JP2004027061A - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Akiyoshi Tamai
玉井 晃義
Masafumi Koyama
小山 雅史
Toru Yamanaka
山中 亨
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Abstract

【課題】ゴム強化スチレン系樹脂にハロゲン系有機化合物を用いることなく高度な難燃性を有すると同時に、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、透明性に優れる難燃性樹脂組成物を得る。
【解決手段】ゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、燐系難燃剤(B)1〜30重量部、及び金属不活性化剤(C)0.001〜5重量部が含有され、かつ23℃で測定した全光線透過率が60%以上であることを特徴とする難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、難燃性、及び透明性に優れた難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム強化スチレン系樹脂などに代表されるスチレン系樹脂は、優れた機械的性質、成形加工性および電気絶縁性などを有することから、家庭電気機器、OA機器および自動車などの各部品をはじめとする広範な分野で使用されている。しかしながら、用途によっては安全性の観点から、難燃性が必要になり、この難燃化に関し種々の技術が提案されてきた。
【0003】
一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合して難燃化する方法が採用されているが、この方法は燃焼の際の発煙量が多いなどの問題点を有していた。
【0004】
そこで、近年これらのハロゲン系難燃剤の欠点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃性樹脂の実現が強く望まれるようになった。
【0005】
非ハロゲン系難燃剤としては、燐系難燃剤が知られており、代表的なものとして燐酸エステルが従来からよく使用されている。このような燐系難燃剤を使用する従来例としては、例えば熱可塑性樹脂にポリホスフェートを添加する方法(特開昭59−24736号公報)、ゴム強化スチレンに特定構造を有する燐酸エステルを添加する方法(特開平11−140270号公報)、およびスチレン系樹脂に液状燐酸エステルを添加する方法(特開平11−5869号公報)などがすでに提案されている。
【0006】
しかしながら、スチレン系樹脂に代表されるような本質的に燃えやすい熱可塑性樹脂の場合には、燐酸エステルによる難燃化効果は極めて低く、上記特開昭59−24736号公報、特開平11−140270号公報、および特開平11−5869号公報記載の方法で得られる組成物において、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するためには、燐酸エステルを多量に配合しなければならず、そのために樹脂の機械特性が低下するばかりか、燐酸エステルがブリードアウトしたり、成形時に金型汚染が発生するといった問題や成形時にガスが発生するという問題があった。
【0007】
上記の問題を解決する方法としては、難燃剤としてヒドロキシル基含有燐酸エステルを使用する方法が、特開平5−247315号公報に開示されている。
【0008】
しかしながら、ヒドロキシル基含有燐酸エステルもまた、難燃化効果が極めて低いことから、上記の問題を効果的に解決することは困難であった。
【0009】
このように、スチレン系樹脂に燐酸エステルを配合した組成物では、難燃性と機械特性の両立は困難であるため、ヒドロキシル基含有燐酸エステルと共に、難燃助剤として炭化層形成ポリマーであるノボラックフェノール樹脂、さらにトリアジン骨格を含有する化合物を添加する方法が、特開平7−70448号公報に開示されている。
【0010】
しかしながら、この技術もまた、熱可塑性樹脂本来の機械的特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点についてはいまだ十分解決できるものではなく、しかもフェノール樹脂は耐光性が極めて劣る材料であるため、得られる樹脂組成物の耐光性が低下するという問題点をも有していた。
【0011】
また難燃助剤として、ポリカーボネート系樹脂とその他の樹脂に燐化合物と共に金属不活性化剤を添加する方法(特開平9−59502号公報)が提案されている。しかしながら該特許に開示される技術では透明性を有する樹脂組成物は得られない。
【0012】
つまり、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、難燃性を発現させるばかりでなく、透明性を維持する技術については未だ確立されていなかったのが実情である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0014】
したがって本発明の目的は、ゴム強化スチレン系樹脂に対しハロゲン系有機化合物を配合せずに高度な難燃性を達成することができると同時に、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、透明性にも優れた難燃性樹脂組成物を提供すること、およびそれからなる成形品を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、ゴム強化スチレン系樹脂に、燐系難燃剤および金属不活性化剤を、特定割合で配合することにより、高度な難燃性を有すると同時に、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、透明性に優れた難燃性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、燐系難燃剤(B)1〜30重量部、及び金属不活性化剤(C)0.001〜5重量部が含有され、かつ23℃で測定した全光線透過率が60%以上であることを特徴とする。
【0017】
なお、本発明の難燃性樹脂組成物においては、下記(イ)〜(ハ)が好ましい条件として挙げられる。
(イ)前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)が、ゴム質重合体10〜80重量部の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又はさらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物20〜90重量部を共重合せしめたグラフト共重合体(A−1)10〜100重量部と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又は、さらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物を共重合せしめてなるビニル系共重合体(A−2)90重量部以下とからなること、
(ロ)前記金属不活性化剤(C)が、一般式(1)
【0018】
【化4】
Figure 2004027061
を有するフェノール系化合物であること、
(ハ)前記燐系難燃剤(B)が、下記一般式(2)で表される芳香族ホスフェートであること、
【0019】
【化5】
Figure 2004027061
(上記式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Xは、
【0020】
【化6】
Figure 2004027061
のいずれかの基であり、ここで、R4 〜R11は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO2 、C(CH3 2 、CH2 、CHPhのいずれかを表し、Phはフェニル基を表す。また、nは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
また、本発明の成形品は、上記難燃性樹脂組成物からなることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品について詳細に説明する。
【0022】
本発明におけるゴム強化スチレン系樹脂(A)とは、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものを含むものである。
【0023】
このようなゴム強化スチレン系樹脂(A)としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
【0024】
具体的には、ゴム質重合体の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又は、さらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物を共重合せしめたグラフト共重合体(A−1)10〜100重量部と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又は、さらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物を共重合せしめてなるビニル系共重合体(A−2)90重量部以下とからなるものが好ましい。
【0025】
本発明のゴム強化スチレン系樹脂(A)において、グラフト共重合体(A−1)に用いられるゴム質重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが使用できる。これらゴム質重合体の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム質重合体のうちでは、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体およびアクリロニトリル−ブタジエン共重合体が、特に耐衝撃性の観点から好ましく用いられる。
【0026】
これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用することが可能であるが、2種以上の混合物で使用する場合には、透明性の観点から、アッベ屈折計を用いて測定した屈折率差が0.03以下となるように、2種以上のゴム質重合体を選択することが好ましい。
【0027】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)を構成するゴム質重合体の重量平均粒子径には特に制限はないが、0.1〜0.5μm、特に0.15〜0.4μmの範囲であることが好ましい。ゴム質重合体の重量平均粒子径を0.1μm〜0.5μm未満の範囲とすることによって、耐衝撃性と透明性の両立を図ることができるので好ましい。
【0028】
なお、ゴム質重合体の重量平均粒子径は、「Rubber Age、Vol.88、p.484〜490、(1960)、by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法、つまりアルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法により測定することができる。
【0029】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)に用いる不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)には特に制限はないが、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが好適である。
【0030】
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0031】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)に用いる芳香族ビニル系単量体(b)には特に制限はなく、具体例としてはスチレンをはじめ、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、なかでもスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)に用いるシアン化ビニル系単量体(c)には特に制限はなく、具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、なかでもアクリロニトリルが好ましく用いられる。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0033】
また、本発明におけるグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)を構成する単量体混合物中には、上記した不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)およびシアン化ビニル系単量体(c)の他に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含有させてもよい。この他のビニル系単量体(d)は特に制限はないが、具体例としては(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
【0034】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)は、ゴム質重合体10〜80重量部、好ましくは20〜70重量部、より好ましくは30〜60重量部の存在下に、上記の単量体混合物20〜90重量部、好ましくは30〜80重量部、より好ましくは40〜70重量部を共重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合がかかる好ましい範囲内にあれば、衝撃強度や表面外観が良好となり好ましい。
【0035】
また、グラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)の製造のために用いられる単量体混合物の好ましい割合は、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)が50〜90重量%、より好ましくは60〜80重量%、芳香族ビニル系単量体(b)が9〜49重量%、より好ましくは17〜37重量%、シアン化ビニル系単量体(c)が1〜30重量%、より好ましくは3〜10重量%であり、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を30重量%以下で使用することにより、良好な透明性、耐衝撃性および成形加工性を得ることができる。
【0036】
なお、グラフト共重合体(A−1)は、ゴム質重合体に単量体混合物をグラフト共重合させる際に生成するグラフトしていない共重合体を含んでいてもよい。ただし、衝撃強度の観点からグラフト率は10〜100%であることが好ましい。ここで、グラフト率とはゴム質重合体に対するグラフトした単量体混合物の重量割合である。また、グラフトしていない共重合体のメチルエチルケトン溶媒中、30℃で測定した極限粘度には特に制限はないが、0.1〜0.6dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性のバランスの観点から好ましく用いられる。
【0037】
本発明におけるビニル系共重合体(A−2)のメチルエチルケトン溶媒中、30℃で測定した極限粘度は特には制限はないが、0.2〜1.0dl/g、特に0.3〜0.7dl/gのものが、衝撃強度と成形加工性とのバランスの観点から好ましく用いられる。
【0038】
本発明におけるグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)の製造方法には特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などの公知の重合法により得ることができる。
【0039】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するグラフト共重合体(A−1)とビニル系共重合体(A−2)との混合比は、グラフト共重合体(A−1)10〜100重量部に対してビニル系共重合体(A−2)が90重量部以下であることが好ましく、より好ましくは、グラフト共重合体(A−1)20〜60重量部に対してビニル系共重合体(A−2)40〜80重量部である。グラフト共重合体(A−1)が上記の範囲内にあれば、十分な耐衝撃性を得ることができ好ましい。
【0040】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれるゴム質重合体の含有量は、5〜30重量%が好ましく、より好ましくは10〜20重量%である。ゴム質重合体の含有量を係る好ましい範囲とすることによって、耐衝撃性および成形加工性を十分満足することができる。
【0041】
なお、グラフト共重合体(A−1)のゴムを除いた成分およびビニル系共重合体(A−2)の屈折率と、グラフト共重合体(A−1)に使用されるゴム質重合体の屈折率との差を好ましくは0.03以下、より好ましくは0.02以下になるように、単量体の組成比を調製することが、透明性の観点から好ましい。このようなグラフト共重合体(A−1)およびビニル系共重合体(A−2)は複数種類を用いてもよい。
【0042】
本発明に使用される燐系難燃剤(B)とは、燐を含有する有機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えば、ポリ燐酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネートおよびホスフィンオキシドなどが挙げられる。なかでも、ポリホスファゼンおよびホスフェートが好ましく、芳香族ホスフェートが特に好ましく使用できる。
【0043】
本発明で使用される燐系難燃剤(B)の内、芳香族ホスフェートとは、下記一般式(2)で表されるものである。
【0044】
【化7】
Figure 2004027061
まず、上記式(2)で表される難燃剤の構造について説明する。
【0045】
上記式(2)中、nは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0046】
またAr1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
またXは、
【0047】
【化8】
Figure 2004027061
のいずれかであり、ここで、R4 〜R11は同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。またYは直接結合、O、S、SO2 、C(CH3 2 、CH2 、CHPhのいずれかを表し、Phはフェニル基を表す。
【0048】
上記燐系難燃剤(B)の使用量は、ゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜30重量部であることが必要であり、好ましくは2〜20重量部である。
【0049】
燐系難燃剤(B)の添加量が1重量部未満の場合は高度な難燃性付与効果が得られず、また30重量部を越える場合は耐衝撃性の低下や成形品の表面外観を損なう。
【0050】
本発明に使用される金属不活性化剤(C)とは、金属イオン及び/又は金属原子と相互作用する性質を有する官能基を持つ有機系化合物をいい、金属イオン及び/又は金属原子と相互作用する性質を有する官能基として、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、ホスフィノ基、アミド基、エステル基、メルカプト基、チオカルバメート基等が挙げられる。また金属イオン及び/又は金属原子と作用して金属錯化合物及び/又は金属塩を形成する性質を有する有機化合物も包含され、例えばグリシン、しゅう酸、エチレンジアミン4酢酸、アセチルアセトン等のような金属キレートを形成しうる化合物や、クラウンエーテル、ポリフィリン、フタロシアニン等のような環状構造を有する配位子となる化合物、またトリアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体等のような窒素原子及び/又は硫黄原子を有する化合物、一般式(1)
【0051】
【化9】
Figure 2004027061
を有するフェノール系化合物等が挙げられる。
【0052】
本発明に使用される金属不活性化剤(C)を具体的に例示すると、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール系化合物や、1,2,3−ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物や、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール系化合物や、ジフェニルチオカルバゾン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄/窒素含有化合物や、サリチル酸、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル、サリチルアミド、サリチルアニリド、一般式(3)
【0053】
【化10】
Figure 2004027061
で表される化合物等のフェノール系化合物等が挙げられる。
【0054】
本発明の金属不活性化剤(C)の中で好ましくは、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル、一般式(3)で表される化合物が用いられ、更に好ましくは一般式(3)で表される化合物が用いられる。これらの金属不活性化剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0055】
上記金属不活性化剤(C)の使用量は、ゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部である必要があり、好ましくは0.005〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0056】
金属不活性化剤(C)の量が0.001重量部よりも少ない量では難燃性に劣り、5重量部を越える量では耐衝撃性等の機械的物性の低下が生じる。
【0057】
本発明の難燃性樹脂組成物は、透明性付与の目的でゴム強化スチレン系樹脂に不飽和カルボン酸アルキルエステルを共重合するが、不飽和カルボン酸アルキルエステルの共重合により発現する燃焼性を抑えるために、金属不活性化剤を燐化合物と共に樹脂に配合する。金属不活性化剤を配合することにより相乗的な難燃化作用が得られ、難燃剤の配合量が従来よりも少量で済むため、難燃剤の多量配合に由来する樹脂の物性低下が最小限に抑制され、かつ透明性に優れた難燃性樹脂組成物が得られる。
【0058】
本発明の難燃性樹脂組成物は、23℃で測定した全光線透過率が60%以上であることが重要である。より好ましくは70%以上である。全光線透過率が60%未満であると、透明性が悪化するため好ましくない。尚、全光線透過率は、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用し、厚み3mmの角板について23℃で測定した。
【0059】
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物に対しては、本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、フッ素系樹脂やシリコーン化合物などの燃焼時の延焼や発熱量の抑制をする難燃剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤(硫化カドミウム、フタロシアニン、酸化チタンなど)などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
【0060】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方法で製造される。例えば、ゴム強化スチレン系樹脂(A)、燐系難燃剤(B)、金属不活性化剤(C)およびその他の必要な添加剤を、予備混合してまたはせずに押出機などに供給して、150℃〜350℃の温度範囲において十分溶融混練することにより調製される。この場合に例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができ、特にアスペクト比をコントロールすることから、スクリューにニーディングエレメントを数個挿入あるいは未挿入にすることにより使用することが好ましい。
【0061】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、難燃性だけでなく、機械特性、耐熱性、滞留安定性さらに成形加工性にも優れ、溶融成形可能であるため、押出成形、射出成形、およびプレス成形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形して使用することができる。
【0062】
このようにして得られる本発明の難燃性樹脂組成物からなる成形品は、その優れた難燃性、耐熱性、機械特性、成形加工性、さらには透明性などの特性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用いることができる。
【0063】
本発明の成形品の具体例としては、例えば、各種カバー、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター、VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、音響機器などの部品またはハウジング、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品またはハウジング、照明、冷蔵庫、エアコン、タイプライター、ワードプロセッサーなどに代表される家庭、事務電気製品部品またはハウジング、オフィスコンピューター関連、電話機関連、ファクシミリ関連、複写機関連などの部品またはハウジング、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品またはハウジング、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、および点火装置ケースなどが挙げられ、これら各種の用途にとって極めて有用である。
【0064】
【実施例】
以下、実施例、および比較例により本発明の構成、効果をさらに詳細に説明するが、これらの実施例はいかなる意味においても本発明を制限するものではない。
Figure 2004027061
以上の物質を重合容器に仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、メタクリル酸メチル70重量部、スチレン25重量部、アクリロニトリル5重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物50重量部を5時間かけて連続滴下した。並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、オレイン酸カリウム2.5重量部および純水25重量部からなる水溶液を、7時間で連続滴下し反応を完結させた。得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(A−1−1)を得た。
【0065】
このグラフト共重合体(A−1−1)の所定量(m)にアセトンを加えて4時間還流し、この溶液を8,800rpm(遠心力10,000G)で40分遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥後、重量(n)を測定し、グラフト率(%)=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100の計算式で算出したグラフト率は45%であった。ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率である。
【0066】
上記アセトン溶液の濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を得た。この可溶分を、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.26dl/gであった。
【0067】
また、同様の方法で、メタクリル酸メチル70重量部、スチレン25重量部、アクリロニトリル5重量部を、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部に変更することにより、グラフト共重合体(A−1−2)を得た。このときのグラフト率は42%、極限粘度は0.37dl/gであった。
[参考例2]ビニル系共重合体(A−2)の製造方法
容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を添加して400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、60℃に昇温し重合を開始した。
【0068】
メタクリル酸メチル               70重量部
スチレン                    25重量部
アクリロニトリル                5重量部
t−ドデシルメルカプタン            0.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル      0.4重量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行なうことにより、ビニル系共重合体(A−2−1)を得た。このビニル系共重合体(A−2−1)の極限粘度は0.35dl/gであり、アッベ屈折計を用いて測定した屈折率は1.515であった。
【0069】
また、同様の方法で、メタクリル酸メチル70重量部、スチレン25重量部、アクリロニトリル5重量部を、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部に変更することにより、ビニル系共重合体(A−2−2)を得た。このビニル系共重合体(A−2−2)の極限粘度は0.48dl/gであり、屈折率は1.58であった。
[参考例3]燐系難燃剤(B)として次のものを使用した。
<B−1>芳香族ビスホスフェート“PX−200”(大八化学社製)
<B−2>オリゴマー型芳香族ビスホスフェート”CR733S”(大八化学社製)
[参考例4]金属不活性化剤(C)として次のものを使用した。
<C−1>下記一般式(3)で表されるフェノール系化合物“CDA−1”(旭電化工業社製)
【0070】
【化11】
Figure 2004027061
<C−2>下記一般式(4)で表されるフェノール系化合物”CDA−6”(旭電化工業社製)
【0071】
【化12】
Figure 2004027061
[実施例1〜3、比較例1〜6]
以下の実施例、比較例においては、上記の参考例の中から選択したゴム強化スチレン系樹脂(A)、隣系難燃剤(B)、金属不活性化剤(C)、およびその他の必要な添加剤を使用し、表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用し、220〜270℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状のポリマを製造した。
【0072】
次いで、東芝機械(株)製IS55EPN射出成形機を用いて、成形温度230℃、金型温度60℃の条件で射出成形することにより得られた試験片について、各特性を以下の測定方法にて評価した。
[難燃性]:
射出成形により得た1.6mm厚みの難燃性評価用試験片について、UL94に定められている評価基準に従い、5本の試験片について難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。
[耐衝撃性]:
ASTM D256−56Aに従い耐衝撃性を評価した。
[耐熱性]:
ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。
[透明性]:
東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを使用して、23℃で厚み3mmの角板の全光線透過率値(%)とヘイズ値を測定した。全光線透過率値が高く、ヘイズ値が低いほど透明性に優れることを示す。
【0073】
各サンプルの難燃性、耐衝撃性、耐熱性、全光線透過率およびヘイズ値の測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 2004027061
実施例1〜3の測定結果から明らかなように、ゴム強化スチレン系樹脂に対して、燐系難燃剤<B−1>または<B−2>と共に、金属不活性化剤<C−1>または<C−2>を、特定量で添加することにより、難燃性が向上し、かつ耐衝撃性、耐熱性、透明性が良好な難燃性樹脂組成物が得られた。
【0075】
一方、比較例1のようにグラフト共重合体含量を含まず、ゴム強化されていないスチレン系樹脂の場合は、衝撃性、成形加工性の面でも著しく物性バランスが著しく損なわれた。また、比較例2のように、屈折率が特定範囲から外れるABS樹脂を用いた場合は、透明性が著しく損なわれた。
【0076】
比較例3のように、燐系難燃剤を添加しない場合には、難燃性を全く示さず、比較例4のように、過剰な燐系難燃剤を添加した場合は、組成物自体の脆性化が著しくなって良好な成形品を得ることができなかった。
【0077】
また比較例5のように金属不活性化剤を添加しない場合は、難燃性が発現されず、比較例6のように、過剰な金属不活性化剤を添加した場合は、燃焼時のドリップが促進され難燃性は向上するが、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性、耐熱性を悪化させるばかりか、透明性も低下した。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品は、ゴム強化スチレン系樹脂本来の優れた機械特性を損なうことなく、優れた難燃性、透明性を有するので、その優れた特性を活かして、電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用いることができる。

Claims (5)

  1. ゴム強化スチレン系樹脂(A)100重量部に対して、燐系難燃剤(B)1〜30重量部、及び金属不活性化剤(C)0.001〜5重量部が含有され、かつ23℃で測定した全光線透過率が60%以上であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記ゴム強化スチレン系樹脂(A)が、ゴム質重合体10〜80重量部の存在下に、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又はさらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物20〜90重量部を共重合せしめたグラフト共重合体(A−1)10〜100重量部と、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(a)、芳香族ビニル系単量体(b)、及びシアン化ビニル系単量体(c)からなる単量体混合物、又は、さらにこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)を含む単量体混合物を共重合せしめてなるビニル系共重合体(A−2)90重量部以下とからなることを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記金属不活性化剤(C)が、一般式(1)
    Figure 2004027061
    を有するフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記燐系難燃剤(B)が、下記一般式(2)で表される芳香族ホスフェートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2004027061
    (上記式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 、Ar4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Xは、
    Figure 2004027061
    のいずれかの基であり、ここで、R4 〜R11は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、Yは直接結合、O、S、SO2 、C(CH3 2 、CH2 、CHPhのいずれかを表し、Phはフェニル基を表す。また、nは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつ(k+m)は0以上2以下の整数である。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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