JP2005139312A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性に優れた成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、(B)芳香族ポリエステル樹脂5〜95質量%との合計100質量部に対して(C)ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤0.5〜50質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止に優れた熱可塑性樹脂組成物、そして、この熱可塑性樹脂組成物からなる成形品に関する。
ABS樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性、成形性、剛性等の機械的強度等、更には成形品表面外観に優れることから電気・電子分野、OA・家電分野、車両分野、サニタリー分野等に幅広く使用されているが、使用用途によっては、耐薬品性が十分でなく、更なる耐薬品性の向上が求められていた。また、これらの樹脂は、静電気を帯びやすく、表面にほこりが付着したり、電気機器関係において帯電した静電気が妨害を与えるという欠点を有している。これらの欠点を改良する方法として、特許文献1には、ポリアミドエラストマーを配合することが提案されている。
一方、芳香族ポリエステル樹脂は、優れた機械的性質、電気的性質、耐薬品性、耐熱性等を有しており、幅広い分野で使用されているが、耐衝撃性が劣るという欠点を有している。また、これらの樹脂も、上記同様に帯電しやすい欠点を有している。
耐薬品性と耐衝撃性に優れた材料を得る方法として、ABS樹脂等のスチレン系樹脂とポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルを配合することが考えられるが、これらの樹脂を単純にブレンドしただけでは相溶性が悪く、得られた組成物は、非常に脆いものであった。
相溶性を向上させる目的から各種提案がなされている。特許文献2には、ABS樹脂、芳香族ポリエステル、及びエポキシ基を有するビニル系単量体で変性されたビニル系共重合体からなる組成物が開示されている。また、特許文献3には、ABS樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、及びα、β―不飽和カルボン酸を共重合してなる変性ビニル系重合体からなる組成物が開示されている。
しかしながら、上記組成物は、耐衝撃性は改善されるものの、成形品は、帯電し易く、静電気障害を及ぼす用途への使用は困難であった。
また、帯電防止性を改良する目的から、特許文献1で開示されている、ポリアミドエラストマーをABS樹脂、芳香族ポリエステル樹脂と配合したが、非常に脆いものしか得られなかった。
特開平8−109327号公報 特許第2674040号公報 特開平1−123854号公報
本発明の目的は、耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記成形品を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂、芳香族ポリエステル樹脂を混合する際、ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤を存在させることで、耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性に優れた成形品が得られることを見いだした。また、更にスチレン系樹脂を官能基で変性させることでの耐衝撃性、帯電防止性が著しく向上することを見いだし、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、下記の熱可塑性樹脂組成物と、それを用いた成形品が提供される。
[1](A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)芳香族ポリエステル樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤を0.5〜50質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2]上記ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤が、有機スルホン酸型界面活性剤、フェノール系酸化防止剤及びポリエーテルポリエステルからなる組成物である上記[1]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]上記芳香族ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]上記スチレン系樹脂の少なくとも一部が、官能基で変性されていることを特徴とする上記[1]〜[3]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]上記(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対しいて、更に(D)強化充填材を1〜200質量部配合してなることを特徴とする上記[1]〜[4]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]上記[1]請求項1〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)スチレン系樹脂、(B)芳香族ポリエステル樹脂、(C)ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤からなるものであり、特に耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性に優れた成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のスチレン系樹脂「以下(A)成分ともいう」は、ゴム質重合体(a)の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体から構成される単量体(b)を(共)重合してなるものであり、ゴム質重合体存在下に(共)重合されたスチレン系樹脂の1種以上とゴム質重合体非存在下に(共)重合されたスチレン系樹脂の1種以上とを混合したものであってもよい。本発明が目的とする耐衝撃性の改善の観点から、(A)成分中のゴム質重合体(a)含有量は、(A)成分全体を100質量%として、3〜80質量%の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、5〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び/又は共重合を意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
上記ゴム質重合体(a)は、特に限定されないが、その具体例としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ブタジエン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン・イソプレン系ブロック共重合体等のブタジエン系(共)重合体、更にこれらのブタジエン系共重合体の部分又は完全水素添加物、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテンー1共重合体、エチレン・ブテンー1・非共役ジエン共重合体、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組みあわせて用いることができる。
これらのうちポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体及びそれらの水素添加物、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリル系ゴム及びシリコーン系ゴムが好ましい。
上記ゴム質重合体のゲル含率は、特に限定しないが、乳化重合で(A)成分を得る場合、
ゲル含率は、好ましくは98質量%以下であり、更に好ましくは40〜98質量%、特に好ましくは50〜95質量%である。この範囲で特に耐衝撃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることが出来る。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2グラムとする)し、下記式(1)によって算出する。
ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100…(1)
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整できる。
上記単量体(b)を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは1種単独で、又は2種以上を組合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα―メチルスチレンが好ましい。
該芳香族ビニル化合物と共重合可能な、他のビニル単量体としては、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、置換又は非置換のアミノ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
ここで使用されるビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、このマレイミド単位は、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化する方法で導入してもよい。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、2−ヒドロキシエチルアクリレ−ト、N―(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
置換又は非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の(A)成分の少なくとも一部が、官能基で変性されていることが、本発明の成形品の耐衝撃性、耐薬品性及び帯電防止性の観点から好ましい。好ましい官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、オキサゾリン基があり、更に好ましくは、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基であり、特に好ましくはエポキシ基、カルボキシル基及び水酸基である。
(A)成分の官能基を導入する方法で、特に好ましい方法は、前記官能基含有不飽和化合物を、(A)成分の少なくとも1種を製造する際に共重合する方法である。よって、官能基含有の(A)成分と官能基非含有の(A)成分を混合して用いても良い。官能基含有不飽和化合物の共重合量は、(A)成分中に0.01〜10質量%の範囲が特に好ましい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な上記他のビニル単量体は、単量体(b)の全体を100質量%とした場合、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。好ましい単量体の組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル、α―メチルスチレン/アクリロニトリル、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸、スチレン/N―フェニルマレイミド、スチレン/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルマレイミド、スチレン/α―メチルスチレン/アクリロニトリル等であり、これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の(A)成分は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組合わせた重合法で製造することができる。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられるが、これらは公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等を用いることができる。
尚、乳化重合において、ゴム質重合体(a)及び単量体(b)の使用方法は、ゴム質重合体(a)全量の存在下に単量体(b)を一括添加して重合してもよく、又は、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体(a)の一部を重合途中で添加してもよい。
乳化重合後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することにより、本発明の(A)成分の粉末とされる。この際、乳化重合で得た2種以上の(A)成分のラテックスを適宜ブレンドしたあと、凝固してもよい。ここで使用される凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、又は硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の酸を用いることができる。
溶液重合により(A)成分を製造する場合に用いることのできる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N―メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、ターピノーレン類、α―メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、塊状重合又は懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
尚、ゴム質重合体(a)の存在下、単量体(b)を重合して得られる重合体成分には、通常、上記単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフト共重合した共重合体と、上記ゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分(上記単量体(b)同士の(共)重合体)が含まれる。
上記各重合法によって得た(A)成分中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記(A)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。グラフト率(%)は、次式(2)により求められる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100…(2)
上記式(2)中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、本発明に関わる(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1.0dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
本発明に関わる(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは、1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(A)成分の使用量は、本発明の(A)成分と(B)成分の合計100質量%中、5〜95質量%、好ましくは10〜93質量%、更に好ましくは15〜90質量%、特に好ましくは20〜85質量%であり、5質量%未満では、耐衝撃性が劣り、また帯電防止性が低下する傾向にある。また、95質量%を超えると耐薬品性が劣る。
本発明の芳香族ポリエステル樹脂「以下(B)成分ともいう」としては、ジカルボン酸又はそのエステルもしくはエステル形成誘導体と、ジオール成分とを公知の方法により重縮合させて得られたもの等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
上記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、これらのエステル形成誘導体も、本発明の芳香族ポリエステル樹脂の成分として用いることができる。また、p―ヒドロキシ安息香酸の単独で、又はジオール成分、ジカルボン酸成分と併用して使用することができる。
ジオール成分の例としては、2〜6の炭素数を有するポリメチレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール)、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ヒドロキノン、及びこれらのエステル形成誘導体等が挙げられ、上記ジカルボン酸成分、上記ジオール成分等は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
好ましい芳香族ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等であり、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、特に好ましくは帯電防止性からポリエチレンテレフタレートである。
これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明で使用される芳香族ポリエステル樹脂の極限粘度には特に制限が無いが、ポリエチレンテレフタレートの場合、テトラクロルエタン/フェノールの等量混合溶媒中、25℃で測定した極限粘度〔η〕(単位dl/g)は、好ましくは0.5〜2.0、更に好ましくは0.5〜1.5である。
ポリブチレンテレフタレートの場合、o―クロロフェノールを溶媒として、25℃で測定した極限粘度〔η〕(単位dl/g)が、0.4〜2.0の範囲であるものが好ましく使用できる。
また、ポリエチレンテレフタレートのボトルの粉砕品を単独で、又は、上記芳香族ポリエステル樹脂と混合して使用することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(B)成分の使用量は、本発明の(A)成分と(B)成分の合計100質量%中、5〜95質量%であり、好ましくは7〜90質量%、更に好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは15〜80質量%である。その使用量が、5質量%未満では、耐薬品性が劣り、95質量%を超えると耐衝撃性が劣り、更に帯電防止性が劣る傾向にある。
本発明のポリエーテルエステル系帯電防止剤「以下(C)成分ともいう」としては、有機スルホン酸型界面活性剤、フェノール系酸化防止剤及びポリエーテルポリエステルからなる組成物が好ましく用いられる。かかるポリエーテルエステル系帯電防止剤としては、有機スルホン酸型界面活性剤が4〜30質量%、好ましくは10〜30質量%、フェノール系酸化防止剤が0.1〜3.5質量%、好ましくは0.2〜2質量%、及び残部がポリエーテルポリエステルから成るものが望ましく、さらには、該ポリエーテルポリエステルの合成過程で該有機スルホン酸型界面活性剤及び該フェノール系酸化防止剤を含有させて製造されたものが望ましい。
(C―1)有機スルホン酸型界面活性剤
有機スルホン酸型界面活性剤としては、公知のものを使用できる。かかる有機スルホン酸型界面活性剤は、有機スルホン酸と塩基とから構成される。該有機スルホン酸としては、(1)オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数8〜24のアルキルスルホン酸、(2)フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸等の芳香族スルホン酸、(3)オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸、(4)ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。また、該塩基としては、
(1)ナトリウム、カリウム、リチュウム等のアルカリ金属、(2)テトラブチルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、トリエチルヘキサデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム、(3)テトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウム、トリフェニルベンジルアンモニウム等のアンモニウム等が挙げられる。有機スルホン酸型界面活性剤としては、以上説明したスルホン酸と塩基とを適宜に組合わせたものを使用できるが、なかでもアルキル基の炭素数8〜24のアルキルスルホン酸塩、アルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸塩が好ましく、具体的にはテトラデシルスルホン酸塩、ドデシルフェニルスルホン酸塩、ジメチルナフチルスルホン酸塩がより好ましく、更に具体的にはテトラデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルスルホン酸ナトリウム、ジメチルナフチルスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルスルホン酸テトラブチルホスホニウムが特に好ましい。
(C―2)フェノール系酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤としては、公知のものを使用できるが、なかでも分子量500〜1200のものが好ましく、分子量700〜1200のものがより好ましい。かかる好ましいフェノール系酸化防止剤としては、3,9−ビス[2−(3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン(分子量741)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量1178)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(分子量775)、トリス−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(分子量784)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド(分子量637)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量643)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](分子量639)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(分子量531)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリブチルフェニル)ブタン(分子量545)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−ターシャリブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(分子量587)、2,4−ビス(ノルマルオクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−ターシャリブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(分子量589)等が挙げられる。
(C−3)ポリエーテルポリエステル
ポリエーテルポリエステルとしては、公知のものが使用できるが、その原料として特定の単量体を用いて合成したものが好ましく。なかでもかかる特定の単量体を用い且つ特定の合成過程を経て合成したものがより好ましい。特定の単量体としては、下記単量体A、単量体B及び単量体Cが挙げられる。
単量体Aは、(1)炭素数4〜20のジカルボン酸、(2)炭素数4〜20のジカルボン酸のエステル形成誘導体、又は(3)前記(1)と(2)の混合物である。この場合の
炭素数はカルボキシル基の炭素及びカルボキシル基の炭素に直結する鎖や環を構成する炭素の総数をいう。炭素数4〜20のジカルボン酸としては、(a)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、α,ω−ドデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルジカルボン酸等の炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸、(b)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数8〜20の脂環族ジカルボン酸、(c)テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、(d)5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の、スルホン酸基が芳香環に結合した炭素数8〜12の置換芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また炭素数4〜20のジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、前記(a)〜(d)の低級アルキルエステルが挙げられる。これには例えば、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、α,ω−ドデカンジカルボン酸ジメチル、ドデセニルコハク酸ジメチル、オクタデセニルジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アゼライン酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、α,ω−ドデカンジカルボン酸ジエチル、ドデセニルコハク酸ジエチル、オクタデセニルジカルボン酸ジエチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジ(2−ヒドロキシエチル)、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジ(2−ヒドロキシエチル)、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジ(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。なかでもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸及びこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
単量体Bは、(1)炭素数2〜4のオキシアルキレン単位を構成単位とするポリオキシアルキレン基を有する数平均分子量400〜10000のポリオキシアルキレンジオール、(2)炭素数2〜4のオキシアルキレン単位を構成単位とするポリオキシアルキレン基を有する数平均分子量400〜10000のポリオキシアルキレンジオールの片末端を炭素数1〜18の炭化水素基で封鎖したポリオキシアルキレンモノオール、又は(3)前記(1)と(2)との混合物である。前記(1)のポリオキシアルキレンジオールとしては、(a)ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシブチレンジオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジオール等の、炭素数2〜4の2価の脂肪族ヒドロキシ化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して得られるポリオキシアルキレンジオール、(b)ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加して得られる、芳香環を有するポリオキシアルキレンジオール等が挙げられるが、なかでも数平均分子量1000〜6000のものが好ましく、とりわけポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位のみ又はオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを構成単位とし且つオキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=100/0〜50/50(モル%)の割合で有するものが好ましい。前記(2)のポリオキシアルキレンモノオールとしては、前記(1)のポリオキシアルキレンジオールの末端水酸基のうちで一つの末端水酸基の水素を炭化水素基で置換したものである。かかる炭化水素基としては、(a)メチル基、エチル基、ブチル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基、オレイル基等の炭素数1〜18の直鎖アルキル基、(b)イソプロピル基、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、イソステアリル基等の炭素数3〜18の分岐アルキル基、(c)フェニル基、(d)ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基等のアルキル基で置換された炭素数7〜18のアルキル置換フェニル基等が挙げられるが、なかでもフェニル基が好ましい。
単量体Cは、(1)エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の炭素数2〜10のアルキレンジオール、(2)1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の炭素数6〜10のシクロアルカンジオール、又は(3)前記(1)と(2)との混合物であるが、なかでもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
ポリエーテルポリエステルとしては、以上説明したような単量体A、単量体B及び単量体Cを原料として用いて合成したものが好ましいが、更に特定の合成過程を経て合成したものがより好ましい。かかる合成過程は、単量体A、単量体B及び単量体Cからエステル化物を生成させる第1工程と、該エステル化物からポリエーテルポリエステルを生成させる第2工程とからなる。
前記の第1工程では、単量体A、単量体B及び単量体Cを、加熱条件下又は加熱加圧条件下で、エステル交換触媒及び/又はエステル化触媒を用いて、副生物を留去させつつエステル交換反応及び/又はエステル化反応させ、エステル化物を生成させる。より詳しく説明すると、単量体Aとして炭素数4〜20のジカルボン酸を用いる場合には、加熱条件下又は加熱加圧条件下で、エステル化触媒を用いて、副生物を留去させつつ、エステル化反応させ、エステル化物を生成させる。また単量体Aとして炭素数4〜20のジカルボン酸のエステル形成性誘導体を用いる場合には、加熱条件下又は加熱加圧条件下で、エステル交換触媒を用いて、副生物を留去させつつエステル交換反応させ、エステル化物を生成させる。
かかる第1工程において、エステル化反応やエステル交換反応における加熱条件又は加熱加圧条件それ自体は、当該技術分野における公知の条件を適用でき、またエステル化反応におけるエステル化触媒及びエステル交換反応におけるエステル交換触媒それ自体も、当該技術分野における公知のものを適用できる。かかるエステル交換触媒としては、酢酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ土類金属塩、亜鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物等が挙げられるが、なかでも第2工程における重縮合触媒としても有用なチタン化合物のテトラブチルチタネートが好ましい。エステル化触媒としても、これらのエステル交換触媒と同じものを使用できる。
前記の第2工程では、第1工程で生成させたエステル化物を、加熱減圧条件下で、縮重合反応触媒を用いて、副生物を留去させつつ縮重合反応させ、ポリエーテルポリエステルを生成させる。かかる第2工程において、縮重合反応における加熱減圧条件それ自体は、当該技術分野における公知の条件を適用でき、また縮重合反応における縮重合触媒それ自体も、当該技術分野における公知のものを適用できる。かかる縮重合触媒としては、亜鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物等が挙げられるが、第1工程におけるエステル交換触媒やエステル化触媒としても使用できるチタン化合物のテトラブチルチタネートが好ましい。
ポリエーテルポリエステルを、単量体A、単量体B及び単量体Cを原料として用いて合成する場合、該ポリエーテルポリエステルは、単量体Aから形成された構成単位を約50モル%、単量体Bから形成された構成単位を約0.1〜49.9モル%及び単量体Cから形成された構成単位を約0.1〜49.9モル%(合計100モル%)の割合で有するものが好ましく、なかでも該ポリエーテルポリエステル中に単量体Bから形成された構成単位を10〜80質量%の割合で有するものがより好ましく、30〜70質量%の割合で有するものが特に好ましい。またかかるポリエーテルポリエステルは、その平均分子量が特に制限されるというものではないが、平均分子量の指標となる還元粘度(フェノール/テトラクロロエタン(質量比40/60)の混合溶媒を用いて、濃度1.0g/dl、35℃で測定)として、0.3〜2.5dL/gを有するものが好ましく、0.5〜2.5dL/gを有するものがより好ましい。
本発明で使用するポリエーテルエステル系帯電防止剤は、以上説明したようなポリエーテルポリエステルの合成過程で、前記したような有機スルホン酸型界面活性剤及びフェノール系酸化防止剤を所定割合で含有させて成るものが好ましい。ポリエーテルポリエステルの合成過程で有機スルホン酸型界面活性剤及びフェノール系酸化防止剤を含有させるとは、ポリエーテルポリエステルの合成が完結する前の任意の工程で有機スルホン酸型界面活性剤及びフェノール系酸化防止剤を仕込むことをいう。ポリエーテルポリエステルを前記したような第1工程及び第2工程を経て合成する場合、(1)第1工程で有機スルホン酸型界面活性剤及びフェノール系酸化防止剤を仕込む方法、(2)第1工程で有機スルホン酸型界面活性剤を仕込み、第2工程でフェノール系酸化防止剤を仕込む方法、(3)第1工程でフェノール系酸化防止剤を仕込み、第2工程で有機スルホン酸型界面活性剤を仕込む方法、(4)第2工程で有機スルホン酸型界面活性剤及びフェノール系酸化防止剤を仕込む方法が挙げられるが、なかでも前記(1)と(2)の方法が好ましい。
本発明の(C)成分は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(C)成分の使用量は、本発明の(A)成分+(B)成分の合計100質量部に対して、0.5〜50質量部、好ましくは1〜45質量部、更に好ましくは3〜40質量部、特に好ましくは5〜40質量部であり、0.5質量部未満では、耐衝撃性及び帯電防止性が劣り、50質量部を超えると耐衝撃性が劣り、更に成形品表面外観が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、強化充填材「以下(D)成分ともいう」を配合することができる。強化充填剤としては、公知のものが使用できるがそのうちでも代表的なものとしては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリエステル繊維、炭酸カルシウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ガラスフレーク、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラス、炭素繊維のミルドファイバー、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、金属フレーク、ワラストナイト、カオリン、タルク、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状アルミナ、板状シリカ、有機物処理されたスメクタイト等があり、これらは1種単独又は2種以上を組合わせて用いることができる。剛性を向上させる目的から好ましい強化充填材は、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、ガラスフレーク及びこれらと他の強化充填材の併用である。
また、上記充填材の分散性を向上させる目的から、公知のカップリング剤、表面処理剤、
収束剤等で処理したものを用いることもでき、公知のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。
また、ここで使用されるガラス繊維及び炭素繊維の直径は0.005〜0.02mm、長さ0.01〜10mm、好ましくは0.05〜1mmの範囲が好ましい。
本発明の(D)成分は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して1〜200質量部、更に好ましくは、3〜150質量部、特に好ましくは5〜100質量部である。200質量部を超えると耐衝撃性、成形加工性が劣る。
本発明の目的である、帯電防止性を更に向上させる目的から、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩「以下(E)成分ともいう」を含有させることができる。これらの成分は、(C)成分の重合時に含有させることもできるし、(C)成分の重合後に含有させることも、また本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する際に配合することも、またこれらを組み合わせた方法で含有させることもできる。
(E)成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属及び/又はマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸、無機酸の塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
(E)成分の具体的な好ましい例として、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等のアルカリ金属の無機酸塩、
酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等のアルカリ金属の有機酸塩等が挙げられ、これらは、本発明の(C)成分に対して、好ましくは0.001〜3質量%、更に好ましくは0.01〜2質量%の範囲で用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、耐熱性や成形加工性を改良する目的から、芳香族ポリエステル樹脂の結晶化を高める結晶化促進剤「以下(F)成分ともいう」を配合することができる。結晶化促進剤としては、前記(D)成分でも記載した炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の無機塩類;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物;ポリエチレンオキサイド系化合物、ポリプロピレン系化合物等のポリアルキレン系化合物等があり、好ましくは平均粒子径が10μm以下のタルクとビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコールの併用であり、更に好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、タルクを0.1〜20質量部、ポリアルキレングリコールを0.1〜20質量部の範囲で配合したものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましい製造方法は押出機を用いる方法であり、特に好ましくは多軸押出機を用いる方法、あるいは押出機とバンバリーミキサー、連続ニーダー等を組み合わせた方法である。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、公知の耐候(光)剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、染料、結晶核剤、抗菌剤、防かび剤、発泡剤、難燃剤(リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤)、難燃助剤(酸化アンチモン化合物、PRFE等、塩素化ポリエチレン)等を配合することができる。
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の公知の重合体である、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、芳香族ポリカーボネート樹脂、PMMA、メタクリル酸メチル・マレイミド化合物共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、EVA、EVOH、ENE、LCP、熱可塑性ポリウレタン、尿素樹脂、フェノキシ樹脂等を適宜配合することができる。
このようにして調製された本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート成形、フィルム成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得ることができる。これらの成形法で得られた成形品としては、下記のものが例示される。
各種ギア、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、ウエハーケース、ICトレー、液晶トレー、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ部品、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶FDDキャリッジ、FDDシャーシー、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品。VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデイオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭・事務電気製品部品。オフィスコンピューター関連部品、電話機器関連部品、ファクシミリー関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品。便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品。窓枠、家具、床材、壁材等の住宅・住設関連部品。顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機器関連部品。オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種バルブ。エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁弁用コイルボビン、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラー、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース。パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブ等の記憶装置のハウジング、シャーシー、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品。バンパー、フェンダー等の車両用外装部材、その他各種用途。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、実施例中において部及び%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例、比較例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
〔1〕評価方法
(1)ゴム質重合体のゲル含率;
前記した方法に従った。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(A)成分の形成に用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製LPA―3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。尚、(A)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(A)成分のグラフト率;前記した方法に従った。
(3)耐衝撃性;
ISO試験法179に準拠して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定し た。
(4)耐薬品性;
平板(50mm×100mm×厚み3.2mm)を成形し、ガソリン中に23℃で48時間浸漬し、平板表面を目視観察した。
(5)帯電防止性;
直径100mm、厚さ2mmの円板を成形し、23℃×相対湿度50%で7日間状態調節したのち、アジレント・テクノロジーズ社製ハイレジスタンスメーター4339Bを用いて、印加電圧500Vで、表面固有抵抗を測定した。
(6)熱変形温度;
ISO75試験法に準拠して1.8MPa荷重で測定した。
〔2〕熱可塑性樹脂組成物成分
(1)(A)成分
(1−1)製造例A1;ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert―ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2、2′―メチレンービス(4―エチルー6−tert―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してスチレン系樹脂A1を得た。このA1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
(1―2)製造例2;AS樹脂
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてtert―ドデシルメルカプタン0.12部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1−カーボニトリル)0.1部、及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のスチレン系樹脂A2を得た。
(1―3)製造例3;水酸基含有不飽和化合物共重合AS樹脂
製造例1において、ポリブタジエンを用いず、ロジン酸カリウムをドデシルベンゼンスルホン酸カリウムに変えた。又、1段目の単量体成分として、スチレン/アクリロニトリル/2―ヒドロキシーエチルーメタクリレート=22.5/7.5/3.5部に変えた。更に、連続添加成分をスチレン/アクリロニトリル/2―ヒドロキシーエチルーメタクリレート=44.7/14.9/6.9部に変えた以外は、全て、製造例1の方法で重合した。反応生成物のラテックスを硫酸マグネシウム水溶液を用いて凝固、水洗した後、乾燥して
スチレン系樹脂A3を得た。このものの極限粘度〔η〕は、0.44であった。
(1―4)製造例4;カルボキシル基含有不飽和化合物共重合AS樹脂
製造例3において、1段目の単量体成分として、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸=23.7/7.9/1.7部に変えた。更に、連続添加成分をスチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸=47.5/15.8/3.4部に変えた以外は、全て、製造例1の方法で行い。極限粘度〔η〕0.46のスチレン系樹脂A4を得た。
(1―5)製造例5;エポキシ基含有不飽和化合物共重合ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水155部、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率95%)60部を添加し、撹拌を開始した。内温が65℃になるまで昇温し、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.008、硫酸第一鉄7水和物0.002部、ソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水15部からなる水溶液を添加したのち、クメンハイドロパーオキサイド0.05部、スチレン25部、アクリロニトリル5部、グリシジルメタクリレート10部、ロジン酸カリウム0.1部、イオン交換水30部からなる乳濁液を4時間かけて連続的に添加し重合反応を行った。その間内温は、65℃に保った。更に、2時間撹拌を続けたあと冷却し、2,2′―メチレン−ビス(4−エチレン−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結し、スチレン系樹脂ラテックスA5を得た。サンプリングし、重合体含率、グラフト率及びアセトン可溶部の極限粘度を測定した結果、重合体含率は33%、グラフト率36%、極限粘度〔η〕0.37dl/gであった。
(1―6)製造例6;アクリロニトリルースチレン共重合体
製造例4と同じ反応容器を用い、イオン交換水163部、ロジン酸カリウム0.3部を添加し、撹拌を開始するとともに昇温した。内温が65℃に到達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄7水和物0.0025部、ソディウムホルムアルデキドスルホキシレート0.28部。イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。tert―ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.12部、及びスチレン75部、アクリロニトリル25部からなる混合単量体を6時間かけて連続的に添加し、内温を65℃に保ちながら重合反応を行った。単量体添加開始から1時間後にロジン酸カリウム0.4部を添加し、3時間後にエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.025部、硫酸第一鉄7水和物0.006部、ソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.07部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加し、重合反応を2時間継続し、重合体ラテックスA6を得た。冷却後、サンプリングし、重合体含率及び極限粘度を測定した。重合体含率は33%、極限粘度〔η〕は0.37dl/gであった。
(1−7)製造例7
上記製造例4,5で得た重合体ラテックスを50/50(固形分質量比)でラテックスブレンドし、塩化カルシウムを用いて凝固し、水洗、脱水、乾燥し、エポキシ変性ABS樹脂A7を得た。
(2)(B)成分
(2−1)B1;ポリエチレンテレフタレート樹脂
三菱化学社製ノバペックス GS400(商品名)(固有粘度0.71)を用いた。
(2−2)B2;ペットボトルのリサイクル品
よのペットボトルリサイクル社製のリサイクル品(固有粘度0.67)を用いた。
(2−3)B3;ポリブチレンテレフタレート樹脂
ポリプラスチックス社製ジュラックスXD477(商品名)(固有粘度1.2)を用いた。
(3)(C)成分
有機スルホン酸型界面活性剤、フェノール系酸化防止剤及びポリエーテルポリエステルからなる竹本油脂社製ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤TEP004(商品名)を用いた。
(4)(D)成分;ガラス繊維
旭ファイバーブラス社製 CS03MA419(商品名)を用いた。
(5)(E)成分;臭化リチウムを用いた。
(6)(F)成分
F1;日本タルク社製超微粉タルク SG200(商品名)(平均粒子径3.2μm)を用いた。
F2;ビスフェノールA残基を有するポリエチレングリコールとして、三洋化成工業社製ニューポールBPE20Tを用いた。
実施例1〜12 、比較例1〜4
表1記載の配合割合で、ヘンシエルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度260℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、射出成形(シリンダー設定温度260℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の評価方法で、耐衝撃性、耐薬品性及び帯電防止性、更に一部の実施例で熱変形温度を評価した。評価結果を表1に示した。
Figure 2005139312
表1に示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明の実施例1〜12の成形品は、耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性の何れも優れている。
一方、比較例1は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、また(B)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及び帯電防止性が劣る。比較例2は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、また、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で少ない例であり、耐薬品性が劣る。比較例3は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及び帯電防止性が劣る。比較例4は、本発明の(C)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来にない優れた耐衝撃性、耐薬品性、及び帯電防止性を有するものであり、高度な性能が要求される、車両分野、電気・電子分野、OA・家電分野、サニタリー分野等の各種部品として適用できる。

Claims (6)

  1. (A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
    (B)芳香族ポリエステル樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
    上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
    (C)ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤を0.5〜50質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記ポリエーテルポリエステル系帯電防止剤が、有機スルホン酸型界面活性剤、フェノール系酸化防止剤及びポリエーテルポリエステルからなる組成物である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記芳香族ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記スチレン系樹脂の少なくとも一部が、官能基で変性されていることを特徴とする請求項1〜3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対しいて、更に(D)強化充填材を1〜200質量部配合してなることを特徴とする請求項1〜4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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