JP5316147B2 - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
・グラフト率(%)=[ジエン系ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系重合体量]/[グラフト共重合体のゴム含有量]×100
なお、上記のジエン系ゴム質重合体(ア)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、その下限値は実用上−80℃程度である。
WABS≦(ηABS/ηPA)×(1.04/1.13)×WPA
(式中、ABS:グラフト共重合体(A)+ビニル系共重合体(B)+変性ビニル系共重合体(C)、PA:ポリアミド(D)、WABS:ABS部数、WPA:PA部数、ηABS/ηPA:せん断速度200s−1〜1000s−1の範囲におけるABSとPAの溶融粘度比。)。
「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。)に準じて測定した。
グラフト共重合体の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥し、その重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率である。
・グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
曲げ弾性率:ISO(23℃の温度条件で測定)に準じて測定した。
荷重撓み温度:ISO(1.8MPa条件で測定)に準じて測定した。
デュポン衝撃:2kgの錘を落下させ、破壊時のエネルギー測定と破壊形態観察した。破壊形態は、次の基準により目視で判定を行った。○を合格レベルとし、△と×を不合格レベルとした。
○:錘径と同じ大きさ以内で材料を貫通した。
△:錘径よりも大きな範囲でひびが入った。
×:錘径よりも大きな範囲でひびと破損が確認された。
MFR(メルトフローレート測定):ISO1133(温度240℃、49N荷重条件で測定)に準じて測定した。
成形品の塗装性評価試験は、次のように評価した。射出成形機を使用して、シリンダー温度を250℃および金型温度を60℃にそれぞれ設定し、70×240×2mmt角板を成形した。その角板に、アクリル−ウレタン2液塗料(ウレタンPG60/ハードナー、関西ペイント(株)製)を塗布した後、乾燥温度80℃で30分乾燥させた。室温23℃で湿度50%の環境で24時間以上処理を行った。
角板成形品の鮮明度と外観を以下基準により目視で判定を行った。◎と○を合格レベルとし、△と×を不合格レベルとした。
◎:高光沢感が確認される。
○:光沢感はあるが高光沢ではない。
△:一部分に塗装ムラ、表面ざらつき(繊維強化材の浮き)などがある。問題あり。
×:全体的に塗装ムラ、表面ざらつき(繊維強化材の浮き)が目立つ。問題あり。
JIS K5400−1990規格に規定されている通り、碁盤目傷を入れてテープでの剥離試験を行い、塗膜残りの状況を図2基準より目視にて0〜10点で評価を行った。
樹脂組成物断面を四酸化オスミウムで染色した超薄膜切片を透過型電子顕微鏡(日本電子データム株式会社製JEM−1400型、倍率20000倍)で観察し、ポリアミド(D)が連続相となっているかを評価した。
後述の<条件1>および<条件2>の式を計算するための溶融粘度について、キャピラリーグラフ測定装置(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1C型)により測定した。オリフィスは、長さ20mm、径1mmのものを使用した。
<条件1>は、溶融温度が250℃でせん断速度が200s−1または1000s−1におけるABSおよびPAの溶融粘度比をそれぞれ測定し、いずれのせん断速度においても次式を満たす場合は○、満たさない場合は×と判定した(連続相式判定)。
WABS≦(ηABS/ηPA)×(1.04/1.13)×WPA
また、上記(8)による観察でポリアミド(D)が図1のとおりに連続相を示す場合は○、連続相でない場合は×と判定した(モルフォロジ判定)。
(1)グラフト共重合体(A−1)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)の存在下で、スチレン32重量%とアクリロニトリル13重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−1)を調製した。グラフト率は42%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)の存在下で、スチレン9重量%、アクリロニトリル9重量%およびメタクリル酸メチル27重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−2)を調製した。グラフト率は45%であった。
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)40部(固形分換算)の存在下で、スチレン42重量%とアクリロニトリル18重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−3)を調製した。グラフト率は42%であった。
乳化重合で得られたポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)と、乳化重合で得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体ラテックス(スチレン70%、アクリロニトリル30%)45重量%をブレンドしてゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、80℃の温度0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−4)を調製した。ブレンドしただけなので、グラフト率は0%である。
(1)ビニル系共重合体(B−1)の調製
スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−1)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.45dl/gであった。
スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−2)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.92dl/gであった。
スチレン23重量%、アクリロニトリル8重量%よびメタクリル酸メチル69重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−3)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.5dl/gであった。
スチレン28重量%とメタクリル酸メチル72重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−4)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.5dl/gであった。
(1)変性ビニル系共重合体(C−1)の調整
スチレン67重量%、アクリロニトリル30重量%およびメタクリル酸3重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−1)を調製した。
スチレン67重量%、アクリロニトリル30重量%および無水マレイン酸3重量%からなる単量体混合物を塊状重合で得た後、懸濁重合で仕上げて、スラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−2)を調製した。
スチレン60重量%、アクリロニトリル25重量%およびメタクリル酸15重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−3)を調製した。
(1)ポリアミド(D−1)の調整
98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した場合、25℃の温度での相対粘度が2.3であるポリアミド(D−1)。東レ(株)製ナイロン6樹脂“アミラン”(登録商標)CM1001
(2)ポリアミド(D−2)の調整
98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した場合、25℃の温度での相対粘度が3.0であるポリアミド(D−2)。東レ(株)製ナイロン6樹脂“アミラン”(登録商標)CM1010。
(1)繊維強化材(F−1)
重量平均繊維長13mm、平均繊維径3μmである、アクリル系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−1)
(2)繊維強化材(F−2)
重量平均繊維長13mm、平均繊維径3μmである、イソシアネート系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−2)
(3)繊維強化材(F−3)
重量平均繊維長10μm、平均繊維径8μmである、イソシアネート系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−3)。
(1)デュポン社製 エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体 “エルバロイHP4051”(G−1)
(2)住友化学製 エチレン/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート “ボンドファースト 7M”(G−2)
(3)住友化学製 エチレン/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート “ボンドファースト E”(G−3)
(4)三井化学製 エチレン/ブテン−1 「タフマA4085」(G−4)
(5)三井化学製 エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸 「タフマMH7020」(G−5)
(6)アルケマ製 エチレン/ブチルアクリレート「35BA40」(G−6)
(7)ダウケミカル社製 エチレン/オクテン−1「エンゲージ8200」(G−7)。
参考例1〜6に記載のグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)、ポリアミド(D)、耐衝撃性改良材(G)を、表1に示した比で配合した後に、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240℃〜250℃)で溶融混練を行った。その途中に設定されたサイドフィーダーから、参考例に記載の繊維強化材(F)を投入して、ペレットを得た。得られたペレットを各物性評価に適するように、成形機(成形温度250℃、金型温度50℃)にて試験片を作成し、その評価を行った。表1に結果を示す。
参考例に記載のグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)およびポリアミド(D)、耐衝撃性改良材(G)を、表2に示した比で配合した後に、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240℃〜250℃)で溶融混練を行った。その途中に設定されたサイドフィーダーから、参考例に記載の繊維強化材(F)を投入して、ペレットを得た。得られたペレットを各物性評価に適するように、成形機(成形温度250℃、金型温度50℃)にて試験片を作成し、その評価を行った。表2に結果を示す。
2 ABS樹脂
Claims (7)
- ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物20〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)10〜40重量部、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)を含むビニル系単量体混合物20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%を共重合してなるビニル系共重合体(B)10〜30重量部、不飽和カルボン酸またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%と、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)の合計90〜99.9重量%を共重合させてなる変性ビニル系共重合体(C)0.1〜10重量部、および1g/dl当たりの98%濃硫酸溶液中、25℃の温度で測定した相対粘度が1.8〜3.0にあるポリアミド(D)20〜80重量部からなり、かつポリアミド(D)が連続相である熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、ガラス繊維(F)5〜40重量部および耐衝撃性改良材(G)0.5〜15重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
- グラフト共重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体(ア)としてポリブタジエンゴム40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)5〜45重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)5〜30重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜50重量%からなる単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)10〜85重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 変性ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)15〜85重量%および不飽和カルボン酸基またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%とからなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ガラス繊維(F)が、カップリング剤であるアクリル系化合物で予備処理された繊維長2〜15mm、繊維径2〜20μmのガラス繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 耐衝撃性改良材(G)が、ポリオレフィン系ゴムまたはカルボキシル基、無水カルボキシル基、エポキシ基もしくはオキサゾリン基で変性されたポリオレフィン系ゴムである請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
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