JP5687920B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、物性バランスや発色性だけでなく耐傷付き性に優れ、さらには金型汚染による成形不良が発生しないことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品に関するものである。
従来より、スチレン系樹脂は、良好な成形加工性と機械的特性バランスを有し、電気絶縁性に優れていることから、電気・電子機器分野、OA機器分野などの広範な分野で用いられている。しかしながら、製品化の段階において、樹脂を成形して得られた成形品を例えば組み立てラインまで輸送する際、細かな擦過傷を防止する目的で柔らかい不織布等で前記成形品を一つずつ梱包する場合があるため、多大な手間とコストが必要とされる。
また、樹脂製品に様々な意匠を付与したり、使用時の製品の傷付きを防止する目的で、製品に全塗装又は部分塗装を施す場合がある。しかしながら、塗装処理は塗装不良による生産の歩留まり低下を生じやすいという問題点がある。また、近年のVOC排出抑制の流れから、できるだけ塗装処理を施すことなく、鮮やかな色又は深みのある色に着色したり、金属調又はパール調の外観を持たせること等ができるように、意匠性を付与しやすく、且つ傷の付きにくい樹脂が望まれている。
一方、スチレン系樹脂は、スチレンと、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどの単量体とを共重合させることにより、メチルメタクリレート系樹脂との優れた相容性が得られる。このため、様々な目的でこれらのアロイが提案されている。例えば、これらのアロイに特定のワックス、特定の脂肪酸金属塩を適量組み合わせることにより、成形性を維持しながら耐傷付き性を向上させる方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、近年、高品位な外観を必要とする用途には、耐傷付き性がなお低く適さない。また、ポリシロキサンを使用した場合は、ポリシロキサンがブリードアウトするという問題が生じており、特定の構造を持つ樹脂組成物を添加することでブリードアウトせず、耐傷付き性を改善できる方法が開示されている(特許文献2)。しかし、発色性が不十分であり、かつ耐傷付き性も不十分である。
特開2006−2038号公報
特開2001−40160号公報
本発明の目的は、良好な物性バランス及び発色性に加え、耐傷付き性に優れ、さらには金型汚染による成形不良を抑制ないしは防止できる熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、アクリル系樹脂、特定の単量体がグラフトしているグラフト共重合体、及び特定の単量体が重合している共重合体を含む樹脂組成物に対して、特定構造を持つケイ素含有化合物を含有させることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、1)ポリメタクリル酸アルキルエステル又は2)メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体(A)20〜80重量部、ゴム状重合体30〜85重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体2〜30重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体13〜68重量%、シアン化ビニル系単量体0〜40重量%、その他の共重合可能な他の単量体0〜40重量%をグラフト重合することで得られるグラフト共重合体(B)(重量%はグラフト共重合体(B)を基準(100重量%とする))15〜50重量部、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体とを共重合させた重合体(C)5〜65重量部を含む樹脂組成物100重量部に対して、シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(D)を0.1〜10重量部含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物および該樹脂組成物を用いて得られる成形品に係る。
本発明によれば、物性バランスや発色性だけでなく耐傷付き性に優れ、さらには金型汚染による成形不良が発生しないことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、およびその成形品を提供することが出来る。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)20〜80重量部、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト共重合させたグラフト共重合体(B)15〜50重量部、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体を共重合させた(共)重合体(C)5〜65重量部を含む樹脂組成物100重量部に対して、シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(D)を0.1〜10重量部含むことを特徴とする。
本発明に使用されるアクリル系樹脂(A)としては、例えばポリメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基としては炭素原子数2〜10のアルキル基が好ましい。前記アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸エステル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルなどが挙げられる。
アクリル系樹脂としてメタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとの共重合体を用いる場合、該共重合体におけるメタクリル酸アルキル単位は50重量%以上、好ましくは50〜99重量%であり、アクリル酸アルキルエステル単位は50重量%以下、好ましくは50〜1重量%である。
本発明に使用されるアクリル系樹脂(A)は樹脂組成物100重量部中に20〜80重量部含まれていることが必要であるが、好ましくは25〜70重量部である。20重量部よりも少ないと耐傷付き性と発色性が低下し、80重量部よりも多いと耐衝撃性が低下する。
本発明に使用されるグラフト共重合体(B)に用いられるゴム状重合体としては、特に制限はないが、例えばポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルアクリレート−ブタジエン等のジエン系ゴム、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸ブチル複合ゴム等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のポリオレフィン系ゴム重合体、ポリオルガノシロキサン系ゴム等のシリコン系ゴム重合体が挙げられ、これらは、1種または2種以上用いることができる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル酸ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが好ましい。
グラフト共重合体(B)で用いられるゴム状重合体は物性バランスの観点から、グラフト共重合体(B)100重量部中に30〜85重量部含まれていることが好ましく、40〜75重量部含まれていることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)で用いられるゴム状重合体の重量平均粒子径は、物性バランスおよび発色性の観点から、好ましくは0.05〜2.0μm、より好ましくは0.1〜1.0μmである。
グラフト共重合体(B)に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン及びジメチルスチレン等を例示でき、1種又はそれ以上用いることができる。芳香族ビニル系単量体として、特にスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(B)に用いられるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等を例示でき、1種又はそれ以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体として、特にアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(B)に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等を例示でき、1種又はそれ以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、特にメチルメタアクリレートが好ましい。
耐傷付き性および発色性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル系単量体はグラフト共重合体(B)100重量部中に13〜68重量部含まれていることが好ましく、20〜50重量部含まれていることがより好ましい。
また、グラフト共重合体(B)に用いられるその他の共重合可能な単量体としては、例えば、マレイミド系単量体(例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)、不飽和カルボン酸またはその無水物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸無水物等)、及びアミド系単量体(例えば、アクリルアミド及びメタクリルアミド等)等を使用することができ、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に使用されるグラフト共重合体(B)は樹脂組成物100重量部中に15〜50重量部含まれていることが必要である。15重量部よりも少ないと耐衝撃性が低下し、50重量部よりも多いと耐傷付き性および流動性が低下する。好ましくは20〜45重量部である。
グラフト共重合体(B)の重合方法については特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせにより製造することができる。
本発明に使用される(共)重合体(C)は芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびその他の共重合可能な単量体を含む群から選択される1種以上の単量体を重合することで得られる(共)重合体であるが、用いられる単量体はグラフト共重合体(B)で用いられる例として述べられている各単量体と同様のものを用いることが出来る。
本発明に使用される(共)重合体(C)は樹脂組成物100重量部中に5〜65重量部含んでいることが必要である。5重量部よりも少ないと衝撃強度が低下し、65重量部よりも多いと耐傷付き性が低下する。好ましくは10〜45重量部である。
(共)重合体(C)の重合方法については特に制限はなく、公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせにより製造することができる。
本発明で使用されるケイ素含有化合物(D)はシリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させた化合物である。詳しくはシリカ粉末の表面に、シリコーン系化合物を担持させたケイ素含有化合物のことである。
ケイ素含有化合物(D)に用いられる、シリコーン系化合物としてはシリコーンオイル、シリコーンゴムまたはその中間体、シリコーン樹脂またはその中間体等が例示される。
シリコーン系化合物はさらに、分子中あるいは分子末端に反応性の官能基として、例えばエポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基、ヒドロキシル基等を含有したものを使用することが出来る。なかでもメタクリロキシ基を含有したものを好ましく使用することが出来る。
ケイ素含有化合物(D)に用いられるシリカ粉末はシリコーン系化合物を担持(吸収、吸着または保持)するように機能するもので、フュームドシリカ、沈殿シリカ、または微粉砕シリカ等が用いられる。これらシリカの表面積は50〜400m/gの範囲のものが好ましい。表面積がこの範囲にあると、シリコーン系化合物を担持させやすくなる。
本発明で使用されるケイ素含有化合物(D)のシリコーン系化合物の含有量に特に制限は無いが、耐傷付き性及び発色性の観点からケイ素含有化合物(D)100重量部中に40〜80重量部含まれていることが好ましい。また、樹脂組成物への分散のしやすさから、ケイ素含有化合物(D)の体積平均粒子径は5〜250μmの範囲にあることが好ましい。また、ケイ素含有化合物(D)の嵩比重は0.1〜0.7の範囲にあることが好ましい。
本発明に使用されるケイ素含有化合物(D)の使用量は樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部である。0.1重量部よりも少ないと耐傷付き性が不十分であり、10重量部を超えると発色性に劣る結果となる。好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤、例えば公知の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、艶消し剤、充填剤等を適宜添加することができる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は単独で使用できるが、必要に応じて他の熱可塑性樹脂と混合して使用することもできる。このような他の熱可塑性樹脂として、例えばポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂等を使用することができる。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
さらに、本発明における熱可塑性樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば押出成型、射出成形、ブロー成形及びプレス成形等により成形することができ、種々の成形品を製造することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」および「%」は重量に基づくものである。
<実施例1〜11及び比較例1〜6>
表1及び表2に示す組成割合のアクリル系樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、共重合体(C)およびケイ素含有化合物(D)に対して、Sumiplast Black HB(住友化学株式会社製)を1.0部混合した。ベント付50mm単軸押出機(オーエヌ機械製)を用い、シリンダー温度210℃にて溶融混合し、ペレット化することによって、黒色に着色されたペレットを得た。なお、表1及び表2で示す各成分は、以下の通りである。
アクリル系樹脂(A)
アクリル系樹脂(A−1):スミペックスLG(住友化学株式会社製)
試験法JIS K7210、温度230℃、荷重37.3Nにおける流動性が10g/10分であった。
アクリル系樹脂(A−2):スミペックスLG2(住友化学株式会社製)
試験法JIS K7210、温度230℃、荷重37.3Nにおける流動性が15g/10分であった。
アクリル系樹脂(A−3):スミペックスLG21(住友化学株式会社製)
試験法JIS K7210、温度230℃、荷重37.3Nにおける流動性が21g/10分であった。
グラフト重合体(B)
グラフト重合体(B−1):窒素置換した反応器にスチレン−ブタジエンゴムラテックス(スチレン5重量%、体積平均粒子径0.25μm)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン15部、メタクリル酸メチル35部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(B−1)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度(測定温度30℃)はそれぞれ50%および0.50dl/gであった。
グラフト重合体(B−2):窒素置換した反応器にスチレン−ブタジエンゴムラテックス(スチレン5重量%、体積平均粒子径0.25μm)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン35部、アクリロニトリル15部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(B−2)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度(測定温度30℃)はそれぞれ50%および0.53dl/gであった。
グラフト重合体(B−3):窒素置換した反応器にスチレン−ブタジエンゴムラテックス(スチレン5重量%、体積平均粒子径0.25μm)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン12部、アクリロニトリル5部、メタクリル酸メチル33部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を3時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(B−3)を得た。得られたグラフト共重合体のグラフト率およびアセトン可溶成分の固有粘度(測定温度30℃)はそれぞれ50%および0.49dl/gであった。
共重合体(C)
共重合体(C−1):公知の塊状重合法により、スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部からなる共重合体(C−1)を得た。
共重合体(C−2):公知の塊状重合法により、スチレン30重量部、メタクリル酸メチル70重量部からなる共重合体(C−2)を得た。
ケイ素含有化合物(D)
ケイ素含有化合物(D−1):DC4−7081(東レ・ダウコーニング株式会社製)・・・メタクリロキシ官能基を含有するシリコーン系化合物60部をシリカ粉末40部に担持させたケイ素含有化合物。嵩比重:0.3〜0.5、粒子径:10〜200μm
ケイ素含有化合物(D−2):SH200−100CS(東レ・ダウコーニング株式会社製)・・・ジメチルシリコーンオイル。粘度:100mm/s
ケイ素含有化合物(D−3):BY27−007(東レ・ダウコーニング株式会社製)・・・超高分子量ジメチルシリコーンポリマーとABS樹脂を溶融混練することによって作られたペレット(シリコーン含有量50%)。
<試験例1>
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用いて、以下の評価に供した。その結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
(1)発色性
JIS-Z8729に準拠した色相測定により成形品の明度(L*)を測定し発色性の尺度とした。上記成形品としては、各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用い、射出成形機(日本製鋼所製 J−150EP シリンダー温度:200℃ 金型温度:80℃)にて成形された成形品(150mm×120mm×3mm)を用いた。分光光度計は、(株)村上色彩研究所社製 CMS−35SPを用いた。
(2)耐傷付き性
往復磨耗試験機(新東科学株式会社製、製品名 トライボギア TYPE:30S)を用い、先端部が直径27mmの圧子にかなきん3号の綿布をセットし、1kg一定荷重下で、成形品表面を50往復(速度600mm/分)摩擦した。上記成形品としては、前記(1)で用いた成形品と同じものを使用した。試験後、目視にて成形品の表面の傷を確認し、下記の判定により耐傷付き性の評価を行った。
傷が全く見られない:◎
傷がほとんど見られない:○
傷がかすかに見られる:△
傷が明確に見られる:×
(3)金型汚染性
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用い、日本製鋼所製J−150EPを用い、シリンダー設定温度240℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒にて、平板試験片(縦150mm、横150mm、厚さ3mm)を1000ショット射出成形後、下記の判定により金型汚染性の評価を行った。
金型表面に変化が見られない;○
金型表面に曇りが見られる; △
金型表面が極めて汚れ、成形品の外観が悪い;×
(4)耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用い、ISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、耐衝撃性を測定した。耐衝撃性は、ISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
(5)流動性
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用い、ISO1133に準拠してメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm/10分
表1に示すように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、物性バランスや発色性に優れるだけでなく、耐傷付き性および金型汚染性に優れることがわかる。特に、グラフト共重合体(B)としてアクリル酸エステル系単量体を用いた場合は、物性バランスだけでなく耐傷付き性が特に優れる結果となる。
表2に示すように、特定構造を持つケイ素含有化合物を用いていない比較例1は耐傷付き性に劣ることがわかる。また、シリコーンオイルを用いた比較例5では耐傷付き性は良いが、シリコーンオイルがブリードアウトして成形時に金型汚染を引き起こしてしまった。シリコーンポリマーとABSをブレンドして得られたペレットを用いた比較例6では、耐傷付き性や物性バランスは良いが、発色性と金型汚染性が劣っていた。アクリル系樹脂(A)の使用量が少ない比較例2は発色性と耐傷付き性に劣り、使用量が多い比較例3は耐衝撃性に劣っていた。グラフト共重合体(B)の使用量が多い比較例4は耐傷付き性と流動性に劣っていた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の優れた特性を活かして、電気・電子機器分野、OA機器分野等をはじめとした広範な分野で利用することができる。特に、優れた物性バランスと発色性、耐傷付き性を両立させる用途に好適である。

Claims (4)

  1. 1)ポリメタクリル酸アルキルエステル又は2)メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体(A)20〜80重量部、
    ゴム状重合体30〜85重量%の存在下に芳香族ビニル系単量体2〜30重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体13〜68重量%、シアン化ビニル系単量体0〜40重量%、その他の共重合可能な他の単量体0〜40重量%をグラフト重合することで得られるグラフト共重合体(B)(重量%はグラフト共重合体(B)を基準(100重量%とする))15〜50重量部、
    芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体とを共重合させた重合体(C)5〜65重量部
    を含む樹脂組成物100重量部に対して、
    シリコーン系化合物をシリカ粉末に担持させたケイ素含有化合物(D)を0.1〜10重量部含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ケイ素含有化合物(D)の体積平均粒子径が5〜250μmであり、嵩比重が0.1〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物
  3. ケイ素含有化合物(D)に含まれるシリコーン系化合物が分子中もしくは分子末端にメタクリロキシ基を含み、ケイ素含有化合物100重量部中にシリコーン化合物が40〜80重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする樹脂成形品
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