JP4441726B2 - スズ又はスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法 - Google Patents

スズ又はスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はスズ及びスズ合金メッキ浴に関して、特定のイオウ化合物を微量濃度以下に精製した脂肪族スルホン酸をベース酸とすることで、従来より、浴から得られるスズ及びスズ合金メッキ皮膜のリフロー性並びに外観をさらに改善できるものを提供する。
排水処理の容易性、スズ塩の溶解性などの見地から、スズ及びスズ合金メッキの有機スルホン酸浴は従来から知られている。
例えば、特許文献1〜4などには、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、或は、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのアルカノールスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの芳香族スルホン酸をベース酸とするスズ、或はスズ−鉛合金メッキ浴などが開示されている。
例えば、上記特許文献1に記載の有機スルホン酸浴では、浴中に所定のノニオン系界面活性剤を添加することにより、スズ又はスズ合金メッキ皮膜の緻密性、平滑性などの皮膜外観を向上しようとするものである。
また、上記特許文献2〜4に記載の有機スルホン酸浴においても、同様に、浴中に所定のノニオン系の界面活性剤を添加して、高電流密度でのメッキ(高速メッキ)を可能にし、或は皮膜外観や均一性を向上しようとするものである。
このように、上記特許文献1〜4に記載されたスズ及びスズ合金の有機スルホン酸浴にあっては、各種添加剤の含有により、メッキ皮膜の外観などを改善しようとするものである。
一方、上記スズ及びスズ合金の有機スルホン酸浴、特に、スズ系メッキ浴に汎用されるアルカンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸浴においては、ベース酸となる脂肪族スルホン酸の純度と得られるメッキ皮膜の特性との間には何らかの関連性があり、脂肪族スルホン酸の純度が低く不純物が微量でも含まれると、メッキ皮膜の特性に悪影響を及ぼすのではないかという問題が提起されている。
そこで、このスズ系メッキ浴に常用される脂肪族スルホン酸を精製する方法の公知技術を挙げると、下記の特許文献5〜6がある。
特許文献5には、先ず、従来のアルカンスルホン酸の製法として、エチレンをクロロスルホン酸でスルホン化処理する方法、エチレンオキシドを亜硫酸ガスで処理する方法、有機チオール又はチオ酢酸エステルを酢酸溶媒中で過酢酸と反応させる方法などを挙げ(段落3参照)、これらの従来製法に対して、次の方法を開示している。
即ち、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、2−メルカプトエタノールなどのアルキルメルカプタンと過酸化水素を反応させてアルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸を製造するに際して、50重量%以上のH22濃度を有する過酸化水素水溶液を化学量論量を越える使用量で反応槽に仕込み、50℃以下の低温でアルキルメルカプタンを連続供給し、3〜20時間程度の熟成期間を経て、常圧下で沸騰蒸留処理を施した後、反応液を陰イオン交換体と接触させて、高純度のアルカンスルホン酸又はアルカノールスルホン酸を高収率、低コストで製造する方法を開示している(同公報の請求の範囲、段落9〜11参照)。
この特許文献5は、アルキルメルカプタンと過酸化水素を反応させてアルカンスルホン酸を製造する過程において、過酸化水素を化学量論量を越えて多く使用しながら、反応温度の低温化と、熟成化と、常圧下での沸騰蒸留と、陰イオン交換体処理との複雑な組み合わせによって、純粋なアルカンスルホン酸を製造するものであり、得られた高純度のアルカンスルホン酸は(メタ)アクリル酸とのエステル化により反応性乳化剤として、また、その単独重合体又はビニルモノマーとの共重合体により凝集剤、分散剤、増粘剤などの各種用途に利用される外、スズ、ハンダメッキ用の添加剤としても利用できることが記載されている(同公報の段落2参照)。
また、特許文献6には、先ず、従来のアルカンスルホン酸の製法として、チオール(アルキルメルカプタン)の酸化、ハロゲン化アルキルスルホニルの加水分解、或は、ジメチルジスルフィドの酸化などを挙げ(段落3参照)、これらの従来製法に対して、アルカンスルホン酸の水溶液を塩基性アニオン交換樹脂に接触させて、主にアルカンスルホン酸中の硫酸の含有率を低減する精製方法を開示している。
この特許文献6によれば、アルカンスルホン酸、さらに詳しくはメタンスルホン酸は、導電金属のメッキに有用である反面、メタンスルホン酸中には導電金属のメッキに際して有害である硫酸が不純物として存在しているが、塩基性アニオン交換樹脂との接触により、アルカンスルホン酸中の硫酸の含有率を大幅に低減することができるとしている(段落2〜5参照)。
特開昭59−182986号公報 特開平1−268894号公報 特開昭63−161187号公報 特開平3−94093号公報 特開平10−204052号公報 特開2001−64249号公報
本発明は、脂肪族スルホン酸をベース酸とするスズ又はスズ合金メッキ浴において、特殊で複雑な方法を用いた特許文献5のアルカンスルホン酸の高純度化方法とは異なり、また、アニオン交換樹脂との接触による特許文献6の方法とも異なる別種の分離精製方式を脂肪族スルホン酸に適用することにより、スズ又はスズ合金メッキ皮膜のリフロー性や外観を従来より一層改善することを技術的課題とする。
前述したように、スズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸浴においては、脂肪族スルホン酸の純度が低く不純物が微量でも含まれると、スズ又はスズ合金浴から得られるメッキ皮膜の特性に悪影響を及ぼすのではないかとの問題提起がなされている。
そして、これに関連して、特許文献5には、アルキルメルカプタンを過酸化水素で酸化する製法では、ジスルフィドの様な反応中間体の残存もあり、製品を汚染していることが指摘されている(段落5)。
そこで、本発明者らは、メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸の純度と、メッキ皮膜の特性との関係を鋭意研究した結果、アルカンスルホン酸中には製造方法に由来して各種のイオウ化合物が不純物として含有されるが、これらのイオウ化合物の中では、α−クロロジメチルスルホン、ジメチルジスルフィドなどの特定の成分がメッキ特性に悪影響を及ぼし、この特定成分以外のイオウ化合物(例えば、ジメチルスルホンなど)はメッキ特性に影響を及ぼさないニュートラルな存在であること、また、特許文献5〜6とは異なる減圧濃縮などの特定の精製分離方式を市販のアルカンスルホン酸に施すと、上記特定のイオウ化合物を有効に排除でき、得られた精製アルカンスルホン酸を上記特許文献5のような添加剤としてではなく、スズ又はスズ合金浴のベース酸に用いると、メッキ皮膜のリフロー性、皮膜外観を一層改善できることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた脂肪族スルホン酸に加温下で減圧濃縮処理を施して、同スルホン酸以外の不純物としてのイオウ化合物をゼロ濃度に排除するか、微量濃度にまで低減して精製脂肪族スルホン酸(b)を調製し、
この精製脂肪族スルホン酸(b)をベース酸に用いて、第一スズ塩と、第一スズ塩及び銅、ビスマス、銀、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、アンチモンから選ばれた金属の塩とのいずれかよりなる可溶性塩(a)と混合してスズ及びスズ合金メッキ浴を建浴するとともに、
上記不純物としてのイオウ化合物が、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるジメチルジスルフィドであり、ジメチルジスルフィドのメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、200ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明2は、上記本発明1において、不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるメタンチオスルホン酸S−メチルであり、
当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明3は、上記本発明1において、不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−クロロジメチルスルホンであり、
当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明4は、上記本発明1において、不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンであり、
当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明5は、上記本発明1において、不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドの単独物ではなく、
分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンの4種類のイオウ化合物のうちの少なくとも2種類以上であり、
上記2種類以上のイオウ化合物のメッキ浴中の含有量を2ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明6は、上記本発明1〜5のいずれかにおいて、アルカンスルホン酸がメタンスルホン酸であることを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法である。
本発明7は、上記本発明1〜6のいずれかにおいて、脂肪族スルホン酸に加温下で減圧濃縮処理を施して精製脂肪族スルホン酸を調製するのに代えて、
脂肪族スルホン酸を吸着剤に接触させる固相抽出処理を施して精製脂肪族スルホン酸を調製することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
本発明8は、上記本発明7において、同一の吸着剤により、或は種類を変えた吸着剤により複数工程の固相抽出処理を施すことを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
本発明9は、脂肪族スルホン酸に、
(1)上記本発明1〜6のいずれかの減圧濃縮処理と、
(2)上記本発明7又は8の吸着剤を用いた固相抽出処理
とを組み合わせて施して精製脂肪族スルホン酸を調製することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
本発明10は、上記本発明1〜9のいずれかにおいて、精製前の脂肪族スルホン酸が、アルキルメルカプタン又はジアルキルジスルフィドを湿式酸化し、或はハロゲン化アルキルスルホニルを加水分解して得られた脂肪族スルホン酸であることを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
本発明11は、上記本発明1〜10のいずれかの製造方法で得られたスズ又はスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴を用いて、バンプを形成することを特徴とするバンプ形成方法である。
前述したように、脂肪族スルホン酸、特にアルカンスルホン酸の従来の製法としては、アルキルメルカプタンを湿式酸化する方法(本発明10参照;例えば、塩素及び水、又は過酸化水素などにより酸化する方法)があるが、この酸化製法では、中間段階でジメチルジスルフィドが生成する可能性があり、前記特許文献5でも、ジスルフィドの様な反応中間体の残存を指摘している(同文献5の段落5参照)。また、ジアルキルジスルフィドを湿式酸化する方法では、未反応のジアルキルジスルフィドが生成物中に残留する恐れがあり、例えば、ジメチルジスルフィドを湿式酸化すると、生成物のメタンスルホン酸中に未反応のジメチルジスルフィドが微量残存する恐れがある(本発明10参照)。さらに、ハロゲン化アルキルスルホニルを加水分解する方法でも、目的とする脂肪族スルホン酸以外に、各種のハロゲン原子を有するイオウ化合物が不純物として微量混入して来る恐れがあり、この点についてはアルキルメルカプタンを塩素と水で湿式酸化する方式でも同様の恐れがある(本発明10参照)。
本発明は、脂肪族スルホン酸の製造に際して、その製造に由来して不純物として微量混入するイオウ化合物のうち、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物(具体的には、ジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル)か、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物(具体的には、α−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン)をゼロ濃度に排除又は微量濃度以下に低減した精製脂肪族スルホン酸をベース酸として使用したスズメッキ浴、又は鉛フリーのスズ合金メッキ浴であるため、従来の脂肪族スルホン酸をベース酸に用いた場合に比べて、リフロー性、並びに皮膜外観に一層優れたスズ及び鉛フリーのスズ合金のメッキ皮膜を得ることができる。
この場合、排除の対象となる上記特定のイオウ化合物においては、各成分の濃度は分析機器によっても測定不能なゼロのレベルが最適であることは勿論であるが、メッキ特性の保持に鑑みてメッキ浴中の各成分の許容濃度の上限は異なり、ジメチルジスルフィドは200ppm未満(本発明1参照)、メタンチオスルホン酸S−メチル、α−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンは各4ppm未満(本発明2〜4参照)であり、かかる微量濃度が浴中に混入していても、リフロー性や皮膜外観のメッキ特性は良好なレベルを保持できる。
また、これらの許容濃度は上記特定のイオウ化合物が単独で浴中に存在する条件での数値であるが、現実には、これら特定のイオウ化合物はメッキ浴中で複数成分が相乗的に作用してメッキ特性に悪影響を及ぼすことが推定できることから、ジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル、α−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンよりなる群から選ばれたイオウ化合物の少なくとも2種以上がメッキ浴に共存する場合には、共存する上記イオウ化合物の合計許容濃度は2ppm未満と厳しくなる(本発明5参照)。このように、上記イオウ化合物の複合成分が共存する場合には、その合計許容濃度の上限は当該成分が単独で浴に存在する場合の濃度上限より低下するのである。
また、本発明を無電解メッキ浴に適用した場合においても、上記電気メッキと同様に、従来の脂肪族スルホン酸をベース酸に用いたメッキ浴に比べて、スズ及びスズ合金の電着皮膜に一層優れたリフロー性、並びに皮膜外観を付与できる。
(2)本発明1〜10では、不純物としてのイオウ化合物の中の特定成分を排除、又は微量濃度にまで低減する具体的手段が、減圧加温下に原液を濃縮する減圧濃縮処理か、吸着剤に接触させる固相抽出処理であるため、特殊で複雑な方法を用いてアルカンスルホン酸を高純度化する特許文献5に比べて、精製処理を簡便化できる。
また、特許文献6のアルカンスルホン酸の精製方法は、メタンスルホン酸中に導電金属のメッキに有害な硫酸が不純物として存在することの解消に技術的課題があることから(同文献6の段落2〜5参照)、この特許文献6は硫酸が存在すると塩の沈殿などで支障が生じる鉛を含むメッキ浴、例えば、スズ−鉛合金メッキ浴を前提にしたものと推測できるが、本発明は硫酸の存在によっても基本的に悪影響を受けないスズメッキ浴、或は、鉛フリーのスズ合金メッキ浴を対象とするため、特許文献6の精製アルカンスルホン酸が用途として想定するメッキ浴とは異なる。
しかも、本発明では、脂肪族スルホン酸から排除する不純物の対象はジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル、α−クロロジメチルスルホンなどの特定のイオウ化合物であるが、特許文献6の除去対象は硫酸であるため、本発明は特許文献6に対してその除去手段、作用及び除去の対象成分が異なる。
本発明は、第一に、減圧加温下に原液を濃縮する減圧濃縮処理を施すか、原液を吸着剤に接触させて固相抽出処理を施すことにより、不純物としてのイオウ化合物の中の特定成分をゼロ濃度に排除するか、微量濃度にまで低減した精製脂肪族スルホン酸をベース酸として含むスズメッキ浴、又は鉛フリーのスズ合金メッキ浴を製造する方法であり、第二に、精製脂肪族スルホン酸を含むスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、プリント基板やTABなどにバンプを形成する方法である。
上記第一の発明において、不純物として排除対象となるイオウ化合物は、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物(ジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル)、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物(α−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン)である。
当該スズ又はスズ合金メッキ浴は、電気メッキ浴に限らず、無電解メッキ浴を含むものである。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴のベース酸は、アルカンスルホン酸及びアルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた脂肪族スルホン酸に、特定の分離精製処理を施したものである。
上記アルカンスルホン酸としては、化学式Cn2n+1SO3H(例えば、n=1〜11)で示されるものが使用でき、具体的には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1―プロパンスルホン酸、2―プロパンスルホン酸、1―ブタンスルホン酸、2―ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸などが挙げられる。
上記アルカノールスルホン酸としては、化学式
m2m+1−CH(OH)−Cp2p−SO3H(例えば、m=0〜6、p=1〜5)
で示されるものが使用でき、具体的には、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸(イセチオン酸)、2―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸(2−プロパノールスルホン酸)、2―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシペンタン―1―スルホン酸などの外、1―ヒドロキシプロパン―2―スルホン酸、3―ヒドロキシプロパン―1―スルホン酸、4―ヒドロキシブタン―1―スルホン酸、2―ヒドロキシヘキサン―1―スルホン酸などが挙げられる。アルカノールスルホン酸の代表例は、2―ヒドロキシエタン―1―スルホン酸である。
上記脂肪族スルホン酸の中ではアルカンスルホン酸が好ましく、アルカンスルホン酸では、本発明6に示すように、メタンスルホン酸が好ましい。
上記脂肪族スルホン酸には通常各種のイオウ化合物が不純物として微量含まれている。 一方、この脂肪族スルホン酸に本発明の精製分離処理である減圧濃縮処理及び/又は固相抽出処理を施すと、精製分離前の液体クロマトグラムに現れた不純物のピークは分離後のクロマトグラムでは消失していることから、上記精製分離処理により不純物が除去されていることは確認できる。
そこで、精製分離前の脂肪族スルホン酸(具体的にはメタンスルホン酸)の不純物をジクロロメタンで抽出して、得られた不純物の混合体を液体クロマトグラフィーにかけ、その各単離物を各種分析機器により同定した。
次いで、これらの各単離物を新たに分離精製した脂肪族スルホン酸に微量含有させて、この単離物を不純物として含む脂肪族スルホン酸をベース酸とするスズ又はスズ合金メッキ浴を建浴して、浴から得られたメッキ皮膜の特性を調べたところ、不純物として含まれるイオウ化合物の中には、メッキ特性に悪影響を及ぼす成分と及ぼさない成分があるという注目すべき結論を見い出した。そして、この影響の有無が異なる2群の成分を特定したところ、悪影響を及ぼす成分には共通の特徴があることを突き止めた。
即ち、本発明において、不純物として含まれるイオウ化合物のうち、脂肪族スルホン酸から排除又は微量濃度にまで低減すべき対象となる特定成分は、次の化合物(A)と(B)である。
(A)分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物
(B)分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物
上記分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物(A)は、イオウ原子が酸化され尽くされていない(即ち、イオウ原子が完全なオクテット構造になっていない)化合物を意味し、具体的には、下記の構造式(a)〜(b)で表される化合物(1)〜(2)であり、従って、スルホン類のようなイオウ原子が酸化され尽くされた形態の(即ち、イオウ原子が8個の電子で囲繞された完全なオクテット構造になっている)化合物は排除される。
(1)ジメチルジスルフィド
CH3−S−S−CH3 …(a)
(2)メタンチオスルホン酸S−メチル
Figure 0004441726
また、上記分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物(B)は、具体的には、下記の構造式(c)〜(d)で表される化合物(3)〜(4)であり、この場合のイオウ原子は酸化途上であっても、酸化され尽くされたものであっても良い。
(3)α−クロロジメチルスルホン
Figure 0004441726
(4)α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン
Figure 0004441726
一方、上記特定のイオウ化合物(1)〜(4)がメッキ特性に悪影響を及ぼすのに対して、メッキ特性に悪影響を及ぼさない成分としては、構造式(e)で表される下記のジメチルスルホンが挙げられる。
(5)ジメチルスルホン
Figure 0004441726
このジメチルスルホンは前述のイオウ原子が酸化され尽くされた形態の化合物であり、従って、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物(A)からは排除される。
このように、不純物として含まれる同じイオウ化合物にあっても、上記特定成分(1)〜(4)はメッキ特性に悪影響を及ぼすが、特定以外の成分であるジメチルスルホン(5)は影響に関係しないニュートラルな化合物ということができる。
本発明では、スズ又はスズ合金のメッキ特性、即ち、メッキ皮膜のリフロー性や皮膜外観を良好に保持する見地から、メッキ浴中での上記特定のイオウ化合物の各濃度は分析機器によっても測定不能なゼロのレベルが最適であることはいうまでもないが、微量濃度にまで低減した状態でも差し支えない。
上記特定のイオウ化合物において、メッキ特性を良好に保持する観点からの微量濃度の上限は各成分で異なり、本発明1に示すように、上記ジメチルジスルフィド(1)のメッキ浴中の許容濃度は200ppm満である。
同様に、本発明2に示すように、メタンチオスルホン酸S−メチル(2)の許容濃度は4ppm未満である。
また、本発明3〜4に示すように、α−クロロジメチルスルホン(3)、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン(4)の各許容濃度は夫々4ppm未満である。
但し、これらの許容濃度は特定の上記イオウ化合物(1)〜(4)が単独で浴中に存在する条件での数値であり、複数成分が共存する場合には、これらの相乗作用でメッキ特性への悪影響が増すことが推定される。即ち、本発明5に示すように、ジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル、α−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンよりなる群から選ばれたイオウ化合物の少なくとも2種以上がメッキ浴に共存する場合には、共存する上記イオウ化合物の合計の許容濃度は2ppm未満である(本発明5参照)。従って、メッキ特性への影響を排除する見地に立てば、上記4成分がメッキ浴に共存する場合においても、メッキ浴中の合計濃度は2ppm未満に抑制される。
一方、メッキ特性への悪影響の度合を見ると、概ね、化合物(3)が一番大きく、化合物(4)が次いで大きく、化合物(2)と(1)は化合物(3)〜(4)より小さい傾向がある。
また、本発明10に示すように、一般に、脂肪族スルホン酸はアルキルメルカプタンの湿式酸化(塩素及び水などによる)又はジアルキルジスルフィドの湿式酸化や、ハロゲン化アルキルスルホニルの加水分解で製造される場合が多い(例えば、メタンスルホン酸はメチルメルカプタンやジメチルジスルフィドの湿式酸化や、メチルスルホニルクロリドの加水分解で製造される場合が多い)が、これらの酸化方式では、中間生成物として化合物(1)が生成したり、出発原料としての化合物(1)が微量残存したり、或は、ハロゲン原子を有する(出発原料以外の)イオウ化合物が微量生成可能であるため、化合物(1)が不純物として含まれることは一応推測可能であり、化合物(2)も同様の可能性があり、化合物(3)〜(4)も可能性としては否定できないが、その反面、イオウ化合物の中にはメッキ特性に影響しない化合物(例えば、化合物(5))が存在し、また、製造反応で他の化合物が生成する可能性もあることに鑑みると、不純物としての含有の推測性があるからといって、そのような化合物(1)や(2)などが直ちにメッキ特性への悪影響に結び付くものではない。
前述のように、上記脂肪族スルホン酸から特定のイオウ化合物(1)〜(4)を分離精製する具体的手段としては、減圧濃縮処理及び/又は固相抽出処理が挙げられる(本発明1〜10参照)。
上記本発明1〜6の減圧濃縮処理は、脂肪族スルホン酸の原液を減圧下で加温して、原液を濃縮する処理をいう。
上記減圧条件は、メタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸などの脂肪族スルホンの種類に応じて異なり、例えば、メタンスルホン酸では、50〜1mmHg程度、好ましくは30〜5mmHgである。
上記減圧下の加温条件も、脂肪族スルホンの種類に応じて多少異なり、例えば、メタンスルホン酸では、室温〜100℃程度であり、徐々に温度を上昇させながら精製しても良いし、適正な温度を保持して加温しても良い。
減圧濃縮時間は1〜10時間程度が一般的であり、3〜8時間程度が好ましいが、脂肪族スルホン酸の種類に応じて適正に濃縮時間を短縮或は延長できることはいうまでもない。
上記脂肪族スルホン酸の原液は、市販の脂肪族スルホン酸、これを予備的に常圧下で適宜加温濃縮したもの、或はこれに類した処理を施したものをいう。
脂肪族スルホン酸の原液を減圧加温下で処理すると、原液中の不純物又は低沸点成分が効率良く蒸発して原液から除去され、蒸発せずに残った残留液中では脂肪族スルホン酸が濃縮され、脂肪族スルホン酸の純度が増す。
上記本発明7の固相抽出処理は、脂肪族スルホン酸を吸着剤に接触させて、吸着剤の通過で純度を増した脂肪族スルホン酸を得る処理をいう。
上記吸着剤は、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、ゼオライト、或は、多孔性ポリマーなどの公知の吸着剤をいい、例えば、活性炭であれば、炭化と賦活工程を経たものであれば任意のものが使用でき、多孔性ポリマーでは、例えば、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体を基礎母体とする多孔質のポリマーが代表例であり、市販品としては、アンバーライト(スペルコ社製)などが挙げられる。
上記吸着剤は、その属性として、大きな表面積を持ち、内部にナノメートルオーダーの細孔を多く持った多孔質構造の固体であって、前記特許文献6のようなポリマーの基礎母体に第4級アンモニウム塩基などの官能基を導入したアニオン交換樹脂とは異なる概念である。ちなみに、後述の実施例に記載したアンバーライトXAD2は吸着剤に属するのに対して、特許文献6に記載されたアンバーライトIRA92(段落11参照)はアニオン交換樹脂に属する。
当該固相抽出処理では、予め吸着剤をメタノールやイオン交換水で洗浄した後、立設したカラムに充填して、適正な流速で脂肪族スルホン酸をカラムに滴下させて、脂肪族スルホン酸の原液中に含まれる不純物などをカラムの吸着剤に吸着させ、不純物の除去で純度の増した脂肪族スルホン酸が流下抽出される。上記流速は、滴下する脂肪族スルホン酸の種類や固定相である吸着剤の種類又は使用量などに応じて適宜調整される。
この固相抽出処理では、本発明8に示すように、同一の吸着剤により、或は種類を変えた吸着剤により、脂肪族スルホン酸に複数工程の固相抽出処理を適用しても良い。例えば、第一工程として、有機系吸着剤である多孔性ポリマーを充填したカラムに脂肪族スルホン酸を滴下させた後、第二工程として、第一工程で得られた脂肪族スルホン酸をさらに同種の多孔性ポリマーのカラムに滴下して、2段階抽出を行うこともでき、或は、さらに多段階の抽出を行うこともできる。また、第一工程として、活性炭やシリカゲルなどの無機系吸着剤を充填したカラムに脂肪族スルホン酸を滴下させた後、第二工程として、第一工程で得られた脂肪族スルホン酸をさらに多孔性ポリマーのカラムに滴下して、2段階抽出を行うか、或は、さらに多段階の抽出を行うこともできる。
一方、本発明9に示すように、脂肪族スルホン酸に前記減圧濃縮処理と当該固相抽出処理を組み合わせて適用することもできる。
例えば、脂肪族スルホン酸の原液を減圧加温下で濃縮処理してから、この減圧濃縮処理で得られた脂肪族スルホン酸を吸着剤の充填カラムに滴下して抽出処理を行っても良く、或は、その逆に、固相抽出処理で得られた脂肪族スルホン酸に減圧濃縮処理を施すこともできる。
減圧濃縮処理と、複数工程の固相抽出処理を組み合わせることも可能であり、この場合、固相抽出処理は減圧濃縮処理の前後にまとめて行っても良いし、減圧濃縮処理を挟んだ分離した状態(即ち、固相抽出→減圧濃縮→固相抽出の順番)で行っても良い。
上記電気スズメッキ浴は、基本的に可溶性第一スズ塩と、液ベースとしての脂肪族スルホン酸を基本組成とし、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、光沢剤、半光沢剤、pH調整剤などの各種添加剤を含有したものである。
一方、上記電気スズ合金メッキ浴は、基本的に可溶性第一スズ塩と、スズと合金を形成する鉛以外の特定金属の可溶性塩と、液ベースとしての脂肪族スルホン酸を基本組成とする鉛フリーのメッキ浴であり、必要に応じて、浴の分解防止、或は、スズ及びこれと合金を形成する金属との共析を促進するための安定剤を初めとして、スズメッキ浴に類した各種添加剤を含有したものである。
上記可溶性第一スズ塩には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸の第一スズ塩を初め、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウムなどが使用できる。
スズと合金を形成する鉛以外の特定金属の可溶性塩とは、Cu+、Cu2+、Ag+、Bi3+、In3+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Co3+、Sb3+の各種金属イオンを浴中で生成する任意の無機又は有機の塩を意味する。
例えば、可溶性銅塩は、硫酸銅、塩化銅、酸化銅、炭酸銅、酢酸銅、ピロリン酸銅、シュウ酸銅などである。可溶性銀塩は、メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、2−プロパノールスルホン酸銀などの有機スルホン酸銀を初め、シアン化銀、ホウフッ化銀、硫酸銀、亜硫酸銀、炭酸銀、スルホコハク酸銀、硝酸銀、クエン酸銀、酒石酸銀、グルコン酸銀、シュウ酸銀、酸化銀、酢酸銀などである。可溶性ビスマス塩は、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマス、硝酸ビスマス、有機スルホン酸のビスマス塩、スルホコハク酸のビスマス塩などである。可溶性インジウム塩は、塩化インジウム、酸化インジウム、有機スルホン酸インジウムなどである。また、可溶性亜鉛塩は塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、有機スルホン酸亜鉛、スルホコハク酸亜鉛などである。
可溶性ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酸化ニッケル、酢酸ニッケル、有機スルホン酸のニッケル塩などである。可溶性コバルト塩は、硫酸コバルト、塩化コバルト、有機スルホン酸のコバルト塩などである。可溶性アンチモン塩は、塩化アンチモン、ホウフッ化アンチモン、有機スルホン酸アンチモンなどである。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴は、酸性〜中性、或はアルカリ性の任意のpH領域に適用することができる。しかしながら、一般に、メッキ浴中のSn2+は酸性では安定であるが、中性付近では不安定になり易い。従って、本発明のメッキ浴を中性浴に適用する場合には、中性領域でSn2+を安定化させ、もって白色沈殿が生じたり、浴が分解するのを防止する目的で、錯化剤を含有させることが有効である。
上記錯化剤は、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸などであり、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或はこれらの塩などが挙げられる。好ましくは、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或はこれらの塩などである。
また、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)−N,N,N′,N′−テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、或はこれらの塩なども錯化剤として有効である。
上記酸化防止剤は浴中のSn2+の酸化防止を目的とするもので、次亜リン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
上記安定剤は、特に、スズ合金メッキ浴の安定又は分解防止、或はスズと合金を形成する金属の共析化を目的として含有され、チオ尿素類、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオグリコール、チオグリコール酸、チオグリコールポリエトキシレート、アセチルシステインなどの含イオウ化合物、シアン化合物、クエン酸等のオキシカルボン酸類などの公知の安定剤の含有が有効である。
上記界面活性剤には通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤が挙げられ、メッキ皮膜の外観、緻密性、平滑性、密着性などの改善に寄与する。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
上記光沢剤、或は半光沢剤としては、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、3−アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリルデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2−ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或は、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―メルカプトベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類などが挙げられる。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基などが挙げられるが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類なども有効である。
上記導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられるが、上記pH調整剤で共用できる場合もある。
本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴はバレルメッキ、ラックメッキ、高速連続メッキ、ラックレスメッキなどの任意のメッキ方法に適用できる。
本発明のスズ又はスズ合金浴を用いた電気メッキの条件も任意であり、例えば、浴温は0℃以上、好ましくは10〜50℃程度であり、陰極電流密度は0.001〜100A/dm2、好ましくは0.01〜30A/dm2である。
さらに、本発明のスズ又はスズ合金浴は、前述したように、無電解メッキに適用することができることは言うまでもない。無電解メッキ浴では、銅、銅合金などの素地金属との置換反応を促進するため、チオ尿素類などの錯化剤の含有が有用である。
一方、本発明11は、本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴を用いて、プリント基板やTABなどにバンプを形成するバンプ形成方法である。本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴を用いると、従来のメッキ浴に比べて、基板の高密度化を阻害するような裾の長い山形状などではなく、適正なマッシュルーム形状のバンプを円滑に形成できる。
また、本発明のスズ又はスズ合金メッキ浴は、半導体デバイス、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フィルムキャリヤー、コネクタ、スイッチ、抵抗、可変抵抗、コンデンサ、フィルタ、インダクタ、サーミスタ、水晶振動子、リード線などの電子部品に対するスズ又はスズ合金メッキに良好に適用できる。
以下、アルカンスルホン酸の減圧濃縮処理及び固相抽出処理による精製例、これらの精製処理を経たアルカンスルホン酸を含有するスズ及びスズ合金メッキ浴の実施例、並びに、これらのメッキ浴から得られたスズ及びスズ合金皮膜のリフロー性評価試験例及び外観評価試験例を順次説明する。
また、精製前のアルカンスルホン酸には各種イオウ化合物が不純物として微量含有されるが、このイオウ化合物の単離・同定試験例を述べるとともに、新たにこの単離されたイオウ化合物を、上記減圧濃縮処理で得られた精製アルカンスルホン酸をベース酸とするスズ及びスズ合金メッキ浴に微量含有させて、当該イオウ化合物のメッキ皮膜外観への影響度合を調べた判定試験例を併せて説明する。
尚、本発明は下記の処理例、実施例、試験例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《アルカンスルホン酸の精製例》
下記の精製例1〜8において、精製例1は減圧濃縮処理による例、精製例2〜3は有機系ポリマーを吸着剤に用いた固相抽出処理による例、精製例4は活性炭を吸着剤に用いた固相抽出処理による例、精製例5は有機系ポリマーを用いた2段固相抽出処理の例、精製例6は有機系ポリマーと活性炭を用いた2段固相抽出処理の例、精製例7〜8は減圧濃縮処理と固相抽出処理を組み合わせた2段精製例である。
(1)減圧濃縮処理による精製例1
4ツ口フラスコに濃度60%の市販のメタンスルホン酸水溶液を原液として加え、リービッヒ管と分留用曲管、ナス形フラスコで蒸留装置を組み立てた。
次いで、真空ポンプで5mmHgまで減圧しながら、室温で濃縮を開始し、液温が100℃になるまで徐々に温度を上昇していき、約5時間減圧濃縮を行って、濃度96%のメタンスルホン酸を得た。
(2)固相抽出処理による精製例2
スチレンージビニルベンゼン共重合体(アンバーライトXAD2;スペルコ社製)100.0gを500mLビーカーに入れ、メタノール(特級)500mLを添加し、室温下で約1時間撹拌した後、上澄み液を廃棄し、同様の操作をメタノールにて3度繰り返した。次いで、蒸留水500mLを入れ、室温下で10分撹拌した後、上澄み液を廃棄し、同様の操作を蒸留水にて5度繰り返した。次いで、減圧ろ過により水分を抜き取り、吸着剤のコンディショニング工程を終えた。
直径5cm×長さ40cmのオープンカラムにグラスウール10gを詰め、上記コンディショニング工程を終えたスチレンージビニルベンゼン共重合体100gを充填し、その上からグラスウール10gを詰めた。
このカラムに対して、市販のメタンスルホン酸(濃度70%)300gを5mL/分の流速で滴下し、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
尚、前述したように、上記アンバーライトXAD2は吸着剤であって、冒述の先行技術2のアンバーライトIRA92(段落11参照)のような塩基性アニオン交換樹脂に属するものではない。
(3)固相抽出処理による精製例3
上記精製例2を基本としながら、吸着剤である有機系ポリマーの種類を臭素化スチレンージビニルベンゼン共重合体(セパビーズSP207;三菱化学社製)に替え、他の条件を精製例2と同様に操作して、コンディショニング工程と抽出工程を行い、市販のメタンスルホン酸(濃度70%)300gを5mL/分の流速でカラムに滴下して、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
(4)固相抽出処理による精製例4
500mLビーカーに市販のメタンスルホン酸(濃度70.0%)500gと活性炭(関東化学社製)50gを入れ、5時間撹拌し、グラスファイバーのフィルターで減圧ろ過し、濾液を回収して、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
(5)2段の固相抽出処理による精製例5
前記精製例2と同様の操作により、スチレンージビニルベンゼン共重合体(アンバーライトXAD2)を吸着剤として、コンディショニング工程と抽出工程を行い、市販のメタンスルホン酸(濃度70%)300gを5mL/分の流速でカラムに滴下して、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
さらに、コンディショニングを施したアンバーライトXAD2を充填した同様のカラムを用いて、もう一度固相抽出を行い、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
(6)2段の固相抽出処理による精製例6
前記精製例3と同様の操作により、臭素化スチレンージビニルベンゼン共重合体(セパビーズSP207)を吸着剤として、コンディショニング工程と抽出工程を行い、市販のメタンスルホン酸(濃度70%)300gを5mL/分の流速でカラムに滴下して、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
さらに、活性炭を充填した同様のカラムを用いて、もう一度固相抽出を行い、濃度70.0%のメタンスルホン酸を得た。
(7)減圧濃縮処理と固相抽出処理を組み合わせた精製例7
4ツ口フラスコに濃度60%のメタンスルホン酸水溶液を加え、リービッヒ管と分留用曲管、ナス形フラスコで蒸留装置を組み立て、真空ポンプで5mmHgまで減圧しながら、室温で濃縮を開始し、液温が100℃になるまで徐々に温度を上げ、約5時間減圧濃縮を行って、濃度96%のメタンスルホン酸を得た。
一方、直径5cm×長さ40cmのオープンカラムにグラスウール10gを詰め、コンディショニングを施したスチレンージビニルベンゼン共重合体(アンバーライトXAD2)100gを充填し、その上からグラスウール10gを詰めた。
減圧濃縮した上記メタンスルホン酸(濃度96.0%)300gをカラムに入れ、5mL/分の流速で滴下して、濃度96.0%のメタンスルホン酸を得た。
(8)減圧濃縮処理と固相抽出処理を組み合わせた精製例8
4ツ口フラスコに濃度60%のメタンスルホン酸水溶液を加え、リービッヒ管と分留用曲管、ナス形フラスコで蒸留装置を組み立て、真空ポンプで5mmHgまで減圧しながら、室温で濃縮を開始し、液温が100℃になるまで徐々に温度を上げ、約5時間減圧濃縮を行って、濃度96%のメタンスルホン酸を得た。
一方、直径5cm×長さ40cmのオープンカラムにグラスウール10gを詰め、コンディショニングを施した臭素化スチレンージビニルベンゼン共重合体(セパビーズSP207)100gを充填し、その上からグラスウール10gを詰めた。
減圧濃縮した上記メタンスルホン酸(濃度96.0%)300gをカラムに入れ、5mL/分の流速で滴下して、濃度96.0%のメタンスルホン酸を得た。
《液体クロマトグラフィーによるメタンスルホン酸の精製評価例》
そこで、固相抽出処理による上記精製例2を代表例に採って、メタンスルホン酸を精製の前・後の段階で高速液体クロマトグラフィーにより分析し、得られた液体クロマトグラムに基づいてメタンスルホン酸の精製評価を行った。
即ち、島津製作所製のクロマトグラフLC-10ASを用いた上記高速液体クロマトグラフィーの分析条件は下記の通りである。
カラム:ODS-UG-3
移動相:メタノール:水=1:5,リン酸2ml/L
UV検出器:230nm
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
図2Aは精製前のメタンスルホン酸のクロマトグラム、図2Bは精製後の同クロマトグラムである。
これらの液体クロマトグラムから判断すると、メタンスルホン酸の精製前の原液では、図2Aに示すように、保持時間=3.178と6.182に吸収ピークが観られたが、精製例2から得られたメタンスルホン酸では、図2Bに示すように、これら2つの吸収ピークがほぼ消失しており、本発明の固相抽出処理を施すことで原液中の不純物が有効に除去され、メタンスルホン酸が高純度化されていることが確認できた。この場合、ほぼ消失が見られた吸収ピークの成分は、厳密な特定には至らないまでも、イオウを含有する化合物に多く見られるピーク位置に類することから、同イオウ化合物と推定される。但し、上記消失ピークの位置から推定すると、冒述の特許文献6でアルカンスルホン酸からの除去の対象成分に挙げられている硫酸に該当するものではなかった。従って、本発明の脂肪族スルホン酸の分離精製と、特許文献6のアルカンスルホン酸の精製では、その除去の対象成分が異なることから、精製メカニズムも異なるものと推定される。
ちなみに、固相抽出処理に替えて、メタンスルホン酸に前記精製例1の減圧濃縮処理を施した場合でも、精製前・後の液体クロマトグラムの対比から同様のピークの消失が確認でき、減圧濃縮処理を適用してもメタンスルホン酸は有効に高純度化されることが判明した。
また、上記メタンスルホン酸に替えて、市販の2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸に本発明の分離精製方法を施して、精製前・後の液体クロマトグラムを調べたが、吸収ピークの消失による同様の傾向を示した。
そこで、上記精製例1〜8で得られた高純度メタンスルホン酸を含有するスズ浴及びスズ合金メッキ浴を下記の通り調製した。また、本発明の分離精製処理を施さないブランク例、或は、加温することなく常温下で減圧濃縮処理を行った例を夫々比較例とした。
《スズ系メッキ浴の実施例》
(1)実施例1
下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
[リフロー性評価用のスズメッキ浴]
塩化第一スズ(Sn2+として) 50g/L
精製例1のメタンスルホン酸 50g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
[皮膜外観評価用のスズメッキ浴]
塩化第一スズ(Sn2+として) 80g/L
前記精製例1のメタンスルホン酸 150g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
上記酸化防止剤は、例えば、前述したように、アスコルビン酸、カテコール、ヒドロキノンなどを1〜10g/L程度の割合で含有させ、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、C1〜C25アルキルフェノール、C1〜C22脂肪族アミンのエチレンオキシド付加物などを1〜10g/L程度の割合で含有させることができる(以下の実施例及び比較例でも同様である)。
(2)実施例2
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例2で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(3)実施例3
実施例1を基本としながら、前記精製例1に替えて前記精製例3で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(4)実施例4
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例4で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(5)実施例5
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例5で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(6)実施例6
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例6で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(7)実施例7
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例7で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(8)実施例8
実施例1を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例8で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(9)実施例9
下記の組成でスズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
[リフロー性評価用のスズ−銅合金メッキ浴]
硫酸第一スズ(Sn2+として) 50g/L
硫酸銅(Cu2+として) 5g/L
精製例7のメタンスルホン酸 50g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
安定剤 少量
[皮膜外観評価用のスズ−銅合金メッキ浴]
硫酸第一スズ(Sn2+として) 80g/L
硫酸銅(Cu2+として) 8g/L
前記精製例7のメタンスルホン酸 150g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
安定剤 少量
上記酸化防止剤、ノニオン系界面活性剤の種類や含有量はスズ浴で前述した通りである。また、上記安定剤はスズと銅を円滑に共析化するためのものであり、チオ尿素類や、上記ノニオン系界面活性剤(例えば、ラウリルアミンのエチレンオキシド付加物など)で代替することもできる。
(10)実施例10
上記実施例9を基本としながら、精製例7に替えて前記精製例8で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例9と同様にして、スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
(11)実施例11
前記実施例9を基本としながら、精製例7に替えて前記精製例1で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例9と同様にして、スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
(12)実施例12
下記の組成でスズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 80g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 8g/L
精製例1のメタンスルホン酸 150g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
安定剤 少量
上記酸化防止剤、ノニオン系界面活性剤の種類や含有量はスズ浴で前述した通りである。また、上記安定剤はスズとビスマスを円滑に共析化するためのものであり、例えば、チオ尿素類などのイオウ系化合物である。
(13)実施例13
下記の組成でスズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 80g/L
硝酸銀(Ag+(金属銀)として) 8g/L
前記精製例1のメタンスルホン酸 150g/L
酸化防止剤 少量
ノニオン系界面活性剤 少量
安定剤 少量
上記酸化防止剤、ノニオン系界面活性剤の種類や含有量はスズ浴で前述した通りである。また、上記安定剤はスズと銀を円滑に共析化するためのものであり、例えば、チオ尿素類、チオグリコール、チオグリコール酸、亜硫酸塩、チオ硫酸塩などのイオウ系化合物である。
(14)実施例14
前記実施例12を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例7で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例12と同様にして、スズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
(15)実施例15
前記実施例12を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例8で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例12と同様にして、スズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
(16)実施例16
前記実施例13を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例7で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例13と同様にして、スズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
(17)実施例17
前記実施例13を基本としながら、精製例1に替えて前記精製例8で得られたメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例13と同様にして、スズ−銀合金合金メッキ浴を建浴した。
(18)比較例1
前記実施例1を基本としながら、前記精製例1から得られたメタンスルホン酸に替えて、分離精製をしていない市販のメタンスルホン酸をそのまま使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(19)比較例2
前記実施例1を基本としながら、前記精製例1から得られたメタンスルホン酸に替えて、加温下ではなく常温下で減圧濃縮処理を施したメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例1と同様にして、スズメッキ浴を建浴した。
(20)比較例3
前記実施例9を基本としながら、前記精製例7から得られたメタンスルホン酸に替えて、分離精製をしていない市販のメタンスルホン酸をそのまま使用して、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例9と同様にして、スズ−銅合金メッキ浴を建浴した。
(21)比較例4
前記実施例12を基本としながら、前記精製例1から得られたメタンスルホン酸に替えて、分離精製をしていない市販のメタンスルホン酸をそのまま使用して、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例12と同様にして、スズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
(22)比較例5
前記実施例12を基本としながら、前記精製例1から得られたメタンスルホン酸に替えて、加温下ではなく常温下で減圧濃縮処理を施したメタンスルホン酸を使用し、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例12と同様にして、スズ−ビスマス合金メッキ浴を建浴した。
(23)比較例6
前記実施例13を基本としながら、前記精製例1から得られたメタンスルホン酸に替えて、分離精製をしていない市販のメタンスルホン酸をそのまま使用して、それ以外の成分及び含有量の条件は実施例13と同様にして、スズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
そこで、通常より厳しい条件下で、上記実施例及び比較例の各メッキ浴から得られる電着皮膜のリフロー性を評価した。
《スズ系メッキ皮膜のリフロー性評価試験例》
上記実施例1〜10及び比較例1〜3の各スズメッキ浴、或はスズ−銅合金メッキ浴を用いて、浴温30℃、陰極電流密度20A/dm2の条件で電気メッキを行って、Cu板上に膜厚5μmでスズ皮膜、或はスズ−銅合金メッキ皮膜を夫々形成し、各試料を300℃に設定したホットプレート上に60秒放置し、放置後の皮膜外観を目視観察して、下記の基準に従ってスズ系メッキ皮膜のリフロー性を評価した。
A:皮膜に光沢、ヨリ、或は変色は見られず。
B:皮膜にやや曇った光沢は見られたが、ヨリは見られず。
C:皮膜は黄色〜青色に変色したが、ヨリは見られず。
D:皮膜は黄色〜青色に変色し、ヨリも見られた。
図1の各左欄はその試験結果である。
リフロー性の評価は比較例1〜3ではC〜Dであったが、実施例1〜10ではA〜Bの優れた評価を示した。
リフロー性試験では、260℃、或はこれを若干上回る温度で10秒程度加熱するのが通常の条件であるが、本試験では、これより厳しく、皮膜の変色やヨリが発生し易い条件に設定した。このため、本発明の分離精製を施していない従来のメタンスルホン酸を使用した比較例1〜2では、変色やヨリが発生したものと思われるが、実施例1〜10では、この厳しい条件にも拘わらず、ヨリは見られず、光沢も概ね良好であった。
この点を詳述すると、実施例1〜6と比較例1の対比から、スズメッキ浴においては、アルカンスルホン酸に本発明の分離精製を施すと、分離精製を行わない場合よりリフロー性が大きく向上することが確認できた。また、実施例9〜10と比較例2との対比から、スズ合金メッキ浴においても、本発明の分離精製はリフロー性の向上に寄与することが確認できた。さらに、実施例1と比較例2との対比から、アルカンスルホン酸に減圧濃縮処理を施す場合、リフロー性の向上には加温下での濃縮が重要であることが確認できた。実施例1〜6を実施例7〜8と対比すると、減圧濃縮処理と固相抽出処理を組み合わせることで、これらの処理の一方のみを行う場合よりリフロー性が改善されることが判明した。 以上のように、本発明の分離精製を施したアルカンスルホン酸をベース酸として含有するスズメッキ浴、或はスズ合金メッキ浴は、この分離精製を施さないアルカンスルホン酸を含有する同メッキ浴に比べて、浴から得られたメッキ皮膜のリフロー性を改善する点で明らかな優位性があり、本発明のメッキ浴から得られたスズ又はスズ合金皮膜を電子部品などに適用した場合、メッキの信頼性を従来より顕著に高めることができる。
次いで、通常より陰極電流密度を増してヤケやムラが発生し易い条件下でメッキを行い、上記実施例及び比較例の各メッキ浴から得られる電着皮膜の外観を評価した。
《スズ系メッキ皮膜の外観評価試験例》
上記実施例1〜17及び比較例1、3〜6の各スズメッキ浴、或はスズ合金メッキ浴を用いて下記の厳しい条件で電気メッキを行って、Cu系リードフレーム上に膜厚10μmでスズ皮膜、或はスズ合金メッキ皮膜を夫々形成し、各リード端面の皮膜の析出状態を拡大鏡で観察するとともに、リードフレーム全体のメッキムラの発生状況を目視観察し、皮膜外観の優劣を評価した。
[メッキ条件]
Sn浴 Sn−Cu浴 Sn−Bi浴 Sn−Ag浴
浴温(℃) 30 30 30 30
電流密度(A/dm2) 40 30 40 30
また、上記皮膜外観の評価基準は次の通りである。
A:皮膜にヤケ、ムラは見られなかった。
B:リード端面にわずかにヤケが見られたが、ムラは見られなかった。
C:リード端面にヤケが見られたが、ムラは見られなかった。
D:リードのほぼ全面にヤケ、ムラが見られた。
図1の各右欄はその試験結果である。
皮膜外観の評価は比較例1、3〜6では共にCであったが、実施例1〜17ではA〜Bの優れた評価を示した。
通常、電気メッキの陰極電流密度は10〜20A/dm2程度であるが、本試験では、40〜50A/dm2に増大させて、ヤケやムラが発生し易い厳しい条件に設定した。このため、本発明の分離精製を施していない従来のメタンスルホン酸を使用した比較例1、3〜6では、ヤケが発生したものと思われるが、実施例1〜17では、この厳しい条件にも拘わらず、ムラは見られず、ヤケも概ね見られなかった。
この点を詳述すると、実施例1、2〜7と比較例1の対比から、スズメッキ浴においては、アルカンスルホン酸に本発明の分離精製を施すと、分離精製を行わない場合より皮膜外観が大きく改善することが確認できた。また、実施例10〜11と比較例3との対比から、スズ−銅合金メッキ浴においても、本発明の分離精製は皮膜外観の改善に寄与することが確認できた。スズ−ビスマス合金メッキ浴(実施例12、15と比較例4との対比)、スズ−銀合金メッキ浴(実施例13、17と比較例6の対比)においても、本発明の分離精製が皮膜外観の改善に寄与することは明白である。さらに、実施例12と比較例5との対比から、アルカンスルホン酸に減圧濃縮処理を施す場合には、皮膜外観の改善には加温下で行うことが重要であることが確認できた。実施例1、2〜6、11〜13を実施例7〜10、14〜17に対比すると、減圧濃縮処理と固相抽出処理を組み合わせることで、これらの処理の一方のみを行う場合より皮膜外観が改善されることが判明した。
このように、本発明の分離精製を施したアルカンスルホン酸をベース酸として含有するスズメッキ浴、或はスズ合金メッキ浴は、この分離精製を施さないアルカンスルホン酸を含有する同メッキ浴に比べて、浴から得られたメッキ皮膜の外観を改善する点で明らかな優位性があり、この面からも、本発明のメッキ浴から得られたスズ又はスズ合金皮膜を電子部品などに適用した場合、メッキの信頼性を従来より顕著に高めることができる。
以上を総合すると、市販のメタンスルホン酸に減圧濃縮処理及び/又は固相抽出処理を施して、得られた精製メタンスルホン酸をベース酸とするスズ及びスズ合金浴を用いて電気メッキを行うと、メッキ皮膜の外観、リフロー性を良好に改善できるという重要な技術的事項が明らかになった。
そして、この技術的事項、即ち、メタンスルホン酸に特定の精製分離処理を施すと優れたメッキ特性が得られることは、精製分離によってメタンスルホン酸からメッキ特性に悪影響を与える不純物が排除されていることを強く推測させる。
そこで、上記精製分離によりメタンスルホン酸から排除されるイオウ化合物を特定し、これらのイオウ化合物の中でメッキ特性に悪影響を及ぼす成分、或は、影響を及ぼさないニュートラルな成分を確認する作業を下記の試験に基づいて順次行った。
《メタンスルホン酸中の不純物の単離・同定試験例》
市販のメタンスルホン酸100mLをジクロロメタン300mLで抽出し、その後、エバポレーターでジクロロメタンを除去した。次いで、抽出・溶媒除去を数回繰り返し、不純物の含水混合物を得た。不純物中に含有する水分を除くためにジクロロメタンを30mL加え、硫酸ナトリウム5gを加えた。上澄み液をデカンテーションし、エバポレーターで溶媒除去した後、不純物の混合物を得た。
得られた不純物の混合物に3mLのメタノールを加え、リサイクル分取型の高速液体クロマトグラフィー(日本分析工業(株)製;LC−908型)を用いて以下に示す条件で測定し、単離物を得た。
カラム:Shodex Asahipak GS-310 21G
移動相:メタノール
流速:3.8mL/分
検知器:RI
上記単離物は、13C-NMR、1H-NMR、IR、GC-MS、MS、元素分析などの各種分析機器を用いて同定した。
その結果、各種分析データに基づいて下記のイオウ化合物(1)〜(5)が同定できた。
尚、下記の分析データにおいて、1H−NMRのsはシングレットピーク、IRのwは弱いピーク、mはミドルピーク、sは強いピークを意味する。
(1)ジメチルジスルフィド
P&T−GC/MS:ms 94,79,61,45
(2)メタンチオスルホン酸S−メチル
1H−NMR(ppm):2.709(s,3H,-SO2CH3)、3.315(s,3H,-SCH3)
IR(cm-1):1134.1(s,R-SO2-R)、1305.7(m,R-SO2-R)、1330.8(m,-S-CH3)、
1410.0(w,-S-CH3)
(3)α−クロロジメチルスルホン
1H−NMR(ppm):3.054(s,3H,-SO2CH3)、4.447(s,2H,-CH2Cl)
IR(cm-1):761.8(s,-CH2-Cl)、1120.6(s,R-SO2-R)、1245.9(m,-CH2-Cl)、
1313.4(s,R-SO2-R)
GC/MS:ms 128、113、93、79、63、49
元素分析(C,H):(C2H5SO2Cl) C:18.89%、H:3.48%
(4)α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン
1H−NMR(ppm):2.920(s,3H,-SO2CH3)、3.369(s,3H,-SOCH3)
13C−NMR(ppm):36.873、39.832、105.880
IR(cm-1):1083.9(s,-SOCH3)、1147.6(s,R-SO2-R)、1321.1(s,R-SO2-R)、
1332.7(m,-SOCH3)
元素分析(C,H,N,S,O):(C3H6S2O3Cl2) C:16.20%、H:2.56%、S:29.86%、O:21.54%
(5)ジメチルスルホン
1H−NMR(ppm):2.991(s,3H,-SO2CH3)
IR(cm-1):1136.0(s,R-SO2-R)、1298.0(s,R-SO2-R)
ちなみに、参考までに、ジクロロメタンによって70%の市販メタンスルホン酸1Lから不純物を抽出することにより、この精製前のメタンスルホン酸中に存在する不純物濃度を推定も含めて示すと、メタンチオスルホン酸S−メチル(2)は1.6ppm、ジメチルスルホン(5)は2.5ppmであり、この化合物(5)の含有濃度に照らして、α−クロロジメチルスルホン(3)は1.2ppm、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン(4)は2.5ppmと夫々推定できる。また、ジメチルジスルフィド(1)の含有濃度は上記化合物(5)とあまり変わらないものと思われる。
そこで、上記試験で単離、同定された5種のイオウ化合物について、減圧濃縮処理で得られた精製メタンスルホン酸(具体的には、前記精製例1のメタンスルホン酸)にこれらのイオウ化合物を夫々微量含有させて、各イオウ化合物を不純物に含むスズ又はスズ合金メッキ浴から得られる電着皮膜の外観の優劣を評価することにより、メッキ特性に悪影響を及ぼす成分か、或は、影響を及ぼさないニュートラルな成分かの判定試験を行った。
《イオウ化合物のメッキ特性への影響度判定試験例》
以下では、スズメッキ浴、スズ−ビスマス合金メッキ浴、スズ−銀合金メッキ浴に分けて順次説明する。
(1)スズメッキ浴
先ず、下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
塩化第一スズ(Sn2+として) 60g/L
精製例1のメタンスルホン酸 106g/L
ノニオン系界面活性剤 10g/L
アニオン系界面活性剤 少量
酸化防止剤 少量
上記ノニオン系界面活性剤には、ビスフェノールポリエトキシレートを使用し、アニオン系界面活性剤にはジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムを2g/L程度で含有させ、酸化防止剤にはアスコルビン酸を1g/L程度の割合で含有させた。
次いで、上記スズメッキ浴に前記試験で単離したイオウ化合物(1)〜(5)を夫々単独で添加し、また、イオウ化合物(3)と(4)を1対1の重量混合比で併用添加するとともに、そのメッキ浴中の添加濃度を0〜5ppm(1ppmごとに変化させた)、10ppm、50ppm、100ppm、200ppmに夫々変化させた。
そして、各イオウ化合物の添加濃度が異なる上記スズメッキ浴を用いて、浴温40℃、陰極電流密度20A/dm2、カソードロッカー6m/分の条件にて、Cu系リードフレーム上に膜厚10μmのスズ皮膜を形成し、前記メッキ皮膜の外観評価試験例と同様に、各リード端面の皮膜の析出状態を拡大鏡で観察するとともに、リードフレーム全体のメッキムラの発生状況を目視観察し、皮膜外観の優劣を評価した。
上記皮膜外観の評価基準は次の通りである。
○:メッキ皮膜の全表面積のうち、60%以上が良好な外観を呈した。
△:同じく、良好な外観が40〜60%であった。
×:同じく、良好な外観が40%より少なかった。
下表はその試験結果である。前述の通り、化合物(1)はジメチルジスルフィド、化合物(2)はメタンチオスルホン酸S−メチル、化合物(3)はα−クロロジメチルスルホン、化合物(4)はα−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン、化合物(5)はジメチルスルホンである。
(5) (1) (2) (3) (4) (3)+(4)
0ppm ○ ○ ○ ○ ○ ○
1ppm ○ ○ ○ ○ ○ △
2ppm ○ ○ △ △ △ ×
3ppm ○ ○ △ △ △ ×
4ppm ○ ○ × × × ×
5ppm ○ ○ × × × ×
10ppm ○ ○ × × × ×
50ppm ○ ○ × × × ×
100ppm ○ △ × × × ×
200ppm ○ × × × × ×
上表を見ると、ジメチルスルホン(5)は200ppm混入してもメッキ皮膜の外観を損なわず、メッキ特性に影響を与えないことが判る。
ジメチルジスルフィド(1)は200ppmで皮膜外観の評価は×、100ppm(即ち、100ppm以上で200ppm未満)での評価は△であるため、ジメチルスルホン(5)との対比からも明らかなように、ジメチルジスルフィド(1)はメッキ特性に悪影響を及ぼすことが確認できた。
また、メタンチオスルホン酸S−メチル(2)、α−クロロジメチルスルホン(3)、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホン(4)は、夫々4ppmでの外観評価は×、3ppm(即ち、3ppm以上で4ppm未満)では△であることから、これらの化合物(2)〜(4)はジメチルジスルフィド(1)と同様にメッキ特性に悪影響を及ぼすことが確認できた。このことから、その影響の強度については、化合物(2)〜(4)は化合物(1)よりメッキ浴中での許容可能な濃度が低く、従って、ごく微量を越えて浴中に存在しても、メッキ特性に悪影響を及ぼすことが判明した。
さらに、イオウ化合物同士が共存する場合に着目すれば、例えば、化合物(3)か(4)が単独で濃度2ppm存在すると各外観評価は△であるが、共存状態で合計濃度が2ppmになると評価は×に低下する(これに対して、1ppm(即ち、1ppm以上で2ppm未満)での評価は△である)ことから、夫々が単独で存在する場合に比べて同濃度でも外観評価が劣ることが確認できた。従って、複数のイオウ化合物が共存すると、その相乗作用でメッキ特性の低下がさらに促進されてしまうことが判った。
以上のように、メタンスルホン酸をベース酸とするスズメッキ浴において、メタンスルホン酸に混在する不純物としての各種のイオウ化合物は、その種類の全てがメッキ特性に影響を及ぼすものではなく、メッキ特性に影響を及ぼさないジメチルスルホン(5)のようなニュートラルな化合物が存在し、イオウ化合物のうちの特定成分だけがメッキ特性に悪影響を及ぼし、その成分は上記化合物(1)〜(4)のように、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物か、イオウ原子と塩素原子を併有する化合物に特定されるという重要な点が明らかになった。
また、これらの化合物(1)〜(4)の間でもメッキ特性への影響の強度(即ち、メッキ浴中での許容濃度)は異なり、単独成分として浴に存在する条件では、化合物(1)の許容濃度は200ppm未満、化合物(3)〜(4)の許容濃度は4ppm未満と推定できる。さらに、単独ではなく複数成分がメッキ浴に共存するとその相乗作用でメッキ特性の低下がさらに促進される傾向が確認でき、化合物(1)〜(4)の少なくとも2種以上が浴に共存する条件では、その合計許容濃度は2ppm未満に低下すると推定できる。
(2)スズ−ビスマス合金メッキ浴
先ず、下記の組成でスズ−ビスマス合金浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 80g/L
硫酸ビスマス(Bi3+として) 8g/L
精製例1のメタンスルホン酸 150g/L
ノニオン系界面活性剤 少量
酸化防止剤 少量
上記ノニオン系界面活性剤にはノニルフェノールポリエトキシレートを5g/L程度で含有させ、酸化防止剤にはアスコルビン酸を1g/L程度の割合で含有させた。
次いで、前記スズメッキ浴と同様の添加条件で、上記スズ−ビスマス合金浴に前記試験で単離したイオウ化合物(1)〜(5)を、0ppm〜200ppmの範囲で浴中濃度を逐次変化させながら単独又は併用添加するとともに、スズ浴と同様の電気メッキ条件で、これらのメッキ浴を用いてCu系リードフレーム上にスズ−ビスマス合金皮膜を形成し、電着皮膜の外観の優劣を評価した。評価基準は前記スズ浴の場合と同じである。
下表はその試験結果である(化合物(1)〜(5)の種類は前記スズ浴と同じ)。
(5) (1) (2) (3) (4) (3)+(4)
0ppm ○ ○ ○ ○ ○ ○
5ppm ○ ○ ○ ○ ○ △
10ppm ○ ○ ○ ○ △ ×
50ppm ○ ○ △ △ × ×
100ppm ○ ○ × × × ×
200ppm ○ △ × × × ×
上表を見ると、ジメチルスルホン(5)は200ppm混入してもメッキ皮膜の外観を損なわず、メッキ特性に影響を与えないことが判る。
これに対して、化合物(1)〜(4)はその混入によってメッキ皮膜の外観を低下させることからメッキ特性に悪影響を及ぼすことが確認できる。そして、メッキ特性への影響の強度(許容濃度の大小)は各化合物間で異なり、スズメッキ浴での傾向と同様に、メッキ特性への影響の強度は化合物(1)ではより小さく、化合物(4)では大きく、化合物(2)〜(3)では(1)と(4)の中間であることが判明した。
以上のように、メタンスルホン酸をベース酸とするスズ−ビスマス合金メッキ浴においても、メタンスルホン酸に混在する不純物としての各種のイオウ化合物は、その種類の全てがメッキ特性に影響を及ぼすものではなく、メッキ特性に影響を及ぼさないジメチルスルホン(5)のようなニュートラルな化合物が存在する反面、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物か、イオウ原子と塩素原子を併有する化合物の特定成分だけがメッキ特性に悪影響を及ぼすという重要な点が明らかになった。
また、これらの化合物(1)〜(4)においては、スズメッキ浴の場合と同様に、単独ではなく複数成分がメッキ浴に共存するとその相乗作用でメッキ特性の低下がさらに促進される傾向があることが判った(化合物(3)と(4)の共存浴を参照)。
その一方、スズ−ビスマス合金メッキ浴においては、メッキ特性に悪影響を与える化合物(1)〜(4)の許容濃度はスズメッキ浴の場合より総じて大きく、例えば、スズ−ビスマス合金浴の場合、化合物(1)では200ppmでの外観評価は△(これに対して、スズ浴では200ppmの評価は×)であるため、200ppmを越えても△評価の可能性があり、また、化合物(4)では10ppmでの評価は△(これに対して、スズ浴では10ppmの評価は×)であるため、10ppmを越えても×ではなく△評価の可能性があることから、各化合物の浴中での許容濃度はスズ−ビスマス合金浴の方がスズ浴より概ね大きい。
従って、これらの特定のイオウ化合物が不純物として浴中に存在する場合、概ね、スズ−ビスマス合金浴でのメッキ特性の低下への抵抗力はスズ浴の場合より大きく、スズ−ビスマス合金浴の場合には、スズ浴より不純物濃度が増してもメッキ特性への悪影響が現れにくいことが推定できる。
(3)スズ−銀合金メッキ浴
先ず、下記の組成でスズ−銀合金メッキ浴を建浴した。
硫酸第一スズ(Sn2+として) 80g/L
硝酸銀(Ag+として) 8g/L
精製例1のメタンスルホン酸 150g/L
安定剤 40g/L
ノニオン系界面活性剤 少量
酸化防止剤 少量
上記ノニオン系界面活性剤と酸化防止剤の種類と含有量は前記スズ−ビスマス合金メッキ浴の場合と同じである。また、安定剤にはチオグリコールポリエトキシレートを使用した。
次いで、前記スズメッキ浴と同様の添加条件で、上記スズ−銀合金浴に前記同定試験で単離したイオウ化合物(1)〜(5)を、0ppm〜200ppmの範囲で浴中濃度を逐次変化させながら単独又は併用添加するとともに、スズ浴と同様の電気メッキ条件で、これらのメッキ浴を用いてCu系リードフレーム上にスズ−銀合金皮膜を形成し、電着皮膜の外観の優劣を評価した。評価基準はスズ浴の場合と同じである。
下表はその試験結果である(化合物(1)〜(5)の種類は前記スズ浴と同じ)。
(5) (1) (2) (3) (4) (3)+(4)
0ppm ○ ○ ○ ○ ○ ○
5ppm ○ ○ ○ ○ ○ ×
10ppm ○ ○ △ △ △ ×
50ppm ○ ○ × × × ×
100ppm ○ ○ × × × ×
200ppm ○ △ × × × ×
上表を見ると、ジメチルスルホン(5)は200ppm混入してもメッキ皮膜の外観を損なわず、メッキ特性に影響を与えないことが判る。
これに対して、化合物(1)〜(4)はその混入によってメッキ皮膜の外観を低下させることからメッキ特性に悪影響を及ぼすことが確認できた。そして、メッキ特性への影響の強度(許容濃度の大小)は各化合物間で異なり、スズメッキ浴での傾向と同様に、メッキ特性への影響の強度は化合物(1)ではより小さく、化合物(2)〜(4)は化合物(1)より大きいことが判明した。
以上のように、メタンスルホン酸をベース酸とするスズ−銀合金メッキ浴においても、メタンスルホン酸に混在する不純物としての各種のイオウ化合物は、その種類の全てがメッキ特性に影響を及ぼすものではなく、メッキ特性に影響を及ぼさないジメチルスルホン(5)のようなニュートラルな化合物が存在する反面、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物か、イオウ原子と塩素原子を併有する化合物の特定成分だけがメッキ特性に悪影響を及ぼすという重要な点が明らかになった。
また、これらの化合物(1)〜(4)においては、スズメッキ浴の場合と同様に、単独ではなく複数成分がメッキ浴に共存するとその相乗作用でメッキ特性の低下がさらに促進される傾向があることが判った(化合物(3)と(4)の共存浴を参照)。
その一方、スズ−銀合金メッキ浴においては、メッキ特性に悪影響を与える化合物(1)〜(4)の許容濃度は総じて、スズメッキ浴の場合より大きく、且つ、スズ−ビスマス合金浴の場合より小さい。
例えば、化合物(1)が浴中に200ppm存在する場合、スズ−銀合金浴での外観評価は△であるが、スズ浴では×であり、また、化合物(4)が浴中に10ppm存在する場合、スズ−銀合金浴での外観評価は△であるが、スズ浴では×であることから、各化合物の浴中での許容濃度はスズ−銀合金浴の方がスズ浴より概ね大きい。その反面、化合物(2)や(3)が浴中に10ppm存在する場合、スズ−銀合金浴での外観評価は△であるが、スズ−ビスマス合金浴では○であることから、各化合物の浴中での許容濃度はスズ−ビスマス合金浴の方がスズ−銀合金浴より概ね大きい。
従って、これらの特定のイオウ化合物が不純物として存在する場合、概ね、スズ−銀合金浴でのメッキ特性の低下への抵抗力はスズ浴の場合より大きく、スズ−ビスマス合金浴の場合より小さく、スズ−銀合金浴の場合には、スズ浴より不純物濃度が増してもメッキ特性への悪影響が現れにくく、スズ−ビスマス合金浴より現れ易いことが推定できる。
実施例1〜10及び比較例1〜3のメッキ浴を使用した場合の電着皮膜のリフロー性評価試験、並びに、実施例1〜17及び比較例1、3〜6のメッキ浴を使用した場合の電着皮膜の外観評価試験の各結果を示す図表である。 図2は本発明の分離精製を施す前・後のメタンスルホン酸についての液体クロマトグラムであり、図2Aは精製前の液体クロマトグラム、図2Bは精製後の液体クロマトグラムである。

Claims (11)

  1. アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた脂肪族スルホン酸に加温下で減圧濃縮処理を施して、同スルホン酸以外の不純物としてのイオウ化合物をゼロ濃度に排除するか、微量濃度にまで低減して精製脂肪族スルホン酸(b)を調製し、
    この精製脂肪族スルホン酸(b)をベース酸に用いて、第一スズ塩と、第一スズ塩及び銅、ビスマス、銀、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、アンチモンから選ばれた金属の塩とのいずれかよりなる可溶性塩(a)と混合してスズ及びスズ合金メッキ浴を建浴するとともに、
    上記不純物としてのイオウ化合物が、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるジメチルジスルフィドであり、ジメチルジスルフィドのメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、200ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  2. 不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるメタンチオスルホン酸S−メチルであり、
    当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  3. 不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−クロロジメチルスルホンであり、
    当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  4. 不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドではなく、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンであり、
    当該化合物のメッキ浴中の含有量をゼロ濃度か、4ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  5. 不純物としてのイオウ化合物が、ジメチルジスルフィドの単独物ではなく、
    分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物であるジメチルジスルフィド、メタンチオスルホン酸S−メチル、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物であるα−クロロジメチルスルホン、α−メチルスルホニル−α,α−ジクロロジメチルスルホンの4種類のイオウ化合物のうちの少なくとも2種類以上であり、
    上記2種類以上のイオウ化合物のメッキ浴中の含有量を2ppm未満の微量濃度にまで低減することを特徴とする請求項1に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  6. アルカンスルホン酸がメタンスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法
  7. 脂肪族スルホン酸に加温下で減圧濃縮処理を施して精製脂肪族スルホン酸を調製するのに代えて、
    脂肪族スルホン酸を吸着剤に接触させる固相抽出処理を施して精製脂肪族スルホン酸を調製することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
  8. 同一の吸着剤により、或は種類を変えた吸着剤により複数工程の固相抽出処理を施すことを特徴とする請求項7に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
  9. 脂肪族スルホン酸に、
    (1)請求項1〜6のいずれか1項に記載の減圧濃縮処理と、
    (2)請求項7又は8に記載の吸着剤を用いた固相抽出処理
    とを組み合わせて施して精製脂肪族スルホン酸を調製することを特徴とするスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
  10. 精製前の脂肪族スルホン酸が、アルキルメルカプタン又はジアルキルジスルフィドを湿式酸化し、或はハロゲン化アルキルスルホニルを加水分解して得られた脂肪族スルホン酸であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のスズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法で得られたスズ又はスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴を用いて、バンプを形成することを特徴とするバンプ形成方法。
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