JPH0742341B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH0742341B2
JPH0742341B2 JP4256366A JP25636692A JPH0742341B2 JP H0742341 B2 JPH0742341 B2 JP H0742341B2 JP 4256366 A JP4256366 A JP 4256366A JP 25636692 A JP25636692 A JP 25636692A JP H0742341 B2 JPH0742341 B2 JP H0742341B2
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layer
graft copolymer
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graft
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和正 釡田
和雄 上田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐衝撃性及び成形加工性
良好な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂、とりわけ塩化ビニル系樹
脂(以下PVCと略記する。)は汎用樹脂として広く使
用されているが、その機械的性質は必ずしも満足し得る
ものではない。即ちPVCは衝撃強度、特にノッチ付き
の衝撃強度に劣り、かかる衝撃強度を改良する目的で種
々の方法が提案されてきた。
【0003】これら提案の内最も有効な方法は共役ジエ
ン弾性体にスチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニ
トリル等の単量体をグラフト重合して得られる多層グラ
フト共重合体をPVCに混合する方法である。このよう
な多層グラフト共重合体は既にPVC用耐衝撃性改質剤
として市販されており、PVC製成形品の用途拡大に大
きく貢献している。
【0004】ところで異形押出用途の中では非常に滑性
が強く、混練りの効かないような条件で成形された場合
でも、高い衝撃強度を有する組成物が要求されており、
従来提案されている耐衝撃性改質剤では充分満足のいく
ものは得られない。即ち従来の耐衝撃性改質剤として弾
性体にPVCと相溶性のよい樹脂成分をグラフト重合し
た多層グラフト共重合体は、高温加工された場合、ある
いは比較的滑剤の使用量の少ない場合等は多層グラフト
共重合体がPVC中に均一に分散し良好な耐衝撃性を示
すのに対し、低温加工された場合あるいは多量の滑剤を
用いた場合等では多層グラフト共重合体がPVC中で凝
集をおこし、殆んど耐衝撃性を示さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはかかる多
層グラフト共重合体をPVC中に均一分散させることが
耐衝撃性改良に最も有効であるという考えに基づき鋭意
検討した結果、従来知られている多層グラフト共重合体
よりも、最外層のガラス転移温度(以下Tgと略記す
る。)が0℃以下である多層グラフト共重合体がPVC
とブレンドして成形する際に混練りの高い成形条件でも
分散状態が良好であるのはもちろんのこと、混練りが低
く剪断応力の低い場合でも多層グラフト共重合体が速や
かに溶融し易く、ゲル化が早まり分散状態が極めて良好
で、広範囲の成形条件において高い衝撃強度を示し、且
つ加工性が良好で表面光沢に優れた成形品とし得ること
を見出し本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、熱可塑性樹脂100重量部と架橋剤を0〜5重量
%含有する、ポリブタジエン又はブタジエン50重量%
以上とこれと共重合し得る他のビニル化合物50重量%
以下の共重合体とからなるブタジエン系弾性体(A)に
少なくとも二層のグラフト層がグラフト重合された多層
グラフト共重合体からなり、かかるグラフト層がアクリ
ル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステ
ル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物及びブタ
ジエンからなる単量体群から選ばれた単量体から構成さ
れ、各グラフト層が各層に対して架橋剤を0〜5重量%
含有し、最外層(C)を構成する重合体のTgが0℃以
下、最外層(C)から2番目の層(B)を構成する重合
体のTgが60℃以上であることを特徴とする耐衝撃性
改質剤3〜50重量部とからなる耐衝撃性及び成形加工
性良好な熱可塑性樹脂組成物にある。
【0007】本発明の耐衝撃性改質剤としては少なくと
も三段階にわたって重合して得られた三層以上の多層構
造を有することが必須であり、もちろんグラフト層が三
層、四層となっても差し支えなく、あく迄も最外層の重
合体のTgが0℃以下、最外層から数えて2番目の層の
重合体のTgが60℃以上を満足するポリマー構造であ
ればよく、このようなTgの範囲であればもちろん他の
単量体又は単量体混合物を目的に応じて多段で重合して
もよい。
【0008】本発明の耐衝撃性改質剤を構成する単量体
群はアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキ
ルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物
及びブタジエンから構成されるものである。
【0009】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が2〜10個のものが好ましく、例え
ばアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチル及びアクリル酸2エチル−ヘキ
シル等が挙げられる。
【0010】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
アルキル基の炭素数が1〜4個のものが好ましく、例え
ばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル及びメタクリル
酸ターシヤリブチル等が挙げられる。PVCとの相溶性
を考慮するとメタクリル酸メチルが特に好ましいもので
ある。
【0011】また芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−置換スチレン、核置換スチレン及びその誘導
体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ルトルエン等が挙げられる。
【0012】さらにビニルシアン化合物としてはアクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0013】さらにまたブタジエンは、1,2−ブタジ
エン、1,3−ブタジエンが挙げられる。
【0014】本発明の耐衝撃性改質剤を構成する最外層
(C)成分は、最外層(C)自体のTgが0℃以下とな
るように前記単量体群の中から選ばれる。最外層(C)
中の前記単量体の組成割合はアクリル酸アルキルエステ
ルが0〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル
0〜40重量%、芳香族ビニル化合物0〜40重量%、
ビニルシアン化合物0〜20重量%、ブタジエン0〜1
00重量%の範囲で使用可能である。最外層(C)自体
のTgが0℃を超える場合には所望とする耐衝撃性改良
効果が充分得られにくい。また常圧重合が可能という点
でブタジエンよりアクリル酸アルキルエステルの方が好
ましい。
【0015】最外層(C)の多層グラフト共重合体総量
中に占める割合は10〜60重量%が好ましく、10重
量%未満の割合では耐衝撃性改良効果が小さく、また6
0重量%を超える割合ではPVCとブレンドして成形す
る際の成形加工性が悪くなるので好ましくない。
【0016】また最外層(C)から数えて2番目の層
(B)の成分は、層(B)自体のTgが60℃以上とな
るように前記単量体群の中から選ばれる。層(B)中の
前記単量体の組成割合はメタクリル酸アルキルエステル
0〜100重量%、芳香族ビニル化合物0〜100重量
%、ビニルシアン化合物0〜30重量%、アクリル酸ア
ルキルエステル0〜20重量%の範囲で使用可能であ
る。層(B)自体のTgが60℃未満では多層グラフト
重合体粒子が凝集し易くなり耐衝撃性も劣る。層(B)
の成分としては、PVCとブレンドする場合にはメタク
リル酸アルキルエステルが好ましく、特にメタクリル酸
メチルが好ましい。芳香族ビニル化合物PVCとのブレ
ンド成形時にその流動性を向上させるが、多量に用いた
場合には相溶性が悪化し、耐衝撃性が低下する。またビ
ニルシアン化合物はPVCとのブレンド時のゲル化を促
進させるため好ましいものであるが、多量に用いると成
形時に帯色しやすくまた加工性も悪化する。
【0017】層(B)の多層グラフト共重合体総量中に
占める割合は20〜60重量%が好ましく、20重量%
未満の割合ではPVCとブレンドして成形する際の成形
加工性が劣るので好ましくない。また60重量%を超え
る割合では多層グラフト共重合体全体に占める弾性体成
分量が減少することになり耐衝撃性改良効果が小さく好
ましくない。
【0018】ジエン系弾性体(A)は多層グラフト共重
合体の基体となるゴム成分を含み、このゴム成分はポリ
ブタジエン又はブタジエン50重量%以上とこれと共重
合し得る他のビニル化合物50重量%以下の共重合体で
ある。上記共重合し得る他のビニル化合物としてはスチ
レン、アクリロニリトル等が挙げられる。
【0019】ジエン系弾性体(A)の多層グラフト共重
合体総量中に占める割合は10〜60重量%が好まし
く、10重量%未満の割合では耐衝撃性改良効果が少な
い。また60重量%を超える割合では乳化重合体ラテッ
クスの凝固が困難になるばかりでなく、PVCとブレン
ドして成形する際の成形加工性も劣るので好ましくな
い。
【0020】本発明における多官能性架橋剤は本発明の
耐衝撃性改質剤を製造する際のグラフト交叉結合を容易
にならしめるだけでなく、乳化重合体ラテックスの凝固
性も大幅に改良するものである。多官能性架橋剤として
は、ジビニルベンゼン、アクリル酸又はメタクリル酸と
多価アルコールとのエステルであるジアクリル酸エステ
ル又はジメタクリル酸エステル、あるいはシアヌル酸ト
リアリル、イソシアヌル酸トリアリル、アクリル酸アリ
ル、メタクリル酸アリル、イタコン酸ジアリル、フタル
酸ジアリル等が挙げられる。なおグラフト交叉性を考え
るならばアリル基を有する架橋剤が好ましいものであ
る。
【0021】多官能性架橋剤の各層中に占める割合は0
〜5重量%である。5重量%を超えて使用する場合には
弾性体層なるジエン系弾性体(A)又は層(C)があま
りにも弾性的性質を損う。また樹脂層なる層(B)はP
VCとの相溶性が悪化するため、いずれも耐衝撃性改良
効果が低下するため好ましくない。多官能性架橋剤の各
層中に占める割合は多層グラフト共重合体製造時の乳化
重合体ラテックスの凝固性、さらには得られる多層グラ
フト共重合体の耐衝撃性改良効果を考慮すると0.1〜
3重量%の範囲が好ましい。
【0022】本発明の耐衝撃性改質剤なる多層グラフト
共重合体は通常の乳化重合法で製造することが好まし
い。
【0023】乳化剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸
エステル塩、アルキルベンゼンスルフオン酸塩、アルキ
ルリン酸エステル塩、ジアルキルスルフオコハク酸塩等
のアニオン性界面活性剤、またポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等
のノニオン性界面活性剤、更にアルキルアミン塩等のカ
チオン性界面活性剤を使用することができる。これらの
界面活性剤は単独で又は併用して使用することができ
る。また乳化剤の種類により、重合系のpHがアルカリ
側となる時は、アクリル酸アルキルエステルの加水分解
を防止するため、適当なpH調節剤を使用することもで
きる。
【0024】重合開始剤としては、通常の過硫酸塩など
の無機開始剤、又は有機過酸化物、アゾ化合物等を単独
で用いるか、あるいは、上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸
水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムア
ルデヒドスルホキシレート等を組み合わせ、レドックス
系開始剤として用いることもできる。開始剤として好ま
しい過硫酸塩は過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム等であり、有機過酸化物としては、t
−ブチルハイドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキ
シド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等である。
【0025】重合体の分子量を調節するために連鎖移動
剤を使用してもよく、炭素数5〜20のアルキルメルカ
プタン等が使用可能である。
【0026】重合は開始剤の分解温度以上の温度にて、
通常の乳化重合条件下で少なくとも最外層(C)、最外
層(C)から2番目の層(B)及びジエン系弾性体
(A)が前述したような構造になるように行うことがで
きる。この際に各段階いずれの重合についても、各単量
体又は単量体の混合物の全量を一度に、あるいは全量又
は一部を連続的に添加しながら行うことができる。ただ
し重合の安定性、重合反応熱の除去等の点からは全量又
は一部を添加しながら重合を行うことが好ましい。
【0027】多層グラフト共重合体の粒子径は、PVC
樹脂組成物の衝撃強度に大きな影響を与える。粒子径が
小さすぎると衝撃強度改良効果が小さく、ラテックスの
安定性を損わない程度にできるだけ大きい方が、好まし
い。グラフト共重合体の粒子径は0.15〜0.40μ
の範囲がよく、適当な乳化剤種類・量で調整するか、あ
るいは適当な重合段階において、酸又は無機塩等の肥大
化剤を用いて調整することもできる。
【0028】得られたラテックスから多層グラフト共重
合体を回収するに際しては塩析あるいは酸析凝固し、濾
過水洗後粉末状で回収するかあるいは噴霧乾燥、凍結乾
燥等により回収することができる。さらに特開昭57−
187322号の方法で回収することもできる。
【0029】本発明の耐衝撃性改質剤は前述のような多
層構造を有するグラフト共重合体であり、種々の熱可塑
性樹脂に高い耐衝撃性、良好な加工性を付与し、且つ成
形品の外観も良好なものとするものである。
【0030】本発明の耐衝撃性改質剤を熱可塑性樹脂に
配合する割合は熱可塑性樹脂100重量部に対し、3〜
50重量部である。3重量部未満の配合割合では耐衝撃
性改良効果が少なく、また50重量部を超える場合には
熱可塑性樹脂が本来有する機械的性質が損われてしまう
ので共に好ましくない。ここで熱可塑性樹脂とはPV
C、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ロニトリル−スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−ス
チレン系樹脂等が挙げられる。PVCとしてはポリ塩化
ビニルの他、塩化ビニル70重量%以上からなる塩化ビ
ニル系共重合体が使用できる。塩化ビニルに共重合する
モノマーとしてはエチレン、プロピレン、臭化ビニル、
塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル等が用いられる。
【0031】本発明の耐衝撃性改質剤と熱可塑性樹脂と
の配合は好ましくは粉末状で、例えばリボンブレンダ
ー、ヘンシエルミキサー等により行い、公知の混練機、
例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機
及び射出成形機等によって成形加工される。なお配合に
際しては公知の安定剤、可塑剤、滑剤及び着色剤等を必
要に応じて添加してもよい。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例、比較例中「部」及び「%」は夫々
「重量部」、「重量%」を意味するものである。また、
各実施例、比較例中の共重合体のTgはFoxの式より
求めたものである。
【0033】実施例1 (a) ゴム弾性体(A)の製造 次の組成に従ってゴム弾性体(A)を合成した。 1,3−ブタジエン 75部 スチレン 25〃 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド 0.2〃 ピロリン酸ソーダ 0.5〃 硫酸第一鉄 0.01〃 デキストローズ 1.0〃 オレイン酸カリウム 0.5〃 水 200〃 上記組成の混合物を耐圧オートクレーブで50℃で重合
を行なった。15時間で重合は完結した。得られたゴム
の平均粒子径は0.16μであった。
【0034】(b) 多層グラフト共重合体の製造 上記(a)により得られたゴムラテックス30部(重合
体固形分として)に、半硬化牛脂カリ石けん0.6部、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部
を水120部に溶解したものを加え、攪拌しながら70
℃まで昇温した。このラテックスの温度を70℃に保持
し、メタクリル酸メチル39.8部、トリアリルイソシ
アヌレート0.2部、クメンヒドロパーオキシド0.1
5部からなる混合物を2時間30分にわたり滴下し、滴
下終了後1時間保持を行ない第1段目のグラフト重合を
完結させた。重合率は、99.8%であった。
【0035】得られた重合体ラテックスに、半硬化牛脂
カリ石けん0.3部、ナトリウムホルムアルデヒドスル
ホキシレート0.2部を水20部に溶解したものを加
え、アクリル酸n−ブチル29.8部、トリアリルイソ
シアヌレート0.2部、クメンヒドロパーオキシド0.
15部からなる混合物を温度を70℃に保ちながら2時
間にわたり滴下し、滴下終了後1時間保持を行ない重合
を完結させた。重合率は99.6%であり、最終グラフ
ト共重合体の粒子径は0.21μであった。
【0036】このグラフト共重合体ラテックスに安定剤
として2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール1.0
部、ジラウリルチオジプロピオネート0.5部を添加
し、1%硫酸水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥して白
色の粉末樹脂を得た(実施例1−1)。さらに(A),
(B),(C)各成分の割合を種々変更し前記同様の重
合処方にて多層グラフト共重合体を得た。これらを表2
に示す。
【0037】 (c) 塩化ビニル樹脂との配合組成物の製造 上記(b)により得られたグラフト共重合体10部と平
均重合度700の塩化ビニル樹脂90部の計100部に
三塩基性硫酸鉛2.0部、二塩基性ステアリン酸鉛0.
3部、ステアリン酸鉛2.0部、ステアリン酸0.3部
を加え、ヘンシエルミキサー中で115℃まで昇温させ
て均一な混合物を得た。この塩化ビニル組成物を30m
mφ単軸押出機で表1の条件で角棒成形を行なった。
【0038】
【表1】
【0039】この配合及び成形条件は非常に練りがかか
らない条件である。成形品の衝撃強度はASTMD−2
56に従い、Uノッチ付アイゾット衝撃試験を行なっ
た。これらの測定結果を表2に併せて示した。
【0040】比較例1 実施例1の(a)で製造したゴムラテックス60部(重
合体固形分として)に半硬化牛脂カリ石けん0.6部、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部
を水70部に溶解したものを加え、攪拌しながら70℃
まで昇温した。このラテックスの温度を70℃に保持
し、メタクリル酸メチル39.8部、トリアリルイソシ
アヌレート0.2部、クメンヒドロパーオキシド0.1
5部からなる混合物を2時間30分にわたり滴下し、滴
下終了後1時間保持を行ないグラフト重合を完結させ
た。重合率は99.8%であり、最終グラフト共重合体
の粒子径は0.20μであった。この重合体ラテックス
から、実施例1と同様に操作し、グラフト共重合体の回
収を行なった。このグラフト共重合体を実施例1の
(c)と同じ処方により配合した組成物を同様の条件で
角棒成形を行ない、同様のUノッチ付アイゾット衝撃試
験を行なった。この測定結果を表2に併せて示した。
【0041】比較例2 実施例1の(a)で製造したゴムラテックス30部(重
合体固形分として)に半硬化牛脂カリ石けん0.3部、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部
を水120部に溶解したものを加え、アクリル酸n−ブ
チル29.8部、トリアリルイソシアヌレート0.2
部、クメンヒドロパーオキシド0.15部からなる混合
物を温度を70℃に保ちながら2時間にわたり滴下し
た。滴下終了後1時間保持を行ない重合を完結させた。
重合率は99.5%であった。
【0042】この重合体ラテックスに、半硬化牛脂カリ
石けん0.6部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキ
シレート0.2部を水10部に溶解したものを加え、メ
タクリル酸メチル39.8部、トリアリルイソシアヌレ
ート0.2部、クメンヒドロパーオキシド0.15部か
らなる混合物を2時間30分にわたり滴下し、滴下終了
後1時間保持を行ない重合を完結させた。重合率は9
9.8%で得られたグラフト共重合体の平均粒子径は
0.21μであった。この重合体ラテックスから、実施
例1と同様に操作しグラフト共重合体の回収を行なっ
た。このグラフト共重合体を実施例1の(c)と同じ処
方により配合した組成物を同様の条件で角棒成形を行な
い、同様のUノッチ付アイゾット衝撃試験を行なった。
この測定結果を表2に併せて示した。
【0043】表2中の略号は次の通りであり、以後の場
合も同じである。 Bd:1,3−ブタジエン St:スチレン MMA:メタクリル酸メチル BA:アクリル酸n−ブチル TAIC:トリアリルイソシアヌレート なお表2中のジエン系弾性体(A)成分のBdとStの
比率はすべてBd/St=75/25(部)である。以
上の結果から、本発明は、比較例1,2と比べ、飛躍的
に衝撃強度改良効果が大きいことがわかる。
【0044】
【表2】
【0045】実施例2 (A)成分として表3に示す割合で、(B)成分として
スチレン27.9部、メタクリル酸アリル0.1部から
なる混合物と、メタクリル酸メチル11.9部、メタク
リル酸アリル0.1部とからなる混合物を2段で重合す
るのと、さらに(C)成分として、2−エチルヘキシル
アクリレート29.8部とメタクリル酸アリル0.2部
からなる混合物を重合する以外は実施例1の(a)およ
び(b)と同じように重合操作をした。こうして得られ
たグラフト共重合体を実施例1の(c)と同様に操作し
て得られた塩化ビニル組成物の耐衝撃性を表3に示す。
この樹脂組成物はグラフト共重合体の屈折率をPVCと
同じにしているため、良好な透明性を示す。なお同様に
(A)成分、(B)成分、(C)成分を変更したものの
耐衝撃性改良効果を実施例2−2,2−3、比較例3,
4として表3に併せて示す。
【0046】表3中の略号は次の通りである。(B)成
分は2段で重合したものである。 AMA:メタクリル酸アリル 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート なお表3において、実施例2−1,2−2及び比較例4
のジエン系弾性体(A)成分のBdとStの比率はそれ
ぞれBd/St=75/25(部)であり、また実施例
2−3のジエン系弾性体(A)成分のBdとStの比率
はBd/St=60/40(部)、比較例3のそれはB
d/St=30/70(部)である。以上の結果から
(A)成分もしくは(C)成分のTgが高いものは耐衝
撃性改良効果が少ないことがわかる。
【0047】
【表3】
【0048】実施例3 実施例1の(a)と同じ処方でブタジエン−スチレン共
重合体(A)を合成した。得られたゴムラテックス30
部(重合体固形分として)に実施例1の(b)と同様に
グラフト重合を行なった。ただし(B)成分として、メ
タクリル酸メチル34.8部、アクリロニトリル5部、
トリアリルイソシアヌレート0.2部からなる混合物を
重合させた。さらに(C)成分として、アクリル酸n−
オクチル29.8部、トリアリルイソシアヌレート0.
2部とからなる混合物を重合させた。
【0049】得られたグラフト共重合体を実施例1の
(c)と同様に操作して得られた塩化ビニル組成物の耐
衝撃性改良効果を表4に示す。なお同様にして(B)成
分、(C)成分の架橋剤量を変更したグラフト共重合体
の耐衝撃性改良効果を実施例3−2,比較例5として表
4に併せて示す。
【0050】表4中の略号は次の通りである。 OA:アクリル酸n−オクチル AN:アクリロニトリル なお表4中のジエン系弾性体(A)成分のBdとStの
比率はすべてBd/St=75/25(部)である。以
上の結果から(B)成分、(C)成分の架橋剤量を多量
に使用すると、耐衝撃性改良効果が少ないことがわか
る。
【0051】
【表4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部と、架橋剤を
    0〜5重量%含有する、ポリブタジエン又はブタジエン
    50重量%以上とこれと共重合し得る他のビニル化合物
    50重量%以下の共重合体とからなるブタジエン系弾性
    体(A)に少なくとも二層のグラフト層がグラフト重合
    された多層グラフト共重合体からなり、かかるグラフト
    層がアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキ
    ルエステル、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物
    及びブタジエンからなる単量体群から選ばれた単量体か
    ら構成され、各グラフト層が各層に対して架橋剤を0〜
    5重量%含有し、最外層(C)を構成する重合体のガラ
    ス転移温度が0℃以下、最外層(C)から2番目の層
    (B)を構成する重合体のガラス転移温度が60℃以上
    であることを特徴とする耐衝撃性改質剤3〜50重量部
    とからなる耐衝撃性及び成形加工性良好な熱可塑性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐衝撃性改質剤中のブタ
    ジエン系弾性体(A)が多層グラフト共重合体中に占め
    る割合が10〜60重量%、最外層(C)が単量体群の
    中から該層(C)を構成する重合体のガラス転移温度が
    0℃以下となるように選ばれた少なくとも一種の単量体
    95〜100重量%と架橋剤0〜5重量%とからなる重
    合体で、且つ多層グラフト共重合体中に占める割合が1
    0〜60重量%、最外層(C)から2番目の層(B)
    が、単量体群の中から該層(B)を構成する重合体のガ
    ラス転移温度が60℃以上となるように選ばれた少なく
    とも一種の単量体95〜100重量%と架橋剤0〜5重
    量%とからなる重合体で、且つ多層グラフト共重合体中
    に占める割合が20〜60重量%であることを特徴とす
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の耐衝撃性改質剤に混合す
    る熱可塑性樹脂が塩化ビニル系樹脂であることを特徴と
    する請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
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