JP5651416B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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そこで、特許文献1には、スチレン系樹脂と官能基含有エチレン系樹脂の混合物にシリコーンオイル等を添加することで、摩擦係数(摺動性)が低減できることが開示されている。さらに特許文献2においては、グリシジルメタアクリレートで変性したゴム状重合体を用いたスチレン系樹脂に、シリコーンオイルを添加することで、摩擦係数を低減し、結果として軋み音を低減できることを開示している。
本発明は、スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)100重量部に対して、25℃における動粘度が100万mm2/s以上であるポリオルガノシロキサン(C)を0.1〜10重量部用いることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
上記ゴム強化スチレン系樹脂および非ゴム強化スチレン系樹脂は、ゴム状重合体の存在下または非存在下に、芳香族ビニル系単量体単独もしくは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を重合することで得ることができる。
平均単位式:R1 aSiO(4−a)/2
(式中、R1は、一価炭化水素基またはハロゲン原子置換一価炭化水素基である。aは1.8≦a≦2.2の範囲にある正数である。一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基等が例示される。ハロゲン原子置換一価炭化水素基としては、3、3、3・トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基等が例示される。)。かかるポリオルガノシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、両末端シラノール基封鎖ポリジメチルシロキサン、片末端シラノール基封鎖ポリジメチルシロキサン、両末端メトキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3、3、3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体が例示される。
ステンレス製耐圧重合反応機に、純水21.9部、オレイン酸カリウム1.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物0.5部、水酸化ナトリウム0.15部、ゴム状重合体としてブタジエン−スチレン共重合体ラテックス(スチレン含有量10重量%、ゲル含有量85重量%、重量平均粒子径430nm)を固形分で60部、t−ドデシルメルカプタン0.25部、ブドウ糖0.08部、硫酸第一鉄0.002部を仕込んで十分攪拌しながら67℃に昇温した後、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.08部を仕込み67℃で重合を開始した。
ステンレス製耐圧重合反応機に、純水230部、オレイン酸カリウム0.30部、過硫酸カリウム0.2部、ブチルアクリレート98.0部、アクリロニトリル1.0部、アリルメタクリレート1.0部からなる混合モノマー溶液を仕込み50℃に昇温した。その後、純水20部、オレイン酸カリウム1.0部からなる乳化剤水溶液を8時間に亘って連続添加した。その後5時間重合を継続し、重量平均粒子径0.28μmのアクリル系ゴムラテックスを得た。
攪拌翼を備えた重合反応機に、純水300部、懸濁安定剤としてヒドロキシエチルセルロース0.3部を溶解した後、3mm角に裁断したエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(エチレン含有量55%、ムーニー粘度(ML1+4;121℃)60)50部を仕込み懸濁させた。その後、スチレン37部、アクリロニトリル13部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレート3.0部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.1部を添加し、100℃にて1時間重合を行った。重合終了後、脱水し、ゴム強化スチレン系樹脂(A−3)を得た。
スチレン75重量部およびアクリロニトリル25重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、スチレン・アクリロニトリル共重合体(A−4)を製造した。
スチレン40重量部およびメタクリル酸メチル60重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体(A−5)を製造した。
スチレン100重量部を公知の塊状重合法により共重合を行い、ポリスチレン(A−6)を製造した。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水155部、乳化剤としてロジン酸カリウム3.0部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物0.7部、水酸化ナトリウム0.08部、α−メチルスチレン75部、アクリロニトリル25部、t−ドデシルメルカプタン0.18部を加えて十分攪拌ながら72℃に昇温した後、過硫酸カリウム0.5部を仕込み72℃で重合を開始した。重合転化率が63%を越えた時点で反応温度を77℃に上げて反応を継続し、重合転化率が97%を超えたことを確認して槽内温度を40℃以下に冷却した。得られたα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体を、硫酸マグネシウム水溶液を使って塩析し、洗浄後に90℃の熱風オーブン中で含水率が1重量%以下になるまで乾燥させ、パウダー状のα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(A−7)を得た。
電気化学工業(株)社製 デンカIP MS−NC(商品名)を用いた。
B−1(ポリカーボネート):住友ダウ社製 カリバー200−20
B−2(6−ナイロン):ユニチカ社製 ユニチカナイロン6 A1030BRL
B−3(ポリブチレンテレフタレート):三菱エンジニアリングプラスチック社製 ノバデュラン5010
B−4(ポリ乳酸樹脂):ユニチカ社製 テラマック TP−4000
B−5(ポリメタクリル酸メチル):住友化学社製 スミペックス LG21
ポリオルガノシロキサン(C−1):BY16−140(東レ・ダウコーニング株式会社製)
ジメチルポリオルガノシロキサン
25℃における動粘度:100万mm2/sを超える超高粘度
性状:無色透明のガム状
ポリオルガノシロキサン(C−2):BY27−007(東レ・ダウコーニング株式会社製)
超高粘度ジメチルポリオルガノシロキサンとABS樹脂を溶融混練することによって作られたマスターバッチペレット(ジメチルポリオルガノシロキサン含有量50%)。
ポリオルガノシロキサン(C−3):SH200−100CS(東レ・ダウコーニング株式会社製)
ジメチルシリコーンオイル
25℃における動粘度:100mm2/s
性状:無色透明のオイル状
耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、相溶化剤(不飽和カルボン酸変性共重合体)を得た。
表1および表2に示す成分を、表1および表2に示す割合で混合後、30mm二軸押出機を用いて220℃から250℃で溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを射出成形機にてISO試験方法294に準拠して、実施例1〜16、比較例1〜12の試験片を作製し、流動性、耐衝撃性、耐熱性を評価した。それぞれの評価方法を以下に示し、評価結果を表1および表2にまとめた。
流動性:ISO 1133に準拠してメルトボリュームフローレイト(220℃、10kg 一部の例では240℃、10kg)を測定して評価した。単位;cm3/10min
耐衝撃性:ISO 179に準拠し、ノッチ付きのシャルピー衝撃値を測定した。単位;kJ/m2
耐熱性:ISO 75に準拠し、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定した。単位;℃
ISO294−3に準拠したD2タイプの試験片を作成し、23℃、湿度50%の恒温室に24時間静置させた後に、図1のように2枚を表同士重ね合わせてそれぞれ両端を持ち(図2では親指と人差し指のみとなっているが、親指とそれ以外の指で両端を押さえても良い。)、図2に示すように面に垂直方向上下に歪ませる作業(振幅5mm程度)を下記のスピードで5秒間繰り返した際に、軋み音が発生するのかを確認した。
また、試験片の作成後、90℃のオーブンに2週間静置させた後、オーブンから取り出し、試験片が23℃になるまで恒温室に静置させた後に、上記方法と同様の試験を行い、軋み音が発生するのかを確認した。評価結果を表1および表2に示す。
×:1秒間に1往復(上下に一回ずつ)程度のスピードで軋み音が発生する。
○:1秒間に2〜3往復程度のスピードでわずかに軋み音が発生する。(×より、軋み音は小さい)
◎:1秒間に3往復以上のスピードでも軋み音が全く発生しない。
なお、この試験において軋み音の発生しない組成物を用いて、実際の成形品を作成した際に軋み音が発生しないことは確認できた。
Claims (4)
- スチレン系樹脂(A)、またはスチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂組成物(AB)100重量部に対して、25℃における動粘度が100万mm2/s以上であるポリオルガノシロキサン(C)を0.1〜10重量部用いることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、エチレン−プロピレン系ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体単独もしくは芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体をグラフト重合することで、得ることができるスチレン系樹脂(A)を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- スチレン系樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂(B)から得られる樹脂組成物(AB)において、他の熱可塑性樹脂(B)が、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレートのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ISO294−3に準拠したD2タイプの試験片を図1のように2枚を表同士重ね合わせてそれぞれ両端を持ち(図2では親指と人差し指のみとなっているが、親指とそれ以外の指で両端を押さえても良い。)、図2に示すように面に垂直方向上下に歪ませる作業(振幅5mm程度)を下記のスピードで5秒間繰り返した際に、軋み音が発生するのかを確認し、評価結果が○または◎であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
×:1秒間に1往復(上下に一回ずつ)程度のスピードで軋み音が発生する。
○:1秒間に2〜3往復程度のスピードでわずかに軋み音が発生する。(×より、軋み音は小さい)
◎:1秒間に3往復以上のスピードでも軋み音が全く発生しない。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂成形体
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