JP5756269B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物であって、該樹脂組成物を用いた成形体から得られる成形品を軋ませた、あるいは異種又は同種の材料からなる他の部品と接触させた(こすれた)際に、軋み音が発生しにくいことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物および成形体に関するものである。
スチレン系樹脂は、車両内装部品としてカーエアコン、カーステレオのスイッチ等に使用される。スチレン系樹脂を用いて作られたカーエアコンやカーステレオの部品を組み立てた場合に、成形品のかん合している部分や異種又は同種材料からなる部品と接触している(こすれている)部分から軋み音が発生することが良く知られている。
このような問題を解決するために、樹脂表面のかん合部や接触部にグリスを塗布して使用している。しかし、このグリス塗布は作業時間と費用がかかるため、経済的ではなく効果の持続にも限りがある。
そこで、特許文献1には、スチレン系樹脂と官能基含有エチレン系樹脂の混合物にシリコーンオイル等を添加することで、摩擦係数(摺動性)が低減できることが開示されている。さらに特許文献2においては、グリシジルメタアクリレートで変性したゴム状重合体を用いたスチレン系樹脂に、シリコーンオイルを添加することで、摩擦係数を低減し、結果として軋み音を低減できることを開示している。
特開2001−323127号公報
特開2002−20574号公報
しかしながら、上記の方法では、添加剤が容易にブリードアウトしやすく表面に析出することにより、軋み音の発生を防止する効果が得られるものであるが、時間の経過に伴い当然として効果は低くなる。よって、これらの表面に析出して効果を発揮するような添加剤を全く使用しなくても、軋み音が発生しないスチレン系樹脂が求められている。
したがって、本発明は、ブリードアウトをするような添加剤を用いることなく、軋み音の発生を防止することが出来ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物および成形体を提供することを目的とするものである。
本発明は、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)に特定のケイ素含有化合物(C)を特定量配合することで課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)100重量部に対して、シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(C)を0.1〜10重量部用いることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、および該組成物から得られた成形体であって、スチレン系樹脂(A)は、エチレン− プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体単独もしくは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体をグラフト重合することで得ることができるグラフト共重合体を含むものであり、他の熱可塑性樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂のいずれか一種又は二種以上であり、ポリアミドエラストマー及び粘度平均分子量[Mv]が1,000〜10,000である芳香族カーボネートオリゴマーを含まない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、該熱可塑性樹脂組成物を用いた成形体から得られる成形品が軋む、あるいは異種又は同種の材料からなる他の部品と接触する(こすれる)ような部分に用いられた場合に、軋み音が発生しにくい熱可塑性樹脂組成物であって、該樹脂組成物を用いた成形体は軋み音が発生しにくいだけでなく、軋み音の発生を抑制する効果が持続するため、軋み音防止材料として車両分野、家電分野、建材分野、サニタリー分野等に広く用いることができる。
ISO294−3に準拠したD2タイプの試験片および各試験片を重ね合わせた時の図である。 軋み音の評価方法を示す図である。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
本発明は、スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)100重量部に対して、シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(C)を0.1〜10重量部用いることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)は、ゴム強化スチレン系樹脂または非ゴム強化スチレン系樹脂等が挙げられる。これらは一種又は二種以上組み合わせて使用することができる。
上記ゴム強化スチレン系樹脂および非ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル系単量体単独もしくは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を重合することで得ることができる。
ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴム、ポリブチルアクリレートなどのアクリル系ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体などのエチレン−プロピレン系ゴム、さらにはこれらの2種以上のゴムからなる複合ゴム等が挙げられる。軋み音防止効果の観点から、エチレン−プロピレン系ゴムを用いる事が好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体などが例示され、それらはそれぞれ一種又は二種以上用いることができる。
ゴム強化スチレン系樹脂の具体例としては、ゴム強化ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム・スチレン重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリル系ゴム・スチレン重合体(AAS樹脂)、メタクリル酸メチル・ブタジエン系ゴム・スチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロニトリル・エチレン−プロピレン系ゴム・スチレン重合体(AES樹脂)等が例示される。
ゴム強化スチレン系樹脂を用いる場合、ゴム状重合体の含有量に制限はないが、最終的に得られる樹脂組成物の耐衝撃性、流動性、耐熱性などの物性バランスの観点から、ゴム強化スチレン系樹脂100重量部中にゴム状重合体5〜70重量部含んでいることが好ましい。
非ゴム強化スチレン系樹脂の具体例としては、スチレン重合体(PS樹脂)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(αMS−ACN樹脂)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル・アクリロニトリル・スチレン共重合体(MAS樹脂)、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体(S−NPMI樹脂)、スチレン・N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル共重合体(S−A−NPMI樹脂)等が例示される。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)の製造方法には特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせの方法により得ることができる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂(B)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等が例示され、一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる樹脂組成物(AB)は上記スチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物であり、例えばポリカーボネート/ABS樹脂、ポリアミド/ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート/ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート/ABS樹脂、ポリ乳酸/ABS樹脂などが例示されるが、スチレン系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)として用いられる樹脂の種類や組み合わせに何ら制限はなく、目的に応じてそれぞれ一種又は二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
本発明で用いられるケイ素含有化合物(C)はシリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させた化合物である。詳しくはシリカ粉末の表面に、シリコーン系化合物を担持させたケイ素含有化合物のことである。
ケイ素含有化合物(C)に用いられる、シリコーン系化合物としてはシリコーンオイル、シリコーンゴムまたはその中間体、シリコーン樹脂またはその中間体等が例示される。
シリコーン系化合物はさらに、分子中あるいは分子末端に反応性の官能基として、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシル基等を含有したものを使用することが出来るが、なかでもメタクリロキシ基を含有したものを好ましく使用することが出来る。
ケイ素含有化合物(C)に用いられるシリカ粉末はシリコーン系化合物を担持(吸収、吸着または保持)するように機能するもので、フュームドシリカ、沈殿シリカ、または微粉砕シリカ等が用いられる。これらシリカの表面積は50〜400m/gの範囲のものが好ましい。表面積がこの範囲にあると、シリコーン系化合物を担持させやすくなる。
本発明で用いられるケイ素含有化合物(C)のシリコーン系化合物の含有量に特に制限は無いが、軋み音の発生防止効果の観点からケイ素含有化合物(C)100重量部中に40〜80重量部含まれていることが好ましい。また、スチレン系樹脂(A)もしくは樹脂組成物(AB)への分散のしやすさから、ケイ素含有化合物(C)の体積平均粒子径は5〜250μmの範囲にあり、嵩比重が0.1〜0.7の範囲にあることが好ましい。
本発明で用いられるケイ素含有化合物(C)の使用量はスチレン系樹脂(A)もしくは樹脂組成物(AB)100重量部に対して、0.1〜10重量部である。0.1重量部よりも少ないと軋み音の発生防止効果が不十分であり、10重量部を超えると最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の物性バランスが劣る結果となる。好ましくは0.1〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)において、必要に応じて相溶化剤を使用する必要がある。例えば、スチレン系樹脂(A)とポリアミド樹脂との組成物においては、相溶化剤として、芳香族ビニル系単量体およびポリアミド樹脂の末端基と反応性を有する官能基を含有したスチレン系樹脂が例示される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記各成分の他に本発明の目的を損なわない限りにおいて、目的に応じて樹脂の混合時、成形時等に顔料、染料、補強剤(タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、無機および有機系抗菌剤等の公知の添加剤を配合することができる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、バンバリーミキサー、押出機等公知の混練機を用いる方法が挙げられる。また、混合順序にも何ら制限はない。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部および%は重量に基づくものである。
ゴム強化スチレン系樹脂(A−1)の製造
ステンレス製耐圧重合反応機に、純水21.9部、オレイン酸カリウム1.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物0.5部、水酸化ナトリウム0.15部、ゴム状重合体としてブタジエン−スチレン共重合体ラテックス(スチレン含有量10重量%、ゲル含有量85重量%、重量平均粒子径430nm)を固形分で60部、t−ドデシルメルカプタン0.25部、ブドウ糖0.08部、硫酸第一鉄0.002部を仕込んで十分攪拌しながら67℃に昇温した後、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部を仕込み67℃で重合を開始した。
重合開始直後からスチレン30部とアクリロニトリル10部の単量体混合物を2時間にわたって連続添加し、重合転化率が63%を越えた時点でt−ブチルハイドロパーオキサイド0.04部を仕込み、反応温度を72℃に上げて反応を2時間継続し、重合転化率が97%を超えたことを確認して槽内温度を40℃以下に冷却した。得られたラテックス状のゴム含有グラフト共重合体を多量のメタノール中に投入して沈殿させ、100メッシュのステンレス製金網に流した後、先ず適量のメタノール、次に多量の純水で洗浄した。その後、減圧下で残留するメタノールを除去し、85℃の熱風オーブン中で含水率が1重量%以下になるまで乾燥させ、パウダー状のゴム強化スチレン系樹脂(A−1)を得た。
ゴム強化スチレン系樹脂(A−2)の製造
ステンレス製耐圧重合反応機に、純水230部、オレイン酸カリウム0.30部、過硫酸カリウム0.2部、ブチルアクリレート98.0部、アクリロニトリル1.0部、アリルメタクリレート1.0部からなる混合モノマー溶液を仕込み50℃に昇温した。その後、純水20部、オレイン酸カリウム1.0部からなる乳化剤水溶液を8時間に亘って連続添加した。その後5時間重合を継続し、重量平均粒子径0.28μmのアクリル系ゴムラテックスを得た。
さらに、ステンレス製耐圧重合反応機に、上記のアクリル系ゴムラテックス50部(固形分換算)と純水110部、デキストリン0.1部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1部および硫酸第1鉄0.005部を溶解した水溶液を添加した後、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル15部、スチレン35部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部の混合液および純水20部にオレイン酸カリウム1.0部を溶解した乳化剤水溶液を6時間に亘り連続添加した。その後、重合を3時間継続し、重合を終了した。その後、塩析・脱水・乾燥し、ゴム強化スチレン系樹脂(A−2)を得た。
ゴム強化スチレン系樹脂(A−3)の製造
攪拌翼を備えた重合反応機に、純水300部、懸濁安定剤としてヒドロキシエチルセルロース0.3部を溶解した後、3mm角に裁断したエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML1+4;121℃)60)50部を仕込み懸濁させた。その後、スチレン37部、アクリロニトリル13部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート3.0部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、100℃にて1時間重合を行った。重合終了後、脱水し、ゴム強化スチレン系樹脂(A−3)を得た。
スチレン・アクリロニトリル共重合体(A−4)の製造
スチレン75重量部およびアクリロニトリル25重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、スチレン・アクリロニトリル共重合体(A−4)を製造した。
スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(A−5)の製造
スチレン40重量部およびメタクリル酸メチル60重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(A−5)を製造した。
ポリスチレン(A−6)の製造
スチレン100重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、ポリスチレン(A−6)を製造した。
α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(A−7)の製造
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水155部、乳化剤としてロジン酸カリウム3.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物0.7部、水酸化ナトリウム0.08部、α−メチルスチレン75部、アクリロニトリル25部、t−ドデシルメルカプタン0.18部を加えて十分攪拌ながら72℃に昇温した後、過硫酸カリウム0.5部を仕込み72℃で重合を開始した。重合転化率が63%を越えた時点で反応温度を77℃に上げて反応を継続し、重合転化率が97%を超えたことを確認して槽内温度を40℃以下に冷却した。得られたα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体を、硫酸マグネシウム水溶液を使って塩析し、洗浄後に90℃の熱風オーブン中で含水率が1重量%以下になるまで乾燥させ、パウダー状のα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(A−7)を得た。
スチレン・N−フェニルマレイミド・無水マレイン酸共重合体(A−8)
電気化学工業(株)社製 デンカIP MS−NC(商品名)を用いた。
熱可塑性樹脂(B)として下記の樹脂を用いた。
B−1(ポリカーボネート):住友ダウ社製 カリバー200−20
B−2(6−ナイロン):ユニチカ社製 ユニチカナイロン6 A1030BRL
B−3(ポリブチレンテレフタレート):三菱エンジニアリングプラスチック社製 ノバデュラン5010
B−4(ポリ乳酸樹脂):ユニチカ社製 テラマック TP−4000
B−5(ポリメタクリル酸メチル):住友化学社製 スミペックス LG21
ケイ素含有化合物(C)として下記の製品を用いた。
ケイ素含有化合物(C−1):DC4−7081(東レ・ダウコーニング株式会社製)
メタクリロキシ官能基を含有するシリコーン系化合物60部をシリカ粉末40部に担持させたケイ素含有化合物。嵩比重:0.3〜0.5、粒子径:10〜200μm
ケイ素含有化合物(C−2):SH200−100CS(東レ・ダウコーニング株式会社製)
ジメチルシリコーンオイル。粘度:100mm/s
相溶化剤(不飽和カルボン酸変性共重合体)の製造
耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、相溶化剤(不飽和カルボン酸変性共重合体)を得た。
実施例1〜16、比較例1〜12
表1および表2に示す成分を、表1および表2に示す割合で混合後、30mm二軸押出機を用いて220℃から250℃で溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを射出成形機にてISO試験方法294に準拠して、実施例1〜16、比較例1〜12の試験片を作製し、流動性、耐衝撃性、耐熱性を評価した。それぞれの評価方法を以下に示し、評価結果を表1および表2にまとめた。
各物性の評価方法
流動性:ISO 1133に準拠してメルトボリュームフローレイト(220℃、10kg 一部の例では240℃、10kg)を測定して評価した。単位;cm/10min
耐衝撃性:ISO 179に準拠し、ノッチ付きのシャルピー衝撃値を測定した。単位;kJ/m
耐熱性:ISO 75に準拠し、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定した。単位;℃
軋み音評価
ISO294−3に準拠したD2タイプの試験片を作成し、23℃、湿度50%の恒温室に24時間静置させた後に、図1のように2枚を表同士重ね合わせてそれぞれ両端を持ち(図2では親指と人差し指のみとなっているが、親指とそれ以外の指で両端を押さえても良い。)、図2に示すように面に垂直方向上下に歪ませる作業(振幅5mm程度)を下記のスピードで5秒間繰り返した際に、軋み音が発生するのかを確認した。
また、試験片の作成後、90℃のオーブンに2週間静置させた後、オーブンから取り出し、試験片が23℃になるまで恒温室に静置させた後に、上記方法と同様の試験を行い、軋み音が発生するのかを確認した。評価結果を表1および表2に示す。
×:1秒間に1往復(上下に一回ずつ)程度のスピードで軋み音が発生する。
○:1秒間に2〜3往復程度のスピードでわずかに軋み音が発生する。(×より、軋み音は小さい)
◎:1秒間に3往復以上のスピードでも軋み音が全く発生しない。
なお、この試験において軋み音の発生しない組成物を用いて、実際の成形品を作成した際に軋み音が発生しないことは確認できた。
表1に示すように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形後初期の試験片を軋ませた際に軋み音がほとんど発生しなかっただけでなく、成形後長期間が経過した試験片と同様の状態を想定した、加熱後の試験片も軋み音が発生していないことがわかる。
表2に示すように、ケイ素含有化合物(C)を用いていない場合(比較例2)やケイ素含有化合物(C)の使用量が少ない場合(比較例4)は軋み音が発生してしまった。シリカ粉末を担時させていないシリコーンオイルを用いた場合(比較例1、3、5、7〜12)は初期の軋み音防止効果は発揮されたが、軋み音防止効果の持続性がなかった。本発明で用いられるケイ素含有化合物(C)の使用量が多かった場合(比較例6)は軋み音防止効果の持続性はあったが、耐衝撃性や耐熱性が低下してしまった。
以上のように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、該樹脂組成物を用いた成形体から得られる成形品が軋む、あるいは異種又は同種の材料からなる他の部品と接触する(こすれる)ような部分に用いられた場合に軋み音が発生しにくい熱可塑性樹脂組成物であって、該樹脂組成物を用いた成形体は軋み音が発生しにくいだけでなく、軋み音の発生を抑制する効果が持続するため、軋み音防止材料として車両分野、家電分野、建材分野、サニタリー分野等に広く用いることができる。

Claims (5)

  1. スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)100重量部に対して、シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(C)を0.1〜10重量部用いることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、スチレン系樹脂(A)は、エチレン− プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体単独もしくは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体をグラフト重合することで得ることができるグラフト共重合体を含むものであり、他の熱可塑性樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂のいずれか一種又は二種以上であり、ポリアミドエラストマー及び粘度平均分子量[Mv]が1,000〜10,000である芳香族カーボネートオリゴマーを含まない。
  2. ケイ素含有化合物(C)の体積平均粒子径が5〜250μmであり、嵩比重が0.1〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ケイ素含有化合物(C)に含まれるシリコーン系化合物が分子中もしくは分子末端にメタクリロキシ基を含み、ケイ素含有化合物100重量部中にシリコーン化合物が40〜80重量部含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. ISO294−3に準拠したD2タイプの試験片を重ね合わせて歪ませて、軋み音の発生を確認する試験を行った場合に、軋み音の発生を防止できることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂成形体
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