以下に本発明の樹脂組成物について具体的に説明する。
本発明に使用される(A)熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、エチレン/プロピレン樹脂、エチレン/1−ブテン樹脂、エチレン/プロピレン/非共役ジエン樹脂、エチレン/アクリル酸エチル樹脂、エチレン/メタクリル酸グリシジル樹脂体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル樹脂、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸樹脂、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のエラストマー、あるいはこれら熱可塑性樹脂の2種以上の混合物が挙げられるが、スチレン系樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物が好ましく、さらに好ましくは、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂から選ばれる1種または2種以上の混合物である。
上記(A)熱可塑性樹脂のなかで、スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、およびゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンオキシドとのポリマーブレンド体(変性ポリフェニレンオキシド樹脂)などが挙げられる。
また、ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体および必要に応じこれと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体混合物を、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合に供することにより得られる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の具体例としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
そして、このようなゴム変性スチレン系樹脂としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものとを含むものである。
具体的には、(A−1)ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体または他の単量体との混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体10〜100重量%と、(A−2)芳香族ビニル単量体または他の単量体との混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体90〜0重量%からなる。さらに、(A−2)ビニル系(共)重合体に用いられる芳香族ビニル系以外の単量体として、マレイミド系単量体を用いることが好ましい。
上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましい。
ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6μm、特に0.20〜0.55μmのものが耐衝撃性に優れ好ましい。中でも、0.20〜0.25μmと0.50〜0.65μmとの重量比が90:10〜60:40のものが耐衝撃性、薄肉成形品の落錘衝撃が著しく優れ好ましい。
なお、ゴム粒子の重量平均粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定することができる。
また、(A−1)グラフト(共)重合体中の芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましい。
さらに必要に応じて添加される芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、耐薬品性向上の目的で、シアン化ビニル系単量体が、色調、透明性向上の目的で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
また(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリン等を使用することもできる。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
本発明における(A−1)グラフト(共)重合体は、ゴム質重合体10〜80重量部、好ましくは20〜70重量部、より好ましくは30〜60重量部の存在下に、上記の単量体または単量体混合物20〜90重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは40〜70重量部を(共)重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合が10重量部未満でも、80重量部を超えても衝撃強度や表面外観が低下する場合があり好ましくない。
また、(A−1)グラフト(共)重合体に用いられる単量体または単量体混合物中の、芳香族ビニル単量体は10〜85重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工性の観点から50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは40重量%以下である。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靱性、耐衝撃性の観点から80重量%以下、さらには75重量%以下で混合することが好ましい。また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以下が好ましく、さらに50重量%以下が好ましい。
なお、(A−1)グラフト(共)重合体はゴム質重合体に単量体または単量体混合物をグラフト(共)重合させる際に生成するグラフトしていない(共)重合体を含んでいてもよい。下記式により算出されるグラフト率については特に制限はないが、衝撃強度の観点からグラフト率は10〜150%であることが好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される。
グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系(共)重合体量>/<グラフト(共)重合体のゴム含有量>×100
また、グラフトしていない(共)重合体のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、0.1〜0.6dl/gのものが衝撃強度と成形加工性のバランスの観点から好ましく用いられる。
本発明における(A−2)ビニル系(共)重合体に用いられるビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体が必須であり、特にスチレンが好ましい。
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体が耐熱性の向上、難燃性が向上するため好ましく、特にN−フェニルマレイミドが好ましい。
また、必要に応じて、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル化物等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリン等を使用することもできる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
(A−2)ビニル系(共)重合体中に用いられる単量体または単量体混合物中の、芳香族ビニル系単量体は10〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。マレイミド系単量体を混合する場合には5〜50重量%が好ましく、より好ましくは15〜50重量%である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは40重量%以下である。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、80重量%以下、さらには75重量%以下で混合することが好ましい。また、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以下が好ましく、さらに50重量%以下が好ましい。
本発明における(A−2)ビニル系(共)重合体のジメチルホルムアミド溶媒、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、0.2〜1.0dl/gのものが衝撃強度と成形加工性のバランスの観点から好ましく用いられ、より好ましくは0.3〜0.7dl/gのものである。
本発明の(A−1)グラフト(共)重合体と(A−2)ビニル系(共)重合体との混合比は、(A−1)グラフト(共)重合体10〜100重量部、好ましくは20〜50重量部、(A−2)ビニル系(共)重合体0〜90重量部、好ましくは50〜80重量部である。
(A−1)グラフト(共)重合体が10重量部未満では樹脂の耐衝撃性が不足する場合があり好ましくない。さらに、ゴム強化スチレン系樹脂中に含まれるゴム質重合体の含有量は5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。ゴム質重合体が5重量%未満では耐衝撃性が不足し、30重量%を超えると成形加工性を損なう場合があり好ましくない。
また、ゴム強化スチレン系樹脂中にマレイミド残基を含有させることが好ましく、その含有量は1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%である。
上記(A)熱可塑性樹脂の内、ポリエステル樹脂としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコールの重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールの重縮合物などが挙げられる。
ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸あるいはこれらのメチルエステルなどを、グリコールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂から選ばれる1種または2種以上を挙げることができ、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂である。
このようなポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、通常フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25度で測定した固有粘度が0.1〜3.0を使用することができるが、好ましくは、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜2.25である。
上記(A)熱可塑性樹脂の内、ポリカーボネート樹脂としては、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン、または炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる。該芳香族ホモまたはコポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量が10000〜1000000の範囲のものである。ここで二価フェノール系化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用でき、これら単独あるいは混合物として使用することができる。
本発明に使用される(B)燐系難燃剤としては、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
まず前記式(4)で表される難燃剤の構造について説明する。前記式(4)の式中nは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
また前記式(4)の式中、R10〜R17は同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。
またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
またZは直接結合、O、S、SO2、C(CH3)2、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。
本発明に使用される(B)燐系難燃剤の使用量は(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。
本発明に使用される(C)エポキシ樹脂とは、下記一般式(1)で表される。
上記式(1)中、Xは上記一般式(2)または(3)を表し、R1〜R9は同一または相違なる水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基のいずれかを表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、水素、メチル基が好ましい。また、nは平均値を表し、0より大きく10以下の値である。
本発明に使用される(C)エポキシ樹脂を得る方法としては、例えば以下の方法がある。まず、下記式(5)
(式中、Wはハロゲン原子、水酸基、低級アルコキシ基を表す。R8およびR9は式(3)におけるのと同じ意味を表す。)で表される化合物、あるいはビニル基を少なくとも2個以上有する芳香族化合物のいずれかの化合物とフェノール類を酸触媒の存在下で縮合反応させ、ポリフェノール類を得る。次にこのポリフェノール類とエピハロヒドリンとの反応をアルカリ金属水酸化物の存在下で行うことにより目的のエポキシ樹脂が得られる。
式(5)のWで表されるハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子等が、低級アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等がそれぞれ好ましい基として挙げられる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
ビニル基を2個以上有する芳香族化合物としては、ジビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等が挙げられるが、反応性および作業性の点でジビニルベンゼンが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
フェノール類としては、フェノール性水酸基を1分子中に1個有する芳香族化合物が挙げられ、具体例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソブチルフェノール、t−ブチルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール等のアルキルフェノールの各種o−、m−、p−異性体、またはビニルフェノール、アリルフェノール、プロペニルフェノール、エチニルフェノールの各種o−、m−、p−異性体、またはシクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、シクロヘキシルクレゾール等のシクロアルキルフェノール、またはフェニルフェノール等の置換フェノール類が挙げられる。これらのフェノール類は単独ないし2種以上を用いることができる。
このフェノール類の使用量は、式(5)で表される化合物、ビニル基を2個以上有する芳香族化合物のいずれかの化合物1モルに対し、0.5〜20モル、好ましくは2〜15モルである。
ポリフェノール類を得るための縮合反応に用いられる酸触媒としては、種々のものが使用できるが、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の無機あるいは有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸等が好ましく、特にp−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸が好ましい。これらの酸触媒の使用量は特に限定されるものではないが、仕込んだ式(5)で表される化合物、ビニル基を2個以上有する芳香族化合物のいずれかの化合物1モルに対し、0.001〜0.05モルが好ましく、より好ましくは0.002〜0.02モルである。
ポリフェノール類を得るための縮合反応は無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。有機溶剤を使用する場合の具体例としてはトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。有機溶剤の使用量は仕込んだ原料の総重量に対して50〜300重量%が好ましく、特に100〜250重量%が好ましい。反応温度は40〜180℃が好ましく、反応時間は1〜15時間が好ましい。
上記の縮合反応で得たポリフェノール類とエピハロヒドリンとの反応は公知の方法が採用できる。すなわち、ポリフェノール類をエピハロヒドリンに溶解した後、アルカリ金属水酸化物の存在下に20〜120℃の温度で反応させることにより、目的のエポキシ樹脂が得られる。
また、ポリフェノール類とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、トリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩を触媒として添加し、50〜150℃で反応させて得られる化合物にアルカリ金属水酸化物を加え、再び20〜120℃の温度で反応させる方法も採ることができる。
通常上記反応において使用されるアルカリ金属水酸化物の使用量は、ポリフェノール類の水酸基1当量に対し0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗または水洗なしに加熱減圧下、エピハロヒドリンや他の添加溶媒等を除去する。また、更に加水分解性ハロゲン量の少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再度トルエン、キシレン等に溶解し、アルカリ金属水酸化物を加えて反応させ、生成した塩を濾過、水洗等で除去し、加熱減圧下で乾燥させてもよい。
上記で得たエポキシ樹脂は必要に応じ、1種または2種使用することができる。
本発明で用いる(C)エポキシ樹脂の添加量は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部である。(C)エポキシ樹脂の添加量が1重量部未満の場合は高度な難燃性付与効果が見られないため好ましくない。また20重量部を越える場合は耐衝撃性の低下や成形品の表面外観を損なうので好ましくない。
また本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物を添加することにより、燃焼時の延燃抑制、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制効果を付与することができる。
そのような(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物の内、フッ素系樹脂とは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
また(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物の内、シリコーン系化合物とは、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルのことである。
本発明に使用されるシリコーン樹脂とは、下記一般式(6)〜(9)で表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単位からなるポリオルガノシロキサンであり、室温で約200〜300000000センチポイズの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーン樹脂である限り、それに限定されるものではない。
(ここで、Rはそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基を表す。)
本発明に使用されるシリコーンオイルとは、下記一般式(10)で表されるものである。使用するシリコーンオイルは、0.65〜100000センチトークスの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーンオイルである限り、それに限定されるものではない。
(ここで、Rはアルキル基またはフェニル基を表し、nは1以上の整数である。)
本発明に使用されるシリコーン系化合物として、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルを使用することができるが、難燃性、耐衝撃性向上の面からシリコーンオイルが好ましい。
これらの(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物は1種または2種以上使用でき、その添加量は(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜8重量部、更に好ましくは0.1〜5重量部である。
さらに本発明の難燃性樹脂組成物は必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどの充填材などを配合することができる。中でもガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましく使用することができ、最も好ましいものとしては炭素繊維が用いられる。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
なお、本発明に使用する上記の繊維状、粉状、粒状あるいは板状充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
また、ガラス繊維、炭素繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
さらに本発明の難燃性樹脂組成物に対して本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、核剤、可塑剤、帯電防止剤、衝撃改良剤(シリコーンオイル、シリコーン樹脂、エラストマーなど)、および染料・顔料を含む着色剤(硫化カドミウム、フタロシアニン、酸化チタンなど)などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
また本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方法で製造される。例えば、(A)熱可塑性樹脂、(B)燐系難燃剤、(C)エポキシ樹脂およびその他の必要な添加剤を予備混合してまたはせずに押出機などに供給して、150℃〜350℃の温度範囲において十分溶融混練することにより調製される。この場合例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができ、特にアスペクト比をコントロールすることから、スクリューにニーディングエレメントを数個挿入あるいは未挿入にすることにより使用することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は難燃性だけでなく、機械特性、耐熱性、成形加工性に優れ、溶融成形可能であるため、押出成形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用することができる。さらに難燃性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用いることができる。
例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、DVDドライブ・PDドライブ・フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品、コピー機部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、家庭用電話機関連部品、携帯電話関連部品、PHS関連部品、ファクシミリ関連部品複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、シャーシ、トランス部材、コイルボビンなどの各種用途に有用である。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[参考例1](A)熱可塑性樹脂
(A−1)グラフト(共)重合体
以下にグラフト(共)重合体の調製方法を示す。なおグラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト(共)重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約100×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100
ここでLはグラフト(共)重合体のゴム含有率を意味する。
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)の存在下で、スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を加えて60℃、5時間、乳化重合を行った。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固した後、水酸化ナトリウム中和し、洗浄、濾過、乾燥してパウダー状のグラフト共重合体(A−1)を調整した。
得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率は36%であり、スチレン残基70%およびアクリロニトリル残基30%からなる非グラフト性の共重合体を15.8%含有するものであった。またメチルエチルケトン可溶分のメチルエチルケトン中、30℃で測定した極限粘度は0.34dl/gであった。
(A−2)ビニル系(共)重合体
(A−2−1)スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物を65℃〜95℃の温度で5時間懸濁重合を行い、ビーズ状のビニル系共重合体を調整した。得られたビニル系共重合体(A−2−1)のメチルエチルケトン中、30℃で測定した極限粘度は0.53dl/gであった。
(A−2−2)N−フェニルマレイミド40%、スチレン50%、アクリロニトリル10%からなる単量体混合物を65℃〜95℃の温度で5時間懸濁重合を行い、ビーズ状のビニル系共重合体(A−2−2)を調整した。得られたビニル系共重合体(A−2−2)のジメチルホルムアミド中、30℃で測定した極限粘度は0.67dl/gであった。
(A−3)ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(固有粘度=0.65(25℃、フェノール:テトラクロロエタン=1:1溶媒中))を使用した。
(A−4)エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体(PET/PCT)樹脂“イースターGN071”(イーストマン社製)を使用した。
(A−5)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂“東レPBT1100S”(東レ製)を使用した。
(A−6)ポリカーボネート(PC)樹脂“ユーピロン S3000”(三菱エンジニアリングプラスチック社製)を使用した。
[参考例2](B)燐系難燃剤
(B−1)芳香族ビスホスフェート“PX−200”(大八化学社製)を使用した。
[参考例3](C)エポキシ樹脂
(C−1)下記式(11)で表されるエポキシ樹脂“E−XLC−4L”(三井化学社製)を使用した。
(C−2)下記式(12)で表されるエポキシ樹脂“NC−3000”(日本化薬社製)を使用した。
(C−3)下記式(13)で表されるエポキシ樹脂”EPPN−201H”(日本化薬社製)を使用した。
(C−4)数平均分子量570である”ノボラック型エポキシ樹脂”(アルドリッチ(株)社製)を使用した。
(C−5)下記式(14)で表されるエポキシ樹脂”EPPN−502H”(日本化薬社製)を使用した。
(C−6)ビスフェノールA型エポキシ樹脂である”エピコートYL978”(油化シェルエポキシ社製)を使用した。
[参考例4](D)フッ素系樹脂/シリコーン系化合物
(D−1)ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロンF201(ダイキン工業社製)を使用した。
(D−2)シリコーン樹脂である”DC4−7081”(東レダウコーニングシリコーン社製)を使用した。
(D−3)シリコーンオイルである”SH200(1000cs)”(東レダウコーニングシリコーン社製)を使用した。
[実施例1〜11、比較例1〜11]
参考例で調製した中から選択した(A)熱可塑性樹脂、(B)燐系難燃剤、(C)エポキシ樹脂およびその他の必要な添加剤を使用し、表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用し、250℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状のポリマを製造した。次いで射出成形機(住友重機社製、プロマット40/25)により、射出圧を下限圧+1MPaでそれぞれの試験片を成形し、次の条件で物性を測定した。
(1)難燃性:射出成形により得た1.6mm厚み難燃性評価用試験片についてUL94に定められている評価基準に従い、5本の試験片について難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。
(2)耐衝撃性:ASTM D256−56Aに従い耐衝撃性を評価した。
(3)耐熱性:ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。
(4)色調:成形片の色調を目視判断した。(○:白色、△淡黄色、×:黄色)
表1に配合処方および物性測定値を示した。
実施例1〜11、比較例1〜11の測定結果より、以下のことが明らかである。
実施例1〜4と比較例1〜2との結果の対比から、ゴム強化スチレン系樹脂と(B)燐系難燃剤とに対して、(C)特定のエポキシ樹脂の1種または2種を添加することにより、高度な難燃性の樹脂組成物が得られ、さらに耐衝撃性、耐熱性にも優れることが分かる。
実施例5〜7の結果から、本発明の樹脂組成物に少量のフッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物を添加することにより、燃焼時間が短縮されるばかりか、耐衝撃性を向上できることが分かる。
実施例8〜10と比較例3〜5との結果の対比から、ゴム強化スチレン系樹脂にPET樹脂、PET/PCT樹脂又はPBT樹脂を混合したアロイでは(B)燐系難燃剤、(C)特定のエポキシ樹脂を添加することにより、ゴム強化スチレン系樹脂単独のものより高度な難燃性の樹脂組成物が得られることが分かる。なお、上記アロイの系でも(C)特定のエポキシ樹脂を添加しないと、難燃性が得られないことが分かる。
実施例11と比較例6との結果の対比から、ゴム強化スチレン系樹脂とPC樹脂とのアロイでは、(B)燐系難燃剤、(C)特定のエポキシ樹脂の添加により、耐熱性に優れる樹脂組成物が得られることが分かる。上記アロイの系でも(C)特定のエポキシ樹脂を添加しないと、高度な難燃性が得られない。
比較例7〜10の結果より、ノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用しても、高度な難燃性が得られないことが分かる。
また比較例11の結果より、特定のエポキシ樹脂を本発明の範囲外まで添加すると、難燃性が低下するばかりか、機械特性も大幅に低下させる。