JP2009191139A - 難燃性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる難燃性樹脂組成物及び成形品を提供する。
【解決手段】本発明の難燃性樹脂組成物は、ジエン系ゴム質重合体(a1)28〜60質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)72〜40質量部を重合して得られたゴム強化アクリル系樹脂と、各単位の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル単位(b1)50〜90質量%、芳香族ビニル化合物単位(b2)10〜30質量%及び他のビニル系単量体単位(b3)0〜20質量%からなり、且つ、極限粘度が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より高いアクリル系樹脂と、特定の臭素化トリアジン化合物とを、20〜52質量%、40〜70質量%及び8〜20質量%含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる難燃性樹脂組成物及び成形品に関する。
従来、難燃性を付与したABS樹脂は、成形加工性、機械的性質などが優れていることより、電気・電子分野、OA機器分野等の筐体、保持部材、保護部材、支持部材、収納容器等の成形材料として広く使用されている。しかしながら、ABS樹脂は、燃えやすいという欠点を有しており、難燃性が要求される分野では、難燃剤、難燃助剤等が配合された組成物が使用されている。
一方、通常、不透明なABS樹脂を用いてなり、デザイン上の要求に応じて、透明性及び難燃性が達成された樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1には、ポリブタジエン及び/又はスチレン−ブタジエンコポリマーからなるゴム質重合体の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物40重量%以上を含む単量体成分をグラフト重合して得られるゴム強化重合体100重量部に対し、特定の構造を有する化合物を難燃剤として5〜20重量部と、エチレンオキサイド単位を35〜65重量%含む、ポリエーテルエステルアミド及びポリエーテルアミド、並びに/又は、芳香族ビニル−共役ジエン系ブロック共重合体の水素添加物の群から選ばれた少なくとも1種0〜5重量部とを含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
特開2000−256528号公報
本発明の目的は、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れた成形品を与える難燃性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、ゴム質重合体の含有割合の高いゴム強化アクリル系樹脂と、特定の組成並びに特定の極限粘度を有するアクリル系樹脂と、特定の臭素化トリアジン化合物とを溶融混練してなる組成物が、上記特許文献1に記載された技術のように、ゴム質重合体の含有量が所定割合となるように一括重合して得られたゴム強化アクリル系樹脂と、特定の臭素化トリアジン化合物とを溶融混練してなる組成物に比べて、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる難燃性樹脂組成物及び成形品を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
1.〔A〕ジエン系ゴム質重合体(a1)28〜60質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)72〜40質量部(但し、(a1)+(a2)=100質量部)を重合して得られたゴム強化アクリル系樹脂と、
〔B〕各単位の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル単位(b1)50〜90質量%、芳香族ビニル化合物単位(b2)10〜30質量%及び他のビニル系単量体単位(b3)0〜20質量%からなり、且つ、極限粘度が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より高いアクリル系樹脂と、
〔C〕下記一般式(I)で表される臭素化トリアジン化合物と、
Figure 2009191139
(式中、p、q及びrは、それぞれ、3〜5の整数を表す。)
を、それぞれ、20〜52質量%、40〜70質量%及び8〜20質量%の割合(但し、〔A〕+〔B〕+〔C〕=100質量%)で用いて溶融混練して得られ、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が、組成物全体に対して10〜20質量%であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
2.更に、エチレンオキサイド単位35〜65質量%を含むポリエーテルエステルアミド、エチレンオキサイド単位を35〜65質量%含むポリエーテルアミド、並びに、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含む共重合体の水素添加物の群から選ばれた少なくとも1種の耐衝撃性付与剤を含有し、該耐衝撃性付与剤の含有量が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕、上記アクリル系樹脂〔B〕及び上記臭素化トリアジン化合物〔C〕の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部である上記1に記載の難燃性樹脂組成物。
3.曇価が15%以下であり、且つ、全光線透過率が75%以上である上記1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
4.UL94規格に準ずる燃焼性がV−2である上記1乃至3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
5.上記1乃至4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなり、曇価が15%以下であり、且つ、全光線透過率が75%以上であることを特徴とする成形品。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れた成形品を形成することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物が、更に、〔D〕耐衝撃性付与剤を含有する場合には、難燃性及び透明性を低下させることなく、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れた成形品を形成することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
尚、本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
1.難燃性樹脂組成物
本発明の難燃性樹脂組成物は、〔A〕ジエン系ゴム質重合体(a1)28〜60質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)72〜40質量部(但し、(a1)+(a2)=100質量部)を重合して得られたゴム強化アクリル系樹脂(以下、「成分〔A〕」ともいう。)と、〔B〕各単位の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル単位(b1)50〜90質量%、芳香族ビニル化合物単位(b2)10〜30質量%及び他のビニル系単量体単位(b3)0〜20質量%からなり、且つ、極限粘度が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より高いアクリル系樹脂(以下、「成分〔B〕」ともいう。)と、〔C〕下記一般式(I)で表される臭素化トリアジン化合物(以下、「成分〔C〕」ともいう。)と、
Figure 2009191139
(式中、p、q及びrは、それぞれ、3〜5の整数を表す。)
を、それぞれ、20〜52質量%、40〜70質量%及び8〜20質量%の割合(但し、〔A〕+〔B〕+〔C〕=100質量%)で用いて溶融混練して得られ、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が、組成物全体に対して10〜20質量%であることを特徴とする。
1−1.ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕
この成分〔A〕は、ジエン系ゴム質重合体(a1)28〜60質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)72〜40質量部(但し、(a1)+(a2)=100質量部)を重合して得られた樹脂である。
上記ジエン系ゴム質重合体(a1)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよい。また、これらのゴム質重合体は、非架橋重合体であってよいし、架橋重合体であってもよい。
上記ジエン系ゴム質重合体(a1)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。尚、上記各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その体積平均粒子径は、好ましくは100〜800nmであり、より好ましくは150〜500nm、更に好ましくは150〜400nmである。体積平均粒子径が小さすぎると、本発明の難燃性樹脂組成物及びそれを含む成形品の耐衝撃性が劣る傾向にある。一方、大きすぎると、成形品の透明性が劣る傾向にある。尚、上記体積平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ジエン系ゴム質重合体(a1)が、乳化重合により得られた粒子状である場合、体積平均粒子径が上記範囲内にあるものであれば、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている方法等の公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
上記成分〔A〕は、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)を重合して得られたものである。このビニル系単量体(a2)におけるメタクリル酸メチル以外の単量体としては、他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等が挙げられる。これらの化合物は、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有してもよい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、N−フェニルマレイミドが好ましい。尚、成分〔A〕にマレイミド系化合物からなる単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ビニル系単量体(a2)に含まれるメタクリル酸メチルの含有量は50〜95質量%、好ましくは55〜85質量%である。メタクリル酸メチルの含有量が50質量%未満では、十分な透明性が得られず、一方、95質量%を超えると、透明性が劣り、他の単量体の含有量が少なくなることで、その使用効果が十分に得られない。
上記ビニル系単量体(a2)に含まれる他の単量体の含有量は5〜50質量%、好ましくは15〜45質量%である。他の単量体は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組合せとすることが好ましく、芳香族ビニル化合物を用いると、成形加工性が付与され、シアン化ビニル化合物を用いると、耐薬品性が付与される。これらの化合物を用いる場合、両者の割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜90質量%及び10〜50質量%であり、より好ましくは55〜85質量%及び15〜45質量%である。
上記成分〔A〕の形成に用いられる、上記のジエン系ゴム質重合体(a1)及びビニル系単量体(a2)の使用量は、両者の合計を100質量部とした場合に、それぞれ、28〜60質量部及び40〜72質量部であり、好ましくは35〜60質量部及び40〜65質量部、より好ましくは41〜60質量部及び40〜59質量部である。上記範囲であると、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて得られた成形品の難燃性、透明性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
上記成分〔A〕の重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が挙げられる。これらのうち、乳化重合が好ましい。
尚、上記成分〔A〕を製造する場合、ジエン系ゴム質重合体(a1)及びビニル系単量体(a2)は、反応系において、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の一部存在下、又は、非存在下に、上記ビニル系単量体(a2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記ゴム質重合体(a1)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
乳化重合により成分〔A〕を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.1〜2質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.05〜2質量%である。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(a2)全量に対し、通常、0.1〜5質量%である。
乳化重合は、ビニル系単量体(a2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、重合体成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、上記成分〔A〕が、2種以上のゴム強化アクリル系樹脂を含有した態様である場合には、各ラテックスから樹脂を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
溶液重合、塊状重合及び塊状−懸濁重合により、上記成分〔A〕を製造する場合、公知の方法を適用することができる。
上記のようにして得られた成分〔A〕のグラフト率は、通常、10〜200質量%、好ましくは15〜150質量%、より好ましくは20〜120質量%である。グラフト率が上記範囲にあると、成形加工性に優れ、本発明の難燃性樹脂組成物を含む成形品の表面外観及び耐衝撃性に優れる。
上記成分〔A〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、グラフト率とは、上記成分〔A〕1グラム中のジエン系ゴム質重合体(a1)をxグラム、該成分〔A〕1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、下記式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
また、上記成分〔A〕のアセトンに可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜0.6dl/g、より好ましくは0.2〜0.5dl/g、更に好ましくは0.2〜0.48dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性に優れ、得られる成形品の耐衝撃性にも優れる。
尚、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記成分〔A〕を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
上記成分〔A〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物に含有される上記成分〔A〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計を100質量%とした場合に、20〜52質量%であり、好ましくは25〜45質量%、より好ましくは25〜42質量%である。この成分〔A〕の含有量が上記範囲内であると、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
1−2.アクリル系樹脂〔B〕
この成分〔B〕は、各単位の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル単位(b1)50〜90質量%、芳香族ビニル化合物単位(b2)10〜30質量%及び他のビニル系単量体単位(b3)0〜20質量%からなる共重合体である。
上記成分〔B〕を構成する芳香族ビニル化合物単位(b2)を形成することとなる芳香族ビニル化合物としては、上記成分〔A〕の形成に用いることができる芳香族ビニル化合物の1種又は2種以上を用いることができる。これらのうち、スチレンが好ましい。
また、上記成分〔B〕を構成する他のビニル系単量体単位(b3)を形成することとなる化合物としては、1種又は2種以上であって、上記成分〔A〕の形成に用いることができる、他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等が挙げられる。これらのうち、シアン化ビニル化合物が好ましく、特に、アクリロニトリルが好ましい。尚、上記化合物は、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有してもよい。
上記成分〔B〕を構成する、メタクリル酸メチル単位(b1)、芳香族ビニル化合物単位(b2)及び他のビニル系単量体単位(b3)の含有割合は、各単位の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、50〜90質量%、10〜30質量%及び0〜20質量%であり、好ましくは55〜87質量%、12〜28質量%及び1〜18質量%、より好ましくは60〜85質量%、13〜27質量%及び1〜15質量%である。各単位の含有割合が上記範囲にあると、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れた成形品を形成することができる。
上記成分〔B〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記成分〔B〕は、上記成分〔A〕の製造に適用される重合開始剤等を用いて、メタクリル酸メチル及び芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合することにより製造することができる。尚、このビニル系単量体は、上記他のビニル系単量体(a2)を含んでもよい。重合方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。上記成分〔B〕の製造方法は、重合開始剤を用いる方法であってよいし、重合開始剤を用いない熱重合法であってもよく、また、この組合せを採用してもよい。
上記成分〔B〕の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.3〜1.0dl/g、より好ましくは0.35〜0.8dl/g、更に好ましくは0.4〜0.8dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性に優れ、得られる成形品の耐衝撃性にも優れる。尚、上記成分〔B〕の極限粘度[η]は、上記成分〔A〕の場合と同様、製造条件を調整することにより制御することができる。
本発明において、上記成分〔B〕の極限粘度は、上記成分〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より高く、その差は、好ましくは0.01dl/g以上、より好ましくは0.02dl/g以上、更に好ましくは0.05dl/g以上である。尚、上限は、通常、0.5dl/gである。このような極限粘度差を有することで、透明性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
本発明の難燃性樹脂組成物に含有される上記成分〔B〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計を100質量%とした場合に、40〜70質量%であり、好ましくは42〜66質量%、より好ましくは45〜65質量%である。この成分〔A〕の含有量が上記範囲内であると、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる。
1−3.臭素化トリアジン化合物〔C〕
この成分〔C〕は、下記一般式(I)で表される化合物であり、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2009191139
(式中、p、q及びrは、それぞれ、3〜5の整数を表す。)
上記一般式(I)で表される化合物である上記成分〔C〕は、以下に例示される。
Figure 2009191139
Figure 2009191139
本発明の難燃性樹脂組成物に含有される上記成分〔C〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計を100質量%とした場合に、8〜20質量%であり、好ましくは9〜18質量%、より好ましくは10〜15質量%である。この成分〔A〕の含有量が上記範囲内であると、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる。尚、上記成分〔C〕の含有量が多すぎると、耐衝撃性及び透明性が劣る場合がある。一方、上記成分〔C〕の含有量が少なすぎると、難燃性が劣る場合がある。
1−4.添加剤
本発明の難燃性樹脂組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。
上記添加剤としては、耐衝撃性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、耐候剤、充填剤、抗菌剤、防かび剤、着色剤等が挙げられる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、耐衝撃性付与剤(以下、「成分〔D〕」ともいう。)を含有したものとすることができる。
この成分〔D〕としては、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含む共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリエーテルエステルアミドは、ポリアミド単位と、アルキレンオキサイド単位とを含む重合体である。上記ポリアミド単位は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸、及び、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンの重縮合体、アミノカルボン酸重縮合体等より形成された重合体単位とすることができる。また、上記アルキレンオキサイド単位は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等より形成された単位とすることができる。
上記ポリエーテルエステルアミドの具体例としては、ポリアミド/テレフタル酸、イソフタル酸又はアジピン酸等の脂肪族(あるいは芳香族)ジカルボン酸/エチレングリコール等の脂肪族ジオール、の組み合わせ、ポリアミドエステルのエチレンオキサイドとの
組み合わせの、グラフト反応物やブロック反応物等が挙げられる。
本発明においては、耐衝撃性の改良効果が優れることから、エチレンオキサイド単位の含有量が、重合体の全体に対して35〜65質量%であるポリエーテルエステルアミドが特に好ましい。
また、上記ポリエーテルエステルアミドの屈折率は、好ましくは1.49〜1.53であり、より好ましくは1.51〜1.52である。
上記ポリエーテルアミドとしては、ラクタムや、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸塩等のジカルボン酸とジアミンの塩の混合物、エチレンオキサイドとのグラフト反応物やブロック反応物、そして、アミドジカルボン酸、及び、ポリエーテルアミンの重縮合体等が挙げられる。
本発明においては、耐衝撃性の改良効果が優れることから、エチレンオキサイド単位の含有量が、重合体の全体に対して35〜65質量%であるポリエーテルアミドが特に好ましい。
また、上記ポリエーテルアミドの屈折率は、好ましくは1.49〜1.53であり、より好ましくは1.51〜1.52である。
また、上記成分〔D〕としては、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含む共重合体の水素添加物を用いることができる。
水素添加前の共重合体を構成する芳香族ビニル化合物単位は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等から形成されたものとすることができ、共役ジエン化合物単位は、ブタジエン、イソプレン等から形成されたものとすることができる。水素添加前の共重合体の構成は、好ましくは、下記一般式(II)で表される。
[X][Y][Z] (II)
(式中、Xは、芳香族ビニル化合物単位、Yは、共役ジエン化合物単位、Zは、Sn、Si等のカップリング剤残基であり、i及びjは、それぞれ、1〜5の整数であり、kは0又は1である。)
上記水素添加物は、上記共重合体を水素添加してなるものであるが、その水素添加率は、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。水素添加率が上記範囲にある水素添加物を用いることにより、耐衝撃性の改良効果が優れる。
尚、上記水素添加物の屈折率は、好ましくは1.49〜1.53であり、より好ましくは1.50〜1.52である。
本発明の難燃性樹脂組成物に含有される上記成分〔D〕の含有量は、成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部であり、好ましくは0.2〜3質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。この成分〔D〕の含有量が上記範囲内であると、耐衝撃性の改良効果に優れる。尚、この成分〔D〕の含有量が多すぎると、難燃性及び透明性が劣る傾向にあり、少なすぎると、耐衝撃性の改良効果が十分ではない。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.05〜5質量部である。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類;ハイドロキノン類;ヒンダードフェノール類;リン系化合物;硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒンダードフェノール類としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルヒドロキシアニソール、3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
リン系化合物としては、ペンタエリスリトールジホスファイト、アルキルジアリールホスファイト等が挙げられる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.01〜5質量部である。
可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記耐候剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.01〜5質量部である。
充填剤としては、シリカ、タルク、酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、1〜30質量部である。
抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.01〜5質量部である。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料及び染料のいずれを用いてもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
上記着色剤の含有量は、上記の成分〔A〕及び〔B〕の合計を100質量部とした場合に、通常、0.1〜10質量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物において、上記成分〔A〕の形成に用いられたジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量は、組成物全体に対して、10〜20質量%であり、好ましくは11〜19質量%、より好ましくは12〜19質量%である。この含有量が上記範囲内であると、本発明の難燃性樹脂組成物を用いて得られた成形品の難燃性、透明性及び耐衝撃性の物性バランスに優れる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等を用いて、原料成分を混練することにより調製することができ、所定形状のペレット等とすることができる。混練温度は、通常、150℃〜250℃、好ましくは170℃〜220℃である。原料成分の使用方法は、特に限定されず、各成分を一括配合して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形等の成形方法に好適である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ASTM D1003に準じて測定される曇価が好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であり、透明性に優れる。
また、全光線透過率が好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、光の透過性に優れる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、UL94規格に準ずる燃焼性がV−2であり、難燃性に優れる。
また、ISO 179に準じて測定されるシャルピー衝撃強度が好ましくは5kJ/m以上、より好ましくは7kJ/m以上であり、耐衝撃性に優れる。
2.成形品
本発明の成形品は、上記本発明の難燃性樹脂組成物を成形して得られたものであり、曇価が15%以下、好ましくは10%以下であり、且つ、全光線透過率が75%以上、好ましくは80%以上であることを特徴とする。また、UL94規格に準ずる燃焼性がV−2であるものとすることができ、ISO 179に準じて測定されるシャルピー衝撃強度が5kJ/m以上であるものとすることができる。
本発明の成形品は、上記のように、難燃性、透明性及び耐衝撃性のバランスに優れる組成物を用いて得られたものであることから、OA・家電分野、電気・電子分野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野、携帯電話、PPC等の透明性を要求される各種パーツ、ハウジング、シャーシ、トレー、ボタン、スイッチ、表示枠等に好適である。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.原料成分
組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
1−1.成分〔A〕
(1)A−1
ポリブタジエンゴム45部の存在下、メタクリル酸メチル38.5部、スチレン12.7部及びアクリロニトリル3.8部からなる単量体55部を乳化重合し、重合転化率98%にて得られたゴム強化アクリル系樹脂である。このゴム強化アクリル系樹脂は、グラフト率が41%、ポリブタジエンゴムの含有量が45.9%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.31dl/gである。
(2)A−2
ポリブタジエンゴム45部の存在下、メタクリル酸メチル44部、スチレン6.7部及びアクリロニトリル4.3部からなる単量体55部を乳化重合し、重合転化率98%にて得られたゴム強化アクリル系樹脂である。このゴム強化アクリル系樹脂は、グラフト率が45%、ポリブタジエンゴムの含有量が45.9%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.35dl/gである。
(3)A−3
ポリブタジエンゴム45部の存在下、メタクリル酸メチル22部、スチレン25.3部及びアクリロニトリル7.7部からなる単量体55部を乳化重合し、重合転化率98%にて得られたゴム強化アクリル系樹脂である。このゴム強化アクリル系樹脂は、グラフト率が48%、ポリブタジエンゴムの含有量が45.9%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.35dl/gである。
(4)A−4
ポリブタジエンゴム17部の存在下、メタクリル酸メチル58.1部、スチレン19.1部及びアクリロニトリル5.8部からなる単量体83部を乳化重合し、重合転化率98%にて得られたゴム強化アクリル系樹脂である。このゴム強化アクリル系樹脂は、グラフト率が55%、ポリブタジエンゴムの含有量が17.3%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.45dl/gである。
1−2.成分〔B〕
(1)B−1
メタクリル酸メチル単位量72%、スチレン単位量21%及びアクリロニトリル単位量7%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.51dl/gである。
(2)B−2
メタクリル酸メチル単位量80%、スチレン単位量16%及びアクリロニトリル単位量4%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.45dl/gである。
(3)B−3
メタクリル酸メチル単位量40%、スチレン単位量46%及びアクリロニトリル単位量14%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.45dl/gである。
(4)B−4
メタクリル酸メチル単位量98%及びアクリル酸単位量2%の2元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.51dl/gである。
(5)B−5
メタクリル酸メチル単位量82%、スチレン単位量8%及びアクリロニトリル単位量10%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.51dl/gである。
(6)B−6
メタクリル酸メチル単位量60%、スチレン単位量35%及びアクリロニトリル単位量5%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.52dl/gである。
(7)B−7
メタクリル酸メチル単位量72%、スチレン単位量21%及びアクリロニトリル単位量7%の3元共重合体である。極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.30dl/gである。
1−3.成分〔C〕
(1)C−1
2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン(商品名「SR−245」、第一工業製薬社製)を用いた。
(2)C−2
トリブロモフェノールで末端封止されたテトラブロモビスフェノールAのオリゴマー(臭素含有量56%、分子量約2000)を用いた。
1−4.成分〔D〕
ナイロン6及びポリエチレンオキサイドを、テレフタル酸でエステル化して得られた、エチレンオキサイド単位量が50%であるポリエーテルエステルアミドを用いた。
2.難燃性樹脂組成物の製造及びその評価
実施例1〜8及び比較例1〜12
上記の成分〔A〕〜〔D〕を、表1及び表2に記載の割合で、ヘンシェルミキサーに供給し、室温で3分間混合した後、ナカタニ機械社製50mm径押出機「NVC50」(型式名)を用いて溶融混練(シリンダー温度230℃)した。その後、これをペレット(難燃性樹脂組成物)とした。
得られた難燃性樹脂組成物について、下記条件で評価項目に応じた形状及び大きさの試験片を作製し、以下に示す評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
<成形条件>
・成形装置 : JSW社製射出成形機「J−100E」(型式名)
・成形温度 : NH(200℃),H1(200℃),H2(200℃),H3(200℃)
・スクリュー回転数: 80rpm
・射出速度 : 50%
・射出圧力 : 30%
・保圧 : 15%
・冷却時間 : 25秒
・金型温度 : 50℃
(1)難燃性
UL94規格の燃焼試験に準じて、長さ5×幅1/2×厚さ1/16インチの試験片を用いて評価した。この試験において、V−2を達成できなかった場合は、表1及び表2において、「NG」と表記した。
(2)曇価
ASTM D1003に準じて、厚さ2.4mmの試験片を用いて測定した。
(3)全光線透過率
ASTM D1003に準じて、厚さ2.4mmの試験片を用いて測定した。
(4)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に準じて測定した。
(5)メルトマスフローレート(MFR)
ISO 1133に準じて、温度220℃及び荷重97Nの条件で測定した。
Figure 2009191139
Figure 2009191139
表1及び表2から、以下のことが明らかである。
比較例1は、成分〔B〕として、メタクリル酸メチル単位量が40%と少ない成分B−3を用いた例であり、曇価が高く且つ全光線透過率が低く、透明性が劣っていた。比較例2は、成分〔B〕として、メタクリル酸メチル単位量が98%と高いB−4を用いた例であり、難燃性及び耐衝撃性が劣っていた。比較例3は、成分〔A〕の形成に用いたビニル系単量体に含まれるメタクリル酸メチルの使用量が40%と、本発明の範囲外で少ない例であり、曇価が高く且つ全光線透過率が低く、透明性が劣っていた。比較例4は、組成物全体に対する、ジエン系ゴム質重合体の含有量が、本発明の範囲に入るものの、成分〔A〕であるA−4の形成に際して用いたポリブタジエンゴムの使用量が17部と少ない例(特開2000−256528の発明に相当)であり、組成物全体に対するポリブタジエンゴムの含有量が本発明の範囲内であっても、耐衝撃性に劣っていた。そして、難燃性、透明性及び耐衝撃性の物性バランスが劣る。比較例5は、成分〔C〕の使用量が、本発明の範囲外で少ない例であり、難燃性が劣っていた。比較例6は、成分〔C〕の使用量が、本発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性が劣っていた。比較例7は、ジエン系ゴム質重合体の含有量が、本発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性に劣っていた。比較例8は、ジエン系ゴム質重合体の含有量が、本発明の範囲外で多い例であり、成形加工性及び難燃性が劣っていた。比較例9は、本発明の範囲外の難燃剤を用いた例であり、曇価が高く且つ全光線透過率が低く、透明性が劣っていた。比較例10は、成分〔B〕として、スチレン単位量が8%と低いB−5を用いた例であり、難燃性及び耐衝撃性が劣っていた。比較例11は、成分〔B〕として、スチレン単位量が35%と高いB−6を用いた例であり、曇価が高く且つ全光線透過率が低く、透明性が劣っていた。また、比較例12は、成分〔B〕の極限粘度が、成分〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より低い、成分〔A〕及び〔B〕を組み合わせた例であり、耐衝撃性が劣り、透明性及び耐衝撃性の物性バランスが劣る。
一方、実施例1〜8は、いずれも、本発明の難燃性樹脂組成物の例であり、本発明の目的とする性能が得られた。
本発明の難燃性樹脂組成物は、OA・家電分野、電気・電子分野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、自動車分野、携帯電話、PPC等の透明性を要求される各種パーツ、ハウジング、シャーシ、トレー、ボタン、スイッチ、表示枠等の成形品を成形する材料として好適である。

Claims (5)

  1. 〔A〕ジエン系ゴム質重合体(a1)28〜60質量部の存在下に、メタクリル酸メチル50〜95質量%を含むビニル系単量体(a2)72〜40質量部(但し、(a1)+(a2)=100質量部)を重合して得られたゴム強化アクリル系樹脂と、
    〔B〕各単位の合計を100質量%とした場合に、メタクリル酸メチル単位(b1)50〜90質量%、芳香族ビニル化合物単位(b2)10〜30質量%及び他のビニル系単量体単位(b3)0〜20質量%からなり、且つ、極限粘度が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕におけるアセトンに可溶な成分の極限粘度より高いアクリル系樹脂と、
    〔C〕下記一般式(I)で表される臭素化トリアジン化合物と、
    Figure 2009191139
    (式中、p、q及びrは、それぞれ、3〜5の整数を表す。)
    を、それぞれ、20〜52質量%、40〜70質量%及び8〜20質量%の割合(但し、〔A〕+〔B〕+〔C〕=100質量%)で用いて溶融混練して得られ、上記ジエン系ゴム質重合体(a1)の含有量が、組成物全体に対して10〜20質量%であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 更に、エチレンオキサイド単位35〜65質量%を含むポリエーテルエステルアミド、エチレンオキサイド単位を35〜65質量%含むポリエーテルアミド、並びに、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含む共重合体の水素添加物の群から選ばれた少なくとも1種の耐衝撃性付与剤を含有し、該耐衝撃性付与剤の含有量が、上記ゴム強化アクリル系樹脂〔A〕、上記アクリル系樹脂〔B〕及び上記臭素化トリアジン化合物〔C〕の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 曇価が15%以下であり、且つ、全光線透過率が75%以上である請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. UL94規格に準ずる燃焼性がV−2である請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなり、曇価が15%以下であり、且つ、全光線透過率が75%以上であることを特徴とする成形品。
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