JP4149871B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、破壊強度、剛性、及び成形品表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物、並びにこの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品に関する。
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(以下ABS樹脂と記す)は、優れた耐衝撃性、成形品表面外観、成形加工性を有し、成形用樹脂として幅広く使用されているが、耐熱性が十分でない。ABS樹脂の耐熱性を向上させる方法として、ガラス繊維等を配合することが行われているが、得られる耐熱性は使用分野によっては未だ十分でなく、その使用に制限があった。
一方、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す)は、高い融点を有したポリエステル樹脂として各種分野で使用されているが、結晶化し難く、耐熱性を要求される分野では、結晶核剤を配合し、ガラス繊維等の無機充填材を配合して使用される。特開平3−26751公報では、特定のスルホンアミド化合物をPETの結晶核剤として配合することが提案されている。特公昭59−10698号公報では、エポキシ基を分子鎖に有するポリアルキレングリコールをPETの結晶核剤として配合することが提案されている。特公昭58−46150号公報では、モンタンワックスエステル塩をPETの結晶核剤として配合することが提案されている。しかしながら、一般的に、PETは、結晶化を向上させることにより、耐熱性は向上するとしても、材料として脆くなる傾向にある。
ポリエステル樹脂の脆さを改善する方法として、ゴム強化スチレン系樹脂を配合する方法が既に提案されている。特開平6−329855号公報では水酸基変性したゴム強化スチレン系樹脂と飽和ポリエステルの組成物が、特開平1−123854号公報ではα、β−不飽和カルボン酸変性スチレン系樹脂とゴム強化スチレン系樹脂と芳香族ポリエステル樹脂からなる組成物が提案されている。
しかし、このようなポリエステル樹脂とゴム強化スチレン系樹脂からなる組成物に、上記先行文献に記載されている結晶核剤を配合しても、耐熱性は十分に向上しないか、全く向上しない。
特開平3−26751公報 特公昭59−10698号公報 特公昭58−46150号公報 特開平6−329855号公報 特開平1−123854号公報
本発明の目的は、ゴム強化スチレン系樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂をベースとした熱可塑性樹脂組成物であって、耐熱性、破壊強度、剛性、及び成形品表面外観に優れたものを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、上記の優れた熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、ゴム強化スチレン系樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂をベースとした熱可塑性樹脂組成物に対して、特定の化合物と特定の無機充填剤を所定量配合することにより、耐熱性、破壊強度、剛性、及び成形品表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明の一局面によれば、
(A)ゴム強化スチレン系樹脂5〜95質量%、及び、
(B)熱可塑性ポリエステル樹脂95〜5質量%、
を含有し(なお、上記(A)成分と(B)成分の合計は100質量%である)、
さらに、上記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、
(C)タルク0.1〜20質量部、
(D)分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコール0.1〜20質量部、及び、
(E)タルク以外の無機充填材1〜150質量部、
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の他の局面によれば、上記熱可塑性樹脂組成物からなる成形品が提供される。
本発明によれば、ゴム強化スチレン系樹脂と熱可塑性ポリエステル樹脂をベースとした熱可塑性樹脂組成物に対して、分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコール、タルク及びタルク以外の無機充填材を含有せしめたため、耐熱性、破壊強度、剛性、及び成形品表面外観に優れた樹脂組成物が得られ、かつ、上記特性に優れた各種分野の成形品が提供される。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳しく説明する。
(A)ゴム強化スチレン系樹脂
本発明の(A)成分であるゴム強化スチレン系樹脂は、(a1)ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体からなり、必要に応じて、(a2)ゴム質重合体の非存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなる(共)重合体を含有する。なお、本明細書において、「(共)重合」は、単独重合及び/又は共重合を意味する。
上記(a1)で用いられるゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、少なくとも1個のスチレン重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエン重合体ブロックからなる重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体等のブタジエン系(共)重合体、該ブタジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン−非共役ジエン共重合体、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン−アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独、または2種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、及びシリコーンゴムが好ましい。
(A)成分に含まれるゴム質重合体の量は、(A)成分全体を100重量%として、5〜85質量%が好ましく、更に好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。
上記(a1)及び(a2)で用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、臭素化スチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組合わせて使用できる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
上記(a1)及び(a2)で用いられる芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アクリルエステル、マレイミド化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換基または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等の官能基含有不飽和化合物が挙げられる。
ビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキルマレイミド等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。また、このマレイミド化合物は、無水マレイン酸を共重合させ、その後イミド化する方法で導入してもよい。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
置換基または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組合わせて使用できる。
(a1)及び(a2)のいずれにおいても、本発明の目的を達成する上で好ましい単量体の組み合わせは、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物を必須成分として含む単量体の組み合わせである。この場合、芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の好ましい使用比率(質量比)は、芳香族ビニル化合物/シアン化ビニル化合物=60/40〜90/10である。
また、好ましい(A)成分の態様としては、(A)成分の1〜100質量%、好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは5〜50質量%が、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、オキサゾリン基、及び置換または非置換のアミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基が導入された変性物である態様が挙げられる。上記官能基の内、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基が好ましく、特に好ましくはエポキシ基、カルボキシル基である。
この変性物は、例えば、(a1)成分調製時、即ちゴム質重合体存在下に重合されるビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させることにより調製でき、また、(a2)成分調製時、即ちゴム質重合体非存在下に重合するビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させることによって調製できる。その際、当該官能基含有不飽和化合物は、使用するビニル単量体総量の1〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の材料強度、成形品表面外観をより向上させる目的から、(a1)成分調製時、即ちゴム質重合体存在下に重合されるビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させることにより調製された変性物が好ましい。
また、上記変性物を含有する(A)成分は、上記官能基の分散性を向上させる目的から、非変性物と変性物とを個別に調製した後、両者を混合する方法によって製造することが好ましい。例えば、ビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させてゴム質重合体存在下又は不存在下に乳化重合を行いラテックス(A1)を調製し、別途、ビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させずにゴム質重合体存在下又は不存在下に乳化重合を行いラテックス(A2)を調製した後、両ラテックス(A1)及び(A2)をラテックスブレンドして回収することにより、上記変性物を含有する(A)成分を製造できる。ラテックスブレンドする際の上記ラテックス(A1)と(A2)の割合は、(A1)の固形分/(A2)の固形分=5/95〜95/5(質量比)の範囲が好ましく、更に好ましくは15/85〜70/30、特に好ましくは20/80〜60/40の範囲である。また、上記ラテックスブレンドで得られた組成物に、官能基を有さない(a1)及び/又は(a2)を添加することもできる。
(A)成分は、公知の重合法である乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組合わせた重合法で重合することができる。
なお、(A)成分を重合する際の各成分の添加方法は、ゴム質重合体の全量の存在下にビニル単量体を一括添加する方法でもよく、または、分割もしくは連続的に添加する方法でもよく、さらには、これらを組合わせた方法でもよい。
乳化重合で(A)成分を重合する場合、使用される重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、水等は、公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサオイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸・鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることもできる。
連鎖移動剤とししては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ロジン酸塩、燐酸塩等のアニオン系界面活性剤、さらには、公知のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
乳化重合では、通常、凝固剤等により凝固して得た粉末を水洗、乾燥することによって、目的の重合体粉末が得られる。この際の凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩や、硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸等の酸を用いることができる。また要求される性能に応じて、凝固後にアルカリ成分を添加し中和処理した後、洗浄してもよく、また酸成分を添加し中和処理した後、洗浄してもよい。
乳化重合で得たゴム質重合体をゴム強化スチレン系樹脂のベースゴムとして使用する場合、ゴム質重合体中のゲル含率は、通常、98質量%以下であり、30〜98質量%であることが好ましく、更に好ましくは40〜95質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。ゲル含率が30〜98質量%において、優れた破壊強度及び成形品表面外観を有する成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
なお、上記ゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュ金網(質量W)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W)し、次式により算出される値である。
Figure 0004149871
ゲル含率は、ゴム質重合体製造時に、分子量調節剤の種類、量、多官能性単量体の種類、量、重合温度、重合体転化率などを適宜設定することにより調整することができる。
溶液重合で(A)成分を製造する場合、溶液重合において用いられる溶媒は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、ジクロルメチレン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、ジクロルメチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。重合温度は、80℃〜140℃の範囲が好ましい。
溶液重合に際し、重合開始剤を使用せずに熱重合してもよく、または、重合開始剤を用いて重合してもよい。ここで使用される重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が好ましく用いられる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等が用いられる。
また、これらの重合開始剤、連鎖移動剤等は、塊状重合、塊状・懸濁重合でも好ましく用いられる。
(A)成分であるゴム強化スチレン系樹脂中に分散するグラフトされたゴム質重合体の平均粒子径は500〜30000Åの範囲にあることが、破壊強度及び剛性の面から好ましく、更に好ましくは1000〜20000Å、特に好ましくは1500〜8000Åである。
ゴム質重合体存在下にビニル単量体を重合して得られるゴム強化スチレン系樹脂成分((a1)成分)のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。このグラフト率(%)は、次式により求められる。
Figure 0004149871
上記式中、Tはアセトン20mlに(A)成分1gを投入し、振とう機にて2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1(g)に含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、(a1)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを用い、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.3〜1.0dl/gである。
ゴム質重合体非存在下にビニル単量体を重合して得られる重合体((a2)成分)も、公知の重合法である、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及びこれらを組合わせた重合法で製造することができ、これらの重合法で用いられる試薬等についても、前記したものが全て使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中の(A)成分の割合は、(A)成分と(B)成分の合計量を100質量%に対して、5〜95質量%、好ましくは5〜90質量%、更に好ましくは、10〜80質量%、特に好ましくは10〜70質量%である。5質量%未満では破壊強度が劣り、95質量%を超えると耐熱性及び破壊強度が劣る。
(B)熱可塑性ポリエステル樹脂
本発明の(B)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、ジオール成分とを公知の方法により重縮合させて得られたもの等が挙げられる。これらの熱可塑性ポリエステル樹脂は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
上記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられ、これらのエステル形成誘導体も、(B)成分の原料として用いることができる。また、p−ヒドロキシ安息香酸も、単独で、または、ジオール成分もしくはジカルボン酸成分と組み合わせて使用できる。
ジオール成分の例としては、炭素数2〜6のポリメチレングリコール(例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1.6−ヘキサンジオール)、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ヒドロキノン及びこれらのエステル形成誘導体等が挙げられる。
上記ジカルボン酸成分、上記ジオール成分等は、1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
好ましい熱可塑性ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等であり、更に好ましくはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートであり、特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートを50質量%以上含む熱可塑性ポリエステル樹脂である。
本発明で使用される熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度には、特に制限は無いが、ポリエチレンテレフタレートの場合、テトラクロルエタン/フェノールの等量混合溶媒中、25℃で測定した固有粘度〔η〕(単位dl/g)は、好ましくは0.5〜2.0、更に好ましくは0.5〜1.5である。ポリブチレンテレフタレートの場合、o−クロロフェノールを溶媒として、25℃で測定した固有粘度〔η〕(単位dl/g)は、好ましくは0.4〜2.0である。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート製ボトル等のリサイクル品の粉砕物も使用できる。
(B)成分の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量%に対して、5〜95質量%であり、好ましくは10〜95質量%、更に好ましくは20〜90質量%、特に好ましくは30〜90質量%である。5質量%未満では、耐熱性及び破壊強度が劣り、95質量%を超えると破壊強度が低下する。
(C)タルク
本発明の(C)成分であるタルクは、本発明の(B)成分の結晶化剤の1つとして作用するものである。タルクの平均粒子径は、10μm以下のものが好ましく、更に好ましくは7μm以下、特に好ましくは1〜5μmの平均粒子径のものである。これらのタルクは、例えば日本タルク株式会社製ミクロエース、SGシリーズとして入手出来る。
本発明の(C)成分は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは1.0〜10質量部である。0.1質量部未満では、耐熱性が劣り、20質量部を超えると破壊強度が低下する。
(D)分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコール
本発明の(D)成分は、本発明の(C)成分と併用することで、(B)成分の結晶化度を大きく向上させる機能を有する。(D)成分は、分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコールであり、ビスフェノールAにアルキレンオキサイドを付加することによって得ることができる。
ここで使用されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドであり、特に好ましくは、エチレンオキサイドである。アルキレンオキサイドの付加量は、ヒドロキシル価(mgKOH/g)で表されるが、その好ましい範囲は、100〜350、更に好ましくは150〜320である。
なお、ビスフェノールA残基とは、ビスフェノールAのフェノール性水酸基から水素原子を除いた基である。
本発明の(D)成分は、例えば三洋化成工業株式会社製ニューポールBPE、BPシリーズとして入手することが出来る。
本発明の(D)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは1.0〜10質量部配合される。0.1質量部未満では、耐熱性が劣り、20質量部を超えると破壊強度、剛性、及び成形品表面外観が低下する。
(E)タルク以外の無機充填材
本発明で使用されるタルク以外の無機充填材としては、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラス、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アタパルジャイト、マイカ等が挙げられ、これらは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。このような無機充填材の配合により、耐熱性、剛性等の強度が向上する。
本発明の(E)成分は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して、1〜150質量部、好ましくは1〜100質量部、更に好ましくは3〜100質量部、特に好ましくは5〜80質量部配合される。1質量部未満では、耐熱性及び剛性が劣り、150質量部を超えると破壊強度及び成形品表面外観が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、異形押出成形、発泡成形、真空成形等の公知の成形法により、成形品とすることができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる各種成形品は、塗装、メッキ、スパッタリング、溶着等の二次加工を施して使用できる。
これらの成形法で成形された成形品としては、下記のものが例示される。
各種ギア、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ部品、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶FDDキャリッジ、FDDシャーシー、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデイオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭・事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話機器関連部品、ファクシミリー関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品;便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品;窓枠、家具、床材、壁材等の住宅・住設関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器・精密機器関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種バルブ;エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁弁用コイルボビン、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラー、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース;パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブ等の記憶装置のハウジング、シャーシー、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品;バンパー、フェンダー等の車両用外装部材、ICトレイ、ICキャリヤー、液晶トレイ等、その他各種用途。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、公知の耐候(光)剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、シリコーン化合物、可塑剤、着色剤、染料、抗菌剤、防黴剤、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化スチレンの重合体、ハロゲン化エポキシ重合体、(縮合)リン酸エステル等で代表される難燃剤、三酸化アンチモン等で代表される難燃助剤等を適宜配合できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、更に他の重合体である芳香族ビニル化合物を含まないビニル系単量体の(共)重合体(例えば、メタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸メチル・フェニルマレイミド共重合体等)、芳香族ポリカーボネート等を本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して1〜30質量部の範囲で配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フェーダールーダー等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましい製造方法は、押出機を用いる方法で、二軸押出機を用いることが特に好ましい。
二軸押出機を用いて本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るに当たり、各々の成分を成分を一括して混練してもよく多段、分割配合して混練してもよい。また、本発明の(E)成分は、押出機途中から添加することが好ましい。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中において部及び%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例、比較例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
〔1〕評価方法
(1)ゴム質重合体のゲル含率:上記のとおり。
(2)ゴム質重合体の平均粒子径:
(A)成分の形成に用いるゴム質重合体の平均粒子径を光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製、LPA−3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。なお、(A)成分中の分散粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)ゴム質重合体存在下にビニル単量体を重合して得た重合体のグラフト率(A成分):上記のとおり。
(4)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕:上記のとおり。
(5)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度〔η〕:上記のとおり。
(6)ポリブチレンテレフタレートの固有粘度〔η〕:上記のとおり。
(7)耐熱性
ISO75試験法に準拠して1.8MPa荷重で測定した。
(8)破壊強度
ISO178試験法に準拠した試験片、試験法で曲げ破壊試験を行ない、試験片が破壊するまでに要したエネルギー(J)を測定した。
(9)剛性
ISO 178試験法に準拠し、曲げモジュラスを測定した。
(10)成形品表面外観
厚み2.4mm×巾50mm×長さ50mmの平板を成形し、下記評価基準で目視評価した。
○:成形品表面の凹凸が小さい、
×:成形品表面の凹凸が大きい。
〔2〕熱可塑性樹脂組成物の成分
(1)(A)成分:
(1−1)製造例A1;ゴム強化スチレン系樹脂A1
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサオイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t−ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合を継続させた後、2、2′−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥してゴム強化スチレン系樹脂A1を得た。この樹脂A1のグラフト率は68%、アセトン可溶部の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
(1−2)製造例A2−1;エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂A2−1
攪拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水155部、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)70部(固形分)を添加し、攪拌を開始した。内温が65℃になるまで昇温し、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.008部、硫酸第一鉄(7水和物)0.002部、ソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水15部からなる水溶液を添加した後、クメンハイドロパーオキサイド0.05部及びスチレン20部、アクリロニトリル6部、グリシジルメタクリレート4部、ロジン酸カリウム0.1部、イオン交換水30部からなる乳濁液を4時間かけて連続的に添加し重合反応を行った。その間内温は、65℃に保った。更に、2時間攪拌を続けた後冷却し、2,2´−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結し、エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂A2−1のラテックスを得た。サンプリングし、重合体含率、グラフト率及びアセトン可溶部の極限粘度を測定した。
重合体含率は33%、グラフト率32%、極限粘度0.35dl/gであった。
(1−3)製造例A2−2;アクリロニトリル−スチレン共重合体A2−2
製造例A2−1と同じ反応容器を用い、イオン交換水163部、ロジン酸カリウム0.3部を添加し、攪拌を開始するとともに、昇温した。内温が65℃になった時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄(7水和物)0.0025部、ソディムホルムアルデヒドスルホキシレート0.28部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。t−ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.12部、及びスチレン75部、アクリロニトリル25部からなる混合単量体を6時間かけて連続的に添加し内温を65℃に保ちながら重合反応を行った。単量体添加開始から1時間後にロジン酸カリウム0.4部を添加し、3時間後にエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.025部、硫酸第一鉄(7水和物)0.006部、ソディムホルムアルデヒドスルホキシレート0.07部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加した。 6時間後、上記3時間後に添加した重合開始助剤とクメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、更に2時間攪拌を続けて、アクリロニトリル−スチレン共重合体A2−2のラテックスを得た。冷却後、サンプリングし、重合体含率及び極限粘度を測定した。重合体含率35%、極限粘度は0.36dl/gであった。
(1−4)製造例A2:ゴム強化スチレン系樹脂A2成分
上記エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂A2−1とアクリロニトリル−スチレン共重合体A2−2の各ラテックスを固形分で50/50部でブレンドし、その後、塩化カルシウムを用いて、凝固、水洗、脱水、乾燥し、A2成分を得た。
(1−5)製造例A3;AS樹脂
内容積30Lにリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換したあと、1基目の反応容器にスチレン76部、アクリロニトリル24部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt−ドデシルメルカプタン0.12部およびトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃、平均滞留時間2.0時間、重合転化率75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のスチレン系樹脂(AS樹脂)A3を得た。
(2)(B)成分
B1:ポリエチレンテレフタレート樹脂;三菱化学社製ノバペックス GS400(商品名)(固有粘度0.71)を用いた。
B2:ポリブチレンテレフタレート樹脂;ポリプラスチックス社製ジュラネックスXD477(商品名)(固有粘度=1.2)を用いた。
(3)(C)成分
日本タルク社製超微粉タルク SG200(商品名)(平均粒子径3.2μm)を用いた。
(4)(D)成分
本発明の(D)成分として下記のものを用いた。
D1:三洋化成工業社製 ニューポールBPE−40(商品名)(ヒドロキシル価278)を用いた。
D2:三洋化成工業社製 ニューポールBPE−60(商品名)(ヒドロキシル価228)を用いた。
(5)(E)成分
本発明の(E)成分として下記のものを用いた。
E1:ガラス繊維;旭ファイバーグラス社製 CS03MA419(商品名)を用いた。
E2:炭素繊維;東邦テナックス社製 HTA−C6−SRS(商品名)を用いた。
実施例1〜8、比較例1〜8
表1記載の成分(E成分以外)を十分に乾燥したのち、表1記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度270℃)で溶融混練しペレット化した。また(E)成分は、押出機途中から添加混練しペレット化した。除湿乾燥機で、十分に乾燥し、射出成形機(シリンダー設定温度280℃、金型温度80℃)で耐熱性、破壊強度、剛性、及び成形品表面外観評価用試験片を成形した。
上記、各成形品を用い、前記の方法で評価し評価結果を表1に示した。
Figure 0004149871
表1に示される結果から、以下のことが明かである。
本発明の実施例1〜8の成形品は、耐熱性、破壊強度、剛性、成形外観のいずれも優れている
一方、比較例1は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、破壊強度に劣る。
比較例2は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐熱性、破壊強度、及び剛性に劣る。
比較例3は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐熱性及び剛性に劣る。
比較例4は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、破壊強度に劣る。
比較例5は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐熱性に劣る。
比較例6は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、破壊強度、剛性及び成形品表面外観に劣る。
比較例7は、本発明の(E)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐熱性及び剛性に劣る。
比較例8は、本発明の(E)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、破壊強度及び成形品表面外観に劣る。

Claims (6)

  1. (A)ゴム強化スチレン系樹脂5〜95質量%、及び、
    (B)熱可塑性ポリエステル樹脂95〜5質量%、
    を含有し(なお、上記(A)成分と(B)成分の合計は100質量%である)、
    さらに、上記(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、
    (C)タルク0.1〜20質量部、
    (D)分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコール0.1〜20質量部、及び、
    (E)ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラス、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アタパルジャイト及びマイカからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機充填材1〜150質量部、
    を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ゴム強化スチレン系樹脂(A)の1〜100質量%が、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、オキサゾリン基、及び置換または非置換のアミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基が導入された変性物であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性ポリエステル樹脂(B)の50質量%以上が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. タルク(C)の平均粒子径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 分子中にビスフェノールA残基を有するポリアルキレングリコール(D)のヒドロキシル価(mgKOH/g)が100〜350の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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