JP4936210B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子部品の製造方法に関する。
セラミック電子部品等の電子部品では、はんだ付き性の向上等を目的として導電部上にスズ皮膜やスズ基合金皮膜、金皮膜等のめっき皮膜が形成されるが、通常、その下地皮膜としてはんだ接合性及びはんだ耐熱性に優れたニッケル皮膜が形成されている。
そして、この種のニッケル皮膜形成用のめっき液としては、従来より、ワット浴が知られている。このワット浴は、一般的には、硫酸ニッケルを0.49〜1.45mol/L、塩化ニッケルを0.19〜0.25mol/L、pH緩衝剤としてのホウ酸を0.48〜0.65mol/L含有し、pHが2.5〜5.5、浴温が40〜65℃となるように組成調整されている。
また、特許文献1には、スルファミン酸ニッケル又はその複合剤を主成分とし、ニッケルの不動態化を防止するためのハロゲン化合物と、pH安定剤とが添加されたニッケルめっき液が開示されている。
特開平11−92988号公報
しかしながら、上記ワット浴を使用してニッケルめっきを行った場合、ニッケル皮膜の表面粗さが大きく平滑性を欠き、このため表面が酸化し、その後工程で形成されるスズ皮膜等の上層皮膜の緻密性が低く、特に高温多湿の厳しい環境下でははんだ付き性が低下するという問題点があった。
ニッケル皮膜の表面を平滑化する方策としては、ワット浴中へのハロゲン化合物を不添加とすることも考えられるが、この場合は、被めっき物上の導電部以外の部品素体上にもめっき金属であるニッケルが析出し、さらにはアノードの溶解効率が低下するため、めっき処理中に頻繁にめっき液の濃度調整を行う必要が生じるなど、浴管理の煩雑さを招くという問題点が新たに生じる。
部品素体へのニッケルの析出を防ぐ方法としては、ニッケルイオンとハロゲンイオンとの濃度比を制御する方法も考えられるが、特許文献1では、ニッケル源としてスルファミン酸ニッケルを使用しているため、部品素体へのニッケルの析出を防止することができず、所謂めっき成長を十分に抑制することができないという問題点があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、アノード溶解性が良好で平滑性が良好なニッケル皮膜を形成することができるニッケルめっき液を使用することにより、めっき成長を抑制でき、かつ高温多湿下の厳しい環境下でも良好なはんだ付き性を有する電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究したところ、ニッケルめっき液中のニッケルイオンのモル濃度1.79mol/L以上であって、ニッケルイオンとハロゲンイオンとのモル濃度比が3.0を超え10.0以下となるようにめっき液組成を定量的に制御することにより、アノード溶解性が良好で平滑性が良好なニッケル皮膜の形成が可能なニッケルめっき液を得ることができ、このニッケルめっき液を使用して部品素体にニッケルめっきを施すことにより、めっき成長を極力抑制することができ、かつ高温多湿下でもはんだ付き性の良好な電子部品を製造することができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る電子部品の製造方法は、ニッケルめっき液を使用して導電部の形成された部品素体にめっき処理を施し、前記導電部の表面にニッケル皮膜を形成する電子部品の製造方法において、前記ニッケルめっき液は、ニッケル塩とハロゲン化合物とpH緩衝剤とを含有し、pHが2.5〜5.5に調整されると共に、ニッケルイオンのモル濃度xが1.79mol/L以上であって、かつ、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yが、3.0<x/y≦10.0であることを特徴としている。
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記ニッケル塩主成分が硫酸ニッケルであることを特徴としている。
さらに、本発明の電子部品の製造方法は、前記ハロゲン化合物、塩化ニッケル及び臭化ニッケルのうちの一種以上であることを特徴としている。
また、本発明の電子部品の製造方法は、ニッケルめっき液が、前記pH緩衝剤は、ホウ酸、オキシカルボン酸、これらの塩、及びラクトン化合物から選択された少なくとも1種以上であることを特徴としている。
本発明の電子部品の製造方法によれば、ニッケルめっき液を使用して導電部の形成された部品素体にめっき処理を施し、前記導電部の表面にニッケル皮膜を形成する電子部品の製造方法において、前記ニッケルめっき液は、ニッケル塩とハロゲン化合物とpH緩衝剤とを含有し、pHが2.5〜5.5に調整されると共に、ニッケルイオンのモル濃度xが1.79mol/L以上であって、かつ、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yが、3.0<x/y≦10.0であるので、ニッケルめっき液はアノード溶解性が良好で浴管理も簡便なものとなる。しかも、平滑性の良好なニッケル皮膜を形成することができることから、厳しい使用環境下に晒されても良好なはんだ付き性を得ることができる。また、導電部上に優先的にニッケルをめっき析出させることができ、これにより部品素体へのめっき成長を大幅に抑制することができる。
すなわち、ニッケルイオンのモル濃度を1.79mol/L以上としているので、導電部上に優先的にニッケルが析出し、導電部以外の部品素体上へのめっき成長を抑制することができる。
また、ニッケルイオンxとハロゲンイオンyとの比x/yが、3.0を超えるようにめっき液を調製しているので、電解めっきにより形成されたニッケル皮膜の平滑性が向上し、したがって後工程でニッケル皮膜上に形成されるスズ皮膜等の上層皮膜は緻密なものとなり、高温多湿の厳しい環境下に晒されても良好なはんだ付き性を得ることができる。
さらに、前記比x/yを10.0以下としているので、アノード溶解効率が低下することもなく、所望の良好なアノード溶解性を得ることが可能となり、したがってめっき処理中にめっき液の濃度調整を行う必要もなくなり、浴管理も簡便なものとなる。
このように本発明の電子部品の製造方法によれば、部品素体へのめっき成長が抑制されて導電部上にのみニッケル皮膜が形成され、しかもニッケル皮膜上にスズ皮膜等の上層皮膜が形成された場合であっても、該上層皮膜は緻密化されたものとなる。したがって、高温多湿の厳しい環境下でもはんだ付き性が良好で、かつめっき成長の抑制されたセラミック電子部品等の各種電子部品を得ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明に係る電子部品の製造方法に使用されるニッケルめっき液は、ニッケル塩とハロゲン化合物とpH緩衝剤とを含有し、pHが2.5〜5.5に調整され、ニッケルイオンのモル濃度xが1.79mol/L以上であって、かつニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yが、3.0<x/y≦10.0となるように調製されている。
ニッケルイオンのモル濃度x、及びニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yを上述のように限定したのは以下の理由による。
(1)ニッケルイオンのモル濃度x
表面所定個所に導電部が形成された被めっき物にニッケルめっきを施す場合、導電部以外の部分、すなわち部品素体へのめっき成長を抑制するためには、導電部上に優先的にめっき析出させる必要がある。
そして、本発明者らが鋭意研究したところ、導電部上に優先的にめっき析出させ、かつニッケル皮膜の平滑性とアノード溶解性を満足させるためには、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yを後述するように規定すると共に、ニッケルイオンのモル濃度xを増加させ該モル濃度xを少なくとも1.79mol/L以上とするのが効果的であることが分かった。
そこで、本実施の形態では、ニッケルイオンのモル濃度xの下限値を1.79mol/Lとし、ニッケルイオンのモル濃度xが少なくとも1.79mol/L以上となるようにニッケルめっき液を調製している。
(2)ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/y
ニッケルめっき液ではアノードの不動態化を避けるためにハロゲン化合物を含有させているが、このハロゲン化合物を多量に含有させるとめっき形成されたニッケル皮膜の表面粗さが大きくなって平滑性に欠け、このためニッケル皮膜上に形成されるスズ皮膜等の上層皮膜が緻密さを欠き、はんだ付き性の低下を招く。
そこで、本発明者らが鋭意研究したところ、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとのモル濃度比x/yが3.0以上となるようにハロゲンイオンのモル濃度yを小さくすることにより、良好な平滑性を有するニッケル皮膜を得ることが分かった。
そしてこれによりスズ皮膜等の上層皮膜を緻密化させることができ、高温多湿下に晒されても良好なはんだ付き性を得ることができる。
一方、ハロゲンイオンのモル濃度yを過度に減少させて比x/yが10.0を超えると、アノードの溶解効率が低下し、めっき処理中に頻繁に濃度調整を行う必要が生じるなど、めっき液の浴管理が煩雑になる。
そこで、本実施の形態では、ニッケルイオンxとハロゲンイオンyとのモル濃度比x/yが、3.0<x/y≦10.0となるようにニッケルめっき液を調製している。
ニッケルイオンの供給源としては、硫酸ニッケルを主成分とするニッケル塩を使用するのが好ましく、またハロゲン化化合物としては、塩化ニッケルや臭化ニッケル等のハロゲン化ニッケルを使用するのが好ましい。
尚、ハロゲンイオン源、ニッケルイオン源となる化合物は、本発明の目的を妨げない限り、上記以外の化合物を含んでいても構わない。
また、ニッケルめっき液のpHを2.5〜5.5に調整したのは、pHが2.5未満では、ニッケルめっき液が過度に酸性となり、このため部品素体を構成する成分元素の溶出が顕著となるからであり、一方、pHが5.5を超えると、ニッケルイオンがイオン状態で安定して存在するのが困難となるからである。尚、ニッケルめっき液のpHの好ましい範囲は、3.0〜4.5である。
また、pH緩衝剤としては、錯化作用を示さないホウ酸を使用するのが好ましいが、ホウ酸以外のオキシカルボン酸類、例えば、クエン酸等のオキシトリカルボン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、サリチル酸、乳酸、グリコール酸等のオキシモノカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸等のオキシジカルボン酸を使用することができ、さらにはグルコノラクトンやグルコヘプトノラクトン等のラクトン化合物を使用することもできる。
ただし、オキシカルボン酸類やラクトン化合物をpH緩衝剤として使用する場合は、所定量以上添加させると錯化作用を強く示すおそれがあることから、添加量を制限する必要がある。
このように上記ニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xが1.79mol/L以上であって、かつニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yが、3.0<x/y≦10.0となるように調製されているので、導電部上に優先的にニッケルをめっき析出させることができ、これにより部品素体へのめっき成長を大幅に抑制することができる。また、ニッケル皮膜の平滑性が向上することから、後工程でニッケル皮膜上に形成されるスズ皮膜等の上層皮膜が緻密なものとなり、したがって高温多湿の厳しい環境下に晒されても良好なはんだ付き性を得ることができる。しかもアノード溶解効率が低下することもなく、所望の良好なアノード溶解性を得ることが可能となることから、めっき処理中にめっき液の濃度調整を行う必要もなくなり、浴管理も簡便なニッケルめっき液を得ることができる。
次に、上記ニッケルめっき液を使用して製造した電子部品について詳述する。
図1は電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を示す断面図である。
該積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウム等の誘電体材料で形成されたセラミック素体(部品素体)1に内部電極2〜5が埋設されると共に、前記セラミック素体1の両端部には外部電極(導電部)6a、6bが形成され、さらに外部電極6a、6bの表面にはニッケル皮膜7a、7b及びスズ皮膜8a、8bが順次形成されている。
そして、内部電極2、4の引出部2a、4aは一方の外部電極6aと電気的に接続されると共に、内部電極3、5の引出部3a、5aは他方の外部電極6bと電気的に接続され、内部電極2、4と内部電極3、5との間に静電容量が形成されている。
次に、上記積層セラミックコンデンサの製造方法を説明する。
まず、BaCO、TiO、ZrO等の所定の誘電体セラミック材料を混合し、粉砕、乾燥、仮焼等の工程を経、ドクターブレード法によりセラミックグリーンシートを作製する。
次いで、PdやNi等の導電性材料にガラス粒子やワニス等の有機成分が含有された内部電極用導電性ペーストを作製する。そして、該導電性ペーストを使用してセラミックグリーンシートの表面にスクリーン印刷を施し、導電パターンを形成し、この後、前記導電パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層した後、導電パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、これらを圧着して積層体を形成する。その後、所定温度(例えば、900〜1300℃)で前記積層体に焼成処理を施し、バレル研磨を行い、これによりセラミック素体1が作製される。
次に、AgやCu等の導電性材料にガラス粒子、ワニス等の有機成分が含有された外部電極用導電性ペーストを作製する。次いで、該導電性ペーストをディップ方式によりセラミック素体1の両端部に塗布した後、温度600〜800℃で焼付処理を行なう。これによりワニス等の有機成分が燃焼して焼失し、導電性材料とガラス粒子との混合体からなる外部電極6a、6bが前記両端部に形成される。
そしてこの後、外部電極6a、6bの形成されたセラミック素体1を被めっき物とし、例えば電解バレルめっき法によりニッケルめっきを行なってニッケル皮膜7a、7bを形成する。
すなわち、まず、上記ニッケルめっき液を用意する。
そして、ニッケルをアノードに配し、カソード板、被めっき物、及び導電性媒体が内有されたバレルをカソードに配して上記ニッケルめっき液に浸漬し、バレルを回転、揺動等させながらアノード、カソード間に所定時間通電し、外部電極6a、6bの表面にニッケル皮膜7a、7bを形成する。
このようにしてニッケル皮膜7a、7bを形成した後、所定組成に調製されたスズめっき液を使用し、上述と同様、例えば電解バレルめっき法によりニッケル皮膜7a、7b上にスズ皮膜8a、8bを形成し、これにより積層セラミックコンデンサが製造される。
このように本積層セラミックコンデンサは、上記ニッケルめっき液を使用して製造されているので、セラミック素体1へのめっき成長が抑制されて外部電極6a、6b上にのみ平滑性の良好なニッケル皮膜7a、7bが形成され、したがってニッケル皮膜7a、7b上のスズ皮膜8a、8bは緻密化されたものとなり、したがって、高温多湿の厳しい環境下でもはんだ付け性が良好で、かつめっき成長の抑制された積層セラミックコンデンサを得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態ではニッケルめっき液の適用例として積層セラミックコンデンサを例示したが、他の電子部品にも広く適用でき、例えば、単板コンデンサ、積層インダクタ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ等に適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
まず、表1に示すような成分組成となるようにニッケル塩としての硫酸ニッケル・6水和物(NiSO・6HO)、ハロゲン化合物としての塩化ニッケル・6水和物(NiCl・6HO)又は臭化ニッケル(NiBr)、ホウ酸を配合し、pH及び浴温を調整し、実施例1〜4及び比較例1〜9のニッケルめっき液を作製した。
Figure 0004936210
次に、外形寸法が縦2.0mm、横1.25mm、厚み1.25mmであって、ニッケルからなる内部電極が埋設されると共に、焼付け処理により銅からなる外部電極が両端部に形成された第1の被めっき物(セラミック素体(主成分:チタン酸バリウム系))を用意した。
次いで、実施例1〜4及び比較例1〜9のニッケルめっき液を使用して第1の被めっき物に電解バレルめっきを施し、外部電極上に膜厚3μmのニッケル皮膜を形成した。尚、電解バレルめっきは10Aの電流(平均カソード電流密度0.20A/dm)を120分間通電して行った。
次に、下記組成を有するスズめっき液を用意した。
〔スズめっき液の浴組成〕
硫酸第1スズ 43g/L
クエン酸アンモニウム 122g/L
硫酸アンモニウム 132g/L
ラウリルジエタノールアミン 1g/L
pH 5.0
浴温 30℃
次いで、このスズめっき液を使用して電解バレルめっきを施し、ニッケル皮膜上に膜厚4μmのスズ皮膜を形成し、これにより実施例1〜4及び比較例1〜9の積層セラミックコンデンサを得た。尚、電解バレルめっきは8Aの電流(平均カソード電流密度0.16A/dm)を30分間通電して行った。
次に、外形寸法が縦2.0mm、横1.25mm、厚み1.25mmであって、ニッケル−パラジウム合金からなる内部電極が埋設されると共に、焼付け処理により銀からなる外部電極が両端部に形成された第2の被めっき物(セラミック素体(主成分:フェライト系))を用意した。
次いで、上記実施例1〜4及び比較例1〜9のニッケルめっき液を使用し、上述と同様の方法・手順で、前記第2の被めっき物の外部電極上に膜厚3μmのニッケル皮膜を形成し、さらに上記スズめっき液を使用して前記ニッケル皮膜上に膜厚1μmのスズ皮膜を形成し、これにより実施例1〜4及び比較例1〜9の積層インダクタを得た。
次に、実施例1〜4及び比較例1〜9の各積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのそれぞれ10個について、マイクロスコープを使用し、セラミック素体上に析出しためっき皮膜の伸びを測定してその平均値を算出し、めっき成長の程度を評価した。
また、実施例1〜4及び比較例1〜9の各積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのそれぞれ10個について、はんだ付き性を評価した。
ここで、はんだ付き性は、温度105℃、相対湿度100%の高温多湿下で各試料を4時間放置した後、浴温210℃の共晶はんだ溶融槽に2秒浸漬し、スズ皮膜上のはんだ被覆面積を測定し、その被覆率によってはんだ付き性を評価した。
さらに、実施例1〜4及び比較例1〜9の各積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのそれぞれ2個について、アノードの溶解効率を算出し、アノード溶解性を評価した。
尚、アノードの溶解効率は、析出量の実測値を印加電流に対する理論析出量で除算して得た。
表2は積層セラミックコンデンサの測定結果を示し、表3は積層インダクタの測定結果を示している。
Figure 0004936210
Figure 0004936210
表中、めっき成長については、積層セラミックコンデンサの場合は、セラミック素体上のめっき皮膜の伸びが2μm未満の場合を良(○)、2μm以上の場合を不良(×)と判断し、積層インダクタの場合は、セラミック素体上のめっき皮膜の伸びが80μm未満の場合を良(○)、80μm以上の場合を不良(×)と判断した。
はんだ付き性については、スズ皮膜上のはんだ被覆率が95%以上を良品、95%未満を不良品とし、不良品が全く発生しなかった場合を良(〇)、不良品が1個でも発生した場合を不良(×)と判断した。
アノード溶解性については、溶解効率が90%以上の場合を良(○)、90%未満の場合を不良(×)と判断した。
この表2及び表3から明らかなように、比較例1のニッケルめっき液は、モル濃度比x/yが2.9であり、3.0未満であるため、はんだ付き性の不良発生率が積層セラミックコンデンサの場合で20%、積層インダクタの場合で10%となり、製品歩留まりの低下を招くことが分かった。これはニッケルめっき液中のハロゲンイオンのモル濃度yが高いため、めっき析出速度が速くなり、このためめっき皮膜が緻密性・平滑性を欠くことになり、はんだ付き性の低下を招いたものと思われる。
比較例2のニッケルめっき液は、モル濃度比x/yが11.4であり、10.0を超えているため、積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのいずれの場合も、アノードの溶解効率が85%と低下し、アノード溶解性に劣ることが分かった。
比較例3のニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xが1.41mol/Lであり、1.79mol/L未満であるため、セラミック素体上に形成されためっき皮膜の伸びは、積層セラミックコンデンサの場合で3.2μm、積層インダクタの場合で90μmであり、いずれの場合もめっき成長が顕著であることが分かった。これはニッケルめっき液中のニッケルイオンのモル濃度xが低いため、めっき処理中に被めっき物に大きな電位が負荷され、このため外部電極以外のセラミック素体上にもめっき皮膜が形成されてめっき成長が生じたものと思われる。
比較例4のニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xは2.31mol/Lであり、1.79mol/L以上であるので、部品素体へのめっき成長は抑制できるものの、モル濃度比x/yが2.8であり、3.0未満であるため、比較例1と同様の理由から、はんだ付き性の不良発生率が積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのいずれの場合であっても30%となり、製品歩留まりの低下を招くことが分かった。
比較例5のニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xは1.93mol/Lであり、1.79mol/L以上であるので、部品素体へのめっき成長は抑制できるものの、モル濃度比x/yが32.1であり、10.0を大幅に超えているため、積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのいずれの場合も、アノードの溶解効率が60%と低下し、比較例2と同様、アノード溶解性に劣ることが分かった。
比較例6のニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xが1.52mol/Lであり、1.79mol/L未満であるため、比較例3と同様の理由から、セラミック素体上に形成されためっき皮膜の伸びは、積層セラミックコンデンサの場合で3.0μm、積層インダクタの場合で110μmであり、いずれの場合もめっき成長が顕著であることが分かった。
比較例7のニッケルめっき液は、モル濃度比x/yが2.9であり、3.0未満であるため、比較例1と同様の理由から、はんだ付き性の不良発生率が積層セラミックコンデンサの場合で30%、積層インダクタの場合で10%となり、製品歩留まりの低下を招くことが分かった。
比較例8のニッケルめっき液は、モル濃度比x/yが11.2であり、10.0を超えているため、積層セラミックコンデンサ及び積層インダクタのいずれの場合も、アノードの溶解効率が71%と低下し、比較例2や比較例5と同様、アノード溶解性に劣ることが分かった。
比較例9のニッケルめっき液は、ニッケルイオンのモル濃度xが1.70mol/Lであり、1.79mol/L未満であるため、比較例3と同様の理由から、セラミック素体上に形成されためっき皮膜の伸びは、積層セラミックコンデンサの場合で2.8μm、積層インダクタの場合で100μmであり、いずれの場合もめっき成長が顕著であることが分かった。
これに対して実施例1〜4のニッケルめっき液はニッケルイオンのモル濃度が1.79mol/L以上、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yの比x/yが、3.0<x/y≦10.0であるので、高温多湿下に晒されてもはんだ付き性が良好であり、また、セラミック素体上に析出しためっき皮膜の伸びは積層セラミックコンデンサの場合で1μm以下、積層インダクタの場合で50〜70μmと良好であり、めっき成長を抑制することができた。さらにアノードの溶解効率も99%以上となってアノード溶解性が良好で、浴管理も簡便に行うことのできることが分かった。
本発明に係るニッケルめっき液を使用して製造された電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 セラミック素体(部品素体)
6a、6b 外部電極(導電部)
7a、7b ニッケル皮膜

Claims (4)

  1. ニッケルめっき液を使用して導電部の形成された部品素体にめっき処理を施し、前記導電部の表面にニッケル皮膜を形成する電子部品の製造方法において、
    前記ニッケルめっき液は、ニッケル塩とハロゲン化合物とpH緩衝剤とを含有し、pHが2.5〜5.5に調整されると共に、ニッケルイオンのモル濃度xが1.79mol/L以上であって、かつ、ニッケルイオンのモル濃度xとハロゲンイオンのモル濃度yとの比x/yが、3.0<x/y≦10.0であることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記ニッケルめっき液は、前記ニッケル塩主成分が硫酸ニッケルであることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記ニッケルめっき液は、前記ハロゲン化合物が、塩化ニッケル及び臭化ニッケルのうちの一種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記ニッケルめっき液は、前記pH緩衝剤、ホウ酸、オキシカルボン酸、これらの塩、及びラクトン化合物から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3にいずれかに記載の電子部品の製造方法。
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