JP4086585B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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- 0 CCCC(C)C1=CC(C)=C(*)C(*)C1=O Chemical compound CCCC(C)C1=CC(C)=C(*)C(*)C1=O 0.000 description 5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温成形しても、耐衝撃性および成形品表面外観に優れ、かつ耐熱変色性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ABS樹脂、ABS樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂からなるアロイ材料等の熱可塑性樹脂は、機械的特性、物理的特性、電気的特性等に優れることから、電気・電子分野、OA・家電分野、車輌分野、サニタリー分野等に幅広く使用されている。
近年の製品の軽量化、短小化等により、成形品が薄肉化されていることから、射出成形等で成形品を得る際、成形温度を上げて成形する、射出速度を上げて成形する等の必要が生じて来ており、熱可塑性樹脂にとって厳しい条件となって来ている。これらの厳しい条件で成形されたものは、耐衝撃性が低下する、熱変色する、さらには成形品表面外観が劣る等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温成形しても、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の熱可塑性樹脂組成物が提供されて、本発明の上記目的が達成される。
1.(A)熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記一般式(I)で表わされる化合物0.01〜5重量部、
【化5】
(式中:各々2個のR1およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。R2は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。)
(C)下記一般式(II)で表わされるオルト位にt−ブチル基を有するフェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部、および、
【化6】
(式中:R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。t−Buはt−ブチル基を表す。)
(D)下記一般式(III)で表わされる化合物0.01〜5重量部、
【化7】
(式中:R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.(C)成分が下記一般式(C1)で表わされる化合物である上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【化8】
3.(A)成分が、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分を重合してなるゴム変性スチレン系樹脂であることを特徴とする上記1〜2のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.(A)成分が、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分を重合してなるゴム変性スチレン系樹脂95〜5重量%と芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%(ここで、両者の合計は100重量%である。)からなる組成物であることを特徴とする上記1〜2のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.(E)リン系難燃剤を(A)成分100重量部当たり、3〜30重量部含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される(A)成分の熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、(ゴム変性)スチレン系樹脂、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。
【0006】
好ましくは、芳香族ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、(ゴム変性)スチレン系樹脂が挙げられる。また、(ゴム変性)スチレン系樹脂と、芳香族ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィドおよびポリアミドから選択される少なくとも1種との組成物も好ましい。
上記組成物の好ましい具体例として、芳香族ポリカーボネートと(ゴム変性)スチレン系樹脂との組成物、(ゴム変性)スチレン系樹脂とポリエチレンテレフタレートとの組成物、(ゴム変性)スチレン系樹脂とポリエチレンテレフタレートと芳香族ポリカーボネートとの組成物、(ゴム変性)スチレン系樹脂とポリフェニレンスルフィドとの組成物、(ゴム変性)スチレン系樹脂とポリアミドとポリフェニレンスルフィドとの組成物などが挙げられる。
特に好ましい(A)成分は、ゴム変性スチレン系樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂とポリエチレンテレフタレートとの組成物、ゴム変性スチレン系樹脂と芳香族ポリカーボネートとの組成物、ゴム変性スチレン系樹脂と芳香族ポリカーボネートとポリエチレンテレフタレートとの組成物である。
【0007】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の(A)成分に好ましく使用されるゴム変性スチレン系樹脂は、例えばゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分を重合して得られるものである。
ここで、使用される上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、これらジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴムおよびシリコーンゴムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、シリコーンゴムとしては、ビニル基を含有するグラフト交叉剤(例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメトキシシラン等)をポリオルガノシロキサンに共縮合したものが好ましい。
【0008】
本発明のゴム変性スチレン系樹脂中の平均ゴム粒子径は、50nm〜3000nmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは100nm〜2000nm、特に好ましくは150nm〜800nmである。
【0009】
また、上記ゴム質重合体としては、乳化重合で得たものが好ましく、平均ゴム粒子径が150nm〜800nmの範囲にあるものがより好ましい。
さらに、トルエン不溶分により表されるゴム質重合体中のゲル含率は、通常、98重量%以下であり、40〜98重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。ゲル含率が40〜98重量%の場合、より優れた耐衝撃性と優れた成形品表面外観を有する成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
なお、上記ゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュ金網(重量W1)でろ過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(重量W2)し、次式により算出される値である。
ゲル含率(%)=〔{W2(g)−W1(g)}/1(g)〕×100
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調整剤の種類および量、重合時間、重合温度、重合転化率などを適宜設定することにより調整することができる。
【0010】
ゴム変性スチレン系樹脂の製造に用いられる芳香族ビニル化合物(A1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましいものは、スチレンおよびα−メチルスチレンである。
【0011】
ゴム変性スチレン系樹脂の製造に用いられるシアン化ビニル化合物(A2)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
【0012】
上記芳香族ビニル化合物(A1)、シアン化ビニル化合物(A2)以外のビニル系化合物(A3)としては、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0013】
上記マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。または無水マレイン酸を(共)重合体させ、後イミド化してマレイミドを導入する方法でもよい。
【0014】
上記エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0015】
ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム質重合体量は、ゴム変性スチレン系樹脂全体に対して、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
【0016】
ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム質重合体存在下に前記成分(A1)、(A2)および必要に応じ(A3)を単量体成分として重合することにより、グラフト共重合したグラフト共重合体とグラフトせずに遊離の(共)重合体とが共存するグラフト共重合樹脂として得ることができる。
また、ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム質重合体非存在下に前記成分(A1)、(A2)および必要に応じ(A3)のビニル系単量体成分と共重合して得た共重合体と上記グラフト共重合樹脂との混合物、すなわち、グラフト−ブレンド型ゴム強化ビニル系樹脂の形態のものであってもよい。グラフト−ブレンド型ゴム強化ビニル系樹脂中のゴム質重合体の含有量は、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは7〜45重量%、特に好ましくは7〜35重量%である。
【0017】
ゴム変性スチレン系樹脂の製造に用いられる芳香族ビニル化合物(A1)、シアン化ビニル化合物(A2)、および他のビニル系単量体(A3)の量割合は、好ましくはA1/A2/A3=30〜95/5〜40/0〜65重量%、さらに好ましくはA1/A2/A3=30〜95/5〜40/0〜30重量%である。ゴム変性スチレン系樹脂は,公知の重合法である乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合およびこれらを組み合わせた重合法で得ることができる。好ましい製造法は、乳化重合法である。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂のグラフト率は、好ましくは20〜200重量%、更に好ましくは30〜150重量%、特に好ましくは40〜120重量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
グラフト率(%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tはアセトン20mlにゴム変性スチレン系樹脂1gを投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の重量(g)であり、Sはゴム変性スチレン系樹脂1gに含まれるゴム質重合体の重量(g)である。
【0018】
また、ゴム変性スチレン系樹脂のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。前記したようにゴム変性スチレン系樹脂は、グラフト−ブレンド型ゴム強化ビニル系樹脂であってもよいが、ここでブレンド用に用いられるゴム質重合体非存在下に重合させた重合体も、上記した極限粘度〔η〕の範囲を満たすことが好ましい。
【0019】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが全て使用できる。
【0020】
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3.3’−ジメチルフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシン等があり、これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。特に好ましいものは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名「ビスフェノールA」)である。上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、上記原料より得られた各種ポリカーボネート樹脂を1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
本発明で使用される上記芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、16000〜32000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは17000〜31000、特に好ましくは18000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂を併用することもでき、特に粘度平均分子量13000〜19000(A1)のものと20000〜32000(A2)のものを(A1)/(A2)=10/90〜50/50重量%の割合で併用した場合、耐衝撃性と流動性のバランスに優れたものが得られる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、塩化メチレンを溶媒として20℃、濃度C(0.7g/100ml(塩化メチレン))で測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して算出することができる。
粘度平均分子量=([η]×8130)1.205
(式中、[η]=〔(ηsp×1.12+1)1/2−1〕/0.56C である)
【0022】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂において、界面重縮合で得られたものは、各種塩素化合物を含む場合がある。この塩素化合物は、本発明の熱可塑性樹脂の熱安定性に悪影響を及ぼす場合があるため、芳香族ポリカーボネート樹脂中の塩素化合物含有量は、塩素原子として300ppm以下であることが好ましい。
【0023】
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸またはそのエステルもしくはエステル形成誘導体とジオール成分とを公知の方法により重縮合させて得られたものなどが挙げられる。
上記ジカルボン酸の例としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられ、これらのエステル形成誘導体も、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂の成分として用いることが出来る。また、p−ヒドロキシ安息香酸も単独でまたは上記ジオール成分、ジカルボン酸成分と併用して使用することができる。
【0024】
上記ジオールの例としては、2〜6個の炭素原子を有するポリメチレングリコール(例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAおよびこれらのエステル形成誘導体が挙げられる。
【0025】
好ましい熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートであり、特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレートである。本発明では、いわゆるペットボトルのリサイクル品もポリエチレンテレフタレートとして好ましく使用される。リサイクルのポリエチレンテレフタレートは、そのものを単独で使用しても又ニートのポリエチレンテレフタレートと併用してもよい。
これら熱可塑性ポリエステル樹脂は、1種単独でまたは2種以上組み合わせてで使用される。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル樹脂のテトラクロルエタン/フェノールの等量混合溶媒中、25℃で測定した極限粘度(〔η〕25℃、単位dl/g)は、好ましくは0.5〜2dl/g、さらに好ましくは0.5〜1.5dl/gの範囲のものである。
【0026】
本発明の(A)成分として特に好ましいものとして、下記(イ)〜(ハ)を挙げることができる。
(イ)ゴム質重合体の存在下にスチレン、アクリロニトリル、および必要に応じて、これらと共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られたゴム変性スチレン系樹脂(A−I)。
(ロ)(A−I)と、ゴム質重合体の非存在下に、スチレン、アクリロニトリル、および必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体を重合して得られたスチレン系樹脂(A−II)との組成物。
(ハ)(A−I)とビスフェノールA型ポリカーボネート(A−III)との組成物、または(A−I)と(A−II)と(A−III)との組成物。ここで、(A−III)が占める割合は5〜95重量%であり、残りは(A−I)または(A−I)と(A−II)の合計である。
【0027】
上記(ハ)の芳香族ポリカーボネートとゴム変性スチレン系樹脂との組成物は、芳香族ポリカーボネートにゴム変性スチレン系樹脂を配合することで、芳香族ポリカーボネートの欠点であるノッチ付きの衝撃強さを向上させることができる。一方、ゴム変性スチレン系樹脂に芳香族ポリカーボネートを配合することで、ゴム変性スチレン系樹脂の耐熱性を向上させることができる。上記組成割合外では、このような改善効果が少なく、好ましくない。
【0028】
上記ポリエチレンテレフタレートとゴム変性スチレン系樹脂との組成物において、両材料の親和性を向上させる目的から、前記芳香族ポリカーボネート、エチレン・グリシジルメタクリレート系共重合体、およびエチレン・グリシジルメタクリレート系共重合体にスチレン系樹脂をグラフトした重合体から選ばれる少なくとも1種の(共)重合体を配合することができる。ここで使用される芳香族ポリカーボネートとしては、ビスフェノールA型ポリカーボネートが好ましい。
【0029】
本発明の(B)成分は、下記一般式(I)で表わされる分子内に二重結合を有するフェノール系化合物である。
【0030】
【化9】
【0031】
式中、各々2個のR1およびR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表す。R2は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。
【0032】
上記一般式(I)で表されるフェノール系化合物において、上記したように、R1およびR3は炭素数1〜8のアルキル基であり、R2は炭素数1〜8のアルキレン基であるが、本発明の目的を達成するうえでは、これらの基の炭素数が1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは、R1およびR3が炭素数1〜5のアルキル基で、R2が炭素数1または2のアルキレン基である。
特に好ましいフェノール系化合物は、式(I)の中のR1およびR3が、
【0033】
【化10】
【0034】
で表され、R2が、
【0035】
【化11】
【0036】
で表されるのものである。
【0037】
上記(B)成分の使用量は、本発明の(A)成分100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部、更に好ましくは0.03〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部であり、その使用量が0.01重量部未満では、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観に劣る。また、5重量部を超えると耐衝撃性が劣る。
【0038】
本発明の(C)成分は、下記一般式(II)で表わされるオルト位にt−ブチル基を有するフェノール系酸化防止剤である。
【0039】
【化12】
【0040】
式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、t−Buはt−ブチル基を表す。
【0041】
上記一般式(II)において、置換基R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、t−ブチル基またはメチル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがさらに好ましく、とりわけ、R4が水素原子である場合が特に好ましい。
具体的には、本発明の(C)成分は、上記一般式(II)で示される基を1または複数備える化合物であることが好ましく、下記式(C1)、(C2)及び(C3)の何れか1つで表される化合物であることがさらに好ましい。
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
本発明の上記(C)成分の配合量は、本発明の(A)成分100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部、更に好ましくは0.03〜2重量部であり、特に好ましくは0.03〜1重量部である。
その配合量が0.01重量部未満では、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観に劣り、5重量部を超えると、耐衝撃性および成形品表面外観に劣る。
【0046】
本発明の(D)成分は、下記一般式(III)で表わされる化合物、例えば、リン系酸化防止剤である。
【0047】
【化16】
【0048】
式中、R6及びR7は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。特に好ましくは、R6及びR7は、t−C4H9基である。
【0049】
本発明の上記(D)成分の配合量は、本発明の(A)成分100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部、更に好ましくは0.03〜2重量部であり、特に好ましくは0.03〜1重量部である。
その配合量が0.01重量部未満では、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観に劣り、5重量部を超えると、耐衝撃性および成形品表面外観に劣る。
【0050】
本発明で使用される(E)成分のリン系難燃剤としては、公知のものが全て使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において好ましいものは、下記一般式(IV)、(V)、(VI)、(VII)で表わされるものである。
一般式(IV)
【0051】
【化17】
【0052】
式中、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、フェニル基またはキシレニル基である。
Bは2価のレゾルシノール残基またはビスフェノールA残基である。
nは、0.5〜1.2である。
なお、上記2価のレゾルシノール残基とは、レゾルシノールの2個の水酸基の水素原子を除いた基を意味する。2価のビスフェノールA残基も同様である。
一般式(V)
【0053】
【化18】
【0054】
式中、R15およびR16は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、
X1は1〜4の整数である。
Gは、水素原子、
【0055】
【化19】
【0056】
で示される基(ここで、R10は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基または低級アルキル基である。yは1〜5の整数である。)、
【0057】
【化20】
【0058】
で示される基、
【0059】
【化21】
【0060】
で示される基、
【0061】
【化22】
【0062】
で示される基、または
【0063】
【化23】
【0064】
で示される基である。
一般式(VI)
【0065】
【化24】
【0066】
一般式(VII)
【0067】
【化25】
【0068】
但し、一般式(VI)および一般式(VII)において:
nは0〜15、好ましくは1〜10の整数である。
R17〜R31は、それぞれ独立に、アルキル基、アリル基、アルコキシル基、アリロキシル基、アミノ基またはヒドロキシル基である。これらの基は、可能であれば、アルコキシル基、アリロキシル基は、アルキル基、アリル基、アミノ基およびヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
【0069】
一般式(V)で表わされる化合物の具体例としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,3−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。これらのうちでは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドおよび10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが特に好ましい。
これら(E)成分は1種のみであってもよく、2種以上が併含されていてもよい。
【0070】
一般式(VI)、(VII)で表わされるホスファゼン化合物の具体例としては、プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼン、フルオロアルキルホスファゼン等が挙げられる。また、その合成方法および入手のし易さなどから、フェノキシホスファゼンが特に好ましい。これらは1種のみであってもよいし、2種以上の混合物であってもよいし、直鎖状ホスファゼンと環状ホスファゼンとの混合物であってもよい。更に、同一分子内のRがすべて同種の官能基であってもよいし、各々が2種以上の異なった官能基であってもよい。このような置換ホスファゼン化合物の具体例としては、分子内の一部をフェノキシ基で置換し、その後にプロポキシ基で置換したホスファゼン、即ち、フェノキシプロポキシホスファゼンなどが挙げられる。尚、市販のホスファゼンは一般にクロロホスファゼンをアルコール、或いはフェノール等で置換することにより合成されたものである。
【0071】
本発明の(E)成分であるリン系難燃剤の使用量は、本発明の(A)成分100重量部に対して3〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、更に好ましくは5〜20重量部、特に好ましくは6〜18重量部である。その使用量が3重量部未満では難燃化に効果がなく、30重量部を超えると耐衝撃性、成形品表面外観が劣る。
【0072】
更に、難燃性を向上させる目的から難燃助剤として、フッ素系樹脂、シロキサン化合物、ポリシロキサン等をリン系難燃剤と併用することができる。ここで、フッ素系樹脂としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン/フルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの難燃助剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0073】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、無機充填材を配合することができる。無機充填材としては、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ワラストナイト、タルク、マイカ、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることが出来る。ガラス繊維および炭素繊維の好ましい大きさは、繊維径が4〜20μm、繊維長が0.5mm〜30mmの範囲のものが好ましい。
本発明の適用において、特に好ましい無機充填材は、炭素繊維、ワラストナイト、タルクである。
【0074】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、耐候(光)剤、帯電防止剤、他の酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤およびカップリング剤等を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましい製造方法は、押出機またはバンバリーミキサーを用いる方法である。更に、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練してもよく、押出機で多段に配合する等、数回に分けて順次配合しつつ混練してもよい。尚、バンバリーミキサー、ニーダーなどで混練した後、押出機によりペレット化することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形等に供することができ、特に、射出成形に好適である。
【0075】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁版、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
【0076】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0077】
〔1〕物性等の評価
(1)耐衝撃性の評価
IS0179に準拠して、シャルピー衝撃強さを測定した。
(2)熱変色性の評価
平板成形品を用い、下記評価基準に従って目視評価した。
○:変色が少ない
△:多少変色している
×:変色が大きい
(3)成形品表面外観評価
中央部にウェルドが発生するバー成形品を用い、下記評価基準に従って、目視評価した。
○:ウェルド部も目立ちにくく、又、ウェルド部以外も良好
△:ウェルド部が目立つ
×:ウェルド部が目立ち、尚且つウェルド以外の外観も悪い
(4)燃焼性(難燃性)の評価
UL94規格に定められた方法により、長さ5インチ×幅1/2インチ×厚さ1/16インチの試験片について垂直燃焼試験を行った。
V試験に合格したものをV−2またはV−0とし、V試験不適合で燃焼したものをBとした。
【0078】
〔2〕熱可塑性樹脂組成物の成分
(1)(A)熱可塑性樹脂
製造例1(ゴム変性スチレン系樹脂の製造)
ポリブタジエンラテックス(平均粒径;350nm、ゲル含率;85%)40重量部(固形分)、スチレン45重量部、アクリロニトリル15重量部を用いて乳化重合した後、凝固させ、洗浄、乾燥してゴム変性スチレン系樹脂A1を得た。
このゴム変性スチレン系樹脂A1のグラフト率は60%、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.45dl/gであった。
【0079】
製造例2(スチレン系樹脂の製造)
スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部および溶媒としてトルエンを用い、溶液重合した後、脱溶媒、押出ししペレット化して、スチレン系樹脂A2を得た。
このスチレン系樹脂A2の溶媒としてメチルエチルケトンを用い、30℃で測定した極限粘度は、0.42dl/gであった。
【0080】
製造例3(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとホスゲンを用い界面重合で得た、粘度平均分子量22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂A3を得た。
【0081】
製造例4(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを用いて溶融重合し、粘度平均分子量23,000の芳香族ポリカーボネート樹脂A4を得た。
【0082】
〔2〕(B)成分
本発明の(B)成分として下記構造の住友化学社製スミライザーGSを用いた。
【0083】
【化26】
【0084】
〔3〕(C)成分
本発明の(C)成分として下記構造のものを用いた。
【0085】
【化27】
【0086】
【化28】
【0087】
【化29】
【0088】
なお、上記式(C1)、(C2)および(C3)の化合物は、それぞれ、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−20」および「アデカスタブAO−80」の商品名の下に旭電化工業社によって市販されている。
【0089】
〔4〕(D)成分
本発明の(D)成分として下記のものを用いた。
(1)リン系酸化防止剤;商品名「アデカスタブ2112」(旭電化社製、下記構造、下記表1ではD1と表記する)。
【0090】
【化30】
【0091】
〔5〕(E)成分
本発明のリン系難燃剤として下記のものを用いた。
(1)縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブFP−500」(旭電化社製、下記構造、下記表1ではE1と表記する)。
【0092】
【化31】
【0093】
nは、平均値として1.0である。
【0094】
(2)縮合リン酸エステル化合物;商品名「アデカスタブFP−700」(旭電化社製、下記構造、下記表1ではE2と表記する)。
【0095】
【化32】
【0096】
nは、平均値として1.0である。
【0097】
〔6〕その他の成分
その他、下記材料を使用した。
(1)タルク;商品名「P−4」(日本タルク社製、平均粒径;4.6μm、下記表1ではF1と表記する)を用いた。
(2)ワラストナイト;商品名「ワラストナイトSH−1250」(キンセイマテック社製、平均粒径;4.5μm、下記表1ではF2と表記する)を用いた。
(3)炭素繊維;平均粒7μm、カット長6mm、ウレタン集束のPAN系炭素繊維を用いた(東邦ナテックス社製、下記表1ではF3と表記する)。
(4)ポリテトラフルオロエチレン;商品名「ダイフロンF201」(ダイキン工業社製、下記表1ではF4と表記する)。
【0098】
〔実施例1〜12、比較例1〜12〕
上記の各々の成分を表1に記載の配合割合で混合した後、二軸押出機(ウェルナー社製、ZSK58)を用いて設定温度200℃〜260℃で溶融混練した後ペレット化した。また、無機充填材については、二軸押出機の途中から添加した。
次いで、得られたペレットを充分に乾燥し、射出成形機内に5分間滞留させた後、射出成形し、評価用試験片を作製した。この試験片を使用し、前記の方法で耐衝撃性、耐熱変色性、成形品表面外観および一部の例について燃焼性を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
表1の結果によれば、実施例1〜12の熱可塑性樹脂組成物は、いずれも高温成形における耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観、さらに、リン系難燃剤を配合した時の難燃性に優れている。
比較例1は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例2は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例3は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例4は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性が劣る。
比較例5は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性および成形品表面外観が劣る。
比較例6は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例7は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例8は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例9は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
比較例10は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性が劣る。
比較例11は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性および成形品表面外観が劣る。
比較例12は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、耐熱変色性および成形品表面外観が劣る。
【0101】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物から高温成形により、耐衝撃性および成形品表面外観に優れ、かつ熱変色の無い成形品を得ることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形等に供することができ、特に射出成形に好適であり、各種の成形品を成形することができる。
Claims (5)
- (A)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物およびビニルシアン化合物を含むビニル単量体からなる単量体成分を重合してなるゴム変性スチレン系樹脂を含有する熱可塑性樹脂100重量部、
(B)下記一般式(I)で表わされる化合物0.01〜5重量部、
(C)下記一般式(C1)で表わされる化合物、下記一般式(C2)で表わされる化合物、及び下記一般式(C3)で表わされる化合物からなる群より選択されたフェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部、および、
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - (A)成分のビニル単量体は、さらに、芳香族ビニル化合物またはビニルシアン化合物と共重合可能な他のビニル単量体を含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分が、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物およびビニルシアン化合物を含むビニル単量体からなる単量体成分を重合してなるゴム変性スチレン系樹脂95〜5重量%と芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%(ここで、両者の合計は100重量%である。)からなる組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (A)成分のビニル単量体は、さらに、芳香族ビニル化合物またはビニルシアン化合物と共重合可能な他のビニル単量体を含む請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- (E)リン系難燃剤を(A)成分100重量部当たり、3〜30重量部含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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