不十分となり易く、nが14以上になったり、mが7未満になると、溶解性が低下し、水溶液のSn電解めっき液が得られ難くなる。
〔化1〕の化合物の使用量としては、0.1〜10g/L、好ましくは1〜5g/Lである。少な過ぎるとSn電解めっき膜を平滑にする効果が十分には得られ難く、多過ぎると不経済である。
詳細なメカニズムは明らかではないが、Sn電解めっき膜が平滑になるほど上記したチップ部品の「くっつき」が起こり易い傾向にあるが、ノニオン界面活性剤の成膜メカニズムが関与しているとも考えられる。上記のアルキル基が分岐した立体的に大きなイソアルキル基を持つ化合物からなる界面活性剤はそのSn電解めっき膜を平滑にする効果が大きく、ノルマルアルキル基を持つ化合物の界面活性剤に比べてそのチップ部品の「くっつき」も起こし難いということができる。
〔化2〕の化合物、〔化3〕の化合物の使用量は、それぞれ0.1〜10g/L、好ましくは0.2〜5g/Lである。少な過ぎるとSn電解めっき膜を平滑にする効果が十分には得られ難く、多過ぎると不経済である。
〔化4〕の化合物の使用量は、0.1〜10g/L、好ましくは0.5〜5g/Lである。少な過ぎると上記の効果が十分に得られ難く、多過ぎると不経済である。
なお、上記(a)〜(d)成分に〔化1〕の化合物を加えず、〔化4〕の化合物を単独で加えて5成分を含有する、あるいは〔化4〕の化合物とともに〔化2〕及び〔化3〕の少なくとも1種の化合物を加えて6成分あるいは7成分を含有する水溶液からなるSn電解めっき液とした場合には、形成されるSn電解めっき膜を平滑にする効果は小さく、その平滑にする効果がある場合には限界電流密度が低くなり、〔化1〕の化合物の有無が重要な影響をもつことがわかる。
さらに〔化2〕、〔化3〕の化合物(アルキルイミダゾール、アルキルイミダゾリン)を併用することにより、Snめっき膜の平滑性を高め、チップ部品の「くっつき」を減らし、高い電流密度で使用可能となり、上記(1)〜(3)の特性を同時に満足させることができる。
バレル電解めっきを行う際は、Sn電解めっき液の浴温は30℃以下、好ましくは20〜25℃である。
(実施例1)
図1に示すセラミック素体1の両端面に導電体材料ペースト(Ag−Pd粉末75重量部、エチルセルロース5重量部、テルピネオール20重量部)をスクリーン印刷により塗布し、800℃、10分間焼付けてAg−Pd焼付導電体膜2aを形成する。
ついで、導電体膜2aを形成したセラミック素体1の多数を図2に示すように、回転するメッシュのバレル4中に入れ(少ない場合にはメディアボールのダミーを追加する)、バレルの内外に設けた陰極5aと陽極5bとの間にニッケルのめっき浴6を介在させて電解ニッケルめっきを行う。このようにして導電体膜2aの全体を被覆し、さらにその縁部周辺の先端側のセラミック素体1上に延設した図1に示すNiめっき膜2bを形成する。 それから、上記と同様な別のバレル電解めっき装置を用い、めっき液に下記Sn電解めっき液を用い、Snの電解めっきを行い、図1に示すSnめっき膜2cを形成する。
メタンスルホン酸(酸) 65g
グルコン酸ナトリウム(錯化剤) 218g
アスコルビン酸(Sn2+の酸化防止剤) 1.5g
ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(添加剤)1.0〜5.0g
(〔化1〕の化合物) 水 残部
合計 1L
上記各成分を水に溶かして全体が1リットルとなるSn電解めっき液を調製する。このSn電解めっき液のpHは4.0〜4.5であった。
このSn電解めっき液を図2に示すバレル電解めっき装置のめっき槽に入れるとともに、図1ではセラミック素体1に導電体膜2a、Niめっき膜2bを積層したが、セラミック素体1としてはチップ部品の212形状MLCCを用い、これに同様に導電体膜2a、Niめっき膜2bを積層し、この下地めっき加工212形状MLCC 100gをスチールボール(直径1.0〜1.2mm)300gとともにバレル4中に入れ、めっき条件として、浴温25℃、析出速度3.0〜7.0μm/時間、通電時間60分で直流によるSn電解めっきを行った。
(i) Sn電解めっき膜のソルダーペースト法による評価(耐酸化性)
皮膜の平滑性(耐酸化性)を評価するためにタルチンケスター(株)製SWET2100を用い、ソルダーペースト平衡法(急加熱モード)によるゼロクロスタイムの測定を行った(はんだ槽温度235℃、タルチンケスター(株)EIAJ Standard半田ペースト使用)。加熱開始からSnめっき膜が濡れ始めるまでの時間をゼロクロスタイムとする。Sn電解めっきしたチップ部品は121℃、相対湿度100%の雰囲気下に4時間放置する環境負荷(プレッシャークッカー試験)を施したものを用い、これを5個のチップ部品について測定し、その平均値を求め、以下のように評価した。表1には「ゼロクロスタイム」として示してある。
◎:ゼロクロスタイム1.5秒未満
○:ゼロクロスタイム1.5〜2.0秒未満
△:ゼロクロスタイム2.0〜3.0秒未満
×:ゼロクロスタイム3.0秒以上
(ii) チップ部品の「くっつき」の発生率 Sn電解めっきした各チップ部品の全数についてSn電解めっき膜同士が付着していたものの全体に対する割合(%)を求め、以下のように評価した。表1には『部品の「くっつき」%』として示してある。
◎:1%未満
○:1〜5%
□:6〜10%
△:11〜20%
×:21%以上
(iii) 電流効率の測定
山本鍍金試験器(株)製ハルセル水槽(267ml)、同社製真鍮板(67×100×0.3mm(厚さ))を用いて、スターラー攪拌600rpm(毎分600回転)で、通電電流(A)による水素の発生を以下のように評価した。表1には「電流効率」として示してある。
◎ :0.3Aで水素の発生を目視確認できない
○:0.3Aで水素の発生を目視確認できる
△:0.2Aで水素の発生を目視確認できる
×:0.2Aで水素の発生を多く目視確認できる
実施例1において、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(添加剤)の代わりに表1のそれぞれの実施例に該当する添加剤を該当する使用量で用いたこと以外は同様の実施例2〜9のSn電解めっき液を調製した。各Sn電解めっき液のpHは4.0〜4.5であった。
実施例1のSn電解めっき液を使用する代わりに各実施例のSn電解めっき液を使用したこと以外は同様にしてSn電解めっきを行ない、実施例1のものと同様に上記(i)〜(iii) の試験を行い、その結果を表1 に示す。
なお、表1において、実施例1〜3に使用のそれぞれの添加剤、実施例5〜8に使用のそれぞれの上欄に記載の添加剤、実施例9に使用の最上欄に記載の添加剤は表中の「使用量g/L」は0.1〜10、好ましくは1〜3とし、実施例4に使用の添加剤、実施例5〜8に使用のそれぞれの下欄に記載の添加剤、実施例9の中欄、下欄に記載の各添加剤は表中の「使用量g/L」は0.1〜5、好ましくは0.5〜1.5(但し、実施例4、実施例9の下欄は0.5〜2.0としてもよい)としてもよい。
実施例1において、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(添加剤)の代わりに表2のそれぞれの参考例に該当する添加剤を該当する使用量で用いたこと以外は同様の参考例1〜3のSn電解めっき液を調製した。各Sn電解めっき液のpHは4.0〜4.5であった。
実施例1のSn電解めっき液を使用する代わりに各参考例のSn電解めっき液を使用したこと以外は同様にしてSn電解めっきを行ない、実施例1のものと同様に上記(i)〜(iii) の試験を行い、その結果を表2に示す。
なお、表2において、参考例1に使用の添加剤、参考例2、3に使用のそれぞれの上欄に記載の添加剤は表中の「使用量g/L」は0.1〜5、好ましくは1〜3(但し、参考例1は0.5〜2.0としてもよい)とし、参考例2、3に使用のそれぞれの下欄に記載の添加剤は表中の「使用量g/L」は0.1〜10、好ましくは0.5〜1.5としてもよい。なお、参考例3に使用のポリオキシエチレンドデシルエーテルは上記一般式〔化1〕において、iso−Cn H2n+1をCn H2n+1としたこと以外は同じ化合物としてもよい。その他の表1、2の添加剤についても各添加剤が属する上記の該当する一般式で示される化合物を用いてもよい。
実施例1のSn電解めっき液を使用する代わりに各比較例のSn電解めっき液を使用したこと以外は同様にしてSn電解めっきを行ない、実施例1のものと同様に上記(i)〜(iii) の試験を行い、その結果を表3に示す。
なお、上記実施例、参考例、比較例において、Snめっきの下地にはNiめっき膜を設けたが、その代わりにAg、Ag−Pd、Ni、Cuの単独(めっき)膜又は複数の積層膜(NiとCuの順次積層の2層(めっき)膜、Ag又はAg−PdとNiとCuの順次積層の3層(めっき)膜等)を下地としてもよく(めっき膜は電解、無電解のいずれでも、両者併用でもよい)、本発明においてもそのようにしてもよく、Snめっきの下地は特に限定されない。
表1からは、実施例1〜9のものは、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)、『部品の「くっつき」%』、「電流効率」の3者について一緒の充足性は良く、実用的には問題がなく、総合的にみれば特に実施例9のものは格段に優れ、実施例5〜8がこれに続き、さらに実施例1、3、その他が続いて優れるといえる。
また、カチオン界面活性剤単独で使用した場合(比較例8〜10)は、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果が少なく、参考例1の場合のようにその効果があっても、「電流効率」が良くなく、限界電流密度が低くなる。
また、アルキルイミダゾールを単独で使用した場合、アルキル基の鎖の長さでゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の作用効果が変化し、短鎖のアルキル基ではゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果は小さい(比較例11〜13)。長鎖のアルキル基ではゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果は大きくなり、「電流効率」は低下するが実用性もある場合がある(実施例4)。Sn電解めっきの析出膜は良好であり、『部品の「くっつき」%』も小さいことから、実用的である。
また、ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を併用した場合は、分岐したアルキル基を持たないノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を併用した場合(比較例14〜16)は、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)は改善されないが、イソデシル基を持つノニオン界面活性剤と4級アンモニウム塩を適量混合して使用した場合、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果を維持しながら、『部品の「くっつき」%』を減らせることができる(実施例5〜8)。
また、カチオン界面活性剤とアルキルイミダゾールを併用した場合(比較例17、18)は、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果が低下する(実施例4との対比)。
また、ノニオン界面活性剤とアルキルイミダゾールを併用した場合(参考例2、3)は、ノニオン界面活性剤が分岐したアルキル基を持つ場合は勿論、持たない場合でも、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)の効果は格段に大きくなるが、「電流効率」が低下する。
また、ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とアルキルイミダゾールを使用した場合(実施例9)は、ゼロクロスタイム(「膜の平滑性」)、『部品の「くっつき」%』、「電流効率」の3者を一緒に満足することができる。
なお、分岐したアルキル基を持たないノニオン界面活性剤も含める場合には、上記一般式〔化1〕において、「iso−Cn H2n+1」を「Cn H2n+1」とすればよい。
2a 導電体膜 2b Niめっき層
2c Snめっき層
3 プリント回路基板
3a はんだ付けランド
4 バレル
5a 陰極
5b 陽極
6 めっき浴(めっき液)
Claims (15)
- 外部接続電極付電子部品を得るために電子部品を錫電解めっきするのに用いる錫電解めっき液において、下記(a)〜(d)成分と、下記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤を含有する電子部品用錫電解めっき液。
(a)可溶性第一錫塩
(b)酸又はその塩
(c)オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸又はこれらの各酸塩から選ばれた少なくとも一種の錯化剤
(d)Sn2+の酸化防止剤
- 上記一般式〔化1〕において、iso−Cn H2n+1のアルキル鎖がイソデシル基である請求項1に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記(a)〜(d)成分は順に、Sn2+として10〜50g/L(Lは「1リットル当たり」を表す、以下同様)、0.1〜0.5モル/L、Sn2+に対して等モル以上、0.1〜10g/Lであり、上記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤は0.1〜10g/L含有される請求項1又は2に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記(c)成分/Sn2+(モル比)>2、上記(d)成分は0.5〜3g/L、上記一般式〔化1〕で表されるノニオン界面活性剤は1〜5g/L含有される請求項1又は2に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、下記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤を含有する電子部品用錫電解めっき液。
- 上記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤は0.1〜10g/L含有される請求項5に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記一般式〔化4〕で表されるカチオン界面活性剤は0.5〜5g/L含有される請求項5に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 下記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び下記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種を含有する請求項5ないし7のいずれかに記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び上記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種は0.1〜10g/L含有される請求項8に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記一般式〔化2〕で表されるアルキルイミダゾール及び上記一般式〔化3〕で表されるアルキルイミダゾリンの少なくとも1種は0.2〜5g/L含有される請求項8に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- pHは使用する上記(c)成分の錯化剤のpKa±1の範囲内に調整する請求項1ないし10のいずれかに記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 上記(c)成分の錯化剤はグルコン酸ナトリウムであり、該グルコン酸ナトリウムのpKaが3.6であり、pHは2.6〜4.6の範囲内に調整する請求項11に記載の電子部品用錫電解めっき液。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載された電子部品用錫電解めっき液を使用して電解めっきをする電子部品の錫電解めっき方法。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載された電子部品用錫電解めっき液を使用して錫電解めっきを施された錫電解めっき電子部品。
- プリント回路基板にはんだ付け実装される請求項14に記載の錫電解めっき電子部品。
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