JP6290578B2 - メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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本発明は、耐傷付き性、耐衝撃性および流動性の物性バランスに優れるだけでなく、高光輝感を有するメタリック調外観を達成できるメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ABS樹脂は、耐衝撃性及び加工性のバランスに優れた樹脂であり、自動車等の車両用内外装品、各種家電製品やOA機器のハウジング、その他雑貨分野等、幅広い分野に使用されている。しかしながら、製品化の段階において、樹脂を成形して得られた成形品を、例えば組み立てラインまで輸送する際、細かな擦過傷を防止する目的で柔らかい不織布等で前記成形品を一つずつ梱包する場合があるため、多大な手間とコストが必要とされる。
また、樹脂製品に様々な意匠を付与したり、使用時の製品の傷付きを防止する目的で、製品に全塗装又は部分塗装を施す場合がある。しかしながら、塗装処理は塗装不良による生産の歩留まり低下を生じやすいという問題点がある。できるだけ塗装処理を施すことなく、鮮やかな色又は深みのある色に着色したり、金属調又はパール調の外観を持たせること等ができるように、意匠性を付与しやすく、且つ傷の付きにくい樹脂が望まれている。
一方、自動車業界においては、自動車内装に対するユーザーのニーズが多様化し、内装樹脂部品に対し、メタリック調、木目調、ファブリック調等の加飾が施されるようになってきている。このような樹脂加飾部品の中でとりわけ市場要求の高いものの一つとして、光輝感のあるメタリック調の樹脂加飾部品がある。
従来、このようなメタリック調の樹脂加飾部品の多くは、光輝感を充分なものとするために、塗装により加飾されることが多かった。しかし、塗装工程で用いられる塗料には、そのままでは環境に影響を及ぼすおそれのある揮発性有機化合物(以下、VOC(volatile organic compounds))が含まれ、また作業工数自体も増加するという問題があった。
そこで、昨今では、予め着色材や光輝材料を混練した着色樹脂材料を用いて成形することで、塗装工程を省くことがなされている。このような樹脂加飾部品の無塗装化は、塗料の使用量を削減し、VOCの放出あるいは発生を低減し、更には塗装工程廃止による省エネルギーや塗膜除去の必要性が無いため樹脂部品のリサイクル性を向上させるので、非常に有効である。
特定の構造を持つスチレン系樹脂にポリエチレンワックス又はシリコーンオイルを適量添加することにより、耐傷付き性を向上させる方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、メタリック外観は不十分である。さらに、シリコーンオイルがブリードアウトし、金型汚染性に劣るという問題がある。また、特定の粒子径分布を有するゴム強化スチレン系樹脂に、特定の窒素含有化合物を添加することで、傷付き性を改善できる方法が開示されている(特許文献2)。しかし、耐傷付き性およびメタリック調外観が不十分であるだけでなく、添加剤を必須とするためコストが余計に掛かるという問題がある。
特開2000−119477号公報
特開2000−191866号公報
本発明の目的は、耐傷付き性、耐衝撃性および流動性の物性バランスに優れるだけでなく、高光輝感を有するメタリック調外観を達成できるメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、グラフト共重合体を構成するゴム状重合体のゴム粒子径とグラフト率を特定範囲に限定することにより、塗装を行なうことなく、上記目的を達成できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部に対して、メタリック充填材(C)を0.05〜5重量部用いたメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物であって、粒子径0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50〜90重量%、粒子径0.2μm以上の粒子が10〜50重量%である重量分率を有するゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b) をグラフト共重合して得られ、グラフト率が70〜150%であるグラフト共重合体(A)が分散相を、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b)を共重合して得られた共重合体(B)が連続相を構成し、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部中にゴム状重合体(a)が5〜24重量部含むことを特徴とするメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明により、耐傷付き性、耐衝撃性および流動性の物性バランスに優れるだけでなく、高光輝感を有するメタリック調外観を達成できる熱可塑性樹脂組成物を得ることが出来る。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明はグラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部に対して、メタリック充填材(C)を0.05〜5重量部用いたメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物であって、粒子径0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50〜90重量%、粒子径0.2μm以上の粒子が10〜50重量%である重量分率を有するゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b)をグラフト共重合して得られ、グラフト率が70〜150%であるグラフト共重合体(A)が分散相を、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b)を共重合して得られた共重合体(B)が連続相を構成し、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部中にゴム状重合体(a)が5〜24重量部含むことを特徴とするメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物の分散相を構成するグラフト共重合体(A)に用いられるゴム状重合体(a)としては、特に制限はないが、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルアクリレート−ブタジエン等のジエン系ゴム、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブチルゴム、ポリオルガノシロキサン−アクリル酸ブチル複合ゴム等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のポリオレフィン系ゴム重合体、ポリオルガノシロキサン系ゴム等のシリコン系ゴム重合体が挙げられ、これらは、1種又は2種以上用いることができる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリル酸ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが好ましい。
グラフト共重合体(A)で用いられるゴム状重合体(a)は、粒子径0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50〜90重量%、粒子径0.2μm以上の粒子が10〜50重量%となるような粒子の重量分率を有している必要がある。0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50重量%未満の場合はメタリック調外観の光輝感に劣り、90重量%を超えると耐衝撃性に劣る。0.05μm以上0.2μm未満の粒子は55〜85重量%であることが好ましく、60〜80重量%であることがより好ましい。0.2μm以上の粒子が10重量%未満の場合は耐衝撃性に劣り、50重量%以上の場合は耐傷付き性、メタリック調外観の光輝感が劣る。メタリック調外観の光輝感と耐衝撃性のバランスの観点から0.2μm以上の粒子は15〜45重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。また、粒子径が0.2μm以上の粒子に関して、耐傷付き性の観点から、0.2μm以上0.4μm未満の粒子が10〜50重量%であることが好ましく、15〜45重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることが特に好ましい。
ゴム状重合体(a)の粒子の重量分率は、ゴム状重合体を四酸化オスミウム等によって染色し、透過型電子顕微鏡を用いて透過写真を撮影し、ゴム状分散粒子500〜1000個の粒子を測定することで求めることができる。
粒子径0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50〜90重量%、粒子径0.2μm以上の粒子が10〜50重量%となるような粒子の重量分率を有しているゴム状重合体(a)は、重合条件などを適宜調節することで得ることが出来るが、異なる粒子の重量分率を有するゴム状重合体を混合することで、目的の粒子の重量分率となるように調整したゴム状重合体であっても良い。
グラフト共重合体(A)に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン及びジメチルスチレン等を例示でき、1種又は2種以上用いることができる。芳香族ビニル系単量体として、特にスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(A)に用いられるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等を例示でき、1種又は2種以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体として、特にアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(A)に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等を例示でき、1種又は2種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、特にメチルメタアクリレートが好ましい。
また、グラフト共重合体(A)に用いられるその他の共重合可能な単量体としては、例えば、マレイミド系単量体(例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等)、不飽和カルボン酸またはその無水物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸無水物等)、及びアミド系単量体(例えば、アクリルアミド及びメタクリルアミド等)等を使用することができ、それぞれ1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物の分散相を構成するグラフト共重合体(A)はゴム状重合体(a)の存在下で単量体(b)をグラフト共重合することで得られるが、グラフト共重合体(A)のグラフト率は70〜150%であることが必要である。グラフト率が70%未満の場合はメタリック調外観の光輝感、耐傷付き性に劣り、150%を超えると耐衝撃性、流動性に劣る。グラフト共重合体(A)のグラフト率は80〜130%であることが好ましく、90〜110%であることがより好ましい。
グラフト共重合体(A)のグラフト率は、グラフト共重合体の赤外吸収スペクトルを測定することで求めることが出来る。具体的にはグラフト共重合体のアセトン可溶分を除去して、グラフト共重合体の不溶分から構成されるフィルムを作成し、赤外分光装置を用いてフィルムの赤外吸収スペクトルを測定することで、グラフト共重合体の構成物質及び構成比率を求めることが出来る。グラフト共重合体の構成比率が得られると、下記式にて計算を行うことでグラフト率を求めることが出来る。
グラフト率(%)=(単量体(b)に関する成分(重量%)/ゴム状重合体(a)に関する成分(重量%))×100
ただし、単量体(b)に関する成分とゴム状重合体(a)に関する成分の合計を100重量%とする。
グラフト共重合体(A)のグラフト率の測定に関して、メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)のグラフト率を求める場合は、熱可塑性樹脂組成物のアセトン不溶分がグラフト共重合体(A)に相当するため、アセトン不溶分の赤外吸収スペクトルを測定することで、上記と同様の方法により、メタリック調成形品用熱可塑性樹脂中に存在するグラフト共重合体(A)のグラフト率を求めることが出来る。
グラフト共重合体(A)の重合方法については特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせにより製造することができるが乳化重合により製造を行う事が好ましい。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物の連続相を構成する共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体を含む群から選択される1種以上の単量体(b)を重合することで得られる共重合体であるが、用いられる単量体はグラフト共重合体(A)で用いられる例として述べられている各単量体と同様のものを用いることが出来る。用いられる単量体の種類や使用比率に関しては、求められる物性に応じて適宜調節をすれば良い。また、共重合体(B)はグラフト共重合体(A)のグラフト共重合の際に、ゴム状重合体(a)に共重合しなかった単量体の共重合体を含んでいても良い。
共重合体(B)の重合方法については特に制限はなく、公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせにより製造することができる。それぞれの重合方法で得られた重合体を組み合わせても良く、重合方法や組成比率の異なる一種又は二種以上の共重合体を組み合わせても良い。
本発明で用いられる共重合体(B)として、マレイミド系単量体を含む共重合体を樹脂組成物中に1〜30重量部含む場合は、耐傷付き性、耐衝撃性および流動性の物性バランスに優れ、高光輝感を有するメタリック調外観を達成できるだけでなく耐熱性を付与したメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物を得る事ができる。より好ましくは5〜20重量部含むことである。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は分散相であるグラフト共重合体(A)と連続相である共重合体(B)から構成されるが、熱可塑性樹脂組成物100重量部中にゴム状重合体(a)が5〜24重量部含まれている限り、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の使用割合に制限は無い。つまり、グラフト共重合体(A)のグラフト共重合の際に副生成される共重合体が連続相となる場合は共重合体(B)を用いなくても良い。ゴム状重合体が5重量部未満では耐衝撃性に劣り、24重量部を超えると耐傷付き性、流動性に劣る。物性バランスの観点から、ゴム状重合体は7〜20重量部含まれていることが好ましく、10〜17重量部含まれていることがより好ましい。
メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、粒子径の重量分率が異なる2種以上のゴム状重合体をそれぞれ別々にグラフト重合することで、2種以上のグラフト共重合体を作成し、これらグラフト共重合体を本願規定のゴム状重合体の粒子径の重量分率を満たすような割合で用い、共重合体と溶融混練させることで得られた熱可塑性樹脂組成物であってもよい。ただし、その場合は個々のグラフト共重合体のグラフト率が70〜150%である必要がある。
メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物の連続相(アセトン可溶分)の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)に特に制限はなく、要求性能によって任意の値のものを使用することができるが、物性バランスの観点から0.2〜2.0dl/gであることが好ましく、0.3〜1.5dl/gであることがより好ましい。
本発明で使用されるメタリック充填材(C)は、熱可塑性樹脂組成物にメタリック調の色調を付与する機能を有するものであり、例えば、アルミニウム箔やガラスフレークに金属被覆を施した等の偏平形状の、所謂メタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミニウム顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、ブロンズ色調を得るための銅、真鍮粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどが挙げられる。上記の無機物の多面体粒子としてはガラス、ガラスの薄膜を粉砕したもの、あるいは金属などが挙げられる。金属としては、Ni、Al、Ag、Cu、Cr、Zn、Sn、Pb、Co、Fe、Mo、Mn、W、Au、Ti、Sb、Si、Pt、Mg等が挙げられ、これらから選ばれた少なくとも1種からなる金属、あるいはこれらのアロイ、酸化物、窒化物、硫化物等の化合物及びこれらの混合物からなるものを用いることができる。
このように、メタリック充填材(C)は、金属、又は金属化合物そのものであったり、あるいはガラスやマイカなどに金属、金属化合物をメッキ、蒸着、その他の方法で付着させたものである。また金属面の保護のために脂肪酸等の有機物で被覆したり酸化チタン、シリカ等で覆ったりしたものも含まれ、用いるメタリック充填材(C)によって得られるメタリック調樹脂成形品の色調が異なるものとなるため、メタリック充填材(C)は所望の色調に応じて適宜選択使用される。また、メタリック充填材(C)以外に、通常、樹脂に配合される既存の着色剤と、これらのメタリック充填材(C)とを組み合わせ、それぞれの種類、量を適宜調整することによって、所望の色調にすることも可能である。
このようなメタリック充填材(C)の混合割合が過度に多いと成形不良、物性の低下の原因となり、逆に過度に少ないとメタリック充填材(C)による十分な色調が得られないことから、メタリック充填材(C)の配合量はグラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部に対して0.05〜5.0重量部であることが必要である。好ましくは0.1〜3.0重量部である。
上述のメタリック充填材(C)は通常では微粉末状で存在しているため、粉塵爆発の危険性や作業環境改善等の観点から取り扱いが難しい面があるため、必要に応じてスチレン系樹脂等に予め混練したいわゆるマスターバッチ化したメタリック充填材(C)を用いても良い。マスターバッチ中に含まれるメタリック充填材(C)の量に特に制限はないが、10〜90重量%であることが好ましい。
本発明では、メタリック調成形品の光輝感の評価を、フリップフロップ性(以下FF性と呼ぶ)を評価することで行っている。FF性とは、見る角度によって明るさ、色合が変化して見える現象の事を示し、樹脂成形品の光輝感を評価できる指標となる。メタリック調成形品は基本的には鏡面反射成分の強い仕上げ面を有するものであるため、角度が異なる光源それぞれの反射成分の明度を比較することでメタリック調成形品から発現される光輝感を評価できることになる。本実施例では、次式(1)を用いてFF性を評価する指標(以下、FF値と呼ぶ)を求めて、光輝感の評価を行った。
FF値=ハイライト時の明度(25°)/シェード時の明度(75°)・・・(1)
式(1)における25°、75°のそれぞれの角度は、測定試料(樹脂成形品)が平面上に置かれたとして、その鉛直方向を基準(0°)とした場合の角度を示す。上述したようにメタリック調成形品は基本的には鏡面反射成分の強い仕上げ面を有する。よって、ハイライト方向(25°)の光源に対する鏡面反射成分は強く、シェード方向(75℃)は拡散反射光成分が弱いので、ハイライト時とシェード時の明度の比率であるFF値で光輝感の高さを評価できる。この評価では、FF値が高いほど、光輝感が優れるということになる。
FF値を求めるための反射成分の明度の測定方法としては、所謂、変角測色測定法を使用し、式(1)におけるハイライト時の明度(25°)及びシェード時の明度(75°)を求めることができる。なお、測定を行うための測定機器としては、コニカミノルタ社製の分光測色計(CM−512m3)が例示される。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤、例えば公知の酸化防止剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、艶消し剤、充填剤、ガラス繊維、ポリエチレンワックスやシリコーンオイル等の耐傷付き性改良剤等を適宜添加することができる。
メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は単独で使用できるが、必要に応じて他の熱可塑性樹脂と混合して使用することもできる。このような他の熱可塑性樹脂として、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂等を使用することができる。
メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
さらに、メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、公知の成形方法、例えば押出成型、射出成形、ブロー成形及びプレス成形等により成形することができ、種々の成形品を製造することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」及び「%」は重量に基づくものである。
<試験例>
表3に示す組成割合のグラフト共重合体(A)、共重合体(B)及びメタリック充填材(C)を混合した。ベント付50mm単軸押出機(オーエヌ機械製)を用い、シリンダー温度210℃にて溶融混合し、ペレット化することによって、メタリック調に着色されたペレットを得た。なお、表1及び表2で示す各成分は以下の通りである。
ゴム状重合体ラテックス(a−1)の製造
耐圧容器に、1,3−ブタジエン93部、スチレン7部、n−ドデシルメルカプタン0.5部、過硫酸カリウム0.24部、ロジン酸ナトリウム1.5部、水酸化ナトリウム0.1部及び脱イオン水150部を仕込み、70℃で15時間反応させた後、冷却して反応を終了させることで、ゴム状重合体ラテックス(a−1)を得た。得られたゴム状重合体ラテックス(a−1)を、四酸化オスミウム(OsO)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影をした。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、ゴム状重合体(a−1)の重量平均粒子径及び重量分率を算出した。重量平均粒子径及び重量分率を表1に示す。
ゴム状重合体ラテックス(a−2)〜(a−4)の製造
上記で得られたゴム状重合体ラテックス(a−1)を用いてゴム粒子の凝集肥大化処理を行った。撹拌槽にゴム状重合体ラテックス(a−1)270部、10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.09部を添加して10分間撹拌した後、5%リン酸水溶液0.8部を10分間に亘り添加した。その後、10%水酸化カリウム水溶液1部を添加することで、重量平均粒子径が0.25μmであるゴム状重合体ラテックス(a−2)を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を調節することで、ゴム状重合体ラテックス(a−3)〜(a−4)を得た。上述の方法で、得られたゴム状重合体ラテックスの重量平均粒子径と重量分率を測定した。測定結果を表1に示す。
ゴム状重合体ラテックス(a−5)〜(a−9)の製造
表1に示す構成比でゴム状重合体ラテックス(a−1)〜(a−4)を混合することにより、ゴム状重合体ラテックス(a−5)〜(a−9)を得た。(重量比は固形分換算である。)
グラフト共重合体(A−1)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−1)を得た。
グラフト共重合体(A−1)の一定量をアセトン中に投入し、振とう機で2時間振とうし、グラフト共重合体を浸漬させた。遠心分離器を用いて、この溶液を15,000rpmで30分間、遠心分離した後に、真空乾燥により常温で一昼夜乾燥し、アセトン不溶分を得た。得られたアセトン不溶分をフィルム化して赤外分光分析装置(装置名:Spectrum One Perkin Elmer社製)を用いて、赤外吸収スペクトルからスチレン−ブタジエンゴム、スチレン、アクリロニトリルの重量比率を同定した。各成分の重量比率からグラフト率を算出した。
上記で得られたグラフト共重合体(A−1)のアセトン可溶分を乾燥後、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100ccの濃度の溶液としたのち、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃の流下時間を測定することにより還元粘度を求めた。
得られたグラフト共重合体(A−1)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度はそれぞれ91%及び0.40dl/gであった。
グラフト共重合体(A−2)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−6)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−2)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−2)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は89%、還元粘度は0.39dl/gであった。
グラフト共重合体(A−3)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−3)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−3)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は130%、還元粘度は0.39dl/gであった。
グラフト共重合体(A−4)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン21部、メタクリル酸メチル49部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−4)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−4)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は81%、還元粘度は0.37dl/gであった。
グラフト共重合体(A−5)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)20部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン56部、アクリロニトリル24部、t−ドデシルメルカプタン0.4部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−5)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−5)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は75%、還元粘度は0.36dl/gであった。
グラフト共重合体(A−6)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)48部(固形分)、水140部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン39部、アクリロニトリル13部、t−ドデシルメルカプタン0.6部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−6)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−6)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は40%、還元粘度は0.39dl/gであった。
グラフト共重合体(A−7)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−5)20部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン56部、アクリロニトリル24部、及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−7)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−7)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は170%、還元粘度は0.44dl/gであった。
グラフト共重合体(A−8)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−7)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−8)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−8)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は95%、還元粘度は0.41dl/gであった。
グラフト共重合体(A−9)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−8)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−9)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−9)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は87%、還元粘度は0.38dl/gであった。
グラフト共重合体(A−10)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−9)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部及びキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部及び水15部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加した。添加終了後さらに60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥することでグラフト共重合体(A−10)を得た。上述の方法により、得られたグラフト共重合体(A−10)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は98%、還元粘度は0.41dl/gであった。
グラフト共重合体(A−11)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−1)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部を4時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(A−11)を得た。得られたグラフト共重合体(A−11)のグラフト率およびアセトン可溶成分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は93%、還元粘度は0.40dl/gであった。
グラフト共重合体(A−12)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−2)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.28部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部を4時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(A−12)を得た。得られたグラフト共重合体(A−12)のグラフト率およびアセトン可溶成分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は89%、還元粘度は0.39dl/gであった。
グラフト共重合体(A−13)の製造
窒素置換した反応器にゴム状重合体ラテックス(a−2)30部(固形分)、水160部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第1鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を入れ、60℃に加熱後、スチレン49部、アクリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.3部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物とオレイン酸カリウム1.5部を4時間に亘り連続的に添加し、更に60℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト共重合体(A−13)を得た。得られたグラフト共重合体(A−13)のグラフト率およびアセトン可溶成分の還元粘度を測定した結果、グラフト率は93%、還元粘度は0.40dl/gであった。
共重合体(B−1)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(B−1)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B−1)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.60dl/gであった。
共重合体(B−2)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン30重量部、メタクリル酸メチル70重量部からなる共重合体(B−2)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B−2)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.50dl/gであった。
共重合体(B−3)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(B−3)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(B−3)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.44dl/gであった。
共重合体(B−4)
N−フェニルマレイミド45重量部、スチレン55重量部からなり還元粘度が0.39dl/gであるマレイミド系樹脂(電気化学工業(株)製 MS−NIP)
メタリック充填材(C)
メタリック充填材として、平均粒子径が20μmであるアルミフレークの含有量が70重量%であるマスターバッチを用いた。(東洋アルミニウム(株)製 メタックスネオNME020T2)
(1)耐傷付き性
各実施例および比較例で得られた着色ペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:230℃ 金型温度:60℃)にて成形された成形品(90mm×55mm×2.5mm)を得た。往復磨耗試験機(新東科学株式会社製、製品名 トライボギア TYPE:30S)を用い、先端部が直径27mmの圧子にかなきん3号の綿布をセットし、500gの一定荷重下で、成形品表面を20往復(速度600mm/分)摩擦した。試験後、目視にて成形品の表面の傷を確認し、下記の判定により耐傷付き性の評価を行った。
傷が全く見られない:◎
傷がほとんど見られない:○
傷がかすかに見られる:△
傷が明確に見られる:×
(2)耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
(3)流動性
各実施例及び比較例で得られた着色ペレットを用い、ISO1133に準拠して、220℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位;cm/10分
(4)耐熱性
各実施例および比較例で得られた着色ペレットを用いISO試験方法294に準拠して試験片を成形し、耐熱性の測定をした。
耐熱性はISO75に準拠し、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定した。単位:℃
(5)光輝感(FF性)
耐傷付き性の評価で用いた成形品と同じものを用い、コニカミノルタ社製の分光測色計(CM−512m3)を用いた。変角測色測定法を使用してハイライト時の明度(25°)及びシェード時の明度(75°)を測定し、下記式(1)からFF値を求めることで光輝感の評価を行った。FF値が1.8以上で光輝感が良く、2.0を超えると特に光輝感に優れる結果となった。
FF値=ハイライト時の明度(25°)/シェード時の明度(75°)・・・(1)
表3に示すように、本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、耐傷付き性、耐衝撃性、流動性の物性バランスに優れるだけでなく、高光輝感を有するメタリック調外観であることが分かる。特に、ゴム状重合体の重量分率に関して、0.2μm以上0.4μm未満の粒子が10〜50重量%の範囲である場合は耐傷付き性に優れる結果となる。実施例4で示すように、共重合体(B)としてマレイミド系共重合体を用いた場合は耐熱性にも優れる結果となる。また、実施例10及び11で示すように、2種以上のゴム状重合体を別々にグラフト重合し、2種以上のグラフト共重合体を用いた場合でも、グラフト率やゴム状重合体粒子の重量分率の規定を満たしている限り、本願の目的を達成することができる。
表3に示すように、メタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物中のゴム含有量が5重量部よりも少ない比較例1は耐衝撃性に劣った。ゴム含有量が24重量部よりも多い比較例2は耐傷付き性、流動性及び光輝感に劣った。グラフト率が70%未満であるグラフト共重合体(A−6)を用いた比較例3は耐傷付き性及び光輝感に劣った。グラフト率が150%を超えたグラフト共重合体(A−7)を用いた比較例4は耐衝撃性及び流動性に劣った。0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50重量%未満であり、0.2μm以上の粒子が50重量%以上であるゴム状重合体(a−8)、(a−9)を用いた比較例5及び6は光輝感に劣った。
本発明のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物は、上記の優れた特性を活かして、自動車の内装部品、自動二輪における部品や、電気・電子機器分野、OA機器分野などをはじめとした広範な分野で利用することができる。特に優れた物性バランスと耐傷付き性、高光輝感を有するメタリック調外観を両立させる用途に好適である。

Claims (3)

  1. グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部に対して、メタリック充填材(C)を0.05〜5重量部用いたメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物であって、粒子径0.05μm以上0.2μm未満の粒子が50〜90重量%、粒子径0.2μm以上の粒子が10〜50重量%である重量分率を有するゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b)をグラフト共重合して得られ、グラフト率が70〜150%であるグラフト共重合体(A)が分散相を、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びその他の共重合可能な単量体からなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(b)を共重合して得られた共重合体(B)が連続相を構成し、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部中にゴム状重合体(a)が5〜24重量部含むことを特徴とするメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物。
  2. グラフト共重合体(A)と共重合体(B)の合計100重量部中に、その他の共重合可能な単量体としてマレイミド系単量体を共重合させた共重合体(B)を1〜30重量部含むことを特徴とする請求項1に記載のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のメタリック調成形品用熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品

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