JP5164196B2 - 熱可塑性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、従来技術では成し得なかった耐熱性、外観性、低ソリ性、耐傷性のバランスに優れた熱可塑性樹脂に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表される芳香族ポリエステルは、機械特性、耐薬品性、電気的特性に優れ、フィラーで強化することで更に剛性、耐熱性を付与でき、自動車、家電・OAなどの巾広い分野で使用されている。しかしフィラー強化系ポリエステルは、フィラー添加量が多くなると製品外観が損なわれ、フィラー添加量が少ないとソリが発生し易く、外観部品で用いる為には耐傷性が低いという問題があった。
成形品の外観、ソリを改良する為、フィラーで強化したポリブチレンテレフタレート及びスチレン系樹脂からなる組成物にポリエチレンテレフタレートを配合すること(例えば、特許文献1参照)や、フィラーで強化したポリトリメチレンテレフタレートと熱可塑性組成物からなる組成物(例えば、特許文献2参照)が報告されている。
これらの芳香族ポリエステルと、スチレン系樹脂からなる組成物は、それらの相溶性、粘度、体積比率によって大きく物性が変化する事が知られている。特にその中でも相溶性は、それらの物性の変化に与える影響が大きい。しかしながら、従来芳香族ポリエステルとの組成物に用いられた比較的芳香族ポリエステルと相溶性の高い不飽和ニトリル単量体の割合が20〜30質量%であるスチレン系樹脂は、ポリエステルの結晶化度を低下させ、耐熱性が低下させる等の問題点があった。その半面で、外観、ソリ、耐傷性の改善の為にはスチレン系樹脂を多く添加する必要があり、耐熱性、外観性、低ソリ性、耐傷性のバランスを保持することが困難であり、この様なバランスに優れた熱可塑性樹脂が要望されてきた。
特許第3098308号公報 特開2003−20389号公報
本発明の課題は、ある結晶化速度をもった芳香族ポリエステルと、特殊なスチレン系樹脂を用いる事によって、従来にない、耐熱性、外観性、低ソリ性、耐傷性のバランスに優れた熱可塑性樹脂を得る事を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、溶融状態からの等温結晶化時間が25〜100secの芳香族ポリエステルに不飽和ニトリル系単量体32〜50質量%含むスチレン系樹脂を配合することで、高いフィラー含有量でも外観性に優れることを突き止め、本発明を完成するにいたった。
即ち本発明は、以下の通りである。
1.不飽和ニトリル単量体の割合が32〜50質量%であるスチレン系樹脂(A)20〜60質量部、溶融状態からの等温結晶化時間が25〜100secの芳香族ポリエステル(B)20〜60質量部、充填剤(C)20〜60質量部からなる事を特徴とした熱可塑性樹脂組成物。
2.芳香族ポリエステル(B)がポリトリメチレンテレフタレート単独もしくはポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含むポリエステル混合物である事を特徴とした上記1記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.スチレン系樹脂(A)が、スチレン・アクリロニトリル共重合物である事を特徴とした上記1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、高いフィラー含有量でも外観性に優れる熱可塑性樹脂組成物であり、本発明により耐熱性、外観性、低ソリ性、耐傷性のバランスに優れた樹脂組成物を提供する事が可能となった。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)は、少なくとも不飽和ニトリル系単量体と芳香族ビニル系単量体の共重合体であり、必要に応じて共重合可能な他の単量体を共重合することもできる。一般に、これらのスチレン系樹脂(A)は乳化重合、塊状重合あるいは塊状・懸濁重合により製造されるが、これらに限定されるものではない。
スチレン系樹脂(A)に用いる不飽和ニトリル系単量体には特に制限はなく、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、中でもアクリロニトリルが好ましい。これらは、1種または2種以上用いることができる。
芳香族ビニル系単量体には特に制限はなく、具体例としてはスチレンをはじめ、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、なかでもスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
その他の共重合可能な単量体としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、N−フェニルマレイミド、無水マレイン酸などが挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
これらの中でも不飽和ニトリリルとしてアクリロニトリル、芳香族ビニルとしてスチレン、その他の共重合可能な単量体を15質量%以下含むスチレン・アクリロニトリル共重合物(以下AS樹脂と略す)が好ましい。
スチレン系樹脂(A)は、アセトン可溶成分中の不飽和ニトリル単量体の割合が32〜50質量%であり、好ましくは37〜42質量%である。耐傷性を高めるため32質量%以上であり熱安定性の低下から50質量%以下である。アセトン可溶成分は、試料1gにアセトン20mlを加え、振とう機にて可溶成分が完全に溶解するまで振とうし20000rpmで40分間遠心分離して可溶成分のみ濾別した後、80℃で4時間乾燥しアセトンを除き、さらに100℃で1時間減圧乾燥することにより得ることができる。その可溶成分のIRを測定して検量線を用いることで不飽和ニトリル単量体の割合を求めることができる。
スチレン系樹脂(A)は、大きく耐傷性を損なわない範囲でゴム状重合体を含んでもよい。ゴム状重合体に不飽和ニトリル系単量体および芳香族ビニル系単量体をグラフト反応して得られる樹脂、更にその他の共重合可能な単量体を共重合した樹脂も含まれる。使用される不飽和ニトリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、共重合可能な他の単量体は、上記に示した単量体と同様な単量体を使用することができる。
スチレン系樹脂(A)に用いられるゴム状重合体には特に制限はないが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどが使用できる。これらゴム状重合体の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらのゴム状重合体のうちでは、アクリル系ゴムが好ましく用いられる。
ゴム状重合体の質量平均粒子径は、0.1〜0.5μmが好ましい。質量平均粒子径は耐衝撃性改良効果の観点から0.1μm以上が好ましく成形品の外観性の低下を招くことから0.5μm以下が好ましい。ゴム状重合体の量は、耐傷性の低下を招かないため全体の15質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
ジエン系ゴムに、不飽和ニトリル系単量体としてアクリロニトリル、芳香族ビニル系単量体としてスチレンをグラフトしたスチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合物(以下ABS樹脂と略す)や、アクリル系ゴムに、不飽和ニトリル系単量体としてアクリロニトリル、芳香族ビニル系単量体としてスチレンをグラフトした樹脂が好ましく用いられる。
本発明で使用される芳香族ポリエステル(B)自体は公知のものを用いることができる。ポリエステルの製造は、テレフタル酸、そのエステル又は他のエステル形成性誘導体と、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール又は1,2-エタンジオールとの反応によって公知の方法で行うことができる。
芳香族ポリエステル(B)は、他の共重合成分を含有してもよい。そのような共重合成分としては、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール-Aのエチレンオキシド付加物、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、等のエステル形成性モノマーが挙げられる。共重合する場合の共重合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常酸成分の30モル%以下、あるいはグリコール成分の30モル%以下であることが好ましい。
芳香族ポリエステルの結晶化速度は、270℃において溶融している状態からの等温結晶化時間が25〜100secであることが必要であり、好ましくは25〜70sec、更に好ましくは30〜60secである。外観を向上させるため25sec以上であり、成形性の低下から100sec以下である。等温結晶化時間は示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定できる。試料5mgを、示差走査熱量測定器を用いて、30℃から100℃/minの昇温速度にて270℃まで加熱し溶解させる。3分間保持した後、500℃/minの設定降温速度にて140℃まで急冷し、等温結晶化時間を測定する。ここで等温結晶化時間とは、270℃、3分保持後から140℃における結晶化ピークが現われるまでの時間と定義する。よって、等温結晶化時間が短いほど結晶化が速いと判断することができる。
また、他の芳香族ポリエステルを併用することで等温結晶化時間を制御することができる。例えば結晶化速度の速いポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)を用いる時は結晶化速度が遅いポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)等と併用することが好ましい。しかし併用する場合はエステル交換が進行し、結晶化度が低下することがある。そのため結晶化速度が適度に速いポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略す)を単独もしくは他の芳香族ポリエステルと併用する場合はPTTを主成分として用いることがより好ましく、外観性、耐傷性、低ソリ性の優れた高硬度熱可塑性樹脂組成物組成物を得ることができる。
また結晶化速度を速くする目的で結晶核剤を配合してもよい。この様な結晶核剤としては、芳香族ポリエステル樹脂の結晶核剤として一般的に用いられている公知の化合物が用いられる。例えば、タルク、マイカ、窒化硼素、カオリン、シリカ、クレー、金属酸化物、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、有機カルボン酸エステル塩、炭酸塩、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が好ましく使用される。中でも、下記一般式(1)で表される脂肪酸金属塩は、より好ましく用いられる。
CH3(CH2nCOO(M) (1)
(式中、n≧0、M=Na、Ca、Li)
脂肪酸金属塩の中では、高級脂肪酸Na塩、高級脂肪酸Ca塩、高級脂肪酸Li塩がさらに好ましい。これらの結晶核剤はそれぞれ単独で用いても良いし、それらの混合物を用いてもよい。
結晶核剤の添加量は、芳香族ポリエステルの等温結晶化時間が本発明の範囲にあれば特に制限はなく、使用する結晶核剤の種類、組み合わせ、性能等に応じて適宜選択する。
本発明で用いられる充填剤(C)は、具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ワラストナイト、タルク、タンカル、カオリン、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどが挙げられ、繊維状の充填剤が好ましい。中でもチョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。この中で、例えば、タルク、カオリン、マイカ、ガラス繊維等では、使用する種類等により、結晶核剤として作用する性質を持つものもある。また、これらの充填材は、特に表面処理したものが好ましく用いられる。表面処理としては、カップリング剤やフィルム形成剤を用いて行うが、カップリング剤としてはエポキシ系カップリング剤、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤を挙げることができる。特に繊維状の充填剤を配合する場合は、繊維の平均繊維長、平均繊維径、アスペクト比については特に限定されないが、平均繊維長は機械特性および疲労特性から50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、150μm以上であることが最も好ましい。また、平均繊維径は5μm以上であることが好ましく、さらにアスペクト比は10以上であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)20〜60質量部、芳香族ポリエステル(B)20〜60質量部と充填材(C)20〜60質量部の合計100質量部からなる樹脂組成物である。スチレン系樹脂(A)は20〜60質量部であり、好ましくは25〜45質量部である。耐傷性、低ソリ性を向上させるため20質量部以上であり、耐熱性が低下してしまうため60質量部以下である。芳香族ポリエステル(B)は耐熱性と低ソリ性と耐傷性のバランスに優れた樹脂組成物を得るためには20〜60質量部であり、好ましくは25〜50質量部である。充填材(C)は20〜60質量部であり、好ましくは25〜35質量部である。耐傷性を向上させるため20質量部以上であり、成形性、外観性の低下を招くため60質量部以下である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)と芳香族ポリエステル(B)は、両者の混練温度における溶融粘度に差があることが望ましく、240℃、荷重5kgにおけるそれぞれのMFRをMFR−A及びMFR−Aで表した場合、次の条件を満たすことが望ましい。
3≦MFR−B/MFR−A≦10
MFR−AとMFR−Bの比が3より小さい場合は、耐熱性が悪くなる。MFR−AとMFR−Bの比が10を超える場合は、スチレン系樹脂(A)と芳香族ポリエステル(B)との相溶化が進まないために成形性が悪く、物性も著しく低下する。本発明の組成物によって得られた成形品がより優れた耐熱性を有するには、樹脂組成物中のスチレン系樹脂(A)は、連続相としての芳香族ポリエステル(B)中に分散相もしくは共連続相として存在することが好ましい。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物には、他の特性向上を目的として熱可塑性樹脂組成物一般に用いられる種々の添加剤を配合することができる。この様な添加剤としては、例えば難燃性を改良する目的でハロゲン化ポリカーボネートオリゴマー(例えば臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー)、ハロゲン化エポキシ化合物等の如きハロゲン含有化合物;赤リン、燐化合物、ホスホン酸アミドの如きリン―窒素化合物など;難燃助剤(例えば三酸化アンチモン)等が挙げられる。その他ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料、染料などの着色剤などの添加剤を含有してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分を適当な割合で配合・混合し、混練することにより得られる。各種成分を混合するのに使用される機器としては、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ドラムタンブラー等が挙げられる。また、混練するのに使用される装置としては、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、二軸ローター付の連続混練機、多軸スクリュー押出機、オープンローラ、バンバリーミキサー等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法によって、成形することができる。射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、トランスファー成形、カレンダー成形などの成形方法により成形されるが、なかでも射出成形に好適に用いられる。射出成形にはインサート成形、ガスアシスト射出成形、射出圧縮成形等の応用技術があり好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品の耐傷性とは、塗膜の表面硬度試験に用いられる鉛筆引っ掻き値(JIS K5600)を指標とし、2H以上であることが好ましい。2Hとは、成形品表面を2Hの硬さを有する鉛筆で擦過しても、擦過痕が残らない硬さであることを示す。自動車、家電・OAなどの巾広い分野において外観部材に使われる場合、傷が発生し、意匠性が低下する問題があるため、2H以上の表面硬度が望まれる。また2H以上の表面硬度があれば塗装、ハードコート等の2次的な処理が不要となり、生産サイクルの短縮、VOC削減による環境負荷の軽減などのメリットが生まれる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性、外観性、耐傷性、低ソリ性のバランスに優れるため、自動車部品、家電・OAなどの幅広い分野において従来技術では展開が困難であった無塗装化を可能にすることができる。
下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、以下の例に限定されるものではない。なお、使用した高硬度熱可塑性樹脂組成物およびその配合剤は下記のとおりである。
1.実施例および比較例に用いた原材料
<スチレン系樹脂(A)>
(A−1)アクリロニトリル40質量%、スチレン60質量%からなり、数平均分子量が57000であるAS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)
(A−2)アクリロニトリル20質量%、スチレン80質量%からなり、数平均分子量が71000であるAS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)
(A−3)質量平均粒子径0.3μmのアクリル系ゴム50質量%、アクリロニトリル15質量%、スチレン35質量%からなるASA樹脂
(A−4)アクリロニトリル34質量%、スチレン66質量%からなり、数平均分子量が6700であるAS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)
(A−5)アクリロニトリル30質量%、スチレン70質量%からなり、数平均分子量が5500であるAS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)
<芳香族ポリエステル(B)>
(B−1)等温結晶化時間は20secであるPBT:ジュネラックス2002(ポリプラスチック(株)製)
(B−2)等温結晶化時間は50secで数平均分子量が9800であるPTT:CP-502901(Shell(株)製)
(B−3)PET:NEH-2050(ユニチカ(株)製)
<充填剤(C)>
(C−1)エポキシ系カップリング剤で表面処理した平均繊維径が10μmであるガラス繊維(以下GFと略す):FT792(オーウェンスコーニングジャパン(株)製)
(C−2)エポキシ系カップリング剤で表面処理した平均繊維径が8μmであるワラストナイト:NYGLOS8(林化成(株)製)
2.成形品の作成および評価方法
実施例、比較例中の評価、各種測定は以下の通りである。
成形品は、射出成形機を用いて作成した。日本製鋼所製J−100EPI射出成形機、住友重機械製SG100射出成形機を用いシリンダー設定温度250℃、金型温度95℃にて各試験片を作成し、評価を行った。
[荷重たわみ温度(HDT)]
ISO−75−1,2に準じ、荷重1.8MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
単位:℃。
[鉛筆硬度]
JIS K5600に準じて行った。
[ソリ性]
射出成形機で100mm×100mm×2mmの平板を成形し、角の1点を押さえ、押さえた点と対角線上の角の浮いた高さをソリ量とした。単位:mm。
[外観]
射出成形機で100mm×100mm×2mmの平板を成形し、その表面外観に関して、スガ試験機製デジタル変角光沢形を用いて、JISK7150に準じてGs60℃を測定した。測定値が80以上の場合は◎、60〜80の場合は○、60未満の場合は×とした。
〔実施例1〜5、比較例1〜8〕
上記各成分につき、表1に示された配合割合で(A)成分と(B)成分をドライブレンドし、株式会社池貝製PCM45二軸押出機(L/D=28.9)を用いて240℃で溶融混練を行った。充填剤(C)はサイドフィーダーから添加した。
また、得られたペレットを日本製鋼所製J−100EPI射出成形機を用いISOダンベル試験片、住友重機械製SG100射出成形機を用い100mm×100mm×2mmの平板をシリンダー設定温度250℃、金型温度95℃(金型表面温度98度)の条件にて作成し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1で使用したPBTとPETの混合物の等温結晶化時間は30sec、比較例6で使用したPBTとPETの混合物の等温結晶化時間は、28sec、実施例3で使用したスチレン系樹脂の不飽和ニトリル単量体量は38.3質量%、比較例6で使用したスチレン系樹脂の不飽和ニトリル単量体量は22.3質量%である。
Figure 0005164196
〔実施例6、比較例9〕
スチレン系樹脂(A)中不飽和ニトリル単量体の割合が異なる以外は実施例2と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
Figure 0005164196
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、外観性、耐傷性、低ソリ性のバランスに優れるため、自動車部品、家電・OAなどの巾広い分野において従来技術では展開が困難であった無塗装化を可能にすることができる。

Claims (3)

  1. 不飽和ニトリル単量体の割合が32〜50質量%であるスチレン系樹脂(A)20〜60質量部、溶融状態からの等温結晶化時間が25〜100secの芳香族ポリエステル(B)20〜60質量部、充填剤(C)20〜60質量部からなる事を特徴とした熱可塑性樹脂組成物。
  2. 芳香族ポリエステル(B)がポリトリメチレンテレフタレート単独もしくはポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含むポリエステル混合物である事を特徴とした請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. スチレン系樹脂(A)が、スチレン・アクリロニトリル共重合物である事を特徴とした請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
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