JP4788080B2 - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂本来の機械的特性(耐衝撃性、耐熱性)を損なうことなく難燃性、耐光性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂はすぐれた機械的性質、成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、OA機器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野で使用されている。しかしながら、用途によっては安全性の問題で、難燃性が必要になり、この難燃化に対し種々の技術が提案されてきた。
【0003】
一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合して難燃化する方法が採用されている。しかしながら、この方法は燃焼の際の発煙量が多い等の問題点を有している。
【0004】
そこで、近年これらのハロゲン系難燃剤の欠点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃性樹脂が強く望まれるようになった。
【0005】
非ハロゲン系難燃剤として、燐系難燃剤があり、代表的なものとして燐酸エステルが従来からよく使用されている。例えば熱可塑性樹脂にポリホスフェートを添加する方法(特開昭59−24736号公報)、ゴム強化スチレンに特定構造を有する燐酸エステルを添加する方法(特開平11−140270号公報)、スチレン系樹脂に液状燐酸エステルを添加する方法(特開平11−5869号公報)などがすでに開示されている。
【0006】
しかしながら、スチレン系樹脂に代表されるような熱可塑性樹脂は、一般的に極めて燃えやすいため、燐酸エステルでは難燃化効果が極めて低く、上記特開昭59−24736号公報、特開平11−140270号公報、特開平11−5869号公報記載の方法で得られる組成物においては、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するためには、燐酸エステルを多量に配合しなければならず、そのため機械特性が低下するばかりか、燐酸エステルがブリードアウトしたり、成形時に金型汚染が発生するといった問題点や成形時にガスが発生するという問題点を有していた。
【0007】
上記問題点を解決する方法として、ヒドロキシル基含有燐酸エステルを使用する方法が、特開平5−247315号公報に開示されている。
【0008】
しかしながら、ヒドロキシル基含有燐酸エステルもまた、難燃化効果が極めて低く、上記問題点を解決することは困難であった。
【0009】
燐酸エステルでは難燃化効果が低いため、難燃性を向上させるために、我々は燐酸エステルに、さらに難燃助剤としてメラミンシアヌール酸塩を用いることで、難燃性が向上することを見いだしたが、熱可塑性樹脂本来の機械的特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点を解決することができなかった。
【0010】
またさらに難燃性を向上させるために、ヒドロキシル基含有燐酸エステルに炭化層形成ポリマーとして、ノボラックフェノール樹脂、さらにトリアジン骨格を含有する化合物を添加する方法が特開平7−70448号公報に開示されている。
【0011】
この技術もまた、熱可塑性樹脂本来の機械的特性、耐衝撃性および成形加工性が損なわれるという問題点を解決できるものではなかった。さらにフェノール樹脂は耐光性に極めて劣る材料であるため、得られる樹脂組成物の耐光性が低下するという問題点も有していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点を解決し、熱可塑性樹脂に高度な難燃性を付与すると同時に、機械特性、耐熱性が良好で、とりわけ耐光性に優れる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に燐系難燃剤とともに、特定の変性フェノール系樹脂を配合することにより、優れた難燃性が付与できることに加え、耐光性が改善され、かつ機械特性、耐衝撃性、耐熱性に優れることを見い出したものである。
【0014】
すなわち本発明は、(A−1)スチレン系樹脂1〜99重量%と(A−2)ポリエステル樹脂99〜1%の混合物からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(2)で表される変性フェノール系樹脂0.1〜20重量部、及び、下記一般式(3)で表される(C)芳香族ホスフェート1〜30重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物であって、(A−2)ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはエチレンテレフタレート単位を含有する共重合体である難燃性樹脂組成物である。
【化3】
Figure 0004788080
(上記式中、R3は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【化4】
Figure 0004788080
(上記式中、R 4 〜R 11 は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr 1 、Ar 2 、Ar 3 、Ar 4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Yは直接結合、O、S、SO 2 、C(CH 3 2 、CH 2 、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。またnは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは0以上2以下の整数である。)
【0015】
【化6】
Figure 0004788080
(上記式中、R1は炭素数1〜10の有機残基を表す。また、R2は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の樹脂組成物について具体的に説明する。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂(A)とは(A−1)スチレン系樹脂1〜99重量%と(A−2)ポリエステル樹脂99〜1%の混合物からなる熱可塑性樹脂である。
【0019】
上記(A)熱可塑性樹脂のなかで、(A−1)ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、ゴム変性スチレン系樹脂、およびゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンオキシドとのポリマーブレンド体(変性ポリフェニレンオキシド樹脂)などが挙げられる。
【0020】
また、ゴム変性スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下に、芳香族ビニル単量体および必要に応じこれと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体混合物を、公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合に供することにより得られる。
【0021】
このようなゴム変性スチレン系樹脂の具体例としては、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、およびAES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。
【0022】
そして、このようなゴム変性スチレン系樹脂としては、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体にグラフトした構造をとったものと、スチレン単量体を含有する(共)重合体がゴム質重合体に非グラフトした構造をとったものとを含むものである。
【0023】
具体的には、ゴム質重合体5〜80重量部に対し、芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有する単量体または単量体混合物95〜20重量部をグラフト重合して得られる(a1)グラフト(共)重合体5〜100重量%と、芳香族ビニル系単量体を20重量%以上含有する単量体または単量体混合物を重合して得られる(a2)ビニル系(共)重合体0〜95重量%とからなるものが好適である。
【0024】
上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、およびエチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体の使用が好ましい。
【0025】
ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6μm、特に0.2〜0.55μmである場合が、耐衝撃性にすぐれることから好ましい。中でも重量平均粒子径0.20〜0.25μmのものと、0.50〜0.65μmのものとの重量比が、90:10〜60:40のものが、耐衝撃性および薄肉成形品の落錘衝撃が著しくすぐれることから好ましい。
【0026】
なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は、「Rubber Age Vol.88p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合と、アルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率とより累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定することができる。
【0027】
芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレンおよびp−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンの使用が好ましい。
【0028】
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性向上を目的とする場合にはシアン化ビニル系単量体が、また靭性および色調の向上を目的とする場合には(メタ)アクリル酸エステル系単量体が、それぞれ好ましく用いられる。
【0029】
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく用いられる。
【0030】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
【0031】
また、必要に応じて他のビニル系単量体、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用することもできる。
【0032】
上記の(a1)グラフト(共)重合体において用いる単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、芳香族ビニル系単量体が20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の成形加工性の観点から、60重量%以下であることが好ましく、特に50重量%以下が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靱性および耐衝撃性の観点から、80重量%以下であることが好ましく、特に75重量%以下が好ましく用いられる。単量体また単量体混合物における芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和は、95〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは90〜30重量%である。
【0033】
(a1)グラフト(共)重合体を得る際のゴム質重合体と単量体混合物との配合割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全グラフト共重合体100重量部中に、ゴム質重合体が5重量部以上であることが好ましく、より好ましくは10重量部以上である。また、樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観の観点からは、80重量部以下であることが好ましく、より好ましくは70重量部以下である。また、単量体または単量体混合物の配合割合は、は95重量部以下、好ましくは90重量部以下、あるいは20重量部以上、好ましくは30重量部以上である。
【0034】
(a1)グラフト(共)重合体は、公知の重合法で得ることができる。例えば、ゴム質重合体ラテックスの存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供給して乳化重合する方法などによって得ることができる。
【0035】
(a1)グラフト(共)重合体は、ゴム質重合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造をとったグラフト共重合体の他に、グラフトしていない共重合体を含有したものである。グラフト(共)重合体のグラフト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡してすぐれる樹脂組成物を得るためには、20〜80重量%、特に25〜50重量%の範囲であることが好ましい。ここで、グラフト率は次式により算出される値である。
【0036】
グラフト率(%)=[<ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有量>]×100
グラフトしていない(共)重合体の特性は特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜0.6dl/g、特に0.25〜0.5dl/gの範囲であることが、すぐれた耐衝撃性の樹脂組成物を得るために好ましい条件である。
【0037】
(a2)ビニル系(共)重合体とは芳香族ビニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエンおよびo−エチルスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく使用される。これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0038】
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、一層の耐衝撃性向上を目的とする場合には、シアン化ビニル系単量体が好ましく用いられる。靭性および色調の向上を目的とする場合には、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いられる。
【0039】
シアン化ビニル系単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく使用される。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく使用される。
【0040】
また、必要に応じて使用されるこれらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体が挙げられる。
【0041】
本発明において、マレイミド系単量体を共重合したビニル系共重合体、即ち、マレイミド基変性ビニル系共重合体は、ポリスチレン系樹脂中に含有させて使用することにより、樹脂組成物の耐熱性を向上でき、さらに難燃性も特異的に向上できるため、好ましく使用することができる。
【0042】
(a2)ビニル系(共)重合体の構成成分である芳香族ビニル系単量体の割合は、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、全単量体に対し20重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上の範囲である。シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性の観点から、60重量%以下が好ましく、さらに好ましくは50重量%以下の範囲である。また、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観点から、80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは75重量%以下の範囲である。更に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以下が好ましく、特に50重量%以下の範囲が好ましい。
【0043】
(a2)ビニル系(共)重合体の特性には制限はないが、メチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.4〜0.65dl/g、特に0.45〜0.55dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒を用いて、30℃で測定した場合には、0.35〜0.85dl/g、特に0.45〜0.7dl/gの範囲のものが、すぐれた耐衝撃性および成形加工性を有する樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0044】
(a2)ビニル系(共)重合体の製造法には特に制限がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁重合法および溶液−塊状重合法など通常の方法を用いることができる。
【0045】
また、本発明においては、必要に応じてカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する変性ビニル系重合体(以下、変性ビニル系重合体と略称する。)を用いることもできる。
【0046】
この変性ビニル系重合体としては、一種または二種以上のビニル系単量体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基およびオキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含有する化合物の含有量については制限されないが、特に変性ビニル系重合体100重量部当たり0.01〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0047】
変性ビニル系重合体中にカルボキシル基を導入する方法には特に制限はないが、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などのカルボキシル基または無水カルボキシル基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、γ,γ´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α´−アゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸および過酸化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合発生剤および/またはチオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト安息香酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を用いて、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、およびメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体をアルカリによってケン化する方法などを用いることができる。
【0048】
上記ヒドロキシル基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0049】
上記エポキシ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルおよびp−グリシジルスチレンなどのエポキシ基を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0050】
中でも、メタクリル酸グリシジルを共重合させることによりエポキシ基を導入したエポキシ変性ビニル系共重合体は、ポリスチレン系樹脂中に含有させて使用した場合、本発明の樹脂組成物の難燃性、衝撃強度を向上することができる。
【0051】
上記アミノ基を導入する方法についても特に制限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレンなどのアミノ基およびその誘導体を有するビニル系単量体を、所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0052】
上記オキサゾリン基を導入する方法についても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0053】
この変性ビニル系重合体の特性には制限はないがメチルエチルケトン溶媒を用いて、30℃で測定した極限粘度[η]が、0.2〜0.65dl/g、特に0.35〜0.6dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒を用いて、30℃で測定した場合には、0.3〜0.9dl/g、特に0.4〜0.75dl/gの範囲のものが、すぐれた難燃性、耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成物が得られることから好ましい。
【0056】
上記熱可塑性樹脂(A)の内、(A−2)ポリエステル樹脂としては、実質的に、ジカルボン酸とグリコールの重縮合物、環状ラクトンの開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とグリコールの重縮合物などが挙げられる。
【0057】
ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸あるいはこれらのメチルエステルなどを、グリコールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0058】
具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4’−ジカルボキシレート樹脂などのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂などの共重合体や混合物を挙げることができる。特に本発明に好適なポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂から選ばれる1種または2種以上を挙げることができ、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂である。
【0059】
このようなポリエステル樹脂の分子量は特に制限はないが、通常フェノール/テトラクロロエタン1:1の混合溶媒を用いて25度で測定した固有粘度が0.1〜3.0を使用することができるが、好ましくは、0.25〜2.50、特に好ましくは0.40〜2.25である。
【0060】
特に本発明では、(A)熱可塑性樹脂が(A−1)スチレン系樹脂および(A−2)ポリエステル樹脂の混合物である場合、難燃性および機械物性の面で優れ、好ましく使用することができる。(A−1)スチレン系樹脂と(A−2)ポリエステル樹脂の混合比は、1〜99重量%:99〜1重量%であり、好ましくは50〜99重量%:50〜1重量%であり、さらに好ましくは60〜95重量%:40〜5重量%、特に好ましくは70〜90重量%:30〜10重量%である。
【0061】
この場合、(A−2)ポリエステル樹脂としては上記したようなポリエステル樹脂が使用できるが、好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体から選ばれる1種または2種以上を挙げることができ、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体である。中でも衝撃強度、難燃性の面からエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体が特に好ましく使用できる。
【0067】
本発明に使用される(B)変性フェノール系樹脂とは、下記一般式(2)で表されるグリシジル基でエーテル化された変性フェノール系樹脂である。
【化5】
Figure 0004788080
(上記式中、R 3 は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0068】
変性フェノール系樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは数平均分子量で200〜2,000であり、特に400〜1,500の範囲のものが機械的物性、流動性、経済性に優れ好ましい。なお変性フェノール系樹脂はテトラヒドラフラン溶液、ポリスチレン標準サンプルを使用することによりゲルパーミエションクロマトグラフィ法で測定できる。
【0069】
上記の変性フェノール系樹脂は必要に応じ、1種または2種以上使用することができる。
【0070】
形状については特に制限されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状などいずれも使用できる。
【0071】
(B)変性フェノール系樹脂の添加量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。(B)変性フェノール系樹脂の添加量が0.1重量部未満の場合は高度な難燃性付与効果が見られないため好ましくない。また20重量部を越える場合は耐衝撃性の低下や成形品の表面外観を損なうので好ましくない。
【0076】
本発明に使用される(C)燐系難燃剤とは、燐を含有する有機または無機化合物であれば特に制限はなく、例えば、ポリ燐酸アンモニウム、ポリホスファゼン、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネートおよびホスフィンオキシドなどが挙げられる。中でも、ポリホスファゼンおよびホスフェートが好ましく、芳香族ホスフェートが特に好ましく使用できる。
【0077】
本発明で使用される(C)燐系難燃剤の内、芳香族ホスフェートとは、下記一般式(3)で表されるものである。
【化9】
Figure 0004788080
【0078】
まず前記式(3)で表される難燃剤の構造について説明する。前記式(3)の式中、nは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mは、それぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数であるが、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0079】
また、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0080】
また、前記式(3)のXにおいて、R4〜R11は同一または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好ましい。またYは直接結合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。
【0081】
上記芳香族ホスフェートの使用量は熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部である。
【0082】
また本発明の難燃性樹脂組成物はさらに(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物を添加すると、燃焼時の延燃抑制、燃焼時の発熱量の抑制、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制、耐熱性向上効果を付与することができる。
【0083】
そのようなフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体などが挙げられるが、中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライドが好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
【0084】
またシリコーン系化合物とは、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルのことである。
【0085】
本発明に使用されるシリコーン樹脂とは、下記一般式(4)〜(7)で表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学的に結合されたシロキサン単位(ここで、Rはそれぞれ飽和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリル基から選ばれる基を表す。)からなるポリオルガノシロキサンであり、室温で約200〜300000000センチポイズの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーン樹脂である限り、それに限定されるものではない。
【0086】
【化10】
Figure 0004788080
【0087】
本発明に使用されるシリコーンオイルとは、下記一般式(8)で表されるものである(ここで、Rはアルキル基またはフェニル基を表し、nは1以上の整数である。)。使用するシリコーンオイルは、0.65〜100000センチトークスの粘度のものが好ましいが、上記のシリコーンオイルである限り、それに限定されるものではない。
【化11】
Figure 0004788080
【0088】
本発明ではシリコーン系化合物として、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルを使用することができるが、難燃性、耐熱性、耐ブリードアウト特性、耐接点汚染性、湿熱処理後の電気特性低下の面から、シリコーン樹脂が好ましい。
【0089】
上記(D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物の添加量は熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部である。
【0090】
さらに本発明の難燃性樹脂組成物は必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどの充填材などを配合することができる。中でもガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましく使用することができ、最も好ましいものとしては炭素繊維が用いられる。これら繊維状充填材の種類は、一般に樹脂の強化用に用いられているものならば特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョプドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
【0091】
なお、本発明に使用する上記の繊維状、紛状、粒状あるいは板状充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0092】
また、ガラス繊維、炭素繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0093】
さらに本発明の難燃性樹脂組成物に対して本発明の目的を損なわない範囲でヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤や熱安定剤、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤(硫化カドミウム、フタロシアニン、酸化チタンなど)などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
【0094】
また本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知の方法で製造される。例えば、熱可塑性樹脂(A)、変性フェノール系樹脂(B)、燐系難燃剤(C)およびその他の必要な添加剤を予備混合してまたはせずに押出機などに供給して、150℃〜350℃の温度範囲において十分溶融混練することにより調製される。この場合例えば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いることができ、特にアスペクト比をコントロールすることから、スクリューにニーディングエレメントを数個挿入あるいは未挿入にすることにより使用することが好ましい。
【0095】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は難燃性だけでなく、機械特性、耐熱性、滞留安定性さらに成形加工性にも優れ、溶融成形可能であるため押出成形、射出成形、プレス成形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用することができる。さらに難燃性を活かして電気・電子部品、自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などのハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用いることができる。
【0096】
例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、パソコン、プリンター、ディスプレイ、CRTディスプレイ、ファックス、コピー、ワープロ、ノートパソコン、携帯電話、PHS、DVDドライブ、PDドライブ、フレキシブルディスクドライブなどの記憶装置のハウジング、シャーシ、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部材、コイルボビンなどの電気・電子機器部品、自動車部品、機械部品、その他各種用途に有用である。
【0097】
【実施例】
本発明をさらに具体的に説明するために、以下、実施例および比較例を挙げて説明する。なお、実施例中の部数および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
【0098】
参考例1 (A)熱可塑性樹脂樹脂
<A−1>グラフト(共)重合体
以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約100×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。
グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100
ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0099】
ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物40部を加えて乳化重合した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固した後、乾燥してパウダー状として得た。
得られたグラフト共重合体のグラフト率は36%であり、スチレン構造単位70%およびアクリロニトリル30%からなる非グラフト性の共重合体を18.1%含有するものであった。またメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.34dl/gであった。
【0100】
<A−2>ビニル系共重合体の調製
<A−2−1>
スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2−1>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−1>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.53dl/gであった。
<A−2−2>
スチレン69.7%、アクリロニトリル30%、グリシジルメタクリレート0.3%からなる単量体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2−2>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−2>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.54dl/gであった。
<A−2−3>
スチレン51%、アクリロニトリル9%、N−フェニルマレイミド40%からなる単量体混合物をシクロヘキサノン溶媒中で溶液重合してビニル系共重合体<A−2−3>を調製した。得られたビニル系共重合体<A−2−3>はメチルエチルケトン可溶分の極限粘度は0.59dl/gであった。
【0101】
<A−3>ポリエチレンテレフタレート樹脂
固有粘度が0.65(25℃、フェノール/テトラクロロエタンの1:1の混合溶媒)のポリエチレンテレフタレート樹脂を使用した。
<A−4>エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体(PET/PCT共重合体)
“イースターGN071”(イーストマン社製)を使用した。
<A−5>ポリブチレンテレフタレート樹脂
東レPBT1100S(東レ社製)を使用した。
<A−6>ポリカーボネート樹脂
“ユーピロン S3000”(三菱エンジニアプラスチックス社製)を使用した。
<A−7>ポリアミド6樹脂
“アミランCM1017”(東レ社製)を使用した。
【0102】
参考例2 変性フェノール系樹脂
<B−1>下記式(9)で表されるグリシジル基変性ノボラックフェノール樹脂“EPPN−201−H”(日本化薬社製)を使用した。
【化12】
Figure 0004788080
【0103】
<B−2>比較例として、下記式(10)で表される変性していないノボラックフェノール樹脂である“スミライトレジン PR53195”(住友デュレス社製)を使用した。
【化13】
Figure 0004788080
【0104】
参考例3 (C)燐系難燃剤
<C−1>下記式(11)で表される芳香族ビスホスフェート“PX−200”(大八化学社製)を使用した。
【化14】
Figure 0004788080
【0105】
参考例4 (D)フッ素系樹脂および/またはシリコーン系化合物
<D−1>ポリテトラフルオロエチレンであるポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)を使用した。
<D−2>シリコーン樹脂である“DC4−7081”(東レダウコーニングシリコーン社製)を使用した。
参考例5 ガラス繊維(表2中にはGFと略す)
“CS3PE941S”(日東紡績社製)を使用した。なお、ガラス繊維を配合する場合は、樹脂組成物中のガラス繊維重量%が30%になるように配合した。
【0106】
[実施例1〜、比較例1〜1]参考例で調製した熱可塑性樹脂(A)、変性フェノール系樹脂(B)、燐系難燃剤(C)およびその他の必要な添加剤を表に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−30)を使用し、220〜270℃で溶融混練、押出しを行うことによって、ペレット状のポリマを製造した。次いで射出成形機(住友重機社製、プロマット40/25)により、射出圧を下限圧+1MPaでそれぞれの試験片を成形し、次の条件で物性を測定した。
【0107】
(1)難燃性:射出成形により得た1.6mm厚みまたは0.8mm厚みの難燃性評価用試験片についてUL94に定められている評価基準に従い、5本の試験片について難燃性を評価した。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>HBの順に低下する。
(2)耐衝撃性:ASTM D256−56Aに従い耐衝撃性を評価した。
(3)耐熱性:ASTM D648(荷重:1.82MPa)に従い耐熱性を評価した。
(4)耐光性:キセノン耐光試験機Ci35W型(アトラス社製)を用いて、55℃、0.7W/m2 、フィルター(内側:石英、外側:ソーダライム)の条件で100時間照射した。照射前後の色相を色相色差計(スガ試験機社製)にて測定し、ΔΔE*(=照射後のΔE*−照射前のΔE*)を求めた。このΔΔE*が小さいほど耐光性に優れることを示す。
【0108】
各サンプルの難燃性、耐衝撃性、耐熱性および耐光性の測定結果を表1、表2にまとめて示す。
【0109】
【表1】
Figure 0004788080
【0111】
実施例1〜4と比較例1〜17の比較から、可塑性樹脂としてABS樹脂とポリエステル樹脂(PET、PET/PCT)の混合物、燐系難燃剤<C−1>とともに本発明の変性フェノール系樹脂<B−1>を添加することにより、より高度な難燃性が得られ、かつ耐衝撃性、耐熱性、耐光性が良好な樹脂組成物が得られることがわかる。特にABS樹脂とPET樹脂の混合物、ABS樹脂とPET/PCT樹脂の混合物である場合、最高ランクの難燃性が得られ、とりわけPET/PCT樹脂を使用した場合、機械特性にも優れた樹脂組成物が得られることがわかる。さらにポリカーボネート樹脂の混合物にした場合、より高度な難燃性付与が可能になり、かつ耐衝撃性、耐熱性が向上することがわかる。
【0113】
また、実施例3からわかるように、ABS樹脂の一部をエポキシ基で変性したビニル系共重合体にすることにより、難燃性がさらに向上し、かつ耐衝撃性が大幅に向上する。さらに実施例から、ABS樹脂の一部をマレイミド基で変性したビニル系共重合体にすることにより、耐熱性が向上するだけでなく、燃焼時間の短縮が可能となることがわかる。
【0114】
一方、ABS樹脂に燐系難燃剤を添加したのみでは難燃性は得られず(比較例4)、ABS樹脂と各樹脂の混合物とした場合も同様に燐系難燃剤を添加したのみでは難燃性は得られない(比較例5〜10)。また、変性していないフェノール樹脂を使用した場合(比較例11〜14)、十分な難燃性は得られず、さらに耐光性が著しく低下することがわかる。
【0115】
【表2】
Figure 0004788080
【0116】
実施例1〜4と実施例5、6の測定結果の対比より、本発明の樹脂組成物にフッ素系樹脂またはシリコーン系化合物を添加することにより、燃焼時間の短縮された、より高度な難燃性付与が可能になることがわかる。
【0120】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の機械的特性を損なうことなく、優れた難燃性を示し、とりわけ耐光性に優れる。

Claims (5)

  1. (A−1)スチレン系樹脂1〜99重量%と(A−2)ポリエステル樹脂99〜1%の混合物からなる熱可塑性樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(2)で表される変性フェノール系樹脂0.1〜20重量部、及び、下記一般式(3)で表される(C)芳香族ホスフェート1〜30重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物であって、(A−2)ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂および/またはエチレンテレフタレート単位を含有する共重合体である難燃性樹脂組成物。
    Figure 0004788080
    (上記式中、R3は水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
    Figure 0004788080
    (上記式中、R 4 〜R 11 は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr 1 、Ar 2 、Ar 3 、Ar 4 は同一または相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフェニル基を表す。また、Yは直接結合、O、S、SO 2 、C(CH 3 2 、CH 2 、CHPhを表し、Phはフェニル基を表す。またnは0以上の整数であり、異なるnの混合物でもよい。またk、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+mは0以上2以下の整数である。)
  2. ポリスチレン系樹脂中にエポキシ基変性ビニル系共重合体を含有することを特徴とする請求項記載の難燃性樹脂組成物。
  3. ポリスチレン系樹脂中にマレイミド基変性ビニル系共重合体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. (A−2)ポリエステル樹脂がエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共重合体である請求項記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物からなる成形品。
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