JP4586511B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
かかる技術により帯電防止性は、改善されるものの十分ではなかった。更に、当該材料をシート、フィルム化すると射出成形品と比較して、帯電防止性能が低下するという問題があった。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕(A)ゴム質重合体(a)存在下に(メタ)アクリル酸エステル化合物及び芳香族ビニル化合物、更に必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A−1)、又は、当該ゴム強化スチレン系樹脂(A−1)、及び、単量体成分(b)を重合してなるスチレン系樹脂(A−2)55〜97質量%、
(B)オレフィンのブロック(B―1)とポリエーテルのブロック(B―2)とを有するブロック共重合体0.1〜15質量%
(C)ポリアミド及び/またはポリエステルのブロック(C―1)とポリエーテルのブロック(C―2)とを有するブロック共重合体2.9〜30質量%、
上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕上記〔1〕記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
〔3〕シートまたはフィルムである〔2〕記載の成形品。
〔4〕上記〔2〕記載の成形品が、上記〔1〕記載の熱可塑性樹脂組成物と上記〔1〕記載の(A)成分からなる多層シートまたは多層フィルム。
が提供される。
ゴム質重合体(a)としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、ブタジエン・スチレンランダム共重合体の水素添加物、ブタジエン・アクリロニトリルランダム共重合体、ブタジエン・アクリロニトリルランダム共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテンー1共重合体、エチレン・ブテンー1・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリルIPNゴム等があり、好ましくは、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、アクリルゴムであり、特に好ましくはポリブタジエンである。
(A)成分としては、ゴム強化スチレン系樹脂(A−1)を含むものが好ましい。
上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置した後、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をW2グラムとする)し、下記式(1)により算出する。
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
単量体成分(b)で使用される(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等があり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちメタクリル酸メチルまたは、メタクリル酸メチルを50質量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
単量体成分(b)100質量%中に占める芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステルの合計量は、40〜100質量%が好ましく、更に好ましくは50〜98質量%、特に好ましくは60〜98質量%である。
単量体成分(b)100質量%中に占める芳香族ビニル化合物の使用量は、好ましくは2〜90質量%、更に好ましくは3〜70質量%であり、この範囲にあると本発明の熱可塑性樹脂組成物における耐衝撃性と成形加工性の物性バランスに優れる。
一方、(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、好ましくは10〜97質量%、更に好ましくは30〜97質量%であり、この範囲にある本発明の熱可塑性樹脂組成物における透明性(透明感も含む)と成形加工性の物性バランスに優れる。透明性であることが好ましいが、透明感であっても着色性に優れ工業的価値が大きい。
ここで使用されるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル化合物を使用する場合、単量体成分(b)100質量%中に占めるシアン化ビニル化合物の使用量は、好ましくは、2〜50質量%であり、この範囲にあると本発明の熱可塑性樹脂組成物における耐薬品性と成形加工性の物性バランスに優れる。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化してもよい。マレイミド化合物を使用する場合、単量体成分
(b)100質量%中に占めるマレイミド化合物の使用量は、好ましくは、2〜50質量%であり、この範囲にあると本発明の熱可塑性樹脂組成物における耐熱性と成形加工性の物性バランスに優れる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3―ヒドロキシ―1―プロペン、4―ヒドロキシ−1―ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる・
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、ア クリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等が挙げられる。各種官能基含有不飽和化合物を使用する場合、単量体成分(b)100質量%中に占める各種官能基含有不飽和化合物使用量は、好ましくは、0.1〜20質量%であり、この範囲にあると本発明の熱可塑性樹脂組成物における(A)成分と(B)成分、(C)成分の親和性を向上による耐衝撃性が向上効果と成形加工性の物性バランスに優れる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパ−オキサオイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、タ−ピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カ高級脂肪酸塩、ロジン酸塩等を用いることができる。
乳化重合後の、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することにより、本発明のゴム強化スチレン系樹脂(A−1)成分粉末を得る。この際、乳化重合で得た2種以上の(A−1)のラテックスを適宜ブレンドしたあと、凝固してもよい。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、ターピノーレン類、α―メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
上記重合法によって得たゴム強化スチレン系樹脂中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A−1)のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%であり、グラフト率は、下記式(2)により求めることができる。
上記式(2)中、Tは(A)成分1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(A)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
上記(A−1)又は(A)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
スチレン系樹脂(A−2)について説明する。
(A−2)は、上記単量体成分(b)を重合して得られる共重合体である。(A−2)で使用される単量体成分(b)は、上記の単量体成分(b)がそのままここに記載される。
上記(A−2)のアセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1.0dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。 (A−2)の好ましい重合法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合である。
このために、上記ブロック(B−1)の分子両末端は、上記ブロック(B−2)の分子両末端官能基と反応性を有する官能基で変性されている必要がある。これらの官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基等がある。
これらの官能基を付与する付与する方法として好ましいものは、熱減成法により得られる分子末端に炭素―炭素二重結合を有する(B−1)成分と上記した官能基を有する炭素―炭素不飽和化合物を付加させる方法である。
ポリエーテル(B−2―a)としては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物が挙げられる。
ポリエーテル含有親水性ポリマー(B−2−b)としては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、および、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが挙げられる。
アニオン性ポリマー(B−2−c)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸と、ポリエーテル(B−2−a)とを必須構成単位とし、かつ一分子内に好ましくは2〜80個、更に好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが挙げられる。
これらは、直鎖状であっても、また分岐状であってもよい。特に好ましいブロック(B−2)は、ポリエーテル(B−2−a)である。
一般式(I)中E1は二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、nおよびn′は前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド付加数を表す。n個の(OA1)とn′個の(A1O)とは、同一であっても異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成されている場合の結合形式はブロックもしくはランダムまたはこれらの組み合わせのいずれでもよい。nおよびn′は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100である。また、nとn′は、同一であっても異なっていてもよい。
脂肪族二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
脂環式二価アルコールとしては、例えば、1,2−および1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、芳香族二価アルコールとしては、例えば、キシレンジオール等が挙げられる。
二価フェノールとしては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等の単環二価フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4′―ジヒドロキシジフェニル−2,2―ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール、およびジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等の縮合多環二価フェノール等が挙げられる。
(ア)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、一般式(V):
[一般式(V)中のA4は炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の整数、R1はHまたは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基である。]で表されるグリシジルエーテルを重合、または炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと共重合する方法。
(イ)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを経由する方法。更に具体的には、エピクロルヒドリン、またはエピクロルヒドリンとアルキレンオキサイドを付加共重合し、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを得た後、該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールとR1X
(R1は上記したもの、XはCl、BrまたはI)をアルカリ存在下で反応させるか、ま たは該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールモノカルビルエーテルを
アルカリ存在下で反応させる方法である。
(D)成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属および/またはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸、スルホン酸、無機酸の塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等のアルカリ金属の有機酸塩;オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数8〜24のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩;フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸等の芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩;ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸等のアルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩;トリフルオロメタンスルホン酸等のフッ化スルホン酸等のアルカリ金属塩等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。上記(F)成分は、本発明の(B)成分に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で用いることができる。
このようなブロック共重合体(B)は、例えば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報に記載の方法で製造することができ、更に、本発明の
(B)成分は、三洋化成工業社製ペレスタット300シリーズの300、303、230(商品名)等として入手できる。
(C―a)ポリアミドブロックと親水性ポリマーのブロック(C―2)とのジブロック共重合体、及びマルチブロック共重合体、(C―b)ポリエステルブロックと親水性ポリマーのブロック(C―2)とのジブロック、及びマルチブロック共重合体、(C−c)ポリアミドブロック及びポリエステルブロックと親水性ポリマーのブロック(C―2)とのブロック共重合体、及び(C―d)前記(C―a)〜(C―c)のブロック重合体の混合物等があり、好ましいものは(C―a)、(C―b)、及び(C―d)であり、更に好ましくは(C―a)、(C―b)である。
(i)ポリアミドを重合した後、ジカルボン酸化合物を添加し、ポリアミド成分の両末端をカルボキシル化し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合しブロック共重合体を得る方法。
(ii)ポリアミド重合時に分子両末端が実質上カルボキシル化されるようにジカルボン酸化合物を過剰に添加重合し、更にポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合し、ブロック共重合体を得る方法。
(iii)ポリアミド生成成分と過剰にジカルボン酸化合物、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを規定量一括添加重合しブロック共重合体を得る方法。
上記方法で、特に好ましい方法は、上記(i)の方法である。
又、前記(B−2)成分の説明で述べたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩(D)を使用することができる。
本発明の(C―a)成分におけるポリアミドブロック(C―1)と親水性ポリマーブロック(C―2)の質量割合(C―1/C―2)は、90/10〜10/90の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。
更に、本発明の(C−a)成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
この様な(C−a)成分を含む(C)成分としては、三洋化成工業社製ペレスタットNC6321、M―140(商品名)として入手できる。
(i)ポリエステルを重合した後、ジカルボン酸化合物を添加し、ポリステル成分の両末端をカルボキシル化し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合しブロック共重合体を得る方法。
(ii)ポリエステル重合時に分子両末端が実質上カルボキシル化されるようにジカルボン酸化合物を過剰に添加重合し、更にポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合し、ブロック共重合体を得る方法。
(iii)ポリエステル生成成分と過剰にジカルボン酸化合物、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを規定量一括添加重合しブロック共重合体を得る方法。
上記方法で、特に好ましい方法は、上記(i)の方法である。
又、前記(B−2)成分の説明で述べたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩(D)を使用することができる。
本発明の(C―b)におけるポリエステル成分と親水性ポリマー成分の質量割合(ポリエステル/親水性ポリマー)は、90/10〜10/90の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70の範囲である。
本発明の(C―b)の分子量は特に限定されるものではないが、還元粘度(ηsp/C)(フェノール/テトラクロロエタン=40/60質量比の混合溶媒を用いて、濃度1.0g/dl、35℃で測定)は、好ましくは0.3〜2.5dl/g、更に好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
本発明の(C―b)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の上記(C)成分の製造に当たり、前記(B)成分で述べた重合触媒等を使用することができる。
又、本発明の(C)成分の製造時(重合中、重合後)に、公知の酸化防止剤、熱安定剤等を透明性を大きく損なわない範囲のおいて存在させることもできる。
この様な(C−b)成分を含む(C)成分としては、例えば竹本油脂社製TEP004、TEP010、TEP008(商品名)として入手できる。
(光)剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、摺動剤、着色剤、染料、発泡剤、加工助剤(超高分子量アクリル系重合体、超高分子量スチレン系重合体)等、公知のものが適宜配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等により、溶融混練することにより得ることができる。
異形押出成形、発泡成形等、またこれらを組合わせた成形法等の公知の成形法により成形品を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特にシート、フィルム用途に好ましく、厚みは、10μm〜10mmの範囲のものが好ましい。
上記シート、フィルムは、単層のシート、フィルムであってもよく、また他材料との間で多層化したものであってもよく、また、粘着剤を積層したシート、フィルムであってもよい。更に前記シート、フィルムに公知のガスバリア膜を形成させることもできる。
上記多層シートにおいて、本発明の熱可塑性樹脂組成物の厚みは、安定的な制電性を発現させる目的から好ましくは10〜200μm、更に好ましくは50〜200μm、特に好ましく80〜200μmの厚みである。このような多層シート、フィルムを得る方法で特に好ましい方法は、共押出法である。
更に基材シート、フィルムと粘着材との接着性を向上させる目的から、基材フィルムに直接または上記表面処理面にプライマー層を形成させることができる。具体的には、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、若しくはアクリル等の樹脂を含むごく薄い、0.1〜5μm程度の厚みの層を形成させる。通常は、溶剤溶液として塗布し、乾燥することにより形成できる。
粘着剤の厚みは、特に規定しないが、通常1〜100μmの範囲である。
このようにして得られた成形品は、リレーケース、ウエハーケース、レチクルケース 、マスクケース等のケース類、液晶トレイ、チップトレイ、メモリートレイ、ICトレイ等もトレイ類、偏光フィルムの保護シート、液晶を用いた表示装置・プラズマディスプレイ等の表面保護フィルム、半導体関連の保護フィルム、クリーンルーム内の保護フィルム等のフィルム類等の電子材料関連分野に好適に使用される。
(1)(A)成分のグラフト率;前記の方法に従った。
(2)(A)成分のアセトン可溶分の極限粘度[η];前記の方法に従った。
成形品を23℃×50%RH条件下で24時間放置した後、三菱化学社製ハイレスター−UP MCP―HT450を用い、印加電圧500Vで表面固有抵抗(Ω)を測定した。
(4)透明性
23℃×50%RH条件下で、BKY―GARDNER社製Haze−gard plu smを用い曇価(%)を測定した。
(5)衝撃強さ
2.4mm厚みの平板を用い、1/2インチ径の打撃棒、速度2.4m/secで平板を破壊させるエネルギー(kgf・cm)を測定し。尚、試験時の環境条件は23℃×50%RHである。
(6)成形品表面外観
成形品の表面を目視観察し、下記基準で評価した。
○;平滑な表面で良好。
×;表面の凹凸があり表面性が悪い。
(7)摺動性
2.4mm肉厚平板とSUS45Cとの間で往復摺動試験を行ない、動摩擦係数(μ)を求めた。
(1)(A)成分
(1−1)製造例1;ゴム強化スチレン系樹脂A1
攪拌機およびジャケット付きオートクレーブを窒素置換した後、ポリブタジエンラテッ クス(平均粒子径2,500Å)50部(固形分)、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水120部を投入し、攪拌を開始した。メタクリル酸メチル9.2部、スチレン3.3部を投入した後、昇温を行い、内温が40℃に到達した時点で、スルホキシレート系開始助剤水溶液とクメンハイドロパーオキサイド0.04部を添加し、重合反応を開始した。
重合開始から1時間後から、メタクリル酸メチル27.5部、スチレン10部、tert―ドデシルメルカプタン0.5部、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水20部からなるエマルジョン液、クメンハイドロパーオキサオイド0.1部、又スルホキシレート系開始助剤の水溶液を4時間かけて連続的に添加しながら重合反応をおこなった後、更に2時間攪拌を継続したのち、50℃まで冷却し、重合反応を終了させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち乾燥をおこないゴム強化スチレン系樹脂A1を得た。
このもののグラフト率は55%、極限粘度[η]は0.45であった。
攪拌機およびジャケット付きオートクレーブを窒素置換した後、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径2,500Å)20部(固形分)、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水150部を投入し、攪拌を開始した。メタクリル酸メチル14.7部、スチレン5.3部を投入した後、昇温を行い、内温が40℃に到達した時点で、スルホキシレート系開始助剤水溶液とクメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、重合反応を開始した。
重合開始から1時間後から、メタクリル酸メチル44部、スチレン16部、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水25部からなるエマルジョン液、クメンハイドロパーオキサオイド0.1部、又スルホキシレート系開始助剤の水溶液を4時間かけて連続的に添加しながら重合反応をおこなった後、更に2時間攪拌を継続したのち、50℃まで冷却し、重合反応を終了させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち乾燥をおこないゴム強化スチレン系樹脂A2を得た。
このもののグラフト率は83%、極限粘度[η]は0.62であった。
攪拌機、ジャケット付きオートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中でメタクリル酸メチル73.4部、スチレン26.6部、トルエン20部、tert―ドデシルメルカプタン0.1部を投入したのち攪拌及び昇温を開始した。内温が50℃に到達した時点で、ベンゾイルパーオキサイド0.5部を添加し、更に昇温し、80℃に達した後、80℃一定で制御しながら重合反応を行わせた、反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。100℃まで冷却後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去したあと、粉砕し、VENT付き押出機で脱揮しペレット化し、スチレン系樹脂A3を得た。このものの極限粘度[η]は0.45であった。
(2―1);重合体B1
三洋化成工業社製ポリオレフィンーポリエーテルマルチブロック共重合体“ペレスタット230”(商品名)を用いた。
(2―2);重合体B2
三洋化成工業社製ポリオレフィンーポリエーテルマルチブロック共重合体“ペレスタット303”(商品名)を用いた。
(3―1);重合体C1
三洋化成工業社製ポリアミドーポリエーテルマルチブロック共重合体“ぺレスタットNC6321”(商品名)を用いた。
(3―2);重合体C2
三洋化成工業社製ポリアミドーポリエーテルマルチブロック共重合体“ぺレスタットM―140”(商品名)を用いた。
(3―3);重合体C3
三洋化成工業社製ポリアミドーポリエーテルマルチブロック共重合体“ぺレスタットMAX330”(商品名)を用いた。
(3―4)重合体C4
竹本油脂社製ポリエステルーポリエーテルマルチブロック共重合体“TEP0044”
(商品名)を用いた。
(4―1);E1
滑剤・摺動助剤として三洋化成工業社製ポリエチレンワックス“サンワックス171―P”(商品名)を用いた。
(4―2);E2
加工助剤として、三菱レイヨン社製超高分子アクリル系重合体“メタブレン P531A ”(商品名)を用いた。
実施例1〜 16、比較例1〜4
表1記載の配合割合成分をヘンシエルミキサーで混合した後、二軸押出機(シリンダ ー設定温度220℃)で溶融混練し、ペレット化した。射出成形(シリンダー設定温度220℃)で透明性・摺動性・外観性評価用試験片(厚み2.4mm)、耐衝撃性評価用試験片、制電性評価用試験片(2.1mm肉厚)を成形し、前記評価法で評価した。
又、実施例1〜3の組成物を表裏それぞれ0.1mm、中心部分が重合体A2であるトータル厚みが1mmである三層シートを共押出で得た。このシートについて、前記方法で、制電性、透明性、成形品外観を測定した。又、本シートを用いて真空成形を行い、良好なトレイを得た。実施例1の組成物を用いたものを実施例14、実施例2が実施例15、実施例3が実施例16にそれぞれ対応する。
表1に示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明の実施例1〜16の成形品は、制電性、透明性、耐衝撃性、摺動性、及び成形品外観のいずれにも優れている。
一方、比較例1は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、制電性及び摺動性が劣る。比較例2は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であるり、透明性、衝撃強さ、成形品外観及び摺動性が劣る。比較例3は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(C)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、成形品外観及び摺動性が劣る。比較例4は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)、(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例でり、制電性及び摺動性が劣る。
Claims (4)
- (A)ゴム質重合体(a)存在下に(メタ)アクリル酸エステル化合物及び芳香族ビニル化合物、更に必要に応じてこれらの単量体と共重合可能な他のビニル単量体からなる単量体成分(b)を重合してなるゴム強化スチレン系樹脂(A−1)、又は、当該ゴム強化スチレン系樹脂(A−1)、及び、単量体成分(b)を重合してなるスチレン系樹脂(A−2)55〜97質量%、
(B)オレフィンのブロック(B―1)とポリエーテルのブロック(B―2)とを有するブロック共重合体0.1〜15質量%
(C)ポリアミド及び/またはポリエステルのブロック(C―1)とポリエーテルのブロック(C―2)とを有するブロック共重合体2.9〜30質量%、
上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計100質量%からなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
- シートまたはフィルムである請求項2記載の成形品。
- 請求項2記載の成形品が、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物と請求項1記載の(A)成分からなる多層シートまたは多層フィルム。
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