JP4525260B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
[1](A)芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物から主としてなる重合体の水素添加物(A-1)存在下に(メタ)アクリル酸エステル化合物、または(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体(A−2)を(共)重合してなるゴム強化アクリル系樹脂10〜98質量%、
(B)オレフィンのブロック(B−1)と親水性ポリマーのブロック(B−2)とを有するブロック共重合体2〜90質量%、及び
(C)(メタ)アクリル酸エステル化合物、または(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリル酸エステ化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体(A−2)を(共)重合してなるアクリル系重合体0〜88質量%(但し、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%)からなり、前記ブロック共重合体がポリオレフィンーポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2][1]記載の組成物100質量部に対して、オレフィン系樹脂(D)1〜100質量部配合することを特徴とする[1]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
[4]成形品が、射出成形、押出成形、インフレーション成形の何れかの成形方法で得られたものであることを特徴とする[3]記載の成形品。
[5]押出成形品が、[1]または[2]の熱可塑性樹脂組成物層と重合体層とからなる2層シートまたは2層フィルム、並びに上記重合体層を中間層として[1]または[2]の熱可塑性樹脂組成物層を両表面層とする3層シートまたは3層フィルムであることを特徴とする[3]成形品。
が提供される。
本発明の関わるゴム強化アクリル系樹脂(A)は、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物から主としてなる重合体の水素添加物(A―1)存在下に(メタ)アクリル酸エステル化合物、または(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体(A−2)を(共)重合して得られる。
また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等があり、好ましくはブタジエン、
イソプレンである。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物は、ランダム共重合体であってもよく、それぞれがブロックになっているブロック共重合体になっているものでもよく、更にランダム共重合体とブロック共重合体が混合された結合形態になっているものでもよい。好ましい(A−1)成分は、芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック(A―1−1)と共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロック(A−1−2)を有するブロック共重合体からなるものの水素添加物である。該水素添加物は、主として共役ジエン化合物の炭素―炭素二重結合の少なくとも一部が水素添加されたものである。更に、ブロック
(A―1−2)は、2種以上の共役ジエン化合物を使用し、それらがランダム状、ブロック状、テーパーブロック状のいずれの形態で結合したブロックであってもよい。また、ブロック(A−1−2)は、芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個の範囲で含有していてもよく、ブロック(A―1−2)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合含有量の異なる重合体ブロック等が、適宜共重合していてもよい。
(A―B)Y …(I)
(A―B)Y―X …(II)
A―(B−A)Z …(III)
(構造式(I)〜(III)中、Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックで、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよい。好ましくは芳香族ビニル化合物を90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックである。Bは共役ジエン化合物の単独重合体または芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体であり、Xはカップリング剤の残基であり、Yは1〜5の整数、Zは1〜5の整数をそれぞれ表す。)
上記方法で重合体を得た後、カップリング剤を使用して重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体も使用できる。ここで用いられるカップリング剤としては、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化珪素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
上記重合体の水素添加反応は、公知の方法で行うことができるし、また、公知の方法で水素添加率を調整することにより、目的の重合体を得ることができる。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特開平2−133406号公報、特開平1−297413号公報に開示されている方法がある。
ここで使用される(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等があり、好ましくはメタクリル酸メチルである。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド化合物、及び不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物等の官能基含有不飽和化合物がある。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、(A―2)成分中、好ましくは0〜30質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化しても良い。その使用量は、(A―2)成分中、好ましくは0〜60質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1―プロペン、4−ヒドロキシ−1―ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2―ブテン、トランス−4―ヒドロキシ−2―ブテン、3−ヒドロキシ−2―メチル−1―プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N―(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。
上記官能基含有不飽和化合物の使用量は、該官能基含有不飽和化合物の合計量で、(A−2)成分中0.1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜15質量%の範囲である。
また、(A)成分のグラフト率は、好ましくは10〜200質量%、更に好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜70質量%であり、グラフト率は、下記式(1)により求めることができる。
上記式(1)中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得れれる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
本発明に関わる(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の数平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。数平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、1,1′―アゾビス(シクロヘキサン−1―カーボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、メルカプタン類、ターピノーレン類、α―メチルスチレンダイマー類等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックスを用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、メルカプタン類、ターピノーレン類、及びα―メチルスチレンダイマー類等を用いることができる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パリミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジンン酸塩等を用いることができる。
また、水素添加物(A−1)の存在下に単量体(A−2)重合して得られる(A)成分には、通常、単量体(A−2)が(A−1)にグラフト共重合した成分と、(A−1)にグラフトしていない未グラフト成分[上記(A−2)の(共)重合体]が含まれる。
10質量%未満では吸水率が高く、耐衝撃性、及び透明性が劣る。また、98質量%を超えると帯電防止性が劣る。
このために、上記ブロック(B−1)の分子両末端は、上記ブロック(B−2)の分子両末端官能基と反応性を有する官能基で変性されている必要がある。これらの官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基等がある。
これらの官能基を付与する付与する方法として好ましいものは、熱減成法により得られる分子末端に炭素―炭素二重結合を有する(B−1)成分と上記した官能基を有する炭素―炭素不飽和化合物を付加させる方法である。
ポリエーテル(B−2―a)としては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物が挙げられる。
ポリエーテル含有親水性ポリマー(B−2−b)としては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、および、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが挙げられる。
アニオン性ポリマー(B−2−c)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸と、ポリエーテル(B−2−a)とを必須構成単位とし、かつ一分子内に好ましくは2〜80個、更に好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが挙げられる。
これらは、直鎖状であっても、また分岐状であってもよい。特に好ましいブロック(B−2)は、ポリエーテル(B−2−a)である。
一般式(IV)中E1は二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、nおよびn′は前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド付加数を表す。n個の(OA1)とn′個の(A1O)とは、同一であっても異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成されている場合の結合形式はブロックもしくはランダムまたはこれらの組み合わせのいずれでもよい。nおよびn′は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100である。また、nとn′は、同一であっても異なっていてもよい。
脂肪族二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
脂環式二価アルコールとしては、例えば、1,2−および1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、芳香族二価アルコールとしては、例えば、キシレンジオール等が挙げられる。
二価フェノールとしては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等の単環二価フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4′―ジヒドロキシジフェニル−2,2―ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール、およびジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等の縮合多環二価フェノール等が挙げられる。
(ア)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、一般式(VIII):
[一般式(VIII)中のA4は炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の整数、R1はHまたは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基である。]で表されるグリシジルエーテルを重合、または炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと共重合する方法。
(イ)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを経由する方法。更に具体的には、エピクロルヒドリン、またはエピクロルヒドリンとアルキレンオキサイドを付加共重合し、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを得た後、該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールとR1X
(R1は上記したもの、XはCl、BrまたはI)をアルカリ存在下で反応させるか、ま たは該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールモノカルビルエーテルを
アルカリ存在下で反応させる方法である。
(E)成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属および/またはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸、スルホン酸、無機酸の塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等のアルカリ金属の有機酸塩;オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数8〜24のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩;フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸等の芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩;ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸等のアルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩;トリフルオロメタンスルホン酸等のフッ化スルホン酸等のアルカリ金属塩等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。上記(E)成分は、本発明の(B)成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で用いることができる。
このようなブロック共重合体(B)は、例えば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報に記載の方法で製造することができ、更に、本発明の
(B)成分は、三洋化成工業社製ペレスタット300シリーズの300、303、230(商品名)等として入手できる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては前記したものが使用できる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物と前記共重合可能な他のビニル単量体の使用割合は、(メタ)アクリル酸エステル/共重合可能な他の単量体=40〜100/0〜60質量%
の範囲が好ましく、更に好ましくは50〜100/0〜50質量%、特に好ましくは60〜100/0〜40質量%である。この範囲で特に透明性に優れる。
(A)成分で使用される(A−2)と(C)成分(A−2)は、単量体の種類。単量体の使用量等が同じであってもよく、また異なっていてもよい。
例えば、プロピレンが主成分である場合、JIS K−6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量のものである。
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂としては、重合触媒を脱触媒したもの、また酸無水物、カルボキシル基等で変性されたものを用いることもできる。
上記[3]、[4]成形品の透明性の尺度となる曇価は、実施例で示す条件で測定される値で好ましく50%以下、更に好ましくは40%以下、特に好ましくは、20%以下である。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分をい一括して混練してもよく、または多段もしくは分割配合して混練してもよい。
金属表面処理炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウイスカー、ワラストナイト、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ヘクトライト、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、板状アルミナ、板状シリカ、金属繊維、アラミド繊維、フェノール繊維、ポリエステル繊維等があり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記充填材の分散性を向上させる目的から、公知のカップリング剤、表面処理剤、収束剤、層間有機物処理等を行ったものを用いることができ、公知のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。
シート成形、フィルム成形において、厚み10μm〜10mmのシート、フィルムを成形することができる。これらの成形方法としては、カレンダー成形、Tダイ成形、インフレーション成形等があり何れの方法も使用できる。
更に、本発明の熱可塑性樹脂を上記公知の方法でシート、フィルム化したもの(イ)に上記公知の方法で積層シート、フィルムを製造することもできるが、この際、層間の接着性を向上させる目的から、上記(イ)をコロナ処理、易接着剤処理することもできる。積層シート、フイルムは
(1)(A)成分のグラフト率;前記の方法に従った。
(2)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;前記の方法に従った。
(3)(C)成分の極限粘度〔η〕;前記の方法に従った。
(4)(A−1)成分(重合体の結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、および水素添加率);
(4−1)結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm―1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(4−2)数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(4−3)ビニル結合量;
水素添加前重合体で測定した。赤外法(モレロ法)により求めた。
(4−4)水素添加率;
水素添加後の重合体で測定した。四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの1H―NMRスペクトルの不飽和二重結合のスペクトル減少から算出 した。
厚み2.0mm、直径100mmの円板成形品を成形後シリカゲルデシケーター中に投入し、絶乾の成形品を得た。
この成形品を23℃、50%RH条件下の100時間放置した後の吸水率(%)を測定した。
(6)耐衝撃性
厚み2.4mmの平板を、受け皿38mm上に乗せて、打撃棒径16mm、速度2.4m/secで平板を打ち抜いた時の破壊エネルギー(kgf・cm)から、下記の評価を
行った。
◎;200以上
○;100以上200未満
×;100未満
(7)帯電防止性
厚み2mm、直径100mmの円板成形品を成形し、その成形品を23℃×50%RH条件下で100時間状態調節を行い、Agilent-Technologies社製ハイ・レジスタントメーター4339B型を用いて、JIS K6911に準拠して表面固有抵抗を測定した。
(8)透明性
1.6mm肉厚平板成形品を用い、BYK-Gardner社製Haze-gard plusmで曇価(%)を 測定した。
(1)(A―1)成分
(1−1)製造例1;完全水素添加スチレンーブタジエンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエン20部溶液を投入した。次いで、n―ブチルリチウムを添加し、50℃の等温重合を行った。転化率100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン65部を添加し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン15部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前A―B1―B2トリブロック共重合体を得た。得られたブロック重合体の一部をサンプリングし、分析した結果、スチレンブロック(A)の含量15%、ブタジエンブロック(B1)含量65%、ブタジエンブロック(B2)含量20%、1,2−ビニル含量35%のブタジエンブロック(B1)、1,2−ビニル含量10%のブタジエンブロック(B2)からなる数平均分子量200,000の重合体であった。
別の容器でチタノセンジクロライド1部をシクロヘキサンに分散させ、室温でトリエチルアルミニウム0.5部と反応させた。得られた均一溶液を上記ポリマー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2の水素圧下、2時間水素化反応を行い、水素添加率ほほ10 0%の水素添加重合体A―1−1を得た。
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとスチレン15部からなる溶液を投入した。次いで、n―ブチルリチウムを添加し、70℃で重合を行った。転化率が100%になった時点で、ブタジエン70部を含むシクロヘキサン溶液を加えた1時間重合した。更に、シクロヘキサンとスチレン15部からなる溶液を投入し、更に重合を行い、水素添加前A1―B−A2トリブロック共重合体を得た。製造例1同様にサンプリングし分析した結果、スチレンブロック(A1)含量15%、ブタジエンブロック(B)含量70%、スチレンブロック(A2)含量15%、1,2−ビニル含量35%のブタジエンブロック(B)からなる数平均分子量150,000の重合体であった。
製造例1と同様に水素添加を行い、水素添加率ほぼ100%の水素添加重合体A−1−2を得た。
(2−1)製造例3;重合体A1
リボン型翼を備えたステンレス製オートクレーブを窒素置換したのち、窒素気流中で、予めトルエンを溶媒として均一溶液にした上記重合体A−1−1を28部(固形分)、スチレン10.8部、アクリロニトリル7.2部、メチルメタクリレート54部、トルエン120部、およびtert―ドデシルメルカプン0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温した。内温が50℃に到達した時点で、ベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、更に昇温し、80℃に達した後、80℃一定で制御しながら重合反応を行わせた。反応開始御6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。転化率は、97%であった。
100℃まで冷却後、2,2−メチレンビス―4−メチル−6―tert―ブチルフェノール0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去するとともに、重合体をペレット化し重合体A1を得た。このもののグラフト率は45%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0,45dl/gであった。
(2−2)製造例4;重合体A2
製造例3において用いた重合体A―1―1を重合体A―1―2に換え、ビニル単量体をスチレン25部、メタクリル酸メチル47部に換えた以外は、製造例3の条件で重合体A2を得た。重合体A2のグラフト率は48%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0,42dl/gであった。
B1;三洋化成工業社製ポリオレフィンーポリエーテルブロック共重合体“ペレスタット303”(商品名)を用いた。
B2;三洋化成工業社製ポリオレフィンーポリエーテルブロック共重合体“ペレスタット230”(商品名)を用いた。
(4)(C)成分
(4−1)製造例5;重合体C1
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水150部、ロジン酸カリウム0.5部,tert―ドデシルメルカプタン0.1部、スチレン10部、メタクリル酸メチル50部、アクリロニトリル7部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が50℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0,2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1.5時間重合させたあと、更にスチレン5部、メタクリル酸メチル25部、アクリロニトリル3部、tert―ドデシルメルカプタン0.05部、イオン交換水50部、及びクメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、2時間重合反応を行った。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥して重合体C1を得た。このものの極限粘度〔η〕は0.47dl/gであった。
製造例5において用いた単量体を、スチレン35部、メタクリル酸メチル65部に換えて以外は、製造例5の条件で重合体C2を得た。このものの極限粘度〔η〕は、0.45
dl/gであった。
D1;日本ポリプロ社製 ノバテックPP BC6C(商品名)を用いた。
D2;日本ポリエチレン社製 ノバテックLD LF122(商品名)を用いた。
滑剤として三洋化成工業社製 サンワックスE―250P(商品名)を用いた。
表1記載の配合割合で、ヘンシエルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、射出成形(シリンダー設定温度220℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の評価方法で、吸水率、耐衝撃性、帯電防止性、及び透明性を評価した。評価結果を表1に示した。
本発明の実施例1〜12の成形品は、吸水率が低く、耐衝撃性、帯電防止性、及び透明性の何れも優れている。
一方、比較例1は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性が劣る。比較例2は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、
(B)成分の使用量が、発明の範囲外で少ない例であり、帯電防止性が劣る。比較例3は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、吸水率が高く、更に耐衝撃性が劣る。比較例4は、本発明の
(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、又(C)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性、及び帯電防止性が劣る。
実施例13
三層シートの製造
三層シート(1)
実施例6の組成物を成形してなるシートを両表層(それぞれの厚みが100μm)、中心部がD1成分を成形してなるシート(厚み800μm)の三層シートを共押出しで製造した。更に、このシートを真空成形してトレイを製造した。
三層シート(2)
実施例7の組成物を成形してなるシートとD2成分を成形してなるシートを用いて、上記同様の三層シート、及び真空成形でトレイを製造した。
三層シート(3)
実施例9の組成物と透明ABS(テクノポリマー社製 テクノABS810(商品名))を用い、実施例9の組成物を成形してなるシートが両表層(それぞれの厚みが100μm)、中心部が透明ABSを成形してなるシート(厚み300μm)の三層シートを共押出しで製造した。前記同様に真空成形でトレイを製造した。
Claims (5)
- (A)芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物から主としてなる重合体の水素添加物(A-1)存在下に(メタ)アクリル酸エステル化合物、または(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体(A−2)を(共)重合してなるゴム強化アクリル系樹脂10〜98質量%、(B)オレフィンのブロック(B−1)と親水性ポリマーのブロック(B−2)とを有するブロック共重合体2〜90質量%、及び(C)(メタ)アクリル酸エステル化合物、または(メタ)アクリル酸エステル化合物及び(メタ)アクリル酸エステ化合物と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体(A−2)を(共)重合してなるアクリル系重合体0〜88質量%(但し、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%)からなり、前記ブロック共重合体がポリオレフィンーポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1記載の組成物100質量部に対して、オレフィン系樹脂(D)1〜100質量部配合することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形品。
- 成形品が、射出成形、押出成形、インフレーション成形の何れかの成形方法で得られたものであることを特徴とする請求項3記載の成形品。
- 押出成形品が、請求項1または請求項2の熱可塑性樹脂組成物層と重合体層とからなる2層シートまたは2層フィルム、並びに上記重合体層を中間層として請求項1または請求項2の熱可塑性樹脂組成物層を両表面層とする3層シートまたは3層フィルムであることを特徴とする請求項3記載の成形品。
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