JP4470448B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
更に、特許文献4では、エポキシ変性ポリプロピレンと不飽和カルボン酸又は無水物で変性されたスチレン系樹脂を相溶化剤として用いることが提案されており、特許文献5では、エポキシ基で変性されたポリプロピレン系樹脂と不飽和カルボン酸又はその無水物で変性されたスチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体を用いることが提案されているが、これらの方法では、耐衝撃性、
成形品の表面外観等の改良効果が不十分なものであった。
[1](A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2](A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部、
(D)芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(D−1)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックとを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の少なくとも80%が水素添加された共重合体(III)の存在下に芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(D−2)から選ばれる少なくとも1種からなるブロック重合体が0.5〜100質量部
含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[3]上記(C)は、(I)と(II)とを質量比で5/95〜95/5の割合で溶融混練して得られた反応生成物である上記[1]又は[2]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]上記(I)の共役ジエン化合物単位が部分又は完全水素添加されていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]上記(C)の少なくとも10質量%は、(I)と(II)とのブロック共重合体である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]上記(A)が、ゴム質重合体の存在下又は非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を共重合してなる重合体であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
本発明に関わるスチレン系樹脂(以下「(A)成分」ともいう)は、ゴム質重合体(a)の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含むビニル単量体(b)を(共)重合して得られる重合体であり、耐衝撃性から好ましくはゴム質重合体存在下にグラフト(共)重合した重合体を少なくとも1種含むものである。好ましくは、ゴム質重合体(a)の含有量が3〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
ロック共重合体等のジエン系(共)重合体、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテンー1・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴムが好ましい。
この範囲において、特に耐衝撃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をW2グラムとする)する。
ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
65/25〜90/10、スチレン/メタクリル酸メチル質量比=80/20〜20/80、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルでスチレン量が20〜80質量%でアクリロニトリル、メタクリル酸メチルの質量%は合計20〜80質量%の範囲で任意のものである。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸塩等を用いることができる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤をい使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、α―メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明して重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
(共)重合体]が含まれる。
上記各重合方法によって得た(A)成分中に残存するビニル単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記(A)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。尚、上記グラフト率は以下に示す方法により求めることができる。
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
本発明に関わる(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
例えば、ピロピレンが主成分である場合、JIS K―6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量のものである。
また、本発明の(B)成分の一部として、エポキシ基、アミノ・置換アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基等で変性されたものを用いてもよい。
また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等があり、好ましくは、ブタジエン、イソプレンである。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A−B)m 構造式1
(A―B)m―X 構造式2
A―(B−A)n 構造式3
(構造式1〜3中、Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックで、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよい。好ましくは、芳香族ビニル化合物を90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物の単独重合体又は芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体であり、Xはカップリング剤の残基であり、mは1〜5の整数、nは1〜5の整数をそれぞれ表す。)
また、上記重合体ブロックとして、重合体ブロック(B)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合含有量の異なる重合体ブロック、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体、また芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロック等が重合体鎖中又は重合体末端に、適宜共重合していてもよい。
尚、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=10〜70/30〜90質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは15〜65/35〜85質量%の範囲である。
(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
具体的な方法としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特開平2−133406号公報等に開示されている。
(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどがあり、特に好ましくはビスフェノールAである。
芳香族ポリカーボネート(II)の粘度平均分子量は、好ましくは8,000〜50,000、更に好ましくは12,000〜30,000、特に好ましくは15,000〜26,000である。また、粘度平均分子量の異なるものを適宜併用することもできる。
[数3]
粘度平均分子量=(〔η〕×8130)1.205
ここで、〔η〕=〔(ηsp×1.12+1)1/2―1〕/0.56C(Cは濃度を示す 。)である。
また、(I)/(II)の質量比は、95/5〜5/95の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは80/20〜20/80であり、特に好ましくは70/30〜30/70である。
このような、ブロック共重合体混合物は、例えば、特開2001−220506号公報に記載の方法等で製造することができる。更に、本発明の(C)成分は、クラレ社製TMポリマーシリーズのTM−S4L77、TM−H4L77等として入手することができる。
0.5〜100質量部、好ましくは1〜60質量部、更に好ましくは2〜50質量部
特に好ましくは3〜40質量部であり、0.5質量部未満では、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣り、100質量部を超えると耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。
かかるブロック重合体として、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素―炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(以下「(D−1)成分」ともいう)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素―炭素二重結合の少なくとも80%以上が水素添加された共重合体(III)の存在下に芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(以下「(D−2)成分」ともいう)が挙げられる。
(III)含量は、10〜60質量%の範囲にあるものが好ましい。かかる変性ブロック重合体は、(A)成分の製造方法で説明した溶液重合、塊状重合、懸濁重合及びこれを組合わせた重合方法で製造することができる。
上記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物としては、ジアミンとトリアジン誘導体及び(ポリ又はピロ)リン酸から得られるリン酸アミン塩であり、該リン酸アミン塩は、例えば次ぎの方法によって得ることができる。すなわち、反応容器に、不活性溶剤を添加もしくは溶剤を添加することなしに、所定のリン酸もしくは縮合度約2〜100の縮合リン酸を仕込む。次いで、〔R1R2N(CH2)mNR3R4〕で表されるジアミン(ここでR1、R2、R3及びR4はそれぞれH もしくは炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、R1、 R2、R3及びR4は同一の基であっても異なってもよい。また、mは1〜 10の整数である。)、ピペラジンもしくはピペラジン環を含むジアミンである化合物
(以下これらを総称してジアミン類という。)を直接あるいは水等に溶解又は溶剤で希釈して添加し、―10〜100℃で反応させる。反応は中和反応であり、速やかに進行する。次にここで生成した反応物を単離し、もしくは単離することなく、アンモニアもしくは上記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を水等の溶媒で希釈あるいは希釈することなしに添加、加熱反応させることによりリン酸アミン塩が得られる。反応に関与するジアミン類、アンモニア及びトリアジン誘導体の量は、使用するリン酸もしくは縮合リン酸のリン濃度によって変化する。即ち、ジアミン類は、リン酸もしくは縮合リン酸中に含まれる水酸基の数の2分の1よりも少ないモル数、好ましくはリン酸もしくは縮合リン酸とほぼ等モル量を添加し、反応させ、中間生成物を得る。次いで該中間生成物に残留している水酸基に相当する量のアンモニアもしくはトリアジン誘導体を添加し、反応させる。
メタクリル酸メチル・マレイミド化合物共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、EVA、EV0H、EVE、LCP、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性ポリウレタン、尿素樹脂、フェノキシ樹脂等を適宜配合できる。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
(1)ゴム質重合体のゲル含率;
前記したため省略する。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(A)成分のゴム質重合体として用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。
測定機は、大塚電子社製LPA−3100型を使用し、70回積算でキュムラント法を用いた。尚、(A)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(A)成分のグラフト率;前記したため省略する。
(4)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;前記したため省略する。
(5)(D)成分(重合体の結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、及び水素添加率);
(5−1)結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm−1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(5−2)数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(5−3)ビニル結合量
水素添加前の重合体で測定した。
赤外法(モレロ法)により求めた。
(5−4)水素添加率;
水素添加前の重合体で測定した。
四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの1H−NMRスペクトルの不飽和二重結合部のスペクトル減少から算出した。
(7)耐薬品性;肉厚3.2mm×幅12.7mm×長さ127mmの試験片に1%の歪みをかけ、下記薬品を塗布し、23℃で48時間放置したあとの成形品の表面状態を、下記評価基準に基づき目視評価した。
○;変化無し
×;クラック発生又は破断
(7−1)耐薬品性―1;エチルアルコール
(7−2)耐薬品性―2;ブレーキフルード
(8)成形品の表面外観;
肉厚3.2mmの平板成形品を用いて、下記評価基準に基づき目視評価した。
◎;ヒケが殆ど無く、成形品の表面状態も平滑である
○;若干ヒケがあるが、成形品の表面状態は平滑で、問題無いレベル
×;ヒケが大きく、成形品の表面状態の平滑性が劣り、問題あるレベル
(9)難燃性;
UL94規格に準拠して、1.6mm肉厚試験片のV試験を行った。
(1)(A)成分
(1−1)製造例A1;ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加え重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2、2′―メチレンービス(4−エチルー6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥してスチレン系樹脂A1を得た。このA1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換したあと、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt―ドデシルメルカプタン0.12部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1―カーボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の共給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のスチレン系樹脂A2を得た。
(2−1)B1;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC6C”を用いた。
(2−2)B2;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC06C”を用いた。
クラレ社製TMポリマー;TM−S4L77(SEPS―芳香族ポリカーボネートブロック共重合体、SEPS/芳香族ポリカーボネート比50/50)を用いた。
(4−1)製造例D1;部分水素添加スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、スチレン30部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。ついで、n―ブチルリチウムを添加し、70℃で1時間重合したのち、ブタジエン40部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。得られたブロック重合体溶液の一部をサンプリングし、2,6−ジーtert―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去した。このものの、スチレン含量は60%、ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量は35%、数平均分子量は74,000であった。残りのブロック共重合体にチタノセンジクロライドとトリエチルアルミニウムをシクロヘキサン中で反応させた溶液を加え、50℃、50kgf/cm2の水素圧下、40分水素化反応を行った。2,6−ジーtert ―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去し、水素添加率69%の重合体D1を得た。
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエン20部溶液を投入した。ついで、n―ブチルリチウム0.025部を加えて、50℃の等温重合を行った。転化率100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン65部を転化し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン15部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前
A―B1―B2トリブロック共重合体を得た。製造例D1同様にサンプリングし分析した結果、スチレンブロック15%(Aブロック)、1,2−ビニル含量35%のブタジエンブロック(B1ブロック)、1,2―ビニル含量10%のブタジエンブロック(B2ブロック)からなる数平均分子量200,000の重合体であった。
別の容器でチタノセンジクロライド1部をシクロヘキサンに分散させ、室温でトリエチルアルミニウム0.5部と反応させた。得られた均一溶液を上記ポリマー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2の水素圧下、2時間水素反応を行い、水素添加率ほぼ100 %
の水素添加重合体D2を得た。
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサンとテトラヒドロフラン0.08部を添加した。その後昇温し、内温が70℃に到達した時点で、n―ブチルリチウム0.052部を含むシクロヘキサン溶液を添加後、スチレン15.5部を添加し60分重合した(1段目)。次いでスチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加して60分間重合した(2段目)。また、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加して60分間重合した(3段目)。更に、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加60分間重合し(4段目)、3個目のテーパーブロックを重合した。ついでスチレン15.5部を添加し60分重合した(5段目)。転化率は100%であった。
尚、重合中は、内温が70℃になるようにコントロールした。重合終了後、重合体溶液に2.6−ジーtert―ブチルカテコールを添加したあと、溶媒を加熱除去して、B部にテーパーブロックを3個有するブロック共重合体D3を得た。このものの、数平均分子量は128,000であり、スチレン含有量は40%であった。
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサンとテトラヒドロフラン2.75部を投入した。スチレン31部を加え、60℃に昇温した後、n―ブチルリチウム0.175部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、重合反応を開始した。転化率が100%に到達した時点で、ブタジエン69部を添加し、転化率100%になるまで重合し完結した。カップリング剤として四塩化珪素0.1部を添加した後、カップリング反応を完結させた。重合終了後、重合体溶液に2.6−ジーtert―ブチルカテコールを添加したあと、溶媒を加熱除去して、カップリングタイプのスチレンーブタジエンブロック共重合体D4を得た。このもののスチレン含率は31%、数平均分子量は200,000であった。
リボン型翼を備えた内容積10Lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中で、予めトルエンを溶媒として均一溶液にした上記(4−2)で得た水素添加物D2を30部(固形分)、スチレン52.5部、アクリロニトリル17.5部、トルエン120部、及びtert―ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温し、50℃にてベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、更に昇温し、80℃に達したあと、80℃一定で制御しながら重合反応を行わせた。反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。重合転化率は、97%であった。
100℃まで冷却後、2,2―メチレンビスー4−メチルー6−tert―ブチルフェノール0.2部を添加したあと、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、粉砕したのちベント付き押出機(220℃、700mmHg真空)にて実質的に揮発分を留去するとともに、重合体をペレット化し、重合体D5を得た。このもののグラフト率は、45%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
(5−1)E1;芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製“ノバレックス7022PJ”(粘度平均分子量2,2000)を用いた。
(5−2)E2;ポリブチレンテレフタレート
ポリプラスチックス社製“ジュラネックスXD477”(固有粘度1.2dl/g)を用いた。
(5−3)E3;リン系難燃剤
旭電化工業製、アデカスタブFP−2000を用いた。
表1記載の配合割合で、ヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度240℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形機(シリンダー設定温度240℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の方法で、耐衝撃性、耐薬品性、及び成形品の表面外観を評価した。評価結果を表1に示した。
本発明の実施例1〜8の成形品は、耐衝撃性、耐薬品性、成形品の表面外観の何れも優れている。
一方、比較例1は、(A)成分の使用量が、本発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性の低下が大きく、また成形品の表面外観が劣る。比較例2は、(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で少ない例であり、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例3は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例4は、本発明の(C)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性、成形品の表面外観が劣る。
表2記載の配合割合で、ヘンシェルミキサーにより混合したのち、二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形(シリンダー設定温度220℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の評価方法で、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品表面外観を評価した。評価結果を表2に示した。
本発明の実施例10〜24の成形品は、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品の表面外観の何れも優れている。
一方、比較例5は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、また(B9)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣る。比較例6は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、また(B)成分も使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐薬品性が劣る。比較例7は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣る。
比較例8は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例9は、本発明の(C)成分に替えて、(D)成分と(E)成分を使用したもので、(C)成分の反応生成物が含有しないと、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣ることが明らかである。
Claims (7)
- (A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - (A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部、
(D)芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(D−1)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックとを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の少なくとも80%が水素添加された共重合体(III)の存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(D−2)から選ばれる少なくとも1種からなるブロック重合体が0.5〜100質量部
含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 上記(C)は、(I)と(II)とを質量比で5/95〜95/5の割合で溶融混練して得られた反応生成物である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(I)の共役ジエン化合物単位が部分又は完全水素添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(C)の少なくとも10質量%は、(I)と(II)とのブロック共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(A)が、ゴム質重合体の存在下又は非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を共重合してなる重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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