JP2000234065A - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2000234065A JP34970999A JP34970999A JP2000234065A JP 2000234065 A JP2000234065 A JP 2000234065A JP 34970999 A JP34970999 A JP 34970999A JP 34970999 A JP34970999 A JP 34970999A JP 2000234065 A JP2000234065 A JP 2000234065A
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Hideki Matsumoto
英樹 松本
Akinori Shikamata
昭紀 鹿又
Koji Yamauchi
幸二 山内
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂の機械的特性を損なうことなく、
優れた難燃性、耐衝撃性、耐熱性、流動性を有する熱可
塑性樹脂を得る。 【解決手段】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し
て、(B)燐系難燃剤1〜30重量部、および(C)下
記一般式(1)〜(4)で表される構造単位からなるシ
リコーン樹脂および/またはシリコーンゴム0.1〜1
0重量部を配合してなる樹脂組成物であって、シリコー
ン樹脂および/またはシリコーンゴムの空気中での加熱
試験(昇温速度40℃/分)における800℃での重量
減量が60%以下である難燃性樹脂組成物。 【化1】 (上記式中、R1〜R6は各々独立してフェニル基または
メチル基(ただし、R1〜R6の全てがメチル基となるこ
とはない)である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂本来の
機械的特性を損なうことなく難燃性、耐衝撃性、耐熱
性、流動性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスはすぐれた機械的性質、
成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機
器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用
されている。しかしながら、プラスチックスの大半は易
燃性であり、安全性の問題で難燃化に対し種々の技術が
提案されてきた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。しかしながら、
この方法は燃焼の際の発煙量が多い等の問題点を有して
いる。
【0004】そこで、近年これらのハロゲン系難燃剤の
欠点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃性樹
脂が強く望まれるようになった。
【0005】塩素および臭素系難燃剤を使わずに熱可塑
性樹脂を難燃化する方法としては、特表昭59−500
099号公報、あるいは特開昭57−28157号公報
に熱可塑性樹脂にシリコーンオイルおよび第II族金属有
機酸塩を配合し、難燃化する方法が開示されている。
【0006】また特開昭64−4656号公報には、熱
可塑性樹脂にシリコーンオイルとシリコーン樹脂を配合
し難燃化する方法、特開平6−100785号公報に
は、熱可塑性樹脂に有機燐化合物とシリコーン樹脂を配
合する方法、特開平10−139964号公報には、芳
香環を有する非シリコーン樹脂に特定構造のシリコーン
樹脂を配合する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
表昭59−500099号公報、特開昭57−2815
7号公報、特開昭64−4656号公報記載の組成物で
は十分な難燃性が得られず、さらに機械特性の低下を引
き起こすという問題、さらに難燃剤としてシリコーンオ
イルを使用することにより、成形時の金型汚染の問題、
金属接触部品においては、接点汚染の問題および該樹脂
組成物からなる成形品を高温湿熱処理すると成形品にべ
とつきが発生する問題を有していた。
【0008】また特開平6−100785号公報記載の
有機燐系化合物とシリコーン樹脂からなる樹脂組成物は
難燃性向上効果は認められるののの、近年の高度な難燃
性要求レベルを満足するものではなかった。
【0009】また特開平10−139964号公報記載
の樹脂組成物は、限界酸素指数(LOI)の向上は見ら
れるものの、より実際の燃焼性に即したUL94に定め
られた難燃性評価方法では、十分な難燃性が得られない
といった問題点を有していた。
【0010】本発明はかかる問題点を解決し、可燃性の
熱可塑性樹脂に高度な難燃性を付与すると同時に、耐衝
撃性、耐熱性、流動性に優れる難燃性樹脂組成物を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に燐系難燃剤
および特定の構造を有するシリコーン樹脂および/また
はシリコーンゴムを併用すると、熱可塑性樹脂との相溶
性および分散性が顕著に向上し、優れた機械特性を損な
うことなく、特異的に難燃性が付与され、かつ耐衝撃
性、耐熱性、流動性が良好であることを見出したもので
ある。
【0012】すなわち本発明は、「(A)熱可塑性樹脂
100重量部に対して、(B)燐系難燃剤1〜30重量
部、および(C)下記一般式(1)〜(4)で表される
構造単位からなるシリコーン樹脂および/またはシリコ
ーンゴム0.1〜10重量部を配合してなる樹脂組成物
であって、シリコーン樹脂および/またはシリコーンゴ
ムの空気中での加熱試験(昇温速度40℃/分)におけ
る800℃での重量減量が60%以下である難燃性樹脂
組成物。
【0013】
【化2】 (上記式中、R1〜R6は各々独立してフェニル基または
メチル基(ただし、R1〜R6の全てがメチル基となるこ
とはない))」である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の樹脂組成物につい
て具体的に説明する。
【0015】本発明の熱可塑性樹脂(A)とは加熱する
と流動性を示し、これを利用して成形加工できる合成樹
脂のことである。
【0016】この具体例としては、例えば、ポリスチレ
ン樹脂、スチレン/アクリロニトリル共重合体、アクリ
ロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹
脂)などのポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレン
オキシド樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ
フェニレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、
フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレ
ン/プロピレン樹脂、エチレン/1−ブテン樹脂、エチ
レン/プロピレン/非共役ジエン樹脂、エチレン/アク
リル酸エチル樹脂、エチレン/メタクリル酸グリシジル
樹脂体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジ
ル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジ
ル樹脂、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸樹
脂、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエス
テルポリエステルエラストマー等のエラストマー、ある
いはこれら熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられ
るが、ポリスチレン樹脂、スチレン/アクリロニトリル
共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共
重合体(ABS樹脂)などのポリスチレン系樹脂、変性
ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂から選
ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく、さらに
好ましくは、ポリスチレン樹脂、スチレン/アクリロニ
トリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチ
レン共重合体(ABS樹脂)、変性ポリフェニレンオキ
シド樹脂などのポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキ
シ樹脂、フェノール樹脂から選ばれる1種または2種以
上の混合物である。
【0017】上記熱可塑性樹脂(A)の内、ポリスチレ
ン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロ
ニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム変性
スチレン系樹脂とポリフェニレンオキシドとのポリマー
ブレンド体(変性ポリフェニレンオキシド樹脂)などが
挙げられる。
【0018】ここでゴム変性スチレン系樹脂とは、ビニ
ル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合
体が分散してなるグラフト重合体をいい、ゴム状重合体
の存在下に芳香族ビニル系単量体および必要に応じ、こ
れと共重合可能なビニル系単量体を加えて単量体混合物
を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、または乳
化重合することにより得られる。
【0019】このようなゴム変性スチレン系樹脂として
は、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AA
S樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共
重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプ
ロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0020】このようなゴム変性スチレン系樹脂として
はスチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合
体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体
を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトし
た構造をとったものを含むものである。
【0021】具体的には、ゴム質重合体5〜80重量部
に芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有する単量
体または単量体混合物95〜20重量部をグラフト重合
して得られる(a)グラフト(共)重合体5〜100重
量%と、芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有す
る単量体または単量体混合物を重合して得られる(b)
ビニル系(共)重合体0〜95重量%とからなるものが
好適である。
【0022】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまた
はブタジエン共重合体が好ましい。
【0023】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
μm、特に0.2〜0.55μmのものが耐衝撃性に優
れ好ましい。中でも、0.20〜0.25μmと0.5
0〜0.65μmとの重量比が90:10〜60:40
のものが耐衝撃性、薄肉成形品の落錘衝撃が著しく優れ
好ましい。
【0024】なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は「Ru
bber Age Vol.88p.484〜490
(1960)by E.Schmidt, P.H.B
iddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アル
ギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタ
ジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した
重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率よ
り累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定す
ることができる。
【0025】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0026】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、一層の耐衝撃性向上の目的で、シアン化ビニル系単
量体が、靭性、色調の向上の目的で、(メタ)アクリル
酸エステル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビ
ニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特に
アクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体としてはアクリル酸およびメタクリル酸の
メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルに
よるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル
酸メチルが好ましい。
【0027】また必要に応じて、他のビニル系単量体、
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用する
こともできる。
【0028】(a)グラフト(共)重合体において用い
る単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性
の観点から、芳香族ビニル系単量体20重量%以上が好
ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。シア
ン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の
成形加工性の観点から60重量%以下、さらに50重量
%以下が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸
エステル系単量体を混合する場合には、靱性、対衝撃性
の観点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量
%以下が好ましい。単量体または単量体混合物における
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和が
95〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは90〜
30重量%である。
【0029】(a)グラフト(共)重合体を得る際のゴ
ム質重合体と単量体混合物との割合は、全グラフト共重
合体100重量部中、ゴム質重合体5重量部以上が好ま
しく、さらに好ましくは10重量部以上、また80重量
部以下が好ましく、さらに好ましくは70重量部以下で
ある。また単量体または単量体混合物は95重量部以下
が好ましく、さらに好ましくは90重量部以下、また2
0重量部以上が好ましく、さらに好ましくは30重量部
以上である。ゴム質重合体の割合が5重量部未満では樹
脂組成物の耐衝撃性が低下し、80重量部を越える場合
は樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観が損なわれ
る場合がある。
【0030】(a)グラフト(共)重合体は公知の重合
法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックス
の存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に
溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供
給して乳化重合する方法などによって得ることができ
る。
【0031】(a)グラフト(共)重合体は、ゴム質重
合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造を
とった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含有
したものである。(A)グラフト(共)重合体のグラフ
ト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡し
て優れる樹脂組成物を得るために20〜80重量%、特
に25〜50重量%が好ましい。
【0032】ここで、グラフト率は次式により算出され
る。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100 このグラフト共重合体のメチルエチルケトン可溶分の極
限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜0.6d
l/g、特に0.25〜0.5dl/gの範囲が、また
N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃測定した場
合には0.25〜0.75dl/g、特に0.35〜
0.7dl/gの範囲のものが、優れた耐衝撃性の樹脂
組成物が得られるため、好ましく用いられる。
【0033】(b)ビニル系(共)重合体としては芳香
族ビニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香族
ビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニル
トルエン、o−エチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を
用いることができる。
【0034】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、一層の耐衝撃性向上の目的で、シアン化ビニル系単
量体が好ましく用いられる。靭性、色調の向上の目的
で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用
いられる。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなど
が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル
酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n
−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げら
れるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
【0035】また、必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体としてはマレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系
単量体を用いることがてきる。
【0036】(b)ビニル系(共)重合体の構成成分で
ある芳香族ビニル系単量体の割合は樹脂組成物の耐衝撃
性の観点から、全単量体に対し20重量%以上が好まし
く、さらに好ましくは50重量%以上である。シアン化
ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性
の観点から60重量%以下が好ましく、さらに好ましく
は50重量%以下である。また(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観
点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量%以
下が好ましく用いられる。また、これらと共重合可能な
他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以
下が好ましく、さらに50重量%以下が好ましい。
【0037】ビニル系(共)重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.4〜0.65dl/g、特に0.45〜
0.55dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.35
〜0.85dl/g、特に0.45〜0.7dl/gの
範囲のものが、優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成
物が得られ、好ましい。
【0038】ビニル系(共)重合体の製造法は特に制限
がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−
懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用いる
ことができる。
【0039】また本発明においては、必要に応じてカル
ボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、
オキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を
含有する変性ビニル系重合体(以下、変性ビニル系重合
体と略称する。)を用いることもできる。 変性ビニル
系重合体としては、一種または二種以上のビニル系単量
体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分
子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、
アミノ基、オキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種
の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含
有する化合物の含有量に関しては、制限されないが、変
性ビニル系重合体中0.01〜20重量%の範囲が好ま
しい。
【0040】変性ビニル系重合体中にカルボキシル基を
導入する方法は特に制限はないがアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、無
水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などのカルボ
キシル基または無水カルボキシル基を有するビニル系単
量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、γ,γ
´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α´−ア
ゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸および過酸
化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合発生剤
および/またはチオグリコール酸、α−メルカプトプロ
ピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプ
ト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト安息香
酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を用い
て、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、およ
びメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量
体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体
をアルカリによってケン化する方法などを用いることが
できる。
【0041】ヒドロキシル基を導入する方法についても
特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒド
ロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペ
ンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−
テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,
5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−
プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒ
ドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2
−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペ
ン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−
5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2
−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体
を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いる
ことができる。
【0042】エポキシ基を導入する方法についても特に
制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸
グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p
−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレンなどの
エポキシ基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単
量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0043】アミノ基を導入する方法についても特に制
限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリ
ルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸
アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルア
ミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メ
タクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジ
エチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミ
ン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−
アミノスチレンなどのアミノ基、およびその誘導体を有
するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合す
る方法などを用いることができる。
【0044】またオキサゾリン基を導入する方法につい
ても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オ
キサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイ
ル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどの
オキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル
系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0045】変性ビニル系重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.2〜0.65dl/g、特に0.35〜
0.6dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチル
ホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.3〜
0.9dl/g、特に0.4〜0.75dl/gの範囲
のものが、優れた難燃性、耐衝撃性、成形加工性の樹脂
組成物が得られ、好ましい。
【0046】上記熱可塑性樹脂(A)の内、ポリエステ
ル樹脂としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコール
の重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカ
ルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールの重縮合物
などが挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレン
−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカ
ルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレン−1,2
−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシ
レート樹脂などのほか、ポリエチレンイソフタレート/
テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/イ
ソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/デカ
ンジカルボキシレート樹脂およびポリシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂などの共
重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好
適なポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート
樹脂を挙げることができ、より好ましくはポリエチレン
テレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)樹脂である。
【0047】このようなポリエステル樹脂の分子量は特
に制限はないが、通常フェノール/テトラクロロエタン
1:1の混合溶媒を用いて25度で測定した固有粘度が
0.1〜3.0を使用することができるが、好ましく
は、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜
2.25である。
【0048】上記熱可塑性樹脂(A)の内、ポリアミド
樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、ア
ミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重
縮合物などが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン61
2、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミ
ド、ポリ(メタキシレンアジパミド)(以下MXD・6
と略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)
(以下6Tと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルア
ミド)(以下9Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソ
フタルアミド)(以下6Iと略す)、ポリ(テトラメチ
レンイソフタルアミド)(以下4Iと略す)などの脂肪
族−芳香族ポリアミド、およびこれらの共重合体や混合
物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリアミ
ドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/6
6共重合体、ナイロン66/6T共重合体、ナイロン6
T/12共重合体、ナイロン6T/6I/12共重合体
を挙げることができる。
【0049】本発明に使用される(B)燐系難燃剤と
は、燐を含有する有機または無機化合物であれば特に制
限はなく、例えば赤燐、ポリ燐酸アンモニウム、ポリホ
スファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネ
ート、ホスフィンオキシドなどが挙げられる。中でも赤
燐、ポリ燐酸アンモニウム、芳香族ホスフェートが好ま
しく使用することができる。
【0050】本発明で使用される赤燐は、そのままでは
不安定であり、また、水に徐々に溶解したり、水と徐々
に反応する性質を有するので、これを防止する処理を施
したものが好ましく用いられる。このような赤燐の処理
方法としては、特開平5−229806号公報に記載の
赤燐の粉砕を行わず、赤燐表面に水や酸素との反応性が
高い破砕面を形成させずに赤燐を微粒子化する方法、赤
燐に水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムを微
量添加して赤燐の酸化を触媒的に抑制する方法、赤燐を
パラフィンやワックスで被覆し、水分との接触を抑制す
る方法、ε−カプロラクタムやトリオキサンと混合する
ことにより安定化させる方法、赤燐をフェノール系、メ
ラミン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系などの熱
硬化性樹脂で被覆することにより安定化させる方法、赤
燐を銅、ニッケル、銀、鉄、アルミニウムおよびチタン
などの金属塩の水溶液で処理して、赤燐表面に金属リン
化合物を析出させて安定化させる方法、赤燐を水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸
化亜鉛などで被覆する方法、赤燐表面に鉄、コバルト、
ニッケル、マンガン、スズなどで無電解メッキ被覆する
ことにより安定化させる方法およびこれらを組合せた方
法が挙げられるが、好ましくは、赤燐の粉砕を行わず、
赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐を微粒子化する方
法、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキシ系、不
飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆すること
により安定化させる方法、赤燐を水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などで
被覆することにより安定化させる方法であり、特に好ま
しくは、赤燐表面に破砕面を形成させずに赤燐を微粒子
化する方法、赤燐をフェノール系、メラミン系、エポキ
シ系、不飽和ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆
することにより安定化させる方法、およびこれらを組み
合わせた方法である。これらの熱硬化性樹脂の中で、フ
ェノール系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂で被
覆された赤燐が耐湿性の面から好ましく使用することが
でき、特に好ましくはフェノール系熱硬化性樹脂で被覆
された赤燐である。
【0051】また、樹脂に配合される前の赤リンの平均
粒径は、成形品の難燃性、機械的強度や表面外観性の点
から50〜0.01μmのものが好ましく、さらに好ま
しくは、45〜0.1μmのものである。
【0052】また、本発明で使用される赤リンの熱水中
で抽出処理した時の導電率(ここで導電率は赤リン5g
に純水100mLを加え、例えばオートクレーブ中で、
121℃で100時間抽出処理し、赤リンろ過後のろ液
を250mLに希釈した抽出水の導電率を測定する)
は、得られる成形品の耐湿性、機械的強度、耐トラッキ
ング性、および表面性の点から通常0.1〜1000μ
S/cmであり、好ましくは0.1〜800μS/c
m、さらに好ましくは0.1〜500μS/cmであ
る。
【0053】また、本発明で使用される赤リンのホスフ
ィン発生量(ここでホスフィン発生量は、赤リン5gを
窒素置換した内容量500mLの例えば試験管などの容
器に入れ、10mmHg(1.333kPa)に減圧
後、280℃で10分間加熱処理し、25℃に冷却し、
窒素ガスで試験管内のガスを希釈して760mmHg
(101.3kPa)に戻したのちホスフィン(リン化
水素)検知管を用いて測定し、つぎの計算式で求める。
ホスフィン発生量(ppm)=検知管指示値(ppm)
×希釈倍率)は、得られる組成物の発生ガス量、押出
し、成形時の安定性、溶融滞留時機械的強度、成形品の
表面外観性、成形品による端子腐食などの点から通常1
00ppm以下のものが用いられ、好ましくは50pp
m以下、さらに好ましくは20ppm以下である。
【0054】好ましい赤リンの市販品としては、燐化学
工業社製“ノーバエクセル”140、“ノーバエクセ
ル”F5などが挙げられる。
【0055】またハンドリング性や生産性の面から、熱
可塑性樹脂(A)の一部と赤リンを一旦溶融混練して、
実際に難燃性樹脂組成物に配合されるべき赤リン量より
も赤リン濃度の高い樹脂組成物(イ)を製造し、残りの
熱可塑性樹脂(A)に赤リン濃度の高い樹脂組成物
(イ)、シリコーン樹脂および/またはシリコーンゴム
(C)およびその他の任意に用いることができる添加剤
を溶融混練することが好ましい。
【0056】本発明に使用されるポリ燐酸アンモニウム
とは、一般式(NH4n-2n3n- 1(ただしnは20
〜1000の整数)で表すことができる化合物である。
またポリ燐酸アンモニウム単体は加水分解を受けやすい
ため、該ポリ燐酸アンモニウムを熱硬化樹脂で被覆もし
くはマイクロカプセル化したものや、メラミンモノマー
や他の含窒素有機化合物等で該ポリ燐酸アンモニウム粒
子を被覆したものが好ましく使用できる。
【0057】好ましいポリ燐酸アンモニウムの市販品と
してはヘキスト社製“Exolit422”、“Exo
lit462”、チッソ社製“テラージュC60”など
が挙げられる。
【0058】本発明に使用される芳香族ホスフェートと
は、下記式(5)で表されるものである。
【0059】
【化3】 まず前記式(5)で表される難燃剤の構造について説明
する。前記式(5)の式中nは0以上の整数であり、異
なるnの混合物でも良い。またk、mは、それぞれ0以
上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の
整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以
下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0060】また前記式(5)の式中、R7〜R14は同
一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基
を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチルなどが挙げられるが、水素、メ
チル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好まし
い。
【0061】またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一ま
たは相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない
有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例として
は、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、
メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基
などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル
基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル
基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0062】またYは直接結合、O、S、SO2、C
(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル
基を表す。
【0063】好ましい芳香族ホスフェートの市販品とし
ては、大八化学社製“PX−200”、“PX−20
1”、“CR−733S”、“CR−741”、“TP
P”等が挙げられる。
【0064】燐系難燃剤(B)の使用量は(A)熱可塑
性樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であり、
好ましくは2〜25重量部、さらに好ましくは3〜20
重量部である。
【0065】上記燐系難燃剤の使用量が1重量部より少
ないと難燃性の向上効果が認められず、また30重量部
を超えると成形品の機械的物性や耐熱性が損なわれるた
め好ましくない。
【0066】本発明に使用される(C)シリコーン樹脂
またはシリコーンゴムとは、下記一般式(1)〜(4)
で表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学
的に結合されたシロキサン単位からなるポリオルガノシ
ロキサン樹脂状重合体または共重合体である。
【0067】
【化4】 上記式中、R1〜R6は各々独立してフェニル基またはメ
チル基(ただし、R1〜R6の全てがメチル基となること
はない)である。本発明におけるシリコーン樹脂および
/またはシリコーンゴムは上記ポリオルガノシロキサン
(共)重合体もしくはその混合物であり、さらに好まし
くはそのフェニル基:メチル基の割合が、モル比で10
0〜40モル%:0〜60モル%、より好ましくは10
0〜50モル%:0〜50モル%、特に好ましくは10
0〜60%:0〜40モル%であるものが使用できる。
【0068】ここでシリコーン樹脂またはシリコーンゴ
ムは一般的な製造方法に従って製造され、シリコーン樹
脂またはシリコーンゴム中のフェニル基とメチル基の割
合は、シリコーン樹脂またはシリコーンゴム製造時のジ
フェニルジクロロシラン、モノフェニルトリクロロシラ
ンなどのフェニルシラン系原料とジメチルジクロロシラ
ン、モノメチルトリクロロシランなどのメチルシラン系
原料の使用量によって調整する。
【0069】またこのようなポリオルガノシロキサン樹
脂状重合体または共重合体は、さらに分子中あるいは分
子末端に反応性の官能基として、エポキシ基、アクリロ
キシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基、N
−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミ
ノアルキルヒドロクロリド基、ヒドロキシル基を含有し
たものを使用することができるが、なかでもエポキシ
基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含有したもの
を好ましく使用することができる。
【0070】特にシリコーンゴムの場合、室温で粉末
状、粉末ゴム状のものが好ましく、シリコーン樹脂の場
合、粉末状、フレーク状のものが好ましい。
【0071】本発明に使用される(C)シリコーン樹脂
またはシリコーンゴムは、空気中での示差熱熱重量同時
測定装置(セイコー電子工業社製、TG/DTA−20
0)を用いて、100〜900℃の温度領域を40℃/
分の昇温速度で行った加熱試験において、室温(30
℃)に対する800℃での重量減量が60%以下であ
り、とりわけ40%以下のものが好ましい。
【0072】また本発明に使用される(C)シリコーン
樹脂またはシリコーンゴムとしては、さらにシリカ充填
剤を配合したものを使用することができる。特にシリコ
ーンゴムにシリカ充填材を配合すると、樹脂組成物中の
シリコーンゴムの分散性が向上すること、シリカ充填剤
とシリコーンゴムの相乗効果により、800℃での重量
減量が小さくなり難燃性が向上し、さらにシリカ充填材
の補強効果により耐熱性が向上するため好ましい。特に
シリコーンゴム粉末の場合はより効果的である。
【0073】シリコーンゴムとシリカ充填剤の混合方法
は通常公知の方法を適用することができ、さらにシリコ
ーンゴムとシリカ充填剤からなる組成物には、アルコキ
シシランカップリング剤を配合することもできる。
【0074】このようなシランカップリング剤として
は、分子中に炭素原子が1〜4のアルコキシ基を少なく
とも一つ、さらにエポキシ基、アクリロキシ基、メタク
リロキシ基、ビニル基、フェニル基、N−β−(N−ビ
ニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノアルキルヒド
ロクロリド基、ヒドロキシル基を含有したシランカップ
リング剤を使用することができるが、なかでもエポキシ
基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含有したシラ
ンカップリング剤を好ましく使用することができる。
【0075】本発明の効果を得るためには、シリコーン
樹脂および/またはシリコーンゴムであり、かつ800
℃での重量減量が60%以下であることが重要である。
【0076】本発明ではシリコーン樹脂とシリコーンゴ
ムを併用することもでき、併用した場合、その全体の8
00℃での重量減量が60%以下であればよい。
【0077】本発明に使用されるシリコーン樹脂または
シリコーンゴムの分子量(重量平均分子量)は、10,
000〜300,000のものが好ましく、さらに好ま
しくは40,000〜250,000のものが使用でき
る。また、分子量の測定は一般の高分子と同様にゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行うこ
とができる。
【0078】上記シリコーン樹脂および/またはシリコ
ーンゴムの添加量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部
に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.
3〜9重量部、さらに好ましくは0.4〜7重量部であ
る。
【0079】上記の特定の加熱重量減量を特徴とするシ
リコーン樹脂および/またはシリコーンゴムを燐系難燃
剤とともに、熱可塑性樹脂に配合することにより、特異
的に難燃性を付与することが可能となる。
【0080】さらに本発明の樹脂組成物は、難燃性が向
上するだけでなく、耐衝撃性、流動性、耐熱性が向上す
ることを見いだした。
【0081】一方、800℃の加熱重量減量が60%を
越えるシリコーン系化合物(シリコーン樹脂、シリコー
ンゴム、シリコーンオイル)を用いた場合、十分な難燃
性を付与することができず、また耐熱性も低下させるた
め好ましくない。
【0082】また本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに
着色剤を配合することができる。
【0083】ここで着色剤とは、特に限定されず、公知
のものを必要に応じて任意に1種あるいは2種以上使用
でき、例えば、有機系顔料、無機系顔料、および染料が
挙げられる。有機系顔料として、例えばアゾ顔料;アセ
トアセトアリールイド系、ピラゾロン系、2,3−オキ
シナフトイルアリールアミド系、パルピツール酸素、チ
オパルピツール酸素、2,4,6−トリアミノ−1,3
−ピリミジン系、3−シアノ−4−メチルピリドン系の
モノアゾまたはジスアゾ化合物ならびにアゾ化合物の金
属塩からなる群から選択されるもの、その他有機系顔
料;銅フタロシアニン、群青などが使用できる。無機系
顔料としては、プルシアンブルー、クロム酸銅、スルホ
クロム酸銅、チタンブラック、ケッチェンブラック、カ
ーボンブラック、黒色酸化鉄、ベンガラ、白色チタンな
どが挙げられる。これらの着色剤は樹脂との相容性を改
善するためにシランカップリング剤、界面活性剤、滑
剤、酸化ケイ素などで表面処理されたものも含まれる。
【0084】上記着色剤の使用量は特に限定されない
が、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常は
0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さら
に好ましくは1〜4重量部である。
【0085】本発明の難燃性樹脂組成物はさらに繊維状
および/または粒状の充填材を添加することにより、強
度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができ
る。
【0086】このような充填材の具体例としては、ガラ
ス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベス
ト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラ
スフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化
アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドスト
ランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
【0087】これらの添加量は(A)熱可塑性樹脂10
0重量部に対して5〜140重量部が好ましく、特に好
ましくは5〜100重量部である。
【0088】さらに本発明の難燃性樹脂組成物は必要に
応じて、フッ素系樹脂、窒素系化合物などの難燃助剤を
配合することができる。
【0089】さらに本発明の難燃性樹脂樹脂組成物に対
して本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノ
ール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤
や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サ
リシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンな
ど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そ
のエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコー
ル、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着
色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、核剤、可
塑剤、帯電防止剤などの通常の添加剤を1種以上添加す
ることができる。
【0090】また本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知
の方法で製造される。例えば、(A)熱可塑性樹脂、
(B)燐系難燃剤、(C)シリコーン樹脂および/また
はシリコーンゴムおよびその他の必要な添加剤を予備混
合してまたはせずに押出機などに供給して、150℃〜
350℃の温度範囲において十分溶融混練することによ
り調製される。この場合例えば”ユニメルト”タイプの
スクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およ
びニーダタイプの混練機などを用いることができ、特に
アスペクト比をコントロールすることから、スクリュー
にニーディングエレメントを数個挿入あるいは未挿入に
することにより使用することが好ましい。
【0091】本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性だけで
なく、機械特性、耐熱性、さらに成形加工性にも優れ、
溶融成形可能であるため押出成形、射出成形、プレス成
形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する
任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用するこ
とができる。さらに難燃性を活かして電気・電子部品、
自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などの
ハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用い
ることができる。
【0092】例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサ
ー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リ
レーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、
バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子
板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、ス
ピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ
ー、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジン
グ、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャー
シ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、
コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部
品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライ
ヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデ
ィオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音
声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タ
イプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表
される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピュータ
ー関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、
複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸
受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライタ
ー、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕
微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機
器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オ
ルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガ
スバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系
各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、イン
テークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョ
イント、キャブレターメインボディー、キャブレタース
ペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温セ
ンサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットル
ポジションセンサー、クランクシャフトポジションセン
サー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタッ
トベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエ
ーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポン
プインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係
部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スタ
ーターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネ
ス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィ
ッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネ
クター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップ
モーターローター、ランプソケット、ランプリフレクタ
ー、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイド
ボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースな
どに有用である。
【0093】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施
例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示
し、単位「”」はインチ(1インチ=2.54cm)を
意味する。 参考例1 (A1)グラフト共重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約10
0×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾
過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。
【0094】グラフト率=[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0095】ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子
径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)
の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%か
らなる単量体混合物40部を加えて乳化重合した。得ら
れたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中
和、洗浄、濾過、乾燥してパウダ−状のグラフト共重合
体<A−1>を調製した。
【0096】得られたグラフト共重合体<A−1>はグ
ラフト率が36%であった。このグラフト共重合体<A
−1>は、スチレン構造単位70%およびアクリロニト
リル30%からなる非グラフト性の共重合体を18.1
%含有するものであった。またN,N−ジメチルホルム
アミド可溶分の極限粘度が0.48dl/gであった。 参考例2 <A−2>ビニル系共重合体の調製 スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量
体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2>を
調製した。得られたビニル系共重合体<A−2>はN,
N−ジメチルホルムアミド可溶分の極限粘度が0.73
であった。 参考例3 <A−3>ポリカーボネートである”ユーピロンS30
00”(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
製)を使用した。 <A−4>ポリブチレンテレフタレートである”東レP
BT1100S”(東レ(株)製)を使用した。 <A−5>ポリアミド6である”アミランCM101
0”(東レ(株)製)を使用した。 参考例4(B)燐系難燃剤 <B−1>下記式(6)で表される芳香族ビスホスフェ
ート”PX−200”(大八化学(株)製)を使用し
た。
【0097】
【化5】 <B−2>赤燐“ノーバエクセル140”(燐化学工業
社製)を使用した。 <B−3>ポリ燐酸アンモニウム“テラージュC60”
(チッソ社製)を使用した。 参考例5(C)シリコーン系化合物 <C−1>フェニル基/メチル基のモル比が100/0
であるフェニルシリコーン樹脂を使用した。このフェニ
ルシリコーン樹脂を示差熱熱重量同時測定装置(セイコ
ー電子工業社製、TG/DTA−200)を用いて、空
気中での100〜900℃の温度領域を40℃/分の昇
温速度で加熱試験を行った結果、室温(30℃)に対す
る800℃での重量減量は51%であった。 <C−2>フェニル基/メチル基のモル比が60/40
であるメチルフェニルシリコーン樹脂を使用した。この
メチルフェニルシリコーン樹脂を上記と同様に加熱試験
を行った結果、800℃での重量減量は37%であっ
た。 <C−3>フェニル基/メチル基のモル比が50/50
であるメチルフェニルシリコーンゴムを使用した。この
メチルフェニルシリコーンゴムを上記と同様に加熱試験
を行った結果、800℃での重量減量は42%であっ
た。 <C−4>フェニル基/メチル基のモル比が20/80
であるメチルフェニルシリコーン樹脂を使用した。この
メチルフェニルシリコーン樹脂を上記と同様に加熱試験
を行った結果、800℃での重量減量は39%であっ
た。 <C−5>フェニル基/メチル基のモル比が100/0
であるフェニルシリコーンオイルを使用した。このフェ
ニルシリコーンオイルを上記と同様に加熱試験を行った
結果、800℃での重量減量は79%であった。 <C−6>フェニル基/メチル基のモル比が40/60
であるメチルフェニルシリコーンゴムを使用した。この
メチルフェニルシリコーンゴムを上記と同様に加熱試験
を行った結果、800℃での重量減量は68%であっ
た。 参考例5(D)着色剤 <D−1>チタンホワイトを主成分とするグレーの着色
剤“CN464”(日本ピグメント(株)製)を使用し
た。 参考例6(E)ガラス繊維 <E−1>“CS3PE941S”(日東紡績社製)を
使用した。 実施例1〜11、比較例1〜6 参考例で調製した(A)熱可塑性樹脂、(B)燐系難燃
剤、(C)シリコーン系化合物、その他の必要な添加剤
を表1、3に示した配合比で混合し、ベント付き30m
mφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用
し、溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状
のポリマを製造した。次いで射出成形機(東芝機械社
製、IS55EPN)により、射出圧を下限圧+10k
gf/cm 2でそれぞれの試験片を成形し、次の条件で
物性を測定した。 (1)難燃性 (a)UL94:射出成形により得た1/16”厚みの
難燃性評価用試験片についてUL94に定められている
評価基準に従い難燃性を評価した。難燃性レベルはV−
0>V−1>V−2>HBの順に低下する。 (b)限界酸素指数法:JIS K7201に従い、限
界酸素指数(LOI)を測定した。LOI値が高い程、
難燃性に優れることを示す。 (2)1/2”アイゾット衝撃強さ:ASTM D25
6−56Aに従い耐衝撃性を評価した。 (3)荷重たわみ温度:ASTM D648(荷重:
1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。 (4)流動性:メルトインデクサー(東洋精機社製)を
用いて、下記の表1〜表6に示した温度および荷重条件
での10分間流出量MI値(g/10分)を測定した。
このMI値が大きいほど流動性に優れることを示す。
【0098】各サンプルの組成及び難燃性、耐衝撃性、
耐熱性、流動性の測定結果を表1〜表6にまとめて示
す。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】 実施例1〜6、比較例1〜3の測定結果より、ABS樹
脂に芳香族ホスフェートとともに本発明の範囲内のシリ
コーン樹脂(<C−1>、<C−2>、<C−4>)あ
るいはシリコーンゴム<C−3>を併用すると、UL9
4での評価および限界酸素指数法での評価ともに難燃性
が向上し、かつ流動性、耐衝撃性、耐熱性も向上するこ
とがわかる。
【0101】特にフェニル基含有率の高いシリコーン樹
脂(<C−1>、<C−2>)あるいはシリコーンゴム
<C−3>を用いた場合、フェニル基含有率の低いシリ
コーン樹脂<C−4>を用いた場合と比べて、より燃焼
時間の短縮された高度な難燃性付与が可能になることが
わかる。
【0102】また実施例6では、800℃での重量減量
が51%のシリコーン樹脂<C−1>と800℃での重
量減量は42%のシリコーンゴム<C−3>を併用し
た。本発明の範囲内の重量減量を示すシリコーン樹脂、
シリコーンゴムを併用しても、難燃性が向上し、かつ流
動性、耐衝撃性、耐熱性も向上することがわかる。
【0103】一方、ABS樹脂にシリコーン樹脂を配合
した樹脂組成物(比較例1、2)、またはABS樹脂に
芳香族ホスフェートを配合した樹脂組成物(比較例3)
では、LOIも低く、UL94評価においては難燃性の
向上が見られない。
【0104】また、本発明の範囲外の加熱重量減量を示
すシリコーンオイル<C−5>を芳香族ホスフェートと
ともに用いても、難燃性を得ることはできない(比較例
4)。
【0105】また、シリコーンゴムであっても本発明範
囲外の加熱重量減量を示すシリコーンゴム<C−6>を
芳香族ホスフェートとともに用いても、難燃性を得るこ
とはできない(比較例5)。
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】 実施例7〜14、比較例6〜11の測定結果より、AB
S樹脂に燐系難燃剤として赤燐またはポリ燐酸アンモニ
ウムを用いた場合、本発明の範囲内のシリコーン樹脂
(<C−1>、<C−2>、<C−4>)あるいはシリ
コーンゴム<C−3>を併用すると、UL94での評価
および限界酸素指数法での評価ともに難燃性が向上し、
かつ流動性、耐衝撃性、耐熱性も向上することがわか
る。
【0108】特にフェニル基含有率の高いシリコーン樹
脂(<C−1>、<C−2>)あるいはシリコーンゴム
<C−3>を用いた場合、フェニル基含有率の低いシリ
コーン樹脂<C−4>を用いた場合と比べて、UL94
評価において、より高度なランクの難燃性付与が可能に
なることがわかる。
【0109】一方、ABS樹脂に赤燐またはポリ燐酸ア
ンモニウムを配合した樹脂組成物は、難燃性が得られな
い(比較例6、9)。
【0110】また、本発明の範囲外の加熱重量減量を示
すシリコーンオイル<C−5>を赤燐またはポリ燐酸ア
ンモニウムとともに用いても、難燃性を得ることはでき
ない(比較例7、10)。
【0111】また、シリコーンゴムであっても本発明範
囲外の加熱重量減量を示すシリコーンゴム<C−6>を
赤燐またはポリ燐酸アンモニウムとともに用いても、難
燃性を得ることはできない(比較例8、11)。
【0112】
【表5】
【0113】
【表6】 実施例15〜17、比較例12〜16の測定結果より、
熱可塑性樹脂としてABS/PCを、燐系難燃剤として
芳香族ホスフェートを用いた場合、本発明の範囲内のシ
リコーン樹脂(<C−1>、<C−2>)あるいはシリ
コーンゴム<C−3>を併用することにより、UL94
での評価および限界酸素指数法での評価ともに難燃性が
向上し、かつ流動性、耐衝撃性、耐熱性も向上すること
がわかる。
【0114】一方、ABS/PC(比較例12)に対し
て、シリコーン樹脂のみを配合した樹脂組成物(比較例
13)は、LOI値の向上は見られるものの、UL94
評価では難燃性ランクは同等であり、難燃性の向上が見
られない。
【0115】また、本発明の範囲外の加熱重量減量を示
すシリコーンオイル<C−5>またはシリコーンゴム<
C−6>を芳香族ホスフェートとともに用いても、難燃
性を得ることはできない(比較例15、16)。
【0116】
【表7】
【0117】
【表8】 実施例18〜21、比較例17〜22の測定結果より、
PBT樹脂またはポリアミド樹脂においても、赤燐およ
び本発明の範囲内のシリコーン樹脂(<C−1>、<C
−2>、<C−4>)あるいはシリコーンゴム<C−3
>を併用すると、難燃性が向上し、かつ流動性、耐衝撃
性、耐熱性も向上することがわかる。
【0118】一方、PBT樹脂またはポリアミド樹脂に
シリコーン樹脂のみを配合した樹脂組成物(比較例1
7、20)、あるいはPBT樹脂またはポリアミド樹脂
に赤燐のみを配合した樹脂組成物(比較例18、21)
では、UL94評価で難燃性が得られない。
【0119】また、本発明の範囲外の加熱重量減量を示
すシリコーンオイル<C−5>またはシリコーンゴム<
C−6>を赤燐とともに用いても、難燃性を得ることは
できない(比較例19、22)。
【0120】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の
機械的特性を損なうことなく、優れた難燃性、耐衝撃
性、耐熱性、流動性を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/04 C08L 51/04 55/02 55/02 67/00 67/00 77/00 77/00 //(C08L 101/16 83:04)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し
    て、(B)燐系難燃剤1〜30重量部、および(C)下
    記一般式(1)〜(4)で表される構造単位からなるシ
    リコーン樹脂および/またはシリコーンゴム0.1〜1
    0重量部を配合してなる樹脂組成物であって、シリコー
    ン樹脂および/またはシリコーンゴムの空気中での加熱
    試験(昇温速度40℃/分)における800℃での重量
    減量が60%以下である難燃性樹脂組成物。 【化1】 (上記式中、R1〜R6は各々独立してフェニル基または
    メチル基(ただし、R1〜R6の全てがメチル基となるこ
    とはない)である)
  2. 【請求項2】(C)シリコーン樹脂および/またはシリ
    コーンゴム中のフェニル基:メチル基の割合が、モル比
    で100〜40モル%:0〜60モル%である請求項1
    記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂
    である請求項1〜2にいずれか記載の難燃性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】(A)熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂で
    ある請求項1〜2にいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(A)熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂であ
    る請求項1〜2にいずれか記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1〜5いずれかに記載の難燃性樹脂
    組成物からなる成形品。
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