JP3225709B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3225709B2
JP3225709B2 JP24721093A JP24721093A JP3225709B2 JP 3225709 B2 JP3225709 B2 JP 3225709B2 JP 24721093 A JP24721093 A JP 24721093A JP 24721093 A JP24721093 A JP 24721093A JP 3225709 B2 JP3225709 B2 JP 3225709B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制電性樹脂組成物に関
し、特に永久帯電防止性を有し、かつ、耐衝撃性、耐薬
品性および成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系熱可塑性樹脂は、その優れた
特性によって広範な分野で使用されている。これらの材
料は材料の持つ機械的強度に加え、帯電防止性を付与さ
れればさらにその用途を拡大することができる。すなわ
ち、静電気による障害を防止したい複写機、各種防塵用
部品などへの用途展開が可能となる。
【0003】スチレン系熱可塑性樹脂の制電性を向上さ
せる方法として、特開平1−163250号公報にはポ
リエーテルエステルアミドとスチレン系熱可塑性樹脂を
混合することにより、制電性を有する樹脂が得られるこ
とが記載されている。
【0004】一方、特開平5−93110号公報には、
ABS樹脂とポリプロピレン、エチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体ゴム、不飽和カルボン酸でグラフト
変性した変性ポリオレフィンおよびヒドロキシル基を有
する芳香族系ビニル多元共重合体を混合することによ
り、耐衝撃性の優れた樹脂組成物が得られることが記載
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開平1
−163250号公報に記載されている制電性樹脂は、
耐薬品性に欠点があり、十分満足できるものではない。
【0006】一方、特開平5−93110号公報記載の
組成物は、機械的特性が改良されているのみで帯電防止
性は全くない。
【0007】本発明は上記従来例における問題点の解消
を課題とするものであり、永久帯電防止性を有し、か
つ、耐衝撃性、耐薬品性および成形加工性に優れたスチ
レン系熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は (A)スチレン系熱可塑性樹脂 (B)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムおよびポ
リプロピレン樹脂にα,β−不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体を0.1〜15重量%グラフト重合させた変性
ポリオレフィン樹脂組成物および (C)ポリエーテルエステルアミド からなり、成分(A)と成分(B)の重量配合比(A)
/(B)が5〜95/95〜5重量部であり、かつ成分
(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、
成分(C)の配合量が1〜70重量部である熱可塑性樹
脂組成物によって達成される。
【0009】以下本発明を具体的に説明する。
【0010】本発明における(A)スチレン系熱可塑性
樹脂とはスチレン単位を10重量%以上含む(共)重合
体、ゴム質重合体1〜80重量部にスチレン10重量%
以上含む単量体または単量体混合物99〜20重量部を
グラフト重合してなるグラフト(共)重合体およびそれ
らの混合物である。
【0011】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、具体的にはポリブタ
ジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブ
ロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合
体およびそれらの水素添加物等のジエン系ゴム、ポリア
クリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、ポリイソプレン、
ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系モ
ノマ三元共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられ
る。
【0012】本発明における(A)スチレン系熱可塑性
樹脂としては、具体的にはポリスチレン、ゴム変性ポリ
スチレン(HI−PS樹脂)、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニト
リル共重合体(ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、
ACS樹脂)などが挙げられる。これらは2種以上用い
ることもできる。さらにこれらのスチレンの一部、およ
び/またはアクリロニトリルの一部または全部をα−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルス
チレン、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピ
ル、n−ブチルなどのエステル化合物、マレイミド、N
−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−フェニルマレイミド系単量体等のスチレンと共重合
可能なビニル系単量体に置換されているものも含まれ
る。ここで、スチレン系熱可塑性樹脂としては、特にA
S樹脂、HI−PS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、A
AS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂などが好ましく用い
られる。その場合、ゴム質重合体は樹脂組成物中に通常
40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
(A)スチレン系熱可塑性樹脂の製造法にも制限はな
く、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−懸濁
重合法などの通常の方法を用いることができる。
【0013】本発明において用いる(B)エチレン・α
−オレフィン共重合体ゴムおよびポリプロピレン樹脂に
α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体を0.1〜
15重量%グラフト重合させた変性ポリオレフィン樹脂
組成物(以下、変性ポリオレフィン樹脂組成物と略称す
る)の構成成分(B−1)エチレン・α−オレフィン共
重合体ゴムは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体
であり、エチレンから誘導される繰り返し単位とα−オ
レフィンから誘導される繰り返し単位とはランダムに結
合している。
【0014】このようなα−オレフィンの例としては、
プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、2−メチルブ
テン−1、3−メチルブテン−1、ヘキセン−1、3−
メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、3,3
−ジメチルブテン−1、ヘプテン−1、メチルヘキセン
−1、ジメチルペンテン−1、トリメチルブテン−1、
エチルペンテン−1、オクテン−1、メチルペンテン−
1、ジメチルヘキセン−1、トリメチルペンテン−1、
エチルヘキセン−1、メチルエチルペンテン−1、ジエ
チルブテン−1、プロピルペンテン−1、デセン−1、
メチルノネン−1、ジメチルオクテン−1、トリメチル
オクテン−1、トリメチルヘブテン−1、エチルオクテ
ン−1、メチルエチルヘプテン−1、ジエチルヘキセン
−1、ドデセン−1およびヘキサデセン−1などのα−
オレフィンを挙げることができる。
【0015】ここでエチレンから誘導される繰り返し単
位の含有率は、通常は95モル%以下、好ましくは3モ
ル%以上90モル%以下である。このようなエチレン・
プロピレンランダム共重合体ゴムは低結晶性または非晶
性である。
【0016】さらに、この(B−1)エチレン・α−オ
レフィン共重合体ゴムの220℃で測定したメルトイン
デックスは、通常は0.01〜100g/10分、好ま
しくは0.05〜50g/10分である。
【0017】変性ポリオレフィン樹脂組成物の一方の構
成成分である(B−2)ポリプロピレン樹脂は、一般に
市販されているポリプロピレンの単独重合体、ポリプロ
ピレンの特性を損なわない範囲内で他のα−オレフィン
を共重合したプロピレン・α−オレフィン共重合体が挙
げられ、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。さ
らに、この(B−2)ポリプロピレン樹脂の220℃で
測定したメルトインデックスは、通常は0.01〜10
0g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分で
ある。
【0018】本発明においては、上記の(B−1)エチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴムと(B−2)ポリプ
ロピレン樹脂とは、(B−1)エチレン・α−オレフィ
ン共重合体ゴムと(B−2)ポリプロピレン樹脂とを、
70:30〜1:99の範囲内の重量比で配合すること
が好ましい。
【0019】変性ポリオレフィン樹脂組成物の他方の構
成成分であるα,β−不飽和カルボン酸およびその誘導
体の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレ
イン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、
グルタコン酸、マレイン酸水素メチル、イタコン酸水素
メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、
イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水フマル酸、
無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−
[2,2,1]−5−ヘプテン2,3−ジカルボン酸、
エンドビシクロ−[2,2,1]−5−ヘプテン−2,
3−無水ジカルボン酸を挙げることができる。特に無水
マレイン酸が好ましく用いられる。
【0020】これらの官能基含有成分を導入する方法
は、特に制限はなく、公知のポリオレフィンにグラフト
重合する方法を用いることができる。
【0021】官能基含有成分の導入量は全構成成分に対
して0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量
%の範囲内が適当である。
【0022】官能基含有成分量が0.1重量%未満では
ゴム強化スチレン系樹脂との親和性が不十分で緊密な混
合状態の組成物が得られないので好ましくなく、一方官
能基含有成分量が15重量%を越えるとポリオレフィン
の安定性が低下し、ゲル化などの副反応が生成しやすく
なるので好ましくない。
【0023】本発明における(B)変性ポリオレフィン
樹脂組成物は、通常の方法で調製される。(B−1)エ
チレン・α−オレフィン共重合体ゴムと(B−2)ポリ
プロピレン樹脂の混合物にα,β−不飽和カルボン酸お
よびその誘導体を配合し、通常150〜300℃で押出
機、バンバリーミキサーなどを用いて溶融混練する方法
を利用することができる。また同様の方法を用いて個別
に変性した(B−1)エチレン・α−オレフィン共重合
体ゴムおよび(B−2)ポリプロピレン樹脂の両者を溶
融混練することによっても調製することができる。ま
た、予め調製した高グラフト化率の変性ポリオレフィン
に、グラフト化率が上記範囲内になるように未変性のポ
リオレフィンを配合して調製することもできる。
【0024】さらに、有機過酸化物を併用添加するとグ
ラフト反応が効率的に進行するので一層好ましい。
【0025】本発明における(C)ポリエーテルエステ
ルアミドはポリアミド単位のハード成分とポリエーテル
エステル単位のソフト成分とからなるブロック共重合体
である。
【0026】ポリエーテルエステルアミドのハード成分
を構成するモノマとしては炭素原子数6以上のアミノカ
ルボン酸あるいはラクタム、または炭素原子数6以上の
ジアミンとジカルボン酸の塩が好ましく、具体的にはω
−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミ
ノカプリル酸、アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン
酸および11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデ
カン酸などのアミノカルボン酸、あるいはカプロラクタ
ム、エナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロ
ラクタムなどのラクタムおよびヘキサメチレンジアミン
−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸
およびヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩などの
ジアミン−ジカルボン酸の塩が挙げられ、特にカプロラ
クタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジア
ミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
【0027】ポリエーテルエステルアミドのソフト成分
を構成するポリエーテルとしてはポリ(アルキレンオキ
シド)グリコールが好ましく、具体的にはポリエチレン
グリコール、ポリ(1、2−プロピレンオキシド)グリ
コール、(1、3−プロピレンオキシド)グリコール、
ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘ
キサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシド
とプロピレンオキシオドのブロックまたはランダム共重
合体およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランのブ
ロックまたはランダム共重合体などが挙げられる。これ
らの中でも、制電性が優れる点で、特にポリエチレング
リコールが好ましく用いられる。また、ポリ(アルキレ
ンオキシド)グリコールの数平均分子量は200〜60
00、特に250〜4000の範囲ものが用いられ、数
平均分子量が200未満では得られるポリエーテルエス
テルアミドの機械的性質が劣り、数平均分子量が600
0を越える場合は、帯電防止性が不足するため好ましく
ない。
【0028】またポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ルには本発明の効果を損なわない範囲において一般式
(I)で示されるジオール化合物が共重合されていても
よい。
【0029】
【化1】 (ただし式中、Arは炭素数6〜20の芳香族基および
脂環族基を示し、R1 およびR2 はエチレンオキシド基
またはプロピレンオキシド基を示し、mおよびnは各々
1〜15の整数を示す。) 上記一般式(I)で示されるジオール化合物には次式
(II)〜(IV)で示される化合物およびそのハロゲ
ン誘導体などが含まれる。
【0030】
【化2】
【化3】
【化4】 (ただし式中、R1 およびR2 はエチレンオキシド基ま
たはプロピレンオキシド基を示し、Yは共有結合、炭素
数1〜6のアルキレン基、アルキリデン基、シクロアル
キリデン基、アリールアルキリデン基、O、SO、SO
2 、CO、S、CF2 、C(CF3 2 またはNHを示
す。また、mおよびnは各々1〜15の整数を示す。) 具体的には、好ましいジオール化合物としてはハイドロ
キノンのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAの
エチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエ
チレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオ
キシド付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキ
シド付加物およびそのブロック重合体等であり、特にビ
スフェノールAのエチレンオキシド付加物およびそのブ
ロック重合体が好ましい。
【0031】ポリエーテルエステルアミドのポリエーテ
ルとポリアミドをつなぐジカルボン酸としては炭素原子
数4〜20のジカルボン酸が好ましく、具体的にはテレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,
6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニル−4,4' −ジカルボン酸、ジフェノキ
シエタンジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸ナ
トリウムのごとき芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカル
ボン酸およびシクロヘキシル−4,4' −ジカルボン酸
のごとき脂環族ジカルボン酸およびコハク酸、シュウ
酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジ酸(デカ
ンジカルボン酸)のごとき脂肪族ジカルボン酸などが挙
げられ、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸お
よびドデカンジ酸が重合性、色調および物性の点から好
ましく用いられる。
【0032】ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと
ジカルボン酸は理論上は1:1のモル比で反応するが使
用するジカルボン酸の種類により通常仕込比を変えて供
給される。
【0033】ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと
ジカルボン酸は通常ポリエーテルエステルアミド中90
〜10重量%の範囲で用いられる。
【0034】ポリエーテルエステルアミドの重合方法に
関しては特に限定されず、例えば(イ)(a)アミノカ
ルボン酸、ジカルボン酸/ジアミン塩、またはラクタム
と(c)ジカルボン酸を反応させて両末端がカルボン酸
基のポリアミドプレポリマをつくり、これに(b)ポリ
(アルキレンオキシド)グリコールおよび/またはジオ
ール化合物を真空下に反応させる方法、(ロ)前記
(a)、(b)、(c)の各化合物を反応槽に仕込み、
水の存在下または非存在下に高温で加圧反応させること
により、カルボン酸末端のポリアミドプレポリマを生成
させ、その後常圧または減圧下で重合を進める方法、お
よび(ハ)前記(a)、(b)、(c)の化合物を同時
に反応槽に仕込み溶融混合したのち高真空下で一挙に重
合を進める方法などを利用することができる。
【0035】また、重合触媒についても制限はなく、例
えば三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒、モノブ
チルスズオキシドなどのスズ系触媒、テトラブチルチタ
ネートなどのチタン系触媒、テトラブチルジルコネート
などのジルコネート系触媒などを1種または2種以上使
用することもできる。
【0036】本発明における(A)スチレン系熱可塑性
樹脂と(B)変性ポリオレフィン樹脂組成物の配合割合
は(A)成分が5〜95重量部、好ましくは20〜90
重量部、特に好ましくは30〜90重量部、(B)成分
が95〜5重量部、好ましくは80〜10重量部、特に
好ましくは70〜10重量部である。(B)変性ポリオ
レフィン樹脂組成物が5重量部未満では樹脂組成物の耐
薬品性が不足し、95重量部を越えると樹脂組成物の成
形加工性が劣るため好ましくない。
【0037】(C)ポリエーテルエステルアミドの配合
量は(A)スチレン系熱可塑性樹脂と(B)変性ポリオ
レフィン樹脂組成物の合計100重量部に対して1〜7
0重量部、好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは
5〜30重量部である。(C)ポリエーテルエステルア
ミドが1重量部未満では樹脂組成物の帯電防止性が劣
り、70重量部を越えると樹脂組成物の成形加工性が劣
るため好ましくない。
【0038】本発明の樹脂組成物の製造方法に関しては
特に制限はなく、例えば(A)スチレン系熱可塑性樹脂
と(B)変性ポリオレフィン樹脂組成物、あるいはこれ
らと(C)ポリエーテルエステルアミドの混合物をバン
バリーミキサー、ロール、エクストルーダーなどで溶融
混練することによって製品化される。
【0039】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、
(D)エポキシ基を含有する変性ビニル重合体を添加
し、引張靭性などの機械的性質を改善することができ
る。
【0040】本発明における(D)エポキシ基を含有す
る変性ビニル重合体(以下、変性ビニル重合体と略称す
る)とは、エポキシ基含有単量体および他の共重合可能
なビニル単量体からなる共重合体である。エポキシ基含
有単量体としてはアクリル酸グリシジル、メタアクリル
酸グリシジルなどが挙げられ、特にメタアクリル酸グリ
シジルが好ましい。他の共重合可能なビニル単量体とし
ては芳香族ビニルとしてスチレン、α−メチルスチレン
が好ましい。シアン化ビニルとしてアクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどが挙げられ、特にアクリロニト
リルが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸エステルと
してはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。
【0041】(D)変性ビニル重合体の共重合比として
は、エポキシ基含有単量体0.1〜80重量%、他の共
重合可能なビニル単量体20〜99.9重量%を共重合
してなる共重合体である。
【0042】官能基含有成分の導入量は全構成成分に対
して0.1〜80重量%、好ましくは1〜75重量%の
範囲が適当である。
【0043】(D)変性ビニル重合体の製造方法に関し
ては、特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状−懸
濁重合、懸濁重合、乳化重合など、公知の方法が用いら
れる。
【0044】本発明の樹脂組成物は本発明の目的を損な
わない範囲で、他の熱可塑性重合体、例えば塩化ビニル
樹脂、PMMA,ポリアミド、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンスルフィド、などを混合して、成形
用樹脂としての性能を改良することができる。
【0045】また目的に応じて顔料や染料、ガラス繊
維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維などの補強材や
充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、および難燃剤などを添
加することもできる。
【0046】本発明の樹脂組成物の成形法は特に限定さ
れず、射出成形、押出成形(チューブ、パイプ、シート
など)、ブロー成形(ダイレクトブロー、インゼクショ
ンブロー、多層ブローなど)、真空成形、圧縮成形など
の成形加工法により各種の部品、製品にすることができ
る。
【0047】さらに、接着、ラベリング、印刷、塗装、
ウエルディング、切削などの後加工処理を付与すること
もできる。
【0048】用途についても特に限定はないが、自動
車、化学プラント、航空、宇宙、機械、電気、電子用の
部品、素材として使用できる。
【0049】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
さらに詳しく説明する。
【0050】なお、以下の部数および%はそれぞれ重量
部および重量%を表す。
【0051】参考例 (1)スチレン系熱可塑性樹脂の調製 A−1:ポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.2
5μ、ゲル含率80%)30部(固形分換算)の存在下
で、スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる
単量体混合物70部を乳化重合した。
【0052】得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固
し、苛性ソーダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダー
状のグラフト共重合体(A−1)を調製した。
【0053】A−2:A−1で使用したポリブタジエン
ラテックス40部(固形分換算)の存在下でメタクリル
酸メチル15%、スチレン65%、アクリロニトリル2
0%からなる単量体混合物60部を乳化重合した後、A
−1と同様にしてパウダー状のグラフト共重合体(A−
2)を調製した。
【0054】A−3:ポリブタジエンゴム20部をスチ
レン70部とアクリロニトリル10部に溶解した後、塊
状重合してグラフト共重合体(A−3)を調製した。
【0055】(2)変性ポリオレフィン樹脂組成物の調
製 B−1:エチレン・プロピレンゴム(メルトインデック
ス1.5g/10分)60部、ポリプロピレン(メルト
インデックス5g/10分)40部、無水マレイン酸
3.5部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル
パーオキシ)−ヘキサン0.5部の混合物をベント付き
2軸押出機を用いて、180℃で溶融混練、吐出冷却後
ペレット化し、変性ポリオレフィン樹脂組成物(B−
1)を調整した。 B−2:B−1で使用したエチレン
・プロピレンゴム30部、ポリプロピレン70部、無水
マレイン酸1部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)−ヘキサン0.2部の混合物を、B
−1と同様にしてペレット状の変性ポリオレフィン樹脂
組成物(B−2)を調製した。
【0056】(3)(C):ポリエ−テルエステルアミ
ドの調製 C−1:カプロラクタム50部、数平均分子量が100
0のポリエチレングリコール44.2部およびテレフタ
ル酸7.6部を“イルガノックス”1098(酸化防止
剤)0.2部および三酸化アンチモン触媒0.1部と共
にヘリカルリボン攪拌翼を備えた反応容器に仕込み、窒
素置換して260℃で60分間加熱攪拌して透明な均質
溶液とした後、260℃、0.5mmHg以下の条件で4時
間重合し、粘稠で透明なポリマを得た。ポリマを冷却ベ
ルト上にガット状に吐出し、ペレタイズすることによっ
て、ペレット状のポリエーテルエステルアミド(C−
1)を調製した。(C−1)中のポリエーテルエステル
単位は45重量%であった。
【0057】C−2:ナイロン6・6塩(AH塩)40
部、ビスフェノ−ルAのエチレンオキシド付加物(“ニ
ューポール”BPE−20、三洋化成工業(株)製)
6.3部、数平均分子量1000のポリエチレングリコ
−ル41.9部、ドデカジオン酸14.3部を“イルガ
ノックス”1098 0.2部、三酸化アンチモン0.
02部と共にB−1で用いた反応容器に仕込み、窒素置
換して260℃で60分間加熱攪拌して透明な均質溶液
とした後、500mmHgに減圧して反応容器気相部の水分
を除去し、テトラブチルジルコネート0.08部添加し
た。次いで260℃、0.5mmHg以下の条件で3時間3
0分重合し、粘稠で透明なポリマを得た。以降C−1と
同一方法でポリエーテルエステルアミド(C−2)を調
製した。(C−2)中のポリエーテルエステル単位は4
0重量%であった。
【0058】C−3:ω−アミノドデカン酸30部、ド
デカン二酸14.2部および数平均分子量1000のポ
リエチレングリコール58.6部を用いて重合時間を3
時間にした以外は(C−1)と同じ方法でポリエーテル
エステルアミド(C−3)を調製した。(C−3)中の
ポリエーテルエステル単位は60重量%であった。
【0059】(4)変性ビニル重合体の調製 D−1:スチレン50部、メタクリル酸グリシジル50
部を塊状重合して、変性ビニル重合体(D−1)を調製
した。
【0060】D−2:スチレン65部、アクリロニトリ
ル25部、メタクリル酸グリシジル10部を塊状重合し
て、変性ビニル重合体(D−2)を調製した。
【0061】実施例1〜5 参考例で調製した(A)スチレン系熱可塑性樹脂、
(B)変性ポリオレフィン樹脂組成物および(C)ポリ
エーテルエステルアミドを表1に示した配合比で混合
し、ベント付き30mm2軸押出機で樹脂温度230℃で
溶融混練、押出を行うことによってペレットを製造し
た。
【0062】ついで射出成形機により、シリンダー温度
230℃、金型温度60℃で試験片を成形し、物性を測
定した。
【0063】アイゾット衝撃強度:ASTM D−25
6に準じた。
【0064】引張破断伸び:ASTM D−638に準
じた。
【0065】表面固有抵抗値:射出成形した厚さ2mmの
円板を用い、次の条件で測定した。
【0066】(1)成形直後、洗剤“ママレモン”(ラ
イオン油脂(株)製)水溶液で洗浄し続いて蒸留水で十
分洗浄してから表面の水分を取り除いた後、50%R
H,23℃で24時間調湿して測定した。
【0067】(2)成形後、50%RH,23℃中に2
0日間放置した後、洗剤“ママレモン”(ライオン油脂
(株)製)液で洗浄し続いて蒸留水で十分洗浄してから
表面の水分を取り除いた後、50%RH,23℃で24
時間調湿して測定した。
【0068】成形加工性:厚さ2mm、直径40mmの円板
4個取り金型を用いて、連続成形性の可否で評価した。
(◎)問題なく連続成形できるもの、(×)離型性が悪
く連続成形不可で、かつ成形品が突き出しピンで変形す
るもの。
【0069】比較例1〜6 参考例で調製した(A)スチレン系熱可塑性樹脂、
(B)変性ポリオレフィン樹脂組成物および(C)ポリ
エーテルエステルアミドを表1に示した配合比で実施例
と同様の方法で溶融混練、成形して物性を測定した。
【0070】実施例6〜8 参考例で調製した(A)スチレン系熱可塑性樹脂、
(B)変性ポリオレフィン樹脂組成物、(C)ポリエー
テルエステルアミドおよび(D)変性ビニル重合体を表
3に示した配合比で実施例1と同様の方法で溶融混練、
成形して物性を測定した。
【0071】測定結果を表2および表4に示した。
【0072】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 実施例および比較例より、次のことが明らかである。
【0073】すなわち、本発明の樹脂組成物(実施例1
〜5)は、いずれも永久帯電防止性を有し、耐衝撃性、
耐薬品性および成形加工性に優れている。さらに、(実
施例6〜8)は、優れた引張靭性を有している。
【0074】一方、スチレン系熱可塑性樹脂の配合量の
少ないもの(比較例1、6)は、離型性が悪く成形加工
性が劣るため好ましくない。また、変性ポリオレフィン
樹脂組成物の配合量の少ないもの(比較例2、5)は、
耐薬品性に劣るため好ましくない。
【0075】さらに、ポリエーテルエステルアミドの配
合量の少ないもの(比較例3)は、帯電防止性に劣り、
ポリエーテルエステルアミドの配合量の多いもの(比較
例4)は、成形加工性が劣るため好ましくない。
【0076】
【発明の効果】本発明によって永久帯電防止性、耐衝撃
性、耐薬品性および成形加工性に優れた熱可塑性樹脂組
成物が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 63/00 C08L 63/00 77/12 77/12 (56)参考文献 特開 平1−163250(JP,A) 特開 平6−240094(JP,A) 特開 平7−97502(JP,A) 特開 平5−78535(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 25/04 - 25/14 C08L 23/26 C08L 51/04 - 51/06 C08L 55/02 C08L 63/00 C08L 77/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)スチレン系熱可塑性樹脂 (B)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムおよびポ
    リプロピレン樹脂にα,β−不飽和カルボン酸またはそ
    の誘導体を0.1〜15重量%グラフト重合させた変性
    ポリオレフィン樹脂組成物および (C)ポリエーテルエステルアミド からなり、成分(A)と成分(B)の重量配合比(A)
    /(B)が5〜95/95〜5重量部であり、かつ成分
    (A)および成分(B)の合計100重量部に対して、
    成分(C)の配合量が1〜70重量部である熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、該熱可塑性樹脂組成物100重
    量部に対して、(D)エポキシ基を含有する変性ビニル
    重合体を0.1〜100重量部含有する請求項第1項記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
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