JPH0912775A - 熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤 - Google Patents

熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤

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JPH0912775A
JPH0912775A JP15941095A JP15941095A JPH0912775A JP H0912775 A JPH0912775 A JP H0912775A JP 15941095 A JP15941095 A JP 15941095A JP 15941095 A JP15941095 A JP 15941095A JP H0912775 A JPH0912775 A JP H0912775A
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JP
Japan
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resin
flame retardant
thermoplastic resin
aromatic
component
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JP15941095A
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Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
Susumu Tanji
進 丹治
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間連続成形を行ってもモールドディポジ
ットが発生しない滴下性難燃剤の提供。 【構成】 下記一般式(1)で示される芳香族リン酸エ
ステルを含有する熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃
剤。 【化1】 (式中、a,b,cは1から3、R1,R2,R3は水素
または炭素数が1から30の炭化水素であり、化合物全
体として、置換基R1,R2,R3の炭素数の合計が平均
12から25である。ここで異なった置換基を有する複
数の芳香族リン酸エステルからなる場合には、B成分の
置換基R1,R2,R3の炭素数の合計は数平均で表わ
し、各芳香族リン酸エステル成分の重量分率と、各成分
の置換基の炭素数の合計との積の和である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂の滴下性難
燃剤に関する。更に詳しくは長期間連続成形を行っても
モールドディポジットが発生しない、熱可塑性樹脂の低
揮発性滴下性難燃剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、成形性に優れることに
加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、家
電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用さ
れているが、熱可塑性樹脂の易燃性のためにその用途が
制限されている。熱可塑性樹脂の難燃化の方法として
は、ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤を熱可塑性樹
脂に添加することが知られており、それによりある程度
難燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲン系難
燃剤を用いた場合には、火災発生時にハロゲン系難燃剤
から発生する有毒ガスによる窒息死、または黒煙により
避難者を目隠しして、退路を見失わせ焼死に至らしめた
り、さらには煙の酸性ガスによる電気系統の腐食性の問
題がある。そして焼却処理時には酸性ガスによる炉の損
傷や酸性雨等の環境汚染を引き起こす等の問題をも有し
ている。
【0003】このような背景からハロゲン系難燃剤を用
いないで熱可塑性樹脂を難燃化する手法の開発が望まれ
ており、それに対して無機系難燃剤またはリン系難燃剤
による難燃化技術が知られている。上記リン系難燃剤に
よる難燃化技術の例として、スチレン系樹脂、メラミン
等の窒素化合物、ポリオール及び有機リン酸エステルか
らなる樹脂組成物(特開平4−117442号公報)、
ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン/赤リン(米国
特許3663654号)、ポリフェニレンエーテル/リ
ン酸エステル/熱可塑性エラストマー(米国特許468
4682号)、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン
/有機リン化合物(特開昭57−153035号)及び
ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン/有機リン化合
物/トリアジン化合物(欧州特許311909号)から
なる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、該公
報の樹脂組成物は難燃性は優れているものの、成形加工
流動性及び耐熱性が必ずしも満足できるものではなく、
そして成形時に低揮発性有機リンによる金型汚染、いわ
ゆるモールドディポジットが発生するために生産性を低
下させたり、または金型汚染物が成形品に転写しストレ
スクラックを引き起こすという問題があり、工業的使用
が狭められる。
【0004】揮発性を改良する技術として、フェノール
樹脂と特定のアルキル基置換リン酸エステル単量体から
なる積層板用樹脂組成物(特開平1−95149、特開
平1−242633、特開平1−193328号公報)
が開示されている。該公報の難燃剤の対象は熱硬化樹脂
であり、本発明の熱可塑性樹脂を対象とした滴下性難燃
剤とは異なる。また、スルフォン酸塩とジノニルフェニ
ルフェニルフォスフェート等のリン酸エステルからなる
帯電防止剤(特開平3−64368号公報)が開示され
ているが、該公報の剤は難燃剤ではなく、本発明と本質
的に異なる。そして、フェニル基とイソプロピルフェニ
ル基と炭素数が4〜12のアルキル基置換のフェニル基
からなるフォスフェートからなる難燃剤(特開平2−7
92号公報)が開示されている。該公報のフォスフェー
トの置換基の数平均炭素数合計は、本発明の定義に従え
ば12未満であるために耐揮発性が充分ではない。
【0005】さらに炭素数4〜22のアルキル基、炭素
数12〜22のアルケニル基、フェニル基および炭素数
7〜15のアルキルフェニル基(アルキル基炭素数1〜
9)から選ばれた炭化水素基からなるリン酸トリエステ
ルの製造方法(特開平3−294284号公報)が開示
されている。該公報は製造方法であるという点で異なる
だけでなく、該公報には特定の置換基含有芳香族リン酸
エステル単量体を用いることにより、滴下自己消火性を
保持しつつ、連続成形性(低揮発性)を著しく向上させ
ることが開示されていないし、暗示さえされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状に鑑み、上記のような問題点のない、すなわち長期間
連続成形を行ってもモールドディポジットが発生しない
(低揮発性)滴下性難燃剤を提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは耐揮発性を
示す一つの指標であるモールドディポジットの防止技術
を鋭意検討した結果、難燃剤として特定の置換基を含有
する芳香族リン酸エステル単量体を用いることにより、
驚くべきことに、モールドディポジットを抑制しつつ、
滴下自己消火性を飛躍的に向上させることが可能になる
ことを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明
は、下記一般式(1)で示される芳香族リン酸エステル
単量体を含有する熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤
を提供するものである。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、a,b,cは1から3、R1
2,R3は水素または炭素数が1から30の炭化水素で
あり、化合物全体として、置換基R1,R2,R3の炭素
数の合計が平均12から25である。ここで異なった置
換基を有する複数の芳香族リン酸エステルからなる場合
には、置換基R1,R2,R3の炭素数の合計は数平均で
表わし、各芳香族リン酸エステル成分の重量分率と、各
成分の置換基の炭素数の合計との積の和である。) 以下、本発明を詳しく説明する。本発明の熱可塑性樹脂
の低揮発性滴下性難燃剤(A成分)は、特定の置換基を
有する芳香族リン酸エステルを含有する。
【0010】上記芳香族リン酸エステル単量体は、縮合
体でなく単量体であることが重要である。単量体である
ために熱可塑性樹脂の可塑性を促進し、燃焼時の滴下性
が向上する。次に上記芳香族リン酸エステル単量体の置
換基R1,R2,R3は水素または炭素数が1から30の
炭化水素であり、化合物全体として置換基R1,R2,R
3の炭素数の合計が平均12から25であることが重要
である。上記炭素数の合計が平均12未満では、滴下自
己消火性は優れているが、揮発性が高く、一方25を越
えると滴下自己消火性が低下することを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤(A成分)を構成する芳香族リン酸エステル単量体
の置換基の炭素数の合計の平均が12〜20が好まし
く、15〜18が更に好ましい。前記置換基の例として
は、ノニルフェニル基、t−ブチル基を含有するものが
好ましく、前記芳香族リン酸エステルの中でも、ビスノ
ニルフェニルフェニルフォスフェート、ノニルフェニル
t−ブチルフェニル フェニルフォスフェート等が好適
に用いることができる。本発明の熱可塑性樹脂の低揮発
性滴下性難燃剤(A成分)は、樹脂組成物によって、必
要に応じて、上記難燃剤以外の難燃剤(B成分)とし
て、A成分以外の有機リン化合物、赤リン、無機
系リン酸塩、無機系難燃剤等を配合することができ
る。
【0012】上記有機リン化合物は、例えばホスフィ
ン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム
塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステ
ル等である。より具体的にはメチルネオペンチルフォス
ファイト、ペンタエリスリトールジエチルジフォスファ
イト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニル
ネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジ
フェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジ
フォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイ
ト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピ
ロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポ
ジフォスフェートである。また、難燃性に影響しない程
度にテトラフェニル・ビスフェノールA・ポリフォスフ
ェート等の芳香族系リン酸エステル縮合体を配合するこ
とができる。本発明で前記難燃剤として用いる赤リン
は、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじめ、水酸
化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水
酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理
されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化
物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたも
の、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の
上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものな
どである。
【0013】前記難燃剤として用いる無機系リン酸塩
は、ポリリン酸アンモニウムが代表的である。また、必
要に応じて含有することができる前記無機系難燃剤と
しては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ド
ロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水
酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコ
ニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和
物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウ
ム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカルシウム、炭
酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは
1種でも2種以上を併用してもよい。この中で特に水酸
化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグ
ネシウム、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた
ものが難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤は、樹脂組成物によって、必要に応じて、トリア
ジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属化合
物、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリ
カ、アラミド繊維、フッ素系樹脂、ポリアクリロ
ニトリル繊維から選ばれる一種以上の難燃助剤(C成
分)を含有することができる。上記トリアジン骨格含
有化合物は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃
性を向上させるための成分である。その具体例として
は、メラミン、下記式(2)で示されるメラム、下記式
(3)で示されるメレム、メロン(600℃以上でメレ
ム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、下
記式(4)で示されるメラミンシアヌレート、下記式
(5)で示されるリン酸メラミン、下記式(6)で示さ
れるサクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグ
ルタログアナミン、下記式(7)で示されるメラミン樹
脂、下記式(8)で示されるBTレジン等を挙げること
ができるが、耐揮発性の観点から特にメラミンシアヌレ
ートが好ましい。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】前記ノボラック樹脂は難燃助剤であり、
かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用す
る場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そし
て、その樹脂はフェノール類とアルデヒド類を硫酸また
は塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可
塑性樹脂であり、その製造方法は「高分子実験学5重縮
合と重付加」(共立出版 昭55−8−15)p.43
7〜455に記載されている。ノボラック樹脂製造の一
例を下記式(9)、(10)に示す。
【0018】
【化5】
【0019】上記フェノール類は、フェノール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−及びp−フェノキシフェノール、ピロカテ
コール、レゾルシノール、ハイドロキノン、サリチルア
ルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メチ
ル p−ヒドロキシベンゾエート、p−シアノ−及びo
−シアノフェノール、p−ヒドロキシベンゼンスルホン
酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シクロヘ
キシル p−ヒドロキシベンゼンスルホネート、4−ヒ
ドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネート、4−ヒド
ロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネート、ジフェニル 4−ヒドロキシフェ
ニルホスホネート等である。上記アルデヒド類はホルム
アルデヒド、アセトアルデヒド、n−プロパナール、n
−ブタナール、イソプロパナール、イソブチルアルデヒ
ド、3−メチル−n−ブタナール、ベンズアルデヒド、
p−トリルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド
等である。
【0020】前記含金属化合物は金属酸化物及び/ま
たは金属粉である。上記金属酸化物は酸化アルミニウ
ム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、
酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、
酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングス
テン等の単体又はそれらの複合体(合金)であり、上記
金属粉はアルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、
モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、
銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単体またはそ
れらの複合体である。前記シリコーン樹脂はSi
2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2の構造単
位を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ
ーン樹脂である。ここでRはメチル基、エチル基、プロ
ピル基等のアルキル基、あるいはフェニル基、ベンジル
基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有し
た置換基を示す。ここで特にビニル基を含有したシリコ
ーン樹脂が好ましい。
【0021】このようなシリコーン樹脂は上記の構造単
位に対応するオルガノハロシランを共加水分解して重合
することにより得られる。前記シリコーンオイルは、
下記式(11)に示される化学結合単位からなるポリジ
オルガノシロキサンである。
【0022】
【化6】
【0023】上記中のRはC1〜8のアルキル基、C6
〜13のアリール基、下記式(12)、(13)で示さ
れる含ビニル基から選ばれる一種または二種以上の置換
基であり、ここで特に分子中ビニル基を含有する。
【0024】
【化7】
【0025】前記シリコーンオイルの粘度は600〜
1000000センチポイズ(25℃)が好ましく、さ
らに好ましくは90000〜150000センチポイズ
(25℃)である。前記シリカは無定形の二酸化ケイ
素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系のシラ
ンカップリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆シリ
カが好ましく、更にはビニル基を含有した炭化水素系化
合物被覆シリカが好ましい。
【0026】上記シランカップリング剤はp−スチリル
トリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニル
トリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有シ
ラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミ
ノシランである。ここで特に熱可塑性樹脂と構造が類似
した単位を有するシランカップリング剤が好ましく、例
えばスチレン系樹脂に対しては、p−スチリルトリメト
キシシランが好適である。シリカ表面へのシランカップ
リング剤の処理は湿式法と乾式法に大別される。湿式法
はシリカをシランカップリング剤溶液中で処理し、その
後乾燥させる方法であり、乾式法はヘンシェルミキサー
のような高速撹拌可能な機器の中にシリカを仕込み、撹
拌しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、
その後熱処理する方法である。
【0027】前記アラミド繊維は平均直径が1〜50
0μmで平均繊維長が0.1〜10mmであることが好
ましく、イソフタルアミド、またはポリパラフェニレン
テレフタルアミドをアミド系極性溶媒または硫酸に溶解
し、湿式または乾式法で溶液紡糸することにより製造す
ることができる。前記フッ素系樹脂は、難燃剤であ
り、樹脂中にフッ素原子を含有する樹脂である。その具
体例としてポリモノフルオロエチレン、ポリジフルオロ
エチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフル
オロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体等を挙げることができる。また、
耐ドリップ性を損わない程度に、必要に応じて上記含フ
ッ素モノマーと共重合可能なモノマーとを併用してもよ
い。前記ポリアクリロニトリル繊維は、平均直径が1
〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであるこ
とが好ましく、ジメチルホルムアミド等の溶媒に重合体
を溶解し、400℃の空気流中に乾式紡糸する乾式紡
糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解し水中に湿式紡
糸する湿式紡糸法により製造される。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤は、樹脂組成物によって、必要に応じて、芳香族
ビニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共重合樹
脂、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エス
テル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコール、
または金属石鹸から選ばれる一種または二種以上の流
動性向上剤(D成分)を含有することができる。上記
共重合樹脂の芳香族ビニル単位は、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロ
スチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロ
モスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチ
レンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合して
もよい。そして、アクリル酸エステル単位は、アクリル
酸メチル、アクリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアル
キル基からなるアクリル酸エステルである。ここで共重
合樹脂中のアクリル酸エステル単位の含量は、3〜40
重量%が好ましく、更には5〜20重量%が好適であ
る。又、上記共重合樹脂の分子量の指標である溶液粘度
(樹脂10重量%のメチルエチルケトン溶液、測定温度
25℃)が、2〜10cp(センチポアズ)であること
が好ましい。溶液粘度が2cp未満では衝撃強度が低下
し、一方10cpを越えると流動性の向上効果が低下す
る。
【0029】前記脂肪族炭化水素系加工助剤は流動パ
ラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、ポリオ
レフィンワックス、合成パラフィン及びこれらの部分酸
化物、あるいはフッ化物、塩化物等である。前記高級
脂肪酸はカプロン酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、フェニルステアリン酸、フェロン酸等の
飽和脂肪酸及びリシノール酸、リシンベライジン酸、9
−オキシ12オクタデセン酸等の不飽和脂肪酸等であ
る。前記高級脂肪酸エステルはフェニルステアリン酸
メチル、フェニルステアリン酸ブチル等の脂肪酸の1価
アルコールエステル及びフタル酸ジフェニルステアリル
のフタル酸ジエステル等の多塩基酸の1価アルコールエ
ステルであり、さらにソルビタンモノラウレート、ソル
ビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソ
ルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル、ス
テアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセラ
イド、カプリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグ
リセライド等のグリセリン単量体の脂肪酸エステル、ポ
リグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンオ
レイン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル
等のポリグリセリンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンモノオレート等のポリアルキ
レンエーテルユニットを有する脂肪酸エステル及びネオ
ペンチルポリオールジステアリン酸エステル等のネオペ
ンチルポリオール脂肪酸エステル等である。
【0030】前記高級脂肪酸アミドはフェニルステア
リン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロ
ールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノアミド、ヤシ
油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノール
アミド及びヤシ脂脂肪酸ジエタノールアミド、オレイン
酸ジエタノールアミド等のN,N’−2置換モノアミド
等であり、さらにメチレンビス(12−ヒドロキシフェ
ニル)ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸
アミド、エチレンビス(12−ヒドロキシフェニル)ス
テアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス(12−ヒドロ
キシフェニル)ステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビス
アミド及びm−キシリレンビス(12−ヒドロキシフェ
ニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系ビスアミドであ
る。前記高級脂肪族アルコールはステアリルアルコー
ルやセチルアルコール等の1価のアルコール、ソルビト
ールやマンニトール等の多価アルコール、及びポリオキ
シエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタ
デシルアミン等であり、さらにポリオキシエチレンアリ
ル化エーテル等のポリアルキレンエーテルユニットを有
するアリル化エーテル及びポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレントリドデシルエーテル、
ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレ
ンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエ
ーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル、ポリエピクロルヒドリン
エーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテ
ル、ポリオキシエチレンエチレングリコール、ポリオキ
シプロピレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレングリコールエーテル等のポ
リアルキレンエーテルユニットを有する2価アルコール
である。
【0031】前記金属石鹸は、上記ステアリン酸等の
高級脂肪酸のバリウムやカルシウムや亜鉛やアルミニウ
ムやマグネシウム等の金属塩である。本発明の熱可塑性
樹脂の低揮発性滴下性難燃剤は、樹脂組成物によって、
必要に応じて、熱可塑性エラストマー(E成分)を含有
することができ、例えばポリスチレン系、ポリオレフィ
ン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、1,2−ポリ
ブタジエン系、ポリ塩化ビニル系等であり、特にポリス
チレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。上記ポリス
チレン系熱可塑性エラストマーは芳香族ビニル単量体と
共役ジエン単量体からなるブロック共重合体、または上
記共役ジエン単量体部分が部分的に水素添加されたブロ
ック共重合体である。
【0032】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、
パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモ
スチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、
スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の
芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。また、上記ブ
ロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3
−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。そ
してブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル
単量体からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエ
ン及び/またはその部分的に水素添加された単位からな
る重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(B
S)n(但しnは1〜3の整数)、S(BSB)n(但
し、nは1〜2の整数)のリニアーブロック共重合体
や、(SB)nX(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩
化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップ
リング剤残基)で表示されるB部分を結合中心とする星
状(スター)ブロック共重合体であることが好ましい。
なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型の
リニアーブロック共重合体が好ましい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤は、樹脂組成物により、耐光性が要求される場合に
は、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダードアミ
ン系光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮
光剤、金属不活性剤、または消光剤から選ばれる一
種または二種以上の耐光性改良剤(F成分)を配合する
ことができる。
【0034】上記紫外線吸収剤は、光エネルギーを吸
収して、分子内プロトン移動することによりケト型分子
となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール
系)、またはcis−trans異性化することにより
(シアノアクリレート系)、熱エネルギーとして放出、
無害化するための成分である。その具体例は2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ
ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキ
シベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキ
シ−3’−t−5’−メチルフェニル)−5−クロロベ
ンゾトリアゾール、2−(2’ヒドロキシ−3’,5’
−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−
メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾ
リル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール類、フェニルサリシレート、レ
ゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒド
ロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート
類、2−エチル−2’−アトキシオキザニリド、2−エ
トキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニ
リド類、及びエチル−α−シアノ−β,β−ジフェニル
アクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−
(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアク
リレート類である。
【0035】前記ヒンダードアミン系光安定剤は、光
エネルギーにより生成したハイドロパーオキサイドを分
解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N−OHを
生じ、安定化させるための成分である。その具体例は
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステア
レート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボ
キシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒ
ドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6
−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6
−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−t−オク
チリアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミ
ノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s
−トリアジン重縮合物等である。
【0036】前記酸化防止剤は熱成形時または光暴露
により、生成したハイドロパーオキシラジカル等の過酸
化物ラジカルを安定化したり、生成したハイドロパーオ
キサイド等の過酸化物を分解するための成分である。そ
の具体例はヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/ま
たは過酸化物分解剤である。前者はラジカル連鎖禁止剤
として、後者は系中に生成した過酸化物をさらに安定な
アルコール類に分解して自動酸化を防止する。前記酸
化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤
は、2,6−ジターシャルブチル−4−メチルフェノー
ル、スタイレネイテドフェノール、n−オクタデシル3
−(3,5−ジターシャルブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−ターシャルブチルフェノール)、2−ター
シャルブチル−6−(3−ターシャルブチル−2−ヒド
ロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルア
クリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ
ターシャルペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジタ
ーシャルペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−ターシャルブチルフェ
ノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−ター
シャルブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェ
ノール、テトラキス〔メチレン3−(3,5−ジターシ
ャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕メタン、3,9−ビス〔2−(3−(3−ターシャ
ルブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プ
ロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル〕−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカ
ン等である。
【0037】又、前記酸化防止剤としての過酸化物分
解剤は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェ
ニルホスファイト、トリス(2,4−ジターシャルブチ
ルフェニル)ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解
剤またはジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、
ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステ
アリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリス
リチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネー
ト)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート、
2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機イオウ系過
酸化物分解剤である。前記ハロゲン捕捉剤は熱成形時
または光暴露時に生成する遊離ハロゲンを捕捉するため
の成分である。その具体例はハイドロタルサイト、ゼオ
ライト、酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸亜鉛等の塩基性金属塩、有機錫化合物、ま
たは有機エポキシ化合物である。
【0038】上記ハロゲン捕捉剤としてのハイドロタ
ルサイトはマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニ
ウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩またはその結晶水
を含まないもので、天然物及び合成品が含まれる。天然
物としてはMg6Al2(OH)16CO3・4H2Oの構造
のものが挙げられる。又、合成品としてはMg0.7Al
0.3(OH)2(CO30.15・0.54H2O、Mg4.5
Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al
2(OH)12.4CO3、Zn6Al2(OH)16CO3・4
2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg14
Bi2(OH)29.6・4.2H2O等が挙げられる。前記
ゼオライトはNa2O・Al23・2SiO2・XH2
で示されるA型ゼオライト、または周期律表第II族及び
第IV族の金属から選ばれた少なくとも一種の金属を含む
金属置換ゼオライトである。そしてその置換金属として
はMg,Ca,Zn,Sr,Ba,Zr,Sn等であ
り、特にCa,Zn,Baが好ましい。
【0039】前記ハロゲン捕捉剤としての有機エポキ
シ化合物はエポキシ化大豆油、トリス(エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ハイドロキノンジグリシジルエ
ーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、4,4’
−スルホビスフェノール・ポリグリシジルエーテル、N
−グリシジルフタルイミド、または水添ビスフェノール
Aグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシ
レート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルスピロ
〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−
ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイ
ド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4
−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ
ート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキ
サン)、ジシクロペンタジエンエポキサイド、エチレン
グリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチ
ル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロ
ヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフ
タル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−
2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等であ
る。
【0040】前記遮光剤は光が高分子バルクに達する
のを防止するための成分である。その具体例はルチル型
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ク
ロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)等であ
る。前記金属不活性剤はキレート化合物により樹脂中
の重金属イオンを不活性化するための成分である。その
具体例はアシッドアミン誘導体、ベンゾトリアゾール及
びその誘導体等である。前記消光剤は高分子中の光励
起したハイドロパーオキサイドやカルボニル基等の官能
基をエネルギー移動によって失活させるための成分であ
り、有機ニッケル等が知られている。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤を添加する熱可塑性樹脂(G成分)は、成形用樹脂
組成物の主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担
う。本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤を添
加することのできる熱可塑性樹脂は、A成分と相溶もし
くは均一分散し得るものであれば特に制限はない。例え
ばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエ
ステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネ
ート系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以
上を混合したものを使用することができる。ここで特に
熱可塑性樹脂としてポリスチレン系、ポリフェニレンエ
ーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑性樹脂が好まし
い。上記ポリスチレン系樹脂はゴム変性スチレン系樹脂
またはゴム非変性スチレン系樹脂である。
【0042】最も好ましい熱可塑性樹脂はゴム変性スチ
レン系樹脂またはゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性
スチレン系樹脂との組み合わせである。又、好ましい熱
可塑性樹脂の組み合わせの一つはゴム変性スチレン系樹
脂(G−1成分)とポリフェニレンエーテル(G−2成
分)とのポリマーブレンド体であり、G−1成分とG−
2成分とからなる樹脂成分の100重量部中に占めるG
−2成分の割合は10〜40重量部の範囲が好ましい。
G−2成分が10重量部未満では炭化残渣量が少なく難
燃性が充分でなく、40重量部を越えると流動性が低下
し、好ましくない。G−2成分のより好ましい範囲は1
5〜30重量部である。樹脂組成物のもう一つの好まし
い組み合わせは、芳香族ポリカーボネートとゴム変性ス
チレン系樹脂とのポリマーブレンド体である。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤を添加することのできる熱可塑性樹脂として使用す
るゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体よ
りなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散し
てなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビ
ニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニル
単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸
濁重合、溶液重合または乳化重合することにより得られ
る。このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポリスチレ
ン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アク
リルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロ
ニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合
体)等が挙げられる。ここで前記ゴム状重合体はガラス
転移温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であ
り、−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0044】このようなゴム状重合体の例としてはポリ
ブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ア
クリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及び上
記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴ
ム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアク
リル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマー
三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特に
ジエン系ゴムが好ましい。上記のゴム状重合体の存在下
に重合させるグラフト重合可能な単量体混合物中の必須
成分の芳香族ビニル単量体は、例えばスチレン、α−メ
チルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレ
ン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチ
レン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを
主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよ
い。ここでスチレンを主体にα−メチルスチレンを用い
ると、滴下性が向上する。また、ゴム変性スチレン系樹
脂の成分として必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重
合可能な単量体成分を一種以上導入することができる。
耐油性を高める必要のある場合は、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いる
ことができる。
【0045】そしてブレンド時の溶融粘度を低下させる
必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からな
るアクリル酸エステルを用いることができる。また更に
樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α
−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マ
レイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合して
もよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香族単量
体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40重量%
である。本発明の樹脂組成物が含有するゴム変性スチレ
ン系樹脂におけるゴム状重合体は、好ましくは5〜80
重量%、特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重
合可能な単量体混合物は、好ましくは95〜20重量
%、更に好ましくは90〜50重量%の範囲にある。こ
の範囲内では目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性の
バランスが向上する。更にはスチレン系重合体のゴム粒
子径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜
3.0μmが好適である。上記範囲内では特に耐衝撃性
が向上する。
【0046】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、トルエン溶
液、30℃測定)は、0.30〜0.80dl/gの範
囲にあることが好ましく、更には0.40〜0.60d
l/gの範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチ
レン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満
たすための手段としては、重合開始剤量、重合温度、連
鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。本発明の熱
可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤を添加することので
きる熱可塑性樹脂のポリフェニレンエーテル(以下PP
Eと略称する)は、下記式で示される結合単位からなる
単独重合体及び/または共重合体である。
【0047】
【化8】
【0048】但し、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。このPPEの具体的な例としてはポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメ
チルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールと
の共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチ
ル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかる
PPEの製造方法は特に限定されるものではなく、例え
ば米国特許第3,306,874号明細書記載の方法に
よる第一銅塩とアミンとのコンプレックスを触媒として
用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合すること
により容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,3
06,875号明細書、米国特許第3,257,357
号明細書、米国特許3,257,358号明細書及び特
公昭52−17880号公報、特開昭50−51197
号公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明に
て用いる上記PPEの還元粘度(0.5g/dl、クロ
ロホルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70d
l/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.6
0dl/gの範囲にあることがより好ましい。PPEの
還元粘度に関する上記要件を満たすための手段として
は、前記PPEの製造の際の触媒量の調整などを挙げる
ことができる。
【0049】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤を添加することのできる熱可塑性樹脂の芳香族ポリ
カーボネートは、芳香族二価フェノール系化合物を苛性
アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲ
ン法、あるいは芳香族二価フェノール系化合物と炭酸ジ
エチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエステル
交換法により得られ、該芳香族ホモまたはコポリカーボ
ネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好適で
ある。ここで上記二価フェノール系化合物は2,2’−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プ
ロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,
1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブ
タン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプ
ロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,
1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等であ
り、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。そして、本発
明の二価フェノール系化合物は単独で用いてもよいし、
あるいはそれらを併用してもよい。
【0050】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤を用いて得られる樹脂組成物は熱可塑性樹脂(G成
分)として、ゴム変性スチレン系樹脂またはゴム変性ス
チレン系樹脂とポリフェニレンエーテルとのブレンド体
等の熱可塑性樹脂と、A成分としてビスノニルフェニル
フェニル フォスフェート等のアルキル基置換芳香族
リン酸エステル単量体と、C成分としてポリジメチルシ
ロキサンとの組み合わせが好ましく、その重量比は、G
成分100重量部に対して、A成分が1〜40重量部、
C成分が0〜10重量部を配合することが好ましい。こ
こで上記範囲内では連続成形性、滴下自己消火性、成形
加工性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特性
が優れている。
【0051】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難
燃剤を用いて得られる樹脂組成物の溶融押出し方法は、
全成分を同時に溶融押出してもいいし、またはまず樹脂
成分を溶融押出した後に、再度A成分等のポリマー添加
剤を溶融押出する逐次的押出し法、あるいは複数ゾーン
からなる押出機で前段で樹脂成分を溶融し、後段でポリ
マー添加剤を溶融押出する一段押出法等がある。本発明
により得られる樹脂組成物は、上記各成分を市販の単軸
押出機あるいは二軸押出機などで例えば溶融混練するこ
とにより得られるが、その際にヒンダードフェノール等
の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールやヒンダードアミン
等の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無機系やハ
ロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の
滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や顔料等の
着色剤等を必要に応じて添加することができる。このよ
うにして得られた本発明の組成物を例えば射出成形機ま
たは押出成形機を用いて長期間連続成形することが可能
であり、そして得られた成形品は滴下自己消火性、耐熱
性及び耐衝撃性が優れている。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。なお、実施例、比較例における測定は以下の方
法もしくは測定機を用いて行った。 (1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組
成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真
中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式により算出
する。
【0053】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di (ここでNiは粒子がDiであるブタジエン系重合体粒
子の個数である) (2)還元粘度ηsp/c ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄液を取り出しメタノールで樹脂分を析出
させた後、乾燥した。このようにして得られた樹脂0.
1gをトルエンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液と
し、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計
に入れ、30℃でこの溶液流下秒数tを測定した。一
方、別に同じ粘度計で純トルエンの流下秒数t0を測定
し、以下の数式により算出した。
【0054】ηsp/c=(t1/t0−1)/C(C:
ポリマー濃度g/dl) (3)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定した
(Vノッチ、1/8インチ試験片) (4)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。 (5)メルトフローレート(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で10
分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0055】(6)難燃性(滴下自己消火性) UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片) (7)揮発性(熱重量天秤試験) 島津熱分析装置DT−40を用いて、窒素気流下、10
℃/分で昇温し、1%重量減少する温度を揮発性の尺度
とした。一方ではモールドディポジットの評価として、
以下の成形条件で連続運転を行い、金型の付着状況を観
察した。 A.成形機:東洋機械金属(株)製 射出成形機「pl
astar」型締力50ton 射出量80cm3機番
1133 B.金型:端子台セパレーター50.5mm×74mm
×5mm C.成形条件温度:ノズル 前部ヒーター 中央ヒー
ター 後部ヒーター各200℃ 金型60℃ 射出圧
力:65〜55kg/cm2 背圧:6kg/cm2
射出速度:100% 金型充填量:11.5g
成形サイクル:27秒(射出時間5秒 冷却時間15秒
型開き型締め時間7秒) 実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
【0056】(イ)芳香族リン酸エステル(A成分) トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル〔大八化学工業(株)製、
商品名TPP(TPPと称する)〕を用いた。また、置
換基の炭素数の合計の平均は、0でありリン含有量は
9.5重量%である。 アルキル基置換芳香族系リン酸エステル(FR−1)
の製造 ノニルフェノール287.3重量部(モル比2.0)、
塩化アルミニウム0.87重量部(モル比0.01)を
フラスコに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部
(モル比1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中
間体にフェノール61.4重量部(モル比1.0)を加
え、更に反応させた。反応を完結させるために、徐々に
昇温し最終的には180℃まで温度を上げてエステル化
を完了させた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して触
媒及び塩素分を除去してリン酸エステル混合物(以下F
R−1と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー東ソー(株)製、H
LC−8020)移動相テトラヒドロフランにより分析
したところ、ビスノニルフェニル フェニル フォスフ
ェート(以下DNPと称する)と、トリスノニルフェニ
ル フォスフェート(以下TNPPと称する)と、ノニ
ルフェニル ジフェニル フォスフェート(以下NDP
と称する)と、ノニルフェノールからなり、重量比がそ
れぞれ77.8/11.3/8.4/2.5であった。
また、置換基の炭素数の合計の平均は17.9であり
(18×0.778+27×0.113+9×0.08
4=17.9)、またリン含有量5.5重量%である。
【0057】アルキル基置換芳香族リン酸エステル
(FR−2)の製造 FR−1の製造において、オキシ塩化リン1モルに対し
て、フェノール、ノニルフェノールの代わりに3モルの
ノニルフェノールを用いることと、同時添加による1段
階反応であること以外、同一の実験を行った。このよう
にして得られた反応物をGPCにより分析したところ、
トリスノニルフェニル フォスフェート(TNPPと称
する)100%であった。また、置換基の炭素数の合計
の平均は27.0である。
【0058】アルキル基置換芳香族リン酸エステル
(FR−3)の製造 FR−1の製造においてオキシ塩化リン1モルに対し
て、2モルのノニルフェノールの代わりに2モルのフェ
ノールを、1モルのフェノールの代わりに1モルのノニ
ルフェノールを用いること以外、同一の実験を行った。
このようにして得られたリン酸エステル混合物をFR−
3と称する。この混合物をGPCにより分析したとこ
ろ、ノニルフェニル ジフェニル フォスフェート(N
DPと称する)、DNP、TPP及びノニルフェノール
からなり、重量比がそれぞれ77.8/11.3/8.
4/2.5であった。また、置換基の炭素数の合計の平
均は9.0である(9×0.778+18×0.113
=9.0)。
【0059】芳香族リン酸エステル縮合体(FR−
4) 市販のビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エステ
ル{大八化学工業(株)製、商品名CR741(FR−
4と称する)}を用いた。又、上記芳香族縮合リン酸エ
ステルは、GPC分析によると、下記化9で表わされる
TPP−A−ダイマー(n=1)とTPP−A−オリゴ
マー(n≧2)とトリフェニルホスフェート(TPP)
からなり、重量比でそれぞれ84.7/13.0/2.
3であった。そして、リン含有量は9.4重量%であっ
た。
【0060】
【化9】
【0061】(ロ)熱可塑性樹脂(G成分) ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 1220SL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体(連鎖移動剤) 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン(重合開始剤) 0.03重量% 次いで上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連続
的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性芳香
族ビニル樹脂を得た(HIPSと称する)。得られたゴ
ム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム含量は1
2.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還
元粘度ηsp/cは0.53dl/gであった。
【0062】ゴム非変性スチレン系樹脂〔ポリスチレ
ン(GPPS)〕 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万)〔(旭化成工業(株)製(以後、GPPS
と称する)〕を用いた。 ポリフェニレンエーテル(PPE)の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g及びトルエン20リットル、n
−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの混
合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解して
反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を吹
き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重合
を行なった。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηspは0.41dl
/gであった。
【0063】実施例1〜3、比較例1〜4 HIPS/GPPS/表1記載の芳香族リン酸エステル
を、65/28/7(重量比)で機械的に混合し、東洋
精機製作所製ラボプラストミルを用いて、溶融温度22
0℃、回転数50rpmで5分間溶融した。このように
して得られた樹脂組成物から圧縮成形法により1/8イ
ンチ厚の試験片を作製し、揮発性及び難燃性(滴下自己
消火性)の評価を行った。表1及び図1にその結果を示
す。
【0064】また、前記測定法の欄で説明したように、
200℃の温度条件で1万ショット連続成形を行った。
表1及び図1によると芳香族系リン酸エステルの置換基
の炭素数の合計が、平均12〜25の範囲にある場合
は、難燃性(滴下自己消火性)と連続成形性(低揮発
性)のバランス特性が優れていることが分かる。
【0065】
【表1】
【0066】実施例4〜8、比較例5,6 表2記載の組成物を実施例1と同様にして試験片を作製
し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟化温度及
び難燃性(滴下自己消火性)の評価を行った。表2にそ
の結果を示す。又、非置換芳香族リン酸エステル単量体
(TPP)、アルキル基置換芳香族リン酸エステル単量
体(FR−1)、芳香族リン酸エステル縮合体(FR−
4)の熱重量天秤試験(TGA)を行なった。図2にそ
の結果を示す。図2によると本発明のアルキル基置換芳
香族リン酸エステル単量体(FR−1)は、通常の成形
温度の300℃以下ではほぼ重量を保持していることが
分かる。
【0067】そして上記3種のリン酸エステルの組成物
の難燃性を理解するために、実施例4,5、比較例5,
6の450℃でのリンの総揮発量(重量%)を求め、難
燃性との関係について検討した。ここでリンの総揮発量
はまずTGAにより求めた450℃でのリン酸エステル
の揮発量(減量)と、各組成物中のリン含有量との積か
ら算出した。図3にその結果を示す。図3によるとリン
の総揮発量が多い程、難燃性が優れていることが分か
る。このことはリンの揮発により生成したPO・ラジカ
ルが、ラジカル捕捉剤として作用しポリマーの熱分解を
抑制する作用機構、または揮発熱による冷却効果のため
に燃焼を抑制する作用機構を示唆している。即ち、滴下
性難燃剤は気相効果による難燃化機構が重要であること
を意味している。従って芳香族リン酸エステル縮合体
は、300℃以上においても極めて揮発性が低いために
難燃性が劣ることが理解できる。しかし一方では本発明
の範囲外の芳香族リン酸エステル単量体では、難燃性は
優れているものの、高い揮発性のため成形時に問題を呈
する。本発明の要件を満足するアルキル基置換芳香族リ
ン酸エステル単量体のみが、難燃性と低揮発性を達成す
ることが可能となった。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性
難燃剤を熱可塑性樹脂組成物に添加することによって、
長期間連続成形を行ってもモールドディポジットが著し
く少なく、かつ耐衝撃性、耐熱性及び流動性の優れた樹
脂組成物が得られる。この熱可塑性樹脂の低揮発性滴下
性難燃剤を用いて得られた樹脂組成物は、家電部品、O
A機器部品等に好適であり、これら産業界に果たす役割
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族リン酸エステルの置換基の炭素数の合計
の平均値と、樹脂組成物の成形体の難燃性〔滴下自己消
火性(消炎時間:秒〕と上記成形体の1%重量減少温度
との関係を示した図である。
【図2】非置換芳香族リン酸エステル単量体(TP
P)、アルキル基置換芳香族リン酸エステル単量体(F
R−1)、芳香族リン酸エステル縮合体(FR−4)の
熱重量天秤試験(TGA)の結果を示した図である。縦
軸は重量(%)を示し、横軸は温度(℃)を示す。
【図3】非置換芳香族リン酸エステル単量体(TP
P)、アルキル基置換芳香族リン酸エステル単量体(F
R−1)、芳香族リン酸エステル縮合体(FR−4)を
配合した樹脂組成物(実施例4,5、比較例5,6)
の、450℃でのリンの総揮発量(重量%)を求め、難
燃性との関係について検討した。縦軸は難燃性(消炎時
間:秒)、横軸は450℃でのリンの総揮発量(重量
%)を示す。ここでリンの総揮発量は、まずTGAによ
り求めた450℃でのリン酸エステルの揮発量(減量)
と、各組成物中のリン含有量との積から算出した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される芳香族リン
    酸エステル単量体を含有する熱可塑性樹脂の低揮発性滴
    下性難燃剤。 【化1】 (式中、a,b,cは1から3、R1,R2,R3は水素
    または炭素数が1から30の炭化水素であり、化合物全
    体として、置換基R1,R2,R3の炭素数の合計が平均
    12から25である。ここで異なった置換基を有する複
    数の芳香族リン酸エステルからなる場合には、置換基R
    1,R2,R3の炭素数の合計は数平均で表わし、各芳香
    族リン酸エステル成分の重量分率と、各成分の置換基の
    炭素数の合計との積の和である。)
JP15941095A 1995-06-26 1995-06-26 熱可塑性樹脂の低揮発性滴下性難燃剤 Withdrawn JPH0912775A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001049064A (ja) * 1999-05-28 2001-02-20 Toray Ind Inc 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JP2001049064A (ja) * 1999-05-28 2001-02-20 Toray Ind Inc 難燃性樹脂組成物およびそれからなる成形品

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