JP2002129026A - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性樹脂組成物

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JP2002129026A
JP2002129026A JP2000325280A JP2000325280A JP2002129026A JP 2002129026 A JP2002129026 A JP 2002129026A JP 2000325280 A JP2000325280 A JP 2000325280A JP 2000325280 A JP2000325280 A JP 2000325280A JP 2002129026 A JP2002129026 A JP 2002129026A
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rubber
resin
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JP2000325280A
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English (en)
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Seiji Kikuchi
清治 菊池
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、錆の発生の抑制された持続的な帯
電防止性能を有する樹脂材料を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A成分)およびポリマー
型帯電防止剤(B成分)を含んでなる樹脂組成物であっ
て、該樹脂組成物100重量%中B成分が1〜20重量
%であり、かつ該樹脂組成物中に含まれる塩素原子に換
算された総塩素含有量が50ppm以下である帯電防止
性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、錆の発生が抑制さ
れた持続的な帯電防止性能を有する樹脂組成物およびそ
れらの成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の樹脂材料は通常高い電気絶縁性を
有するため帯電しやすく、樹脂成形品表面にほこりが付
着しやすい。かかるほこりの付着を持続的に防止する方
法としてエーテル結合を有するポリマー型帯電防止剤を
配合する方法が広く知られるところである。
【0003】上記の持続的な帯電防止性能を有する樹脂
材料は、近年の情報産業において広く活用されることと
なっている。すなわち各種の企業情報、金融情報、画像
情報などは磁気テープや光磁気ディスクといった大容量
の情報記録媒体によりバックアップがとられ、長年にわ
たって保管されることとなる。一方で保管中のほこりの
付着は重要な情報の消失につながりかねないため細心の
注意が必要とされる。持続的な帯電防止性能を有する樹
脂材料は、情報記録媒体の保管における重要な問題を解
決できるものであり、上記のような大容量の磁気テープ
や光磁気ディスクの筐体として使用されるようになって
いる。
【0004】一方でかかるポリマー型帯電防止剤はその
吸湿性により成形品表面に発生した電荷を消失させてい
る。したがって持続的な帯電防止性能を有する樹脂材料
は通常の樹脂材料に比較して水分を吸湿しやすく、次の
ような懸念を招いている。すなわち、かかる水分の影響
により磁気テープや光磁気ディスクの表面にわずかに付
着した鉄などの金属成分が長期間の保管中に錆を発生さ
せるのではないかというものである。
【0005】上記の課題を達成すべく、錆の発生の抑制
された持続的な帯電防止性能を有する樹脂材料が求めら
れていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に示し
た問題点を解決し、錆の発生の抑制された持続的な帯電
防止性能を有する樹脂材料を提供することにある。
【0007】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検
討を重ねた結果、樹脂材料中の塩素原子に換算された総
塩素含有量(以下単に塩素含有量と称する)を特定量以
下とすることで、錆発生を抑制できること、殊にポリマ
ー型の帯電防止剤の塩素含有量を特定量以下とすること
が効果的であることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
(A成分)およびポリマー型帯電防止剤(B成分)を含
んでなる樹脂組成物であって、該樹脂組成物100重量
%中B成分が1〜20重量%であり、かつかかる樹脂組
成物中に含まれる塩素含有量が50ppm以下である帯
電防止性樹脂組成物に係るものである。
【0009】更に本発明は好適には、上記B成分の塩素
含有量が50ppm以下とすることで、錆の発生をより
低減した帯電防止性樹脂組成物に係るものである。
【0010】殊にB成分としてポリエーテルエステルア
ミド樹脂を使用することにより、良好な帯電防止性能を
達成するものである。
【0011】そして好適なA成分として、A成分がポリ
カーボネート樹脂およびガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分を含んでなる帯電防止性樹脂組成物に係るもの
である。かかる樹脂組成物はゴム成分の分子運動性によ
りB成分であるポリマー型帯電防止剤を表面に移行さ
せ、更に良好な帯電防止性を達成する。更にポリカーボ
ネート樹脂により耐熱性および耐衝撃性に優れ、磁気デ
ィスクなどの筐体において機器の熱の影響を受けにく
く、また運搬時の落下などによる損傷を極力低減可能と
するのである。
【0012】更により具体的には、ポリカーボネート樹
脂(a1成分)20〜93重量%、ジエン系ゴム成分に
シアン化ビニル化合物および芳香族ビニル化合物をグラ
フトした熱可塑性グラフト共重合体(a2成分)5〜5
0重量%、ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴ
ムの存在下で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エス
テルおよび芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた
2種以上のモノマーを共重合して得られる弾性共重合体
および/またはポリオルガノシロキサンゴム成分とポリ
アルキルアクリレートゴム成分とが分離できないように
相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに1種また
は2種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる
複合ゴム系グラフト共重合体(a3成分)1〜10重量
%、および塩素含有量が50ppm以下であるポリエー
テルエステルアミド1〜20重量%を含んでなる樹脂組
成物であって、該樹脂組成物100重量%中B成分が1
〜20重量%であり、かつ該樹脂組成物中に含まれる塩
素含有量が50ppm以下である帯電防止性樹脂組成物
に係るものである。
【0013】更により好適には、A成分およびB成分を
含んでなる樹脂組成物100重量部に対し、グリセリン
の飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリンの飽和脂肪酸エ
ステル、および高級アルコールと飽和脂肪酸とのエステ
ルから選択される少なくとも1種の成分を0.005〜
1重量部含んでなる帯電防止性樹脂組成物に係るもので
ある。かかる樹脂組成物は、帯電防止性を維持しつつ良
好な離型性能を有する。
【0014】そして本発明は上記樹脂組成物を形成され
た磁気テープまた光磁気ディスクの筐体に係るものであ
る。かかる筐体は、良好な持続的帯電防止性能を有し、
錆の発生が抑制されたものである。したがって本発明に
よれば、大容量の情報を長期間にわたって保管する必要
がある大容量の磁気テープや光磁気ディスクに好適な筐
体が提供される。
【0015】以下本発明について詳細を説明する。
【0016】本発明のA成分である熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ−4
−メチルペンテン−1、および環状ポリオレフィン樹脂
などのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、HIP
S樹脂、MS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹
脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MAS樹脂、水添ポリス
チレン樹脂、およびSMA樹脂などのスチレン系樹脂、
ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、並びに
スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑
性エラストマーなど各種の熱可塑性エラストマーを挙げ
ることができる。(ここでMS樹脂はメチルメタクリー
トとスチレンから主としてなる共重合体、AES樹脂は
アクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴム、および
スチレンから主としてなる共重合体、ASA樹脂はアク
リロニトリル、スチレン、およびアクリルゴムから主と
してなる共重合体、MAS樹脂はメチルメタクリレー
ト、アクリルゴム、およびスチレンから主としてなる共
重合体、SMA樹脂はスチレンと無水マレイン酸(M
A)から主としてなる共重合体を指す。) 更にA成分としては、ポリカーボネート樹脂、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアルキ
レンテレフタレート樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレ
ート、液晶性ポリアリレート)、ポリエーテルエーテル
ケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルフォン
樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、およびポリフェニ
レンサルファイド樹脂などを挙げることができる。
【0017】更に本発明のA成分は通常衝撃改質剤とし
て使用されるゴム質重合体を含むものであってもよい。
【0018】上記の樹脂の中でA成分としては、非晶性
のエンジニアリングプラスチックを含むものが好適であ
り、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、および環状ポリオレ
フィン樹脂などが挙げられ、特にポリカーボネート樹脂
を含むものが好適である。その理由としては本発明の好
適な用途である大容量の磁気テープや光磁気ディスクな
どの情報記録媒体の筐体においては、寸法精度、耐熱
性、および耐衝撃性が要求されるためである。寸法精度
は筐体が薄肉であり反りなどが生じやすいためであり、
耐熱性は機器の温度が上昇する場合があるためであり、
また耐衝撃性は情報記録媒体を落下させた場合のデータ
の損傷を極力防止するためである。
【0019】以下にポリカーボネート樹脂の詳細につい
て記載する。本発明で使用するポリカーボネート樹脂と
は、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面
重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたも
のの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換
法により重合させたもの、または環状カーボネート化合
物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0020】ここで使用される二価フェノールの代表的
な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,
4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)
フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ
−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}
プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メ
チルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ
−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベン
ゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチ
ルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単
独または2種以上を混合して使用できる。
【0021】なかでもビスフェノールA、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選
ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単
独重合体または共重合体が好ましい。
【0022】特にビスフェノールAの単独重合体が好ま
しく使用される。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂
は、耐衝撃性が優れる点で好ましい。
【0023】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0024】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応
させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必
要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化す
るのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。
またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香
族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっ
ても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重
合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、
また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合
した混合物であってもよい。
【0025】三官能以上の多官能性芳香族化合物として
は、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−
ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニ
ル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,
6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキ
シ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4
−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
チル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノー
ル等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)
ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェ
ニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれ
らの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−
トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0026】かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる
多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリ
カーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましく
は0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01
〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の
場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、か
かる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全
量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜
0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%
であるものが好ましい。尚、かかる割合については1
−NMR測定により算出することが可能である。
【0027】界面重縮合法による反応は、通常二価フェ
ノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機
溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水
酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促
進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチ
ルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホ
ニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウ
ム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いる
こともできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反
応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に
保つのが好ましい。
【0028】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、かかる単官能フェノール類としては、一般にはフ
ェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、
下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示す
ことができる。
【0029】
【化1】
【0030】(式中、Aは水素原子または炭素数1〜9
の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル基置換
アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整
数である。) 上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して
使用してもよい。
【0031】溶融エステル交換法による反応は、通常二
価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換
反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカ
ーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成す
るアルコールまたはフェノールを留出させる方法により
行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノ
ールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の
範囲である。反応後期には系を1.33×103〜1
3.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフ
ェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4
時間程度である。
【0032】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネ
ート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネー
トなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが
好ましい。
【0033】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用
してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価
フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×
10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4
量の範囲で選ばれる。
【0034】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるい
は終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニト
ロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)
カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、
ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニル
フェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネー
ト、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート
およびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
ト等の化合物を加えることができる。なかでも2−クロ
ロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボ
ニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシ
カルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、
特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネ
ートが好ましく使用される。
【0035】さらにかかる重合反応において触媒の活性
を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤
の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼ
ンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベン
ゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニ
ル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスル
ホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−ト
ルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フ
ェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン
化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレ
ン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニ
ル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−
フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチ
ルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニ
ウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホス
ホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチル
ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘ
キシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テ
トラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチ
ルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェー
ト、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシ
ルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルア
ンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアン
モニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメ
チルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルア
ンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルア
ンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルア
ンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチ
ルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラ
メチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の
化合物を挙げることができるが、これらに限定されな
い。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0036】失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはア
ンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量と
しては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モル
の割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボ
ネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、よ
り好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは
0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0037】ポリカーボネート樹脂の分子量は特定され
ないが、分子量が10,000未満であると強度などが
低下し、50,000を超えると成形加工性が低下する
ようになるので、粘度平均分子量で表して10,000
〜50,000のものが好ましく、15,000〜4
0,000のものがより好ましく、更に好ましくは2
0,000〜35,000である。また、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。
この場合粘度平均分子量が上記範囲外である芳香族ポリ
カーボネート樹脂とを混合することも当然に可能であ
る。
【0038】特に粘度平均分子量が50,000を超え
る芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物はその高いエ
ントロピー弾性に由来する特性(ドリップ防止特性、ド
ローダウン特性、およびジェッティング改良などの溶融
特性を改良する特性)を発揮するものであるため、これ
らの特性が要求される場合には好ましいものである。よ
り好ましくは粘度平均分子量が80,000以上の芳香
族ポリカーボネート樹脂との混合物であり、更に好まし
くは100,000以上の粘度平均分子量を有する芳香
族ポリカーボネート樹脂との混合物である。すなわちG
PC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)など
の測定方法により2ピーク以上の分子量分布を観察でき
るものが好ましく使用できる。
【0039】本発明でいう粘度平均分子量はまず次式に
て算出される比粘度を塩化メチレン100mlに芳香族
ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液
からオストワルド粘度計を用いて求め、 比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0 [t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下
秒数] 求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量M
を求める。
【0040】ηSP/c=[η]+0.45×[η]2
(但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7 本発明の樹脂組成物を形成するためには、組成物中の主
成分たるA成分中の塩素含有量を低減することが重要で
ある。特にA成分として好ましいポリカーボネート樹脂
においては、塩素含有量の低減に対する配慮が必要であ
る。
【0041】ポリカーボネート樹脂中の塩素含有量を低
減させるためには、例えばポリカーボネート樹脂をアセ
トン処理したり、またポリカーボネート樹脂粉末をペレ
ット化する際、ベント付き押出機の途中に水を強制的に
注入し脱塩素化合物を行う方法、およびポリカーボネー
ト樹脂溶液を非溶剤沈殿する方法や、さらに乾燥処理を
強化する等、従来公知の種々の方法により調整すること
が可能である。
【0042】さらに、ポリカーボネート樹脂粉粒体と温
水との混合物が存在する容器中に、攪拌状態で、ポリカ
ーボネート樹脂の有機溶媒溶液を連続的に供給して、該
溶媒を蒸発させることにより、ポリカーボネート樹脂の
有機溶媒溶液からポリカーボネート樹脂粉粒体を製造す
る方法において、該容器内の温度を下記式に示されたT
1(℃)またはT2(℃)の範囲内に保持し、攪拌速度が
60〜100rpmであり、かつ攪拌能力が5〜10k
w/hr・m3であることを特徴とする製造方法が、残
留塩素化合物の低減のみならず、粉体が少なく、ろ過性
が良好で、また乾燥性に優れたポリカーボネート樹脂が
得られるため好ましく使用できるものである。
【0043】0.0018×M1+37≦T1(℃)≦0.
0018×M1+42 (M1:粘度平均分子量 10,000〜20,00
0) 0.0007×M2+59≦T2(℃)≦0.0007×M
2+64 (M2:粘度平均分子量 20,000以上) 上記の方法で製造され、塩素原子に換算された総塩素含
有量が調整された本発明で使用するポリカーボネート樹
脂は、総塩素含有量が50ppm以下、好ましくは30
ppm以下、更に好ましくは10ppm以下となるもの
である。
【0044】一方、溶融重合法や、溶融重合したオリゴ
マーを固相重合する方法などにおいては、本質的に塩素
原子を含有する溶媒を使用しないため塩素原子含有量は
極めて少なく通常1ppm未満となる。かかる点から溶
融重合法によるポリカーボネート樹脂は本発明のA成分
として好適なものである。
【0045】尚、本発明の塩素含有量は、燃焼イオンク
ロマトグラフィー測定法により得られる値である。
【0046】本発明のA成分においてより好適な樹脂と
しては、ポリカーボネート樹脂およびガラス転移温度が
10℃以下のゴム成分を含む重合体からなるものを挙げ
ることができる。A成分中にかかるゴム成分を含む重合
体(グラフト重合体やブロック重合体などに代表され
る)をポリカーボネート樹脂と組合わせることで、ポリ
カーボネート樹脂単独の場合に比較してより良好な帯電
防止性を維持することが可能となる。
【0047】かかるゴム成分を含む重合体としては、か
かるゴム成分を含有する各種のグラフト重合体やブロッ
ク重合体を挙げることができる。すなわち、ガラス転移
温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン
化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、およびこれらと共重合可能な炭素−炭素二重結合を
有する化合物から選択されたモノマーの1種または2種
以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることがで
きる。一方架橋構造を有しない芳香族ビニル−(水添)
ジエン型ブロック共重合体などのスチレン系熱可塑性エ
ラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマー等を使
用することも可能である。
【0048】ここでいうガラス転移温度が10℃以下の
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコン複合
ゴム、イソブチレン−シリコン複合ゴム、イソプレンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン
ゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコ
ンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこ
れらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げる
ことができる。特にブタジエンゴム、ブタジエン−アク
リル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコン複合
ゴムが好ましい。ここで複合ゴムとは、2種以上の成分
を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合
ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
【0049】より具体的には、ガラス転移温度が10℃
以下のゴム成分を含む樹脂として、HIPS樹脂、AB
S樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、MAS
樹脂、MB樹脂などを挙げることができる(ここでAE
S樹脂はアクリロニトリル、エチレン−プロピレンゴ
ム、およびスチレンから主としてなる共重合体、ASA
樹脂はアクリロニトリル、スチレン、およびアクリルゴ
ムから主としてなる共重合体、MAS樹脂はメチルメタ
クリレート、アクリルゴム、およびスチレンから主とし
てなる共重合体、MB樹脂はメチルメタクリレートおよ
びブタジエンゴムから主としてなる共重合体を示す)。
【0050】またゴムの含有量が高く通常衝撃改質剤と
して使用されるゴム状弾性体として、ブタジエンゴム、
またはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするもの
としては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリー
ズ、呉羽化学工業(株)のEXLシリーズ、HIAシリ
ーズ、BTAシリーズが挙げられる。更にアクリル−シ
リコン複合ゴムを使用したものとして、三菱レイヨン
(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−2
00という商品名で市販されているものが挙げられる。
【0051】更に熱可塑性エラストマーとしては、芳香
族ビニル−(水添)ジエン型ブロック共重合体などのス
チレン系エラストマーを好ましく挙げることができる。
例えば(水添)スチレン−ブタジエンブロック共重合体
((水添)SB)、(水添)スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体((水添)SBS)、(水添)
スチレン−イソプレンブロック共重合体((水添)S
I)、(水添)スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体((水添)SIS)、(水添)スチレン−
(ブタジエン/イソプレン)−スチレンブロック共重合
体((水添)SBIS)、スチレン−イソブチレン共重
合体(SIB)、スチレン−イソブチレン−スチレン共
重合体(SIBS)などの樹脂、またはこれらの混合物
が挙げられる(ここで(水添)は水添されていないもの
または水添されたもののいずれをも意味する)。
【0052】更にポリカーボネート樹脂と相容性のある
樹脂とスチレン系エラストマーとの共重合体なども使用
することができる。かかる共重合体としては具体的には
市販品として(株)クラレ製TKポリマー、TK−S7
300などを好ましく挙げることができる。
【0053】これらのポリカーボネート樹脂とガラス転
移温度が10℃以下のゴム成分を含む重合体との組成割
合については次のとおりである。ポリカーボネート樹脂
は、これらの合計100重量%中、30〜95重量%が
好ましく、40〜85重量%がより好ましく、40〜7
5重量%が更に好ましい。一方ガラス転移温度が10℃
以下のゴム成分を含む重合体は、5〜70重量%が好ま
しく、15〜60重量%がより好ましく、25〜60重
量%が更に好ましい。
【0054】本発明で使用するABS樹脂とは、ジエン
系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物をグラフト重合した熱可塑性グラフト共重合体、およ
びこれとシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の
共重合体との混合物をいう。このABS樹脂を形成する
ジエン系ゴム成分としては、例えばポリブタジエン、ポ
リイソプレンおよびスチレン−ブタジエン共重合体等の
ガラス転位温度が−30℃以下のゴムが用いられ、その
割合はABS樹脂成分100重量%中5〜80重量%で
あるのが好ましく、より好ましくは8〜50重量%、特
に好ましくは10〜30重量%である。ジエン系ゴム成
分にグラフトされるシアン化ビニル化合物としては、特
にアクリロニトリルが好ましく使用できる。またジエン
系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビニル化合物として
は、特にスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく
使用できる。かかるジエン系ゴム成分にグラフトされる
成分の割合は、ABS樹脂成分100重量%中95〜2
0重量%が好ましく、特に好ましくは50〜90重量%
である。更にかかるシアン化ビニル化合物および芳香族
ビニル化合物の合計量100重量%に対して、シアン化
ビニル化合物が5〜50重量%、芳香族ビニル化合物が
95〜50重量%であることが好ましい。更に上記のジ
エン系ゴム成分にグラフトされる成分の一部についてメ
チル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、無水
マレイン酸、N置換マレイミド等を混合使用することも
でき、これらの含有割合はABS樹脂成分中15重量%
以下であるものが好ましい。更に反応で使用する開始
剤、連鎖移動剤、乳化剤等は必要に応じて、従来公知の
各種のものが使用可能である。
【0055】本発明のABS樹脂においては、ゴム粒子
径は0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは
0.2〜3.0μm、特に好ましくは0.3〜1.5μ
mである。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布である
ものおよび2山以上の複数の山を有するもののいずれも
が使用可能であり、更にそのモルフォロジーにおいても
ゴム粒子が単一の相をなすものであっても、ゴム粒子の
周りにオクルード相を含有することによりサラミ構造を
有するものであってもよい。
【0056】またABS樹脂がジエン系ゴム成分にグラ
フトされないシアン化ビニル化合物および芳香族ビニル
化合物を含有することは従来からよく知られているとこ
ろであり、本発明のABS樹脂においてもかかる重合の
際に発生するフリーの重合体成分を含有するものであっ
てもよい。かかるフリーのシアン化ビニル化合物および
芳香族ビニル化合物からなる共重合体の還元粘度は、
0.2〜1.0dl/gであり、好ましくは0.3〜
0.7dl/gである。ここでいう還元粘度は、ABS
樹脂中のフリーの重合体成分0.25gを精秤し、ジメ
チルホルムアミド50mlに2時間かけて溶解させた溶
液を、ウベローデ粘度計を用いて30℃の環境で測定し
たものである。なお、粘度計は溶媒の流下時間が20〜
100秒のものを用いる。還元粘度は溶媒の流下秒数
(t0)と溶液の流下秒数(t)から次式によって求め
られたものである。
【0057】 還元粘度(ηsp/C)={(t/t0)−1}/0.5 またグラフトされたシアン化ビニル化合物および芳香族
ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対して、グラ
フト率(重量%)で表して20〜200%が好ましく、
より好ましくは20〜70%のものである。
【0058】かかるABS樹脂は塊状重合、懸濁重合、
乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよいが、
特に塊状重合によるものが好ましい。塊状重合によるA
BS樹脂は乳化剤などに由来する不純物を基本的に含有
しないため、錆発生の要因がより少なくなるからであ
る。また本発明において好適なポリカーボネート樹脂と
のポリマーアロイを形成する際熱安定性や耐湿熱特性な
どの向上が認められるためである。特にB成分のポリマ
ー型帯電防止剤は少なからずポリカーボネート樹脂を熱
分解させる性質を有するため、相乗的な分解を生じさせ
ない点からもかかる塊状重合のABS樹脂の使用は好ま
しい。
【0059】共重合の方法は一段で共重合しても、多段
で共重合してもよい。また、かかる製造法により得られ
たABS樹脂に芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル成
分とを別途共重合して得られるビニル化合物重合体をブ
レンドしたものも好ましく使用できる。
【0060】本発明のB成分のポリマー型帯電防止剤と
は、帯電防止性能を有するポリマーである。すなわち、
該ポリマーの表面固有抵抗が1×1010Ω以下となるも
のである。かかるポリマーとしてはポリウレタン系熱可
塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー、およびポリアミド系熱可塑性エラストマーなどを挙
げることができる。これらは単独で使用することも2種
以上を混合して使用することもできる。
【0061】上記の中でもポリエーテル成分との共重合
体であるのが好ましい。更にその帯電防止性能からポリ
ウレタン系熱可塑性エラストマー、またはポリアミド系
熱可塑性エラストマーが好ましく、より好ましくはポリ
アミド系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
【0062】更にポリアミド系熱可塑性エラストマーの
中でも、ポリエーテルエステルアミドを好ましく挙げる
ことができる。ポリエーテルエステルアミドとは、両末
端にカルボキシル基を有するポリアミド(b−1)と、
ポリアルキルエーテル類(b−2)から誘導されるもの
である。更に本発明においては、A成分として好適なポ
リカーボネート樹脂との相溶性の観点から、両末端にカ
ルボキシル基を有するポリアミドと、ビスフェノール類
のアルキレンオキシド付加物から誘導されるものを挙げ
ることができる。
【0063】上記b−1の両末端にカルボキシル基を有
するポリアミドは、(1)ラクタム開環重合体、(2)
アミノカルボン酸の重縮合体もしくは(3)ジカルボン
酸とジアミノの重縮合体である。
【0064】上記(1)のラクタムとしては、カプロラ
クタム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラ
ウロラクタムなどが挙げられる。(2)のアミノカルボ
ン酸としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナ
ント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン
酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸
および12−アミノドデカン酸などが挙げられる。
(3)のジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、イ
ソフタル酸などが挙げられ、またジアミンとしては、ヘ
キサメチレジアミン、ヘプタメチレジアミン、オクタメ
チレジアミン、デエカメチレンジアミンなどが挙げられ
る。これらのうち好ましいものは、カプロクタム、12
−アミノドデカン酸およびアジピン酸−ヘキサメチレジ
アミンであり、特に好ましいものはカプロラクタムであ
る。
【0065】上記b−1は、炭素原子数4〜20のジカ
ルボン酸成分を分子量調節剤として使用し、これの存在
下に上記アミド形成性モノマーを常法により開環重合あ
るいは重縮合させることによって得られる。炭素原子数
4〜20のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸あるいは
コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカ
ンジ酸などの脂肪酸ジカルボン酸が挙げられ、特にテレ
フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ド
デカンジ酸が重合性、物性の点から好ましい。
【0066】上記b−1の数平均分子量は500〜5,
000が好ましく、より好ましくは500〜3,000
である。数平均分子量が500〜5,000の範囲で
は、十分な耐熱性を有し、B成分の製造時における反応
効率を高めることが可能となる。
【0067】上記b−2のポリアルキルエーテル類と
は、アルキレンオキシドの重合体やポリアルキレンオキ
シドが付加した化合物が挙げられる。かかるアルキレン
オキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレ
ンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、および1,4
−ブチレンオキシドなどを挙げることができる。
【0068】一方、上記b−2の数平均分子量は、1,
600〜3,000が好ましい。より好ましくはエチレ
ンオキシド単位のモル数が32〜60モル分含まれるも
のを好ましく挙げることができる。数平均分子量が1,
600〜3,000の範囲においては、良好な帯電防止
性能を有し、B成分の製造時における反応効率を高める
ことが可能となる。
【0069】b−2としてより好ましいビスフェノール
類のアルキレンオキシド付加物におけるビスフェノール
類としては、例えばビスフェノールA(4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノ
ールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、
ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルホン)、および4,4’−ジヒドロキシジフェニル
−2,2−ブタンなどが挙げられ、これらのうちビスフ
ェノールAが好ましい。
【0070】上記b−2はb−1とb−2の合計100
重量%中、20〜80重量%の範囲で用いられることが
好ましい。より好ましくは30〜70重量%の範囲であ
る。b−2が20〜80重量%の範囲では、B成分の耐
熱性および帯電防止性の良好な両立が可能となる。
【0071】上記b−2の製造法としては従来公知の各
種の方法を使用することができるが、より好ましい方法
としては特開平8−48768号に開示された方法を取
ることができる。すなわち、ビスフェノール類とアルキ
レンオキサイドをアルカリ触媒存在下、100〜200
℃の温度で付加反応させる。得られた付加反応物を塩化
メチレンなどの多ハロゲン化合物とアルカリ金属の存在
下40℃〜150℃の温度で反応させてビスフェノール
類へのアルキレンオキサイド付加物をより高分子化させ
る方法である。かかる方法は反応効率の点で有利であ
る。
【0072】本発明のB成分としてより好ましいb−2
がビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であ
るポリエーテルエステルアミドの製造方法としては各種
の方法を取り得るが主として以下の製法を例示できる。
すなわち、(i)アミド形成性モノマーおよびジカルボ
ン酸を反応させてb−1を形成した後、これにb−2と
してビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を
加え、高温・減圧下で重合反応を行う方法、および(i
i)アミド形成性モノマーおよびジカルボン酸とビスフ
ェノール類のアルキレンオキサイド付加物を同時に反応
槽に仕込み、水の存在下または非存在下に高温で加圧反
応させることによって中間体としてb−1を生成させ、
その後減圧下でb−1とビスフェノール類のアルキレン
オキサイド付加物との重合反応を行う方法である。
【0073】かかる重合反応には公知のエステル化触媒
が使用される。かかる触媒としては例えば三酸化アンチ
モンなどのアンチモン系触媒、モノブチルスズオキシド
などのスズ系触媒、テトラブチルチタネートなどのチタ
ン系触媒、テトラブチルジルコネートなどのジルコニウ
ム系触媒、酢酸ジルコニル、酢酸亜鉛などの有機金属塩
系触媒などが挙げられる。触媒の使用量は通常b−1と
b−2の合計重量に対して0.1〜5重量%である。
【0074】本発明は上記A成分およびB成分を含んで
なる樹脂組成物であって、該樹脂組成物中に含まれる塩
素含有量が50ppm以下のものである。より好ましく
は塩素含有量が35ppm以下、更に好ましくは25p
pm以下、特に好ましくは10ppm以下のものであ
る。更に好適にはB成分の塩素含有量が50ppm以下
のものである。かかるB成分を達成するため製造方法な
どに配慮が必要となる。
【0075】塩素含有量が50ppm以下のB成分を達
成するためには第1に塩素化合物の添加量を減少させる
ことが重要である。B成分にはその帯電防止性能を高め
るため、塩化ナトリウムや塩化カリウムといった無機塩
が添加される場合がある。したがって本発明における好
適なB成分とするためには、かかる無機塩の添加によっ
て組成物全体の塩素含有量が50ppmを超えない配慮
が必要である。更に好ましくはB成分自体の塩素含有量
を50ppm以下となるようその添加量を決める。特に
好ましくは実質的にかかる無機塩が後添加されていない
ものである。
【0076】一方、上述のとおりB成分の製造におい
て、塩化メチレンなどの塩素化合物が使用される場合が
あり、かかる場合には塩素化合物や塩素化合物の反応に
より生成する塩化ナトリウムなどの無機塩がポリマー中
に残留する場合がある。したがってB成分の製造におい
て塩素含有化合物を使用する場合には、精製工程、溶媒
除去工程、および洗浄工程などを十分に行うことで、残
留する塩素化合物を減少させることが好ましく、より好
ましくはB成分自体の塩素含有量を50ppm以下とな
るようにすることである。
【0077】上記B成分の分子量としては、その相対粘
度が1.1〜4.0(0.5重量%m−クレゾール溶
液、25℃)であるものが好ましく、より好ましくは
1.3〜3.0である。
【0078】本発明において特に好適なB成分として
は、例えば三洋化成(株)製ペレスタットNC6321
などが挙げられる。
【0079】上記B成分の組成割合としては、本発明の
A成分およびB成分を含んでなる帯電防止性樹脂組成物
100重量%中1〜20重量%であり、好ましくは2〜
20重量%、更に好ましくは3〜15重量%、特に好ま
しくは5〜15重量%である。B成分の割合が1重量%
未満では十分な帯電防止性能が発揮できず、20重量%
を超える場合には帯電防止性能が十分となる一方で耐熱
性の低下が生じる。
【0080】本発明の帯電防止性樹脂組成物として好適
な態様として、該樹脂組成物中の塩素含有量が50pp
mであることを満足し、かつA成分およびB成分を含ん
でなる樹脂組成物100重量%中、ポリカーボネート樹
脂(a1成分)20〜93重量%、ジエン系ゴム成分に
シアン化ビニル化合物および芳香族ビニル化合物をグラ
フトした熱可塑性グラフト共重合体(a2成分)5〜5
0重量%、ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴ
ムの存在下で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エス
テルおよび芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた
2種以上のモノマーを共重合して得られる弾性共重合体
および/またはポリオルガノシロキサンゴム成分とポリ
アルキルアクリレートゴム成分とが分離できないように
相互に絡み合った構造を有している複合ゴムに1種また
は2種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる
複合ゴム系グラフト共重合体(a3成分)1〜10重量
%、および塩素含有量が50ppm以下であるポリエー
テルエステルアミド1〜20重量%を含んでなる帯電防
止性樹脂組成物を挙げることができる。
【0081】ここでa1成分としては上記のポリカーボ
ネート樹脂を挙げることができる。またa2成分として
は上記のABS樹脂を挙げることができる。またa3成
分としては以下のとおりである。更にポリエーテルエス
テルアミドは、上記においてB成分として好ましい態様
として挙げたb−1およびb−2から誘導されるものの
うち、その塩素含有量が50ppm以下のものである。
【0082】a3成分の弾性共重合体は、ブタジエン由
来の繰り返し単位を含有するゴムの存在下、メタクリル
酸エステル、アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化
合物よりなる群から選ばれた2種以上のモノマーを共重
合して得られるものである。例えばポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニ
トリル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エステル共重
合体などが挙げられる。メタクリル酸エステルとして
は、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレー
トなどを挙げることができる。例えばメチルメタクリレ
ート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。ま
た、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレンなどが挙げられる。こ
れら弾性共重合体は、乳化重合、塊状重合、溶液重合、
懸濁重合など公知の方法に製造することができ、共重合
の方式は、一段グラフトであっても多段グラフトであっ
ても差し支えない。また、製造に際して副生するグラフ
ト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。か
かる重合体としては、ブタジエン−スチレン−メチルメ
タクリレート共重合体(MBS樹脂)ブタジエン−エチ
ルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体(MB
E樹脂)、ブタジエン−アクリル酸エステル系グラフト
共重合体などがあげられ、なかでも好ましくはブタジエ
ン−アクリル酸エステル系グラフト共重合体が使用され
る。ここでいうブタジエン−アクリル酸エステル系グラ
フト共重合体とは、コアおよびそれに1段または2段以
上でグラフト重合したシェルからなるコア−シェルグラ
フト共重合体であり、コアおよびシェルの合計100重
量部中コア40〜75重量部およびシェル60〜25重
量部、好ましくはコア50〜70重量部およびシェル5
0〜30重量部からなるものである。ブタジエン−アク
リル酸エステル系グラフト共重合体は、乳化重合法によ
りコアおよびそれに1段または2段以上でよりグラフト
重合したシェルからなるコア−シェルグラフト共重合体
であり、コアおよびシェルの合計100重量部中コア4
0〜75重量部およびシェル60〜25重量部、好まし
くはコア50〜70重量部およびシェル50〜30重量
部からなるものである。更にかかるコアの平均粒径とし
ては0.08〜0.25μmが好ましく、より好ましく
は0.13〜0.20μmからなるものである。
【0083】上記ブタジエン−アクリル酸エステル系グ
ラフト共重合体の具体的なものとしては、ブタジエン−
アクリル酸アルキルゴム強化されたメタクリル酸アルキ
ル−スチレン系共重合体で、市販品としては例えば、呉
羽化学工業(株)よりHIA−15があげられ、入手容
易であって好ましく使用することができる。
【0084】一方、a3成分の複合ゴム系グラフト共重
合体は、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキ
ルアクリレートゴム成分とが分離できないように相互に
絡み合った構造を有している複合ゴムに1種または、2
種以上のビニル系単量体がグラフト重合されてなる共重
合体である。複合ゴム系グラフト共重合体を得るために
は、まず3員環以上の各種の環状オルガノシロキサン、
例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチ
ルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシ
ロキサンなどと、架橋剤および必要ならばグラフト交叉
剤とをポリオルガノシロキサンゴムのラテックスに含浸
させてから重合することによってポリオルガノシロキサ
ンの架橋網目に相互に絡んだポリアルキルアクリレート
ゴムの架橋網目が形成され、実質上分離できないポリオ
ルガノシロキサンゴム成分とポリアルキルアクリレート
ゴム成分との複合ゴムが得られる。ここで用いられるア
ルキルアクリレート単量体としては、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレ
ートなどが挙げられるが、特にn−ブチルアクリレート
が好ましく用いられる。
【0085】この複合ゴムにグラフト重合させるビニル
系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなど
の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル化合物、メチルメタクリ
レートなどのメタクリル酸エステル、エチルアクリレー
ト、ブチルアクリレートなどのアクリル酸エステルなど
が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせ
て用いられる。この複合ゴムのグラフト共重合体は、三
菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001、SRK
−200という商品名で市販されており、入手容易であ
って好ましく使用することができる。
【0086】本発明の好適な態様であるA成分としてa
1成分、a2成分およびa3成分、並びにB成分として
ポリエーテルエステルアミドを含んでなる帯電防止性樹
脂組成物における各成分の組成割合としては、A成分お
よびB成分を含んでなる樹脂組成物100重量%中、a
1成分が20〜93重量%、a2成分が5〜50重量
%、a3成分が1〜10重量%、およびB成分として塩
素含有量が50ppm以下であるポリエーテルエステル
アミドが1〜20重量%である。より好ましくはa1成
分が40〜70重量%、a2成分が25〜45重量%、
a3成分が3〜7重量%、およびB成分として塩素含有
量が50ppm以下であるポリエーテルエステルアミド
が5〜15重量%である。上記範囲では、帯電防止性能
および錆発生の抑制性能の他、耐熱性、成形加工性、帯
電防止性、機械的強度、およびウエルド強度などが良好
となる。
【0087】更に本発明の帯電防止樹脂組成物には、グ
リセリンの飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリンの飽和
脂肪酸エステル、および高級アルコールと飽和脂肪酸と
のエステルから選択される少なくとも1種の成分を含む
ことができる。かかる成分を含むことにより更に錆の発
生を改良することが可能となる。これらのエステルは単
独もしくは2種以上混合して用いてもよい。使用するグ
リセリンの飽和脂肪酸エステルおよびポリグリセリンの
飽和脂肪酸エステルはモノエステルからフルエステルま
で任意に使用できるが、フルエステルが好ましく、なか
でもグリセリンのトリエステルが好ましく使用される。
【0088】上記のエステルに使用される飽和脂肪酸は
炭素数が10〜22の飽和脂肪酸が好ましく、特にラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が
好ましい。また、飽和脂肪酸としては部分的に水酸基を
有する12−ヒドロキシステアリン酸なども好ましく使
用される。ポリグリセリンとしては、炭素数が6〜36
のものが好ましい。一方、高級アルコールと飽和脂肪酸
とのエステルにおける高級アルコール部分は炭素数14
〜20が好ましく、ステアリルアルコールが好ましく使
用される。高級アルコールと飽和脂肪酸とのエステルの
具体的な例としては、ステアリルステアレートが挙げら
れる。またかかるグリセリンの飽和脂肪酸エステル、高
級アルコールと飽和脂肪酸とのエステルの配合量は、A
成分およびB成分を含んでなる帯電防止性樹脂組成物1
00重量%中、0.005〜1重量%が好ましく、0.
01〜0.7重量%がより好ましく、0.05〜0.5
重量%が更に好ましい。
【0089】本発明には、トリメチルホスフェート、ト
リフェニルホスフェートのようなリン酸エステルまたは
トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン
酸エステル化合物、更にその他のリン系熱安定剤とし
て、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,
3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)−4−ビフェニレンホスホナイト等
の亜ホスホン酸エステル化合物等を配合することによ
り、熱安定性が向上するので好ましい。これらの熱安定
剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。
かかる熱安定剤の割合は、A成分およびB成分を含んで
なる帯電防止性樹脂組成物100重量%中0.0001
〜1重量%が好ましく、0.0005〜0.5重量%が
より好ましく、0.002〜0.3重量%が更に好まし
い。
【0090】フェノール系抗酸化剤としては、従来公知
の各種のものが使用でき、例えばn−オクタデシル−3
−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブ
チルフェノール)プロピオネートなどが挙げられる。フ
ェノール系抗酸化剤の割合は、A成分およびB成分を含
んでなる帯電防止性樹脂組成物100重量%中0.00
01〜0.05重量%が好ましい。
【0091】さらに、本発明の目的を損なわない範囲で
無機充填剤、難燃剤、溶融特性改良剤(数平均分子量1
00万以上のAS樹脂、PMMA樹脂、PTFE樹脂な
ど)、ドリップ防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などを添
加してもよい。特にタルク、マイカ、ガラスフレーク、
ワラストナイトなどを含んだ場合、帯電防止性能を効率
的に向上させることが可能となる。
【0092】本発明の帯電防止性樹脂組成物を製造する
には、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分
および任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練
し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混
合の手段としては、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げること
ができる。予備混合においては場合により押出造粒器や
ブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うことも
できる。予備混合後、ベント式二軸ルーダーに代表され
る溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器
によりペレット化する。
【0093】他に、A成分、B成分および任意に他の成
分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸ルーダ
ーに代表される溶融混練機に供給する方法も取ることが
できる。またA成分、B成分および任意の他の成分のう
ち一部の成分を予備混合した後、残りの成分と独立に溶
融混練機に供給する方法が挙げられる。予備混合の手段
や造粒に関しては、上記と同様である。尚、配合する成
分に液状のものがある場合には、溶融混練機への供給に
いわゆる液注装置、または液添装置を使用することがで
きる。
【0094】更に本発明の帯電防止性樹脂組成物を製造
する場合には、B成分の水分が少ないものが好適である
ので、B成分を製造後水分の少ない状態で密封されたも
のを使用することが好ましい。
【0095】本発明の帯電防止性樹脂組成物は通常かか
るペレットを射出成形して成形品を得ることにより各種
製品を製造することができる。かかる射出成形において
は、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、
ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造
することも可能である。また射出成形においても、通常
の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮
成形、射出プレス成形、超高速射出成形、二色成形、サ
ンドイッチ成形等を使用することができる。特に磁気テ
ープ筐体の窓に使用されるAS(アクリロニトリル−ス
チレン)樹脂などのスチレン系の透明樹脂との二色成形
には本発明の組成物は適している。
【0096】また本発明の帯電防止性樹脂組成物は、押
出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムな
どの形で使用することもできる。またシート、フィルム
の成形にはインフレーション法などが使用可能である。
更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブ
として成形することも可能である。また本発明の帯電防
止性樹脂組成物を溶融混練することなく回転成形により
成形品とすることも可能である。更にブロー成形により
各種中空成形品を得ることも可能である。
【0097】本発明の帯電防止性樹脂組成物は、良好な
帯電防止性能を有すると共に、錆の発生を抑制したもの
である。かかる特性は大容量の重要なデータを長期に保
管する磁気テープや光磁気ディスクの筐体に必要とされ
る。更にA成分として好適なポリカーボネート樹脂を含
む場合には、耐熱性、耐衝撃性も良好であり更に磁気テ
ープや光磁気ディスクの筐体に好適なものとなる。した
がって本発明によれば好適な態様として、本発明の帯電
防止性樹脂組成物より形成された磁気テープまた光磁気
ディスクの筐体が提供される。
【0098】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて本発明を更
に説明する。
【0099】[実施例1〜8、比較例1〜6]表1に記
載のa1成分、a3成分およびその他の成分をV型ブレ
ンダーにて所定の割合混合したもの、およびa2成分、
B成分を別々の計量器に投入し、径30mmφベント式
二軸押出機[(株)日本製鋼所TEX−30XSST]
を用いて、所定の割合になるように3台の計量器を設定
し、かかる混合物を最後部の第一投入口より投入した。
かかる条件下で真空ポンプを使用し0.5kPaの真空
下において、シリンダー温度250℃、スクリュー回転
数120rpm、吐出量14kg/hで溶融押出してス
トランドを形成し、かかるストランドをカットしてペレ
ット化した。得られたペレットを110℃で5時間、熱
風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[ファナック
(株)T−150D]によりシリンダー温度250℃、
金型温度70℃で評価用の試験片を作成し、下記の評価
方法で評価を行った。 (1)成形品中の塩素含有量 得られた成形品中の塩素含有量を、イオンクロマトグラ
フ測定器(日本ダイオネクス(株)製、DX−100
型)を使用して燃焼イオンクロマトグラフィー法により
測定した。また原料のポリカーボネート樹脂、およびB
成分のポリエーテルエステルアミドについても同様に燃
焼イオンクロマトグラフィー法により塩素含有量を測定
した。 (2)耐熱性 ASTM D−648に従って1.813MPa荷重に
て荷重たわみ温度を測定した。 (3)耐衝撃性 ASTM D−256に従ってアイゾットノッチ付きイ
ンパクトを測定した。(試験片厚み3.2mm) (4)表面固有抵抗(帯電防止性) 射出成形して得られた平板(50×100×2mm)を
温度23℃、湿度50%RHの恒温室に24時間放置
後、極超絶縁計((株)東亜電波製、SM−10E)に
より表面固有抵抗(Ω)を測定した。 (5)ウエルド強度 射出成形にて成形したASTM D−638に従いTY
PE−I試験片を用い引張り強度(X1)を測定した。
次にTYPE−I試験片と同様の形状であり、試験片中
央部にウエルドラインがある試験片(TYPE−I試験
片と同一の金型で試験片の両端にゲートを設けたもの)
により同様にして引張り強度(X2)を測定した。X
1、X2よりウエルド部の強度保持率を下記式(I)よ
り算出し、ウエルド部の強度を評価した(試験片厚み
3.2mm)。
【0100】 強度保持率(%)=(X2/X1)×100 …(I) (6)錆発生の頻度 射出成形して得られた平板(50×100×2mm)1
0枚をSPCC板(#1000にて研磨)の上にのせた
状態で、65℃、85%相対湿度に設定された環境試験
機(タバイエスペック(株)製プラチナスサブゼロルシ
ファー)中に24時間保管し、錆発生の頻度を確認し
た。評価は以下のようにした。 ◎:10枚のサンプル全てにおいてSPCC板に錆の発
生が見られなかった ○:8枚以上のサンプルにおいてSPCC板に錆の発生
が見られなかった △:5枚以上のサンプルにおいてSPCC板に錆の発生
が見られなかった ×:SPCC板に錆の発生が見られなかったサンプルは
なかった
【0101】(7)成形加工性 流路厚2mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラ
ルフロー長を射出成形機(住友重機械工業(株)SG15
0U)によりシリンダー温度250℃、金型温度70
℃、射出圧力98.1MPaで測定した。なお、評価は
下記に従って行った。 ○:スパイラルフロー長が25cm以上であるもの ×:スパイラルフロー長が25cm未満であるもの
【0102】尚、表1、2に記載の各成分を示す記号は
下記の通りである。 (A成分) (a1成分)芳香族ポリカーボネート樹脂 PC−1:ビスフェノールAと末端停止剤としてp−t
ert−ブチルフェノールを使用し、界面重合法により
得られ下記参考例1の処理方法により得られた塩素含有
量が5ppmである粘度平均分子量22,000の芳香
族ポリカーボネート樹脂粉粒体。 PC−2:ビスフェノールAと末端停止剤としてp−t
ert−ブチルフェノールを使用し、界面重合法により
得られ下記参考例1において、容器の温度を65〜70
℃として得られた塩素含有量が80ppmである粘度平
均分子量22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂粉
粒体。 PC−3:溶融重合法により得られ、塩素含有量が1p
pm未満である粘度平均分子量22,000のビスフェ
ノールA型芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット。 (a2成分) ABS1:ABS樹脂[日本エイアンドエル(株)製
サンタック UT−61] ABS2:ABS樹脂[日本エイアンドエル(株)製
サンタック AT−05] (a3成分) ゴム1:[呉羽化学工業(株) 製 HIA−15] (ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレートゴム強
化メタクリル酸メチル−スチレングラフト共重合体) ゴム2:[三菱レイヨン(株)製 メタブレンS200
1] (ブチルアクリレート−オルガノシロキサン複合ゴムと
メタクリル酸メチルとのグラフト共重合体) (B成分) PEEA−1:塩素含有量が50ppm未満であるポリ
エーテルエステルアミド[三洋化成工業(株)製 ペレ
スタットNC6321] PEEA−2:塩素含有量が200ppmであるポリエ
ーテルエステルアミド[三洋化成工業(株)製 ペレス
タット6321] (その他の成分) 添加剤−1:トリメチルホスフェート[大八化学工業
(株)製「TMP」] 添加剤−2:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)4,4−ビフェニレンジホスホナイトを主
成分とする安定剤[クラリアントジャパン(株)製「サ
ンドスタブP−EPQ」] 添加剤−3:グリセリンの飽和脂肪酸トリエステル/高
級アルコールと飽和脂肪酸とのエステル[理研ビタミン
(株)製 リケマールSL900] 添加剤−4:アニオン系界面活性剤(アルキルスルホン
酸ナトリウム)[三洋化成工業(株)製 ケミスタット
3033] 添加剤−5:有本化学工業(株)製「Plast Vi
olet 8855」4.3重量%、バイエル社製「M
ACROLEX Blue RR」86.6重量%、三
菱化学(株)製「カーボンブラック#970」0.4重
量%、および有本化学工業(株)製「Oil Gree
n 5602」8.7重量%の合計100重量%からな
る着色剤混合物 GF:ガラス短繊維(ミルドファイバー)[日東紡績
(株)製PFE−301、繊維径9μm、平均繊維長4
0μm]
【0103】参考例1(ポリカーボネート樹脂PC−1
の製造) ポリカーボネートの有機溶媒供給口、温水供給口、水蒸
気導入口、気化有機溶媒の排気口およびオーバーフロー
型排出口を備えた有効内容積500L水平軸回転型混合
機の二軸式の容器に、攪拌羽根としてリボン型形状を有
する攪拌機を装着した。その容器に平均粒径7mmのポ
リカーボネート樹脂粉粒体を50gおよび水250gを
仕込み、攪拌速度が80rpmで攪拌しながら、容器内
の温度が77℃になったところで、平均分子量が22,
000であるポリカーボネート樹脂16重量%濃度の塩
化メチレン溶液を10kg/分の速度で供給し、また温
水を10kg/分の速度で供給した。供給中、容器内の
温水量/ポリカーボネート樹脂粉粒体(容量比)は約5
に保持され、また、容器内の温度は、圧力2.7kg/
cm2の蒸気を使用して水蒸気導入口とジャケットの加
熱により77℃に保持した。また、攪拌能力は6kw/
hr・m3であった。供給開始後、容器内のスラリーの
レベルが上昇し、容器内の上部に設けられた排出口よ
り、生成されたポリカーボネート樹脂粉粒体と温水が排
出された。この際、ポリカーボネート樹脂粉粒体の滞留
時間は1時間であった。
【0104】次に、粉粒体が排出され粉粒体の性状が安
定してからサンプル採取した。排出口より排出されたポ
リカーボネート樹脂粉粒体と温水は、次いで縦型遠心分
離機(コクサンエンシンキ製)によって1,500Gの
遠心力で遠心分離し、ポリカーボネート樹脂粉粒体をろ
過分離した。分離したポリカーボネート樹脂粉粒体を粉
砕機により平均粒径2mmに粉砕し、熱風乾燥機によ
り、140℃、4時間の乾燥を行った。これより得られ
たポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は22,00
0、嵩密度は0.3g/cm3、塩素原子量は5ppmで
あった。ここで得られたポリカーボネート樹脂をPC−
1と称する。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【発明の効果】本発明の帯電防止樹脂組成物は、帯電防
止性の他、耐熱性、耐衝撃性、ウエルド強度、成形加工
性などに優れるものであり、殊に錆の発生を抑制する点
において優れるものである。かかる特性はOA機器、コ
ンピュータ関連機器、電気電子機器分野などにおいて帯
電防止性の必要な材料に有効である。特に大容量の重要
なデータを長期に保管する磁気テープや光磁気ディスク
の筐体に使用する材料として、極めて好適なものであ
る。したがって本発明の奏する工業的効果は格別なもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/12 C08L 77/12 G11B 23/02 G11B 23/02 A // B65D 85/575 B65D 85/00 311Z Fターム(参考) 3E068 AA01 AA08 AB01 AC04 AC06 CC01 CD05 CE03 4F071 AA12 AA14 AA50 AA57 AA77 AC10 AE16 AE22 AF38 AH05 BA01 BB05 BC04 4J002 AA01W AA01X BB02W BB11W BB16W BC03W BC04W BN07W BN15W BN16W BN22W CF03W CF05W CF16W CG00W CH07W CH09W CL00W CL08X EH046 FD10X FD206 GG00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A成分)およびポリマー
    型帯電防止剤(B成分)を含んでなる樹脂組成物であっ
    て、該樹脂組成物100重量%中B成分が1〜20重量
    %であり、かつ該樹脂組成物中に含まれる塩素原子に換
    算された総塩素含有量が50ppm以下である帯電防止
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 塩素原子に換算された総塩素含有量が3
    5ppm以下である請求項1に記載の帯電防止樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 B成分の塩素原子に換算された総塩素含
    有量が50ppm以下である請求項1または2のいずれ
    かに記載の帯電防止性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 B成分がポリエーテルエステルアミドで
    ある請求項1または2のいずれかに記載の帯電防止性樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 A成分がポリカーボネート樹脂およびガ
    ラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含んでなるもの
    である請求項1または2のいずれかに記載の帯電防止性
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 A成分およびB成分を含んでなる樹脂組
    成物100重量%中、ポリカーボネート樹脂(a1成
    分)20〜93重量%、ジエン系ゴム成分にシアン化ビ
    ニル化合物および芳香族ビニル化合物をグラフトした熱
    可塑性グラフト共重合体(a2成分)5〜50重量%、
    ブタジエン由来の繰り返し単位を含有するゴムの存在下
    で、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび
    芳香族ビニル化合物よりなる群から選ばれた2種以上の
    モノマーを共重合して得られる弾性共重合体および/ま
    たはポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキルア
    クリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み
    合った構造を有している複合ゴムに1種または2種以上
    のビニル系単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系
    グラフト共重合体(a3成分)1〜10重量%、および
    塩素原子に換算された総塩素含有量が50ppm以下で
    あるポリエーテルエステルアミド1〜20重量%を含ん
    でなる請求項1または2のいずれかに記載の帯電防止性
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 A成分およびB成分を含んでなる樹脂組
    成物100重量部に対し、グリセリンの飽和脂肪酸エス
    テル、ポリグリセリンの飽和脂肪酸エステル、および高
    級アルコールと飽和脂肪酸とのエステルから選択される
    少なくとも1種の成分を0.005〜1重量部含んでな
    る請求項1または2のいずれかに記載の帯電防止性樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の帯
    電防止性樹脂組成物より形成された磁気テープまた光磁
    気ディスクの筐体。
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