JP5784407B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
特許文献2には、分子中に重合体ブロックA、B及びC(Aはビニル芳香族化合物が90重量%以上の重合体ブロック、Bは1,2−ビニル結合含量が25〜70%のブタジエンとビニル芳香族化合物の共重合体ブロック、Cは1,2−ビニル結合含量が25%未満のポリブタジエン重合体ブロック)をそれぞれ1個以上有するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体中の重合体ブロックAの含量が1〜40重量%、重合体ブロックBの含量が30〜80重量%、重合体ブロックCの含量が10〜50重量%であるブロック共重合体、又は該ブロック共重合体単位がカップリング剤残基を介して上記重合体ブロックA、B及びCのうち少なくとも1つの重合体ブロックと結合したブロック共重合体であり、該ブロック共重合体中のオレフィン性不飽和結合の80%以上を水素添加してなる、数平均分子量が4万〜70万の水素化ブロック共重合体(A)の存在下に、ビニル芳香族化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステルからなる単量体30〜100重量%と、シアン化ビニル化合物70〜0重量%と、共重合可能な他の単量体0〜70重量%とをグラフト共重合してなるゴム変性熱可塑性樹脂が、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂等と併用可能であることが記載されている。
また、特許文献3には、分子中に、ビニル芳香族化合物及び/又は1,3−シクロヘキサジエンを主体とする重合体ブロックA、1,2−ビニル結合量が25〜80%の共役ジエン重合体ブロック又はビニル芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体ブロックである重合体ブロックB、並びに、1,2−ビニル結合量が25%未満のポリブタジエン重合体ブロックCを、それぞれ1個以上有するブロック共重合体であって、該ブロック共重合体中の重合体ブロックAの含量が1〜9重量%、重合体ブロックBの含量が61〜94重量%及び重合体ブロックCの含量が5〜30重量%、該ブロック共重合体のオレフィン性不飽和二重結合の少なくとも70%以上を水素化してなるポリスチレン換算の数平均分子量3万〜50万の水素化ブロック共重合体が、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等と併用可能であることが記載されている。
本発明は、耐衝撃性及び耐面衝撃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
1.〔A〕ゴム質重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、ゴム質重合体強化グラフト樹脂、〔B〕芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(by)を含み、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位(bx)を、0質量%以上r1質量%以下で含む重合体(B−1)と、上記構造単位(by)を含み、上記構造単位(bx)を、r1質量%を超えてr2質量%以下で含む重合体(B−2)と、上記構造単位(by)を含み、上記構造単位(bx)を、r2質量%を超えて60質量%以下で含む重合体(B−3)とからなり、且つ、(r2−r1)≧5(質量%)である重合体、並びに、〔C〕芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロックと、共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロックとを備えるブロック共重合体(C−1)、及び、該ブロック共重合体(C−1)を水素添加反応に供して得られた水添重合体(C−2)、から選ばれた少なくとも1種、を含有し、上記成分〔B〕において、r 1 は12〜18質量%であり、r 2 は18〜25質量%であり、上記成分〔B〕を構成する、上記重合体(B−1)、上記重合体(B−2)及び上記重合体(B−3)の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、30〜65質量%、8〜30質量%及び25〜50質量%であり、上記成分〔A〕、上記成分〔B〕及び上記成分〔C〕の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、3〜70質量%、10〜90質量%及び0.5〜50質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.r 1 が15質量%であり、r2が20質量%である上記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.上記成分〔B〕が、上記シアン化ビニル化合物及び上記芳香族ビニル化合物を、質量比で、0〜10:100〜90から15〜60:85〜40へ、又は、15〜60:85〜40から0〜10:100〜90へと、仕込み量を変化させつつ、重合して得られた共重合体を含む上記1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.上記成分〔B〕に含まれる上記構造単位(bx)の含有割合は、上記成分〔B〕を構成する構造単位の合計を100質量%とした場合に、5〜40質量%である上記1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.上記成分〔A〕、上記成分〔B〕及び上記成分〔C〕の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜40質量%、40〜75質量%及び2〜30質量%である上記1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
6.上記成分〔A〕に含まれる、上記シアン化ビニル化合物に由来する構造単位(gx)及び上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(gy)の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜40質量%及び60〜95質量%である上記1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
7.上記1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂を含む成形品からのリサイクル樹脂に、所定の樹脂を配合して調製された組成物とすることができる。即ち、リサイクル樹脂を除く原料成分を用いた、低コストの組成物とすることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
尚、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂は、通常、ゴム質重合体強化グラフト樹脂のほかに、ゴム質重合体にグラフトしていない共重合体(以下、「未グラフト重合体」という。)を含む。この未グラフト重合体の構成は、使用した重合性不飽和単量体の種類に依存し、通常、未グラフト重合体は、本発明の組成物において、成分〔B〕に含まれる。
エステル部が炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
また、エステル部がヒドロキシアルキル基を含む化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルにε−カプロラクトンを付加して得られた化合物等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられる。これらの化合物は、単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
(1)ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られたグラフト樹脂
(2)ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られたグラフト樹脂
(3)ジエン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物からなる重合性不飽和単量体を重合して得られたグラフト樹脂
また、レドックス型重合開始剤としては、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、アスコルビン酸、硫酸第一鉄等を還元剤とし、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等を酸化剤としたものを用いることができる。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に供給することができる。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に供給することができる。
グラフト率(%)={(S−T)/T}×100
式中、Sは、グラフト重合により得られたゴム強化樹脂1グラムを、アセトン(ゴム質重合体がアクリル系ゴムの場合、アセトニトリルを使用)20mlに投入し、振とう機を用いて、振とう(温度25℃、2時間)した後、遠心分離機を用いて、遠心分離(温度5℃、回転数23,000rpm、1時間)し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは、ゴム強化樹脂1グラムに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。このゴム質重合体の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
上記成分〔A〕におけるグラフト率を求める際に、遠心分離後に回収されたアセトン可溶分(又はアセトニトリル可溶分)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点調製し、ウベローデ粘度管を用いて、30℃で各濃度の還元粘度を測定することにより、極限粘度[η]が求められる。
上記構造単位(gx)及び(gy)の含有量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル等により求める方法、更には、グラフト樹脂をオゾン分解した後、CHN元素分析、液体クロマトグラフ分析等に供する方法等により得ることができる。
また、上記重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、30〜65質量%、8〜30質量%及び25〜50質量%である。
上記成分〔B〕に含まれる構造単位(bx)の含有量は、上記成分〔B〕を構成する構造単位の合計を100質量%とすると、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは7〜32質量%、更に好ましくは10〜25質量%である。上記構造単位(bx)の含有量が5〜40質量%であると、組成物の成形加工性(流動性)に優れた成形品を得ることができる。
上記成分〔B〕に含まれる構造単位(by)の含有量は、上記成分〔B〕を構成する構造単位の合計を100質量%とすると、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは68〜93質量%、更に好ましくは75〜90質量%である。上記構造単位(by)の含有量が60〜95質量%であると、組成物の成形加工性(流動性)に優れた成形品を得ることができる。
上記成分〔B〕が、構造単位(bz)を含む場合、その含有量の上限は、上記成分〔B〕を構成する構造単位の合計、即ち、構造単位(bx)、(by)及び(bz)の合計を100質量%とすると、好ましくは30質量%、より好ましくは15質量%である。
尚、この構造単位(bz)は、重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)のすべてに含まれてよいし、一部に含まれてもよい。
上記成分〔B〕が、上記構成を有する重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)からなることにより、成分〔A〕及び成分〔C〕のあいだの相溶性の向上効果が高く、耐衝撃性及び耐面衝撃性に優れた成形品を効率よく製造することができる。特に、構造単位(bx)の含有割合が、上記のように、5〜40質量%の範囲にある共重合体の集合体からなる成分〔B〕を用いると、上記効果が顕著である。
(1)構造単位(by)からなる(共)重合体(B−1−1)
(2)構造単位(bx)及び(by)からなる共重合体(B−1−2)
(3)構造単位(bx)、(by)及び(bz)からなる共重合体(B−1−3)
(4)構造単位(by)及び(bz)からなる共重合体(B−1−4)
これらの態様の重合体を組み合わせて重合体(B−1)として用いることができる。また、例えば、重合体(B−1−2)又は重合体(B−1−3)が、それぞれ、2種類の重合体からなる場合であって、0<r11<r12≦r1とした場合、構造単位(bx)をr11質量%含む重合体と、構造単位(bx)をr12質量%含む重合体とを併用させてなる、重合体(B−1)を用いることができる。
また、上記重合体(B−1)は、構造単位(bx)を含まない重合体、即ち、(共)重合体(B−1−1)又は共重合体(B−1−4)からなるものであってもよいが、これらの重合体を含む場合は、構造単位(bx)及び(by)を含む共重合体、即ち、上記の共重合体(B−1−2)及び共重合体(B−1−3)の少なくとも一方を含むことが好ましい。このとき、構造単位(bx)及び(by)を含む共重合体の含有割合は、上記重合体(B−1)に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50〜95質量%、更に好ましくは55〜90質量%である。
r1は、12〜18質量%である。重合体(B−1)に相当する重合体を2種以上含む場合、「重合体(B−1)に含まれる構造単位(bx)の含有量」として示す値は、各重合体に含まれる構造単位(bx)の含有量から算出された平均値である。
r2は、18〜25質量%である。重合体(B−2)に相当する重合体を2種以上含む場合、「重合体(B−2)に含まれる構造単位(bx)の含有量」として示す値は、各重合体に含まれる構造単位(bx)の含有量から算出された平均値である。
本発明において、r2が18〜25質量%であると、本発明の組成物において、特に、成分〔A〕及び成分〔C〕のあいだの相溶性が向上するため、得られる成形品において、耐衝撃性及び耐面衝撃性に優れる。
また、本発明において、耐衝撃性、耐面衝撃性及び成形外観性のバランスの効果が顕著となるr1及びr2の関係は、(r2−r1)≧5(質量%)であり、好ましくは(r2−r1)≧6(質量%)、より好ましくは(r2−r1)≧7(質量%)である。但し、通常、(r2−r1)≦40(質量%)、好ましくは(r2−r1)≦33(質量%)、更に好ましくは(r2−r1)≦25(質量%)である。(r2−r1)<5(質量%)では、本発明の効果が十分に得られない。
重合体(B−3)に相当する重合体を2種以上含む場合、「重合体(B−3)に含まれる構造単位(bx)の含有量」として示す値は、各重合体に含まれる構造単位(bx)の含有量から算出された平均値である。
また、組成物の流動性、並びに、得られる成形品の耐衝撃性、耐面衝撃性及び成形外観性のバランス、の効果が顕著となるのは、r1が12〜18質量%であり、r2が18〜25質量%であり、上記重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)の含有割合が、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、更に好ましくは32〜65質量%、9〜25質量%及び25〜45質量%、特に好ましくは40〜65質量%、9〜20質量%及び25〜40質量%である。
上記重合体(B−1)は、構造単位(bx)及び(by)からなる共重合体を含むことが好ましく、この共重合体は、構造単位(by)からなる(共)重合体、構造単位(by)及び(bz)からなる共重合体、並びに、構造単位(bx)、(by)及び(bz)からなる共重合体、より選ばれた重合体と併用してもよい。構造単位(bz)を形成する単量体としては、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系化合物、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
上記重合体(B−2)は、構造単位(bx)及び(by)からなる共重合体を含むことが好ましく、この共重合体は、構造単位(bx)、(by)及び(bz)からなる共重合体と併用してもよい。構造単位(bz)を形成する単量体としては、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系化合物、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
また、上記重合体(B−3)は、構造単位(bx)及び(by)からなる共重合体を含むことが好ましく、この共重合体は、構造単位(bx)、(by)及び(bz)からなる共重合体と併用してもよい。構造単位(bz)を形成する単量体としては、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系化合物、メタクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
また、上記のように、成分〔A〕であるグラフト樹脂を製造した際に生成する未グラフト重合体を、成分〔B〕の一部として用いることができる。この場合、例えば、グラフト樹脂の製造に用いる重合性不飽和単量体の構成を、重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)に含まれる各構造単位の含有割合に含まれるように選択し、3種のグラフト樹脂を製造するとともに、成分〔B〕を構成するすべての重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)に相当する3種の未グラフト重合体を生成させる方法が挙げられる。
図1は、シアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の仕込み量を、質量比で0〜10:100〜90から15〜60:85〜40へと変化させつつ重合して得られた共重合体(成分〔B〕)の分布の一例を示すグラフである。このように、パワーフィード法では、単量体の仕込み量(供給量、供給速度)を、反応の途中において変化させる等により、例えば、重合体(B−1)の生成量を多くしたり、重合体(B−3)の生成量を多くしたり、多態様の分布を有する、成分〔B〕用の共重合体を製造することができる。
上記のブロック共重合体(C−1)又は水添重合体(C−2)に含まれる、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、耐衝撃性及び低温特性の観点から、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜65質量%、特に好ましくは20〜60質量%である。
上記ブロック共重合体(C−1)を構成する重合体ブロック(cp1)は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位のみからなる重合体ブロックであってよいし、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位と、共役ジエン化合物等の他の重合性不飽和単量体に由来する構造単位とからなる重合体ブロックであってもよい。この重合体ブロック(cp1)に含まれる、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。
また、上記ブロック共重合体(C−1)を構成する重合体ブロック(cp2)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位のみからなる重合体ブロックであってよいし、共役ジエン化合物に由来する構造単位と、芳香族ビニル化合物等の他の重合性不飽和単量体に由来する構造単位とからなる重合体ブロックであってもよい。この重合体ブロック(cp2)に含まれる、共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、好ましくは85〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。
尚、「R」は、重合体ブロック(cp1)を、「S」は、重合体ブロック(cp2)を、それぞれ、示し、mは1以上の整数である。また、1分子に、複数の重合体ブロックR又はSが含まれる場合、すべてのRが同一であってよいし、一部のRが同一であってよいし、すべてのRが異なってもよい。Sについても同様である。
水素添加反応による水素添加率は、得られる成形品の熱安定性及び耐久性の観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
他の重合体としては、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。他の重合体は、単独で含まれていてよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。
本発明の組成物が、他の重合体(他の樹脂)を含有する場合、その含有量は、上記成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計100質量部に対して、好ましくは2〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
また、反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
例えば、上記成分〔A〕が、ジエン系ゴムを用いてなるゴム質重合体強化グラフト樹脂を含有する場合には、成形時のシリンダー温度は、通常、160℃〜250℃である。また、金型温度は、通常、170℃〜220℃である。
尚、上記のいずれの場合にも、成形品が大型である場合には、一般に、シリンダー温度は、上記温度より高めに設定される。
熱可塑性樹脂組成物の製造に用いた原料(樹脂成分及び重合体成分)は、以下の通りである。尚、グラフト率、極限粘度[η]等の測定は、上記記載の方法に準じて行った。
1−1.原料〔P〕
この原料〔P〕は、下記の合成例1により得られたゴム強化樹脂であり、ゴム質重合体強化グラフト樹脂である成分〔A〕と、未グラフトの(共)重合体(成分〔B〕の一部を含む場合がある。)とからなる樹脂である。
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水61部、ロジン酸カリウム0.20部、tert−ドデシルメルカプタン0.18部、体積平均粒子径300nmのポリブタジエンゴム(ゲル含有率80%)55.5部を含むラテックス97部、体積平均粒子径600nmのスチレン・ブタジエン共重合体ゴム(スチレン単位量30%)4.5部を含むラテックス6.5部、スチレン7部及びアクリロニトリル3部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が43℃に達したところで、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.04部及びブドウ糖0.25部を、イオン交換水8部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.055部を加えて重合を開始した。
50分間重合させた後、ピロリン酸ナトリウム0.07部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.08部を、イオン交換水8部に溶解した溶液、スチレン22部、アクリロニトリル8部、tert−ドデシルメルカプタン0.54部及びクメンハイドロパーオキサイド0.22部を、110分間かけて連続的に添加した。その後、更に、クメンハイドロパーオキサイド0.09部を添加した後、1時間重合を継続し、重合を完結させた。
次いで、反応生成物を含むラテックスに、硫酸水溶液を添加して、樹脂成分を凝固し、水洗した。その後、水酸化カリウム水溶液を用いて、洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化樹脂(P1)を得た。この樹脂(P1)に含まれるグラフト樹脂(成分〔A〕)におけるグラフト率は34%、グラフト部における、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位(gx)及び芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(gy)の割合が、両者の合計を100%とした場合に、30%及び70%であり、未グラフトの(共)重合体(以下、「アセトン可溶分」という。)の含有率は20%であり、このアセトン可溶分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.25dl/gであった。
この原料〔Q〕は、下記の合成例2〜5により得られた、又は、市販品である、アクリロニトリル・スチレン共重合体あるいはその複数種の混合物である。
本合成例では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン48.5部及びアクリロニトリル1.5部からなる第1単量体(合成開始時には、第1供給源に収容)と、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン37.5部及びアクリロニトリル12.5部の混合物からなる第2単量体(合成開始時には、第2供給源に収容)と、を用いて、以下の要領で重合を行い、原料Q1を得た。
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水184部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部及び炭酸水素ナトリウム0.5部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達したところで、エチレンジアミン四酢酸・四ナトリウム・二水塩0.06部、硫酸第一鉄7水和物0.002部及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.12部を、イオン交換水16部に溶解した溶液を添加した。その後、更に昇温し、内温が50℃に達したところで、第1供給源から反応系に対して、1時間あたり33.3部の速度で、第1単量体の連続的な供給を開始し、重合を行った。そして、この第1単量体の供給と同時に、第2単量体を、第2供給源から第1供給源に、1時間あたり16.7部の速度で連続的に供給した。その結果、経時とともに、第1供給源における単量体の組成が変化し、この第1供給源から反応系に供給される単量体の組成も、逐次的に変化するようにした。すべての単量体の供給に要した時間は、約3時間である。
上記単量体の供給終了と同時に、重合を完結させ、組成の異なる複数のスチレン・アクリロニトリル共重合体を主とした重合体混合物を含むラテックスを得た。
次いで、上記ラテックスに、硫酸マグネシウム溶液を添加して、重合体を凝固し、水洗した。その後、乾燥し、重合体混合物を回収した。この重合体混合物を、原料Q1として用いた。尚、この原料Q1の全体に対するアクリロニトリル単位量は、18.6%である。
この原料Q1の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.40dl/gであった。
リボン翼を備えたジャケット付き重合用反応器を、2基連結した合成装置を用いた。各反応器内に、窒素ガスをパージした後、1基目の反応器に、スチレン75部、アクリロニトリル25部及びトルエン40部からなる混合物と、分子量調節剤であるtert−ドデシルメルカプタン0.14部をトルエン5部に溶解した溶液と、重合開始剤である1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.07部をトルエン5部に溶解した溶液とを連続的に供給し、110℃で重合を行った。供給した単量体等の平均滞留時間は2時間であり、2時間後の重合転化率は56%であった。
次いで、得られた重合体溶液を、1基目の反応器の外部に設けられたポンプにより、連続的に取り出して、2基目の反応器に供給した。連続的に取り出す量は、1基目の反応器に供給する量と同じである。尚、2基目の反応器においては、130℃で2時間重合を行い、2時間後の重合転化率は74%であった。
その後、2基目の反応器から、重合体溶液を回収し、これを、2軸3段ベント付き押出機に導入した。そして、直接、未反応単量体及びトルエン(重合用溶媒)を脱揮し、スチレン・アクリロニトリル共重合体を回収した。このスチレン・アクリロニトリル共重合体を、原料Q2として用いた。尚、この原料Q2の全体に対するアクリロニトリル単位量は、27.3%である。
この原料Q2の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.51dl/gであった。
本合成例では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.2部、tert−ドデシルメルカプタン0.23部、スチレン82部及びアクリロニトリル18部の混合物からなる第1単量体(合成開始時には、第1供給源に収容)を用いて、以下の要領で重合を行い、原料Q3を得た。
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水184部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部及び炭酸水素ナトリウム0.5部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達したところで、エチレンジアミン四酢酸・四ナトリウム・二水塩0.06部、硫酸第一鉄7水和物0.002部及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.12部を、イオン交換水16部に溶解した溶液を添加した。その後、更に昇温し、内温が50℃に達したところで、第1供給源から反応系に対して、1時間あたり33.3部の速度で、第1単量体の連続的な供給を開始し、重合を行った。すべての単量体の供給に要した時間は、約3時間である。
上記単量体の供給終了と同時に、重合を完結させ、組成の異なる複数のスチレン・アクリロニトリル共重合体を主とした重合体混合物を含むラテックスを得た。
次いで、上記ラテックスに、硫酸マグネシウム溶液を添加して、重合体を凝固し、水洗した。その後、乾燥し、重合体混合物を回収した。この重合体混合物を、原料Q3として用いた。尚、この原料Q3の全体に対するアクリロニトリル単位量は、18.0%である。
この原料Q3の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.59dl/gであった。
本合成例では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.2部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン92部及びアクリロニトリル8部の混合物からなる第1単量体(合成開始時には、第1供給源に収容)を用いて、以下の要領で重合を行い、原料Q4を得た。
攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水184部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部及び炭酸水素ナトリウム0.5部を収容し、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達したところで、エチレンジアミン四酢酸・四ナトリウム・二水塩0.06部、硫酸第一鉄7水和物0.002部及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.12部を、イオン交換水16部に溶解した溶液を添加した。その後、更に昇温し、内温が50℃に達したところで、第1供給源から反応系に対して、1時間あたり33.3部の速度で、第1単量体の連続的な供給を開始し、重合を行った。すべての単量体の供給に要した時間は、約3時間である。
上記単量体の供給終了と同時に、重合を完結させ、組成の異なる複数のスチレン・アクリロニトリル共重合体を主とした重合体混合物を含むラテックスを得た。
次いで、上記ラテックスに、硫酸マグネシウム溶液を添加して、重合体を凝固し、水洗した。その後、乾燥し、重合体混合物を回収した。この重合体混合物を、原料Q4として用いた。尚、この原料Q4の全体に対するアクリロニトリル単位量は、8.0%である。
この原料Q4の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、0.53dl/gであった。
下記の市販品を用いた。
原料R1として、JSR社製SEBC「DYNARON 4600C」(商品名)を用いた。スチレン含量は20%、メルトフローレート(温度230℃、荷重21.2N)は5.5g/10分である。
原料R2として、旭化成ケミカルズ社製SEBS「タフテック H1041」(商品名)を用いた。スチレン含量は32%、メルトフローレート(温度230℃、荷重2.16kg)は5.0g/10分である。
また、原料R3として、JSR社製スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー「TR2000」(商品名)を用いた。スチレン含量は40%、メルトフローレート(温度200℃、荷重5kg)は13g/10分である。
実施例1〜15及び比較例1〜9
原料〔P〕、〔Q〕及び〔R〕を、表1〜表7に記載の割合で用いて熱可塑性樹脂組成物を得た。尚、組成物の評価に際しては、予め、評価項目に応じた添加剤(酸化防止剤)を含む物性評価用組成物を調製し、これを利用した。
また、原料〔P〕は、その合成方法によって、本発明に係る成分〔A〕と、成分〔B〕とからなる混合物である場合がある。そこで、原料〔P〕におけるグラフト率、アセトン可溶分の組成等を用いて、本発明の成分〔A〕、〔B〕及び〔C〕の合計量に対する、成分〔B〕に相当する重合体の含有割合を算出し、その値を各表に示した。そして、この成分〔B〕は、重合体(B−1)、重合体(B−2)及び重合体(B−3)により構成されることから、r1=15及びr2=20を選択し、これらの合計を100%とした場合の各割合を下記の方法により分析した。また、成分〔B〕に含まれる構造単位(bx)の含有量、について各表に示した。
熱可塑性樹脂組成物に含まれるグラフト樹脂を除く成分(未グラフト重合体の混合物)10mgを、アセトニトリル・1,2−ジクロロエタン混合液(体積比6:4)10mlに投入し、振とう機により、25℃で2〜3時間、振とうを行った。その後、不溶分(夾雑物)を除去し、可溶分を液体クロマトグラフィーに供した。東ソー社製スーパーシステムコントローラ「SC8020」(型式名)、東ソー社製オンラインデガッサ「SD8022」(型式名)、東ソー社製マルチポンプ「CCPMII」(型式名)、東ソー社製UV検出器「UV−8020」(型式名)、東ソー社製カラム「TSK Silica−60」(型式名)、及び、東ソー社製カラムオーブン「CO−8020」(型式名)を備える液体クロマトグラフ装置を用い、n−ヘプタン・1,2−ジクロロエタン混合液(体積比7:3)からアセトニトリル・1,2−ジクロロエタン混合液(体積比6:4)へ勾配をかけた移動相により、試料を展開し、UV検出器で波長260nmの吸収値から、成分〔B〕に相当する重合体(B−1)、(B−2)及び(B−3)の組成の分布を測定した。カラム温度は35℃である。尚、試料中の重合体組成及び分布の決定は、予め、種類及び含有量が既知の構造単位を含む、スチレン・アクリロニトリル共重合体を用いて検量線を作製しておき、それを利用した。
原料〔P〕、〔Q〕及び〔R〕の所定量を、ヘンシェルミキサーに供給した後、これらの合計100部に対して、酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名「アデカスタブ2112」、ADEKA社製)0.2部と、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名「アデカスタブAO−60」、ADEKA社製)0.2部を添加し、25℃で混合した。次いで、この混合物を、プラスチック工学研究所社製2軸押出機「BT40」(型式名)に供給して溶融混練し、ペレット(物性評価用組成物)を得た。尚、溶融混練の際のシリンダー設定温度は、180℃〜220℃とした。
その後、上記ペレットを十分に乾燥した後、シリンダーの設定温度を180℃〜220℃、金型温度50℃とした東芝機械社製射出成形機「EC60」(型式名)を用いて、評価項目に適した試験片を作製し、評価に供した。
(1)耐面衝撃性
大きさが80mm×55mm×2.4mmの試験片を、島津製作所社製高速衝撃試験機「HITS−P10」(型式名)にセットし、落錘試験(重錘のポンチ先端直径:12.7mm、受け台穴径:43mm、試験速度:6.7m/秒、試験温度:23℃)に供した。試験を4回行い、破壊エネルギーの平均値を算出した。単位は「J」である。
(2)耐衝撃性
ISO 179に準じて、シャルピー衝撃強さを、温度23℃で測定した。単位は「kJ/m2」である。
JIS K 6251に準じて、引張強度及び伸びを測定した。単位は、それぞれ、「MPa」及び「%」である。
(4)曲げ特性
ISO 178に準じて、曲げ強度及び曲げモジュラスを測定した。単位は、それぞれ、「MPa」及び「MPa」である。
(5)ロックウェル硬さ
ISO 2039に準じて測定した。
(6)熱変形温度
ASTM D 648に準じて、測定した。
(7)流動性
上記ペレットを用いて、ISO 1133に準じて、メルトフローレートを、温度220℃、荷重98Nで測定した。単位は「g/10分」である。
一方、表1〜表4から、本発明の組成物である実施例1〜15においては、耐衝撃性及び耐面衝撃性に優れていることが明らかである。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ABS樹脂を含む成形品からのリサイクル樹脂に、所定の樹脂を配合して調製された組成物とすることができる。即ち、リサイクル樹脂を除く原料成分を用いた、低コストの組成物とすることができ、しかも、得られる成形品が優れた性能を有するので、産業の利用価値が極めて高い。
Claims (7)
- 〔A〕ゴム質重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含む重合性不飽和単量体を重合して得られた、ゴム質重合体強化グラフト樹脂、
〔B〕芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(by)を含み、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位(bx)を、0質量%以上r1質量%以下で含む重合体(B−1)と、上記構造単位(by)を含み、上記構造単位(bx)を、r1質量%を超えてr2質量%以下で含む重合体(B−2)と、上記構造単位(by)を含み、上記構造単位(bx)を、r2質量%を超えて60質量%以下で含む重合体(B−3)とからなり、且つ、(r2−r1)≧5(質量%)である重合体、
並びに、
〔C〕芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロックと、共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体ブロックとを備えるブロック共重合体(C−1)、及び、該ブロック共重合体(C−1)を水素添加反応に供して得られた水添重合体(C−2)、から選ばれた少なくとも1種、
を含有し、
上記成分〔B〕において、r 1 は12〜18質量%であり、r 2 は18〜25質量%であり、
上記成分〔B〕を構成する、上記重合体(B−1)、上記重合体(B−2)及び上記重合体(B−3)の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、30〜65質量%、8〜30質量%及び25〜50質量%であり、
上記成分〔A〕、上記成分〔B〕及び上記成分〔C〕の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、3〜70質量%、10〜90質量%及び0.5〜50質量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - r 1 が15質量%であり、r2が20質量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔B〕が、上記シアン化ビニル化合物及び上記芳香族ビニル化合物を、質量比で、0〜10:100〜90から15〜60:85〜40へ、又は、15〜60:85〜40から0〜10:100〜90へと、仕込み量を変化させつつ、重合して得られた共重合体を含む請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔B〕に含まれる上記構造単位(bx)の含有割合は、上記成分〔B〕を構成する構造単位の合計を100質量%とした場合に、5〜40質量%である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔A〕、上記成分〔B〕及び上記成分〔C〕の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、15〜40質量%、40〜75質量%及び2〜30質量%である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔A〕に含まれる、上記シアン化ビニル化合物に由来する構造単位(gx)及び上記芳香族ビニル化合物に由来する構造単位(gy)の割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜40質量%及び60〜95質量%である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
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