JP2009256647A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性に優れ、各部位による差異がなく設計することが可能な熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】
グラフト共重合体、ビニル系共重合体、変性ビニル系共重合体、ポリアミドおよび繊維強化材からなり、特定条件のグラフト共重合体、ビニル系共重合体およびポリアミドを選定してなる熱可塑性樹脂組成物と、その熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、グラフト共重合体、ビニル系共重合体、変性ビニル系共重合体、ポリアミド、および繊維強化材からなり、特定条件のグラフト共重合体、ビニル系共重合体およびポリアミドを含む熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、特に射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性を良好な状況で各部位による差異がなく設計するために効果的な熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ポリアミドは、耐薬品性と成形加工性に優れている樹脂であり、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されている。しかしながら、衝撃強度と塗装密着性が不十分であるという問題と、吸水性が高いときには剛性が低下するという問題を抱えていた。
これらの問題点を改良するために、衝撃強度と塗装密着性に優れたABS樹脂をポリアミドにブレンドすることが提案されている。具体的に、塗装密着性を改善するために、2種類の流動性が異なるABS樹脂(メルトインデックスが高いABS樹脂とメルトインデックスが低いABS樹脂)を、ポリアミドにブレンドした熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、流動性が高いABS樹脂を使用すると成形加工性が悪化する懸念がある。また、ABS樹脂の流動性だけの調整では、射出成形時のせん断速度の差の影響を受け、製品部位によりポリアミドとABS樹脂の分散形態が安定せず、塗装外観や塗装密着性の安定した構造が得られない懸念もあり、不十分な内容である。
また、自動車用途では、高剛性や耐熱性が要求されており、ポリアミドとABS樹脂に対して、特定の還元粘度を有するスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体と、さらに無機充填材を添加した樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、これらの提案は、衝撃強度と成形加工性に関する提案であり、塗装外観や塗装密着性についてはなお不十分な内容であった。
そこで、高剛性や耐熱性の要求と、塗装外観や塗装密着を改善した熱可塑性樹脂組成物を得ることを目的に、ポリアミド、ABS樹脂、α、β−不飽和カルボン酸無水物および/またはその誘導体からなる変性ビニル系共重合体、および強化材を含有してなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案も、射出成形時のせん断速度の差の影響までは記載がなく、製品部位によりポリアミドとABS樹脂の分散形態が安定せず、塗装外観や塗装密着性の安定した構造が得られない懸念もあり、不十分な内容である。
特開2002−302603号公報 特開2004−149791号公報 特開2006−233132号公報
本発明の目的は、ABS樹脂、ポリアミドおよび繊維強化材を含む熱可塑性樹脂組成物に関し、射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性に優れ、特に塗装外観、塗装密着性が各部位によって差異がなく設計することが可能な熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供することにあり、特に、各種自動車外装部品、二輪用外装材および電気・電子機器のハウジングなどに有用な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、グラフト共重合体、ビニル系共重合体、変性ビニル系共重合体およびポリアミドからなり、ポリアミドが連続相となる条件および射出成形のせん断速度範囲で溶融粘度比を規定した条件を設定することにより、射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、耐塗装性、塗装密着性および外観の特性を良好な状況で、各部位による差異がなく設計するために効果的な熱可塑性樹脂組成物および成形品を得ることが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(7)で構成される。
(1)ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物20〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)10〜40重量部、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)を含むビニル系単量体混合物20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%を共重合してなるビニル系共重合体(B)10〜30重量部、不飽和カルボン酸またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%と、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)の合計90〜99.9重量%を共重合させてなる変性ビニル系共重合体(C)0.1〜10重量部、および1g/dl当たりの98%濃硫酸溶液中、25℃の温度で測定した相対粘度が1.8〜3.0にあるポリアミド(D)20〜80重量部からなり、かつ下記の条件1および条件2を満たす熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、繊維強化材(F)5〜40重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
<条件1>
ポリアミド(D)が連続相となる次式を満たす条件。
ABS≦(ηABSPA)×(1.04/1.13)×WPA
(式中、ABS:グラフト共重合体(A)+ビニル系共重合体(B)、PA:ポリアミド(D)、WABS:ABS部数、WPA:PA部数、ηABSPA:せん断速度となる200s−1〜1000s−1の範囲におけるABSとPAの溶融粘度比)
<条件2>
ηABSPAが0.1〜20の範囲にあり、かつ200s−1と1000s−1の溶融粘度比の差が10以内になる条件。
(2)グラフト共重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体(ア)としてポリブタジエンゴム40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)5〜45重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)5〜30重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜50重量%からなる単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体である(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)10〜85重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)変性ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)15〜85重量%および不飽和カルボン酸基またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%とからなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)繊維強化材(F)が、カップリング剤であるアクリル系化合物で予備処理された繊維長2〜15mm、繊維径2〜20μmのガラス繊維である(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、耐衝撃性改良材(G)0.5〜15重量部を配合してなる(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
本発明によれば、射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性を良好な状況で、各部位による差異がなく設計することが可能な熱可塑性樹脂組成物および成形品が得られ、これらは、各種自動車外装部品、二輪用外装材および電気・電子機器のハウジングなどに有用であり、特に、自動車外装部品や二輪外装材のような大型成形品には有用な発明である。
図1は、ポリアミド(D)の連続相を例示説明するための図面代用写真である。 図2は、角板成形品の密着性評価方法と基準を説明するための図である。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物と成形品について、具体的に説明する。
本発明におけるグラフト共重合体(A)とは、ジエン系ゴム質重合体(ア)50〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物をグラフト共重合して得られたものである。
ここでいうグラフト共重合体とは、ジエン系ゴム質重合体(ア)にビニル系単量体混合物をグラフト共重合したものの他に、アセトンに溶解するグラフトしていないビニル系混合体から生成される共重合体を含むものであり、これらをグラフト共重合体(A)という。また、グラフト率は、衝突延性形態と成形加工性のバランスから、5〜60%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50%である。グラフト率(%)は、次式で示される。
・グラフト率(%)=[ジエン系ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系重合体量]/[グラフト共重合体のゴム含有量]×100
なお、上記のジエン系ゴム質重合体(ア)としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、その下限値は実用上−80℃程度である。
ジエン系ゴム質重合体(ア)としては、具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体およびアクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などが挙げられる。なかでも、ジエン系ゴム質重合体(ア)としては、ポリブタジエンが好ましく用いられる。
また、上記の芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく採用される。
また、上記のシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
また、本発明におけるグラフト共重合体(A)には、本発明の効果を失わない程度に他の共重合可能な単量体(エ)を用いても良い。例えば、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができる。これらは単独でも複数でも用いることが可能である。耐熱性や難燃性を向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上や透明感を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるジエン系ゴム質重合体(ア)のゴム粒子径は、衝突延性の点から、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.10〜0.50μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.18〜0.40μmである。この重量平均粒子径は、「Rubbaer Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt,P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。)により測定することができる。
ジエン系ゴム質重合体(ア)の使用割合は、40〜80重量%に調整することが必要である。好ましいジエン系ゴム質重合体(ア)の使用割合は、45〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%である。使用割合が40重量%未満では衝突延性が不十分であり、使用割合が80重量%を超えると成形加工性が悪化し、表面外観の悪化を誘発させる現象が確認される。
芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物の使用割合は、20〜60重量%に調整することが必要であり、好ましい使用割合は、25〜55重量%であり、より好ましくは、25〜50重量%であり、さらに好ましくは、25〜45重量%である。使用割合が20重量%未満では、成形加工性が悪化し、表面外観の悪化を誘発させる現象が確認され、使用割合が60重量%を超えると衝突延性が不十分になる。
芳香族ビニル系単量体(イ)、シアン化ビニル系単量体(ウ)およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)の組成比は、例えば、芳香族ビニル系単量体(イ)5〜45重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)5〜30重量%、これらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜50重量%の範囲となるように設計されることが好ましい。
本発明におけるビニル系共重合体(B)とは、芳香族ビニル系単量体(イ)、シアン化ビニル系単量体(ウ)およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)を含有するビニル系単量体混合物を共重合して得られた共重合体のことをいう。
上記の芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく採用される。
また、上記のシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
また、上記の共重合可能な他の単量体(エ)としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができる。これらは単独でも複数でも用いることが可能である。耐熱性や難燃性を向上させる意図があれば、N−フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上や透明感を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましい。
ビニル系共重合体(B)を構成する単量体組成比は、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)10〜85重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合して得た共重合体であることが好ましい。
ビニル系共重合体(B)の極限粘度は、0.1〜1.0dl/gであることが好ましく、更に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
この極限粘度の測定は、ビニル系共重合体をメチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃の温度にて測定することができる。本発明では、ポリアミドとの溶融粘度比を調整することが必要になるため、ビニル系共重合体(B)の極限粘度は、後述するその条件を満たすように調整すれば良い。
本発明における変性ビニル系共重合体(C)とは、不飽和カルボン酸またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%と、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)の合計90〜99.9重量%を共重合して得られる共重合体である。
ここでいう変性ビニル系共重合体(C)を構成する上記の不飽和カルボン酸基またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)としては、例えば、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸およびグルタコン酸等の不飽和カルボン酸や、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、メチル無水マレイン酸およびメチル無水フマル酸等のα、β−不飽和カルボン酸無水物が挙げられる。これらの中では、メタクリル酸、マレイン酸および無水マレイン酸が好ましく、更に好ましくはメタクリル酸が使用される。これらは、1種または2種以上でも使用しても良い。
また、変性ビニル系共重合体(C)を構成する上記の芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく採用される。
また、変性ビニル系共重合体(C)を構成する上記のシアン化ビニル系単量体(ウ)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。
不飽和カルボン酸またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)の使用割合は、0.1〜10重量%にすることが必要である。使用割合が0.1重量%未満では、ポリアミド(D)との相溶性や反応性が乏しく、衝突延性や塗装密着性が低下することにより、塗膜剥離等の問題を誘発する。また、使用割合が10重量%を超えると、成形加工性の悪化、フローマーク等の成形外観悪化が確認される。
また、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物の使用割合は、90〜99.9重量%に調整することが必要である。使用割合が90重量%未満では、成形加工性の悪化、フローマーク等の成形外観悪化が確認される。また、使用割合が99.9重量%を超えると、ポリアミド(D)との相溶性や反応性が乏しく、衝突延性や塗装密着性が不十分で、塗膜剥離等の問題を誘発する。
変性ビニル共重合体(C)を構成する芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)の単量体組成比は、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)15〜85重量%からなる単量体混合物を共重合して得た共重合体であることが好ましい。
本発明において、グラフト共重合体(A)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明において、ビニル系共重合体(B)の製造方法に関しても特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明で用いられる変性ビニル系共重合体(C)を得る製造方法としても、特に制限はないが、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明において、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)および変性ビニル共重合体(C)の重合に使用される開始剤としては、過酸化物またはアゾ系化合物などが好適に用いられる。
過酸化物の具体例としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオクテート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられる。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3、3、5−トリメチルシクロヘキサンが、特に好ましく用いられる。
また、アゾ系化合物の具体例としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビスシクロヘキサン−1−カーボニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、および2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタンなどが挙げられる。なかでもアゾビスイソブチロニトリルが特に好ましく用いられる。
これらの開始剤を使用する場合、1種または2種以上を併用して使用される。
重合を行うに際しては、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)の重合度調節を目的として、メルカプタンやテルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤の具体例としては、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタンおよびテルピノレンなどが挙げられる。なかでも、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンおよびn−ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤を使用する場合は、1種または2種以上を併用して使用される。
次に、本発明で用いられるポリアミド(D)について説明する。ポリアミドは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とする。ポリアミド(D)は、通常公知の重縮合によって得られ、次に記載の原料から誘導されるポリアミドモノマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において用いられるポリアミド(D)は、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸の重縮合物、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムの重縮合物、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、アミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミンとアジピン酸、スぺリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの脂肪族、脂環族、および芳香族のジカルボン酸との重縮合物が挙げられる。本原料から合成されるポリアミド(D)のうち、好ましくはナイロン6またはナイロン66、より好ましくはナイロン6が用いられる。
また、本発明においてポリアミド(D)の粘度は、樹脂1g/dlの98%濃硫酸溶液中、25℃の温度で測定した相対粘度が1.8〜3.0である必要があり、1.8〜2.6であることが好ましく、より好ましくは2.0〜2.4である。本発明では、相対粘度の異なるポリアミド(D)の2種類以上をブレンドして添加することにより、相対粘度を調整することもできる。ポリアミド(D)樹脂1g/dlの98%濃硫酸溶液中、25℃の温度で測定した相対粘度が1.8未満であると、衝撃性が不十分となることがあり、また相対粘度が3.0より大きいと、成形加工性と外観で満足な結果が得られなくなることがあり、他に耐薬品性が不足するという懸念がある。
本発明で用いられるグラフト共重合体(A)の使用割合は、10〜40重量部であり、好ましくは15〜35重量部である。グラフト共重合体(A)の使用割合が10重量部より少ないと、衝突延性が不十分であり、使用割合が40重量部より多いと、最終生成物の成形加工性の悪化や、フローマーク等の成形外観悪化が確認される。
本発明で用いられるビニル系共重合体(B)の使用割合は、10〜30重量部であり、好ましくは10〜25重量部である。ビニル系共重合体(B)の使用割合が10重量部より少ないと、成形加工性、外観および塗装密着性のバランスが不十分であり、使用割合が30重量%より多いと衝突延性が不十分となる。
本発明で用いられる変性ビニル系共重合体(C)の使用割合は、0.1〜10重量部である。変性ビニル系共重合体(C)の使用割合が0.1重量部より少ないと、ポリアミド(D)との相溶性および反応性に乏しくなり、衝突延性と塗装密着性が低下し、塗膜剥離などの不具合を誘発する。また、使用割合が10重量%より多いと、溶融混合時に官能基−官能基間で反応してゲル化が発生し、操業面での問題や成形外観悪化の問題を誘発する。
本発明で用いられるポリアミド(D)の使用割合は、20〜80重量部であり、好ましくは30〜70重量部である。ポリアミド(D)の使用割合が20重量部より少ないと、衝突延性、成形加工性および塗装外観が不十分であり、成形加工性も十分とはいえない。一方、使用割合が80重量部より多いと、衝突延性と塗装密着性が不十分であり、また吸水時の寸法変化が大きくなり部品組み立て時の障害になる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂組成物(E)は、ポリアミド(D)が連続相になることが必要な条件である。連続相とは、複数の樹脂材料が混合された際、外周を構成する相を意味している。図1は、ポリアミド(D)の連続相を例示説明するための図面代用写真である。図1においては、ポリアミド1がABS樹脂2を取り囲みABS樹脂2の外周を構成し連続している。
本発明において、ポリアミド(D)が連続相となるには、次式を満たすことが条件となる。
ABS≦(ηABSPA)×(1.04/1.13)×WPA
(式中、ABS:グラフト共重合体(A)+ビニル系共重合体(B)+変性ビニル系共重合体(C)、PA:ポリアミド(D)、WABS:ABS部数、WPA:PA部数、ηABSPA:せん断速度200s−1〜1000s−1の範囲におけるABSとPAの溶融粘度比。)。
ηABSPAは、本明細書に開示される方法により得られる熱可塑性樹脂組成物の成形温度条件下において、成形時のせん断速度となる200s−1〜1000s−1の範囲における溶融粘度比として測定される。例えば、該熱可塑性樹脂組成物を250℃で成形する場合、溶融温度が250℃でせん断速度が200s−1または1000s−1におけるABSとPAの溶融粘度比を測定し、いずれの測定条件においても上記式を満足するように熱可塑性樹脂組成物(E)が構成されていれば、上記式を満たすと判断される。溶融粘度の測定にはキャピラリーグラフ測定装置が用いられる。なお、熱可塑性樹脂組成物(E)が上記式を満たさないためにポリアミド(D)が連続相でない場合、衝突延性、耐薬品性および外観が不十分となる。
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂組成物(E)は、次の条件を満たすように設計することが必要である。すなわちηABSPAが0.1〜20の範囲になるように設計することが必要である。さらにηABSPAは0.5〜15の範囲になるように設計することが好ましい。溶融粘度比rが0.1未満では、衝突延性と耐薬品性が不十分であり、20を超えると、衝突延性と塗装密着性が不十分である。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂組成物(E)において、ηABSPAを1〜20に設定する方法に制限はない。本明細書に開示される方法により最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の成形温度条件下での200s−1と1000s−1それぞれのせん断速度におけるABSとPAの溶融粘度比を計算し、いずれの測定条件においても溶融粘度比が1〜20の範囲になるように設定すればよい。例えば、本明細書に開示される方法により最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物を250℃で成形する場合、溶融温度が250℃でせん断速度が200s−1または1000s−1におけるABSとPAの溶融粘度比を測定し、1〜20の範囲になるように設定すればよい。溶融粘度の測定には、キャピラリーグラフ測定装置を用いることができる。
また、せん断速度200s−1と1000s−1のABSとPAの溶融粘度比の差が10以内になるような条件を満たすように設計することが必要である。さらにこの溶融粘度比の差は、7以内になるように設計することが好ましい。このせん断速度200s−1と1000s−1の溶融粘度比が10を超えると、射出成形時の各せん断速度の影響を受け、熱可塑性樹脂組成物(E)を構成するグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)、ポリアミド(D)および繊維強化材(F)の分散形態が安定せず、剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性が均一にならない問題が発生する。具体的には、製品部位により衝突延性状態の差が生じる問題や、製品部位により塗装密着性能の差が生じる問題が挙げられる。
せん断速度200s−1と1000s−1のABSとPAの溶融粘度比の差が10以内になるような条件を満たすように設計する方法は、ηABSPAを1〜20の範囲に設定する方法と同様に、射出成形温度で、200s−1と1000s−1それぞれのせん断速度におけるABSとPAの溶融粘度比の値を以下の式に当てはめて計算することにより設定することができる。
・溶融粘度比の差=(200s−1溶融粘度比)−(1000s−1溶融粘度比)。
本発明で用いられる繊維強化材(F)としては、炭素繊維、ガラス繊維、ステンレス繊維、ウィスカーおよびワラステナイトなどが挙げられる。光沢感のある良外観を維持するためには、炭素繊維かガラス繊維が好ましいが、特にガラス繊維が好ましく用いられる。
繊維強化材(F)の繊維長(重量平均繊維長)と繊維径について、繊維長は、2〜15mmであることが好ましく、繊維径は、2〜20μmであることが好ましい。繊維長が2mmより短い場合は、十分な剛性が得られない場合があり、15mmより長い場合は、十分な外観が得られない場合がある。また、繊維径が2μmより細いと十分な剛性が得られない場合があり、20μmより太い場合は、十分な外観が得られない場合がある。
また、本発明で用いられる繊維強化材(F)は、カップリング剤や収束剤で処理されていることが好ましい。処理方法としては、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、アクリル系化合物およびエポキシ系化合物などの官能基導入による処理法が挙げられる。特に、アクリル系化合物で繊維強化材(F)が処理されていると、変性ビニル系化合物(C)およびポリアミド(D)と接着性が向上し、剛性、衝突延性および塗装外観の面からも非常に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物で用いられる繊維強化材(F)の使用割合は、熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して5〜40重量部である。繊維強化材(F)の使用割合が5重量部未満では、剛性が不足し、耐熱性も不足する懸念があり製品性能として不十分である。また、繊維強化材(F)の割合が40重量部を超えると、衝突延性と塗装外観が悪化することがあり好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(E)は、繊維強化材(F)を含有してなるが、衝撃性をさらに向上させるため、耐衝撃性改良材(G)を添加することができる。耐衝撃性改良材(G)の添加量は、熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、0.5〜15重量部添加することが好ましく、より好ましくは、2〜12重量部、更に好ましくは、3〜10重量部の範囲にある。耐衝撃性改良材(G)の添加量が0.5重量部未満である場合には、添加した効果が得られない。一方15重量部を超える量添加した場合には、衝撃性は非常に高くなるが、成形加工性、特に射出成形時の流動性が低下し、成形品によっては完全に充填させられないことがあるので好ましくない。
本発明に使用することができる耐衝撃性改良材(G)の種類は、エチレン/メチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート共重合体、エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体などのポリオレフィン系ゴム、またはカルボキシル基、無水カルボキシル基、エポキシ基、オキサゾリン基等で変性されたポリオレフィン系ゴムから選ばれる。これらは、必ずしも1種類で使用する必要はなく、2種類以上混合して使用することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(E)には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、含硫黄化合物系酸化防止剤、含リン有機化合物系酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、塩素化ポリエチレン、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネート、三酸化アンチモン、縮合リン酸エステルなどの難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、カーボンブラック、酸化チタン、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。ただし、高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩などの脂肪酸系材料を滑剤として添加すると、塗装性を悪化させることがある。
また、本発明では、熱可塑性樹脂組成物(E)に、必要に応じて結晶核剤を混合することができ、結晶核剤としてポリアミドの結晶化を促進する結晶核剤を用いることができる。その結晶核剤の具体例としては、例えば、タルク、シリカ、グラファイトなどの無機微粒子、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、ポリヘキサメチレンテレフタラート(ナイロン6T)、およびポリヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンテレフタラートコポリマー(ナイロン66/6T)などの高融点ポリアミドなどが挙げられる。これらの中でも無機微粒子が好ましく、特にタルクが好ましく用いられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物を構成する各共重合体成分を溶融し各成分を混合して得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分の溶融混合方法に関しては、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常210〜320(℃)の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、同一回転方向でも異回転方向でも良い。
各成分の溶融混合の順番としては、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系重合体(C)およびポリアミド(D)を初期に配合してから溶融混合する方法や、グラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)を予め溶融混合させて得られた樹脂組成物に、後から変性ビニル系重合体(C)とポリアミド(D)を混合して溶融させるなどが挙げられる。
繊維強化材(F)は、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系重合体(C)および、ポリアミド(D)を一度溶融混合して熱可塑性樹脂組成物(E)の状態になってから混合させた方が、剛性および外観の面から好ましい。
耐衝撃改良材(G)は、グラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系重合体(C)およびポリアミド(D)ともに溶融混合しても良いし、予め溶融混合したグラフト共重合体(A)とビニル系共重合体(B)に、後から変性ビニル系重合体(C)とポリアミド(D)とともに混合して溶融させても良い。
上記によって得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形より成形品とすることができる。射出成形は、好ましくは220〜300℃の通常成形する温度範囲で実施することができる。また、射出成形時の金型温度は、好ましくは30〜80℃の通常成形に使用される温度範囲である。ただし、ポリアミドが結晶性樹脂であるため、結晶化転移温度より低い温度、すなわち30〜55℃の範囲で実施することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形品の剛性、衝突延性、成形加工性、塗装外観および塗装密着性の特性を良好な状況で、各部位による差異がなく設計するために効果的な優れた熱可塑性樹脂および成形品が得られることを特徴としている。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種自動車外装・内装部品、二輪車外装材および電気・電子機器のハウジングなどに有用に用いることができる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。ここで特に断りのない限り「%」は重量%を表し、「部」は重量部を表す。次に、熱可塑性樹脂組成物の樹脂特性の分析方法を下記する。
(1)重量平均ゴム粒子径
「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」に記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める。)に準じて測定した。
(2)グラフト率
グラフト共重合体の所定量(m;約1g)にアセトン200mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃の温度で5時間減圧乾燥し、その重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有量である。
・グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
(3)剛性
曲げ弾性率:ISO(23℃の温度条件で測定)に準じて測定した。
(4)耐熱性
荷重撓み温度:ISO(1.8MPa条件で測定)に準じて測定した。
(5)衝突性能
デュポン衝撃:2kgの錘を落下させ、破壊時のエネルギー測定と破壊形態観察した。破壊形態は、次の基準により目視で判定を行った。○を合格レベルとし、△と×を不合格レベルとした。
○:錘径と同じ大きさ以内で材料を貫通した。
△:錘径よりも大きな範囲でひびが入った。
×:錘径よりも大きな範囲でひびと破損が確認された。
(6)成形加工性
MFR(メルトフローレート測定):ISO1133(温度240℃、49N荷重条件で測定)に準じて測定した。
(7)成形品の塗装表面外観
成形品の塗装性評価試験は、次のように評価した。射出成形機を使用して、シリンダー温度を250℃および金型温度を60℃にそれぞれ設定し、70×240×2mmt角板を成形した。その角板に、アクリル−ウレタン2液塗料(ウレタンPG60/ハードナー、関西ペイント(株)製)を塗布した後、乾燥温度80℃で30分乾燥させた。室温23℃で湿度50%の環境で24時間以上処理を行った。
a.外観評価
角板成形品の鮮明度と外観を以下基準により目視で判定を行った。◎と○を合格レベルとし、△と×を不合格レベルとした。
◎:高光沢感が確認される。
○:光沢感はあるが高光沢ではない。
△:一部分に塗装ムラ、表面ざらつき(繊維強化材の浮き)などがある。問題あり。
×:全体的に塗装ムラ、表面ざらつき(繊維強化材の浮き)が目立つ。問題あり。
b.密着性評価
JIS K5400−1990規格に規定されている通り、碁盤目傷を入れてテープでの剥離試験を行い、塗膜残りの状況を図2基準より目視にて0〜10点で評価を行った。
(8)ポリアミドの連続相評価
樹脂組成物断面を四酸化オスミウムで染色した超薄膜切片を透過型電子顕微鏡(日本電子データム株式会社製JEM−1400型、倍率20000倍)で観察し、ポリアミド(D)が連続相となっているかを評価した。
(9)溶融粘度測定
後述の<条件1>および<条件2>の式を計算するための溶融粘度について、キャピラリーグラフ測定装置(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1C型)により測定した。オリフィスは、長さ20mm、径1mmのものを使用した。
(10)<条件1>および<条件2>
<条件1>は、溶融温度が250℃でせん断速度が200s−1または1000s−1におけるABSおよびPAの溶融粘度比をそれぞれ測定し、いずれのせん断速度においても次式を満たす場合は○、満たさない場合は×と判定した(連続相式判定)。
ABS≦(ηABSPA)×(1.04/1.13)×WPA
また、上記(8)による観察でポリアミド(D)が図1のとおりに連続相を示す場合は○、連続相でない場合は×と判定した(モルフォロジ判定)。
<条件2>は、溶融温度が250℃でせん断速度が200s−1または1000s−1におけるABSおよびPAの溶融粘度比をそれぞれ測定するとともに、200s−1と1000s−1の溶融粘度比の差を測定した。
(参考例1)[グラフト共重合体(A)の製造]
(1)グラフト共重合体(A−1)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)の存在下で、スチレン32重量%とアクリロニトリル13重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−1)を調製した。グラフト率は42%であった。
(2)グラフト共重合体(A−2)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)の存在下で、スチレン9重量%、アクリロニトリル9重量%およびメタクリル酸メチル27重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−2)を調製した。グラフト率は45%であった。
(3)グラフト共重合体(A−3)の調製
ポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)40部(固形分換算)の存在下で、スチレン42重量%とアクリロニトリル18重量%からなる単量体混合物を、ステアリン酸カリウムを使用して乳化重合してゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、90℃の温度の0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−3)を調製した。グラフト率は42%であった。
(4)グラフト共重合体(A−4)の調製
乳化重合で得られたポリブタジエンラテックス(重量平均ゴム粒子径0.21μm、ゲル含率80%)55重量%(固形分換算)と、乳化重合で得られたスチレン−アクリロニトリル共重合体ラテックス(スチレン70%、アクリロニトリル30%)45重量%をブレンドしてゴム強化スチレン樹脂ラテックスを得た。これを、80℃の温度0.3%希硫酸水溶液中に添加して凝集後、水酸化ナトリウム水溶液により中和後に洗浄・脱水・乾燥工程を経て、グラフト共重合体(A−4)を調製した。ブレンドしただけなので、グラフト率は0%である。
(参考例2)[ビニル系共重合体(B)の製造]
(1)ビニル系共重合体(B−1)の調製
スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−1)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.45dl/gであった。
(2)ビニル系共重合体(B−2)の調製
スチレン70重量%とアクリロニトリル30重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−2)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.92dl/gであった。
(3)ビニル系共重合体(B−3)の調製
スチレン23重量%、アクリロニトリル8重量%よびメタクリル酸メチル69重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−3)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.5dl/gであった。
(4)ビニル系共重合体(B−4)の調製
スチレン28重量%とメタクリル酸メチル72重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、ビニル系共重合体(B−4)を調製した。メチルエチルケトン溶媒(温度30℃)で測定した極限粘度は、0.5dl/gであった。
(参考例3)[変性ビニル系共重合体(C)の製造]
(1)変性ビニル系共重合体(C−1)の調整
スチレン67重量%、アクリロニトリル30重量%およびメタクリル酸3重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−1)を調製した。
(2)変性ビニル系共重合体(C−2)の調整
スチレン67重量%、アクリロニトリル30重量%および無水マレイン酸3重量%からなる単量体混合物を塊状重合で得た後、懸濁重合で仕上げて、スラリーを洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−2)を調製した。
(3)変性ビニル系共重合体(C−3)の調整
スチレン60重量%、アクリロニトリル25重量%およびメタクリル酸15重量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、変性ビニル系共重合体(C−3)を調製した。
(参考例4)[ポリアミド(D)の製造]
(1)ポリアミド(D−1)の調整
98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した場合、25℃の温度での相対粘度が2.3であるポリアミド(D−1)。東レ(株)製ナイロン6樹脂“アミラン”(登録商標)CM1001
(2)ポリアミド(D−2)の調整
98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した場合、25℃の温度での相対粘度が3.0であるポリアミド(D−2)。東レ(株)製ナイロン6樹脂“アミラン”(登録商標)CM1010。
(参考例5)[繊維強化材(F)]
(1)繊維強化材(F−1)
重量平均繊維長13mm、平均繊維径3μmである、アクリル系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−1)
(2)繊維強化材(F−2)
重量平均繊維長13mm、平均繊維径3μmである、イソシアネート系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−2)
(3)繊維強化材(F−3)
重量平均繊維長10μm、平均繊維径8μmである、イソシアネート系化合物で表面処理を行ったガラス繊維(F−3)。
(参考例6)[耐衝撃性改良材(G)]
(1)デュポン社製 エチレン/エチルアクリレート/一酸化炭素共重合体 “エルバロイHP4051”(G−1)
(2)住友化学製 エチレン/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート “ボンドファースト 7M”(G−2)
(3)住友化学製 エチレン/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート “ボンドファースト E”(G−3)
(4)三井化学製 エチレン/ブテン−1 「タフマA4085」(G−4)
(5)三井化学製 エチレン/ブテン−1/無水マレイン酸 「タフマMH7020」(G−5)
(6)アルケマ製 エチレン/ブチルアクリレート「35BA40」(G−6)
(7)ダウケミカル社製 エチレン/オクテン−1「エンゲージ8200」(G−7)。
以下、実施例と比較例について説明する。
(実施例1〜24)
参考例に記載のグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)、ポリアミド(D)、耐衝撃性改良材(G)を、表1に示した比で配合した後に、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240℃〜250℃)で溶融混練を行った。その途中に設定されたサイドフィーダーから、参考例に記載の繊維強化材(F)を投入して、ペレットを得た。得られたペレットを各物性評価に適するように、成形機(成形温度250℃、金型温度50℃)にて試験片を作成し、その評価を行った。表1に結果を示す。
(比較例1〜12)
参考例に記載のグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B)、変性ビニル系共重合体(C)およびポリアミド(D)、耐衝撃性改良材(G)を、表2に示した比で配合した後に、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:240℃〜250℃)で溶融混練を行った。その途中に設定されたサイドフィーダーから、参考例に記載の繊維強化材(F)を投入して、ペレットを得た。得られたペレットを各物性評価に適するように、成形機(成形温度250℃、金型温度50℃)にて試験片を作成し、その評価を行った。表2に結果を示す。
比較例1は、グラフト共重合体を構成するジエン系ゴム質重合体(ア)の添加部数が少なく、衝突延性が不十分な結果であった。
比較例2は、グラフト共重合ではなく共重合体であり、グラフト率が不十分であったため、衝突延性が不十分な結果であった。
比較例3は、射出成形時のせん断速度範囲での溶融粘度比rが20より大きく、200s−1と1000s−1の溶融粘度比差が10を超えたため、各樹脂の分散形態が安定しなくなり、塗装密着性が不十分な結果であった。
比較例4は、ビニル系共重合体を構成する成分比が規定範囲から外れており、衝突延性が不十分であり、外観も満足する結果が得られなかった。
比較例5は、変性ビニル共重合体の成分比が規定範囲から外れており、外観で満足する結果が得られなかった。
比較例6は、条件1式を満たすことができず、ポリアミドが連続相にならないため、衝突延性は不十分な結果であり、外観も満足する結果が得られなかった。
比較例7は、変性ビニル系共重合体が添加されていなかったために、衝突延性が不十分で、外観も満足できるものではなく、塗装密着性能は全くないことが確認された。
比較例8は、変性ビニル系共重合体が規定範囲より多く含有されていたため、外観を満足する結果が得られなかった。
比較例9は、グラフト共重合体の添加量が少なく、衝突性能が不十分であった。
比較例10は、繊維強化材が規定量より多く、衝突延性が不十分で外観も満足する結果が得られなかった。
比較例11は、繊維強化材が規定量より少なく、剛性が不十分な結果であった。
比較例12は、条件2を満たすことができず、各樹脂の分散形態が安定しなくなり、塗装密着性が不十分な結果であった。
1 ポリアミド
2 ABS樹脂

Claims (7)

  1. ジエン系ゴム質重合体(ア)40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)およびシアン化ビニル系単量体(ウ)を含有するビニル系単量体混合物20〜60重量%をグラフト共重合してなるグラフト共重合体(A)10〜40重量部、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)を含むビニル系単量体混合物20〜100重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%を共重合してなるビニル系共重合体(B)10〜30重量部、不飽和カルボン酸またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%と、芳香族ビニル系単量体(イ)とシアン化ビニル系単量体(ウ)の合計90〜99.9重量%を共重合させてなる変性ビニル系共重合体(C)0.1〜10重量部、および1g/dl当たりの98%濃硫酸溶液中、25℃の温度で測定した相対粘度が1.8〜3.0にあるポリアミド(D)20〜80重量部からなり、かつ下記の条件1および条件2を満たす熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、繊維強化材(F)5〜40重量部を含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
    <条件1>
    ポリアミド(D)が連続相となる次式を満たす条件。
    ABS≦(ηABSPA)×(1.04/1.13)×WPA
    (式中、ABS:グラフト共重合体(A)+ビニル系共重合体(B)、PA:ポリアミド(D)、WABS:ABS部数、WPA:PA部数、ηABSPA:せん断速度となる200s−1〜1000s−1の範囲におけるABSとPAの溶融粘度比)
    <条件2>
    ηABSPAが0.1〜20の範囲にあり、かつ200s−1と1000s−1の溶融粘度比の差が10以内になる条件。
  2. グラフト共重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体(ア)としてポリブタジエンゴム40〜80重量%の存在下に、芳香族ビニル系単量体(イ)5〜45重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)5〜30重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜50重量%からなる単量体混合物をグラフト共重合してなるグラフト共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)10〜85重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体(エ)0〜80重量%からなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 変性ビニル系共重合体(C)が、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(ウ)15〜85重量%および不飽和カルボン酸基またはα、β−不飽和カルボン酸無水物(オ)0.1〜10重量%とからなる単量体混合物を共重合してなる共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 繊維強化材(F)が、カップリング剤であるアクリル系化合物で予備処理された繊維長2〜15mm、繊維径2〜20μmのガラス繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂組成物(E)100重量部に対して、耐衝撃性改良材(G)0.5〜15重量部を配合してなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
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