JP4470448B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Description

本発明は、耐衝撃性、耐薬品性、成形品の表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物、そしてこの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品に関する。
ABS樹脂等のゴム強化スチレン系樹脂の成形品は、耐衝撃性、成形性、剛性等の機械的強度等、更に成形品の表面外観等に優れることから電気・電子分野、OA・家電分野、車両分野、サニタリー分野等に幅広く使用されているが、使用用途によっては、耐薬品性が十分でなく、更なる耐薬品性を向上させることが要求されている。
一方、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の成形品は、耐薬品性、耐熱性、流動性等に優れているため、上記スチレン系樹脂同様に、電気・電子分野、OA・家電分野、車両分野、サニタリー分野等に広く使用されているが、耐衝撃性が低い、成形品にソリ、ヒケが発生しやすい等の問題があった。又、成形後の物性、寸法等の経時変化が大きいことも問題であった。
上記問題点を改良する目的から、ABS樹脂とポリプロピレンをブレンドすることが考えられたが、両材料は相溶性が悪く、単に溶融混合しただけでは、非常の脆い材料しか得られない。特許文献1には、ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン樹脂を配合する際にスチレンーブタジエンーブロック共重合ゴムを存在させることが提案されているが、ABS樹脂、AS樹脂等と、ポリプロピレンとを配合した例は記載されていない。特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂を配合する際、水素添加したスチレンーブタジエン系ブロック共重合体を配合することが提案されているが、ABS樹脂、AS樹脂等と、ポリオレフィン系樹脂とを配合した例は記載されていない。特許文献3では、ポリオレフィン系樹脂と低分子量ポリスチレン、更にスチレンーブタジエン系ブロック共重合体からなる組成物が提案されているが、ABS樹脂、AS樹脂等を配合した例は記載されていない。
更に、特許文献4では、エポキシ変性ポリプロピレンと不飽和カルボン酸又は無水物で変性されたスチレン系樹脂を相溶化剤として用いることが提案されており、特許文献5では、エポキシ基で変性されたポリプロピレン系樹脂と不飽和カルボン酸又はその無水物で変性されたスチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体を用いることが提案されているが、これらの方法では、耐衝撃性、
成形品の表面外観等の改良効果が不十分なものであった。
特公昭52−17055号公報 特開昭56−38338号公報 特開昭56−104978号公報 特開平1−174550号公報 特開平4−266953号公報
本発明の目的は、耐衝撃性、耐薬品性、及び成形品の表面外観に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、上記成形品を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂を混合する際、スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体に、更に芳香族ポリカーボネートが化学的に結合した反応生成物を配合することで、耐衝撃性、耐薬品性、及び成形品の表面外観に優れた成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物を見い出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、下記の熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた成形品が提供される。
[1](A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2](A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
(B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部、
(D)芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(D−1)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックとを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の少なくとも80%が水素添加された共重合体(III)の存在下に芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(D−2)から選ばれる少なくとも1種からなるブロック重合体が0.5〜100質量部
含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[3]上記(C)は、(I)と(II)とを質量比で5/95〜95/5の割合で溶融混練して得られた反応生成物である上記[1]又は[2]記載の熱可塑性樹脂組成物。
]上記(I)の共役ジエン化合物単位が部分又は完全水素添加されていることを特徴とする上記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
]上記(C)の少なくとも10質量%は、(I)と(II)とのブロック共重合体である上記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
]上記(A)が、ゴム質重合体の存在下又は非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を共重合してなる重合体であることを特徴とする上記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
]上記[1]〜[]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)スチレン系樹脂、(B)オレフィン系樹脂、(C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物を特定割合で含有するものであり、特に耐衝撃性、耐薬品性及び成形品の表面外観に優れた成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に関わるスチレン系樹脂(以下「(A)成分」ともいう)は、ゴム質重合体(a)の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含むビニル単量体(b)を(共)重合して得られる重合体であり、耐衝撃性から好ましくはゴム質重合体存在下にグラフト(共)重合した重合体を少なくと1種含むものである。好ましくは、ゴム質重合体(a)の含有量が3〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
上記ゴム質重合体(a)としては特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、ブタジエン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン・イソプレン系ブ
ロック共重合体等のジエン系(共)重合体、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテンー1・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等が挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴムが好ましい。
上記ゴム質重合体のゲル含率は、特に限定しないが、乳化重合で(A)成分を得る場合、ゲル含率は、好ましくは98質量%以下であり、更に好ましくは40〜98質量%である。
この範囲において、特に耐衝撃性に優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をW2グラムとする)する。
[数1]
ゲル含率(%)=[{W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
上記ビニル単量体(b)を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン、α―メチルスチレンが好ましい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体しては、ビニルシアン化合物、
(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで使用されるビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化してもよい。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシー1−プロペン、4−ヒドロキシー1―ブテン、シスー4−ヒドロキシー2−ブテン、トランスー4−ヒドロキシー2−ブテン、3−ヒドロキシー2−メチルー1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N―(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノ基・置換アミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N―ビニルジエチルアミン、N―アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N―メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p―アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体は、ビニル単量体(b)の合計を100質量%とした場合、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。より好ましい、単量体の組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸、スチレン/N―フェニルマレイミド、スチレン/シクロヘキシルマレイミド、スチレン/メタクリル酸メチル/N―フェニルマレイミド、スチレン/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルマレイミド等であり、ゴム質重合体(a)成分存在下に重合される単量体の特に好ましい組み合わせは、スチレン/アクリロニトリル質量比=
65/25〜90/10、スチレン/メタクリル酸メチル質量比=80/20〜20/80、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルでスチレン量が20〜80質量%でアクリロニトリル、メタクリル酸メチルの質量%は合計20〜80質量%の範囲で任意のものである。
本発明の(A)成分は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。これらのうち、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル単量体(b)を(共)重合して得られる重合体の好ましい重合法は、乳化重合及び溶液重合である。一方、ゴム質重合体(a)非存在下に、ビニル単量体(b)を(共)重合して得られる重合体の好ましい重合法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合である。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられるが、これらは公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p―メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t―ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸塩等を用いることができる。
尚、乳化重合において、ゴム質重合体(a)及びビニル単量体(b)の使用方法は、ゴム質重合体(a)全量の存在下にビニル単量体(b)を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体(a)の一部を重合途中で添加してもよい。
乳化重合後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することにより、本発明の(A)成分粉末を得る。この際、乳化重合で得た2種以上の(A)成分のラテックスを適宜ブレンドした後、凝固してもよい。ここで使用される凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、あるいは硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸等の酸を用いることもできる。
溶液重合により(A)成分を製造する場合用いることのできる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N―メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤をい使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、α―メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明して重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
また、ゴム質重合体(a)の存在下、ビニル単量体(b)を重合して得られる重合体成分には、通常、上記ビニル単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフト共重合した共重合体とゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分[上記ビニル単量体(b)の
(共)重合体]が含まれる。
上記各重合方法によって得た(A)成分中に残存するビニル単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記(A)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%である。尚、上記グラフト率は以下に示す方法により求めることができる。
[数2]
グラフト率(質量%)={(T−S)/S}×100
上記式中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
また、本発明に関わる(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1.0dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
本発明に関わる(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(A)成分の使用量は、本発明の(A)成分と(B)成分の合計100質量%中5〜95質量%、好ましくは10〜93質量%、更に好ましくは15〜90質量%、特に好ましくは20〜85質量%であり、5質量%未満では、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣り、95質量%を超えると耐薬品性が劣る。
本発明に関わるオレフィン系樹脂(以下「(B)成分」ともいう)は、炭素数2〜10のα―オレフィンの少なくとも1種からなる単量体の重合体である。このオレフィン系樹脂としては、X線回折により室温で結晶化度を示すものが好ましく、より好ましくは結晶化度が20%以上であり、40℃以上の融点を有するものである。また、このオレフィン系樹脂は、常温において成形用樹脂として十分な分子量が必要である。
例えば、ピロピレンが主成分である場合、JIS K―6758に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分に相当する分子量のものである。
上記オレフィン系樹脂の単量体であるα―オレフィンの例としては、エチレン、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、3−メチルブテンー1、4−メチルペンテンー1、3−メチルヘキセンー1等があり、好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテンー1、3−メチルブテンー1、4−メチルペンテンー1である。また他に、4−メチルー1、4−ヘキサジエン、5−メチルー1、4−ヘキサジエン、7−メチル1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することができる。
また、本発明の(B)成分の一部として、エポキシ基、アミノ・置換アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基等で変性されたものを用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する(B)成分の使用量は、本発明の(A)成分と(B)成分の合計100質量%中5〜95質量%、好ましくは7〜90質量%、更に好ましくは10〜85質量%、特に好ましくは15〜80質量%であり、5質量%未満では、耐薬品性が劣り、95質量%を超えると耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣る。
本発明の分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物(以下「(C)成分」ともいう)の反応前の共重合体(I)に使用される芳香族ビニル化合物としては前記したものが全て使用できる。好ましくはスチレン、α−メチルスチレンであり、特に好ましくはスチレンである。
また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等があり、好ましくは、ブタジエン、イソプレンである。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記共重合体(I)の好まし形態は、下記の構造式で表される重合体、又は該重合体の水素添加物である。
(A−B)m 構造式1
(A―B)m―X 構造式2
A―(B−A)n 構造式3
(構造式1〜3中、Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックで、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよい。好ましくは、芳香族ビニル化合物を90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物の単独重合体又は芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体であり、Xはカップリング剤の残基であり、mは1〜5の整数、nは1〜5の整数をそれぞれ表す。)
また、上記重合体ブロックとして、重合体ブロック(B)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合含有量の異なる重合体ブロック、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体、また芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロック等が重合体鎖中又は重合体末端に、適宜共重合していてもよい。
尚、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=10〜70/30〜90質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは15〜65/35〜85質量%の範囲である。
上記共重合体(I)の分子末端は水酸基である。この官能基は、上記した好ましい形態で示した一般式のAブロックの末端に有することが好ましい。ブロック共重合体の両末端に官能基を有する場合と、片末端に有する場合があるが、何れでもよい。また、全ての重合体分子が官能基を有する必要はなく、1分子当たり平均0.5個以上であることが好ましく、0.7〜2個の範囲にあることが特に好ましい。
上記共重合体(I)は、共役ジエン部分が部分的に水素添加されたものを用いることもできるし、完全に水素添加されてものを用いることもできる。(B)成分との親和性から、共役ジエン部分の炭素―炭素間二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、更に好ましくは80%以上が水素添加されているものである。
上記共重合体(I)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用できる。例えば、特公昭36−19286号公報に記載されている有機リチウム触媒を用いたリビングアニオン重合の技術を用いて不活性溶媒中で芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を重合することで重合体を製造することができる。有機リチウム触媒としては、n―ブチルリチウム、sec―ブチルリチウム、tert―ブチルリチウムなどのモノリチウム化合物等がある。共役ジエン化合物のビニル結合量の調節は、N、N、N′、N′―テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾビシクロ
(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
重合体分子末端に官能基を導入する方法は、公知方法で行うことができる。例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を有機アルカリ金属化合物の存在下で重合し、得られた重合体の活性点に、エポキシ化合物、ヒドロキシ化合物、カルボキシ化合物等の官能基含有化合物を反応させる方法。エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをブロック共重合体の末端に付加した後、アルコール類、カルボン酸類、水等の活性水素化合物を添加してアニオン重合を停止させる末端に水酸基を導入させる方法。炭酸ガスを低温で吹き込み、アニオン重合を停止させ末端にカルボン酸基を導入する方法等が例示される。
共役ジエン化合物の不飽和基に水素添加する方法としては、公知の方法で水素添加率を調整することで目的の重合体を得ることができる。
具体的な方法としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特開平2−133406号公報等に開示されている。
上記共重合体(I)と反応させる芳香族ポリカーボネート(II)としては、種々のヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合によって得られるもの、又はジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが全て使用できる。芳香族ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビスフェノールA、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどがあり、特に好ましくはビスフェノールAである。
芳香族ポリカーボネート(II)の粘度平均分子量は、好ましくは8,000〜50,000、更に好ましくは12,000〜30,000、特に好ましくは15,000〜26,000である。また、粘度平均分子量の異なるものを適宜併用することもできる。
尚、芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、塩化メチレンを溶媒として、20℃、濃度〔0.7g/100ml(塩化メチレン)〕で測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して算出することができる。
[数3]
粘度平均分子量=(〔η〕×8130)1.205
ここで、〔η〕=〔(ηsp×1.12+1)1/2―1〕/0.56C(Cは濃度を示す 。)である。
本発明の(C)成分は、上記(I)と(II)からなり、1)(I)と(II)を必要なら有機チタン化合物、有機スズ化合物等の有機金属化合物の存在下で溶融混練する方法、2)(I)の存在下で(II)を重合する方法、3)(II)の重合の最終段階で(I)成分を添加し反応さる方法等で製造することができるが、工業的に特に好ましい方法は、上記1)の方法である。
また、(I)/(II)の質量比は、95/5〜5/95の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは80/20〜20/80であり、特に好ましくは70/30〜30/70である。
本発明の(C)成分は、上記(I)と(II)は、全てが反応してブロック共重合体になっている必要は無い。少なくとも10質量%以上がブロック共重合体になっておれば、本発明の目的は達成される。
このような、ブロック共重合体混合物は、例えば、特開2001−220506号公報に記載の方法等で製造することができる。更に、本発明の(C)成分は、クラレ社製TMポリマーシリーズのTM−S4L77、TM−H4L77等として入手することができる。
本発明の上記(C)成分は、前記(A)成分+(B)成分の合計100質量部に対して
0.5〜100質量部、好ましくは1〜60質量部、更に好ましくは2〜50質量部
特に好ましくは3〜40質量部であり、0.5質量部未満では、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣り、100質量部を超えると耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は上記[2]に記載したように、上記[1]の熱可塑性樹脂組成物に更にブロック重合体(以下「(D)成分」ともいう)を含有する熱可塑性樹脂組成物も含まれる。
かかるブロック重合体として、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素―炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(以下「(D−1)成分」ともいう)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素―炭素二重結合の少なくとも80%以上が水素添加された共重合体(III)の存在下に芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(以下「(D−2)成分」ともいう)が挙げられる。
(D−1)成分としては、前記(I)で説明した構造式の重合体が使用できる。特に好ましくは、1)前記構造式2及び/又は構造式3からなるものであり、芳香族ビニル化合物に由来する単位の割合(結合芳香族ビニル化合物量)が、好ましくは20〜80質量%、更に好ましく30〜80質量%、特に好ましくは40〜70質量%の範囲で、共役ジエン化合物に由来する炭素―炭素二重結合の水素添加率は40%以上、80%未満である。2)前記構造式2及び/又は構造式3からなるもので、B部分の芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜12個有するブロック共重合体で、実質的に共役ジエン化合物単位が水素添加されていないものである。
(D−2)成分としては、前記構造式1〜3の重合体で、共役ジエン化合物に由来する 炭素―炭素二重結合の水素添加率が80%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上水素添加された共重合体(III)の存在下に芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体が好ましい。該共重合体(III)の存在下で重合するビニル単量体は好ましくは(イ)芳香族ビニル化合物/アクリロニトリル、(ロ)芳香族ビニル化合物/メタクリル酸メチル、(ハ)芳香族ビニル化合物/メタクリル酸メチル/アクリロニトリルから選ばれたビニル単量体混合物である。変性ブロック重合体における該共重合体
(III)含量は、10〜60質量%の範囲にあるものが好ましい。かかる変性ブロック重合体は、(A)成分の製造方法で説明した溶液重合、塊状重合、懸濁重合及びこれを組合わせた重合方法で製造することができる。
本発明の(D)成分は、本発明の(A)+(B)成分の合計100質量部に対して0.5〜100質量部、好ましくは1〜60質量部、更に好ましくは2〜50質量部、特に好ましくは3〜40質量部であり、0.5質量部未満では耐衝撃性が劣り、50質量部を超えると耐薬品性及び成形品表面外観が劣る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、公知の無機充填材を配合することができる。ここで使用される無機充填材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラス、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウイスカー、ワラストナイト、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ヘクトライト、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、板状アルミナ、板状シリカ、及び有機処理されたスメクタイト、アラミド繊維、フェノール繊維、ポリエステル繊維等があり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記無機充填材の分散性を向上させる目的から、公知のカップリング剤で表面処理してものを用いることができる。公知のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。上記無機充填材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1〜100質量部の範囲で通常使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、公知の耐候(光)剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、染料、結晶核剤、抗菌剤、防かび剤、発泡剤、難燃剤(リン系難燃剤、窒素化合物、ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等)を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を難燃化する際の難燃剤は、特に限定しないが、特に好ましいものは、下記一般式(1)、下記一般式(3)及び下記一般式(4)で表されるリン酸塩化合物である。
Figure 0004470448

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上記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物において、式中R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチルが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるリン酸塩化合物としては、ジアミンとトリアジン誘導体及び(ポリ又はピロ)リン酸から得られるリン酸アミン塩であり、該リン酸アミン塩は、例えば次ぎの方法によって得ることができる。すなわち、反応容器に、不活性溶剤を添加もしくは溶剤を添加することなしに、所定のリン酸もしくは縮合度約2〜100の縮合リン酸を仕込む。次いで、〔R12N(CH2)mNR34〕で表されるジアミン(ここでR1、R2、R3及びR4はそれぞれH もしくは炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、R1、 R2、R3及びR4は同一の基であっても異なってもよい。また、mは1〜 10の整数である。)、ピペラジンもしくはピペラジン環を含むジアミンである化合物
(以下これらを総称してジアミン類という。)を直接あるいは水等に溶解又は溶剤で希釈して添加し、―10〜100℃で反応させる。反応は中和反応であり、速やかに進行する。次にここで生成した反応物を単離し、もしくは単離することなく、アンモニアもしくは上記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体を水等の溶媒で希釈あるいは希釈することなしに添加、加熱反応させることによりリン酸アミン塩が得られる。反応に関与するジアミン類、アンモニア及びトリアジン誘導体の量は、使用するリン酸もしくは縮合リン酸のリン濃度によって変化する。即ち、ジアミン類は、リン酸もしくは縮合リン酸中に含まれる水酸基の数の2分の1よりも少ないモル数、好ましくはリン酸もしくは縮合リン酸とほぼ等モル量を添加し、反応させ、中間生成物を得る。次いで該中間生成物に残留している水酸基に相当する量のアンモニアもしくはトリアジン誘導体を添加し、反応させる。
上記ジアミン類の具体的な例としては、N、N、N′、N′―テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N、N′―ジメチルエチレンジアミン、N、N′―ジエチルエチレンジアミン、N、N―ジメチルエチレンジアミン、N、N―ジエチルエチレンジアミン、N、N、N′、N′―テトラメチルエチレンジアミン、N、N、N′、N′―ジエチルエチレンジアミン、1,2―プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans―2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4―ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。
また、上記トリアジン誘導体の具体的な例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4―ジアミノー6−ノニルー1,3,5―トリアジン、2,4−ジアミノー6―ハシドロキノンー1,3,5−トリアジン、2−アミノー4,6―ジハイドロキシー1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノー6−メトキシー1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノー6−エトキシー1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノー6−プロポキシー1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノー6−イソプロポキシー1,3,5―トリアジン、2,4−ジアミノー6−メルカプトー1,3,5−トリアジン、2−アミノー4,6−ジメルカプトー1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物は、(ポリ又はピロ)リン酸とジアミンの塩であり、任意の反応比率で反応させて得ることができる。例えばピロリン酸ピペラジン塩の場合は、ピペラジン塩酸塩とピロリン酸ナトリウムとを水溶液中で反応させて、水難性沈殿として容易に得られる。本発明で使用される好ましいリン酸・ジアミン塩としては、リン酸ピペラジン塩が挙げられ、具体的にはオルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、ポリリン酸ピペラジン塩等が挙げられる。
上記一般式(4)で表されるリン酸塩化合物はリン酸・トリアジン誘導体塩であり、次の方法によって得ることができる。例えばリン酸メラミン塩の場合は、リン酸とメラミンを任意の反応比率で反応させて得られる。本発明で好ましく使用されるリン酸メラミン塩の具体的な例としては、例えばオルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩等が挙げられる。
これらのリン酸塩化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に上記一般式(3)で表されるリン酸塩化合物と上記一般式(4)で表されるリン酸塩化合物との組み合わせで使用する場合の割合(前者/後者)は、好ましくは5〜95/95〜5(質量%)、更に好ましくは10〜90/90〜10(質量%)、特に好ましくは30〜70/70〜30(質量%)である。この範囲にあると優れた難燃性効果が得られる。
本発明で使用する好ましいリン酸塩化合物は、平均粒子径40μm以下、更に好ましくは10μm以下のものが好適である。リン酸塩化合物の平均粒径が40μmより大きい場合には、本発明の樹脂組成物への分散性が悪くなり、難燃性、耐衝撃性、及び成形品表面外観が劣る場合がある。これらの難燃剤は、例えば特開2003−26935号公報記載の方法等で製造することができ、工業的には旭電化工業社製アデカスタブFPシリーズとしてFP−2000等として市販品を入手することができる。
難燃剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して好ましくは5〜100質量部の範囲で使用される。又、更に難燃性を向上させる目的から、ドリッピング防止剤、多価水酸基含有化合物、金属・半金属酸化物、遷移金属酸化物、シリコーン化合物、有機酸の金属塩、及び金属水酸化物等を配合することができ、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ここで使用されるドリッピング防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂、パーフルオロメタンスルホン酸、パープルオローn―ブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロー2−エチルヘキサンスルホン酸等のパーフルオロアルカンスルホン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム塩等のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、リン酸化合物、スルホン酸化合物のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられ、これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらのドリッピング防止剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.01〜3質量部の範囲で用いることが好ましい。
多価水酸基含有化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアネート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、デンプン、ブドウ糖、セルロース、ソルビトール等がある。これらの多価水酸基含有化合物のうち多価アルコール化合物は樹脂との馴染みがよく、低水溶性及び低吸湿性の点で好ましく、とりわけジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール(縮合度≧4)及びビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付 加物は、水溶性、吸湿性が特に低いため本発明に適している。これらの多価水酸基含有化合物は、通常本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して1〜15質量部の範囲で使用することが好ましい。
金属・半金属酸化物は、典型金属元素及び半金属元素の酸化物であり、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化燐、酸化ビスマス等があり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、遷移金属酸化物は、遷移金属元素の酸化物であり、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等があり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記金属酸化物は、通常本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して20質量部以下で使用することが、耐衝撃性から好ましい。
上記シリコーン化合物としては、任意の割合でM単位、D単位、T単位、Q単位を含むポリオルガノシロキサンが好ましく、液状、粉体、ゴム状のものの何れも使用可能であるが、M単位、D単位、及びT単位からなり、置換アルキル基がメチル基とフェニル基からなるポリメチル・フェニルシロキサンが特に好ましい。またこれらのポリオルガノシロキサンには、アルコキシ基、ビニル基等、水酸基、水素基等が付加されていても良い。シリコーン化合物は、通常本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.5〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。
有機酸の金属塩としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の有機酸のアルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩等があり、これらは本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の公知の重合体である、ポリアミド樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステル樹脂、ポリエステルエラストマー、PMMA、
メタクリル酸メチル・マレイミド化合物共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、EVA、EV0H、EVE、LCP、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性ポリウレタン、尿素樹脂、フェノキシ樹脂等を適宜配合できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー等により、各成分を混練することにより調製することができる。好ましい製造方法は押出機を用いる方法であり、特に好ましくは多軸押出機を用いる方法、あるいは押出機とバンバリーミキサー、連続ニーダーを組み合わせた方法である。
更に、各々の成分を混練するに際して、それらの成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
このようにして調製された本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、プレス成形、シート押出成形、フィルム成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形等の公知の成形法により、成形品を得ることができる。これらの成形法で得られる成形品としては、下記のものが例示される。
各種ギア、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ部品、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶FDDキャリッジ、FDDシャーシー、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品。VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデイオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭・事務電気製品部品。オフィスコンピューター関連部品、電話機器関連部品、ファクシミリー関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品。便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品。窓枠、家具、床材、壁材等の住宅・住設関連部品。顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機器関連部品。オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種バルブ。エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁弁用コイルボビン、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラー、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース。パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶装置のハウジング、シャーシー、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品。バンパー、フェンダー等の車両用外装部材、その他各種用途。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、実施例中において部及び%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例、比較例中の各種測定は、下記の方法に拠った。
〔1〕評価方法
(1)ゴム質重合体のゲル含率;
前記したため省略する。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(A)成分のゴム質重合体として用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。
測定機は、大塚電子社製LPA−3100型を使用し、70回積算でュムラント法を用いた。尚、(A)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(A)成分のグラフト率;前記したため省略する。
(4)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;前記したため省略する。
(5)(D)成分(重合体の結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、及び水素添加率);
(5−1)結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm−1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(5−2)数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(5−3)ビニル結合量
水素添加前の重合体で測定した。
赤外法(モレロ法)により求めた。
(5−4)水素添加率;
水素添加前の重合体で測定した。
四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzのH−NMRスペクトルの不飽和二重結合部のスペクトル減少から算出した。
(6)耐衝撃性;ISO試験法179に準じて、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定した。
(7)耐薬品性;肉厚3.2mm×幅12.7mm×長さ127mmの試験片に1%の歪みをかけ、下記薬品を塗布し、23℃で48時間放置したあとの成形品の表面状態を、下記評価基準に基づき目視評価した。
○;変化無し
×;クラック発生又は破断
(7−1)耐薬品性―1;エチルアルコール
(7−2)耐薬品性―2;ブレーキフルード
(8)成形品の表面外観;
肉厚3.2mmの平板成形品を用いて、下記評価基準に基づき目視評価した。
◎;ヒケが殆ど無く、成形品の表面状態も平滑である
○;若干ヒケがあるが、成形品の表面状態は平滑で、問題無いレベル
×;ヒケが大きく、成形品の表面状態の平滑性が劣り、問題あるレベル
(9)難燃性;
UL94規格に準拠して、1.6mm肉厚試験片のV試験を行った。
〔2〕熱可塑性樹脂組成物成分
(1)(A)成分
(1−1)製造例A1;ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、t―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;3500Å、ゲル含率;85%)40部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部及びブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加え重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、t―ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2、2′―メチレンービス(4−エチルー6−t―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち、乾燥してスチレン系樹脂A1を得た。このA1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
(1−2)製造例A2;AS樹脂
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換したあと、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてt―ドデシルメルカプタン0.12部及びトルエン5部の溶液、及び重合開始剤として、1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1―カーボニトリル)0.1部及びトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けられたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、及び重合開始剤の共給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48のスチレン系樹脂A2を得た。
(2)(B)成分;
(2−1)B1;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC6C”を用いた。
(2−2)B2;ポリプロピレン樹脂
日本ポリケム社製ブロックタイプポリプロピレン“ノバテックBC06C”を用いた。
(3)(C)成分;
クラレ社製TMポリマー;TM−S4L77(SEPS―芳香族ポリカーボネートブロック共重合体、SEPS/芳香族ポリカーボネート比50/50)を用いた。
(4)(D)成分;
(4−1)製造例D1;部分水素添加スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、スチレン30部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。ついで、n―ブチルリチウムを添加し、70℃で1時間重合したのち、ブタジエン40部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。得られたブロック重合体溶液の一部をサンプリングし、2,6−ジーtert―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去した。このものの、スチレン含量は60%、ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量は35%、数平均分子量は74,000であった。残りのブロック共重合体にチタノセンジクロライドとトリエチルアルミニウムをシクロヘキサン中で反応させた溶液を加え、50℃、50kgf/cm2の水素圧下、40分水素化反応を行った。2,6−ジーtert ―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去し、水素添加率69%の重合体D1を得た。
(4−2)製造例D2;完全水素添加スチレンーブタジエンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエン20部溶液を投入した。ついで、n―ブチルリチウム0.025部を加えて、50℃の等温重合を行った。転化率100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン65部を転化し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン15部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前
A―B1―B2トリブロック共重合体を得た。製造例D1同様にサンプリングし分析した結果、スチレンブロック15%(Aブロック)、1,2−ビニル含量35%のブタジエンブロック(B1ブロック)、1,2―ビニル含量10%のブタジエンブロック(B2ブロック)からなる数平均分子量200,000の重合体であった。
別の容器でチタノセンジクロライド1部をシクロヘキサンに分散させ、室温でトリエチルアルミニウム0.5部と反応させた。得られた均一溶液を上記ポリマー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2の水素圧下、2時間水素反応を行い、水素添加率ほぼ100 %
の水素添加重合体D2を得た。
(4−3)D3;未水素添加スチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサンとテトラヒドロフラン0.08部を添加した。その後昇温し、内温が70℃に到達した時点で、n―ブチルリチウム0.052部を含むシクロヘキサン溶液を添加後、スチレン15.5部を添加し60分重合した(1段目)。次いでスチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加して60分間重合した(2段目)。また、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加して60分間重合した(3段目)。更に、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加60分間重合し(4段目)、3個目のテーパーブロックを重合した。ついでスチレン15.5部を添加し60分重合した(5段目)。転化率は100%であった。
尚、重合中は、内温が70℃になるようにコントロールした。重合終了後、重合体溶液に2.6−ジーtert―ブチルカテコールを添加したあと、溶媒を加熱除去して、B部にテーパーブロックを3個有するブロック共重合体D3を得た。このものの、数平均分子量は128,000であり、スチレン含有量は40%であった。
(4−4)D4;未水素添加スチレンーブタジエンラジアルブロック共重合体
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサンとテトラヒドロフラン2.75部を投入した。スチレン31部を加え、60℃に昇温した後、n―ブチルリチウム0.175部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、重合反応を開始した。転化率が100%に到達した時点で、ブタジエン69部を添加し、転化率100%になるまで重合し完結した。カップリング剤として四塩化珪素0.1部を添加した後、カップリング反応を完結させた。重合終了後、重合体溶液に2.6−ジーtert―ブチルカテコールを添加したあと、溶媒を加熱除去して、カップリングタイプのスチレンーブタジエンブロック共重合体D4を得た。このもののスチレン含率は31%、数平均分子量は200,000であった。
(4−5)D5;変性ブロック重合体
リボン型翼を備えた内容積10Lのステンレス製オートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中で、予めトルエンを溶媒として均一溶液にした上記(4−2)で得た水素添加物D2を30部(固形分)、スチレン52.5部、アクリロニトリル17.5部、トルエン120部、及びtert―ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温し、50℃にてベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、更に昇温し、80℃に達したあと、80℃一定で制御しながら重合反応を行わせた。反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。重合転化率は、97%であった。
100℃まで冷却後、2,2―メチレンビスー4−メチルー6−tert―ブチルフェノール0.2部を添加したあと、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、粉砕したのちベント付き押出機(220℃、700mmHg真空)にて実質的に揮発分を留去するとともに、重合体をペレット化し、重合体D5を得た。このもののグラフト率は、45%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
(5)その他の成分(E)
(5−1)E1;芳香族ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製“ノバレックス7022PJ”(粘度平均分子量2,2000)を用いた。
(5−2)E2;ポリブチレンテレフタレート
ポリプラスチックス社製“ジュラネックスXD477”(固有粘度1.2dl/g)を用いた。
(5−3)E3;リン系難燃剤
旭電化工業製、アデカスタブFP−2000を用いた。
実施例1〜9、比較例1〜4
表1記載の配合割合で、ヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度240℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形機(シリンダー設定温度240℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の方法で、耐衝撃性、耐薬品性、及び成形品の表面外観を評価した。評価結果を表1に示した。
Figure 0004470448
表1に示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明の実施例1〜8の成形品は、耐衝撃性、耐薬品性、成形品の表面外観の何れも優れている。
一方、比較例1は、(A)成分の使用量が、本発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性の低下が大きく、また成形品の表面外観が劣る。比較例2は、(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が、発明の範囲外で少ない例であり、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例3は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例4は、本発明の(C)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性、成形品の表面外観が劣る。
実施例10〜24、比較例5〜9
表2記載の配合割合で、ヘンシェルミキサーにより混合したのち、二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、射出成形(シリンダー設定温度220℃)により評価用試験片を作製した。
この試験片を用い、前記の評価方法で、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品表面外観を評価した。評価結果を表2に示した。
Figure 0004470448
表2に示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明の実施例10〜24の成形品は、耐衝撃性、耐薬品性及び成形品の表面外観の何れも優れている。
一方、比較例5は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で少なく、また(B9)成分の使用量が、発明の範囲外で多い例であり、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣る。比較例6は、本発明の(A)成分の使用量が、発明の範囲外で多く、また(B)成分も使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐薬品性が劣る。比較例7は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣る。
比較例8は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、耐薬品性及び成形品の表面外観が劣る。比較例9は、本発明の(C)成分に替えて、(D)成分と(E)成分を使用したもので、(C)成分の反応生成物が含有しないと、耐衝撃性及び成形品の表面外観が劣ることが明らかである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、従来にない優れた耐衝撃性、耐薬品性、及び成形品の表面外観を有するものであり、高度な性能が要求される、車両分野、電気・電子分野、OA・家電分野等の各種部品として適用できる。










Claims (7)

  1. (A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
    (B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
    上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
    (C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)ゴム質重合体の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなるスチレン系樹脂5〜95質量%、
    (B)オレフィン系樹脂5〜95質量%(但し、(A)+(B)=100質量%)、
    上記(A)と(B)の合計100質量部に対して
    (C)分子末端に官能基として水酸基を有する芳香族ビニル化合物単位を主とする重合体ブロックと共役ジエン化合物単位を主とする重合体ブロックとを有する共重合体(I)、と芳香族ポリカーボネート(II)との反応生成物が0.5〜100質量部、
    (D)芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロック及び共役ジエン化合物からなる重合体ブロックからなり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の0〜80%未満の範囲で水素添加されたブロック重合体(D−1)、及び芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックと共役ジエン化合物単位からなる重合体ブロックとを有する重合体であり、共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の少なくとも80%が水素添加された共重合体(III)の存在下に、芳香族ビニル化合物又は芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を重合してなる変性ブロック重合体(D−2)から選ばれる少なくとも1種からなるブロック重合体が0.5〜100質量部
    含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  3. 上記(C)は、(I)と(II)とを質量比で5/95〜95/5の割合で溶融混練して得られた反応生成物である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 上記(I)の共役ジエン化合物単位が部分又は完全水素添加されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 上記(C)の少なくとも10質量%は、(I)と(II)とのブロック共重合体である請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 上記(A)が、ゴム質重合体の存在下又は非存在下に芳香族ビニル化合物と、ビニルシアン化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を共重合してなる重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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