JP2000198904A - 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2000198904A
JP2000198904A JP10364381A JP36438198A JP2000198904A JP 2000198904 A JP2000198904 A JP 2000198904A JP 10364381 A JP10364381 A JP 10364381A JP 36438198 A JP36438198 A JP 36438198A JP 2000198904 A JP2000198904 A JP 2000198904A
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flame
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JP10364381A
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English (en)
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Masato Honma
雅登 本間
Koji Yamauchi
幸二 山内
Kaoru Nishigaki
薫 西垣
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂の機械的特性と耐衝撃性を損なう
ことなく、優れた難燃性耐光性、耐光試験後の強度保持
率を有する熱可塑性樹脂を得る。 【解決手段】(A)スチレン系樹脂に、(B)特定の燐
化合物、(C)シリコーンゴムおよび/またはシリコー
ン樹脂、(D)着色剤及び(E)紫外線吸収剤を特定割
合含有してなる難燃性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂本来の
機械的特性と耐衝撃性を損なうことなく、難燃性及び耐
光性、耐光試験後の強度保持率等に優れた熱可塑性樹脂
組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム強化スチレン系樹脂は優れた機械的
性質、成形加工性、電気絶縁性によって家庭電気機器、
OA機器、自動車などの各部品を始めとする広範な分野
で使用されている。しかしながら、易燃性であるため、
安全性の観点から難燃化に対し種々の技術が提案されて
きた。
【0003】一般的には、難燃化効率の高い臭素化合物
などのハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンを樹脂に配合
して難燃化する方法が採用されている。しかしながら、
この方法は燃焼の際の発煙量が多い等の問題点を有して
いる。
【0004】そこで、近年これらのハロゲン系難燃剤の
欠点を克服するためにハロゲンを全く含まない難燃性樹
脂が強く望まれるようになった。
【0005】塩素および臭素系難燃剤を使わずに熱可塑
性樹脂を難燃化する方法としては、ゴム強化ポリスチレ
ン系樹脂にポリ燐酸アンモニウムとペンタエリスリト−
ル等のポリヒドロキシ化合物およびシランカップリング
剤を添加する方法(特開平5−140412号公報)、
熱可塑性樹脂にメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムと特
定の含窒素有機化合物を添加する方法(特開平6−34
0815号公報)、熱可塑性樹脂に少量のフェノール樹
脂と難燃剤を添加する方法(特開平7−53879号公
報)、スチレン系樹脂に燐系難燃剤を添加する方法(特
開昭59−24736号公報)などが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−14041
2号公報記載の組成物も十分な難燃性が得られず、さら
に機械特性の低下や多価アルコ−ル化合物使用で、成形
時の金型汚染や成形品が吸湿によるべとつきが発生する
といった問題点を有していた。また特開平6−3408
15号公報および特開平7−53879号公報記載の組
成物はポリスチレン系樹脂においては、十分な難燃性が
得られず、またフェノール系樹脂を使用した場合、乾熱
処理後に着色するといった問題点を有していた。また、
特開昭59−24736号公報記載の組成物では実用的
に満足できる難燃性のレベルではない。
【0007】本発明はかかる問題点を解決し、スチレン
系樹脂の機械的特性と優れた耐衝撃性を損なうことな
く、高度な難燃性を付与すると同時に耐光性に優れ、成
形時の金型汚染を防止する樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、ゴム質重合体を含有するス
チレン系樹脂に特定の燐系化合物、シリコーン樹脂、着
色剤及び紫外線吸収剤を特定割合混合することで、機械
的特性と耐衝撃性を損なうことなく、難燃性及び耐光
性、特に耐光試験による変色が抑制されるだけでなく機
械的特性の低下も抑制されることを見出した。
【0009】即ち、本発明は、「(A)ゴム質重合体を
10〜20重量%含有するスチレン系樹脂100重量部
に対して、(B)下記一般式(1)で表される燐化合物
1〜30重量部、(C)シリコーンゴムおよび/または
シリコーン樹脂脂0.1〜1重量部、(D)着色剤0.
1〜5重量部、(E)紫外線吸収剤0.01〜0.5重
量部からなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【0010】
【化2】 (上記式中、R1〜R8は、同一または相異なる水素原子
または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr1
Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なるフェニル基
あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフ
ェニル基を表す。また、Yは直接結合、O、S、S
2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフ
ェニル基を表す。またnは0以上の整数である。また
k、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+
mは0以上2以下の整数である。)」である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の樹脂組成物につい
て具体的に説明する。
【0012】本発明の(A)スチレン系樹脂は、芳香族
ビニル系重合体よりなるマトリックス中にゴム質重合体
が分散したゴム変性スチレン系樹脂である。
【0013】具体的には、ゴム質重合体5〜80重量部
に芳香族ビニル系単量体を含有する単量体または単量体
混合物20〜95重量部をグラフト重合して得られる
(a)グラフト(共)重合体5〜100重量%と、芳香
族ビニル系単量体を含有する単量体または単量体混合物
を重合して得られる(b)ビニル系(共)重合体0〜9
5重量%とからなるものが工業的に好適である。
【0014】このようなゴム変性スチレン系樹脂として
は、例えば、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AA
S樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共
重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプ
ロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0015】上記ゴム質重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下のものが好適であり、ジエン系ゴムが好ま
しく用いられる。具体的にはポリブタジエン、スチレン
−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、
アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系
ゴム、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系ゴム、ポ
リイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共
重合体などが挙げられる。なかでもポリブタジエンまた
はブタジエン共重合体が好ましい。
【0016】ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限され
ないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.15〜0.6
μm、特に0.2〜0.55μmのものが耐衝撃性の観
点から好ましい。中でも、0.20〜0.25μmと
0.50〜0.65μmとの重量比が90:10〜6
0:40のものが耐衝撃性、薄肉成形品の落錘衝撃が著
しく優れ好ましい。
【0017】なお、ゴム粒子の平均重量粒子径は「Ru
bber Age Vol.88p.484〜490
(1960)by E.Schmidt, P.H.B
iddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アル
ギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタ
ジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した
重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率よ
り累積重量分率50%の粒子径を求める)により測定す
ることができる。
【0018】芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチ
レン、p−t−ブチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。
【0019】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、耐薬品性向上の目的で、シアン化ビニル系単量体
が、靭性、色調の向上の目的で、(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビニル
系単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、エタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアク
リロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル
系単量体としてはアクリル酸およびメタクリル酸のメチ
ル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチルによる
エステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メ
チルが好ましい。
【0020】また必要に応じて、他のビニル系単量体、
例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミドなどのマレイミド系単量体などを使用する
こともできる。
【0021】(a)グラフト(共)重合体において用い
る単量体または単量体混合物は、樹脂組成物の耐衝撃性
の観点から、芳香族ビニル系単量体20重量%以上が好
ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。シア
ン化ビニル系単量体を混合する場合には、樹脂組成物の
成形加工性の観点から60重量%以下、さらに50重量
%以下が好ましく用いられる。また(メタ)アクリル酸
エステル系単量体を混合する場合には、靱性、対衝撃性
の観点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量
%以下が好ましい。単量体また単量体混合物における芳
香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の配合量の総和が
95〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは90〜
30重量%である。
【0022】(a)グラフト(共)重合体を得る際のゴ
ム質重合体と単量体混合物との割合は、ゴム質重合体5
重量%以上が好ましく、さらに好ましくは10重量%以
上、また80重量%以下が好ましく、さらに好ましくは
70重量%以下である。ゴム質重合体の割合が5重量%
未満では樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、80重量%を
越える場合は樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の外観
が損なわれる場合がある。
【0023】(a)グラフト(共)重合体は公知の重合
法で得ることができる。例えばゴム質重合体ラテックス
の存在下に単量体および連鎖移動剤の混合物と乳化剤に
溶解したラジカル発生剤の溶液を連続的に重合容器に供
給して乳化重合する方法などによって得ることができ
る。
【0024】(a)グラフト(共)重合体は、ゴム質重
合体に単量体または単量体混合物がグラフトした構造を
とった材料の他に、グラフトしていない共重合体を含有
したものである。(A)グラフト(共)重合体のグラフ
ト率は特に制限がないが、耐衝撃性および光沢が均衡し
て優れる樹脂組成物を得るために20〜80%、特に2
5〜50%が好ましい。
【0025】ここで、グラフト率は次式により算出され
る。 グラフト率(%)=<ゴム質重合体にグラフト重合した
ビニル系共重合体量>/<グラフト共重合体のゴム含有
量>×100
【0026】グラフトしていない(共)重合体の特性と
しては特に制限されないが、メチルエチルケトン可溶分
の極限粘度[η](30℃で測定)が、0.25〜0.
6dl/g、特に0.25〜0.5dl/gの範囲が、
またN,N−ジメチルホルムアミド溶媒、30℃測定し
た場合には0.25〜0.75dl/g、特に0.35
〜0.7dl/gの範囲のものが、優れた耐衝撃性の樹
脂組成物が得られるため、好ましく用いられる。
【0027】(b)ビニル系(共)重合体としては芳香
族ビニル系単量体を必須とする共重合体である。芳香族
ビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニル
トルエン、o−エチルスチレンなどが挙げられるが、特
にスチレンが好ましい。これらは1種または2種以上を
用いることができる。
【0028】芳香族ビニル系単量体以外の単量体として
は、一層の耐衝撃性向上の目的で、シアン化ビニル系単
量体が好ましく用いられ、靭性、色調の向上の目的で、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いら
れる。シアン化ビニル系単量体としてはアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどが挙
げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体としてはアクリル酸お
よびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブ
チル、i−ブチルによるエステル化物などが挙げられる
が、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
【0029】また、必要に応じてこれらと共重合可能な
他のビニル系単量体としてはマレイミド、N−メチルマ
レイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系
単量体を用いることができる。
【0030】(b)ビニル系(共)重合体の構成成分で
ある芳香族ビニル系単量体の割合は樹脂組成物の耐衝撃
性の観点から、全単量体に対し20重量%以上が好まし
く、さらに好ましくは50重量%以上である。シアン化
ビニル系単量体を混合する場合には、耐衝撃性、流動性
の観点から60重量%以下が好ましく、さらに好ましく
は50重量%以下である。また(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体を混合する場合には、靭性、耐衝撃性の観
点から80重量%以下が好ましく、さらに75重量%以
下が好ましく用いられる。また、これらと共重合可能な
他のビニル系単量体を混合する場合には、60重量%以
下が好ましく、さらに50重量%以下が好ましい。
【0031】ビニル系(共)重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.4〜0.65dl/g、特に0.45〜
0.55dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.35
〜0.85dl/g、特に0.45〜0.7dl/gの
範囲のものが、優れた耐衝撃性、成形加工性の樹脂組成
物が得られ、好ましい。
【0032】ビニル系(共)重合体の製造法は特に制限
がなく、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状−
懸濁重合法、溶液−塊状重合法など通常の方法を用いる
ことができる。
【0033】また本発明においては、必要に応じてカル
ボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、
オキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種の官能基を
含有する変性ビニル系重合体(以下、変性ビニル系重合
体と略称する。)を用いることもできる。 変性ビニル
系重合体としては、一種または二種以上のビニル系単量
体を重合または共重合して得られる構造を有し、かつ分
子中にカルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、
アミノ基、オキサゾリン基から選ばれた少なくとも一種
の官能基を含有する重合体である。これらの官能基を含
有する化合物の含有量に関しては、制限されないが、変
性ビニル系重合体中0.01〜20重量%の範囲が好ま
しい。
【0034】変性ビニル系重合体中にカルボキシル基を
導入する方法は特に制限はないがアクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、無
水マレイン酸、フタル酸およびイタコン酸などのカルボ
キシル基または無水カルボキシル基を有するビニル系単
量体を所定のビニル系単量体と共重合する方法、γ,γ
´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、α,α´−ア
ゾビス(α−シアノエチル)−p−安息香酸および過酸
化サクシン酸などのカルボキシル基を有する重合発生剤
および/またはチオグリコール酸、α−メルカプトプロ
ピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプ
ト−イソ酪酸および2,3または4−メルカプト安息香
酸などのカルボキシル基を有する重合度調節剤を用い
て、所定のビニル系単量体を(共)重合する方法、およ
びメタクリル酸メチルやアクリル酸メチルなどの(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体と芳香族ビニル系単量
体、必要に応じてシアン化ビニル系単量体との共重合体
をアルカリによってケン化する方法などを用いることが
できる。
【0035】ヒドロキシル基を導入する方法についても
特に制限はないが、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ
プロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒド
ロキシヘキシル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペ
ンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−
テトラヒドロキシペンチル、メタクリル酸2,3,4,
5−テトラヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシ−1−
プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒ
ドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2
−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペ
ン、シス−5−ヒドロキシ−2−ペンテン、トランス−
5−ヒドロキシ−2−ペンテン、4−ジヒドロキシ−2
−ブテンなどのヒドロキシル基を有するビニル系単量体
を所定のビニル系単量体と共重合する方法などを用いる
ことができる。
【0036】エポキシ基を導入する方法についても特に
制限はないが、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸
グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p
−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレンなどの
エポキシ基を有するビニル系単量体を所定のビニル系単
量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0037】アミノ基を導入する方法についても特に制
限はないが、例えばアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリ
ルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸
アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタ
クリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルア
ミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メ
タクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジ
エチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミ
ン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−
アミノスチレンなどのアミノ基、およびその誘導体を有
するビニル系単量体を所定のビニル系単量体と共重合す
る方法などを用いることができる。
【0038】またオキサゾリン基を導入する方法につい
ても特に制限はないが、例えば2−イソプロペニル−オ
キサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイ
ル−オキサゾリン、2−スチリル−オキサゾリンなどの
オキサゾリン基を有するビニル系単量体を所定のビニル
系単量体と共重合する方法などを用いることができる。
【0039】変性ビニル系重合体の特性に制限はない
が、極限粘度[η](メチルエチルケトン溶媒、30℃
測定)が、0.2〜0.65dl/g、特に0.35〜
0.6dl/gの範囲のものが、またN,N−ジメチル
ホルムアミド溶媒、30℃測定した場合には0.3〜
0.9dl/g、特に0.4〜0.75dl/gの範囲
のものが、優れた難燃性、耐衝撃性、成形加工性の樹脂
組成物が得られ、好ましい。
【0040】本発明で使用される(A)スチレン系樹脂
のゴム質重合体の含有量は10〜20重量%であること
が必要である。
【0041】ゴム質重合体の含有量が10重量%未満で
は十分な耐衝撃性が得られない場合があり、またゴム質
重合体が20重量%を越えると、難燃性が著しく低下す
るため好ましくない。
【0042】本発明で使用される(B)燐化合物として
は、下記式(1)で表されるものである。
【0043】
【化3】 (上記式中、R1〜R8は、同一または相異なる水素原子
または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr1
Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なるフェニル基
あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフ
ェニル基を表す。また、Yは直接結合、O、S、S
2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフ
ェニル基を表す。またnは0以上の整数である。また
k、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+
mは0以上2以下の整数である。)
【0044】まず前記式(1)で表される燐化合物の構
造について説明する。前記式(1)の式中nは0以上の
整数である。またk、mは、それぞれ0以上2以下の整
数であり、かつk+mは、0以上2以下の整数である
が、好ましくはk、mはそれぞれ0以上1以下の整数、
特に好ましくはk、mはそれぞれ1である。
【0045】また前記式(1)の式中、R1〜R8は同一
または相異なる水素または炭素数1〜5のアルキル基を
表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基の具体例として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、n−イソプロピル、ネオペンチル、tert−
ペンチル基、2ーイソプロピル、ネオペンチル、ter
t−ペンチル基、3−イソプロピル、ネオペンチル、t
ert−ペンチル基、ネオイソプロピル、ネオペンチ
ル、tert−ペンチル基などが挙げられるが、水素、
メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ水素が好まし
い。
【0046】またAr1、Ar2、Ar3、Ar4は同一ま
たは相異なるフェニル基あるいはハロゲンを含有しない
有機残基で置換されたフェニル基を表す。具体例として
は、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、
メシチル基、ナフチル基、インデニル基、アントリル基
などが挙げられるが、フェニル基、トリル基、キシリル
基、クメニル基、ナフチル基が好ましく、特にフェニル
基、トリル基、キシリル基が好ましい。
【0047】またYは直接結合、O、S、SO2、C
(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフェニル
基を表す。
【0048】上記一般式(1)で表される燐化合物の使
用量はスチレン系樹脂100重量部に対して、1〜30
重量部であり、好ましくは2〜25重量部、さらに好ま
しくは3〜20重量部である。
【0049】燐化合物が1重量部未満では十分な難燃性
の向上が認められず、また30重量部を超えると成形品
の機械的特性や耐熱性が損なわれるため好ましくない。
【0050】本発明の(C)シリコーンゴムおよび/ま
たはシリコーン樹脂とは、下記一般式(2)〜(5)で
表される単位およびこれらの混合物から選ばれる化学的
に結合されたシロキサン単位(ここで、Rはそれぞれ飽
和または不飽和一価炭化水素基、水素原子、ヒドロキシ
ル基、アルコキシル基、アリール基、ビニルまたはアリ
ル基から選ばれる基を表す。)からなるポリオルガノシ
ロキサン樹脂状重合体または共重合体である。
【0051】
【化4】
【0052】またこのようなポリオルガノシロキサン樹
脂状重合体または共重合体は、さらに分子中あるいは分
子末端に反応性の官能基として、エポキシ基、アクリロ
キシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、フェニル基、N
−β−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミ
ノアルキルヒドロクロリド基を含有したものを使用する
ことができる。
【0053】特にシリコーンゴムの場合、室温で粉末
状、粉末ゴム状のものが好ましく、シリコーン樹脂の場
合、粉末状、フレーク状のものが好ましい。
【0054】上記シリコーンゴムおよび/またはシリコ
ーン樹脂は、空気中での示差熱重量同時測定装置(セイ
コー電子工業社製、TG/DTA−200)を用いて、
室温(30℃)〜900℃の温度領域を40℃/分の昇
温速度で行った加熱試験において、800℃での重量減
量が、室温時に比し50%以下のものが好ましく、とり
わけ30%以下のものが好ましい。800℃での重量減
量が50%をこえると難燃性が低下する場合がある。
【0055】また室温で約200〜300000000
センチポイズの粘度ものが好ましいが、上記のシリコー
ンゴムおよび/またはシリコーン樹脂である限り、それ
に限定されるものではない。
【0056】また本発明に使用される(C)シリコーン
ゴムおよび/またはシリコーン樹脂は、さらにシリカ充
填剤を配合したものを使用することもできる。特にシリ
コーンゴムにシリカ充填材を配合すると、樹脂組成物中
のシリコーンゴムの分散性が向上すること、シリカ充填
剤とシリコーンゴムの相乗効果により、800℃での重
量減量が抑制され難燃性が向上し、さらにシリカ充填剤
の補強効果により耐熱性が向上するため好ましい。特に
シリコーンゴム粉末の場合はより効果的である。
【0057】シリコーンゴムとシリカ充填剤の混合方法
は通常公知の方法を適用することができ、さらにシリコ
ーンゴムとシリカ充填剤からなる組成物には、アルコキ
シシランカップリング剤を配合することもできる。
【0058】このようなシランカップリング剤として
は、分子中に炭素原子が1〜4のアルコキシ基を少なく
とも一つ、さらにエポキシ基、アクリロキシ基、メタク
リロキシ基、ビニル基、フェニル基、N−β−(N−ビ
ニルベンジルアミノ)エチル−γ−アミノアルキルヒド
ロクロリド基、ヒドロキシル基を含有したシランカップ
リング剤を使用することができるが、なかでもエポキシ
基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含有したシラ
ンカップリング剤を好ましく使用することができる。
【0059】このような(C)シリコーンゴムおよび/
またはシリコーン樹脂は、通常公知の方法により製造し
たものを使用することができる。
【0060】上記シリコーンゴムおよび/またはシリコ
ーン樹脂の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対
して、0.1〜1重量部であり、好ましくは0.2〜
0.8重量部、さらに好ましくは0.3〜0.6重量部
である。
【0061】シリコーンゴムおよび/またはシリコーン
樹脂はドリップ抑制剤として使用されるが、単にスチレ
ン系樹脂に燐化合物とともにシリコーンゴムおよび/ま
たはシリコーン樹脂を使用しても十分な難燃性を付与す
ることはできない。また、シリコーンゴムおよび/また
はシリコーン樹脂が1重量部を超えると、難燃性は逆に
低下するため好ましくない。
【0062】そこで、本発明の難燃性樹脂組成物は
(D)着色剤を成分として含有する。この着色剤は燃焼
試験時のドリップ挙動を変化させ、シリコーンゴムおよ
び/またはシリコーン樹脂と併用することによって特異
的に難燃性を高める効果を有する。
【0063】ここで着色剤とは、特に限定されず、公知
のものを必要に応じて任意に1種あるいは2種以上使用
でき、例えば、有機系顔料、無機系顔料、および染料が
挙げられる。有機系顔料として、例えばアゾ顔料;アセ
トアセトアリールイド系、ピラゾロン系、2,3−オキ
シナフトイルアリールアミド系、パルピツール酸素、チ
オパルピツール酸素、2,4,6−トリアミノ−1,3
−ピリミジン系、3−シアノ−4−メチルピリドン系の
モノアゾまたはジスアゾ化合物ならびにアゾ化合物の金
属塩からなる群から選択されるもの、その他有機系顔
料;銅フタロシアニン、群青などが使用できる。無機系
顔料としては、プルシアンブルー、クロム酸銅、スルホ
クロム酸銅、チタンブラック、ケッチェンブラック、カ
ーボンブラック、黒色酸化鉄、ベンガラ、白色チタンな
どが挙げられる。これらの着色剤は樹脂との相容性を改
善するためにシランカップリング剤、界面活性剤、滑
剤、酸化ケイ素などで表面処理されたものも含まれる。
【0064】上記着色剤の使用量は(A)スチレン系樹
脂100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは
0.5〜3重量部、さらに好ましくは1〜2重量部であ
る。
【0065】着色剤が0.1重量部未満では十分な難燃
性が得られず、5重量部を超えると樹脂組成物の機械的
特性が低下するため好ましくない。
【0066】また、本発明の難燃性樹脂組成物は(E)
紫外線吸収剤を使用して耐光性を高める。
【0067】ここで、紫外線吸収剤とは、特に限定され
ず、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチ
ル酸エステル系、ヒドロキシベンゾエート系、シアノア
クリレート系、レゾルシノール系、ヒンダードアミン系
などの公知のものを必要に応じて任意に1種あるいは2
種以上使用できる。例えば、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−5’−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’
−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ
−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベ
ンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ
−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、フ
ェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレー
ト、p−t−ブチルフェニルサリシレート、レゾルシノ
ールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエ
ート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフ
ェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジ
フェニルアクリレート等である。
【0068】上記紫外線吸収剤の使用量は(A)スチレ
ン系樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量
部、好ましくは0.05〜0.4重量部、さらに好まし
くは0.1〜0.3重量部である。
【0069】紫外線吸収剤が0.01重量部未満では十
分な耐光性が得られず、0.5重量部を超えると樹脂組
成物の機械的特性が低下するため好ましくない。
【0070】また、本発明の難燃性樹脂組成物には
(F)酸化防止剤を使用することが好ましく、樹脂組成
物の熱安定性を高めるだけでなく、紫外線吸収剤との相
乗効果により、一層優れた耐光性を得ることができる。
【0071】ここで、酸化防止剤とは、特に限定され
ず、フェノール系、アミン系、硫黄系、燐系などの公知
のものを必要に応じて任意に1種あるいは2種以上使用
できる。
【0072】酸化防止剤の使用量は(A)スチレン系樹
脂100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは
0.2〜1重量部、さらに好ましくは0.3〜0.5重
量部である。
【0073】さらに本発明の難燃性樹脂組成物は必要に
応じて、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊
維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステ
ナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイ
カ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ンおよび酸化アルミニウムなどの充填材や、滑剤および
離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、その
ハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイ
ドおよびエチレンワックスなど)、着色防止剤(亜リン
酸塩、次亜リン酸塩など)、核剤、可塑剤、帯電防止剤
などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
【0074】また本発明の難燃性樹脂組成物は通常公知
の方法で製造される。例えば、(A)スチレン系樹脂、
(B)燐化合物、(C)シリコーンゴムおよび/または
シリコーン樹脂、(D)着色剤、(E)紫外線吸収剤及
びその他の添加剤を予備混合、または個別に押出機など
に供給して、150℃〜300℃の温度範囲において十
分溶融混練することにより調製される。この場合例えば
“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出
機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機など
を用いることができ、特にアスペクト比をコントロール
することから、スクリューにニーディングエレメントを
数個挿入あるいは未挿入にすることにより使用すること
が好ましい。
【0075】本発明の難燃性樹脂組成物は難燃性だけで
なく、機械的特性、耐衝撃性、さらに耐光性にも優れ、
溶融成形可能であるため押出成形、射出成形、プレス成
形などが可能であり、フィルム、管、ロッドや希望する
任意の形状と大きさを持った成形品に成形し使用するこ
とができる。さらに難燃性を活かして電気・電子部品、
自動車部品、機械機構部品、OA機器、家電機器などの
ハウジングおよびそれらの部品類など種々の用途に用い
ることができる。
【0076】例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサ
ー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リ
レーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、
バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子
板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、ス
ピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ
ー、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジン
グ、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャー
シ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、
コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部
品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライ
ヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーデ
ィオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音
声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タ
イプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表
される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピュータ
ー関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、
複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸
受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライタ
ー、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕
微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機
器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オ
ルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガ
スバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系
各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、イン
テークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョ
イント、キャブレターメインボディー、キャブレタース
ペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温セ
ンサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットル
ポジションセンサー、クランクシャフトポジションセン
サー、エアーフローメーター、エアコン用サーモスタッ
トベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエ
ーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポン
プインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係
部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スタ
ーターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネ
ス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィ
ッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネ
クター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップ
モーターローター、ランプソケット、ランプリフレクタ
ー、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイド
ボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースな
どに有用である。
【0077】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下、実施例および比較例を挙げて説明する。 参考例1(A1)グラフト共重合体の調製 以下にグラフト共重合体の調製方法を示す。なおグラフ
ト率は次の方法で求めたものである。グラフト共重合体
の所定量(m)にアセトンを加え4時間還流した。この
溶液を8000rpm(遠心力10,000G(約10
0×103 m/s2 ))30分遠心分離後、不溶分を濾
過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥し、重量
(n)を測定した。
【0078】グラフト率=[(n)−(m)×L]/
[(m)×L]×100 ここでLはグラフト共重合体のゴム含有率を意味する。
【0079】ポリブタジエンラテックス(平均ゴム粒子
径0.3μm、ゲル含率85%)60部(固形分換算)
の存在下でスチレン70%、アクリロニトリル30%か
らなる単量体混合物40部を加えて乳化重合し、4時間
後にフェノール系酸化防止剤“MARK AO−40”
を固形分100重量部に対し1重量部添加して重合を終
了した。得られたグラフト共重合体は硫酸で凝固し、苛
性ソ−ダで中和、洗浄、濾過、乾燥してパウダ−状のグ
ラフト共重合体<A−1>を調製した。得られたグラフ
ト共重合体<A−1>はグラフト率が40%であった。 参考例2 <A−2>スチレン系共重合体の調製 スチレン70%、アクリロニトリル30%からなる単量
体混合物を懸濁重合してビニル系共重合体<A−2>を
調製した。得られたビニル系共重合体<A−2>は30
℃で測定したメチルエチルケトン可溶分の極限粘度が
0.53dl/gであった。 参考例3(B)燐化合物 <B−1>芳香族ビスホスフェート“PX−200”
(大八化学(株)製)を使用した。 <B−2>トリフェニルホスフェート“TPP”(大八
化学(株)製)を使用した。 参考例4(C)シリコーンゴムおよび/またはシリコー
ン樹脂 実施例で使用したシリコーンゴムおよび/またはシリコ
ーン樹脂は下記の通り。 <C−1>反応性の官能基を有さないシリコーンゴム粉
末である“DC4−7105”(東レ・ダウコーニング
・シリコーン(株)製)を使用した。なお、示差熱重量
同時測定装置による加熱試験において、800℃での重
量減量は26%であった。 <C−2>反応性の官能基としてメタクリル基を含有す
るシリコーンゴム粉末である“DC4−7081”(東
レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を使用し
た。800℃での重量減量は26.9%であった。 <C−3>反応性の官能基を有さないシリコーン樹脂粉
末である“トスパール”2000B(東芝シリコーン
(株)製)を使用した。800℃での重量減量は14.
7%であった。 <C−4>反応性の官能基を有さないシリコーンゴム粉
末である“KMP594”(信越化学(株)製)を使用
した。800℃での重量減量は55.2%であった。
【0080】比較例で使用したシリコーンゴムおよび/
またはシリコーン樹脂以外のシリコーンオイルは下記の
通り。 <C−5>反応性の官能基を有さないシリコーンオイル
である“SH200”(東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン(株)製)を使用した。同様に測定した加熱試験に
おいて、800℃での重量減量は77%であった。 参考例5(D)着色剤はチタンホワイトを主成分とする
グレーの着色剤「CN464」(日本ピグメント(株)
製)を使用した。 参考例6(E)紫外線吸収剤は「バイオソーブ520」
(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:共同薬品(株)
製)を使用した。 参考例7(F)酸化防止剤は「MARK135A」(フ
ォスファイト系酸化防止剤:旭電化(株)製)を使用し
た。
【0081】上記の参考例により調製した各成分を表1
および2の配合処方に従い予備混合を行い、シリンダー
温度220℃に設定した池貝鉄鋼製二軸押出機PCM−
30で溶融混練し樹脂組成物を得た。得られた組成物は
ペレタイズした後、70℃で4時間熱風乾燥し、シリン
ダ温度230℃、金型温度60℃、成形下限圧+1MP
aの成形圧力で射出成形を行い試験片を作成し、物性測
定に供した。次の条件で測定した物性を表3に記載し
た。 (1)アイゾット衝撃強度 ASTM D256−56Aに従い、1/2インチのノ
ッチ付き衝撃試験片で評価した。 (2)難燃性 射出成形により得た1/16インチ厚みの難燃性評価用
試験片について、UL94に定められている評価基準に
従い難燃性を評価した。難燃性はV−0>V−1>V−
2>HBの順に低下する。 (3)耐光性 衝撃試験片を用いて、暴露装置(アトラス社製キセノン
ウェザーメーターCi35型)により、温度55℃、湿
度50%RH、照射照度0.7W/m2(波長420n
m)、照射時間100時間で処理を行い、JIS K7
105に従い、色素(ΔE*)測定を行った。なお、Δ
Eの値が小さいほど耐光性に優れることを示す。 (4)強度保持率 (3)で紫外線照射を行った衝撃試験片を使用して、ア
イゾット衝撃強度を測定した。(1)のアイゾット衝撃
強度との比を強度保持率(%)とする。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】実施例1〜8、比較例1〜11の測定結果
より、以下のことが明らかである。
【0086】(A)スチレン系樹脂、(B)燐化合物、
(C)シリコーンゴムあるいはシリコーン樹脂、(D)
着色剤及び(E)紫外線吸収剤からなる組成物は、アイ
ゾット衝撃、強度保持率、難燃性及び耐光性に優れた特
性を有している(実施例1〜5)。また、示差熱重量同
時測定装置において測定した800℃での重量減量が5
0%以下の方が、より難燃性に優れていることがわかる
(実施例6)。
【0087】また、上記(A)〜(E)に更に、(F)
酸化防止剤を加えたものは難燃性をより高める傾向があ
る(実施例7)。
【0088】またシリコーンゴムとシリコーン樹脂を併
用しても、難燃性、耐光性に優れた特性を有している
(実施例8)。
【0089】燐化合物の添加のみでは耐衝撃性、難燃性
及び耐光性をバランス良く満足させることができない
(比較例1,2)。
【0090】上記にシリコーンゴム粉末を添加すると耐
衝撃性、難燃性及び耐光性が向上する傾向はみられるが
不十分である(比較例3)。そこで、更にシリコーンゴ
ム粉末を大幅に添加したところ、難燃性が逆に低下した
(比較例4)。
【0091】シリコーンゴム粉末、着色剤及び耐光剤を
必須成分としなければ、上記特性をバランス良く満足さ
せることができない(比較例5〜7)。燐化合物による
改良効果は若干認められるものの、不十分である(比較
例8)。
【0092】スチレン系樹脂のゴム含量が6重量%では
難燃性は良好であるが、耐衝撃性は著しく悪化する(比
較例9)。一方、スチレン系樹脂のゴム含量が30重量
%では、難燃性が著しく低下する(比較例10)。
【0093】また(C)シリコーンゴム、シリコーン樹
脂の代わりにシリコーンオイルを使用すると、難燃性が
逆に低下した(比較例11)。
【0094】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の
機械的特性と耐衝撃性を損なうことなく、優れた難燃性
及び耐光性、耐光試験後の強度保持率を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 51/04 83:00) Fターム(参考) 4F071 AA12X AA15X AA20X AA22X AA33X AA34X AA67 AA77 AC15 AE05 AE09 AF47 AH07 AH12 BA01 BB05 4J002 BN071 BN121 BN141 BN151 CP032 CP162 EE038 EG107 EH128 EJ009 EJ018 EJ068 EN008 EQ017 ET008 EU178 EW046 FD058 FD079 FD097 FD136 GN00 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ゴム質重合体を10〜20重量%含
    有するスチレン系樹脂100重量部に対して、(B)下
    記一般式(1)で表される燐化合物1〜30重量部、
    (C)シリコーンゴムおよび/またはシリコーン樹脂
    0.1〜1重量部、(D)着色剤0.1〜5重量部、
    (E)紫外線吸収剤0.01〜0.5重量部からなる難
    燃性樹脂組成物。 【化1】 (上記式中、R1〜R8は、同一または相異なる水素原子
    または炭素数1〜5のアルキル基を表す。またAr1
    Ar2、Ar3、Ar4は同一または相異なるフェニル基
    あるいはハロゲンを含有しない有機残基で置換されたフ
    ェニル基を表す。また、Yは直接結合、O、S、S
    2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、Phはフ
    ェニル基を表す。またnは0以上の整数である。また
    k、mはそれぞれ0以上2以下の整数であり、かつk+
    mは0以上2以下の整数である。)
  2. 【請求項2】さらに(F)酸化防止剤0.1〜3重量部
    を含有してなる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(C)シリコーンゴムおよび/またはシリ
    コーン樹脂が空気中での加熱試験(昇温速度40℃/
    分)において、800℃での重量減量が50%以下であ
    る請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれか記載の難燃性樹脂組
    成物からなる成形品。
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