JP4096410B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびコネクター - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は機械的物性、耐熱性、成形性に優れ、とりわけ衝撃特性および耐加水分解性に優れ、特にコネクター用材料として好適な樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートあるいはナイロン6、ナイロン66に代表される熱可塑性樹脂は衝撃特性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気的特性に優れることから自動車、電気、電子部品などのコネクター部品として使用されている。
【0003】
近年、マイクロエレクトロニクス分野における小型化・高集積化の進展に伴い、従来より過酷な条件下での使用に耐えうる成形品材料が要求されてきた。
【0004】
しかしながらこれらの熱可塑性樹脂は高温・高湿下に長時間さらされると、結晶化と熱劣化あるいは加水分解が次第に進行して靭性が低下し、成形品が容易に破壊するという欠点があった。このため、高温・高湿下での耐久性が必要とされる用途においては使用が制限されているのが現状である。
【0005】
このような問題点を解決する手段として、特開昭60−231757号公報などに示される芳香族ポリカーボネートやグリシジル基含有共重合体をポリエステル樹脂に配合する方法、特開昭57−100154号公報などに示されるビニル系重合体やグリシジル基含有ビニル系共重合体を配合する方法が開示されている。また特開昭61−283653号公報には変性ポリオレフィンを配合する方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭60−231757号公報、特開昭57−100154号公報に開示された方法では、衝撃強度、耐加水分解性の改良効果は十分でなかった。また特開昭61−283653号公報に開示されている方法により、確かに耐衝撃性がある程度改良されるものの、初期剛性が低いといった問題点を有していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂にポリプロピレンテレフタレートを配合することにより、耐熱性、耐衝撃性、耐加水分解性に優れることを見出し、さらにポリプロピレンテレフタレートを配合してなる樹脂組成物を成形して得られるコネクターは高温・高湿下に放置しても成形品の破壊が起こりにくいことを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)(A)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、(B)ポリプロピレンテレフタレート10〜20重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物、
(2)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、ガラス転移温度が20℃以下のエラストマー1〜100重量部をさらに配合してなる上記熱可塑性樹脂組成物、
(3)ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーがオレフィン系エラストマーである上記熱可塑性樹脂組成物、
(4)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートからなるマトリックス相中に、ガラス転移温度20℃以下のエラストマーからなる分散相が存在し、かかる分散相の平均粒径が20ミクロン以下である上記熱可塑性樹脂組成物、
(5)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対し、エポキシ化合物0.01〜30重量部をさらに配合してなる上記熱可塑性樹脂組成物、
(6)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対し、充填材5〜140重量部をさらに配合してなる上記熱可塑性樹脂組成物、
(7)充填材がガラス繊維である上記熱可塑性樹脂組成物、
(8)上記熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより得られるコネクターである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の樹脂組成物について具体的に説明する。
【0010】
【0011】
本発明では、(A)成分として、ポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはポリブチレンテレフタレート樹脂を使用する。
【0012】
このようなポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量に特に制限はない。通常フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が0.10〜3.00のものを使用することができるが、好ましくは、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜2.25である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
本発明のポリプロピレンテレフタレート(B)は、テレフタル酸を酸成分に、1,3−プロピレングリコールをグリコール成分に用いた熱可塑性ポリエステル樹脂を指すが、このほかに本発明の目的を損なわない範囲で酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などを、グリコール成分として、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール−Aのエチレンオキシド付加物などを一部用いることができる。
【0022】
共重合する場合の共重合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常酸成分の30モル%以下、あるいはグリコール成分の30モル%以下であることが好ましい。
【0023】
このようなポリプロピレンテレフタレート(B)の分子量に特に制限はない。通常フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度(dl/g)が0.10〜3.00のものを使用することができるが、好ましくは、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜2.25である。
【0024】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらに、充填材を添加することにより強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。特に、本発明のポリプロピレンテレフタレートと充填材を併用することにより充填材との接着性が大幅に向上するため、熱可塑性樹脂に充填材を配合した樹脂組成物に比べ、強度、剛性、耐熱性の向上効果は極めて大きいことがわかった。
【0025】
このような充填材の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、なかでもチョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。
【0026】
これらの添加量は熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して5〜140重量部が好ましく、特に好ましくは5〜100重量部である。
【0027】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらにガラス転移温度が20℃以下のエラストマーをさらに添加すると衝撃特性をさらに改善することができる。
【0028】
ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーであれば特に制限はないが、オレフィン系エラストマー、ナイロン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエステルポリエーテル系エラストマー、ポリエステルポリエステル系エラストマー、ポリエステルポリアミド系エラストマーなどが好ましく、さらに好ましくはポリエステルポリエーテル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、特に好ましくはオレフィン系エラストマーである。このようなオレフィン系エラストマーの具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フェニルマレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸ブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体を水素添加した後、無水マレイン酸をグラフト化して得られるスチレン・エチレン/ブチレン・スチレン−g−無水マレイン酸ブロック共重合体、スチレン/イソプレン−g−無水マレイン酸ブロック共重合体、エチレン/アクリル酸アイオノマー、エチレン/メタクリル酸アイオノマー、エチレン/イタコン酸アイオノマーなどを挙げることができ、これらは各々単独あるいは混合物の形で用いることができる。
【0029】
またこのようなオレフィン系エラストマーは、ポリプロピレンテレフタレート樹脂との相溶性を向上させることを目的として、ポリマー分子中あるいはポリマー末端に水酸基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸無水物基、イミド基などの内、少なくとも一種の官能基が化学的に結合した変性ポリオレフィンエラストマーを使用することもできる。
【0030】
本発明においてガラス転移温度が20℃以下のエラストマーの添加量は、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、通常、1〜100重量部であり、好ましくは3〜90重量部、さらに好ましくは5〜80重量部である。
【0031】
なかでもエラストマーを比較的少量使用する場合、例えば50重量部以下、好ましくは30重量部以下、特に好ましくは20重量部以下の場合には、樹脂組成物中のエラストマーは、マトリックスとしてのポリプロピレンテレフタレート樹脂中に分散相として存在する。本発明の組成物によって得られた成形品がより優れた衝撃強度を保有するには、微分散していることが望ましい。樹脂組成物中の混合状態を評価する方法の一つとして分散相の粒径を評価尺度とする方法があるが、本発明の樹脂組成物にエラストマーを配合する場合、エラストマー部分の分散平均は15ミクロン以下が好ましく、さらに好ましくは10ミクロン以下である。
【0032】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は熱可塑性樹脂組成物の衝撃特性、耐加水分解性の向上を目的としてさらにエポキシ化合物を配合することができる。
【0033】
このようなエポキシ化合物としてはエポキシ基を分子中含有するエポキシ化合物であれば特に制限はないが、モノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、トリエポキシ化合物が好ましく、特にジエポキシ化合物を好ましく使用することができる。このようなジエポキシ化合物としては、具体的に下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)で表されるジエポキシ化合物を使用することができる。
【0034】
【化3】
(nは1以上の整数を表す。)
【0035】
このようなエポキシ化合物の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜30重量部、好ましくは0.02〜25重量部、さらに好ましくは0.03〜20重量部である。
【0036】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらに結晶核剤を添加すると耐熱性、耐加水分解性がさらに向上することが見出された。結晶核剤としては熱可塑性樹脂組成物の結晶化を促進する化合物であれば特に制限はないが、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、クレーや、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩などが好ましく使用され、これらの中で、タルク、マイカ、カオリンが特に好ましく使用することができる。結晶核剤の添加量は通常熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.02〜15重量部、さらに好ましくは0.03〜10重量部である。
【0037】
また本発明の熱可塑性樹脂樹脂組成物に対して本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、可塑剤、ハロゲン系難燃剤、燐系難燃剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤(硫化カドミウム、フタロシアニンなど)などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
【0038】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は通常公知の方法で製造される。例えば、(A)熱可塑性樹脂、(B)ポリプロピレンテレフタレートおよびその他の必要な添加剤を予備混合してまたはせずに押出機などに供給して、150℃〜350℃の温度範囲において十分溶融混練することにより調製される。この場合例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができ、特にアスペクト比をコントロールすることから、スクリューにニーディングエレメントを数個挿入してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶融成形可能であるため押出成形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用することができる。なかでも射出成形品用途に特に好適であり、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、遊戯用器具、トイレタリー用品、娯楽用品、玩具用品、化学プラント、航空部品などの各種用途に有用である。上記の中で特に本発明の特徴を活かして機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品として有用に用いることができるが、本発明の効果を発揮できるコネクター用材料として特に好ましく使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例になんら限定されるものではない。
【0040】
なお、使用した熱可塑性樹脂およびその配合剤は下記のとおりである。
【0041】
・PBT(ポリブチレンテレフタレート):東レPBT1100s(東レ(株)製)
・PET(ポリエチレンテレフタレート):ダイヤアロイTW90E(三菱レイヨン(株)製)
また諸特性は以下の方法で測定した。
【0042】
・引張強度:ASTM D−638に従った。
【0043】
・曲げ弾性率:ASTM D790に準じた。
【0044】
・アイゾッド衝撃試験:ASTM D256に準じた。
【0045】
・荷重たわみ温度:ASTM D648に準じ、荷重1.82MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
【0046】
・耐加水分解性:引張試験片を121℃、100RH%下で、30時間放置したサンプルの引張強度を測定し、強度保持率=処理後/処理前×100(%)より引張強度保持率を算出した。
【0047】
参考例1
<ポリプロピレンテレフタレートの製造>
5lのオートクレーブ中に、テレフタル酸2.0kg、1,3−プロピレングリコール1.3kgを計量し、オートクレーブ内温180℃に設定した。内温120℃になった時点で、チタンテトラブトキシド2.0gとモノヒドロキシスズオキシド2.0gを添加した後、内温180℃で1時間撹拌した。その後、2時間かけて、250℃に昇温すると同時に、減圧度0.5mmHgまで減圧にした。
【0048】
その後、約1時間反応させ、トルクが一定になった時点で、ポリマーを吐出した。フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25℃で測定した固有粘度が1.3であった。
【0049】
実施例1〜5、比較例1、2
熱可塑性樹脂(A)、参考例で製造したポリプロピレンテレフタレート(B)を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ2軸押出機を用いて熱可塑性樹脂の融点+30℃で溶融混練した。得られたペレットを乾燥後、住友ネスタール射出成形機・プロマット40/25(住友重機械工業(株)製)に供給し、シリンダー温度をポリマー融点+30℃、金型温度80℃の条件で成形した。
【0050】
また表2に示したように実施例5ではガラス転移温度が20℃以下のエラストマーとしてグリシジルメタクリレート変性共重合ポリエチレン(日本石油化学社製GMA変性共重合ポリエチレン(RA3050)およびエポキシ化合物として下記一般式(9)で表されるジエポキシ化合物を配合した。
【0051】
【化4】
なお、得られた樹脂組成物中エラストマーの分散粒径を測定するため、評価用試験片をウルトラミクロトームを用いて薄片を切り出し、これを光学顕微鏡(透過光)および透過型電子顕微鏡を用いて写真撮影し、この顕微鏡写真から無造作に選んだ個体数100個の平均値を測定した。その結果樹脂組成物中のエラストマーの分散粒径は1.6μm以下と極めて微分散していた。
【0052】
一連の配合処方および測定結果を表1、2にまとめて示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
以上の結果からポリプロピレンテレフタレートを配合したPETあるいはPBTは、引張強度や耐熱性を保持しつつ、衝撃特性、耐加水分解性にも優れることが明白である。
【0056】
またガラス転移温度が20℃以下のエラストマーやエポキシ化合物を添加することにより、引張強度、荷重たわみ温度を低下させることなく、衝撃強度および耐加水分解性をさらに向上させることができることがわかる。
【0057】
実施例6、7、比較例3
実施例3、5および比較例2の樹脂組成物を用い、最大値55mm、高さ13mm、奥行き37mm、厚さ1mmの図1に示すコネクターを射出成形によって成形し、これを110℃、95%RHの条件下所定時間放置しクラックが発生した時間を比較したところ、実施例3、5を用いたコネクター(実施例6、7)では300時間でもクラックは発生しないのに対し、比較例2を用いたコネクター(比較例3)では100時間でクラック発生が認められた。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、耐加水分解性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コネクター成形品の概略図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
Claims (8)
- (A)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、(B)ポリプロピレンテレフタレート10〜20重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対して、ガラス転移温度が20℃以下のエラストマー1〜100重量部をさらに配合してなる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーがオレフィン系エラストマーである請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートからなるマトリックス相中に、ガラス転移温度20℃以下のエラストマーからなる分散相が存在し、かかる分散相の平均粒径が20ミクロン以下である請求項2または3記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対し、エポキシ化合物0.01〜30重量部をさらに配合してなる請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレート100重量部に対し、充填材5〜140重量部をさらに配合してなる請求項1〜5いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 充填材がガラス繊維である請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜7いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより得られるコネクター。
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