JP2007276354A - 多層シート、それを熱成形してなる成形体 - Google Patents

多層シート、それを熱成形してなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】改良された搬送用トレーや液状物が含まれる物品の収納用トレー等の製造に好適な多層シート及びそれを熱成形してなる成形体、及び特に搬送物の保護性に優れた搬送用トレー、液状物が漏れ難い収納用トレーを提供する。
【解決手段】基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートの表層面側に物品を収納するための凹部1が少なくとも1つ形成されている成形体からなる物品搬送用トレー。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多層シート、それを熱成形してなる成形体に関する。該成形体は、特に搬送物の保護性に優れた搬送用トレーや液状物が含まれる物品の収納用トレーに好適な成形体に関する。
搬送時における工業製品や工業部品の汚染、受傷、破損等の品質低下を低減させるため、種々の資材を用いて包装や梱包が行われてきた。特に、光学機器用部品や電子機器部品は、精密で高額であるため特に厳重な包装や梱包が行われてきた。
しかし、近年、省資源、省エネルギー、リサイクル等の観点から法制度が見直され、過度の包装や梱包をせずに、搬送時の工業製品等の品質低下を防止することが求められるようになった。そのため、搬送物の保護材となる熱可塑性樹脂成形体、特にそれぞれの搬送物の形状に合った熱可塑性樹脂製搬送用トレーが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらトレーを用いる場合でも、搬送中の振動によって搬送物が受傷、破損したり、トレーの熱可塑性樹脂が摩耗して粉化して搬送物を汚染する問題がある。特に、光学機器用部品や電子機器部品は、このようなわずかな受傷や汚染でも不良品となるなど問題になる。
また、食品類で液体成分を含有する食品類、例えば、豆腐と水、煮汁の入った魚や野菜等の煮物、漬物などは種々知られているが、通常の、ポリプロピレン単体シートやポリエステル単体シートなどの熱可塑性樹脂単体シート製の本体と蓋体とからなる液体を含有する物品用の簡易収納用トレーは、前記物品が収納されたトレーを傾けたり、搬送したりする際に本体と蓋体との間から液状物が漏れやすいなどの問題がある。
特開2002−302114号公報
本発明は、従来の搬送用トレー等の問題点に鑑み、改良された搬送用トレー等の製造に好適な多層シート及びそれを熱成形してなる成形体、特に搬送物の保護性に優れた搬送用トレーや、液状物が含まれる物品の収納用トレーを提供することを課題とする。
本発明者らは課題を解決するため鋭意研究した。その結果、少なくとも熱可塑性樹脂層と熱可塑性エラストマー層とを有し、該熱可塑性樹脂層の少なくとも片面に該熱可塑性エラストマー層が表層を形成する多層シート及びそれを熱成形してなる成形体、特に搬送用トレー、あるいは、本体と蓋体とからなる液状物が含まれる物品の収納用トレーによって課題が解決されることを知り、その知見に基づいて本発明を完成した。
本発明の多層シート及びそれを熱成形してなる成形体は次のものである。
(1)基層及び基層の少なくとも片面に形成された表層とを有する多層シートであり、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シート。
(2)熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種である前記(1)項記載の多層シート。
(3)熱可塑性エラストマーまたはその組成物が、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、及びそれらの組成物から選ばれる少なくとも1種である前記(1)または(2)項記載の多層シート。
(4)熱可塑性樹脂がポリプロピレン又はポリスチレンであり、熱可塑性エラストマーまたはその組成物がポリスチレンエラストマーまたはその組成物である前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の多層シート。
(5)熱可塑性エラストマーまたはその組成物が、JIS K7215に基づくHDA40〜90の硬さを有する前記(1)〜(4)項のいずれかに記載の多層シート。
(6)熱可塑性エラストマー組成物が帯電防止剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物である前記(1)〜(5)項のいずれかに記載の多層シート。
(7)多層シートが共押出法により形成された多層シートである前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の多層シート。
(8)基層の厚さが0.2〜5mmであり、表層の厚さが0.005〜1mmである前記(1)〜(7)項のいずれかに記載の多層シート。
(9)表層の静摩擦係数が1.0以上である前記(1)〜(8)項の何れか1項記載の多層シート。
(10)前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の多層シートを熱成形してなる成形体。
(11)成形体が、物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されており、少なくとも前記凹部内側面が表層からなる面である前記(10)項に記載の成形体。
(12)成形体が物品搬送用トレーである前記(10)又は(11)項のいずれかに記載の成形体。
(13)成形体が、物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されている本体と、その蓋体とからなり、前記本体及び蓋体とも、少なくとも物品を収納する側の面が表層からなる面からなる液状物が含まれる物品の収納用トレーである前記(10)項に記載の成形体。
本発明の多層シートは熱成形によって容易に所望の形状を有する成形体にすることができ、成形体は特に搬送用トレーや、液体を含有する物品の収納用トレーに好適である。得られた搬送用トレーは、搬送対象物(搬送物と略称)が表層の熱可塑性エラストマー層に接するので、搬送時の振動や衝撃による搬送物の受傷や破損を抑制するだけでなく、搬送用トレーの受傷や破損を防止する事が出来る、更に搬送用トレーを積載した場合の荷崩れをも防止し、搬送の効率化を図ることができるので、光学機器用部品や電子機器部品、例えばレンズ、液晶パネル等の精密で特に擦り傷を避けなければならない部品や製品の搬送に好適である。
また、本体とその蓋体とからなる液状物が含まれる物品の収納用トレーの場合には、当該物品が存在する前記本体及び蓋体の少なくとも内側面が、共に表層の熱可塑性エラストマー層からなる。従って、蓋を閉めた際に、本体と蓋体の熱可塑性エラストマー層同士が密着するので、当該物品が収納されたトレーが傾いたり、搬送の際の振動などによっても、液状物が本体と蓋体の間から漏れにくいと言う効果を有する液状物が含まれる物品の収納用トレーを提供することができる。
本発明の多層シートは、基層及び基層の少なくとも片面に形成された表層とを有する。基層は熱可塑性樹脂からなり、表層は熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる。この多層シートは、熱可塑性エラストマーの代わりにいわゆるゴム(加硫ゴム)を用いる場合に比べて、共押し出しにより、容易に均一な多層シートを形成でき、熱可塑性樹脂基層/ゴム表層の多層シートを製造する困難さに比べて、極めて優位である。また、この多層シートは、熱可塑性エラストマーと熱可塑性樹脂からなるので、真空成形法、圧空成形法、圧空真空成形法等などの熱成形で容易に成形できる点も特色の一つである。
基層の片面のみに熱可塑性エラストマーからなる表層が形成される場合、この多層シートを熱成形して得られる搬送用トレーは、搬送物が収納されて接する側が表層となり、反対の外面が熱可塑性樹脂層となるのが好ましい。即ち、搬送物(固形物品)を収納するための凹部が1つ又は複数個形成されるが、その凹部の内面が熱可塑性エラストマーからなる表層となるように成形される。このように、搬送物(物品)が熱可塑性エラストマーからなる表層と接するようなトレーとすることで、その結果、搬送物は搬送時の振動による衝撃で受傷、破損することが少なくなり、トレー自体も衝撃で破損して粉状物を生じにくくなって搬送物の汚染が抑制される。熱可塑性エラストマーは、通常、静摩擦係数が大きめなので、凹部に挿入された搬送物は、搬送時の振動によっても動きにくくなり、また、熱可塑性エラストマーは、比較的柔軟性があり、弾力性を有するので、搬送物は、搬送時の振動による衝撃で受傷、破損することが少なくなり、トレー自体も衝撃で破損したり、振動により搬送物による引っ掻きやこすれなどによる粉状物を生じにくくなって搬送物の汚染が抑制されるものと推定される。
また、基層の両面に熱可塑性エラストマーからなる表層が形成される場合、この多層シートを熱成形して得られる搬送用トレーは、上記したように、搬送時の振動や衝撃による搬送物の受傷や破損を抑制するだけでなく、搬送用トレーの受傷や破損を防止する事が出来る、更に搬送用トレーを積載した場合、熱可塑性エラストマーの摩擦係数が大きいので、荷崩れの防止効果がより一層大きくなり、搬送の効率化を図ることができ、好ましい。
成形体が、物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されている本体とその蓋体とからなり、前記本体及び蓋体とも、少なくとも物品を収納する側の面が表層からなる面からなる液状物が含まれる物品の収納用トレーの場合には、蓋を閉めた際に、本体と蓋体の熱可塑性エラストマー層同士が密着するので、当該物品が収納されたトレーが傾いたり、搬送の際の振動などによっても、内在する液体が本体と蓋体の間から漏れにくく、食品などの液状物が含まれる物品の簡易収納用トレーとして好適である。勿論、基層の両面に熱可塑性エラストマーからなる表層が形成された多層シートを熱成形して得られる前記液状物が含まれる物品の収納用トレーは、更にこの収納用トレーを積載した場合、熱可塑性エラストマーの摩擦係数が大きいので、上記と同様に荷崩れの防止効果がより一層大きくなり、搬送の効率化を図ることができ、好ましい。
本発明の多層シートの基層を形成する熱可塑性樹脂は、該基層が熱成形によってトレーに成形することができ搬送用トレーに必要な形状保持性を有するならば特に制限されない。具体的には、成形性、価格、リサイクル適性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる1種以上が好ましい。中でも、ポリプロピレン、及びポリスチレンが、コストが安い割に、比較的腰も強く(剛性があること)搬送用トレーに必要な形状保持性を満たし、成形性、リサイクル適性も良好で好ましい。基層を形成する熱可塑性樹脂は、搬送用トレーに必要な形状保持性を有することから、これを踏まえて硬質熱可塑性樹脂とここでは呼ぶこともある。
本発明の多層シートの表層を形成する熱可塑性エラストマーまたはその組成物は、得られる多層シートを熱成形によってトレーに成形する際に、表層が破断せず、厚さむらが生じにくく、かつ搬送物を衝撃から保護できれば特に制限されない。具体的には、基層との接着性、弾性、衝撃緩和性(柔軟性)、コストの観点から、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、及びそれらの組成物から選ばれる1種以上が好ましい。中でも、基層に用いられる熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合は、多層シートの表層にはポリスチレンエラストマーまたはその組成物が、上記の観点からも特に好ましい。ポリスチレンエラストマーは帯電防止剤を添加した場合に、帯電防止性が良好に発揮され好ましい。
これらの熱可塑性エラストマーまたはその組成物は、多くの市販品があるので、ここで詳細説明は省略している。一部の例を挙げると、ポリスチレンエラストマーとしては、スチレンブロックとゴム中間部ブロックとを有するような熱可塑性エラストマーであり、Sをスチレンセグメント、Bをブタジエンセグメント、Iをイソブチレンセグメント、Eをエチレンセグメント、EBをエチレンブチレンセグメント、EPをエチレンプロピレンセグメントとすると、[1]S−B−S、[2]S−I−S、[3]S−EB−S、[4]S−EP−Sなどのタイプが代表的であり、水添スチレン・ブタジエンブロックコポリマー、水添スチレン・イソプレンブロック共重合体も含めて、市販品としては、例えば“SBSタフプレン”(会社名:旭化成ケミカルズ)、“SEBSタフテック”(会社名:旭化成ケミカルズ)、“SEBSエラストマー”(会社名:アロン化成)、“JSR−SIS”(会社名:JSR)、“SEBSラバロン”(会社名:三菱化学)、“SEBS住友TPE−SBシリーズ”(会社名:住友化学工業)、“SEBSセプトン”(会社名:クラレ)、“ESBSエポフレンド”(会社名:ダイセル工業)、“SISクインタック”(会社名:日本ゼオン)、“SEPSセプトン”(会社名:クラレ)、“SEEPSセプトン”(会社名:クラレ)、その他が挙げられる。
ポリオレフィンエラストマーとしては、ハードセグメントにポリプロピレンやポリエチレンを用い、ソフトセグメントにエチレンプロピレンブタジエンゴム(EPDM)を用いたポリオレフィンエラストマーなどが代表的なものであり、市販品としては、例えば“ミラストマー”(会社名:三井化学)、“住友TEP”(会社名:住友化学)、“サーモラン”(会社名:三菱化学)、“オレフィックス”(会社名:日本ポリエチレン)、“PER”(会社名:トクヤマ)、“サーリンク”(会社名:東洋紡)、“ニューコン”(会社名:チッソ)その他が挙げられる。
ポリエステルエラストマーとしては、例えば、ハードセグメントに高融点で高結晶性の芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレートなど)を、ソフトセグメントにガラス転移点の低い非結晶性のポリエーテル(例えばポリオキシテトラメチレングリコール:PTMG)やポリエステルを用いたものなどからなるポリエステルエラストマーが代表的なものであり、市販品としては、例えば、“ハイトレル”(会社名:東レ・デュポン)、“ペルプレン”(会社名:東洋紡)、“プリマロイ”(会社名:三菱化学)、“ヌーベラン”(会社名:帝人化成)その他が挙げられる。その他、必要とあれば、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマーまたはその組成物については、例えば、旭化成アミダス株式会社及び「プラスチック」編集部共編 株式会社工業調査会1999年12月1日初版第1刷発行「プラスチック・データブック」第854頁〜910頁の記載を参照することができる。
本発明の多層シートの表層を形成する熱可塑性エラストマーの組成物は、熱可塑性エラストマー単独では、基層との接着性、弾性、衝撃緩和性(柔軟性)、成形性、帯電防止性等が不十分である場合に、それらの性質を改善する目的で用いられることが多い。該組成物はポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマーに、公知の改質剤や添加剤を配合して製造される。
特に、本発明の多層シートの表層は、多層シートを熱成形する際の延展性、トレーでの衝撃緩和性、基材との接着性、搬送時の帯電防止性が重要である。従って、熱可塑性エラストマー組成物の配合添加剤の中でも、柔軟剤、相溶化剤、帯電防止剤、耐候(光)剤、防カビ剤、抗菌剤などは特に重要である。これらの改質剤や添加剤としては、一般に熱可塑性エラストマーに使用されるものが適宜用いられる。これらの添加剤の添加量は、添加剤の種類や、使用目的によって異なるので、特に限定するものではないが、熱可塑性エラストマー組成物中、通常、相溶化剤については、1〜30重量%、帯電防止剤、耐候(光)剤、防カビ剤、抗菌剤などは通常0.05〜5重量%の範囲で用いられる。帯電防止剤の添加は、光学機器用部品や電子機器部品の搬送用トレーに用いる場合に、帯電によるゴミの付着防止や、電子部品の帯電による破壊などを防止する上でも好ましい。
帯電防止剤としては、熱可塑性樹脂に使用されている帯電防止剤が挙げられる。
中でも、例えば、特開2001−278985号公報、特開2004−217929号公報、特開2005−154728号公報などに開示されているブロックコポリマー系の永久帯電防止剤(高分子系帯電防止剤)は、帯電防止剤が搬送物(物品)に付着しにくいので特に好ましいものの一つである。通常の界面活性剤系の帯電防止剤の場合は、添加量は、上述したように、熱可塑性エラストマー組成物中、0.05〜5重量%の範囲で用いられるが、上述したブロックコポリマー系の永久帯電防止剤(高分子系帯電防止剤)の場合には、熱可塑性エラストマー組成物中、通常、1〜30重量%程度の範囲で用いることが好ましい。
上記永久帯電防止剤を添加した熱可塑性エラストマーについて、1×1011〜1×1013Ω/sq.の表面抵抗率の範囲の材料設計が可能である。さらなる高い帯電防止機能を付与させるには、上記永久帯電防止剤に加えアルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオンとによって構成される金属塩を添加することが好ましい。具体的な金属塩としては、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムが挙げられる。永久帯電防止剤に対する金属塩の添加量は永久帯電防止剤100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。また金属塩をあらかじめ溶媒に溶かして使用することが、生産の効率上好ましい。上記永久帯電防止剤に加え金属塩を加えることで、1×108〜1×1012Ω/sq.の表面抵抗率の範囲の材料設計が可能となる。
本発明においては、熱可塑性エラストマーまたはその組成物の硬さは、デュロメータ硬さ計のタイプAを用いたHDA(JIS K 7215で測定)40〜90が好ましく、40〜70がより好ましく、50〜60が最も好ましい。硬さがこの範囲であれば、多層シートから得られるトレーの衝撃緩和性が優れる。
本発明の多層シートは、基層及び基層の片面または両面に形成された表層とからなる多層シートであり、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートであるが、必要に応じて基層と表層との間に例えば接着性を向上させるための層等を設けても良い。また、多層シートを後述するような各層のラミネートにより製造する場合には、接着性を向上させるための表面処理などを施してもよい。
本発明の多層シートの厚さは、搬送用トレーの用途、使用環境、用いる素材の種類等によって適宜選択できるが、搬送用トレーの搬送物保護と多層シートのトレーへの熱成形性の観点から、基層の厚さは0.2〜5mmが好ましく、0.5〜1.5mmがより好ましく、表層の厚さは0.005〜1mmが好ましく、0.03〜0.1mmがより好ましい。液状物が含まれる物品の収納用トレーの場合にも、上記範囲の厚さの多層シートを用いることができるが、コストの安い簡易トレーとする観点からは、上記の範囲より薄い範囲で用いることが好ましい。具体的には、基層の厚さは0.2〜1.5mmが好ましく、0.2〜0.6mmがより好ましく、表層の厚さは0.005〜0.1mmが好ましく、0.005〜0.05mmがより好ましい。
本発明の多層シートの表層の静摩擦係数は、搬送中に搬送物がトレー内で移動しないように、また積載されたトレー同士が移動しないようにするため、1.0以上が好ましく、1.3以上がより好ましい。
本発明の多層シートを製造するための方法は、特に限定されず、共押出法、ラミネート法、押出ラミネート法等の公知の方法が用いられる。中でも、一定した厚さのシートを安定して生産でき、工程が1度で済みコスト面でも有利なため、共押出法が好適である。
共押出法により多層シートを成形する場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの相溶性を考慮して、層間の接着強度を高めることが望ましい。
具体的な例を挙げて説明すると、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合、共押出する熱可塑性エラストマーは成型加工性を考慮するとポリスチレンエラストマーの組成物であることが好ましい。本組成物の好ましい形態としては、ポリスチレンエラストマー、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、及び/又は、ポリエチレン系樹脂)、オイルからなり、必要に応じて永久帯電防止剤と金属塩を添加することが好ましい。ポリスチレンエラストマー、オレフィン系樹脂、オイルの好ましい配合量はポリスチレンエラストマー100重量部に対して、オレフィン系樹脂10〜140重量部、オイル10〜180重量部である。
熱可塑性樹脂がポリスチレンである場合、共押出する熱可塑性エラストマー組成物の好ましい形態としては、ポリスチレンエラストマー、ポリスチレン系樹脂、オイルからなり、必要に応じて、永久帯電防止剤と金属塩を添加することが好ましい。ポリスチレンエラストマー、ポリスチレン系樹脂、オイルの好ましい配合量はポリスチレンエラストマー100重量部に対して、ポリスチレン系樹脂10〜80重量部、オイル10〜180重量部である。
本発明の多層シートから本発明の搬送用トレー或いは液状物が含まれる物品の収納用トレーを熱成形するための方法としては、真空成形法、圧空成形法、圧空真空成形法等の公知の方法が用いられる。
本発明の搬送用トレーの形状は、搬送物が収納されて接する側が表層となっていれば特に制限はなく、搬送物の形状に合わせ、かつ金型からの成形品の離型性を配慮して熱成形用金型を作成し、その金型を用いて本発明の多層シートを熱成形することにより所望の形状の搬送用トレー、液状物が含まれる物品の収納用トレー等の成形体が得られる。
搬送用トレーとしては、搬送物(物品)の形状や大きさに応じて、当該物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されている。1つの凹部には、通常、固形物品である搬送物1個が収納されるが、凹部の形状は、搬送物の形状や大きさ、収納方向(例えば、同じ物品でも、縦長の状態で立てて収納するとか、横に寝かせて横長の状態で収納するとかなどの収納方向)に応じて、搬送の振動などにより凹部内で収納物品があまり大きく動かないようなしかも収納の際に収納物品を凹部に挿入する際に強く押し込まなければならないなどのこすれ合いを生じない程度の搬送物(物品)の形状や大きさに応じた形状とすることが好ましい。
また、本発明の多層シートを用いた搬送用トレーは、上下から搬送物を挟む態様にすると搬送物の保護効果は向上する。更に、搬送用トレーが、本発明の多層シートを容器と蓋に用いて嵌合容器とすれば、防水性、防湿性等に優れた性能の搬送用トレーが得られる。
本発明の多層シートを用いた搬送用トレーは、レンズ、液晶パネル等の精密で特に擦り傷を避けなければならない光学機器用部品や電子機器部品や製品などの固形物品の搬送に特に好適である。
食品やその他の液状物が含まれる物品の収納用トレーの場合には、液漏れ防止に効果を発揮するので好ましい。
図1(斜視図)及び図2(図1のA−A´部断面の端面図)に本発明の搬送用トレーの一態様を示した。略円錐台形状の絞り部1(凹部)を36個有するトレーであり、2は外側壁部である。3はトレーの表側面、4はトレーの裏側面を示している。例えば、後述するような、平面形状が円形のレンズ部品の搬送用トレーなどとして使用されるものである。そして、このトレーを形成している多層シートは、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートから構成されており、少なくともトレーの表側面3(凹部1の内側面側)が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる構成である。従って、必要に応じ、トレーの裏側面4側にも更に熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる層(表層)が設けられた、基層が熱可塑性樹脂からなり表層が両面(表側面3及び裏側面4)とも熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートから構成されていてもよい。
図3は、別の態様の本発明の液状物が含まれる物品の収納用トレー(食品類収納用トレー)本体の一態様の平面図、図4は図3のA−A´部断面の端面図、図5は図3のB−B´部断面の端面図、図6は、図3のトレーの蓋部の平面図、図7は図6のA−A´部断面の端面図、図8は図6のB−B´部断面の端面図である。
図3〜5(特に図4や図5を参照すると理解しやすいいが)に示される如く、この態様では、物品を収納するための凹部が1つ形成されている収納用トレー本体10は、液状物が含まれる物品を収納するための凹部11が1つ形成されている。その他の底面に部分的に形成されている凹凸部12は、剛性を持たせ形態保持性を高めるための補強用リブとして凹凸を設けたものである。この態様では、収納用トレー本体10の底面と後述する蓋体の平面部に補強用リブとして凹凸を設けた態様を示したが、必要に応じて、収納用トレー本体10の側壁部13及び/又は14にも補強用リブとしての凹凸を設けてもよい。勿論、剛性が収納物品を保持するに十分な素材や厚さを有する場合には、このような補強用リブは不要であるが、通常、材料樹脂の使用量を少なくしてコストを下げるために、やや薄手の多層シートを用いて成形する場合に必要に応じて補強用リブとしての凹凸を設けることは、剛性を向上させ形態保持性を向上させる上で有利である。そして、15は凸枠部、16は平面の枠部基部、19は開閉用つまみ部である。
また、図6〜8(特に図7や図8を参照すると理解しやすい)に示される如く、蓋体20は、平面部に補強用リブとして凹凸部22が設けられ、25は凸枠部、26は平面の枠部基部、29は開閉用つまみ部である。ここで、本体とその蓋体ともに、このトレーを形成している多層シートは、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートから構成されており、少なくともトレーの内側面側17、27(物品を収納する側の面)が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる構成である。従って、必要に応じ、トレーの外側面側18、28にも更に熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる層(表層)が設けられた、基層が熱可塑性樹脂からなり表層が両面とも熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートから構成されていてもよい。
そして、液状物が含まれる物品、例えば、豆腐(豆腐と水)や煮汁の入った煮物類(魚、野菜その他の煮物)、漬物などの食品類などを収納した後、トレー本体10の凸枠部15の上面と、蓋体20の凸枠部25の裏面(凹部)とが嵌合するように蓋を閉めることにより、トレー本体10の凸枠部15の上面と、蓋体20の凸枠部25の裏面(凹部)は、その面が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる表層で形成されているので、密着性がよく、収納された物品の液状物がトレーから漏れるのを防止することができる。
かかる液状物が含まれる物品の収納用トレーは、液状物が含まれる食品収納用トレーとして好適に利用できるが、何ら、食品用に限定されるものではなく、液状物が含まれる物品であれば、その収納用トレーとして利用できる。
実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に、実施例、比較例で用いられた評価方法について述べる。
1)静摩擦係数((株)安田精機製作所製、スプリットテスター型式162−SLMにより試験):485×123×13mmの水平なガラス板試料台に試料シートを試験面を上にして取り付け固定し、100×60×20mm、重量1000gのブロックの水平面に試料シートを試験面を下にして取り付け固定し、この両試料シートの試験面が重なるように試料台の上に置く。試料台を角度1度/1secの速度で傾け、前記ブロックが滑り出す時の角度θからtanθを求めて静摩擦係数とした。測定は23℃、RH50%の室内で実施した。
2)硬さ(HDA):JIS K 7215プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法に従って測定した。
3)搬送模擬試験:図1(斜視図)及び図2(図1のA−A´部断面の端面図)に示すような縦200×横220×深さ20mmで略円錐台形状の絞り部(絞り部の直径は底部直径28mm、開口部直径30mm)を36個有するトレーの各絞り部に、直径27mmの写真機用レンズ部品を挿入し、同じトレーを上から被せて上下のトレー重ね合わせ部分を接着テープで接合し密封した。この密封物を、ダンボールに入れて100kmをトラックで搬送した後、開封して部品の受傷の有無、及びトレーの破損の有無を観察した。
4)表面抵抗率:2層シートを用いて、三菱化学株式会社製、表面抵抗計“ハイレスタ”(商標名)を用いて、温度23℃、湿度50%、印加電圧500Vの条件にて測定した。
実施例1
基層用90mm径単軸押出機及び表層用65mm径単軸押出機を備えた2種2層の共押出シート製造装置を用い多層シートを製造した。基層用押出機には、“ノバテックPP EA9”(商品名、日本ポリプロ(株)製、ポリプロピレン)を、表層用押出機には、“ラバロンT3463”(商品名、三菱化学(株)製、ポリスチレンエラストマー組成物、(硬さ(HDA)54)と“ペレスタット300”(商品名、三洋化成工業(株)製、ブロックコポリマー系永久帯電防止剤との90:10(重量比)混合物を供給し、成形温度160〜250℃(押出機の材料入り口から出口方向の軸方向における温度:以下同様)で共押出し、基層厚さ0.45mm、表層厚さ0.05mm、総厚さ0.5mmの2層シートを製造した。得られた2層シートの表層面と基層面の静摩擦係数を測定した。表層面が1.5、基層面が0.5であった。表面層の表面抵抗率を測定したところ、8×1011Ω/sq.の値であった。
実施例2
ポリプロピレン(商品名:EG8、会社名:日本ポリプロ)を40重量部、水添スチレン・ブタジエン・コポリマー(商品名:クレイトンMD6933E、会社名:クレイトンポリマージャパン)を40重量部、オイル(商品名:PW90、会社名:出光興産)40重量部、永久帯電防止剤(商品名:ペレスタット300、会社名:三洋化成工業)25重量部、金属塩(化学物質名:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム)0.4重量部、可塑剤(化学物質名:アジピン酸ジブトキシエトキシエチル)1.6重量部ただし金属塩は可塑剤に溶解してから用いた。これらの配合物をブレンドした後、20mm異方向押出機にて溶融混練し、ストランドカッターで紐状の押出物をカッティングし、上記配合物のペレット状コンパウンドを得た。このペレット状コンパウンドを熱可塑性エラストマーとして用いた以外は実施例1同様に共押出による2層シートを得た。得られた2層シートの表層面と基層面の静摩擦係数を測定した。表層面が1.5、基層面が0.5であった。表層面の表面抵抗率は9×108Ω/sq.であった。
実施例3
ポリスチレン(商品名:HT516、ハイインパクトポリスチレン、会社名:PSジャパン)を20重量部、水添スチレン・ブタジエン・コポリマー(商品名:クレイトンMD6933E、会社名:クレイトンポリマージャパン)を60重量部、オイル(商品名:PW90、会社名:出光興産)60重量部、永久帯電防止剤(商品名:ペレスタット300、会社名:三洋化成工業)25重量部、金属塩(化学物質名:イミドリチウム)0.4重量部、可塑剤(化学物質名:アジピン酸ジブトキシエトキシエチル)1.6重量部、(ただし金属塩は可塑剤に溶解してから用いた)、の配合物をブレンドした後20mm異方向押出機にて溶融混練した後、ストランドカッターで紐状の押出物をカッティングし、上記配合物のペレット状コンパウンドを得た。このペレット状コンパウンドを熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性樹脂としてポリスチレン(商品名:HT516、ハイインパクトポリスチレン、会社名:PSジャパン)を用いた以外は実施例1同様に共押出による2層シートを得た。得られた2層シートの表層面と基層面の静摩擦係数を測定した。表層面が1.5、基層面が0.5であった。表層面の表面抵抗率は8×108Ω/sq.であった。
実施例4
真空成形機((株)浅野研究所製)を用いて、上記実施例1〜3で得られた2層シートをそれぞれ160℃に加熱し、金型に真空で引き込んで、搬送模擬試験の項で説明したと同じ図1(斜視図)及び図2(図1のA−A´部断面の端面図)に示すようなレンズ搬送用トレーを製造した。この搬送トレーに搬送模擬試験の項で説明したと同じ写真機用プラスチックレンズ部品を搭載し、搬送模擬試験を行った。レンズ部品には擦り傷も破損も見られなかった。トレーは外側底部に擦れた跡ができていたが、内側には擦り傷も破損も見られなかった。
比較例1
90mm径単軸押出機を備えた単層押出シート製造装置を用い、“ノバテックPP EA9”(商品名、日本ポリプロ(株)製、ポリプロピレン)を供給し、成形温度160〜250℃で押出し、厚さ0.5mmの単層シートを製造した。得られたシートの表面の静摩擦係数を測定した。片面が0.4、反対面が0.2であった。実施例1と同様にしてレンズ搬送用トレーを製造し、搬送模擬試験を行った。レンズ部品に擦り傷が見られ、トレーは外側底部の擦れた跡だけでなく、内側にはトレーの摩耗による粉状物が見られた。
実施例5
基層用90mm径2軸押出機及び表層用65mm径単軸押出機を備えた2種2層の共押出シート製造装置を用い多層シートを製造した。基層用押出機には、“三井PET J125”(商品名、三井化学(株)製、ポリエチレンテレフタレート)を、表層用押出機には、“プリマロイ A1500N”(商品名、三菱化学(株)製、ポリエステルエラストマー(硬さ(HDA)59)を供給し、成形温度250〜280℃で共押出し、基層厚さ0.29mm、表層厚さ0.01mm、総厚さ0.3mmの2層シートを製造した。得られた2層シートの表層面と基層面の静摩擦係数を測定した。表層面が1.5、基層面が0.6であった。表層面の表面抵抗率は9×1011Ω/sq.であった。
真空成形機((株)浅野研究所製)を用いて、得られた2層シートを120℃に加熱し、金型に真空で引き込んで、先に説明したと同じ図3〜図5に示すような縦27cm、横18.5cm、深さ5cmのトレー本体10と、縦27cm、横18.5cmの蓋体20を製造した。尚、トレー本体10の凸枠部15は表面側の幅で5.8mm、枠部基部16からの高さで最高部までが7mm、蓋体20の凸枠部25は表面側の幅で5.8mm、枠部基部26からの高さで最高部までが7mmとした。補強用リブとしての凹凸部についてはトレー本体10の凹凸部12、蓋体20の凹凸部22とも凹部と凸部の段差を2mmとした。
得られたトレー本体10に試験のため水を深さ4cmほど注ぎ、トレー本体10の凸枠部15を蓋体20の凸枠部25の裏側面(凹部)に嵌合させ、蓋を閉じた。これを、蓋体20が下側面になるようにひっくり返してみたが、水の漏れは生じなかった。即ち、この嵌合部分のヒートシールなどをしなくとも、液漏れは生じないので、製造工場で予め食品を入れて液漏れが生じないようヒートシールなどをしておく必要がなく、従って、各スーパーマーケットその他の小売店において、適宜、容器に小分けして食品を販売したい場合や、店頭で個別に客の欲する量の食品を入れて販売する場合など、液状物が含まれる物品の簡易収納用トレーとして気軽に使用できる。
比較例2
90mm径2軸押出機を備えた単層押出シート製造装置を用い、“三井PET J125”(商品名、三井化学(株)製、ポリエチレンテレフタレート)を供給し、成形温度250〜280℃で押出し、厚さ0.3mmの単層シートを製造した。得られたシートの表面の静摩擦係数を測定した。片面が0.6、反対面が0.5であった。
この単層押出シートを用いて、実施例2と同様にして液状物が含まれる物品の収納用トレー本体と蓋体(寸法は実施例2と同一)を製造した。
得られたトレー本体に試験のため水を深さ4cmほど注ぎ、実施例2と同様にしてトレー本体の凸枠部を蓋体の凸枠部の裏側面(凹部)に嵌合させ、蓋を閉じた。これを、蓋体が下側面になるようにひっくり返してみると、水の漏れが生じた。
本発明の多層シートは、基層及び基層の少なくとも片面に形成された表層とを有する多層シートであり、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シートであるので、真空成形法、圧空成形法、圧空真空成形法等などの熱成形で容易に成形でき、例えば、搬送用トレーなどの成形品に有用な多層シートを提供できる。この多層シートを用いて成形された成形体は特に搬送用トレーに好適である。本発明の搬送用トレーは、搬送時の振動や衝撃による搬送物の受傷や破損を抑制するだけでなく、搬送用トレーの受傷や破損を防止する事が出来る、更に搬送用トレーを積載した場合の荷崩れをも防止し、搬送の効率化を図ることができるので、光学機器用部品や電子機器部品等の精密で特に擦り傷を避けなければならない部品や製品の搬送に好適に使用できる。また、液状物が含まれる物品の収納用トレーの場合には、蓋を閉めた際に、本体と蓋体の熱可塑性エラストマー層同士が密着するので、前記物品を収納したトレーが傾いたり、当該トレーの搬送時の振動などによっても、内在する液体が本体と蓋体の間から漏れにくく、食品などの液状物が含まれる物品の簡易収納用トレーとして好適に使用できる。
本発明の搬送用トレーの一態様を示す斜視図。 図1のA−A´部断面の端面図。 本発明の液状物が含まれる物品の収納用トレー本体の平面図。 図3のA−A´部断面の端面図。 図3のB−B´部断面の端面図。 図3のトレーの蓋部の平面図。 は図6のA−A´部断面の端面図。 は図6のB−B´部断面の端面図。
符号の説明
1 略円錐台形状の絞り部(凹部)
2 外側壁部
3 トレーの表側面
4 トレーの裏側面
10 液状物が含まれる物品の収納用トレー本体
11 液状物が含まれる物品を収納するための凹部
12 底面に部分的に形成されている補強用リブとしての凹凸部
13、14 側壁部
15 凸枠部
16 枠部基部
17 トレーの内側面側(物品を収納する側の面)
18 トレーの外側面側
19 開閉用つまみ部
20 蓋体
22 補強用リブとしての凹凸部
25 凸枠部
26 枠部基部
27 トレーの内側面側(物品が収納されている側の面)
28 トレーの外側面側
29 開閉用つまみ部

Claims (13)

  1. 基層及び基層の少なくとも片面に形成された表層とを有する多層シートであり、基層が熱可塑性樹脂からなり、表層が熱可塑性エラストマーまたはその組成物からなる多層シート。
  2. 熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の多層シート。
  3. 熱可塑性エラストマーまたはその組成物が、ポリオレフィンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマー、及びそれらの組成物から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の多層シート。
  4. 熱可塑性樹脂がポリプロピレン又はポリスチレンであり、熱可塑性エラストマーまたはその組成物がポリスチレンエラストマーまたはその組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の多層シート。
  5. 熱可塑性エラストマーまたはその組成物が、JIS K7215に基づくHDA40〜90の硬さを有する請求項1〜4のいずれかに記載の多層シート。
  6. 熱可塑性エラストマー組成物が帯電防止剤を含有する熱可塑性エラストマー組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の多層シート。
  7. 多層シートが共押出法により形成された多層シートである請求項1〜6のいずれかに記載の多層シート。
  8. 基層の厚さが0.2〜5mmであり、表層の厚さが0.005〜1mmである請求項1〜7のいずれかに記載の多層シート。
  9. 表層の静摩擦係数が1.0以上である請求項1〜8のいずれかに記載の多層シート。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の多層シートを熱成形してなる成形体。
  11. 成形体が、物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されており、少なくとも前記凹部内側面が表層からなる面である請求項11に記載の成形体。
  12. 成形体が物品搬送用トレーである請求項10又は11に記載の成形体。
  13. 成形体が、物品を収納するための凹部が少なくとも1つ形成されている本体と、その蓋体とからなり、前記本体及び蓋体とも、少なくとも物品を収納する側の面が表層からなる面からなる液状物が含まれる物品の収納用トレーである請求項10に記載の成形体。
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