JP2009179675A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性および寸法安定性に優れ、実用的な表面外観を有する熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)10〜80重量部、ゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部からなる樹脂組成物100重量部に対し、扁平率(断面の長径/短径の比)が2.0以上の扁平形状を有するガラス繊維(E)20〜150重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性樹脂組成物に関するものである。詳しくはポリアミド樹脂、グラフト共重合体および不飽和カルボン酸変性共重合体からなる樹脂組成物に対し、特定の扁平形状を有するガラス繊維を含有してなる、剛性および寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
持ち運び可能なノートパソコンやモバイル電子機器製品においては、昨今の携帯電話などに代表される高機能化に加えて、さらなる軽量化、美装化が求められている。とりわけ筐体部品においては成形品肉厚の薄肉化と高剛性化の両立が強く要望されている。6−ナイロンに代表されるポリアミド樹脂は、優れた成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、耐磨耗性などを有する反面、乾燥状態での衝撃強度の低下、吸湿による寸法変化や抗張力の低下といった問題を有している。また、ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン系樹脂も優れた耐衝撃性、成形性、光沢などを有するが、耐薬品性が劣ると言った問題がある。
ポリアミド樹脂とゴム強化スチレン系樹脂の特長を残しながら、ポリアミド樹脂の欠点である吸湿時の寸法変化やゴム強化スチレン系樹脂の欠点である耐薬品性の向上を図るために、不飽和カルボン酸変性共重合体を相溶化剤として配合してなるポリマーアロイや、ガラス繊維を配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献1:特開平1−158号公報、特許文献2:特開平10−158508号公報、特許文献3:特開2000−17170号公報)。
しかしながら、従来の円形断面のガラス繊維で十分な剛性を得るためには、多量のガラス繊維の配合が必要であり、流動性の低下や表面外観の悪化など実用上の問題があった。
特開平1−158号公報 特開平10−158508号公報 特開2000−17170号公報
本発明の目的は、ポリアミド樹脂/ゴム強化スチレン系樹脂アロイの特長を有するとともに、剛性および寸法安定性に優れ、実用的な表面外観を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂(A)10〜80重量部、ゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部からなる樹脂組成物100重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕に対し、扁平率(断面の長径/短径の比)が2.0以上の扁平形状を有するガラス繊維(E)20〜150重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明は、剛性および寸法安定性に優れるとともに、実用的な表面外観を有する薄肉成形品を提供することができ、モバイル電子機器用成形部品として好適に使用することができるものである。
以下、本発明の低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
−ポリアミド樹脂樹脂(A)−
本発明におけるポリアミド樹脂(A)としては、ナイロン3、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記”I”はイソフタル酸成分、”T”はテレフタル酸成分を示す。
これらのうち、特にナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12が好ましい。
−グラフト共重合体(B)−
本発明の組成物を構成するグラフト共重合体(B)とは、ゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる重合体である。最終組成物の物性バランス面より、ゴム質重合体20〜70重量%、芳香族ビニル系単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜60重量%からなることが好ましい。
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、さらにはこれらジエン系(共)重合体の水素添加ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム等が挙げられ、1種または2種以上使用できる。これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、アクリルゴムが好ましく、特にポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体が好ましい。
ゴム質重合体の重量平均粒子径については特に制限はないが、0.05〜2.0μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.10〜1.0μmである。当該粒子径を有するゴム質重合体は、乳化重合ゴム(ラテックス)、または短時間の乳化重合による小粒子径ゴムラテックスを機械的・化学的に処理して肥大化したゴム(ラテックス)でもよい。さらには、ドライゴムを裁断後、単量体または溶剤にて溶解することにより得た溶解ゴムでも可能である。
グラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン等が挙げられ、1種または2種以上使用できるが、特に、スチレンが好ましい。
また、共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、マレイミド系単量体の群から選ばれた少なくとも1種の単量体が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましい。マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられるが、特にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
グラフト共重合体(B)におけるグラフト率については特に制限はないが、好ましくは20〜150%である。
なお、グラフト率とは、グラフト重合で得られたグラフト共重合体をアセトンにて溶解し、可溶分と不溶分に分離の後、次式により求めたものである。
グラフト率(%)=[アセトン不溶分重量−グラフト共重合体中のゴム質重合体重量]/[グラフト共重合体中のゴム質重合体重量]×100
グラフト率は、グラフト重合時のゴム質重合体と単量体との比率、単量体の添加速度などの重合条件の変更により適宜調整することができる。またグラフト共重合体(B)の製造方法については特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。グラフト率の面より、乳化重合が好ましい。
−不飽和カルボン酸変性共重合体(C)−
本発明の組成物を構成する不飽和カルボン酸変性共重合体(C)とは、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる共重合体である。
共重合体(C)を構成する不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、1種または2種以上使用できるが、特にメタクリル酸が好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルなどが好ましい。
上記共重合体(C)の製造においては公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。
共重合体(C)の還元粘度については特に制限はないが、0.2〜1.2dl/gであることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
−共重合体(D)−
本発明において用いることのできる共重合体(D)とは、芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体である。
共重合体(D)を構成する芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレンが好ましい。他の共重合可能な単量としてはアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミドが好ましい。
上記共重合体(D)の製造においては、公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。
共重合体(D)の還元粘度については何ら限定はないが、0.3〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
本発明におけるガラス繊維(E)は、扁平率(断面の長径/短径の比)が2.0以上の扁平形状を有するガラス繊維である。扁平率が2.0未満では成形品の表面光沢が損なわれるため好ましくない。好ましくは2.0〜10.0、さらに好ましくは2.5〜6.0である。また繊維長については特に制限はないが、2〜50mmであることが好ましい。このようなガラス繊維としては、例えば日東紡績(株)製 異形断面ガラス繊維 CSG 3PA−830、CSH 3PA−870として入手可能である。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)の配合割合は、(A):10〜80重量部、(B):10〜80重量部、(C):1〜40重量部、(D):0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕であり、この範囲外では本発明の目的とする組成物が得られない。
特に、組成物の物性バランスの観点から、(A):20〜70重量部、(B):20〜70重量部、(C):3〜30重量部、(D):0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕で、かつ組成物全体に占めるゴム質重合体の含有量が3〜30重量%の範囲であることが好ましい。
また、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)、(B)、(C)および(D)からなる樹脂組成物に対し、扁平率(断面の長径/短径の比)が2.0以上の扁平形状を有するガラス繊維(E)20〜150重量部を含有するものである。該ガラス繊維(E)の含有量が20重量部未満では得られる剛性が十分でなく、また150重量部を超えると、流動性が低下し、成形品の外観が悪くなるため好ましくない。好ましくは40〜100重量部である。
ポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)、共重合体(D)および扁平形状を有するガラス繊維(E)の混合順序ならびにその状態には何ら制限はなく、パウダー、ペレットなどの形態による、(A)、(B)、(C)、(D)および(E)成分の一括同時混合、特定の二成分を予備混合した後残る成分を混合する方法が例示される。これらの溶融混合に際してはバンバリーミキサー、ロール、押出機等を用いることができる。
なお、混合に際し、必要に応じてポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリ乳酸や熱可塑性デンプンに代表される植物由来の熱可塑性樹脂などの他樹脂、さらには酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク等の公知の添加剤、補強材、充填材等を配合することができる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、各種成形部品として使用可能であるが、特に成形部品の平面部の平均厚さが1mm以下である薄肉成形部品として例えばモバイル電子機器用成形部品等として好適に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。尚、本発明はこれにより何ら制限を受けるものでは無い。また、部および%は何れも重量基準で示した。
<ポリアミド樹脂(A)>
<11−ナイロン樹脂(A−1)>
アルケマ株式会社製 「Rilsan B BMN O」
<6−ナイロン樹脂 (A−2)>
ユニチカ株式会社製 「ユニチカナイロン6 A1030BRL」
<グラフト共重合体B>(乳化重合法)
ジエン系ゴムラテックスの製造:
耐圧容器に1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム2.5部、水酸化ナトリウム0.1部、純水170部を仕込み、80℃に昇温したのち重合を開始した。重合は10時間で終了させた。得られたジエン系ゴムラテックスは、固形分37%、重量平均粒子径0.10μmであった。
凝集肥大化ジエン系ゴムラテックスの製造:
耐圧容器に、ジエン系ゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10部を添加し、固形分34%、重量平均粒子径0.33μmの凝集肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。
耐圧容器に、凝集肥大化ジエン系ゴムラテックス50部(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み、70℃に昇温した後、スチレン35部およびアクリロニトリル15部からなる単量体混合物を5時間に亘って連続添加し、グラフト率38%のグラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックス100重量部(固形分)当たり酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(住友化学社製:スミライザーBBM)1部およびトリスノニルフェニルホスファイト2部を添加した後、硫酸を用いて塩析、脱水・乾燥し、グラフト共重合体B−1を得た。
<グラフト共重合体(B−2)>(塊状重合法)
公知の塊状重合法により、グラフト共重合体中に分散するゴム状重合体としてポリブタジエン(重量平均粒子径0.45μm)10部、スチレン63部およびアクリロニトリル27部からなるグラフト率75%のグラフト共重合体B−2を得た。
<不飽和カルボン酸変性共重合体(C)>
C−1:耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、不飽和カルボン酸変性共重合体C−1を得た。得られた共重合体C−1の還元粘度は0.31であった。
C−2:スチレン60部、アクリロニトリル30部およびメタクリル酸10部に変更した以外はC−1と同様にして不飽和カルボン酸変性共重合体C−2を得た。得られた共重合体C−2の還元粘度は0.32であった。
<共重合体(D)>
D−1:耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、共重合体D−1を得た。得られた共重合体D−1の還元粘度は0.60であった。
<扁平形状ガラス繊維(E)>
E−1:日東紡績社 製 チョップドストランド CSG 3PA−830、扁平率=4
E−2:日東紡績社 製 チョップドストランド CSH 3PA−870、扁平率=2
e−1:オーウェンスコーニングジャパン社 製 チョップドストランド RES03−TP89Z、扁平率=1
〔実施例および比較例〕
表1に示す組成比率に基づき、上記のポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)、共重合体(D)および扁平形状ガラス繊維(E)を2軸押出機(設定温度250℃)で一括混練し、ペレット化して各種組成物を得た。
このようにして得られた各種組成物を、射出成形機(設定温度250℃、金型温度60℃)にて各種試験片を作成し、物性を評価した結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
(1)衝撃強度:ISO 179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きのシャルピー衝撃値を測定。単位:KJ/m2
(2)曲げ剛性率:ISO 178準拠。単位:GPa
(3)寸法安定性:90mm×150mm×1mmtの寸法の平板作成用金型にて射出成形を実施し、得られた平板を成形後、23℃、50%RH恒温室内に24時間放置した後の長辺(150mm方向)の長さをL0とし、同平板を40℃、90%RHの条件下で200時間放置後の長さをL1とした場合、次式で表される値により、次の3段階の基準により評価を行った。
(L1−L0)/L0×100
○:0〜0.7
△:0.7〜1.2
×:1.2<
(4)外観:寸法安定性試験の射出成形板の表面状態を目視で評価した。
○:良好
×:肌荒れあり
Figure 2009179675
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、グラフト共重合体および不飽和カルボン酸変性共重合体からなる樹脂組成物に対し、特定の扁平形状を有するガラス繊維を含有してなる組成物であり、剛性および寸法安定性に優れ、実用的な表面外観を有する薄肉を要求されるモバイル電子機器用成形部品として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂(A)10〜80重量部、ゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部からなる樹脂組成物100重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕に対し、扁平率(断面の長径/短径の比)が2.0以上の扁平形状を有するガラス繊維(E)20〜150重量部を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の平面部の平均厚さが1mm以下である薄肉成形部品。
  3. モバイル電子機器用成形部品である請求項2記載の薄肉成形部品。
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