JP4576666B2 - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形品に関し、さらに詳しくは、ハロゲン系有機化合物を用いることなく高度な難燃性を有すると同時に、機械的特性、耐衝撃性および成形加工性に優れた難燃性スチレン系樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム強化スチレン系樹脂などに代表されるスチレン系樹脂は、優れた機械的性質、成形加工性および電気絶縁性などを有することから、家庭電気機器、OA機器および自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。
【0003】
しかしながら、スチレン系樹脂は本来易燃性であるため、安全性の観点から、種々の難燃化技術が従来から提案されてきた。
【0004】
そして、スチレン系樹脂の難燃化技術としては、一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合して難燃化する方法が採用されているが、この方法により得られる難燃性樹脂組成物は、燃焼の際に発煙量が多いなどの問題点を有していた。
【0005】
そこで、近年これらのハロゲン系難燃剤の欠点を克服するために、ハロゲンを全く含まない難燃性樹脂が強く望まれるようになった。
【0006】
非ハロゲン系難燃剤として、燐系難燃剤があり、代表的なものとして燐酸エステルが従来からよく使用されている。例えばスチレン系樹脂にポリホスフェートを添加する方法(特開昭59−24736)、ゴム強化スチレンに特定構造を有する燐酸エステルを添加する方法(特開平11−140270)、スチレン系樹脂に液状燐酸エステルを添加する方法(特開平11−5869)などがすでに開示されている。
【0007】
しかしながら、スチレン系樹脂は極めて燃えやすい樹脂であるため、燐酸エステルでは難燃化効果が極めて低く、上記特開昭59−24736、特開平11−140270、特開平11−5869記載の方法で得られる組成物においては、スチレン系樹脂に難燃性を付与するためには、燐酸エステルを多量に配合しなければならず、そのため機械特性が低下するばかりか、燐酸エステルがブリードアウトしたり、成形時に金型汚染が発生するといった問題点や成形時にガスが発生するという問題点を有していた。
【0008】
上記問題点を解決する方法として、ヒドロキシル基含有燐酸エステルを使用する方法が、特基平5−247315に開示されている。
【0009】
しかしながら、ヒドロキシル基含有燐酸エステルもまた、難燃化効果が極めて低く、上記問題点を解決することは困難であった。
【0010】
燐酸エステルでは難燃化効果が低いため、難燃性を向上させるために、我々は燐酸エステルに、さらに難燃助剤としてメラミンシアヌール酸塩を用いることで、難燃性が向上することを見いだしたが、スチレン系樹脂本来の機械的特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点を解決することができなかった。
【0011】
またさらに難燃性を向上させるために、ヒドロキシル基含有燐酸エステルに炭化層形成ポリマーとして、ノボラックフェノール樹脂、さらにトリアジン骨格を含有する化合物を添加する方法が特開平7−70448に開示されている。
【0012】
本技術もまた、スチレン系樹脂本来の機械的特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点を解決できるものではなかった。さらにフェノール樹脂は耐光性に極めて劣る材料であるため、得られる樹脂組成物の耐光性が低下するという問題点も有していた。
【0013】
また非ハロゲン難燃剤として、難燃化効果の高い赤燐を使用し、難燃助剤として炭化層形成能を有するフェノール樹脂を添加する方法が特開平6−157866に開示されている。
【0014】
本技術により難燃性は付与できるものの、スチレン系樹脂本来の機械特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれる。さらに赤燐により成形品が赤燐色に着色するという問題点を有していた。
【0015】
一方、燐酸エステルと類似構造を有する亜燐酸エステルを用いた技術として、スチレン系樹脂にハロゲン系難燃剤と亜燐酸エステルを添加し、熱安定性を向上させる方法(特開昭49−80159)、黄変しやすいアクリロニトリル含量の高いABSに亜燐酸エステルを添加し、着色性を防止させる方法(特開昭54−94548)、変性PPEとスチレン系アロイに分子量が1500以上の亜燐酸エステルを添加し、着色性を防止させる方法(特開昭58−174439)、スチレン系樹脂に特定のハロゲン含有化合物と亜燐酸エステルを添加し、熱安定性を向上させる方法(特開平4−88050)などがすでに提案されている。しかしながら、これらの技術は、熱安定性の向上や着色防止を目的とした技術であり、難燃性を付与することを目的とした技術ではない。
【0016】
我々はスチレン系樹脂に亜燐酸エステルを難燃剤として使用したところ、樹脂組成物の着色防止性や熱安定性は確かに向上するものの、燃えやすいスチレン系樹脂に配合することで、むしろ難燃性は低下し、多量に配合しても難燃性を付与することは困難であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点を解決し、高度な難燃性を有すると同時に、機械的特性、耐衝撃性および成形加工性に優れた難燃性樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂に対し、難燃剤として特定の燐酸エステル系化合物と特定の亜燐酸エステル系化合物を特定割合で配合することにより、高度な難燃性を有すると同時に、機械的強度、耐衝撃性および成形加工性に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0019】
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)100重量部、下記一般式(1)で表される燐酸エステル系化合物(B)の1種または2種以上3〜20重量部、および下記一般式(4)で表される構造を有し、かつ分子中に連続した炭素数が13以上の長鎖アルキル基を含有する亜燐酸エステル系化合物(C)の1種または2種以上0.3〜5重量部からなることを特徴とする。
【0020】
【化6】
【0021】
【化7】
(上記式(1)中、R1〜R8は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、相互に同一または相異なっていてもよい。Y1 は直接結合、O、S、SO2 、C(CH3)2 、CH2 またはCHPhのいずれかを表し、Phはフェニル基を表す。Ar1 〜Ar4はフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基およびアントリル基から選ばれる1種以上の基を表し、相互に同一または相異なっていてもよい。また、nは0以上の整数、k、mはそれぞれ0以上2以下で、かつk+mが0以上2以下となる整数である。また、上記式(4)中、Ar 9 〜Ar 10 はアルキル基、フェニル基で置換されたアルキル基、フェニル基のいずれかを表し、同一または相異なっていてもよいが、その少なくとも1種は連続した炭素数が13以上の長鎖アルキル基を含有する。)
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品について具体的に説明する。
【0023】
本発明で使用するスチレン系樹脂(A)とは、芳香族ビニル系単量体を主たる構成成分として含む重合体である。この芳香族ビニル系単量体としてはスチレンをはじめ、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンおよびo−エチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンやα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらは1種または2種以上を併用しても良い。
【0024】
また、スチレン系樹脂に耐薬品性、耐熱性などの特性を付与する目的で、芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を共重合しても良い。これらのビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどが挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
【0025】
スチレン系樹脂(A)は、その主たる構成成分である芳香族ビニル系単量体の共重合割合が、樹脂組成物の成形加工性、耐薬品性などの諸物性バランスの観点から、50〜99重量%、好ましくは60〜90重量%であることが望ましい。
共重合成分としてシアン化ビニル系単量体を用いる場合は、この共重合成分の共重合割合が1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%であることが望ましい。また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体の共重合割合は、50重量%以下の範囲とすることが可能である。
【0026】
スチレン系樹脂(A)の特性には特に制限はないが、メチルエチルケトン溶媒で30℃で測定した極限粘度が0.3〜0.7dl/g、好ましくは0.4〜0.6dl/g、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒で30℃測定した極限粘度が0.3〜0.8dl/g、好ましくは0.4〜0.7dl/gであることが、優れた耐衝撃性、成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好適である。
【0027】
スチレン系樹脂(A)の製造方法には特に制限はなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
【0028】
さらに、スチレン系樹脂の耐衝撃性などの特性を飛躍的に向上させることを目的とする場合には、芳香族ビニル系重合体よりなるマトリックス中にゴム質重合体が分散したゴム変性スチレン系樹脂とすることが好ましい。
【0029】
上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレンおよびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられるが、なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましく用いられる。
【0030】
ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6μm、特に0.2〜0.55μmのものが耐衝撃性の観点から好ましい。なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は「Rubber Age、Vol.88、p.484〜490、(1960)、by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法、つまりアルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法により測定することができる。
【0031】
ここで、ゴム質重合体とマトリックスであるスチレン系樹脂とは非相容であるため、ゴム質重合体にマトリックスと相溶する成分をグラフトさせる場合には、耐衝撃性をより一層向上させることができる。すなわち、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル系単量体または単量体混合物をグラフト重合したグラフト重合体を用いることが好ましい。グラフト重合に用いる単量体としては、上記のマトリックスである芳香族ビニル系重合体と同様の成分を同様の割合で使用することが好ましく、組成、グラフト量については特に制限はないが、ゴム質重合体の分散性を損なわないような組成とグラフト量に調整することが好ましい。
【0032】
具体的には、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体を含有する単量体または単量体混合物をグラフト重合して得られるグラフト重合体(a)と、芳香族ビニル系単量体を含有する単量体または単量体混合物を重合して得られるスチレン系重合体(b)とを溶融混練してゴム強化スチレン系樹脂を製造する方法が、工業的、経済的に好適に用いられる。
【0033】
グラフト重合体(a)を得る際のゴム質重合体と単量体または単量体混合物との割合は、ゴム質重合体10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%であることが望ましい。ゴム質重合体の割合が10重量%未満では、樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、80重量%を越える場合は、樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観が損なわれる場合がある。
【0034】
上記グラフト重合体(a)は、乳化重合や塊状重合などの公知の重合法により得ることができる。なかでも、ゴム質重合体ラテックスの存在下に、単量体または単量体混合物、ラジカル発生剤および連鎖移動剤の混合物を、連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などが操業上好適である。
【0035】
また、グラフト重合体(a)を製造する工程において、単量体または単量体混合物がグラフト成分として重合する一方で、グラフトしない重合体も同時に生成する。ここで、グラフトしない重合体の特性については特に制限はないが、メチルエチルケトン可溶分を30℃で測定した極限粘度が0.20〜0.60dl/g、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒で30℃で測定した極限粘度が0.25〜0.75dl/gの範囲であることが、優れた耐衝撃性と表面外観を有する樹脂組成物が得られる点で望ましい。
【0036】
なお、スチレン系重合体(b)については、上記のスチレン系樹脂(A)と同様の方法で製造することができる。
【0037】
ここで、本発明で使用されるゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム質重合体の含有量を10重量%以上となるように、グラフト重合体(a)とスチレン系重合体(b)を溶融混練することにより得られたものである場合に、耐衝撃性を十分に高めることができて好適である。
【0038】
このようなゴム変性スチレン系樹脂の具体例としては、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、透明ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
【0039】
なお、スチレン系樹脂(A)は上記の方法で得た1種または2種以上を併用しても良い。
【0040】
本発明で難燃剤として使用される燐酸エステル系化合物(B)は、上記式(1)で表されるものである。
【0041】
まず、上記式(1)で表される燐酸エステル系化合物の構造について説明する。上記式(1)の式中nは0以上の整数、k、mは、それぞれ0以上2以下で、かつk+mが0以上2以下となる整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0042】
また上記式(1)において、R1 〜R8 は水素または炭素数1〜5のアルキル基のいずれかを表し、相互に同一または相異なっていても良い。ここで、炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−イソプロピル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2ーイソプロピル基、3−イソプロピル基およびネオイソプロピル基などが挙げられるが、特に、水素、メチル基およびエチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
【0043】
また、Y1 は直接結合、O、S、SO2 、C(CH3 )2 、CH2 、CHPhのいずれかを表し、Phはフェニル基を表す。
【0044】
さらに、Ar1 〜Ar4 はフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基およびアントリル基から選ばれる1種以上の基を表し、相互に同一または相異なっていてもよい。フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基およびナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基およびキシリル基が好ましい。
【0045】
上記式(1)で表される燐酸エステル系化合物(B)の使用量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、3〜20重量部、好ましくは5〜15重量部である。
【0046】
燐酸エステル系化合物(B)が3重量部未満では十分な難燃性が得られず、また20重量部を超えると、スチレン系樹脂(A)との溶融混練ができなくなる場合があり、さらには成形品の機械的特性や耐熱性が大いに損なわれる場合もあるため好ましくない。
【0047】
なお、上記式(1)で表される燐酸エステル系化合物(B)は、1種または2種以上を併用しても良い。
【0048】
本発明でもう一方の難燃剤として使用される亜燐酸エステル系化合物(C)は、上記一般式(4)で表される構造を有するものであり、かつその分子内に連続した炭素数13以上の長鎖アルキル基を含有するものである。
【0051】
【化9】
上記式(4)で表される亜燐酸エステル系化合物について説明する。
【0055】
ここで、Ar9 〜Ar10は、アルキル基、フェニル基で置換されたアルキル基、フェニル基のいずれかを表し、相互に同一または相異なっていても良いが、Ar9 〜Ar10から選択される少なくとも1種、好ましくは1種以上は、長鎖アルキル基、あるいは置換された長鎖アルキル基を含有するものである。この場合の長鎖アルキル基、置換された長鎖アルキル基の連続した炭素数は、13以上、好ましくは18以上である。このような長鎖アルキル基、置換された長鎖アルキル基を含有しない場合は、本発明の難燃性、耐衝撃性および成形加工性が得られないばかりか、逆に難燃性を低下させる場合があるため好ましくない。
【0056】
Ar9 〜Ar10の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−イソプロピル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−イソプロピル基、3−イソプロピル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、トリデシル基、オクタデシル基、2−メチルオクチル基、2,2−ジメチルオクチル基、4−メチル−5−エチルオクチル基、2−ノニル−2−ブテニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基、ノニルフェニル基、トリデシルフェニル基、オクタデシルフェニル基および2−ノニル−2−ブテニルフェニル基などが挙げられるが、Ar 9 〜Ar10から選択される少なくとも1種は、トリデシル基、オクタデシル基、トリデシルフェニル基およびオクタデシルフェニル基などの長鎖アルキル基、置換された長鎖アルキル基を含有するものである。
【0057】
上記式(4)で表される構造を有する亜燐酸エステル系化合物(C)の使用量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.3〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0058】
亜燐酸エステル系化合物(C)の使用量が0.3重量部未満では、十分な難燃性、耐衝撃性および成形加工性の向上が認められず、また5重量部を超えると、難燃性が逆に低下する場合があるため好ましくない。
【0059】
なお、上記の亜燐酸エステル系化合物(C)は1種または2種以上を併用しても良い。
【0060】
また、本発明においては、難燃性および耐衝撃性をさらに高める目的で、シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)を用いることが好ましい。ここで、シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)とは、下記一般式(5)〜(8)で表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単位(ここで、R17〜R22はそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれた基を表し、相互に同一または異なっていてもよい。)からなるポリオルガノシロキサン樹脂状重合体または共重合体である。
【0061】
【化10】
またこのようなポリオルガノシロキサン樹脂状重合体または共重合体は、さらに分子中あるいは分子末端に反応性の官能基として、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基およびN−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノアルキルヒドロクロリド基を含有したものを使用することができる。
【0062】
また、上記シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)としては、さらにシリカ充填剤を配合したものを使用することもできる。シリコーンゴムとシリカ充填剤の混合方法としては、通常公知の方法を適用することができ、さらにシリコーンゴムとシリカ充填剤からなる組成物には、アルコキシシランカップリング剤を配合することもできる。
【0063】
このようなシランカップリング剤としては、分子中に炭素原子が1〜4のアルコキシ基を少なくとも一つ、さらにエポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基、N−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノアルキルヒドロクロリド基およびヒドロキシル基などのいずれかを含有したシランカップリング剤を使用することができるが、なかでもエポキシ基、アクリロキシ基およびメタクリロキシ基のいずれかを含有したシランカップリング剤を好ましく使用することができる。
【0064】
上記シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜2重量部、さらに好ましくは0.5〜1重量部であり、上記の範囲で使用することによりさらに難燃性を高めることができる。
【0065】
なお、上記のシリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)は、1種または2種以上を併用しても良い。
【0066】
さらに、本発明においてはフェノール系酸化防止剤(E)を使用することが好ましい。これは、亜燐酸エステル系化合物(C)との相乗効果により、一層高い難燃性を維持することができるからである。
【0067】
ここで、フェノール系の酸化防止剤(E)は、特に限定されるものではなく、公知のものを必要に応じて任意に1種あるいは2種以上使用することができる。
【0068】
フェノール系酸化防止剤(E)の使用量は、スチレン系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜1重量部、さらに好ましくは0.3〜0.5重量部である。
【0069】
本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、ガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスビーズ、ガラスフレーク、アルミナ、アルミナ繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、ステンレス繊維、ウィスカ、チタン酸カリ繊維、ワラステナイト、アスベスト、ハードクレー、焼成クレー、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウムおよび鉱物などの無機充填材や、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、カーボンブラックや顔料などの着色剤などの通常の添加剤を1種以上含有することができる。
【0070】
本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方法で製造される。例えば、スチレン系樹脂(A)、燐酸エステル系化合物(B)、亜燐酸エステル系化合物(C)およびその他の添加剤を予備混合、または個別に押出機などに供給して、150℃〜300℃の温度範囲において十分溶融混練することにより調製される。この場合例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができ、特にアスペクト比をコントロールするために、スクリューにニーディングエレメントを数個挿入あるいは未挿入して使用することが好ましい。
【0071】
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性だけではなく、機械的特性、耐衝撃性、さらに成形加工性にも優れ、溶融成形可能であるため、押出成形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用することができる。
【0072】
そして、本発明の難燃性樹脂組成物からなる成形品は、その優れた難燃性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用いることができる。
【0073】
本発明の難燃性樹脂組成物からなる成形品の具体的用途としては、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどが挙げられ、これら各種の用途にとって極めて有用である。
【0074】
【実施例】
以下、実施例により本発明の構成・効果をさらに詳細に説明する。ここで、部数はすべて重量部数を表す。
【0075】
また、各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)難燃性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度230℃、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得られた難燃性評価用試験片について、UL94に定められている評価基準に従い難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。また、V−2以上の評価の場合は、5本のサンプルの燃焼時間の合計を難燃性の指標とした。さらに、V−2の評価であっても第一組(5本)の試験片のうち、1本クランプまで燃焼する試験片があるものを*マークで示した。この場合、燃焼時間の合計は過剰に大きくなるため記載しなかった。
(2)限界酸素指数(LOI)
限界酸素指数法:JIS K7201に従い、限界酸素指数(LOI)を測定した。LOI値が高い程、難燃性に優れることを示す。LOIが22以上のものを自己消火性を有すると判断する。
(3)機械的物性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度230℃、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得られた1/4インチ厚みの試験片について、ASTM D−790に従い曲げ弾性率と曲げ応力を測定した。
(4)衝撃特性
東芝機械製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度230℃、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得られた1/4インチ厚みの試験片(ノッチ付)について、ASTM D−256に従ってアイゾッド衝撃強度を測定した。
(4)流動性
得られた樹脂ペレットを、70℃下で3時間乾燥し、ISO−R1133に従い、200℃、5kgの条件でMFRを測定した。この値が大きいほど、高い流動性を示し、成形加工性が優れる。
[参考例1」
本発明に用いたスチレン系樹脂(A−1)〜(A−3)は以下の通りである。
【0076】
・グラフト共重合体(a)
以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフト率は以下の方法で求めたものである。
【0077】
グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約100×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定し、グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100の計算式で算出した。なお、ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0078】
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.3μm、ゲル含率85%)50部(固形分換算)の存在下で、スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を加えて乳化重合し、フェノール系酸化防止剤を固形分100重量部に対し1重量部添加して重合を終了した。得られたグラフト共重合体を硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(a)を調製した。得られたグラフト共重合体のグラフト率は42%であった。
【0079】
・スチレン系樹脂(b)
撹拌装置を備えた重合槽内でスチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる単量体を懸濁重合し、スチレン系樹脂(b)を調製した。得られたビーズ状樹脂を十分乾燥した後、メチルエチルケトンに溶解し、30℃の恒温槽内で極限粘度の測定を行った結果、0.45dl/gであった。
【0080】
・A−1:
上記で調製したスチレン系樹脂(b)を単独で使用した。
【0081】
・A−2:
上記で調製したグラフト共重合体(a)20重量部とスチレン系樹脂(b)80重量部をブレンドしたものを使用した。スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含量は10重量%である。
【0082】
A−3:
上記で調製したグラフト共重合体(a)40重量部とスチレン系樹脂(b)60重量部をブレンドしたものを使用した。スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含量は20重量%である。
[参考例2]
本発明に用いた燐酸エステル系化合物(B)は以下の通りである。
【0083】
B−1:大八化学社製芳香族ジホスフェート「PX−200」
B−2:大八化学社製ポリホスフェート「CR−733」
[参考例3]
本発明に用いた亜燐酸エステル系化合物(C)は以下の通りである。
【0084】
C−1:旭電化工業社製「アデカスタブPEP−8」
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(アルキル基の連続した炭素数18)
C−3:旭電化工業社製「アデカスタブPEP−36」
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アルキル基の連続した炭素数2)
C−4:旭電化工業社製「アデカスタブ2112」
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(アルキル基の連続した炭素数2)。
[参考例4]本発明に用いたシリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)は以下の通りである。
【0085】
D−1:東レダウコーニング・シリコーン社製シリコーンゴム粉末「DC4−7081」
シリコーンゴムは反応性の官能基としてメタクリル基を含有する。
【0086】
D−2:東芝シリコーン社製シリコーン樹脂「トスパール2000B」
[参考例5]
本発明に用いたフェノール系酸化防止剤(E)は以下の通りである。
【0087】
E:住友化学工業社製「スミライザーGM」
[実施例1〜8、比較例1〜9]表1に示す配合割合に従い各成分を、スクリュウ径30mm、L/Dが25の同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)のホッパー口より一括供給して、樹脂温度220℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融押出した。得られたペレットを70℃で3時間乾燥後、射出成形に供し、目的とする試験片を成形した。評価結果もあわせて表1に記載した。
【0088】
【表1】
表1の実施例、比較例より以下のことが明らかである。
【0089】
実施例1〜8のスチレン系樹脂(A)、燐酸エステル系化合物(B)、亜燐酸エステル系化合物(C)からなる組成物は、UL94に定めるV−2以上の難燃性が得られる。また限界酸素指数は23〜25の範囲であり、自己消火性(LOI>22)を示すことがわかる。一方、比較例1〜3のように亜燐酸エステル系化合物(C)を含有しない場合や、比較例6,7のように亜燐酸エステル系化合物(C)が長鎖アルキル基を含有しない場合には、難燃性(V−2レベル)が認められない。特にこの傾向は、1.6mm厚みの試験片で顕著である。また限界酸素指数は20〜22レベルであり、自己消火性に劣ることがわかる。さらに、比較例5のように燐酸エステル系化合物(B)を過剰に使用すると、本発明の実施条件ではコンパウンドが不能となる。また、比較例4のように亜燐酸エステル系化合物(C)を必要以上に使用すると、逆に難燃性が低下し、LOIも低下する。また比較例8のように亜燐酸エステル系化合物だけを配合しても難燃性、自己消火性は全く得られず、比較例9のように亜燐酸エステルにシリコーン樹脂を配合しても難燃性・自己消火性は得られない。
【0090】
実施例1〜3の比較より、スチレン系樹脂(A)にゴム質重合体を含有させることによって、V−2を維持したまま衝撃強度を飛躍的に向上することができる。ただし、ゴム質重合体の割合が高いものは難燃性、成形加工性が低下する傾向にある。この場合、実施例3と10の比較より、フェノール系酸化防止剤を併用することにより若干の改善効果が期待できる。
【0091】
実施例2、4、5より、燐酸エステル系化合物(B)は併用しても、本発明の効果は認められる。
【0093】
実施例2、6、7の比較より、シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂の使用により難燃性が向上しているのが明確である。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ハロゲン系有機化合物を用いることなくスチレン系樹脂に高度な難燃性を付与させ、かつ機械的強度、耐衝撃性および成形加工性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0095】
そして、本発明で得られる難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品は、家電機器、OA機器や自動車の部品およびハウジングなどの用途に好適である。
Claims (5)
- スチレン系樹脂(A)100重量部、下記一般式(1)で表される燐酸エステル系化合物(B)の1種または2種以上3〜20重量部、および下記一般式(4)で表される構造を有し、かつ分子中に連続した炭素数が13以上の長鎖アルキル基を含有する亜燐酸エステル系化合物(C)の1種または2種以上0.3〜5重量部からなる難燃性樹脂組成物。
- 上記スチレン系樹脂(A)が、ゴム強化スチレン系樹脂である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- さらにシリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂(D)0.1〜3重量部を含有する請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
- さらにフェノール系酸化防止剤(E)0.1〜3重量部を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 上記請求項1〜4いずれか記載の難燃性樹脂組成物からなる成形品。
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