JP2009068005A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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晃義 玉井
Sadayuki Kobayashi
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Abstract

【課題】本発明は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に極めて優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】(A1)ポリカーボネート樹脂10〜100重量%、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂0〜90重量%からなる(A)ポリカーボネート系樹脂組成物100重量部に対し、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(b12)グルタル酸無水物単位を有する共重合体、もしくは上記単位に(b13)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体、又は上記(b11)(b12)もしくは上記(b11)(b12)(b13)の単位にさらに(b14)その他のビニル系単位を有する共重合体である(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜100重量%、(B2)ゴム質含有重合体0〜50重量%からなる(B)共重合体0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に極めて優れ、さらに好ましい様態においては、耐薬品性、難燃性にも優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
ポリカーボネート系樹脂は優れた機械特性、耐熱性、寸法安定性を活かして電気・電子機器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。
しかしながら近年では、上記用途において小型化や薄肉化が図られる傾向にあり、成形加工性の要求も高度化しており、さらに幅広い使用環境を想定し、過酷な条件下で使用された場合でも形状変化が小さいこと、耐候性、耐薬品性、耐傷性など要求も多様化している。
そこでこれらの問題点を解決するために、ポリカーボネート樹脂に種々のポリマーをアロイ化する手法が数多く検討されている。
流動性、耐衝撃性を改善する目的でポリカーボネート樹脂にスチレン系樹脂(例えばABS樹脂など)を添加する方法が提案されているが、得られる組成物の耐薬品性は不十分であり、特に一般的な成形法である射出成形においては、成形品の残留歪みに起因する薬品によるストレスクラックが発生しやすいなどの問題があった。
また耐薬品性を改善する目的で結晶性樹脂(例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂やポリアミド樹脂など)を添加する方法が提案されている。しかしながら結晶性樹脂を添加した場合、相溶性に劣るためポリカーボネート樹脂の特長である機械特性や寸法安定性、および外観を低下させる問題が生じていた。
上記の問題を解決するため、ポリカーボネート樹脂、芳香族ビニルと(メタ)アクリル酸を必須成分とする共重合体、これらと相溶性を有する樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物(例えば特許文献1)やポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、グルタル酸無水物又はグルタルイミドを含有する共重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(例えば特許文献2)が開示されている。しかしながら上述した従来の方法では、耐衝撃性、耐薬品性を改善することができるが、成形加工性(流動性や熱着色安定性)の低下や、それにともなう外観不良(フローマーク、シルバーストリーク)が発生する。
またポリカーボネート樹脂のアロイ系ではないが、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性を改善させる目的でグルタル酸無水物含有重合体を種々のポリマーとアロイ化する方法が提案されている。例えば結晶性熱可塑性樹脂とグルタル酸無水物含有共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物(例えば特許文献3)、ゴム強化スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、グルタル酸無水物含有共重合体を含有してなる熱可塑性樹脂組成物(例えば特許文献4)が開示されている。しかしいずれも得られる組成物は、成形加工性の低下(滞留時の増粘)や外観低下など不具合が発生するため、本発明のポリカーボネート系樹脂アロイ本来の優れた機械特性、成形加工性、外観を満足できていないのが現状であった。
特開平3−227360号公報(特許請求の範囲) 特開平4−110345号公報(特許請求の範囲) 特開2002−356598号公報(特許請求の範囲) 特開2004−315799号公報(特許請求の範囲)
本発明は、上記課題を解決し、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に極めて優れ、さらに好ましい様態においては、耐薬品性、難燃性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することをその課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート系樹脂組成物と、特定の環状構造を有する共重合体を特定の割合で含む熱可塑性樹脂組成物とすることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)(A1)ポリカーボネート樹脂10〜100重量%(A1とA2の合計を100重量%とする)、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂0〜90重量%(A1とA2の合計を100重量%とする)からなる(A)ポリカーボネート系樹脂組成物100重量部に対し、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(b12)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を有する共重合体、もしくは上記単位に(b13)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体、又は上記(b11)(b12)もしくは上記(b11)(b12)(b13)の単位にさらに(b14)その他のビニル系単位を有する共重合体である(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜100重量%(B1とB2の合計を100重量%とする)、(B2)ゴム質含有重合体0〜50重量%(B1とB2の合計を100重量%とする)からなる(B)共重合体0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物、
Figure 2009068005
(上記式中、R、Rは、同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す。)
(2)前記(B1)グルタル酸無水物含有共重合体が、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位30〜95重量%、(b12)グルタル酸無水物単位5〜60重量%、(b13)不飽和カルボン酸単位0〜10重量%、(b14)その他のビニル系単位0〜30重量%を含む共重合体である(1)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(3)前記(B1)グルタル酸無水物含有共重合体が、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位50〜95重量%、(b12)グルタル酸無水物単位5〜33重量%、(b13)不飽和カルボン酸単位0〜10重量%、(b14)その他のビニル系単位0〜30重量%を含む共重合体である(1)記載の熱可塑性樹脂組成物、
(4)前記(B2)ゴム質含有重合体が、内部に1層以上のゴム質層を有する多層構造重合体であって、該内部のゴム質層を構成する重合体がアクリル酸アルキルエステル単位、および置換または無置換のスチレン単位を含有し、かつ最外殻層を構成する重合体が、(b12)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有する重合体である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(5)前記(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である(1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(6)前記(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂の添加量が、(A1)、(A2)の合計量を100重量%として5重量%未満である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(7)熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の断面の電子顕微鏡写真において、(B)共重合体が平均粒子径1μm以下で(A)ポリカーボネート系樹脂組成物中に分散する(1)〜(6)いずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(8)ASTM D256に準じて測定したノッチ付きIzod衝撃強度(厚み1/8インチ)比(熱可塑性樹脂組成物からなる成形品のIzod衝撃値/(A)ポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品のIzod衝撃値)が1.2以上である(1)〜(7)のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物、
(9)(1)〜(8)いずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品、
である。
本発明により、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に極めて優れ、さらに好ましい様態においては、耐薬品性、難燃性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができるようになった。
以下に本発明の樹脂組成物について具体的に説明する。
本発明で用いる(A1)ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ホモポリカーボネートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができる。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲン法、あるいは2官能フェノール系化合物と炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好ましく、1万〜8万がより好ましく、1万〜5万がさらに好ましい範囲である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等である。本発明において、2官能フェノール系化合物は単独で用いてもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
本発明で用いる(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族ポリケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などが挙げることができ、中でもポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂が、(A1)ポリカーボネート樹脂との相溶性の観点から好ましく用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、あるいは優れた特性を有する成形品を得るため併用することもできる。
上記のポリエステル樹脂とは、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルより選ぶことができる。芳香族ポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル、もしくはエステル形成誘導体と、ジオールとを、公知の方法により縮合させて得られるものが挙げられ、具体的に、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸などが挙げられる。これらのエステル形成誘導体も用いることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2〜6個の炭素原子を有するポリメチレングリコール、または1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAおよびこれらエステル形成誘導体が挙げられる。
芳香族ポリエステルの好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリビスフェノールAイソフタレートなどが挙げられる。上記芳香族ポリエステル樹脂は、o−クロロフェノール溶媒中における25℃での極限粘度(〔η〕25℃、o−クロロフェノール、単位dl/g)が0.4〜2のものが好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.5のものである。
脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的に、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましく使用される。
ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよく、具体的な他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
ポリ乳酸で高い耐熱性を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体あるいはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、さらには90モル%以上含まれることが好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。脂肪族ポリエステルの分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではなく、重量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の重量平均分子量である。
(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であるスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、およびゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンオキシドとのポリマーブレンド体(変性ポリフェニレンオキシド樹脂)などが挙げられる。
またゴム変性スチレン系樹脂は、通常ゴム状重合体の存在下に、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系単量体および必要に応じこれと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体混合物を、例えば塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、沈殿重合または乳化重合等の方法により重合または共重合(以下「(共)重合」と称する場合もある)することにより得られるものであり、スチレン系単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン系単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものとを含むものである。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の具体例としては、例えば、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
具体的には、ゴム質重合体5〜80重量%に対し、スチレン系単量体を5重量%以上含有する単量体または単量体混合物20〜95重量%をグラフト重合して得られるグラフト(共)重合体5〜100重量部と、スチレン系単量体を5重量%以上含有する単量体または単量体混合物を重合して得られるスチレン系(共)重合体0〜95重量部とからなるものが好適である。
上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−脂肪酸ビニル共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体の使用が好ましい。
本発明におけるグラフト(共)重合体を構成するゴム質重合体の重量平均粒子径には特に制限はないが、0.05〜1.0μm、特に0.1〜0.5μmの範囲であることが好ましい。ゴム質重合体の重量平均粒子径を0.05μm〜1.0μmの範囲とすることによって、優れた耐衝撃性を発現することができる。
なお、ゴム質重合体の重量平均粒子径は、「Rubber Age、Vol.88、p.484〜490、(1960)、by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法、つまりアルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法により測定することができる。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレンおよびt−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンの使用が好ましい。
スチレン系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性向上を目的とする場合には、シアン化ビニル系単量体が、靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、また耐熱性向上を目的とする場合にはマレイミド系単量体がそれぞれ好ましく用いられる。
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
マレイミド系単量体の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドなどが挙げられるが、特にN−フェニルマレイミドが好ましく用いられる。
上記のグラフト(共)重合体において用いる単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、スチレン系単量体が5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜85重量%であり、さらに好ましくは20〜80重量%である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工性の観点から、1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜45重量%であり、特に10〜40重量%が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸エステル系単量体やマレイミド系単量体など、共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、0〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは0〜75重量%であり、特に0〜70重量%が好ましく用いられる。
グラフト(共)重合体を得る際のゴム質重合体と単量体混合物との配合割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全グラフト(共)重合体100重量%中に、ゴム質重合体が5重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上である。また、樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観の観点からは、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは70重量%以下である。また、単量体または単量体混合物の配合割合は95重量%以下、好ましくは90重量%以下、あるいは20重量%以上、好ましくは30重量%以上である。
グラフト(共)重合体は、公知の重合法で得ることができる。例えば、ゴム質重合体ラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。
グラフト(共)重合体は、ゴム質重合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造をとったグラフト(共)重合体の他に、グラフトしていない(共)重合体を含有したものである。グラフト(共)重合体のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡してすぐれる樹脂組成物を得るためには、20〜80%、特に25〜50%の範囲であることが好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される値である。
グラフト率(%)=[<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有量>]×100
グラフトしていない(共)重合体の特性は特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜1.00dl/g、特に0.25〜0.80dl/gの範囲であることが、すぐれた耐衝撃性の樹脂組成物を得るために好ましい条件である。
スチレン系(共)重合体は、スチレン系単量体を必須とする共重合体である。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレンおよびt−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく使用される。これらは1種または2種以上を用いることができる。
スチレン系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性、耐薬品性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、また耐熱性向上を目的とする場合にはマレイミド系単量体がそれぞれ好ましく用いられる。
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
マレイミド系単量体の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドなどが挙げられるが、特にN−フェニルマレイミドが好ましく用いられる。マレイミド系単量体を共重合したスチレン系共重合体、即ち、マレイミド基変性スチレン系共重合体は、スチレン系樹脂中に含有させて使用することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上でき、さらに難燃性を付与する場合にも特異的に向上が期待できることから、好ましく使用することができる。
スチレン系(共)重合体の構成成分であるスチレン系単量体の割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全単量体に対し5〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%の範囲である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性の観点から、1〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%の範囲である。また、また(メタ)アクリル酸エステル系単量体やマレイミド系単量体など、共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、0〜80重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜70重量%が好ましい。
スチレン系(共)重合体の特性には制限はないが、メチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.25〜3.00dl/g、特に0.35〜2.00dl/gの範囲のものが、すぐれた耐衝撃性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好ましい。
スチレン系(共)重合体の製造法には特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
また本発明において、スチレン系(共)重合体として、必要に応じてカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する変性スチレン系重合体(以下、変性スチレン系重合体と略称する。)を用いることもできる。この変性スチレン系(共)重合体としては、スチレン系単量体を含む一種または二種以上のビニル系単量体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含有する化合物の含有量については制限されないが、特に変性ビニル系重合体100重量%中に0.01〜20重量%の範囲であることが好ましい。
(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であるアクリル樹脂としては、メタクリル酸、アクリル酸、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、クロロメチルメタクリレート、クロロメチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルメタクリレート、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルアクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルメタクリレート、または2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルアクリレートなどのモノマーの重合体、または上記モノマーの共重合体(コポリマー)が挙げられる。
これらの中で、本発明のアクリル樹脂としては、メチルメタクリレートを51〜100重量%、並びにメチルメタクリレートと共重合可能な不飽和結合を含む1種類以上のコモノマーを0〜49重量%共重合したメタクリルコポリマーであることが好ましい。これらアクリル共重合体のモノマー組成比は、メチルメタクリレート51〜100重量%、メチルメタクリレートと共重合可能な不飽和結合を含む1種以上のコモノマー0〜49重量%であることが好ましく、より好ましくはメチルメタクリレート100重量%またはメチルメタクリレート80〜99重量%、コモノマー1〜20重量%である。
(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂としては、通常、ジアミンとジカルボン酸との縮合によって製造されるものや、ラクタムの開環重合によって製造されるものなどが使用できる。これらのポリアミド樹脂の好ましい例としては、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン4,6などが挙げられる。また、ナイロン6/6,6、ナイロン6/6,10、ナイロン6/12、ナイロン6/6,12、ナイロン6/6,6/6,10、ナイロン6/6,6/12などの共重合ポリアミド類も使用できる。さらに、ナイロン6/6,T(T;テレフタル酸成分)、テレフタル酸、イソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸とメタキシリレンジアミン、あるいは脂環族ジアミンから得られる半芳香族ポリアミド類、ポリエステルアミドなどを用いることもできる。上記ポリアミド樹脂は、90%ギ酸溶媒中、濃度1g/100cc、温度25℃で測定した相対粘度〔ηrel 〕が1.0〜4.0のものが好ましく、さらに好ましくは1.5〜3.5のものである。以上のポリアミド樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
本発明での(A)ポリカーボネート系樹脂組成物を構成する成分の組成は、(A1)、(A2)の合計量を100重量%として、(A1)ポリカーボネート樹脂が10〜100重量%、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂が0〜90重量%の範囲であり、好ましくは(A1)ポリカーボネート樹脂が20〜90重量%、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂が10〜80重量%の範囲であり、更に好ましくは(A1)ポリカーボネート樹脂が30〜80重量%、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂が20〜70重量%の範囲とすることにより、比較的容易にポリカーボネート樹脂が連続相(マトリックス相)を形成、もしくは(A1)、(A2)両相が連続相を形成するため、ポリカーボネート樹脂本来の機械特性、耐熱性、寸法安定性を損なうことなく、耐薬品性を改良できる。
また、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂として、ポリアミド樹脂を使用する場合は、(A1)と(A2)の合計量を100重量%として、5重量%未満とすることが好ましい。ポリアミド樹脂の配合量を5重量%未満とすることで、熱可塑性樹脂組成物の流動性を良好にすることができる。
本発明の特定の環状構造を有する(B)共重合体とは、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(b12)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を有する共重合体、もしくは上記単位に(b13)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体、又は上記(b11)(b12)もしくは上記(b11)(b12)(b13)の単位にさらに(b14)その他のビニル系単量体単位を有する共重合体である(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜100重量%と(B2)ゴム質含有重合体0〜50重量%からなるものである。なお、本明細書において単に「アルキル」と言う場合には直鎖状、分岐状、環状が包含される。
本発明の(B1)グルタル酸無水物含有共重合体を製造する方法としては、特に制限はないが、後の加熱工程により上記(b12)グルタル酸無水物単位を与える不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体と、前記(b14)その他のビニル系単量体単位を含む場合には該単位を与えるビニル系単量体とを共重合させ、(b)原重合体とした後、かかる(b)原重合体を適当な触媒の存在下あるいは非存在下で加熱し脱アルコール及び/又は脱水による分子内環化反応を行わせることにより製造することができる。この場合、典型的には、原重合体を加熱することにより2単位の(b13)不飽和カルボン酸単位のカルボキシル基が脱水されて、あるいは、隣接する(b13)不飽和カルボン酸単位と(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位からアルコールの脱離により1単位の前記グルタル酸無水物単位が生成される。
この際に用いられる不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては特に制限はないが、好ましい例として、下記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009068005
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Rは無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを示す)
これらのうち、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜6の脂環式炭化水素基または置換基を有するこれらの炭化水素基を持つアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが特に好適である。なお、上記一般式(2)で表される不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は、共重合すると下記一般式(3)で表される構造の不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を与える。
Figure 2009068005
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表し、Rは無置換または水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基および炭素数3〜6の脂環式炭化水素基から選ばれるいずれかを示す)。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
また不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、他のビニル化合物と共重合させることが可能ないずれの不飽和カルボン酸単量体も使用可能である。好ましい不飽和カルボン酸単量体として、下記一般式(4)
Figure 2009068005
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)で表される化合物、マレイン酸、及びさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられるが、特に熱安定性が優れる点でアクリル酸、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。なお、上記一般式(4)で表される不飽和カルボン酸単量体は、共重合すると下記一般式(5)で表される構造の不飽和カルボン酸単位を与える。
Figure 2009068005
(ただし、Rは水素および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す)
本発明で用いる(B1)グルタル酸無水物含有共重合体においては、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のビニル系単量体を用いてもかまわない。このその他のビニル系単量体は、共重合すると前記の(b14)その他のビニル系単位を与える。その他のビニル系単量体の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびt−ブチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
これらの(b)原重合体製造時に用いられる単量体混合物の好ましい割合は、該単量体混合物を100重量%として、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は好ましくは30〜95重量%、より好ましくは30〜90重量%、最も好ましくは30〜85重量%、不飽和カルボン酸単量体が5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは15〜40重量%、これらに共重合可能な他のビニル系単量体を用いる場合、その好ましい割合は0〜30重量%である。
不飽和カルボン酸単量体量が5重量%未満の場合には、(b)原重合体の加熱による環化反応物生成量が少なくなり、従って(B1)グルタル酸無水物含有共重合体による耐熱性、耐薬品性向上効果が小さくなる傾向がある。一方、不飽和カルボン酸単量体量が60重量%以上の場合には、(b)原重合体の加熱による環化反応後に反応性の高い不飽和カルボン酸単位が多量に残存する傾向があり、その結果、熱可塑性樹脂組成物とする際の滞留安定性が低下し、機械特性、成形加工性、外観が悪化する傾向がある。
(B1)グルタル酸無水物含有共重合体の重合方法については、基本的にはラジカル重合による、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法を用いることができる。不純物がより少ない点で溶液重合、塊状重合、懸濁重合が特に好ましい。
重合温度については、色調の観点から、95℃以下の重合温度で重合することが好ましい。さらに加熱処理後の着色をより抑制するために、好ましい重合温度は85℃以下であり、特に好ましくは75℃以下である。また、重合温度の下限は、重合が進行する温度であれば、特に制限はないが、重合速度を考慮した生産性の面から、50℃以上が好ましく、より好ましくは60℃以上である。重合収率あるいは重合速度を向上させる目的で、重合進行に従い重合温度を昇温することも可能である。この場合も昇温する上限温度は95℃以下に制御することが好ましく、重合開始温度も75℃以下の比較的低温で行うことが好ましい。また重合時間は、必要な重合度を得るのに十分な時間であれば特に制限はないが、生産効率の点から60〜360分間の範囲が好ましく、90〜180分間の範囲が特に好ましい。
本発明の(B1)グルタル酸無水物含有共重合体の分子量制御方法については、例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量等により、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法が好ましく使用することができる。
本発明に使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。
これらアルキルメルカプタンの添加量としては特に制限はなく、共重合する単量体種により、その添加量は異なるが、通常、単量体混合物の全量100重量部に対して、0.3〜5.0重量部であり、好ましくは、0.8〜5.0重量部であり、さらに好ましくは0.9〜4.0重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部である。例えば、t−ドデシルメルカプタンを使用する場合には、1.0〜3.0重量部の範囲で特に有効であり、n−ドデシルメルカプタンを使用する場合には、0.6〜2.0重量部の範囲で特に有効である。
本発明の(b)グルタル酸無水物含有共重合体の原重合体を加熱し、脱水および/または脱アルコールにより分子内環化反応を行い、グルタル酸無水物含有単位を含有する(B1)グルタル酸無水物含有共重合体を製造する方法は、特に制限はないが、(b)原重合体をベントを有する加熱した押出機に通す方法や不活性ガス雰囲気または真空下で加熱脱揮する方法が好ましい。酸素存在下で加熱による分子内環化反応を行うと、黄色度が増す傾向が見られるため、系内を窒素などの不活性ガスで十分に置換することが好ましい。特に好ましい装置として、例えば、”ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機、連続式またはバッチ式ニーダータイプの混練機などを用いることができ、とりわけ二軸押出機が好ましく使用することができる。また、窒素などの不活性ガスが導入可能な構造を有した装置がより好ましい。例えば、二軸押出機に窒素などの不活性ガスを導入する方法としては、ホッパー上部および/または下部より、10〜100リットル/分程度の不活性ガス気流の配管を繋ぐ方法などが挙げられる。
なお、上記の方法により加熱脱揮する温度は、脱水および/または脱アルコールにより分子内環化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、好ましくは180〜300℃の範囲、特に好ましくは200〜290℃の範囲である。
また、この際の加熱脱揮する時間は、所望する共重合組成に応じて適宜設定可能であるが、通常、1分間〜60分間が好ましく、より好ましくは2分間〜30分間、とりわけ好ましくは3〜20分間の範囲である。押出機を用いて、十分な分子内環化反応を進行させるための加熱時間を確保するため、押出機スクリューの長さ/直径比(L/D)が40以上であることが好ましい。L/Dの短い押出機を使用した場合、未反応の不飽和カルボン酸単位が多量に残存するため、加熱成形加工時に反応が再進行し、成形品にシルバーや気泡が見られる傾向や成形滞留時に色調が悪化する傾向がある。
さらに本発明では、(b)原重合体を上記方法等により加熱する際にグルタル酸無水物への環化反応を促進させる触媒として、酸、アルカリおよび塩化合物から選ばれた1種以上を添加することができる。その添加量は、(b)原重合体100重量部に対し、0.01〜1重量部程度が好ましい。酸触媒としては、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基性触媒としては、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。さらに、塩化合物触媒としては、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩、炭酸金属塩等が挙げられる。ただし、その触媒の色が熱可塑性重合体の着色に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加することが好ましい。中でも、アルカリ金属を含有する化合物が、比較的少量の添加量で、優れた反応促進効果を示すため、好ましく使用することができる。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルコキシド化合物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩等が挙げられる。とりわけ、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウム、および酢酸ナトリウムが好ましく使用することができる。
本発明における(B1)グルタル酸無水物含有共重合体のガラス転移温度(Tg)は、130℃以上のものが好ましく、特に150℃以上のものが、耐熱性の点で好ましい。(B1)グルタル酸無水物含有共重合体のガラス転移温度を130℃以上にすることは、(B1)グルタル酸無水物含有共重合体の(b12)グルタル酸無水物単位の量を約13重量%以上に制御することにより達成できる。なお、ガラス転移点の上限は特に限定されないが、通常、180℃程度であり、より一般的には170℃程度である。なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定したガラス転移温度(Tg)である。
本発明における(B1)グルタル酸無水物含有共重合体100重量%中に含まれる(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位は好ましくは30〜95重量%、より好ましくは40〜95重量%、最も好ましくは50〜95重量%である。また(b12)グルタル酸無水物単位は共重合体中に好ましくは5〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%、最も好ましくは5〜33重量%である。グルタル酸無水物単位が5重量%以下の場合、耐熱性向上効果が小さくなる傾向がある。(b13)不飽和カルボン酸単位は0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、最も好ましくは0〜1重量%である。不飽和カルボン酸単位が10重量%以上の場合、滞留安定性が低下する傾向がある。共重合可能な(b14)他のビニル系単位は好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%、最も好ましくは0〜10重量%である。
本発明の(B1)グルタル酸無水物含有共重合体としては、N,N−ジメチルホルムアミドを溶媒として用い、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.35〜0.85dl/gのものが好ましく、0.45〜0.7dl/gのものが特に好ましい。
また(B1)グルタル酸無水物含有共重合体は、重量平均分子量が3万〜20万であることが好ましく、より好ましくは5万〜15万、特に7万〜13万が好ましい。重量平均分子量が、この範囲にあることにより、後工程の加熱脱気時の着色を低減でき、黄色度の小さい重合体を得ることができるとともに、成形品の機械的強度も高くすることができる。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
本発明の(B)共重合体には、(B2)ゴム質含有重合体を含有せしめることにより、(B)共重合体の優れた特性を大きく損なうことなく優れた耐衝撃性を付与することができる。(B2)ゴム質含有重合体としては、1以上のゴム質重合体を含む層と、それとは異種の重合体から構成される1以上の層から構成され、かつ、内部に1層以上のゴム質重合体を含む層を有する構造の、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体が好ましく使用できる。
本発明に使用されるコアシェル型の多層構造重合体を構成する層の数は、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよいが、内部に1層以上のゴム層(コア層)を有する多層構造重合体であることが好ましい。
本発明の多層構造重合体において、ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分から構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴムも好ましい。例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分から構成されるゴム、および(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成されるゴムなどが挙げられる。これらのうち、アクリル酸アルキルエステル単位、および、置換または無置換のスチレン単位を含有するゴムが、機械特性の点から最も好ましい。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位およびブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分から構成される共重合体を架橋させたゴムも好ましい。
本発明の多層構造重合体において、ゴム層以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分であることが好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位およびその他のビニル単位などから選ばれる1種以上の単位を含有する重合体が挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を含有する重合体が好ましく、それに加えて不飽和グリシジル基含有単位、不飽和カルボン酸単位および不飽和ジカルボン酸無水物単位から選ばれる1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
上記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではないが、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましく使用される。具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸クロロメチル、メタクリル酸クロロメチル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記不飽和カルボン酸単量体としては特に制限はなく、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびさらには無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。特に熱安定性が優れる点でアクリル酸およびメタクリル酸が好ましく、より好ましくはメタクリル酸である。これらはその1種または2種以上用いることができる。
上記不飽和グリシジル基含有単位の原料となる単量体としては、特に限定されるものではなく、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテルおよび4−グリシジルスチレンなどが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
上記不飽和ジカルボン酸無水物単位の原料となる単量体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸および無水アコニット酸などが挙げられ、耐衝撃性を向上する効果が大きいという観点から、無水マレイン酸が好ましく使用される。これらの単位は単独ないし2種以上を用いることができる。
また、上記脂肪族ビニル単位の原料となる単量体としては、エチレン、プロピレンおよびブタジエンなどを用いることができる。上記芳香族ビニル単位の原料となる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンおよびハロゲン化スチレンなどを用いることができる。上記シアン化ビニル単位の原料となる単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどを用いることができる。上記マレイミド単位の原料となる単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−ブロモフェニル)マレイミドおよびN−(クロロフェニル)マレイミドなどを用いることができる。上記不飽和ジカルボン酸単位の原料となる単量体としては、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸およびフタル酸などを用いることができる。上記その他のビニル単位の原料となる単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを用いることができる。これらの単量体は単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明のゴム質重合体を含有する多層構造重合体において、最外層(シェル層)の種類は、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位、脂肪族ビニル単位、芳香族ビニル単位、シアン化ビニル単位、マレイミド単位、不飽和ジカルボン酸単位、不飽和ジカルボン酸無水物単位およびその他のビニル単位などを含有する重合体などから選ばれた少なくとも1種が挙げられる。中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、不飽和カルボン酸単位、不飽和グリシジル基含有単位および不飽和ジカルボン酸無水物単位から選ばれた少なくとも1種が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および不飽和カルボン酸単位を含有する重合体が最も好ましい。
本発明では、上記の多層構造重合体における最外層が不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および不飽和カルボン酸単位を含有する重合体である場合、加熱することにより、前述した本発明の(B1)グルタル酸無水物含有共重合体の製造時と同様に、分子内環化反応が進行し、前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位が生成する。従って、最外層に不飽和カルボン酸アルキルエステル単位および不飽和カルボン酸単位を含有する重合体を有する多層構造重合体を(B1)グルタル酸無水物含有共重合体に配合し、適当な条件で、加熱溶融混練することにより、最外層に前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位を含有する多層構造重合体が得られる。これにより、連続相(マトリックス相)となる(B1)グルタル酸無水物含有共重合体中に、多層構造重合体が凝集することなく、良好に分散することが可能となり、(A)ポリカーボネート系樹脂組成物の耐衝撃性等の機械特性を低下させることなく、耐熱性、耐薬品性を改良する事ができる。
ここでいう不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の原料となる単量体としては、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、さらにはアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルがより好ましく使用される。
また、不飽和カルボン酸単位の原料となる単量体としては、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましく、さらにはメタクリル酸がより好ましく使用される。
本発明の多層構造重合体の好ましい例としては、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン共重合体で、最外層がメタクリル酸メチル/前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位からなる共重合体であるもの、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン共重合体で、最外層がメタクリル酸メチル/前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物含有単位/メタクリル酸共重合体であるもの、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル共重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、コア層がブタンジエン/スチレン共重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるもの、およびコア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体であるものなどが挙げられる。ここで、“/”は共重合を示す。
本発明の多層構造重合体の数平均粒子径については、得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃強度の点から0.01μm以上、1000μm以下であることが好ましく、さらに、0.02μm以上、100μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上、10μm以下であることがさらに好ましく、0.05μm以上、1μm以下であることが最も好ましい。
本発明の多層構造重合体において、コアとシェルの重量比は、多層構造重合体全体に対して、コア層が50重量%以上、90重量%以下であることが好ましく、さらに、60重量%以上、80重量%以下であることがより好ましい。
本発明の多層構造重合体としては、上述した条件を満たす市販品を用いてもよく、また公知の方法により作製して用いることもできる。
多層構造重合体の市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製”メタブレン(登録商標)”、鐘淵化学工業社製”カネエース(登録商標)”、呉羽化学工業社製”パラロイド(登録商標)”、ロームアンドハース社製”アクリロイド(登録商標)”、ガンツ化成工業社製”スタフィロイド(登録商標)”およびクラレ社製”パラペット(登録商標)SA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明での(B)共重合体を構成する成分の組成は、(B1)、(B2)の合計量を100重量%として、(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜100重量%、(B2)ゴム質含有重合体0〜50重量%の範囲であり、好ましくは(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜90重量%、(B2)ゴム質含有重合体10〜50重量%の範囲であり、更に好ましくは(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜80重量%、(B2)ゴム質含有重合体20〜50重量%の範囲とすることにより、機械特性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性に優れる組成物を得ることができる。
本発明での熱可塑性樹脂組成物を構成する成分の組成は、(A)ポリカーボネート系樹脂組成物100重量部に対して、(B)共重合体が0.1〜50重量部の範囲であり、好ましくは2〜40重量部の範囲であり、更に好ましくは5〜30重量部の範囲とすることにより、ポリカーボネート系樹脂本来の機械強度、耐熱性、成形加工性を損なうことなく、耐薬品性を改良できる。
本発明での熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート系樹脂組成物からなるマトリックスと、このマトリックス中に分散する(B)共重合体のドメインとからなっており、このときドメインである(B)共重合体の分散粒径が、平均粒子径1μm以下であることが耐衝撃性、耐薬品性などの観点から好ましく、さらに0.8μm以下であることがより好ましく、特に0.6μm以下であることが最も好ましい。このようなモルフォロジーとなることが耐薬品性発現には特に効果的であり、さらには耐衝撃性、寸法安定性についても改善される傾向があることから好ましく適用できる。ここで本発明の(B)共重合体の分散形状は特に限定されるものではなく、多角形、略楕円形などの非円形であってもかまわない。
ここでいう(B)共重合体のドメインの平均粒子径とは、射出成形により得られた成形品(ここでは1/8インチ曲げ試験片)について、ヨウ素染色、オスミウム染色、洗浄、風乾、ルテニウムガス染色を行い、ポリカーボネート系樹脂組成物を染色した後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて5000倍に拡大して断面の観察を行うことにより、(B)共重合体の分散形態を確認することができる。この際、任意の100個の(B)共重合体の分散部分について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それらの平均値を求めた数平均粒子径である。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂本来の機械強度、耐熱性、成形加工性を維持しながら、衝撃強度を大幅に向上するものであり、ASTM D256に準じて測定したノッチ付きIzod衝撃強度(厚み1/8インチ)比(熱可塑性樹脂組成物/(A)ポリカーボネート系樹脂組成物)が1.2以上であることが好ましく、より好ましくは1.3以上、さらに1.5以上であることが最も好ましい。このようなIzod衝撃強度を向上するためには、上述したとおり(B)共重合体の分散粒径を1μm以下とすることが有効であるが、さらに(A1)ポリカーボネート樹脂相に(B)共重合体が分散した形態、もしくは(A1)、(A2)の両相が連続相となっている場合には、(A1)ポリカーボネート樹脂の層間に(B)共重合体が分散し橋架けした形態をとることによって、より衝撃強度が向上するため好ましい。
さらにマトリックス相を形成する(A)ポリカーボネート系樹脂組成物のIzod衝撃強度が200J/m以上であり延性破壊を示し、ドメインを形成する(B)共重合体のIzod衝撃強度が50J/m以下であり脆性破壊を示す組み合わせが好ましく、この組み合わせにより脆性粒子が大塑性変形し、エネルギーを吸収し強化されると考えられる。
(B)共重合体の粒径、および分散形態を上述の如くコントロールするためには、樹脂組成物の製造時に溶融混練される樹脂組成物に与えられるせん断力を比較的強くすることが重要であり、また、混練時の滞留時間を短くすることが好ましい。これらの条件を組み合わせることによって(A)ポリカーボネート系樹脂組成物中での(B)共重合体の凝集を防ぎつつ、分散粒径を微細化することができるため、その後の射出成型時においても(B)共重合体が凝集することを防ぐことができ、本発明のモルフォロジーとすることが可能になるからである。具体的には、2軸押出機を使用して、混練温度を(B)共重合体のガラス転移温度+80〜+120℃とし、滞留時間を1〜5分にすることで好ましいモルフォロジーを持つ樹脂組成物を得ることができる。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することも勿論可能である。
さらに本発明においては、好ましく難燃剤を添加する事ができる。本発明に用いられる難燃剤は特に制限はなく、いわゆる一般の難燃剤であり、リン系化合物やハロゲン系有機化合物の他、メラミン等の窒素含有有機化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物、ポリオルガノシロキサン系化合物、酸化ヒ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス、また、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物、シリカなどが用いられるが、好ましくはリン系化合物、またはハロゲン系有機化合物および、ハロゲン系有機化合物と酸化アンチモンの併用であるが、特に好ましくはリン系化合物である。
リン系化合物としては、リンを含有する有機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネートおよびホスフィンオキシドなどが挙げられる。中でも、ポリホスファゼンおよびホスフェートが好ましく、芳香族ホスフェートが特に好ましく使用できる。
リン系化合物を配合する場合は、一般に(A)成分、(B)成分の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲で用いられる。好ましくは0.5〜25重量部の範囲であり、特に好ましい範囲としては1〜20重量部の範囲にある場合である。0.1重量部以上添加することで難燃効果を発揮させることができ、30重量部以下とすることで、樹脂組成物の機械的強度、耐熱性を低下させることがないので好ましい。
ハロゲン系有機化合物としては、例えば、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモフタルイミド、ヒキサブロモブテン、トリクロロテトラブロモフェニル−トリフォスフェート、ヘキサブロモシクロドデカンやこれらを各種置換基で変性した化合物が挙げられる。
ハロゲン系有機化合物を配合する場合は、一般に(A)成分、(B)成分の合計100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲で用いられる。好ましくは0.5〜25重量部の範囲であり、特に好ましい範囲としては1〜20重量部の範囲にある場合である。0.1重量部以上添加することで難燃効果を発揮させることができ、30重量部以下とすることで、樹脂組成物の機械的強度、耐熱性を低下させることがないので好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、難燃性を高めるためにさらに難燃剤に滴下防止剤を併用すると効果的である。滴下防止剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のパーフルオロアルカンポリマー、シリコンゴム、およびこれらをビニル系化合物でグラフト重合したグラフト重合体、高分子量アクリロニトリル−スチレン、高分子量PMMA等の高分子量ビニル系共重合体、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられるが、特にポリテトラフルオロエチレンをアクリル変性したものが好ましく用いられる。
滴下防止剤を配合する場合は、一般に(A)成分、(B)成分の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で好ましく用いられる。特に好ましい範囲としては0.05〜3重量部の範囲にある場合である。0.01重量部以上配合することで、燃焼時の滴下防止効果を得ることができ、高い難燃性を有する樹脂組成物を得ることができ、5重量部以下の配合量とすることで、流動性、および剛性等の機械的強度を低下させることがないので好ましい。
さらに本発明においては、(B)共重合体が充填剤とのぬれ性(密着強度)が良好であることから、強度及び寸法安定性等を向上させるため、必要に応じて充填材を好ましく用いることができる。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状であってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み合わせて用いてもよい。かかる充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素などの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状および/または非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
強度及び寸法安定性等を向上させるため、かかる充填材を用いる場合、その配合量は特に制限はないが、通常(A)成分、(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜200重量部配合される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン化合物などの可塑剤、タルク、カオリン、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、ポリオレフィン系化合物、シリコーン系化合物、長鎖脂肪族エステル系化合物、長鎖脂肪族アミド系化合物、などの離型剤、防食剤、着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウムなどの滑剤、紫外線防止剤、着色剤、発泡剤などの通常の添加剤を添加することができる。
これらの添加剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能であり、例えば、少なくとも2成分の樹脂を配合する際に同時に添加する方法や、予め2成分の樹脂を溶融混練した後に添加する方法や、始めに片方の樹脂に添加し溶融混練後、残りの樹脂を配合する方法が挙げられる。
本発明において、得られた熱可塑性樹脂組成物は、通常公知の射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。成形品とは、フィルム、シート、繊維・布、不織布、射出成形品、押出し成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、または他の材料との複合体などである。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、優れた耐衝撃性、耐熱性、成形加工性、および耐薬品性をいかして、構造材料として有用に用いることができ、例えば自動車用資材、電機・電子機器用資材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、便座、雑貨、またはその他の用途に好適に使用することができる。また本成形品は、塗装、メッキ等を施して用いることもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形体は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電機部品キャビネット、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・コンパクトディスク、DVDなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、携帯電話関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、エアフローメーター、エアポンプ、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、サーモスタットハウジング、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、エンジンマウント、イグニッションホビン、イグニッションケース、クラッチボビン、センサーハウジング、アイドルスピードコントロールバルブ、バキュームスイッチングバルブ、ECUハウジング、バキュームポンプケース、インヒビタースイッチ、回転センサー、加速度センサー、ディストリビューターキャップ、コイルベース、ABS用アクチュエーターケース、ラジエータタンクのトップ及びボトム、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、オイルキャップ、オイルパン、オイルフィルター、フューエルキャップ、フューエルストレーナー、ディストリビューターキャップ、ベーパーキャニスターハウジング、エアクリーナーハウジング、タイミングベルトカバー、ブレーキブ−スター部品、各種ケース、燃料関係・排気系・吸気系等の各種チューブ、各種タンク、燃料関係・排気系・吸気系等の各種ホース、各種クリップ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、各種パイプ、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、ブレーキパッド摩耗センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコンパネルスイッチ基板、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、ステップモーターローター、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、スタータースイッチ、スターターリレー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、デュストリビューター、サンバイザーブラケット、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアミラーステー、ホーンターミナル、ウィンドウォッシャーノズル、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、ラジエターグリル、グリルエプロンカバーフレーム、ランプリフレクター、ランプソケット、ランプハウジング、ランプベゼル、ドアハンドルなどの自動車外装材、センターコンソール、インストルメントパネル、インパネコア、インパネパッド、グローブボックス、ハンドルコラム、アームレスト、レバーパーキング、フロントピラートリム、ドアトリム、ピラートリム、コンソールボックスなどの自動車内装材、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクターなどの各種コネクターなどの自動車部品;パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
(A)ポリカーボネート系樹脂組成物
(A1)ポリカーボネート樹脂
(A1−1)ポリカーボネート樹脂である”タフロンA1900“(出光興産(株)製)を使用した。
(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂
(A2−1)ハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂である“トーヨースチロールHI H450(東洋スチレン(株)製)を使用した。
(A2−2)アクリロニトリル/ブタジエンゴム/スチレン(ABS)樹脂である“トヨラック100−322”(東レ(株)製)を使用した。
(A2−3)アクリロニトリル/ブタジエンゴム/スチレン(ABS)樹脂である“トヨラック300−325”(東レ(株)製)を使用した。
(A2−4)メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン(MBS)樹脂である“デンカTHポリマーTH−21”(DENKA製)を使用した。
(A2−5)ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂である“スミペックスLG”(住友化学(株)製)を使用した。
(A2−6)ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂である“トレコン1401−X07”(東レ(株)製)を使用した。
(A2−7)ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂である“三井PET J120”(三井化学(株)製)を使用した。
(A2−8)重量平均分子量20万、D−乳酸単位1%、融点175℃のポリ−L−乳酸を使用した。
(A2−9)ポリアミド6(PA6)樹脂である“アミランCM1017”(東レ(株)製)を使用した。
<参考例1> (B1)グルタル酸無水物含有共重合体
(b)(B1)グルタル酸無水物含有共重合体の原重合体
(b−1)
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(b−1)を得た。この共重合体(b−1)の重合率は98%であった。
メタクリル酸 35重量部
メタクリル酸メチル 65重量部
t−ドデシルメルカプタン 2.0重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量部。
(b−2)
連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタンの添加量を1.2重量部に変更した以外は、(b−1)と同様の製造方法で共重合体(b−2)を得た。重合率は97%であった。
(b−3)
単量体混合物の仕込み組成を下記に変更した以外は(b−1)と同様の製造方法で共重合体(b−3)を得た。重合率は97%であった。
メタクリル酸 27重量部
メタクリル酸メチル 73重量部
(b−4)
連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタンの添加量を1.2重量部に変更した以外は、(b−3)と同様の製造方法で共重合体(b−4)を得た。重合率は98%であった。
(b−5)
単量体混合物の仕込み組成を下記に変更した以外は(b−2)と同様の製造方法で共重合体(b−5)を得た。重合率は98%であった。
メタクリル酸 40重量部
メタクリル酸メチル 60重量部
(b−6)
単量体混合物の仕込み組成を下記に変更した以外は(b−2)と同様の製造方法で共重合体(b−6)を得た。重合率は98%であった。
メタクリル酸 22重量部
メタクリル酸メチル 78重量部
(b−7)
単量体混合物の仕込み組成を下記に変更した以外は(b−2)と同様の製造方法で共重合体(b−7)を得た。重合率は97%であった。
メタクリル酸 10重量部
メタクリル酸メチル 90重量部
参考例(1)で得られた各種共重合体(b)100重量部に、表1に示した添加剤を配合し2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)に供給した。ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数100rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状の(B1)グルタル酸無水物含有共重合体を得た。
上記で得られた(B1)共重合体各種について、重ジメチルスルフォキシド中、30℃でH−NMRを測定し、各共重合単位の組成決定を行った。
さらに(B1)共重合体をジメチルホルムアミドに溶解したサンプルを、ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて、重量平均分子量(絶対分子量)を測定した。
また示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度でガラス転移温度(Tg)を測定した。上記特性評価結果を表1に示す。
Figure 2009068005
<参考例2> (B2)ゴム質含有重合体
(B2−1)
冷却器付きのガラス容器(容量5リットル)内に脱イオン水120重量部、炭酸カリウム0.5重量部、スルフォコハク酸ジオクチル0.5重量部、過硫酸カリウム0.005重量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌後、アクリル酸ブチル53重量部、スチレン17重量部、メタクリル酸アリル(架橋剤)1重量部を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、コア層重合体を得た。次いで、メタクリル酸メチル21重量部、メタクリル酸9重量部、過硫酸カリウム0.005重量部の混合物を90分かけて連続的に添加し、さらに90分間保持して、シェル層を重合させた。この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、2層構造のゴム質含有重合体(B2−1)を得た。電子顕微鏡で測定したこの重合体粒子の数平均粒子径は155nmであった。
(C)添加剤
(C−1)芳香族ビスホスフェート“PX200”(大八化学工業(株)製)を使用した。
〔実施例1〜38、比較例1〜14〕
上記の(A1)ポリカーボネート樹脂、(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂、参考例(1)、(2)で得られた(B)共重合体および(C)添加剤を表2〜7に示した組成で配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)を用いてスクリュー回転数150rpm、シリンダ温度230〜270℃で混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。次いで、熱風乾燥機にて5時間乾燥したペレットを射出成形機(名機製作所社製M−50AII−SJ)に供して、各試験片を成形した。成形条件は成形温度:230〜270℃、金型温度:60℃、射出速度:90cm/秒、射出時間:10秒、冷却時間:30秒、成形圧力:金型に樹脂が全て充填される圧力(成形下限圧力)+1MPaで行った。得られた成形品を下記の測定方法に従って評価を行った。
(1)アイゾッド衝撃強度(Izod衝撃値)
1/8インチ厚み射出成形品よりノッチ付アイゾッド衝撃強度をASTM D−256に従い、23℃にて測定し衝撃強度を評価した。6本測定した平均の値とする。
またIzod衝撃強度比は(熱可塑性樹脂組成物のIzod衝撃値)/((A)ポリカーボネート系樹脂組成物のIzod衝撃値)から算出した。
(2)曲げ特性
ASTM D790に従い曲げ降伏強度、および曲げ弾性率を評価した。
(3)熱変形温度
ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い荷重たわみ温度を測定し、耐熱性を評価した。
(4)流動性
温度:240℃、荷重:98Nでのメルトインデックス(MI値)をISO−R1133法に従い測定した。
(5)耐薬品性
射出成形して得られた成形品1(ここでは12.5mm×125mm×1.6mmtの板状成形品)を、図1に示すように、1/4楕円治具2の湾曲面3に沿わして固定後、薬液としてエタノール(関東化学株式会社製)、トルエン(関東化学株式会社製)、ワックスリムーバー(ニッシン社製)、サラダオイル(日清オイリオグループ(株)社製)を成形品表面全体にそれぞれ塗布した。23℃環境下で24時間放置後、クラックの発生有無およびその位置を確認した。図1はこの評価における1/4楕円治具および板状成形品の概略図である。そのクラック発生位置の最短長軸方向長(X)を測定し、下式により臨界歪みτ(%)を算出した。
τ= b / 2a [1−(a−b)X/ a−3/2× t × 100
τ:臨界歪み(%)
a:治具の長軸(127mm)
b:治具の短軸(38.1mm)
t:試験片の厚み(1.6mm)
X:クラック発生位置の最短長軸方向長(mm)。
上記より算出した臨界歪みの値から、使用レベルを下記の通り判断した。
○・・・0.8%以上:使用には問題のないレベル
△・・・0.5%以上0.8%未満:使用環境により割れが発生するが、使用可能なレベル
×・・・0.5%未満:使用には適さないレベル。
(6)平均粒子径測定
射出成形により得られた成形品(ここでは1/8インチ曲げ試験片)について、ヨウ素染色、オスミウム染色、洗浄、風乾、ルテニウムガス染色を行うことで、ポリカーボネート系樹脂組成物を染色した後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(HITACHI、ELECTRON MICROSCOPE H−700)にて5000倍に拡大して断面の観察を行うことにより、(B)共重合体の分散形態を確認した。この際の任意の100個の(B)共重合体の分散部分について、まずそれぞれの最大径と最小径を測定して平均値を求め、その後それらの平均値である数平均粒子径を求めた。
(7)限界酸素指数
JIS K7021に従い限界酸素指数を評価した。
各サンプルのIzod衝撃強度、曲げ特性、耐熱性、流動性、耐薬品性、限界酸素指数の測定結果、さらには透過型電子顕微鏡写真から(B)共重合体の平均粒子径をそれぞれ表2〜7に示す。
Figure 2009068005
Figure 2009068005
Figure 2009068005
Figure 2009068005
Figure 2009068005
実施例1〜20より、本発明のとおり、(A1)ポリカーボネート樹脂と各種(A2)熱可塑性樹脂をアロイ化した(A)ポリカーボネート系樹脂組成物に、衝撃強度の低い(B)共重合体を添加した場合、いずれも曲げ強度などの機械特性は低下することなく、衝撃強度比を1.1〜1.3に向上した組成物が得られる。
特にABS樹脂、MBS樹脂などのゴム成分をアロイ化した(A)ポリカーボネート系樹脂組成物に(B)共重合体を添加した場1.2〜2.1と特異的に衝撃強度が向上する組成物が得られる。
さらに比較例1より、ポリカーボネート単独では耐薬品性に劣るのに対し、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂の機械特性、耐熱性を維持しながら、耐薬品性を飛躍的に向上させることができる。
次に実施例21〜36より、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂のアロイに(B)共重合体の種類を変更して添加した場合、いずれも衝撃強度比は1.5以上であり、耐薬品性に優れる組成物が得られ、さらに(B)共重合体の添加量を変更した場合でも、衝撃強度を維持しながら、耐薬品性を飛躍的に向上させることができ、各種特性のバランスがとれた組成物が得られる。
Figure 2009068005
さらに実施例37、38と比較例14より、(A)ポリカーボネート系樹脂組成物と(B)共重合体に、さらに<C−1>難燃剤を添加すると、特異的に難燃性(LOI)が向上することがわかる。燃焼形態から本発明の組成物は炭化層の形成能に優れる傾向が窺えることから、(B)共重合体と<C−1>難燃剤との相互作用が働いているものと思われる。
電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類、雑貨など種々の用途に用いることができる。
耐薬品性試験に用いる1/4楕円治具の概略平面図である。
符号の説明
1 試験片
2 1/4楕円治具
3 楕円治具の湾曲面
a 治具の長軸
b 治具の短軸
t 試験片の厚み
X クラック発生点の長方向長さ

Claims (9)

  1. (A1)ポリカーボネート樹脂10〜100重量%(A1とA2の合計を100重量%とする)、
    (A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂0〜90重量%(A1とA2の合計を100重量%とする)からなる(A)ポリカーボネート系樹脂組成物100重量部に対し、
    (b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位、(b12)下記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を有する共重合体、もしくは上記単位に(b13)不飽和カルボン酸単位を有する共重合体、又は上記(b11)(b12)もしくは上記(b11)(b12)(b13)の単位にさらに(b14)その他のビニル系単位を有する共重合体である(B1)グルタル酸無水物含有共重合体50〜100重量%(B1とB2の合計を100重量%とする)、
    (B2)ゴム質含有重合体0〜50重量%(B1とB2の合計を100重量%とする)からなる(B)共重合体0.1〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2009068005
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なるものであり、水素原子および炭素数1〜5のアルキル基から選ばれるいずれかを表す。)
  2. 前記(B1)グルタル酸無水物含有共重合体が、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位30〜95重量%、(b12)グルタル酸無水物単位5〜60重量%、(b13)不飽和カルボン酸単位0〜10重量%、(b14)その他のビニル系単位0〜30重量%を含む共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(B1)グルタル酸無水物含有共重合体が、(b11)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位50〜95重量%、(b12)グルタル酸無水物単位5〜33重量%、(b13)不飽和カルボン酸単位0〜10重量%、(b14)その他のビニル系単位0〜30重量%を含む共重合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記(B2)ゴム質含有重合体が、内部に1層以上のゴム質層を有する多層構造重合体であって、該内部のゴム質層を構成する重合体がアクリル酸アルキルエステル単位、および置換または無置換のスチレン単位を含有し、かつ最外殻層を構成する重合体が、(b12)上記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有する重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記(A2)ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂の添加量が、(A1)、(A2)の合計量を100重量%として5重量%未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の断面の電子顕微鏡写真において、(B)共重合体が平均粒子径1μm以下で(A)ポリカーボネート系樹脂組成物中に分散する請求項1〜6いずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. ASTM D256に準じて測定したノッチ付きIzod衝撃強度(厚み1/8インチ)比(熱可塑性樹脂組成物からなる成形品のIzod衝撃値/(A)ポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品のIzod衝撃値)が1.2以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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JP2012059595A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Auto Network Gijutsu Kenkyusho:Kk 端子付き電線

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