JP4849768B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
このように、ABS樹脂とポリプロピレン樹脂をスチレンーブタジエン系ブロック共重合体でアロイ化する技術は知られていない。
(1)(A)スチレン系樹脂として、ゴム質重合体存在下または非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種をグラフト共重合してなる重合体:5〜94質量%、(B)オレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂:5〜94質量%、及び(C)一般式(A−B)n−A、または一般式(A−B)mX(式中Aは芳香族ビニル化合物重合体、Bは共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、Xはカップリング剤の残基、nは1〜5の整数、mは1〜5の整数)で表される重合体であり、B部分に芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個有するブロック共重合体1〜60質量%、上記(A)+(B)+(C)成分の合計100質量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
(2)(A)成分と、(C)成分の少なくとも50質量%とを先に溶融混練したあと(B)成分を含む残りの成分を溶融混練して得ることを特徴とする上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)リン酸塩化合物(D)を、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量部に対して3〜70質量部配合して難燃化された上記(1)又は(2)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)上記(1)〜(3)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
(C)特定構造の芳香族ビニル化合物ブロックと芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物からなるブロックを有するブロック共重合体のそれぞれを特定範囲含有しているため、特に耐衝撃性、耐薬品性及び剛性に優れた成形品を、更に(D)リン酸塩化合物を上記組成物に配合することで、前記性能に加えて優れた難燃性を有する成形品を得ることが出来る。
本発明に関わるスチレン系樹脂は、ゴム質重合体(a)の存在下、または非存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含むビニル系単量体(b)を(共)重合して得られる重合体であり、耐衝撃性から好ましくはゴム質重合体存在下にグラフト(共)重合した重合体を少なくとも1種含むものである。好ましくは、ゴム質重合体(a)の含有量が3〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
また、これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴムが好ましい。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。即ち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をW2グラムとする)する。
ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調整剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられるが、これらは公知のものが使用できる。
過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸塩等を用いることが出来る。
挙げられる。重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の各範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、α―メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等を用いることが出来る。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤を用いることができる。
尚、ゴム質重合体(a)の存在下、ビニル系単単量体(b)を重合して得られる重合体)成分には、通常、上記ビニル系単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフト共重合した共重合体と上記ビニル系単量体にグラフトしていない未グラフト成分(上記ビニル系単量体(b)の(共)重合体)が含まれる。
上記各重合方法によって得た、(A)成分中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記(A)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
本発明に関わる(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20、000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
例えば、JIS K―6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量のものである。
また、本発明の(B)成分の一部として、エポキシ基、アミノ・置換アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基等で変性されたものを用いてもよい
0質量%、更に好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは10〜80質量%である。
その使用量が5質量%未満では、耐薬品性が劣り、94質量%を超えると、耐衝撃性及び剛性が劣る。
本発明の(C)成分における、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=10〜70/30〜90質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは15〜65/35〜85質量%、特に好ましくは20〜60/40〜80質量%であり、この範囲のあることが耐衝撃性の面から好ましい。
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなるブロック共重合体は、アニオン重合の技術分野で公知のものであり、例えば特公昭47―28915号公報、特公昭47−3252号公報、特公昭48−2423号公報、更に特公昭48−20038号公報等で開示されている。また、テーパーブロックを有する重合体ブロックの製造方法については、特開昭60−81217号公報に開示されている。
共役ジエン化合物のビニル結合量の調節は、N、N、N′、N′―テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾビシクロ(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコーエウジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
上記方法で重合体を得た後、カップリング剤を使用して重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体も本発明の(C)成分に含めれる。ここで用いられるカップリング剤としてはアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化炭素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2―ジブロモエタン、1,4―クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステルを単独で、または組み合わせて用いることが出来る。
ここで使用される芳香族ポリカーボネートとしては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが使用できる。ここで使用されるジヒドロキシアリール化合物として、特に好ましいものは、2,2―ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]である。
上記芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、好ましくは、13000〜32000、更に好ましくは17000〜31000、特に好ましくは18000〜30000である。
熱可塑性ポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体とジオール成分とを重縮合させて得られるもの等が上げられ、好ましいジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等がり、好ましいジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等である。これらの中で特に好ましいものは、ポリブチレンテレフタレートである。ポリブチレンテレフタレートの固有粘度(IV値;単位dl/g、o―クロロフェノールを溶媒として25℃で測定)は、0.4〜2.0のものが好ましい。
これらの芳香族ポリカーボネート及び/または熱可塑性ポリエステルは、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して1〜100質量部の範囲で使用することが好ましく、更に好ましくは、3〜70質量部の範囲であり、この範囲にある場合、特に低温衝撃性に優れる。
また、上記芳香族ポリカーボネートと熱可塑性ポリエステルを併用する場合、好ましい比率は、芳香族ポリカーボネート/熱可塑性ポリエステル=40〜95/5〜60質量%の範囲であり、低温衝撃性が1段と優れる。
(式中、X1,p及びnは上記一般式(3)で表すものと同様である)
上記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物において、式中R1、R2,R3及びR4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル等が挙げられる。
(ここでR1、R2、R3及びR4は、それぞれHもしくは炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、R1、R2、R3及びR4は同一の基であっても異なっていてもよい。また、mは1〜10の整数である。)、ピペラジンもしくはピペラジン環を含むジアミンである化合物(以下これらを総称してジアミン類という。)を直接あるいは水等に溶解または溶剤で希釈して添加し、―10〜100℃で反応させる。反応は中和反応であり、速やかに進行する。ついでここで生成した生成物を単離、もしくは単離することなく、アンモニアもしくは上記一般式(4)で表されるトリアジン誘導体を水等の溶媒で希釈あるいは希釈することなしに添加、加熱反応させることによりリン酸アミン塩が得られる。反応に関与するジアミン類、アンモニア及びトリアジン誘導体の量は、使用するリン酸もしくは縮合リン酸の濃度によって変化する。即ち、ジアミン類は、リン酸もしくは縮合リン酸中に含まれる水酸基の数の2分の1よりも少ないモル数、好ましくはリン酸もしくは縮合リン酸とほぼ等モル量を添加し、反応させ、中間生成物を得る。次いで該中間生成物に残留している水酸基に相当する量のアンモニアもしくはトリアジン誘導体を添加し、反応させる。
上記ジアミン類の具体的な例としては、N、N、N′、N′―テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N、N′―ジメチルエチレンジアミン、N、N′―ジエチルエチレンジアミン、N、N―ジメチルエチレンジアミン、N、N―ジエチルエチレンジアミン、N、N、N′、N′―テトラメチルエチレンジアミン、N、N、N′、N′―ジエチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans―2,5―ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。
また、上記一般式(6)で表されるリン酸塩化合物は、リン酸・トリアジン誘導体塩であり、次の方法によって得ることができる。例えばリン酸メラミン塩の場合は、リン酸とメラミンを任意の反応比率で反応させて得られる。本発明で好ましく使用されるリン酸メラミン塩の具体的な例としては、例えばオルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩等が挙げられる。
また、遷移金属酸化物は、遷移金属元素の酸化物であり、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等があり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記金属酸化物は、本発明の(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して20質量部以下で使用することが好ましい。
有機酸の金属塩としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の有機酸のアルカリ金属塩、及びアルケリ土類金属塩等があり、これらは、本発明の(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で使用することが好ましい。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。好ましい方法は、(A)成分及び(C)成分の少なくとも50質量%を先に溶融混練したあと、(B)成分を含む残りの(A)成分、(C)成分を添加し、溶融混練する方法であり、更に好ましくは(A)成分の50質量%以上と(C)成分の全量を先に溶融混練したあと、(B)成分と残りの(A)成分を添加し、溶融混練する方法であり、特に好ましくは(A)成分と(C)成分の全量を先に溶融混練したあと、(B)成分を添加・溶融混練する方法である。この特定の分割混練により、より高い耐衝撃性の熱可塑性樹脂を得ることができる。また、この方法で溶融混練することで良好な耐衝撃性を得るための(C)成分の配合量を減らすことができことから、剛性がより向上した成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
また、(D)成分のリン酸塩化合物は、何れの箇所で添加し溶融混練してもよいが、分散性を良くする目的から、1段目の添加成分に配合することが好ましい。
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の公知の重合体でる、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、LCP、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性ポリウレタン、尿素樹脂、フェノキシ樹脂、PMMA等を適宜配合できる。
(1)ゴム質重合体のゲル含率;
前記したため省略する。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(A)成分の形成に用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製LPA―3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。尚、(A)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(A)成分のグラフト率(A)成分;前記したため省略する。
(4)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;前記したため省略する。
(5)(C)成分の結合スチレン量、重量平均分子量
(5−1)結合スチレン量;699cm―1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(5−2)重量平均分子量;ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(6−1)シャルピー衝撃強さ;ISO試験法179に準じて、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定した。
(6−2)低温落錘衝撃強さ;1.6mm肉厚成形品を用い、径12.7mm、先端R12.7mmのタップをを用い、2.4m/secの速度で成形品を打ち抜いた時の破壊エネルギー(kgf・cm)をー30℃の環境条件で測定した。
(7)耐薬品性;肉厚3.2mm×幅12.7mm×長さ127mmの試験片に1%の歪みをかけ、下記薬品を塗布し、23℃で24時間放置した後の成形品の表面状態を下記評価基準に基づき目視評価した。
○;変化無し
×;クラック発生または破断
耐薬品性―1;エチルアルコール
耐薬品性―2;ブレーキフルード
(8)剛性;ISO試験法178に準じて、曲げモジュラス(MPa)を測定した。
(9)難燃性;UL94V規格に準じて、1.6mm肉厚試験片で燃焼試験を行った。V試験の規格外のものは、NRと記載した。
(1)(A)成分
(1−1)製造例A1;ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部およびブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2,2′―メチレンービス(4―エチルー6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してスチレン系樹脂A1を得た。このA1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、
0.45dl/gであった。
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換したあと、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt―ドデシルメルカプタン0.12部およびトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1,1′―アゾビス(シクロヘキサンー1―カーボニトリル)0.1部およびトルエン部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のスチレン系樹脂A2を得た。
(2−1)製造例C1;スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサン4,000部、テトラヒドロフラン0.8部を添加した。その後、昇温し内温が70℃に到達した時点で、n―ブチルリチウム0.52部を含むヘキサン溶液を添加後、スチレン155部を添加し60分重合した(1段目)。次いでスチレン30部、ブタジエン200部の混合物を添加して60分間重合した(2段目)。また、スチレン30部、ブタジエン200部の混合物を添加して60分間重合した(3段目)。更に、スチレン30部、ブタジエン200部の混合物を添加60分間重合し(4段目)、3個目のテーパーブロックを重合した。次いでスチレン155部を添加し60分重合した(5段目)。転化率は、100%であった。尚、重合中は、内温が70℃になるようにコントロールした。重合終了後、重合体溶液に2,6−ジーtert―ブチルカテコールを添加した後、シクロヘキサンを加熱除去してB部にテーパーブロックを3個有するブロック共重合体C1を得た。
このものの、重量平均分子量は12.8万であり、スチレン含量40%であった。
ブロック共重合体C1の重合条件で、1段目;スチレンを200部、2段目;スチレン50部、ブタジエン150部、3段目;スチレン50部、ブタジエン150部、4段目;スチレン50部、ブタジエン150部、5段目;スチレン200部で重合し、重量平均分子量12.9万、スチレン含量55%、B部に3個のテーパーブロックを有する共重合体C2を得た。
ブロック共重合体C1の重合条件で、1段目;スチレン155部、2段目;スチレン45部、ブタジエン300部、3段目;スチレン45部、ブタジエン300部、4段目;スチレン155部で重合し、重量平均分子量12.8万、スチレン含量40%、B部に2個のテーパーブロックを有するブロック共重合体C3を得た。
ブロック共重合体C1の重合条件で、1段目;スチレン20部、2段目;ブタジエン60部、3段目;スチレン20部で重合し、重量平均分子量12.8万、スチレン含量40%のB部にテーパーブロックを有しないブロック共重合体C4を得た。
(3−1)B1;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC6C”を用いた。
(3−2)B2;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC06C”を用いた。
(4−1)D1;ピロリン酸メラミン塩
メラミン2モルとピロリン酸1モルを反応させて得たものを用いた。
(4−2)D2;ピロリン酸ピペラジン
ピペラジン1モルとピロリン酸1モルを反応させて得たものを用いた。
(4−3)D3;ピロリン酸メラミンピペラジン塩
メラミン1モル、ピペラジン1モルとピロリン酸1モルを反応させて得たものを用いた。
(5−1)E1;ポリテトラフルオロエチレン
住友スリーエム社製“ホスタフロンTF1620”を用いた。
(5−2)E2;ジペンタエリスリトール
和光純薬工業社製試薬を用いた。
(5−3)E3;芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7022PJ」(粘度平均分子量22000)を用いた。
(5−4)E4;ポリブチレンテレフタレート
ポリプラスチックス社製「ジュラネックスXD477」(固有粘度1.2dl/g)を使用した。
表1記載の配合割合で、ヘンシエルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。尚、1段目配合成分とは、押出機の根元より添加した成分であり、2段目配合成分とは、押出機途中からサイドフィードした成分を示す。
得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形機(シリンダー設定温度220℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の方法で、耐衝撃性、耐薬品性、剛性、及び難燃性を評価した。評価結果を表1に示した。
本発明の実施例1〜15の成形品は、耐衝撃性、剛性、耐薬品性、難燃性のいずれも優れている。
一方、比較例1は、本発明の(C)成分がテーパーブロックを有しないブロック共重合体を用いたものであり、耐衝撃性が劣る。比較例2は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及ぶ剛性が劣る。比較例3は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ないものであり、耐薬品性が劣る。比較例4は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、また(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及び剛性が劣る。比較例5は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及び耐薬品性が劣る。比較例6は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性及び剛性が劣る。
高度な性能が要求される、車両分野、電気・電子分野、OA・家電分野等の各種部品として適用できる。
Claims (4)
- (A)スチレン系樹脂として、ゴム質重合体存在下または非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種をグラフト共重合してなる重合体:5〜94質量%、
(B)オレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂:5〜94質量%、及び、
(C)一般式(A−B)n−A、または一般式(A−B)mX(式中Aは芳香族ビニル化合物重合体、Bは共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、Xはカップリング剤の残基、nは1〜5の整数、mは1〜5の整数)で表される重合体であり、B部分に芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個有するブロック共重合体1〜60質量%、
上記(A)+(B)+(C)成分の合計100質量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - (A)成分と、(C)成分の少なくとも50質量%とを先に溶融混練したあと(B)成分を含む残りの成分を溶融混練して得ることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- リン酸塩化合物(D)を、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量部に対して3〜70質量部配合して難燃化された請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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