JPH06192535A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH06192535A
JPH06192535A JP3338734A JP33873491A JPH06192535A JP H06192535 A JPH06192535 A JP H06192535A JP 3338734 A JP3338734 A JP 3338734A JP 33873491 A JP33873491 A JP 33873491A JP H06192535 A JPH06192535 A JP H06192535A
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Kazumasa Kamata
和正 釜田
Kazuo Ueda
和雄 上田
Kiyokazu Kitai
潔一 北井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定量の熱可塑性樹脂と、特定のガラス転移
温度を有する単量体を用い、少なくとも三層構造からな
る多層グラフト共重合体からなる耐衝撃性改質剤の特定
量とからなる熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 得られる熱可塑性樹脂組成物は、広範囲の成
形条件において高い衝撃強度を示し、且つ成形加工性が
良好であり、表面光沢及び耐候性も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐候性、耐衝撃性及び成
形加工性良好な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、とりわけ塩化ビニル系樹
脂(以下PVCと略記する。)は汎用樹脂として広く使
用されているが、その機械的性質は必ずしも満足し得る
ものではない。即ちPVCは衝撃強度、特にノッチ付き
の衝撃強度に劣り、かかる衝撃強度を改良する目的で種
々の改質剤が提案されている。
【0003】これら提案の内最も有効な方法として共役
ジエン弾性体にメタクリル酸アルキルエステル及び芳香
族ビニル化合物をグラフト重合したいわゆるMBS樹
脂、共役ジエン弾性体にビニルシアン化合物及び芳香族
ビニル化合物をグラフト重合したABS樹脂をPVCと
ブレンドする方法が知られている。しかしながらこれら
MBS樹脂、ABS樹脂は弾性体成分の主鎖に多くの二
重結合を含むため、屋外で長時間使用された場合、チョ
ーキング現象、衝撃強度の低下等を引き起こし易く屋外
用途には適さない。
【0004】また飽和のアクリル酸アルキルエステルを
共役ジエンに一部代替した弾性体を用いる方法も提案さ
れている。この場合には高い衝撃強度改良効果を示す
が、耐候性はMBS樹脂やABS樹脂程でないにしても
やはり悪いという欠点を有している。
【0005】さらに弾性体として飽和のポリアクリル酸
アルキルエステルを用い、メタクリル酸アルキルエステ
ル、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物等をグ
ラフト重合した共重合体をPVCとブレンドした耐候性
良好な樹脂組成物も種々提案されている。
【0006】しかしながらこれらの共重合体はよく混練
りのきく条件(以下低滑性条件という。)ではMBS樹
脂程ではないにしても、かなりの衝撃強度改良効果を示
すが、多量の滑剤を用いた場合、あるいは比較的低温加
工された場合等の混練のきかない条件(以下高滑性条件
という。)では殆んど衝撃強度改良効果を示さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる現
状に鑑み鋭意検討した結果アクリル酸アルキルエステル
弾性体を用いた多層グラフト共重合体をPVC中に均一
に分散させることが衝撃強度発現性に大きく寄与するこ
とに着目し最外層のガラス転移温度(以下Tgと略記す
る。)が0℃以下、最外層から2番目の層のTgが60
℃以上、最外層から3番目の層のTgが0℃以下である
少なくとも三層構造からなる多層グラフト共重合体が、
例えばこれをPVCとブレンドした場合、高滑性条件で
剪断応力が低い場合でもかかる多層グラフト共重合体が
速かに溶融し易く、PVC組成物のゲル化が早まり分散
状態が極めて良好となり、しかもかかるPVC組成物は
低滑性条件で剪断応力が高いところから上述の如き高滑
性条件で剪断応力が低いところまでの広範囲の成形条件
において高い衝撃強度を示すことが可能であり熱可塑性
樹脂の耐衝撃性改質剤として有効であることを見出し先
に特許出願したが、その後の検討の結果さらにこの多層
グラフト共重合体に特定の不飽和酸単量体を必須成分と
する特定の共重合体を特定量配合したものがより優れた
耐衝撃性改質剤として作用し、しかも加工性が良好で、
表面光沢にも優れ、さらに耐候性も良好であることを見
出し本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は熱可塑性樹脂1
00重量部とアクリル酸アルキルエステル、メタクリル
酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物及びビニルシ
アン化合物からなる単量体群から選ばれた単量体から構
成され、最外層(A)を構成する重合体のガラス転移温
度が0℃以下、最外層(A)から2番目の層(B)を構
成する重合体のガラス転移温度が60℃以上、最外層
(A)から3番目の層(C)を構成する重合体のガラス
転移温度が0℃以下である層(A)、(B)及び(C)
の少なくとも三層構造からなる多層構造を有し、且つ各
層において各層に対して多官能性架橋剤0〜5重量%を
含有する多層グラフト共重合体(1)100重量部に、
不飽和酸単量体3〜30重量%及びこれと共重合可能な
ビニル単量体97〜70重量%を共重合して得られる共
重合体(2)0.1〜20重量部を配合してなる耐衝撃
性改質剤3〜50重量部とからなる耐候性、耐衝撃性及
び成形加工性良好な熱可塑性樹脂組成物にある。
【0009】本発明の耐衝撃性改質剤は上記多層グラフ
ト共重合体(1)と共重合体(2)のブレンド物からな
るものであり、上述した如き多層グラフト共重合体は少
なくとも三段階にわたって重合して得られた三層以上の
多層構造を有することが必須であり、最外層から数えて
4番目の層がその単独重合体のTgが60℃以上である
重合体からなる四層グラフト共重合体であっても、また
最外層から数えて5番目の層がその単独重合体のTgが
0℃以下である重合体からなる五層グラフト共重合体の
ような多層グラフト共重合体であってもよく、かかる場
合でも耐衝撃性改良効果は同様に示す。
【0010】本発明の耐衝撃性改質剤の一成分である多
層グラフト共重合体(1)を構成する単量体群はアクリ
ル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステ
ル、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物から構
成されるものである。
【0011】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が2〜10個のものが好ましく、例え
ばアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチル及びアクリル酸2エチル−ヘキ
シル等が挙げられる。
【0012】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
アルキル基の炭素数が1〜4個のものが好ましく、例え
ばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル及びメタクリル
酸ターシャリブチル等が挙げられる。PVCとの相溶性
を考慮するとメタクリル酸メチルが特に好ましいもので
ある。
【0013】また芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−置換スチレン、核置換スチレン及びその誘導
体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ルトルエン等が挙げられる。
【0014】さらにビニルシアン化合物としてはアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0015】多層グラフト共重合体(1)を構成する最
外層(A)成分は、最外層(A)自体のTgが0℃以下
となるように前記単量体群の中から選ばれる。最外層
(A)中の前記単量体の組成割合はアクリル酸アルキル
エステルが60〜100重量%、メタクリル酸アルキル
エステル0〜40重量%、芳香族ビニル化合物0〜40
重量%、ビニルシアン化合物0〜20重量%の範囲で使
用可能である。最外層(A)自体のTgが0℃を超える
場合には最終的に得られる改質剤をPVCとブレンドし
て成形すると(A)層部分の溶融が遅く、所望とする耐
衝撃性改良効果が充分得られにくい。
【0016】最外層(A)の多層グラフト共重合体総量
中に占める割合は10〜50重量%が好ましく、10重
量%未満の割合では耐衝撃性改良効果が小さく、また5
0重量%を超える割合ではPVCとブレンドして成形す
る際の成形加工性が悪くなるので好ましくない。
【0017】また最外層(A)から2番目の層(B)の
成分は、層(B)自体のTgが60℃以上となるように
前記単量体群の中から選ばれる。層(B)中の前記単量
体の組成割合はメタクリル酸アルキルエステル0〜10
0重量%、芳香族ビニル化合物0〜100重量%、ビニ
ルシアン化合物0〜30重量%、アクリル酸アルキルエ
ステル0〜20重量%の範囲で使用可能である。層
(B)自体のTgが60℃未満では多層グラフト重合体
が凝集し易く、耐衝撃性も劣る。層(B)の成分として
は、PVCとブレンドする場合にはメタクリル酸アルキ
ルエステルが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ま
しい。芳香族ビニル化合物はPVCとのブレンド成形時
にその流動性を向上させるが、多量に用いた場合には相
溶性が悪化し、耐衝撃性が低下する。またビニルシアン
化合物はPVCとのブレンド時のゲル化を促進させるた
め好ましいものであるが多量に用いると成形時に帯色し
やすくなったりまたその加工性が悪化する。
【0018】層(B)の多層グラフト共重合体総量中に
占める割合は20〜60重量%が好ましく、20重量%
未満の割合ではPVCとブレンドして成形する際の成形
加工性が劣るので好ましくない。また60重量%を超え
る割合では多層グラフト共重合体全体に占める弾性体成
分量が減少することになり耐衝撃性改良効果が小さく好
ましくない。
【0019】さらに最外層(A)から3番目の層(C)
の成分は、層(C)自体のTgが0℃以下となるように
前記単量体群の中から選ばれる。層(C)中の前記単量
体の組成割合はアクリル酸アルキルエステル60〜10
0重量%、メタクリル酸アルキルエステル0〜40重量
%、芳香族ビニル化合物0〜40重量%、ビニルシアン
化合物0〜20重量%の範囲で使用可能である。層
(C)自体のTgが0℃を超える場合には層(C)自体
の弾性的性質が損われ、所望とする耐衝撃性改良効果が
得られにくい。
【0020】層(C)の多層グラフト共重合体総量中に
占める割合は10〜60重量%が好ましく、10重量%
未満の割合では耐衝撃性改良効果が小さく、また60重
量%を超える割合ではPVCとブレンドして成形する際
の成形加工性が劣るので好ましくない。
【0021】本発明における多官能性架橋剤は前記多層
グラフト共重合体を製造する際のグラフト交叉結合を容
易にならしめるだけでなく、乳化重合体ラテックスの凝
固性も大幅に改良するものである。多官能性架橋剤とし
ては、ジビニルベンゼン、アクリル酸又はメタクリル酸
と多価アルコールとのエステルであるジアクリル酸エス
テル又はジメタクリル酸エステル、あるいはシアヌル酸
トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、アクリル酸ア
リル、メタクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フタ
ル酸ジアリル等が挙げられる。なおグラフト交叉性を考
えるならばアリル基を有する架橋剤が好ましいものであ
る。
【0022】多官能性架橋剤の各層中に占める割合は0
〜5重量%である。5重量%を超えて使用する場合には
弾性体層なる最外層(A)又は層(C)があまりにも弾
性的性質を損う。また樹脂層なる層(B)はPVCとの
相溶性が悪化するため、いずれも耐衝撃性改良効果が低
下するため好ましくない。多官能性架橋剤の各層中に占
める割合は多層グラフト共重合体製造時の乳化重合体ラ
テックスの凝固性、さらには得られる多層グラフト共重
合体の耐衝撃性改良効果を考慮すると0.1〜3重量%
の範囲が好ましい。
【0023】本発明における多層グラフト共重合体は通
常の乳化重合法で製造することが好ましい。
【0024】乳化剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩等
のアニオン性界面活性剤、またポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等
のノニオン性界面活性剤、さらにアルキルアミン塩等の
カチオン性界面活性剤を使用することができる。これら
の界面活性剤は単独で又は併用して使用することができ
る。また乳化剤の種類により、重合系のpHがアルカリ
側となる時は、アクリル酸アルキルエステルの加水分解
を防止するため、適当なpH調節剤を使用することもで
きる。
【0025】重合開始剤としては、通常の過硫酸塩など
の無機開始剤又は有機過酸化物、アゾ化合物等を単独で
用いるか、あるいは上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素
塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデ
ヒドスルホキシレート等とを組み合わせ、レドックス系
開始剤として用いることもできる。開始剤として好まし
い過硫酸塩は過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等であり、有機過酸化物としては、t−
ブチルハイドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシ
ド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等である。
【0026】重合体の分子量を調節するために連鎖移動
剤を使用してもよく、炭素数5〜20のアルキルメルカ
プタン等が使用可能である。
【0027】重合は開始剤の分解温度以上の温度にて、
通常の乳化重合条件下で少なくとも最外層(A)、最外
層(A)から2番目の層(B)及び最外層(A)から3
番目の層(C)が前述したような構造になるように行う
ことができる。この際に各段階いずれの重合について
も、各単量体又は単量体の混合物の全量を一度に、ある
いは全量又は一部を連続的に添加しながら行うことがで
きる。ただし重合の安定性、重合反応熱の除去等の点か
らは全量又は一部を添加しながら重合を行うことが好ま
しい。
【0028】また本発明の耐衝撃性改質剤の他の成分で
ある共重合体(2)は不飽和酸単量体3〜30重量%と
これと共重合可能なビニル単量体97〜70重量%とを
共重合して得られるものであり、その製造法としては乳
化重合法が好ましいものである。
【0029】不飽和酸単量体としてはアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、無水マレ
イン酸、ブテントリカルボン酸等の酸基含有単量体であ
る。共重合体(2)中の不飽和酸単量体の量が3重量%
未満では多層グラフト共重合体(1)とブレンドして耐
衝撃性改質剤としてもその耐衝撃性改良効果が少なく好
ましくない。また30重量%を超えると乳化重合して得
る場合のラテックスが安定でなく、また前述の多層グラ
フト共重合体(1)のラテックスとブレンドした際もラ
テックス安定性を悪化させたり、加工性を悪化させたり
するので好ましくない。
【0030】不飽和酸単量体と共重合可能なビニル単量
体としてはアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸
アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン
化合物等が挙げられ、これらは前述した単量体群のもの
を単独で、又は混合して用いることができる。
【0031】なお共重合体(2)を乳化重合法にて製造
するに際しては多層グラフト共重合体(1)の製造の際
に使用できる乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等の同様
のものを使用することが可能であり、多層グラフト共重
合体(1)の製造と同様の方法で共重合することができ
る。
【0032】本発明の耐衝撃性改質剤は上述の如き得ら
れた多層グラフト共重合体(1)と共重合体(2)のブ
レンド物であり、その配合割合は多層グラフト共重合体
(1)100重量部に対し共重合体(2)が0.1〜2
0重量部である。共重合体(2)の配合量が0.1重量
部未満では耐衝撃性改良効果が少なく、また20重量部
を超える量では双方の共重合体をラテックスブレンドし
た場合のラテックスが不安定になったり、この改質剤を
PVCとブレンドした場合加工性が低下するので好まし
くない。
【0033】本発明を実施するに際しては多層グラフト
共重合体(1)と共重合体(2)のブレンドは夫々のラ
テックスを固形分換算で上述した配合割合にて行い、こ
のブレンドラテックスを通常塩析、あるいは酸析凝固
し、濾過水洗し粉末状で回収するか、あるいは噴霧乾
燥、凍結乾燥を行い粉末状にて回収すればよい。また特
開昭57−187322号公報に記載される方法で回収
することもできる。さらには多層グラフト共重合体
(1)と共重合体(2)の個々の粉末を後でブレンドす
る方法も取り得る。上記ラテックスブレンドで得る方法
が特に好ましいものである。
【0034】本発明の耐衝撃性改質剤は種々の熱可塑性
樹脂と配合することにより、熱可塑性樹脂に高い衝撃
性、良好な加工性を付与し、且つ成形品の耐候性も良好
なものとするものである。
【0035】本発明の耐衝撃性改質剤を熱可塑性樹脂に
配合する割合は熱可塑性樹脂100重量部に対し3〜5
0重量部である。3重量部未満の配合割合では耐衝撃性
改良効果が少なく、また50重量部を超える場合には熱
可塑性樹脂が本来有する機械的性質が損われてしまうの
で共に好ましくない。ここで熱可塑性樹脂とはPVC、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニ
トリル−スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレ
ン系樹脂等が挙げられる。PVCとしてはポリ塩化ビニ
ルの他、塩化ビニル70重量%以上からなる塩化ビニル
系共重合体が使用できる。塩化ビニルに共重合するモノ
マーとしてはエチレン、プロピレン、臭化ビニル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル等が用いられる。
【0036】本発明の耐衝撃性改質剤と熱可塑性樹脂と
の配合は好ましくは粉末状で、例えばリボンブレンダ
ー、ヘンシェルミキサー等により行い、公知の混練機、
例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機
及び射出成形機等によって成形加工される。なお配合に
際しては公知の安定剤、可塑剤、滑剤及び着色剤等を必
要に応じて添加してもよい。
【0037】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお実施例中「部」及び「%」は夫々「重量部」、
「重量%」を意味するものである。また共重合体のTg
はFoxの式より求めたものである。
【0038】実施例1 (a)多層グラフト共重合体(1)の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水190部を入れ、
半硬化牛脂脂肪酸石けん1.2部、過硫酸カリ0.6部
を溶解し、70℃に保持しながら、層(C)成分として
アクリル酸n−ブチル19.85部、イソシアヌル酸ト
リアリル0.15部よりなる混合物を1時間にわたり滴
下した。滴下終了後同温度に保ちながら1時間保持し、
重合を完結させた。重合率は99.0%であった。
【0039】この重合体ラテックスに層(B)成分とし
てメタクリル酸メチル49.7部、イソシアヌル酸トリ
アリル0.3部とからなる混合物を2時間にわたり、温
度を70℃に保ちながら滴下し、滴下終了後1時間保持
を行い、重合を完結させた。重合率は99.5%であっ
た。
【0040】得られた重合体ラテックスに過硫酸カリ
0.2部を水10部に溶解して追加し、層(A)成分と
してアクリル酸n−ブチル29.8部、イソシアヌル酸
トリアリル0.2部の混合物を90分にわたり、温度を
70℃に保ちながら滴下し、滴下終了後1時間保持を行
い重合を完結させた。重合率は99.3%で、得られた
グラフト共重合体の平均粒子径は0.25μであった。
【0041】(b)共重合体(2)の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を入れ、
半硬化牛脂脂肪酸石けん3部、過硫酸カリ0.6部を溶
解し、アクリル酸エチル90部、メタクリル酸10部か
らなる混合物を温度を70℃に保ちながら4時間にわた
り滴下し、3時間保持を行い、重合して共重合体(2)
ラテックスを得た。重合率は99.9%以上であった。
【0042】(c)ラテックスブレンド及びポリマー回
収 多層グラフト共重合体(1)ラテックス100部(固形
分として)を攪拌機を備えた反応釜に入れ、共重合体
(2)ラテックス2部(固形分として)を攪拌しながら
10秒間で添加し15分間攪拌を行った。
【0043】得られたラテックス混合物を硫酸水溶液に
加え、酸析凝固したのち、洗浄脱水し、乾燥を行い、粉
末状でポリマーの回収を行った(実施例1−1))。
【0044】なお共重合体(2)の添加量を種々変更し
たものを表1に併せて示す。
【0045】(d)塩化ビニル樹脂との配合組成物の製
造 平均重合度1100の塩化ビニル樹脂100部に三塩基
性硫酸鉛1.0部、二塩基性ステアリン酸0.3部、ス
テアリン酸鉛2.4部、ステアリン酸0.3部、ポリエ
チレンワックス0.3部、上記(c)で得られたそれぞ
れの改質剤10部を加え、ヘンシェルミキサー中で11
5℃まで昇温させて均一な混合物を得た。この塩化ビニ
ル樹脂組成物を30mm単軸押出機で以下の条件で角棒
成形を行った。
【0046】シリンダー1 150℃ シリンダー2 165℃ シリンダー3 180℃ ダイス 200℃ スクリュー CR=3.0,30mmφフルフライトス
クリュー 成形品の衝撃強度は2mm深さのUノッチを付けた試片
を用いる以外はASTM D−256に従い測定した。
これらの測定結果を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】以上の結果から共重合体(2)を特定量ブ
レンドすることで、耐衝撃性改良効果が向上することが
わかる。
【0049】実施例2 実施例1の(a)と同様に操作し、ただし層(C)の成
分をアクリル酸2エチル−ヘキシル39.75部とメタ
クリル酸アリル0.25部とし、層(B)の成分をメタ
クリル酸メチル27.9部、スチレン11.9部、メタ
クリル酸アリル0.2部とし、層(A)の成分をアクリ
ル酸2エチル−ヘキシル19.85部とメタクリル酸ア
リル0.15部として多層グラフト共重合体(1)ラテ
ックスを得た。この多層グラフト共重合体ラテックス1
00部(固形分として)に実施例1の(b)で得られた
共重合体(2)ラテックスを4部(固形分として)ブレ
ンドし、実施例1の(c)と同様に操作してポリマーを
回収した。このポリマーを実施例1の(d)と同様に操
作し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。この組成物の耐衝
撃性を実施例1の(d)と同様の方法で測定した結果を
表2に示す。同様に層(C)成分、層(B)成分及び層
(A)成分の単量体及び架橋剤の種類ならびに使用部数
を表2に示すように変更する以外は実施例1と全く同じ
ように操作して得た多層グラフト共重合体(1)ラテッ
クス100部(固形分として)に実施例1の(b)で得
られた共重合体(2)ラテックスを夫々4部(固形分と
して)ブレンドし、実施例1の(c)、(d)と同様に
操作して得られた塩化ビニル樹脂組成物の耐衝撃性を同
じ評価法により測定した結果を表2に併せて示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2中の略号は次の通りであり、以後の場
合も同じである。
【0052】2EHA:2エチルヘキシルアクリレート MMA:メタクリル酸メチル St:スチレン AN:アクリロニトリル AMA:メタクリル酸アリル 比較例3,4からわかるように、層成分(C)あるいは
層成分(A)のTgの高いものは耐衝撃性改良効果は小
さいことがわかる。また比較例4′より層成分(B)の
Tgが低いものは粉体性状が悪化することがわかる。
【0053】実施例3 共重合体(2)ラテックスとしてアクリル酸ブチル85
部、アクリル酸15部からなる混合物を実施例1の
(b)と同様に操作して重合して共重合体(2)ラテッ
クスを得た。この共重合体(2)ラテックス3部(固形
分として)を実施例1の(a)で得られた多層グラフト
共重合体(1)ラテックス100部(固形分として)に
ブレンドし、実施例1の(c)、(d)と同様に操作し
て得られた塩化ビニル樹脂組成物の耐衝撃性を表3に示
す。なお共重合体(2)ラテックスとして、組成及び添
加量を変更したものの評価結果を表3に併せて示す。
【0054】
【表3】
【0055】表3中の略号は次の通りであり、以後の場
合も同じである。
【0056】BA:アクリル酸n−ブチル AA:アクリル酸 IA:イタコン酸 EA:アクリル酸エチル MA:アクリル酸メチル MAA:メタクリル酸 CA:クロトン酸 以上の結果から共重合体(2)ラテックス中の不飽和酸
の少ないものは耐衝撃性改良効果が少なく、また多いも
のはブレンド後のラテックス安定性が悪化することがわ
かる。
【0057】実施例4 実施例1の(a)において、乳化剤をラウロイルベンゼ
ンスルフォン酸ナトリウム、触媒をナトリウムホルムア
ルデヒドスルホキシレートを用い、層(C)の成分とし
てアクリル酸n−ブチル29.8部と、シアヌル酸トリ
アリル0.2部、t−ブチルハイドロパーオキシド0.
15部、層(B)の成分としてメタクリル酸メチル3
6.8部、アクリロニトリル3部、シアヌル酸トリアリ
ル0.2部、t−ブチルハイドロパーオキシド0.15
部、層(C)の成分としてアクリル酸n−オクチル2
9.8部、シアヌル酸トリアリル0.2部、t−ブチル
ハイドロパーオキシド0.15部とする以外は実施例1
−1)と同様に操作して多層グラフト共重合体(1)ラ
テックスを得た。
【0058】この多層グラフト共重合体(1)ラテック
ス100部(固形分として)に実施例1の(b)の共重
合体(2)ラテックス2部(固形分として)をブレンド
し、実施例1の(c)と同様に操作し、ポリマーを回収
した。このポリマーを実施例1の(d)と同様に操作
し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。この組成物の耐衝撃
性を実施例1の(d)と同様の方法で測定した結果を表
4に示す。なお各層の成分中における架橋剤量と単量体
のみの比率を変更したものを夫々表4に併せて示す。
【0059】
【表4】
【0060】表4中の略号は次の通りである。
【0061】TAC:シアヌル酸トリアリル OA:アクリル酸n−オクチル 表4に示すように、各成分中の架橋剤量が多いものは、
耐衝撃性改良効果は少ないことがわかる。
【0062】実施例5 市販のPVC改質剤であるメタクリル酸メチル−ブタジ
エン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、塩素化ポリエチレ
ン(ClPE)及び実施例1−1)で得られた改質剤を
実施例1の(d)と同様に操作してPVC組成物を得
た。これらの耐候性を表5に示す。耐候性はウエザオメ
ーター(東洋理化製WE−II型)により加速暴露処理し
た後のアイゾット衝撃強度及び着色程度で示す。
【0063】
【表5】
【0064】なお表5中の着色程度の表示は次の通りで
ある。
【0065】○:殆んど着色せず良好である。 △:やや着色しあまり好ましくない。 ×:着色して不良である。
【0066】表5の結果から本発明に係る改質剤は市販
のMBS、ClPEに比較して耐候性(初期インパクト
保持率、帯色性)が非常に良好であることがわかる。
【0067】実施例6 実施例1の(a)〜(c)で得られた改質剤20部、ポ
リカーボネート樹脂80部、酸化防止剤0.2部、ステ
アリン酸カルシウム0.1部をヘンシェルミキサーにて
混合し、シリンダー温度240℃にセットされた30m
mφ押出機でペレット化した。乾燥後、射出成形機によ
り試験片を作製し、実施例1の(d)と同じ評価法によ
り衝撃強度を測定した結果を表6に示す。なお、共重合
体(2)の添加量を種々変更したものの結果を表6に併
せて示す。
【0068】
【表6】
【0069】以上の様に、本発明に係る改質剤は、ポリ
カーボネート樹脂に対し、良好な耐衝撃性改良効果を示
す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33:06) 7921−4J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部とアクリル酸
    アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳
    香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物からなる単量
    体群から選ばれた単量体から構成され、最外層(A)を
    構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下、最外層
    (A)から2番目の層(B)を構成する重合体のガラス
    転移温度が60℃以上、最外層(A)から3番目の層
    (C)を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下で
    ある層(A)、(B)及び(C)の少なくとも三層構造
    からなる多層構造を有し、且つ各層において各層に対し
    て多官能性架橋剤0〜5重量%を含有する多層グラフト
    共重合体(1)100重量部に、不飽和酸単量体3〜3
    0重量%及びこれと共重合可能なビニル単量体97〜7
    0重量%を共重合して得られる共重合体(2)0.1〜
    20重量部を配合してなる耐衝撃性改質剤3〜50重量
    部とからなる耐候性、耐衝撃性及び成形加工性良好な熱
    可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐衝撃性改質剤の多層グ
    ラフト共重合体が、最外層(A)が、単量体群の中から
    層(A)を構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下
    となるように選ばれた少なくとも一種の単量体95〜1
    00重量%と多官能性架橋剤0〜5重量%とからなる重
    合体で、且つ多層グラフト共重合体中に占める割合が1
    0〜50重量%、最外層(A)から2番目の層(B)
    が、単量体群の中から層(B)を構成する重合体のガラ
    ス転移温度が60℃以上となるように選ばれた少なくと
    も一種の単量体95〜100重量%と多官能性架橋剤0
    〜5重量%とからなる重合体で、且つ多層グラフト共重
    合体中に占める割合が20〜60重量%、最外層(A)
    から3番目の層(C)が、単量体群の中から層(C)を
    構成する重合体のガラス転移温度が0℃以下となるよう
    に選ばれた少なくとも一種の単量体95〜100重量%
    と多官能性架橋剤0〜5重量%とからなる重合体で、且
    つ多層グラフト共重合体中に占める割合が10〜60重
    量%なる構造であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の耐衝撃性改質剤に混合す
    る樹脂が、塩化ビニル系樹脂及びポリカーボネート樹脂
    から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である熱可
    塑性樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007125805A1 (ja) * 2006-04-26 2007-11-08 Kaneka Corporation 熱可塑性樹脂組成物、及びその製造方法
JP2009191228A (ja) * 2008-02-18 2009-08-27 Nippon Shokubai Co Ltd 水性樹脂組成物及びそれを含む建築外装トップコート用塗料
WO2016195013A1 (ja) * 2015-06-04 2016-12-08 株式会社カネカ 塩化ビニル系樹脂組成物

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