JP2008031258A - 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 Download PDF

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達也 舎人
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Hiroyoshi Kakiuchi
博賀 垣内
Takashi Kurata
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、耐加水分解性および耐薬品性に優れた熱可塑性重合体組成物の提供。
【解決手段】以下の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)5〜95質量%と以下の(BI)〜(BIII)から選択される1種以上のスチレン系樹脂(B)5〜95質量%から成る熱可塑性樹脂組成物。 ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族ジオール及び/又は脂環式ジオールから形成される単位と脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸から形成される単位とを有する樹脂である。 スチレン系樹脂(BI)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に芳香族ビニル化合物および共重合可能な他のビニル化合物を含有するビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体であり、スチレン系樹脂(BII)はビニル系単量体(b2)の重合体であり、スチレン系樹脂(BIII)は、スチレン系樹脂(BI)と(BII)の混合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品に関し、詳しくは、脂肪族ポリエステルを含有する熱可塑性樹脂組成物および当該熱可塑性重合体組成物から成る樹脂成形品に関する。
脂肪族ポリエステルは、生分解性を有する材料として注目を集めており各種分野への展開が期待されている。しかしながら、脂肪族ポリエステルは、加水分解性が強く、高温高湿下での性能保持に課題があり、しかも、一般的に衝撃性が低い。従って、脂肪族ポリエステル単独ではその使用分野に大きな制限がある。
耐衝撃性を向上させる方法として、脂肪族ポリエステルとABS樹脂を含む各種のスチレン系樹脂との組成物が提案されている(特許文献1〜3)。しかしながら、何れの樹脂組成物も耐衝撃性の向上効果は少ない。
特開2005−171205号公報 特開2006−45485号公報 特開2006−45486号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、耐衝撃性に優れ、更に、耐加水分解性および耐薬品性に優れた熱可塑性重合体組成物、および、当該熱可塑性重合体組成物から成る樹脂成形品を提供することにある。
すなわち、本発明の第1の要旨は、以下の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)5〜95質量%と以下の(BI)〜(BIII)から選択される1種以上のスチレン系樹脂(B)5〜95質量%(成分(A)と成分(B)の合計量を100質量%とする)から成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に存する。
上記のポリエステル系樹脂(A)は、繰り返し単位として、脂肪族ジオール及び/又は脂環式ジオールから形成される単位と脂肪族ジカルボン酸(その誘導体を含む)及び/又は脂環式ジカルボン酸(その誘導体を含む)から形成される単位とを有する樹脂である。
上記のスチレン系樹脂(BI)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に芳香族ビニル化合物および共重合可能な他のビニル化合物を含有するビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BII)はビニル系単量体(b2)の重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BIII)は、スチレン系樹脂(BI)と(BII)の混合物である。
そして、本発明の第2の要旨は、上記の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形体に存する。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、更に、耐加水分解性および耐薬品性に優れた熱可塑性重合体組成物、および、当該熱可塑性重合体組成物から成る樹脂成形品が提供される。
以下、本発明を説明する。なお、本明細書において、「(共)重合」とは単独重合および共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とはアクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
本発明においては、必須成分として脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及びスチレン系樹脂(B)を使用する。
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)>
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、繰り返し単位として、脂肪族ジオール及び/又は脂環式ジオールから形成される単位と脂肪族ジカルボン酸(その誘導体を含む)及び/又は脂環式ジカルボン酸(その誘導体を含む)から形成される単位とを有する。
上記のジオールは以下の一般式(1)で表すことが出来る。
一般式(1)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。Rの炭素数しては、通常2〜11、好ましくは2〜6である。Rはシクロアルキレン基を包含し、また、分岐鎖を有していてもよい。Rは、好ましくは「−(CH)n−」であり、ここで、nは2〜11の整数、好ましくは2〜6の整数を示す。
上記のジオールの具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中では、得られる脂肪族ポリエステルの物性の面から、1,4−ブタンジオールが好ましい。上記のジオールは2種以上を併用してもよい。
上記のジカルボン酸は以下の一般式(2)で表すことが出来る。
一般式(2)中、Rは直接結合または2価の脂肪族炭化水素基を表す。Rの炭素数は、通常2〜11、好ましくは2〜6である。Rはシクロアルキレン基を包含し、また、分岐鎖を有していてもよい。Rは、好ましくは「−(CH)m−」であり、ここで、mは0又は1〜11の整数、好ましくは0又は1〜6の整数を示す。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スバリン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、その誘導体としては、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物が挙げられる。誘導体としては、2個のカルボキシル基の双方が例えばエステル基などに変換されている化合物が好ましい。これらの中では、得られる脂肪族ポリエステルの物性の面から、コハク酸またはアジピン酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。上記のジカルボン酸は2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)には、2官能脂肪族オキシカルボン酸および3官能性脂肪族オキシカルボン酸を共重合することが出来る。
2官能脂肪族オキシカルボン酸としては、分子中に1個の水酸基と1個のカルボン酸基を有するものであれば、特に制限されないが、以下の一般式(3)で表される脂肪族オキシカルボン酸が好適である。
一般式(3)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を表す。Rの炭素数は、通常1〜11、好ましくは1〜16である。R3はシクロアルキレン基を包含し、また、分岐鎖を有していてもよい。
2官能脂肪族オキシカルボン酸は、好ましくは、1っの炭素原子に水酸基とカルボキシル基を持つ化合物であり、特に、以下の一般式(4)で表される化合物を使用すると重合速度が増大するので好ましい。
一般式(4)中、zは0又は1以上の整数、好ましくは0又は1〜10、更に好ましくは0又は1〜5である。
2官能脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸、これらの混合物などが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、ラセミ体の何れでもよく、形状としては、固体、液体、水溶液の何れであってもよい。特に、使用時の重合速度の増大が顕著であり且つ入手が容易である、乳酸またはグリコール酸およびこれらの水溶液が好ましい。乳酸やグリコール酸は、50%、70%、90%の水溶液が一般に市販されており、入手が容易である。
3官能脂肪族オキシカルボン酸としては、水酸基とカルボキシル基の両方を合わせて3個有する化合物、すなわち、(a)分子中にカルボキシル基2個と水酸基1個を有する化合物、(b)分子中にカルボキシル基1個と水酸基2個を有する化合物がある。市場からの入手性が容易であり且つ低コストである点から、上記の(a)が好ましい。また、比較的低分子量のものが好ましく、具体的にはリンゴ酸が好適である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、前記の成分を使用し、ポリエステル生成条件下に反応させて得ることが出来る。ここで、ポリエステル生成条件とは、(a)単純な脱水反応によるエステル結合生成、(b)他の縮合である脱アルコール(即ちエステル交換)、(c)酸無水物を使用した場合は付加を生じさせる条件を意味する。脱水または脱アルコール促進のために共沸剤の使用してもよく、減圧条件を採用してもよい。更に、触媒を使用してもよい。
ジオール成分の使用割合は、ジカルボン成分(誘導体を含む)に対して実質的に等モルであるが、実際の製造過程においてはエステル化反応中に留出することがあることから、ジカルボン成分に対して通常1〜20モル%過剰に使用する。2官能脂肪族オキシカルボン酸の使用量は、ジカルボン成分100モルに対し、通常60モル以下、好ましくは0.04〜20モル、更に好ましくは3〜10モルである。斯かる使用量により、より高分子量の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を得ることが出来る。2官能脂肪族オキシカルボン酸の使用量は、ジカルボン成分100モルに対し、通常5モル以下、好ましくは1モル以下である。使用量が5モルを超えると反応中ゲル化の危険性が大きくなる。
2官能脂肪族オキシカルボン酸の添加時期は、ポリエステル生成反応以前であれば特に限定されないが、(a)予め脂肪族オキシカルボン酸溶液に触媒を溶解させた状態で原料仕込時またはエステル化反応中に添加する方法、または(b)原料仕込時に触媒を添加すると同時に添加する方法が好ましい。
エステル化反応に使用される触媒としては、ゲルマニウム、チタン、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの反応系に可溶の金属化合物が挙げられる。これらの中では、ゲルマニウム化合物が好ましく、その具体例としては、テトラアルコキシゲルマニウム等の有機ゲルマニウム化合物、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易性から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム又はテトラブチキシゲルマニウムが特に好ましい。
触媒の使用量は、使用するモノマー量の合計量に対し、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1.5重量%である。触媒の添加時期は、ポリエステル生成以前であれば特に制限されないが、原料仕込み時に添加してもよく、減圧開始時に添加してもよい。原料仕込み時に2官能脂肪族オキシカルボン酸と同時に添加するか、または2官能性脂肪族オキシカルボン酸およびその水溶液に触媒を溶解して添加するのが特に好ましい。
エステル化反応の温度、時間、圧力などの条件は、目的物である脂肪族ポリエステルが得られる条件でれば特に限定されないが、反応温度は、通常150〜260℃、好ましくは180〜230℃、反応時間は、通常1時間以上、好ましくは2〜15時間、反応圧力は、通常10mmHg以下、好ましくは2mmHg以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、本発明の目的である耐衝撃性の面から、通常1〜20万、好ましくは3〜20万である。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnは、通常3以上、好ましくは4以上である。
本発明においては、本発明の目的の1っである制電性をより向上させる観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成するジオール成分およびジカルボン成分(誘導体を含む)の少なくとも何れかが植物由来であることが好ましく、両原料とも植物由来であるとが更に好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない限り、他の共重合成分を導入することが出来る。他の共重合成分としては、ヒドロキシ安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸;ビスフェノールA等の芳香族ジオール類;テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;3官能以上の脂肪族ポリオール、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸;4官能以上のオキシカルボン酸などが挙げられる。これらの成分の使用割合は、使用するモノマー量の合計量に対し、通常50モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
<スチレン系樹脂(B)>
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)は次の(BI)〜(BIII)から選択される1種以上のスチレン系樹脂である。すなわち、上記のスチレン系樹脂(BI)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に芳香族ビニル化合物および共重合可能な他のビニル化合物を含有するビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BII)はビニル系単量体(b2)の重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BIII)は、スチレン系樹脂(BI)と(BII)の混合物である。
<スチレン系樹脂(BI)>
ゴム質重合体(b1)としては、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体の水素添加物などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、天然ゴムが好ましい。
ゴム質重合体(b1)のゲル含率は、特に限定されないが、乳化重合でゴム質重合体(b1)を得る場合、通常98質量%以下、好ましくは40〜98質量%である。この範囲において、特に、耐衝撃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る。ゲル含率は、ゴム質重合体(b1)の製造時に、分子量調節剤の種類および量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。また、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることが出来る。
すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量し(質量W2グラムとする)、以下の式(I)により算出する。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。また、これらの中では、スチレン又はα―メチルスチレンが好ましい。
スチレン系樹脂(BI)中のゴム質重合体(b1)の含有量は、スチレン系樹脂(BI)を基準として(100質量%として)、通常20〜80質量%、好ましくは3〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%である。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、および、その他の各種官能基含有不飽和化合物などが挙げられる。
本発明の好ましい態様においては、芳香族ビニル化合物を必須単量体成分とし、これに必要に応じ、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物およびマレイミド化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上が単量体成分として併用され、更に必要に応じ、その他の各種官能基含有不飽和化合物の少なくとも1種が単量体成分として併用される。その他の各種官能基含有不飽和化合物としては、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサドリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。シアン化ビニル化合物を使用すると耐薬品性が付与される。シアン化ビニル化合物の使用量は、全単量体成分中の割合として、通常1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用すると、表面硬度が向上し、また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)の相溶性が向上する場合がある。(メタ)アクリル酸エステル化合物の使用量は、全単量体成分中の割合として、通常1〜80質量%、好ましくは5〜80質量%である。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化してもよい。マレイミド化合物を使用すると耐熱性が付与される。マレイミド化合物の使用量は、全単量体成分中の割合として、通常1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%である。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸などが挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N―(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等が挙げられ、これらは2種以上を併用することが出来る。
その他の各種官能基含有不飽和化合物を使用した場合、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)とをブレンドした際、両者の相溶性が向上する場合がある。斯かる効果を達成するために好ましい単量体は、エポキシ基含有不飽和化合、不飽和酸化合物および水酸基含有不飽和化合物である。その他の各種官能基含有不飽和化合物の使用量は、スチレン系樹脂(BI)中に使用される当該官能基含有不飽和化合物の合計量として、スチレン系樹脂(BI)に対し、通常0.1〜25質量%、好ましくは0.1〜15質量%であり、スチレン系樹脂(BIII)に対し、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。
全ビニル単量体中の芳香族ビニル化合物以外の単量体の使用量は、全ビニル単量体を基準として(100質量%とし)、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
ビニル単量体の好ましい組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸、スチレン/N―フェニルマレイミド、スチレン/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルマレイミド等であり、特に好ましい組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル=65/45〜90/10(質量比)、スチレン/メタクリル酸メチル=80/20〜20/80(質量比)、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル=スチレン量20〜80質量%、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルの合計量20〜80質量%である。
スチレン系樹脂(BI)は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合およびこれらを組み合わせた重合法で製造することが出来る。これらのうち、ゴム質重合体(b1)の存在下にビニル系単量体を(共)重合する好ましい方法は、乳化重合および溶液重合である。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などが使用されるるが、これらは公知のものを使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方などのレドックス系を使用することが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類などが挙げられる。乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩などが挙げられる。
なお、乳化重合において、ゴム質重合体およびビニル系単量体の使用方法は、ゴム質重合体の全量の存在下にビニル系単量体を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体の一部を重合途中で添加してもよい。
乳化重合の後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することにより、スチレン系樹脂(BI)の粉末を得る。この際、乳化重合で得た2種以上のスチレン系樹脂(BI)のラテックスを適宜ブレンドした後、凝固してもよい。凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、または硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの酸を使用することが出来る。凝固剤として酸を使用した場合は、凝固後、アルカリ性水溶液で中和処理をすることが好ましく、斯かる中和処理により、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や耐加水分解性が向上する場合がある。中和処理に使用するアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
溶液重合によりスチレン系樹脂(BI)を製造する場合に使用することの出来る溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N―メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、通常80〜140℃、好ましくは85〜120℃の範囲である。重合に際し、重合開始剤を使用してもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物などが好適に使用される。また、連鎖移動剤を使用する場合、例えば、メルカプタン類、ターピノレン類、α―メチルスチレンダイマー等を使用することが出来る。また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤などを使用することが出来る。上記の各重合法によって得たスチレン系樹脂(BI)中に残存する単量体の量は、通常10,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下である。
また、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体を重合して得られるスチレン系樹脂(BI)には、通常、ビニル系単量体がゴム質重合体にグラフト共重合した共重合体とゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分が含まれる。スチレン系樹脂(BI)のグラフト率は、通常20〜200質量%、好ましくは30〜150質量%、更に好ましくは40〜120質量%であり、グラフト率は、以下の式(I I)により求めることが出来る。
式(I I)中、Tはスチレン系樹脂(BI)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sはスチレン系樹脂(B)1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、スチレン系樹脂(BI)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、通常0.2〜1.2dl/g、好ましくは0.2〜1.0dl/g、更に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。更に、スチレン系樹脂(BI)中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、通常500〜30,000Å、好ましくは1,000〜20,000Å、更に好ましくは1,500〜8,000Åのである。平均粒径は電子顕微鏡を使用する公知の方法で測定することが出来る。
<スチレン系樹脂(BII)>
スチレン系樹脂(BII)は前述のビニル系単量体(b2)の重合体である。すなわち、スチレン系樹脂(BI)と異なり、ゴム質重合体(b1)の非存在下にビニル系単量体(b2)を(共)重合して得られる重合体である。従って、スチレン系樹脂(BII)に関する説明は、前述のスチレン系樹脂(BI)の説明において、ゴム質重合体(b1)を使用しない点を除いて同じであり、「その他の各種官能基含有不飽和化合物」等の種類や使用量についても同様である。ただし、ゴム質重合体(b1)の非存在下にビニル系単量体を(共)重合する好ましい方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合である。塊状重合および懸濁重合は公知の方法を採用することが出来、溶液重合および乳化重合は、前述のスチレン系樹脂(BI)において説明したのと同様である。
<スチレン系樹脂(BIII)>
スチレン系樹脂(BII)は前述のスチレン系樹脂(BI)と(BII)の混合物である。
スチレン系樹脂(BI)と(BII)との混合割合(重量比)は、通常1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.1〜1:5、更に好ましくは1:0.1〜1:2である。
スチレン系樹脂(BIII)中のゴム質重合体(b1)の含有量は、スチレン系樹脂(BIII)を基準として(100質量%として)、通常20〜80質量%、好ましくは30〜75質量%、更に好ましくは40〜70質量%である。
スチレン系樹脂(BIII)中の、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサドリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物の群から選択される1種以上の官能基含有不飽和化合物の使用量は、スチレン系樹脂(BIII)に対し、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)5〜95質量%とスチレン系樹脂(B)5〜95質量%(成分(A)と成分(B)の合計量を100質量%とする)から成る。スチレン系樹脂(B)の割合は、好ましくは5〜80質量%である。スチレン系樹脂(B)の割合が5質量%未満の場合は、耐衝撃性が劣り、耐加水分解性が低く、95質量%を超える場合は耐薬品性が低下する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)を含有することが出来る。特に、芳香族ポリカーボネート樹脂の配合により、耐熱性が向上する場合がある。熱可塑性樹脂(C)の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)の合計100質量部に対し、通常2〜200質量部、好ましくは5〜150質量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の各成分を、各種の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等により溶融混練することにより製造される。混練処理に際し、各成分は、一括添加しても分割添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、カランダー成形、Tダイ押出成形、インフレーション成形、ラミネーション成形、真空成形、異形押出成形などの公知の成形法により樹脂成形品とされる。樹脂成形品としては、射出成形品、シート成形品(多層シートを含む)、フィルム成形品(多層フィルムを含む)、異形押出成形品、真空成形品などがある。
上記の様にして得られた樹脂成形品は、耐衝撃性、耐加水分解性、耐薬品性に優れ、家電分野、建材分野、サニタリー分野などにおいて、各種の部品、ハウジング等として好適に使用することが出来る。
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
<評価方法>
(1)ゴム質重合体のゲル含率:前記の方法に従った。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径:
スチレン系樹脂(B)の製造に使用するゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。測定機は大塚電子社製「LPA―3100型」を使用し、70回積算でミュムラント法で測定した。なお、スチレン系樹脂(B)中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径と略同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)スチレン系樹脂(B)のグラフト率:前記の方法に従った。
(4)スチレン系樹脂(B)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕:前記の方法に従った。
(5)耐衝撃性;
ISO179に準拠し、同ISO規格に規定の成形品を使用し、シャルピー衝撃強さ(KJ/m)を測定した。
(6)耐加水分解性1:
上記の耐衝撃性評価用試験片を、恒温恒湿槽(50℃、90%)中に、10日間、放置した後、耐衝撃性を測定した。
(7)耐加水分解性2:
上記の耐衝撃性評価用試験片を、恒温恒湿槽(90℃、95%)中に、15日間 放置した後、試験片の形状を次の評価基準に基づき目視評価した。
(8)耐薬品性:
肉厚3.2mm×幅12.7mm×長さ127mmの試験片に1%歪みをかけ、メタノールを塗布し、23℃で72時間放置した後の成形品の表面状態を次の評価基準に基づき目視評価した。
(9)耐熱性:
ASTM D648に準拠し、18.5kgf/cm荷重の熱変形温度(℃)を測定した。
<熱可塑性樹脂組成物の成分>
(1)脂肪族ポリエステル(A):
三菱化学社製の「GSPlaAZ91T」:コハク酸/1,4−ブタンジオールを主体とする脂肪族ポリエステルを使用した。
製造例1:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B1)を製造した。すなわち、攪拌機を備えたガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、攪拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、ブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更に、イオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加して重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固し、水洗した後、水酸化カリウム水溶液で洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(B1)を得た。この樹脂のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.45dl/gであった。
製造例2:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B2)を製造した。すなわち、製造例1において、水酸化カリウム水溶液での洗浄・中和を行わなかった以外は、製造例1と同様の条件で製造し、ゴム強化スチレン系樹脂(B2)を得た。この樹脂のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.45dl/gであった。
製造例3:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B3)を製造した。すなわち、単量体として、ポリブタジエンラテックス60部(固形分)、スチレン30部、アクリロニトリル10部を使用し、製造例1と同様に乳化重合法にてゴム強化スチレン系樹脂のラテックスを得た。次いで、得られたラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、水酸化カリウム水溶液で洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(B3)を得た。この樹脂のグラフト率は54%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.39dl/gであった。
製造例4:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B4)を製造した。すなわち、単量体として、ポリブタジエンラテックス20部(固形分)、スチレン60部、アクリロニトリル20部を使用し、製造例1と同様に乳化重合法にてゴム強化スチレン系樹脂のラテックスを得た。次いで、得られたラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、水酸化カリウム水溶液で洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(B4)を得た。この樹脂のグラフト率は107%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.51dl/gであった。
製造例5:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B5)を製造した。すなわち、単量体として、ポリブタジエンラテックス40部(固形分)、スチレン45部、メチルメタクリレート15部を使用し、製造例1と同様に乳化重合法にてゴム強化スチレン系樹脂のラテックスを得た。次いで、得られたラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、水酸化カリウム水溶液で洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(B5)を得た。この樹脂のグラフト率は45%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.35dl/gであった。
製造例6:
次の方法により、ゴム強化スチレン系樹脂(B6)を製造した。すなわち、単量体として、ポリブタジエンラテックス40部(固形分)、スチレン42部、アクリロニトリル15部、グリシジルメタクリレート3部を使用し、製造例1と同様に乳化重合法にてゴム強化スチレン系樹脂のラテックスを得た。次いで、得られたラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、水酸化カリウム水溶液で洗浄・中和し、更に、水洗した後、乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(B5)を得た。この樹脂のグラフト率は65%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は、0.43dl/gであった。
製造例7:
次の方法により、スチレン系樹脂(B7)を製造した。すなわち、リボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてtert―ドデシルメルカプタン0.15部およびトルエン5部の溶液、重合開始剤として1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1−カーボニトリル)0.1部およびトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤および重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を使用し、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.60のスチレン系樹脂(B7)を得た。
製造例8:
次の方法により、スチレン系樹脂(B8)を製造した。すなわち、製造例7において、「アクリロニトリル」の代わりに「メチルメタクリレート」を使用した以外は製造例7と同一の条件で製造し、極限粘度〔η〕0.51のスチレン系樹脂(B8)を得た。
製造例9:
次の方法により、エポキシ基変性スチレン系樹脂(B9)を製造した。すなわち、製造例7において、「スチレン75部、アクリロニトリル25部」の代わりに、「スチレン68部、アクリロニトリル22部およびグリシジルメタクリレート10部」を使用した以外は、製造例7と同一の条件で製造し、極限粘度〔η〕0.60のエポキシ基変性スチレン系樹脂(B9)を得た。
<上記以外の成分>
(1)エポキシ基変性スチレン系樹脂(B10):
日本油脂社「モデイパーA4401」(商品名)を使用した。グリシジルメタクリレート単位の含有量は10.5質量%である。
(2)ポリカーボネート樹脂(C):
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7022A」(商品名)を使用した。
(3)安定剤(1)として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGANOX1010」(商品名)を使用した。
(4)安定剤(2)として、旭電化工業社製「アデカスタブ2112」(商品名)を使用した。
(5)安定剤(3)として、太平化学産業社製の工業用リン酸一ナトリウムを使用した。
実施例1〜14及び比較例1〜3:
表3〜5に記載の配合割合で、ヘンシエルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度210℃)を使用して溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、射出成形(シリンダー設定度200℃)により試験片を得た。評価結果を表3〜5に示した。なお、表3〜5中、ポリカーボネート樹脂(C)の割合は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)の合計100質量部に対する配合割合(質量部)であり、安定剤の割合は、全樹脂成分の全量(100質量部)に対する割合(質量部)である。
表3〜5に記載された結果から、以下のことが明らかである。すなわち、実施例1〜14は、耐衝撃性、耐加水分解性および耐薬品性に優れる。これに対し、比較例1は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の使用量が本発明で規定する範囲より多く、ポリスチレン系樹脂(B)の使用量が本発明で規定する範囲より少ない例であり、耐衝撃性と耐加水分解性が劣る。比較例2は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の使用量が本発明で規定する範囲より少な、ポリスチレン系樹脂(B)の使用量が本発明で規定する範囲より多い例であり、耐薬品性が劣る。

Claims (12)

  1. 以下の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)5〜95質量%と以下の(BI)〜(BIII)から選択される1種以上のスチレン系樹脂(B)5〜95質量%(成分(A)と成分(B)の合計量を100質量%とする)から成ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
    上記のポリエステル系樹脂(A)は、繰り返し単位として、脂肪族ジオール及び/又は脂環式ジオールから形成される単位と脂肪族ジカルボン酸(その誘導体を含む)及び/又は脂環式ジカルボン酸(その誘導体を含む)から形成される単位とを有する樹脂である。
    上記のスチレン系樹脂(BI)は、ゴム質重合体(b1)の存在下に芳香族ビニル化合物および共重合可能な他のビニル化合物を含有するビニル系単量体(b2)を重合して得られるグラフト共重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BII)はビニル系単量体(b2)の重合体であり、上記のスチレン系樹脂(BIII)は、スチレン系樹脂(BI)と(BII)の混合物である。
  2. スチレン系樹脂(B)が、単量体として、(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用して得られ、その使用量がスチレン系樹脂(B)に対し1〜80質量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. スチレン系樹脂(B)が、単量体として、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサドリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物の群から選択される1種以上の官能基含有不飽和化合物を使用して得られ、その使用量がスチレン系樹脂(B)に対し0.1〜20質量%である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. スチレン系樹脂(BI)中のゴム質重合体(b1)の含有量が40〜80質量%である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. スチレン系樹脂(BI)のグラフト率が20〜200%、アセトン可溶分の極限粘度が0.2〜1.2dl/g(メチルエチルケトン中、30℃)である請求項1〜4の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 更に、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアセタール樹脂の群から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)を含有し、その含有量が、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とスチレン系樹脂(B)の合計100質量部に対し、2〜100質量部である請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が0℃以下で且つ融点(Tm)が130℃以下である請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の脂肪族ジオールが1,4−ブタンジオールである請求項1〜7の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の脂肪族ジカルボン酸がコハク酸および/またはアジピン酸である請求項1〜8の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が乳酸を共重合した脂肪族ポリエステル共重合体である請求項1〜9の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量が1〜20万である請求項1〜10の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする樹脂成形体。
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