JP2007091778A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂40〜99質量%、及び、(B)ゴム強化スチレン系樹脂1〜60質量%を含有してなり(但し、上記(A)成分と(B)成分の合計は100質量%)、更に、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)ポリエーテルポリエステル樹脂1〜50質量部、および、(D)フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオンを有する塩0.1〜5質量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。更に、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(E)無機充填材5〜150質量部を含有してもよい。
【選択図】なし
Description
他方、熱可塑性樹脂は、一般的に、帯電し易い特性を有し、静電気障害の問題を発生させることから、液晶を用いた表示装置、半導体周辺装置、プラズマディスプレー、クリーンルーム内等で用いられる各種パーツ、シート、フィルム等に使用することは難しかった。
かかる欠点を改良する目的から、熱可塑性樹脂に、高分子型帯電防止剤を添加したり、これと界面活性剤を併用して添加することが提案されている。
近年、ICやLSIの高性能化と大容量化により、これらを収容するトレーなどの包装容器は、電気特性として表面抵抗値で1010Ω以下を満たすことが求められており、いわゆる従来の帯電防止領域の水準を満たすだけでは充分でなくなっており、また、水洗に対する優れた耐久性、すなわち、制電持続性の上でも著しく不十分という問題を有している。
帯電防止水準を改善する方法として特許文献1には特定の熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーにカチオン及びイオン解離可能なアニオンにより構成される金属塩類、更には特定の有機化合物を含有させることが提案されている。しかしながら、この組成物は、更に耐熱性を要求される分野で使用するには未だ不十分である。
他方、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル樹脂と、ゴム強化スチレン系樹脂と、ポリエーテルポリエステル樹脂、更に無機充填剤からなる熱可塑性樹脂組成物が開示されているが、耐熱性については満足する値が得られるものの制電性が不十分であった。
本発明のさらなる目的は、上記の優れた熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
かくして、本発明は、
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂40〜99質量%、
(B)ゴム強化スチレン系樹脂1〜60質量%、
上記(A)成分及び(B)成分を含有してなり(但し、上記(A)成分と(B)成分の合計は100質量%)、
更に、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、
(C)ポリエーテルポリエステル樹脂1〜50質量部、および、
(D)フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオンを有する塩0.1〜5質量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
更に、本発明の好ましい実施形態によれば、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、
(E)無機充填材5〜150質量部を更に含有することを特徴とする上記熱可塑性樹脂組成物が提供される。
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂
本発明の(A)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレート、またはエチレンテレフタレート繰り返し単位を少なくとも80質量%以上、好ましくは90質量%以上含む共重合ポリエステル樹脂である。共重合成分としては酸成分および/またはグリコール成分が広く使用出来る。
酸成分の例としては、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等が挙げられる。
尚、上記酸成分および上記グリコール成分等は、1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。更に成形性を損なわない程度で3官能性成分を共重合してもよい。
本発明の(B)成分であるゴム強化スチレン系樹脂は、(b1)ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体からなり、必要に応じて、(b2)ゴム質重合体の非存在下に芳香族ビニル化合物、または芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体を(共)重合してなる(共)重合体を含有する。なお、本明細書において、「(共)重合」は、単独重合及び/又は共重合を意味する。
なお、(b1)成分は、通常、ビニル単量体がゴム質重合体にグラフト重合してなるグラフト体と、ゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト体(上記(b2)成分と実質的に同じ)とを含む。
これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、及びシリコーンゴムが好ましい。
上記(b1)及び(b2)で用いられる芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、マレイミド化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等の官能基含有不飽和化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。また、このマレイミド化合物は、無水マレイン酸を共重合させ、その後イミド化する方法で導入してもよい。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の材料強度、成形品表面外観をより向上させる目的から、(b1)成分調製時、即ちゴム質重合体存在下に重合されるビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させることにより調製された変性物が好ましい。
また、上記変性物を含有する(B)成分は、上記官能基の分散性を向上させる目的から、非変性物と変性物とを個別に調製した後、両者を混合する方法によって製造することが好ましい。例えば、ビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させてゴム質重合体存在下又は不存在下に乳化重合を行いラテックス(B1)を調製し、別途、ビニル単量体中に上記官能基含有不飽和化合物を存在させずにゴム質重合体存在下又は不存在下に乳化重合を行いラテックス(B2)を調製した後、両ラテックス(B1)及び(B2)をラテックスブレンドして回収することにより、上記変性物を含有する(B)成分を製造できる。ラテックスブレンドする際の上記ラテックス(B1)と(B2)の割合は、(B1)の固形分/(B2)の固形分=5/95〜95/5(質量比)の範囲が好ましく、更に好ましくは15/85〜70/30、特に好ましくは20/80〜60/40の範囲である。また、上記ラテックスブレンドで得られた組成物に、官能基を有さない(b1)及び/又は(b2)を添加することもできる。
なお、(B)成分を重合する際の各成分の添加方法は、ゴム質重合体の全量の存在下にビニル単量体を一括添加する方法でもよく、または、分割もしくは連続的に添加する方法でもよく、さらには、これらを組み合わせた方法でもよい。
乳化重合で(B)成分を重合する場合、使用される重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、水等は、公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサオイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸・鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることもできる。
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール、ターピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ロジン酸塩、燐酸塩等のアニオン系界面活性剤、さらには、公知のノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
なお、上記ゲル含率は、トルエン100mlにゴム質重合体1gを投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュ金網(質量W1)で濾過してトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2)し、次式(1)により算出される値である。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン類等が用いられる。
また、これらの重合開始剤、連鎖移動剤等は、塊状重合、塊状・懸濁重合でも好ましく用いられる。
尚、グラフト率、極限粘度〔η〕及び上記平均粒子径は、(b1)成分を製造する際の、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や使用量、更には、重合時間、重合温度等を変化させることにより容易に制御することができる。
(b2)成分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを用い、30℃で測定)は、0.2〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.3〜1.0dl/gである。
この極限粘度〔η〕は、上記(b1)成分の場合と同様、各種の製造条件を変化させることにより制御することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中の(B)成分の割合は、(A)成分と(B)成分の合計量を100質量%に対して、1〜60質量%、好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは、10〜35質量%である。1質量%未満では耐衝撃性が劣り、60質量%を超えると耐熱性が劣る。
本発明の(C)成分として使用するポリエーテルポリエステル樹脂は後述するような単量体A、単量体B、単量体Cからなる。
単量体Aは、1)炭素数4〜20のジカルボン酸、2)炭素数4〜20のジカルボン酸のエステル形成性誘導体、または3)前記1)と2)の混合物である。中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
単量体Bは1)炭素数2〜10のアルキレンジオール、2)炭素数6〜10のシクロヘキサンジオール、または3)前記1)と2)の混合物である。中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
単量体Cは炭素数2〜4のオキシアルキレン単位を構成単位とするポリオキシアルキレン基を有する数平均分子量400〜10000のポリアルキレンジオールである。中でもポリオキシアルキレン基がオキシエチレン単位のみ、若しくはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を構成単位とするものが好ましい。
単量体A〜Cの使用割合は、単量体A〜Cの合計を100質量%として、単量体Aが15〜37.5質量%、単量体Bが15〜37.5質量%、単量体Cが25〜70質量%である。
本発明の(D)成分であるフッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオンを有する塩とは、フッ素化アルキルスルホニル基を1以上備えてなるアニオンと適当なカチオンとからなる塩を意味する。アニオン中に含まれるフッ素化アルキルスルホニル基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸などのフッ素化された低級アルキルスルホニル基、特に、パーフルオロアルキルスルホニル基などが挙げられる。(D)成分を構成するアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸自体の他、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドなどの一以上の好ましくは複数のトリフルオロメタンスルホニル基で水素原子が置換されたメチド、アンモニア等の誘導体が挙げられる。成分(C1)を構成するカチオンとしては、代表的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が挙げられる。(D)成分の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドカリウム及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい(D)成分は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムである。
上記(D)成分は、そのまま使用することもできるし、溶液として使用することもできるし、更にエーテル結合を有する重合体に事前に配合して使用することもできる。
(D)成分を溶解させる溶剤として特に好ましいものは、水、または下記式(3)で示される化合物であり、最も好ましくは下記式(3)で示される化合物である。
ここで、上記アルコールの例としてはプロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ブタノールにエチレンオキシド1〜6モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノールにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オクタノールにエチレンオキシド1〜5モル、ペンタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ノナノールにエチレンオキシド1〜4モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロキシル化合物が挙げられる。
なお、これらの化合物の中でブタノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタノールが加工性とのバランスに良い。
また、上記ニ塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられる。
上記一般式(3)で表される化合物として好ましいものは、Rが末端にヒドロキシ基を有さないアルキル基であるものである。特に好ましくはビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート(アジピン酸ジブトキシエトキシエチル)、またはビス(2−ブトキシエチル)フタレートである。
上記一般式(3)で表される化合物は、(C)成分100質量部に対し10質量部以上、好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20重量部以上、特に好ましくは20〜60質量部の範囲で使用される。10質量部より少ないと耐熱性に劣り好ましくない。
本発明の(D)成分を上記一般式(3)で表される化合物に溶解する場合の濃度は、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1〜60質量%の範囲である。
また、エーテル結合を有する重合体としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等をエポキシ基等の官能基で変性したもの、更にポリオレフィンブロックとポリエチレングリコールとからなるブロック共重合体、及び本発明の(C)成分等がある。
本発明の(D)成分の溶液は、三光化学工業社製サンコノール0862−20R、0862−13T、0862−10T、AQ−50T(商品名)等として、また、マスターバッチとしては、同じく三光化学工業社製サンコノールTBX−25(商品名)等として入手することができる。
(D)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.1〜5質量部、好ましくは0.4〜4質量部、更に好ましくは0.7〜3質量部である。0.1質量部未満では耐熱性、及び制電性が不足し、5質量部超過では剛性、及び耐熱性が低下する。
本発明の(E)成分である無機充填剤は、タルク、及びタルク以外の無機充填剤である。
(E1)タルク
本発明の(E1)成分であるタルクは、本発明の(A)成分の結晶化剤の1つとして作用するものである。したがって、本発明の(E)成分はタルクを含有することが好ましい。タルクの平均粒子径は、10μm以下のものが好ましく、更に好ましくは7μm以下、特に好ましくは1〜5μmの平均粒子径のものである。これらのタルクは、例えば日本タルク株式会社製ミクロエース、SGシリーズ(商品名)として入手出来る。
本発明で使用されるタルク以外の無機充填材としては、ガラス繊維、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラス、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アタパルジャイト、マイカ等が挙げられ、これらは、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。これらの内、ガラスファイバー、ガラスフレークが好ましい。このような無機充填材の配合により、耐熱性、強度、剛性が向上する。
尚、繊維状充填材のみ使用した場合、異方性が強まり成形品の反りが問題となることがある。こうした場合、板状充填材として上記マイカ、ガラスフレーク等を併用することにより解決を図ることが出来る。板状充填材の重量平均フレーク径は10〜300μm以下が好ましく、特に好ましくは30〜250μm以下である。300μを超えると外観が劣るため好ましくなく、10μmより小さいと反り抑制効果が小さくなるため好ましくない。
本発明の(E)成分全体の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対して5〜150質量部、好ましくは10〜120質量部、更に好ましくは15〜100質量部、特に好ましくは30〜100質量部である。5質量部未満では、耐熱性が劣り、150質量部を超えると外観が低下する場合がある。
各種ギア、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ部品、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶FDDキャリッジ、FDDシャーシー、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデイオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声器部品、照明部品、冷蔵庫部品などに代表される家庭・事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話機器関連部品、ファクシミリー関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具関連部品;便座、タンクカバー、ケーシング、台所回りの部品、洗面台関連部品、浴室関連パーツ等のサニタリー関連部品;窓枠、家具、床材、壁材等の住宅・住設関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器・精密機器関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種バルブ;エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウオーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイパーハーネス、ウインドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁弁用コイルボビン、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローラー、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース;パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブ等の記憶装置のハウジング、シャーシー、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電子機器部品;バンパー、フェンダー等の車両用外装部材、ICトレイ、ICキャリヤー、液晶トレイ等、その他各種用途。
二軸押出機を用いて本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るに当たり、各々の成分を一括して混練する他、多段、分割配合して混練してもよい。また、本発明の(E)成分は、押出機途中から添加することが好ましい。
(1)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度〔η〕:上記のとおり。
(2)ゴム質重合体のゲル含率:上記のとおり。
(3)ゴム質重合体の平均粒子径:
(B)成分の形成に用いるゴム質重合体の平均粒子径を光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製、LPA−3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。なお、(B)成分中の分散粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(4)重合体含率:
ラテックス約1gをアルミ皿に秤量し、120℃の乾燥器で1時間乾燥した。1時間後、アルミ皿を取出し、デシケータ中で室温まで徐冷した後、秤量し、重合体含率を計算した。
(5)ゴム質重合体存在下にビニル単量体を重合して得た重合体のグラフト率(B成分):上記の通り。
(6)(b1)成分のアセトン可溶分および(b2)成分の極限粘度〔η〕:上記のとおり。
(7)耐熱性(熱変形温度)
ISO75試験法に準拠して1.8MPa荷重で測定した。
直径100mm、厚み2mmの円板状シートを射出成形し、23℃、50%RH条件下に24時間放置後の表面固有抵抗(No.1表面固有抵抗)を三菱化学社製ハイレスターUP MCP―HT450を用い、印加電圧500Vで測定した。
(9)制電持続性
上記(8)と同様の厚み2mmのシート成形品表面を水道水にて30秒間洗い流し、蒸留水にて置換した後、23℃×50%RHの恒温恒湿槽に24時間放置した。上記(8)の方法で表面固有抵抗(No.2表面固有抵抗)を求めた。
No.1表面固有抵抗とNo.2表面固有抵抗から持続性を下記の如く評価した。
○;No.2表面固有抵抗がNo.1表面固有抵抗と比較して同等、または低く、持続性を有する。
×;No.2表面固有抵抗がNo.1表面固有抵抗と比較して劣り、持続性が劣る。
(10)強度、並びに剛性
ISO178試験法に準拠し、曲げ強度、並びに剛性として曲げモジュラスを測定した。
(11)成形品表面外観
厚み2.4mm×巾50mm×長さ50mmの平板を成形し、下記評価基準で目視評価した。
◎:成形品表面の凹凸がほとんどない
○:成形品表面の凹凸が小さい
△:成形品表面の一部で、凹凸が大きい
×:成形品表面の凹凸が大きい。
(12)耐衝撃性
ISO179試験法に準拠し、耐衝撃性を測定した。
(1)(A)成分
ポリエチレンテレフタレート樹脂;三菱化学社製ノバペックス GV200(商品名)(固有粘度0.60)を用いた。
(2−1)製造例B1−1;エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂B1−1
攪拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに、窒素気流中で、イオン交換水155部、ポリブタジエンラテックス(平均粒径;2700Å、ゲル含率;95%)70部(固形分)を添加し、攪拌を開始した。内温が65℃になるまで昇温し、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.008部、硫酸第一鉄(7水和物)0.002部、ソディウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水15部からなる水溶液を添加した後、クメンハイドロパーオキサイド0.05部及びスチレン20部、アクリロニトリル6部、グリシジルメタクリレート4部、ロジン酸カリウム0.1部、イオン交換水30部からなる乳濁液を4時間かけて連続的に添加し重合反応を行った。その間内温は、65℃に保った。更に、2時間攪拌を続けた後冷却し、2,2´−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結し、エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂B1−1のラテックスを得た。サンプリングし、重合体含率、グラフト率及びアセトン可溶部の極限粘度を測定した。
重合体含率は33%、グラフト率32%、極限粘度0.35dl/gであった。
製造例B1−1と同じ反応容器を用い、イオン交換水163部、ロジン酸カリウム0.3部を添加し、攪拌を開始するとともに、昇温した。内温が65℃になった時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄(7水和物)0.0025部、ソディムホルムアルデヒドスルホキシレート0.28部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。t−ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.12部、及びスチレン75部、アクリロニトリル25部からなる混合単量体を6時間かけて連続的に添加し内温を65℃に保ちながら重合反応を行った。単量体添加開始から1時間後にロジン酸カリウム0.4部を添加し、3時間後にエチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.025部、硫酸第一鉄(7水和物)0.006部、ソディムホルムアルデヒドスルホキシレート0.07部、イオン交換水2.5部からなる水溶液を添加した。6時間後、上記3時間後に添加した重合開始助剤とクメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、更に2時間攪拌を続けて、アクリロニトリル−スチレン共重合体B1−2のラテックスを得た。冷却後、サンプリングし、重合体含率及び極限粘度を測定した。重合体含率35%、極限粘度は0.36dl/gであった。
上記エポキシ基変性ゴム強化スチレン系樹脂B1−1とアクリロニトリル−スチレン共重合体B1−2の各ラテックスを固形分で50/50部の比率にてブレンドし、その後、塩化カルシウムを用いて、凝固、水洗、脱水、乾燥し、B1成分を得た。
C1:竹本油脂社製のポリエーテルポリエステルTEP018(商品名:ポリエチレングリコール成分を50wt%含有するブロック共重合体)を用いた。
C2:竹本油脂社製のポリエーテルポリエステルTEP004(商品名:ポリエチレングリコール成分を50wt%含有するブロック共重合体とアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの混合物)を用いた。
三光化学工業社製サンコノール 0862−10T(商品名) (アジピン酸ジブトキシエトキシエチルを溶媒とするトリフルオロメタンスルホン酸リチウム含有量10%の溶液)
を用いた。
E1:日本タルク社製超微粉タルク SG200(商品名)(平均粒子径3.2μm)を用いた。
E2:ガラス繊維;旭ファイバーグラス社製 CS03MA419(商品名)を用いた。
E3:ガラスフレーク;日本板硝子社製 REFG301(商品名)を用いた。
表1及び2記載の成分(D、E成分以外)を十分に乾燥したのち、表1及び2記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度250℃)で溶融混練してペレット化した。また(D)成分および(E)成分は、押出機途中から添加混練した。得られたペレットは除湿乾燥機で十分に乾燥し、射出成形機(シリンダー設定温度250℃、金型温度80℃)で耐衝撃性、耐熱性、制電性、制電持続性、強度、剛性、及び成形品表面外観評価用に各試験片を成形した。
上記、各成形品を用い、前記の方法で評価し評価結果を表1及び2に示した。
実施例1は、(D)成分を所定量含有するため、制電性に優れている。実施例2は、(D)成分に加えて所定量のタルクを含有するため、制電性に加えて耐熱性に優れている。実施例3〜11は、(D)成分に加えて所定量のタルク以外の無機充填材を含有するため、制電性に加えて耐熱性、剛性及び強度に優れている。
これに対し、比較例1及び2は、(D)成分が配合されておらず、制電性に劣る。また、比較例3は、耐熱性に劣る。比較例4は、(D)成分の配合量が本発明の範囲よりも多いため、剛性が劣る。比較例5は、(C)成分が配合されておらず、制電性が劣る。比較例6は、(C)成分の配合量が本発明の範囲よりも多いため、剛性が劣る。比較例7は、(A)成分と(B)成分の配合量が本発明の範囲外であるため、剛性と耐熱性が劣る。
Claims (6)
- (A)熱可塑性ポリエステル樹脂40〜99質量%、
(B)ゴム強化スチレン系樹脂1〜60質量%、
上記(A)成分及び(B)成分を含有してなり(但し、上記(A)成分と(B)成分の合計は100質量%)、
更に、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、
(C)ポリエーテルポリエステル樹脂1〜50質量部、および、
(D)フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオンを有する塩0.1〜5質量部
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 更に、上記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、
(E)無機充填材5〜150質量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 上記(A)成分の80質量%以上が、エチレンテレフタレート単位からなるポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(B)成分の少なくとも一部が、官能基で変性されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記(D)成分が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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