JP3993437B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性、剛性及びウエルド強度に優れた熱可塑性樹脂組成物、及びさらに難燃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、薄肉成形品に好適な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂とABS樹脂からなるアロイ材料は、耐熱性、耐衝撃性、成形性等のバランスに優れることから、電気・電子分野、OA・家電分野、車輌分野、サニタリー分野等に多く使用されている。
近年、特にパソコン筐体、各種トレー部品、複写機部品等が薄肉化されており、高剛性材料が要求されている。また、成形品の薄肉化に伴ない、成形品外観が劣る、ソリが発生し易い、ウエルド強度が劣る等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性、剛性及びウエルド強度に優れた熱可塑性樹脂組成物と、更に優れた難燃性を付与した熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記成分(A)、(B)及び(C):
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜95重量%;
(B)ゴム質重合体存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び必要に応じてこれらの少なくともいずれかと共重合可能な他のビニル系化合物を重合して得られたゴム強化樹脂3〜50重量%;
(C)芳香族ビニル化合物と、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸無水物、不飽和酸、マレイミド系化合物、水酸基含有不飽和化合物およびエポキシ基含有不飽和化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系化合物とを構成単位としてなるスチレン系樹脂2〜40重量%;
からなる熱可塑性樹脂100重量部(ただし、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)に対して、
(D)ガラスフレーク1〜150重量部
を熱熔融混練してなる熱可塑性樹脂組成物であって、該組成物中に含まれるガラスフレーク全量のうち長径700μm以上のガラスフレーク量が重量基準で12%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、および、
上記成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量部に対して、
(E)難燃剤5〜40重量部
を配合してなることを特徴とする上記記載の熱可塑性樹脂組成物、
を提供するものである。
【0005】
また、本発明の別の局面によれば、上記成分(A)、(B)及び(C)からなる熱可塑性樹脂100重量部(ただし、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)に対して、(D)ガラスフレーク1〜150重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を熱熔融混練し、該組成物中に含まれるガラスフレーク全量のうち長径700μm以上のガラスフレーク量を重量基準で12%以下にしたことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法が提供される。なお、必要に応じて(E)難燃剤5〜40重量部を上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)とともに熱熔融混練してもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の(A)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂としては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが全て使用できる。
【0007】
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロモフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−ヒドロキシ3,5−ジクロロフェニル)プロパン、1,1´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキシ、レゾルシン等があり、これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。特に好ましいものは、2,2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名「ビスフェノールA」)である。上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、上記原料より得られた各種ポリカーボネート樹脂を1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0008】
本発明で使用される上記芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、16000〜32000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは17000〜31000、特に好ましくは18000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂を併用することもでき、特に粘度平均分子量13000〜19000(A1)のものと2000〜32000(A2)のものを(A1)/(A2)=10/90〜50/50重量%の割合で併用した場合、耐衝撃性と流動性のバランスに優れたものが得られる。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、塩化メチレンを溶媒として20℃で測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して算出することができる。
【0009】
【数1】
【0010】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂において界面重縮合で得られたものは、各種塩素化合物を含む場合がある。当該塩素化合物は、本発明の熱可塑性樹脂の熱安定性に悪影響を及ぼす場合があるため、芳香族ポリカーボネート樹脂中の塩素含有量は、塩素原子として300ppm以下であることが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の使用量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量%中、10〜95重量%、好ましくは20〜95重量%、更に好ましくは30〜90重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。その使用量が10重量%未満では、耐衝撃性、ウエルド強度が劣り、95重量%を超えると成形品表面外観が劣る。
【0011】
本発明の(B)成分であるゴム強化樹脂は、ゴム質重合体存在下に、芳香族ビニル化合物(B1)及びシアン化ビニル化合物(B2)を必須構成単位として重合して得られたものであり、必要に応じて、上記ゴム質重合体、芳香族ビニル化合物(B1)及びシアン化ビニル化合物(B2)の少なくともいずれかと共重合可能な他のビニル系化合物(B3)を構成単位とすることもできる。
ここで使用されるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、これらジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等が挙げられ、これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム及びシリコーンゴムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
尚、シリコーンゴムとしては、ビニル基を含有するグラフト交叉剤(例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメトキシシラン等)をポリオルガノシロキサンに共縮合したものが好ましい。
【0012】
本発明のゴム強化樹脂中の平均ゴム粒子径は、500Å〜30000Åの範囲あることが好ましく、更に好ましくは1000Å〜20000Å、特に好ましくは1500Å〜8000Åである。
本発明で使用されるゴム質重合体としては、乳化重合で得たものが好ましく、平均ゴム粒子径が1500Å〜8000Åの範囲にあるものがさらに好ましい。
【0013】
さらに、トルエン不溶分により表されるゴム質重合体のゲル含率は、通常、98重量%以下(0重量%であってもよい。)であり、40〜98重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。ゲル含率が40〜98重量%の場合、より優れた耐衝撃性と優れた成形品表面外観を有する成形品を得ることができる。
なお、このゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュ金網(重量W1)でろ過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(重量W2)し、次式により算出できる。
【0014】
【数2】
【0015】
ゲル含率は、ゴム質重合体の重合時に、分子量調整剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率などを適宜設定することにより調整することができる。
【0016】
芳香族ビニル化合物(B1)としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、好ましいものは、スチレン、α−メチルスチレンである。
シアン化ビニル化合物(B2)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、特に好ましいものは、アクリロニトリルである。
上記ゴム質重合体、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の少なくともいずれかと共重合可能な他のビニル系化合物(B3)としては、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸、不飽和酸無水物、マレイミド化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等があり、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0019】
本発明の(B)成分におけるゴム質重合体量は、(B)成分全体に対して、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
本発明の(B)成分は、ゴム質重合体存在下に前記成分(B1)、(B2)及び(B3)をビニル系単量体成分として重合すると、各成分(B1)、(B2)及び(B3)は、重合又は共重合(以下「(共)重合」と記すこともある)するとともにゴム状重合体にグラフト重合してグラフト重合体を生成する他、(共)重合した状態でグラフトせずに遊離の(共)重合体としてゴム状重合体と共存する。また、本発明の(B)成分は、ゴム質重合体非存在下に前記成分(B1)、(B2)及び(B3)をビニル系単量体成分として(共)重合して得たものとの混合物、すなわち、グラフト−ブレンド型ゴム強化ビニル系樹脂の形態のものであってもよい。
【0020】
本発明の(B)成分の芳香族ビニル化合物(B1)、シアン化ビニル化合物(B2)、及び他のビニル系単量体(B3)の量は、B1/B2/B3=30〜95/5〜40/0〜30重量%の範囲であることが好ましい。
本発明の(B)成分は、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で得ることができる。好ましい製造法は、乳化重合法である。
本発明の(B)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200重量%、更に好ましくは30〜150重量%、特に好ましくは40〜120重量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
【0021】
【数3】
【0022】
(式中、Tはアセトン20mlに(B)成分1gを投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の重量(g)であり、Sは(B)成分1gに含まれるゴム質重合体の重量(g)である。)
【0023】
また、(B)成分のアセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。前記したように(B)成分は、グラフト−ブレンド型ゴム強化ビニル系樹脂であってもよいが、ここでブレンド用に用いられるゴム質重合体非存在下に重合させた重合体も、上記した極限粘度[η]の範囲を満たすものの1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明の(B)成分の使用量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量%中、3〜50重量%であり、好ましくは5〜45重量%、更に好ましくは8〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%である。その使用量が3重量%未満では、耐衝撃性及び成形品表面外観が劣る。また、その使用量が50重量%を超えるとウエルド強度が劣る。
【0024】
本発明の(C)成分であるスチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物(C1)と(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸無水物、不飽和酸、マレイミド系化合物、水酸基含有不飽和化合物及びエポキシ基含有不飽和化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系化合物(C2)とを構成単位としてなる重合体であり、ここで使用される(C1)成分および(C2)成分は、(B)成分に関して前記した化合物が全て使用でき、また、前記した化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することもできる。(C1)成分と(C2)成分との比(C1)/(C2)は、好ましくは5〜95/95〜5重量%、更に好ましくは10〜90/90〜5重量%、特に好ましくは20〜80/80〜20重量%である。
本発明の(C)成分は、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合及びこれらを組み合わせた重合法で得ることができる。
本発明の(C)成分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.2〜1dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
【0025】
本発明の(C)成分として好ましい組み合わせは、
(1) スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
(2)スチレン−無水マレイン酸共重合体、
(3)スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体、
(4)スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体−無水マレイン酸共重合体、
(5)スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、
(6)スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、
(7)スチレン−メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、
(8)スチレン−メタクリル酸メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
等であり、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、さらに好ましい(C)成分は、
(1)スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、
(2)スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体
であり、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、特にに好ましい(C)成分は、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体である。
【0026】
本発明の(C)成分の使用量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量%中、2〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。その使用量が2重量%未満では、ウエルド強度及びウエルド外観が劣り、40重量%を超えると耐衝撃性、ウエルド強度が劣る。
【0027】
本発明の(D)成分であるガラスフレークとしては、市販されているものをそのまま使用でき、これらの形状には通常のガラスフレーク及び顆粒状タイプがあり、何れも使用できる。
ガラスフレークの好ましい平均長径は、100〜700μm、更に好ましくは100〜400μm、特に好ましくは120〜200μmである。
本発明の(D)成分の配合量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量部に対して1〜150重量部、好ましくは5〜100重量部、更に好ましくは10〜45重量部、特に好ましくは12〜28重量部であり、その配合量が1重量部未満では、剛性の改良効果がみられず、150重量部を超えると耐衝撃性、ソリ性、成形品表面外観及びウエルド強度が劣る。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物製造時にガラスフレークは粉砕され平均長径は小さくなるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、該組成物中に含まれるガラスフレーク全量のうち、長径700μm以上のガラスフレークの占める割合は重量基準で12%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下、特に好ましくは0%である。この長径700μm以上のガラスフレークの割合が12%を超えると成形品表面外観およびウエルド強度が劣る。
本発明において、この長径700μm以上のガラスフレークの割合は、本発明の組成物から焼成又は溶媒分別等の方法でガラスフレークを分離し、マイクロスコープでガラスフレークの粒子500個以上について長径(L)を測定し、これを重量換算することにより求められる。
本発明では、熱可塑性樹脂組成物におけるこの長径700μm以上のガラスフレークの割合は、熱可塑性樹脂組成物製造時、熱可塑性樹脂とガラスフレークとを熱熔融混練する時間を調節したり、混練前にガラスフレークを粉砕、分級などにより粒度調整することで達成できる。
本発明において、ガラスフレークは、本発明の成分(A)、(B)及び/又は(C)との密着性を向上させる目的から、公知のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、難燃剤を配合し、難燃性を向上させることができる。
本発明で使用される難燃剤(E)は、樹脂に添加した際に十分な難燃性を付与することができる化合物であればよく、例えば、有機ハロゲン系難燃剤、有機リン系難燃剤、赤リン等が挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
有機ハロゲン系難燃剤としては、臭素および/または塩素を含有する化合物が、また、有機リン系難燃剤としてはホスフェート化合物および/またはホスファゼン化合物が、樹脂に添加した際の難燃化能を高くできるので好ましい。
【0030】
有機ハロゲン系難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノール化合物、ハロゲン化エポキシ化合物、およびハロゲン化トリアジン化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることが好ましい。これらの難燃剤は難燃化能が高く、本発明の効果が最大限に発揮されるため最も好ましい。
ハロゲン化ビスフェノール化合物とは、ビスフェノールのハロゲン化物であって、例えば、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、ジクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、ジブロモビスフェノールF、テトラクロロビスフェノールF、ジクロロビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールS、ジブロモビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールS、ジクロロビスフェノールSなどが挙げられる。これらは1種でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0031】
ハロゲン化エポキシ化合物とは、ハロゲン化ビスフェノール化合物と、エピハロヒドリンまたはハロゲン化ビスフェノールジグリシジルエーテルとの反応生成物であり、下記一般式で表される。
【0032】
【化1】
【0033】
{式中、nは0以上の整数を、Xは臭素または塩素を、a、b、c、dは1〜4の整数を、R1はイソプロピリデン基、メチレン基またはスルホン基を、R2、R3はそれぞれ2,3−エポキシプロピル基または−CH2CH(OH)CH2OR基(Rは、臭素または塩素で置換されていてもよいアルキル基またはアリル基)を示す。}
【0034】
ハロゲン化エポキシ化合物の原料として用いられるハロゲン化ビスフェノール化合物の具体例としては、上に例示したものが同様に挙げられる。ハロゲン化エポキシ化合物の重合度nは、0以上の整数、より好ましくは0〜15の整数であり、重合度nの異なるもの2種類以上を併用することもできる。
ハロゲン化エポキシ化合物の末端は、エポキシ基であっても、アリル基やアルキル基などでエポキシ基が封止されていてもよい。末端を封止するアリル基やアルキル基は、必要に応じて、塩素、臭素などのハロゲン元素で修飾されていてもよい。末端封止基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基などの無置換アリル基、トリブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、トリクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基などのハロゲン化アリル基、ステアリル基などのアルキル基が挙げられる。本発明で用いられるハロゲン化エポキシ化合物の末端は、上記の範囲内であれば制限はなく、一方の末端と他方の末端の構造は同一でも異なっていてもよい。
【0035】
ハロゲン化トリアジン化合物とは、トリアジン骨格を有する有機ハロゲン化合物であって、下記一般式で表される。
【0036】
【化2】
【0037】
(式中、Yは−O−基または−NH−基、R4はそれぞれ臭素化または塩素化されたアリル基および/またはアルキル基、もしくは水素原子を示す。)
【0038】
このような化合物は、一般に、シアヌル酸やメラミンなどのトリアジン骨格含有化合物に、臭素化または塩素化されたフェノール類、アルコール類などの水酸基含有化合物や、アミン化合物を反応させることにより得られる。
【0039】
有機リン系難燃剤としては、下記一般式(3)、(4)で示されるもの等が挙げられる。
【0040】
【化3】
【0041】
(式中、R5、R6、R7及びR8は、アルキル基、フェニル基又はキシレニル基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。Xは2価のレゾルシノール残基、ハイドロキノン残基又はビスフェノールA残基である。nは平均値で0〜5である。)
【0042】
【化4】
【0043】
(式中、R9及びR10は、水素原子、ハロゲン原子又は低級アルキル基であり、R11は水素原子、フェニル基または下記式で表される基
【0044】
【化5】
であり、上記フェニル基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又は低級アルキル基から選ばれた少なくとも1種で置換されていてもよい。xは1〜4の整数である。R9とR10は同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0045】
一般式(4)で示される難燃剤の具体的な例としては、下記式(5)から(8)で示されるものがある。
【0046】
【化6】
【0047】
これらのうち、下記式(5)及び(6)で示されるものが好ましい。
【0048】
【化7】
【0049】
上記有機リン系難燃剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
本発明の難燃剤(E)の配合量は、本発明の成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量部に対して5〜40重量部、好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは7〜25重量部であり、その配合量が5重量部未満では、難燃性が発現されず、40重量部を超えると耐衝撃性、成形品表面外観及びウエルド強度が劣る。
【0051】
更に、難燃性を向上させる目的から難燃助剤として、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、フッ素系樹脂、シロキサン化合物、ポリシロキサン等を難燃剤と併用することができる。ここで、フッ素系樹脂としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン/フルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。これらの難燃助剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の充填剤、耐候(光)剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤及びカップリング剤等を配合することができる。
上記充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、ガラス繊維ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。ガラス繊維及び炭素繊維の好ましい大きさは、繊維径が4〜20μm、繊維長が0.5mm〜30mmの範囲にあるものである。
【0053】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等を配合することができる。
【0054】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を用い、各成分を加熱下で混練りすることにより得られる。特に好ましい製造方法は、二軸押出機を用い、ガラスフレークのみ押出機途中から添加する方法である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形等に供することができ、特に、射出成形に好適である。
【0055】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭・事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピーディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
これらのうち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、薄肉成形品、すなわち、厚さ1.5mm以下の成形部分を10%以上の面積で有する成形品の材料として好適である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は該具体例のみに限定されるものではない。
[1]物性等の評価
(1)耐衝撃性の評価
ISO179に従ってシャルピー衝撃強さを測定した。
(2)成形品表面外観
成形品表面を目視観察し、下記評価基準で評価した。
○:成形品表面が平滑であり、且つ、ガラスフレークの浮き出しがない。
×:成形品表面が平滑でない、及び/又は、ガラスフレークの浮き出しがある。
(3)剛性
ASTM D790に従って曲げモジュラス(kgf/cm2)を測定した。
(4)ソリ性
平均厚さ1.5mmの平板成形品を平板上に置きソリの状態を下記評価基準に従って目視評価した。
○:ほとんどソリが無い。
×:ソリが大きい。
(5)ウエルド強度
ISO178に従ってウエルドの無い成形品の曲げ降伏強さ(FS0)を測定した。更に、成形品中央にウエルドを有する成形品について上記と同様の方法でウエルド部の曲げ降伏強さ強度(FS1)を測定し、下記式で保持率(%)を算出した。これをウエルド強度保持率(%)としウエルド強度の指標とした。保持率が高い材料ほど、ウエルド強度が強いことを示す。
【0057】
【数4】
【0058】
(6)燃焼性
UL−94Vテストに準拠して評価した。試験片の厚みは、1.0mmであった。表中NGは、バーニングを示す。
(7)ペレット中の長径700μm以上のガラスフレークの量の測定
得られたペレットを600℃マッフル炉で24時間焼成し、ガラスフレークを取り出した。ガラスフレークをマイクロスコープで拡大し、ガラスフレーク約500個について、長径を測定し、ガラスフレーク全量に対する、長径700μm以上のガラスフレークの割合(%)を重量基準で求めた。
【0059】
[2]熱可塑性樹脂組成物の成分
製造例A−1(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとホスゲンを用いて界面重合し、粘度平均分子量22000の芳香族ポリカーボネート樹脂(表1では、A1と表記する。)を得た。
製造例A−2(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造)
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを用いて加熱溶融重合を行ない、粘度平均分子量23000の芳香族ポリカーボネート樹脂(表1では、A2と表記する。)を得た。
【0060】
製造例B−1(ゴム強化樹脂の製造)
ポリブタジエンラテックス(平均粒径:3500Å、ゲル含率:85重量%)40重量部、スチレン45重量部、アクリロニトリル15重量部を用いて乳化重合した後、硫酸マグネシウムを用いて凝固させ、洗浄、乾燥してゴム強化樹脂(表1では、B1と表記する。)を得た。このゴム強化樹脂のグラフト率は60重量%、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したアセトン可溶分の極限粘度は0.45dl/gであった。
製造例B−2(スチレン/アクリロニトリル共重合体の製造)
対照として、スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部を用いて、溶液重合にてスチレン−アクリロニトリル共重合体(表1では、B2と表記する。)を得た。溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したこの重合体の極限粘度は、0.45dl/gであった。
【0061】
製造例C−1(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体の製造)
スチレン70重量部、メタクリル酸メチル30重量部を用いて溶液重合し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(表1では、C1と表記する。)を得た。溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したこの重合体の極限粘度は、0.51dl/gであった。
製造例C−2(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体の製造)
スチレン40重量部、メタクリル酸メチル60重量部を用いて溶液重合し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(表1では、C2と表記する。)を得た。溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したこの重合体の極限粘度は、0.40dl/gであった。
製造例C−3(スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体の製造)
スチレン60重量部、N−フェニルマレイミド40重量部を用いて溶液重合し、スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体(表1では、C3と表記する。)を得た。溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したこの重合体の極限粘度は、0.35dl/gであった。
製造例C−4(スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体の製造)
スチレン80重量部、グリシジルメタクリレート共重合を用いて溶液重合し、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(表1では、C4と表記する。)を得た。溶媒としてメチルエチルケトンを使用し30℃で測定したこの重合体の極限粘度は、0.32dl/gであった。
【0062】
[3]ガラスフレーク
以下に示すものを用いた。
D−1:「フレカ REFG−101(商品名:日本板硝子社製)」(平均長径600μm、平均厚み5μm、表1ではD1と表記する)。
D−2:「フレカ REFG−301(商品名:日本板硝子社製)」(平均長径140μm、平均厚み5μm、表1ではD2と表記する)。
D−3:「フレカ REFG−401(商品名:日本板硝子社製)」(平均長径300μm、平均厚み5μm、表1ではD3と表記する)。
【0063】
[4]難燃剤
以下に示すものを用いた。
E−1:式(9)で表わされる縮合リン酸エステル化合物;「アデカフタブ FP−700(商品名:旭電化社製)」(表1ではE1と表記する)。
【0064】
【化8】
【0065】
E−2:式(10)で表わされる縮合リン酸エステル化合物;「アデカフタブFP−500(商品名:旭電化社製)」(表1ではE2と表記する)。
【0066】
【化9】
【0067】
E−3:式(11)で表わされるリン化合物;「サンコー HCA(商品名:三光社製)」(表1ではE3と表記する)。
【0068】
【化10】
【0069】
E−4:式(12)で表わされるリン化合物;「サンコー HCA−HQ(商品名:三光社製)」(表1ではE4と表記する)。
【0070】
【化11】
【0071】
E−5:臭素化エポキシ重合体(有機ハロゲン系難燃剤);「プラサーム EC−20(商品名:大日本インキ化学工業製)」(表1ではE5と表記する)。
【0072】
[5]その他の成分
F−1:三酸化アンチモン(表1ではF1と表記する)。
F−2:ポリテトラフルオロエチレン;「ダイフロン F201L(商品名:ダイキン工業社製)」(表1ではF2と表記する)。
【0073】
実施例1〜15及び比較例1〜9
ガラスフレーク以外の表1に記載の成分を表1に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(池貝鉄工株式会社製、型式「PCM45」)を用いて設定温度240℃で溶融混練した。ガラスフレーク以外の上記成分は、押出機の根本より重量フィーダーを用いて添加した。又、表1に記載のガラスフレークを押出機途中から重量フィーダーを用いて添加・混練し、ペレット化した。次いで、得られたペレットを充分に乾燥し、射出成形により評価用試験片を作製した。この試験片または得られたペレットを用い、前記の方法で耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性、剛性、ウエルド強度、燃焼性及びガラスフレークの長径700μm以上の量を評価した。結果を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
表2の結果によれば、実施例1〜15の熱可塑性樹脂組成物は、いずれも優れた耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性、剛性、ウエルド強度を有し、また、難燃剤を配合した組成物においては、前記優れた性能に加えて、優れた難燃性を有することが分かる。
比較例1は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、成形品表面外観及びウエルド強度が劣る。
比較例2は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及びウエルド強度が劣る。
比較例3は、ペレット中のガラスフレークの長径700μm以上の量が本発明の範囲外で多い例であり、成形品表面外観の平滑性が劣るとともに、ガラスフレークの浮き出しが目立つ。
比較例4は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、剛性が劣る。
比較例5は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性及びウエルド強度が劣る。
比較例6は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、ウエルド強度が劣る。
比較例7は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)成分が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及び成形品表面外観が劣る。
比較例8は、本発明の(E)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、燃焼性が劣る。
比較例9は、本発明の(E)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、成形品表面外観及びウエルド強度が劣る。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族ポリカーボネート樹脂とABS系ゴム強化樹脂とスチレン系樹脂とを含有する熱可塑性樹脂において、ガラスフレークを一定量配合するとともに、該樹脂中に含まれるガラスフレークのうち長径700μm以上のものの量を12%以下としたので、耐衝撃性、成形品表面外観、ソリ性、剛性及びウエルド強度に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。また、該熱可塑性樹脂組成物に難燃剤を配合することにより、上記諸特性が良好に維持されるとともに、優れた難燃性が付与される。
Claims (4)
- 下記成分(A)、(B)及び(C):
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜95重量%;
(B)ゴム質重合体存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び必要に応じてこれらの少なくともいずれかと共重合可能な他のビニル系化合物を重合して得られたゴム強化樹脂3〜50重量%;
(C)芳香族ビニル化合物と、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸無水物、不飽和酸、マレイミド系化合物、水酸基含有不飽和化合物およびエポキシ基含有不飽和化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系化合物とを構成単位としてなるスチレン系樹脂2〜40重量%;
からなる熱可塑性樹脂100重量部(ただし、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)に対して、
(D)ガラスフレーク1〜150重量部
を熱熔融混練してなる熱可塑性樹脂組成物であって、該組成物中に含まれるガラスフレーク全量のうち長径700μm以上のガラスフレーク量が重量基準で12%以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 上記成分(A)、(B)及び(C)の合計100重量部に対して、
(E)難燃剤5〜40重量部
を配合してなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 下記成分(A)、(B)及び(C):
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂10〜95重量%;
(B)ゴム質重合体存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び必要に応じてこれらの少なくともいずれかと共重合可能な他のビニル系化合物を重合して得られたゴム強化樹脂3〜50重量%;
(C)芳香族ビニル化合物と、(メタ)アクリル酸エステル、不飽和酸無水物、不飽和酸、マレイミド系化合物、水酸基含有不飽和化合物およびエポキシ基含有不飽和化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系化合物とを構成単位としてなるスチレン系樹脂2〜40重量%;
からなる熱可塑性樹脂100重量部(ただし、上記成分(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)に対して、
(D)ガラスフレーク1〜150重量部
を配合してなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、上記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を熱熔融混練し、該組成物中に含まれるガラスフレーク全量のうち長径700μm以上のガラスフレーク量を重量基準で12%以下にしたことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる薄肉成形品。
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