JPH07286097A - 流動性の優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

流動性の優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

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JPH07286097A
JPH07286097A JP10322094A JP10322094A JPH07286097A JP H07286097 A JPH07286097 A JP H07286097A JP 10322094 A JP10322094 A JP 10322094A JP 10322094 A JP10322094 A JP 10322094A JP H07286097 A JPH07286097 A JP H07286097A
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resin
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rubber
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JP10322094A
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Inventor
Hajime Nishihara
一 西原
Akihiro Watanabe
昭宏 渡辺
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形加工流動性、難燃性、耐熱性、及び耐衝
撃性のバランス特性の優れたポリカ−ボネ−ト系樹脂組
成物の提供。 【構成】 (A)芳香族ポリカ−ボネ−ト、(B)ガラ
ス転移温度(Tg)が−30°C以下のゴム状重合体か
ら変性された芳香族ビニル単量体と不飽和ニトリル単量
体からなる共重合体、(C)ポリフェニレンエ−テル、
及び(D)有機リン化合物を含有する樹脂組成物であっ
て、該(A)芳香族ポリカ−ボネ−トが樹脂組成物中に
30〜49重量%含有する難燃性ポリカ−ボネ−ト系樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形加工性(流動性)に
優れた難燃性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物に関する。
更に詳しくは、本発明は、難燃性、成形加工性(流動
性)、耐熱性、及び耐衝撃性のバランス特性に優れたポ
リカ−ボネ−ト系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカ−ボネ−ト系樹脂は、耐熱性に優
れることに加え、耐衝撃性に優れていることから、自動
車部品、家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分
野で使用されるに至っている。しかしながら、近年火災
に対する安全性の要求がとみにクローズアップされ、家
電製品、OA機器等に対する米国UL(アンダーライタ
ーズ・ラボラトリー)垂直法燃焼試験の規制が年ととも
に厳しくなり、耐熱性と耐衝撃性を保持しつつ、難燃性
を向上させる技術開発が強く望まれている。
【0003】ポリカ−ボネ−ト系樹脂の難燃化の従来技
術として、ポリカ−ボネ−ト、ABS樹脂、有機リン化
合物、及びテトラフルオロエチレン重合体からなる樹脂
組成物(特開平2−32154号公報)、ポリカ−ボネ
−ト、ABS樹脂、及び縮合リン酸エステルからなる樹
脂組成物(特開平2−115262号公報)が知られて
いるが、該公報に記載の樹脂組成物は、ポリカ−ボネ−
トが主成分であるために流動性が低いだけでなく、難燃
性も必ずしも充分でない。
【0004】そして、ドイツ特許公開第4,200,2
47号公報には、ポリカ−ボネ−ト50〜90重量%、
ポリフェニレンエ−テル3〜25重量%、ABS樹脂、
スチレン系樹脂を必須成分とし、必要に応じて有機リン
化合物、ポリテトラフルオロエチレンを配合した樹脂組
成物を開示している。しかしながら、該公報の樹脂組成
物はポリカ−ボネ−トが50重量%以上含有しているた
めに成形加工流動性が極めて低く、工業的使用が狭めら
れる。
【0005】また、該公報には特定量のポリカ−ボネ−
トと特定の共重合体とポリフェニレンエ−テルと有機リ
ン化合物を組み合わせることにより、難燃性、耐熱性、
及び耐衝撃性を保持しつつ、成形加工流動性が著しく向
上することは開示していないし、暗示さえされていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち高度な成
形加工性と難燃性、耐熱性、及び耐衝撃性を有するポリ
カ−ボネ−ト系樹脂組成物を提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリカ−
ボネ−ト系樹脂組成物の成形加工性の改良を鋭意検討し
た結果、特定量の(A)芳香族ポリカ−ボネ−トに対し
て、(B)特定の共重合体、(C)ポリフェニレンエ−
テル、及び(D)有機リン化合物を組み合わせることに
より、驚くべきことに難燃性、耐熱性、及び耐衝撃性を
保持しつつ、成形加工流動性を飛躍的に向上させること
が可能になることを見出し、本発明に到達した。
【0008】即ち本発明は、(A)芳香族ポリカ−ボネ
−ト、(B)ガラス転移温度(Tg)が−30°C以下
のゴム状重合体から変性された芳香族ビニル単量体と不
飽和ニトリル単量体からなる共重合体、(C)ポリフェ
ニレンエ−テル、及び(D)有機リン化合物を含有する
樹脂組成物であって、該(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト
が樹脂組成物中に30〜49重量%含有することを特徴
とする難燃性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物を提供する
ものである。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
熱可塑性樹脂組成物は、(A)芳香族ポリカ−ボネ−
ト、(B)特殊なゴム変性共重合体、(C)ポリフェニ
レンエ−テル、及び(D)有機リン化合物からなる。上
記(A)成分は、(B)成分と共に成形用樹脂組成物の
主成分をなし、成形品の強度保持の役割を担うだけでな
く、燃焼時に成形体表面に炭化被膜を形成して難燃性を
付与する。(B)成分は、(A)成分の耐衝撃性を更に
向上させる成分である。(C)成分は、(B)成分と相
溶して(B)成分の熱分解を抑制したり、(A)成分と
同様に燃焼時に炭化被膜を形成して難燃性を付与するた
めの成分である。そして、(D)成分は流動性と難燃性
を付与するための成分である。
【0010】ここで、(A)成分は、組成物中に30〜
49重量%含有することが重要である。(A)成分が3
0重量%未満では難燃性が低下し、一方、49重量%を
越えると成形加工流動性が著しく劣ることを見出した。
しかしながら、従来のポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物で
は、ポリカ−ボネ−ト含有量が49重量%以下で難燃性
を保持することが不可能であったが、本発明において、
少量のポリフェニレンエ−テル(C)と、該(C)成分
と相溶可能な特殊なゴム変性共重合体(B)との組み合
わせによる難燃補助効果の発見により、極めて低含有量
の(A)芳香族ポリカ−ボネ−トで難燃性の保持が可能
となり、本発明を完成するに至った。
【0011】本発明の(A)芳香族ポリカ−ボネ−ト
は、芳香族二価フェノ−ル系化合物を苛性アルカリ及び
溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲン法、あるい
は芳香族二価フェノ−ル系化合物と炭酸ジエチルとを触
媒の存在下でエステル交換させるエステル交換法により
得られる。該芳香族ホモまたはコポリカ−ボネ−トは粘
度平均分子量が1万〜10万の範囲が望ましい。
【0012】ここで、上記二価フェノ−ル系化合物と
は、例えば2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−
ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1
−フェニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン〔ビスフェノ−ルA〕が好まし
い。そして、本発明の二価フェノ−ル系化合物は、単独
で用いてもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0013】本発明の(B)成分は、ゴム変性共重合体
を主体に、必要に応じてゴム非変性共重合体、ゴム非変
性芳香族ビニル重合体を含有する。上記ゴム変性共重合
体は、芳香族ビニル単量体と不飽和ニトリル単量体から
なるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散して
なる共重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビ
ニル単量体、不飽和ニトリル単量体及び必要に応じ、こ
れと共重合可能なビニル単量体を加えて単量体混合物を
公知の塊状重合法、塊状懸濁重合法、溶液重合法、乳化
重合法等により、グラフト重合することにより得られ
る。
【0014】ここで、熱安定性の観点から、特にゴム質
重合体、単量体混合物、及び重合溶媒よりなる均一な重
合原液を撹はん機付き連続多段式塊状重合反応機に供給
し、連続的に重合、脱気する塊状重合法が好ましい。塊
状重合法によりゴム変性AS樹脂を製造する場合、溶液
粘度の制御は、重合温度、開始剤種と量、溶剤、及び連
鎖移動剤量により行なうことができる。また、共重合組
成の制御は、仕込み単量体組成により行なうことができ
る。そして、ゴム粒子径の制御は、撹はん回転数で行な
い、小粒子化は回転数を上げ、大粒子化は回転数を下げ
ることによる。
【0015】上記ゴム状重合体は、ガラス転移温度(T
g)が−30°C以下であることが必要であり、−30
°Cを越えると耐衝撃性が低下する。このようなゴム状
重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン
−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエ
ン)等のジエン系ゴム及び上記ジエンゴムを水素添加し
た飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリ
アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム及びエチレン−プ
ロピレン−ジエンモノマ−三元共重合体(EPDM)等
を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
【0016】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、特にスチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に
上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。ま
た、グラフト重合可能なもう一つの必須成分の不飽和ニ
トリル単量体には、例えばアクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等を挙げることができる。そして、ゴム変性
共重合体の成分として、必要に応じ芳香族ビニル単量体
及び不飽和ニトリル単量体に共重合可能な単量体成分を
一種以上導入することができる。
【0017】上記共重合可能な単量体成分には、例えば
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等の炭素数が1〜
8のアルキル基からなるアクリル酸エステル単量体;メ
タクリル酸メチル等の炭素数が1〜8のアルキル基から
なるメタクリル酸エステル単量体;無水マレイン酸、無
水イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸無水物単量
体;または、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体を挙げるこ
とができる。
【0018】本発明のゴム変性共重合体は、ゴム状重合
体とグラフト重合可能な単量体混合物からなり、ゴム状
重合体は好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%であり、またグラフト重合可能な単量体
混合物は好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは
90〜50重量%の範囲にある。この範囲内では、目的
とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランス特性が向
上する。
【0019】そして、上記グラフト重合可能な単量体混
合物中の、ビニル芳香族単量体、不飽和ニトリル単量体
及び共重合可能なビニル単量体の割合は、それぞれ75
〜97、25〜3、0〜40重量%の範囲にあることが
好ましく、特に(A)、(C)成分との相溶性をさらに
高めるためには、97〜85、3〜15、0〜20重量
%の範囲にあることが一層好ましい。
【0020】不飽和ニトリル単量体が、3重量%未満で
は芳香族ポリカ−ボネ−トとの相溶性が劣り、耐衝撃性
が低下し、一方、25重量%を越えるとポリフェニレン
エ−テルとの相溶性が劣り、耐衝撃性と難燃性が低下す
る。さらに、ゴム変性共重合体のゴム粒子径は0.1〜
5.0μmが好ましく、特に0.5〜2.0μmが好適
である。上記範囲内では、耐衝撃性が優れている。
【0021】本発明のゴム変性共重合体(B)の分子量
の指標であるメチルエチルケトン(MEK)可溶分の還
元粘度ηSP/C(樹脂0.5g/dlのMEK溶液、測
定温度30℃)が、0.3〜1.0dl/gが好まし
く、さらには、0.5〜0.8dl/gがより好まし
い。還元粘度が0.3dl/g未満では、衝撃強度の低
下が著しく、一方、1.0dl/gを越えると流動性が
低下する。本発明の(B)成分中の前記ゴム非変性共重
合体は、ゴム成分を含有しない芳香族ビニル単量体と不
飽和ニトリル単量体と、必要に応じてこれと共重合可能
な単量体との共重合体であり、また前記ゴム非変性芳香
族ビニル重合体はポリスチレン等の、ゴム成分を含有し
ない芳香族ビニル単量体の重合体である。
【0022】本発明の(C)成分のポリフェニレンエー
テル(以下PPEと略称する。)は、下記式で示される
結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体であ
る。
【化1】 (但し、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ水素、炭
化水素、または置換炭化水素基からなる群から選択され
るものであり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0023】このPPEの具体的な例としては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチル
フェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が
好ましい。
【0024】かかるPPEの製造方法は特に限定される
ものではなく、例えば、米国特許第3,306,874
号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレ
ックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノール
を酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかに
も米国特許第3,3061075号明細書、米国特許第
3,257,357号明細書、米国特許3,257,3
58号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特
開昭50−51197号公報に記載された方法で容易に
製造できる。
【0025】本発明にて用いる上記PPEの還元粘度
(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)
は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好
ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあること
がより好ましい。PPEの還元粘度に関する上記要件を
満たすための手段としては、前記PPEの製造の際の触
媒量の調整などを挙げることができる。
【0026】本発明の(D)成分の有機リン化合物は、
例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィ
ン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステ
ル、亜リン酸エステル等である。より具体的には、トリ
フェニルフォスフェ−ト、メチルネオベンチルフォスフ
ァイト、ヘンタエリスリト−ルジエチルジフォスファイ
ト、メチルネオペンチルフォスフォネ−ト、フェニルネ
オペンチルフォスフェ−ト、ペンタエリスリト−ルジフ
ェニルジフォスフェ−ト、ジシクロペンチルハイポジフ
ォスフェ−ト、ジネオペンチルハイポフォスファイト、
フェニルピロカテコ−ルフォスファイト、エチルピロカ
テコ−ルフォスフェ−ト、ジピロカテコ−ルハイポジフ
ォスフェ−トである。
【0027】ここで、特に有機リン化合物として、化2
で示される芳香族系モノリン酸エステル、化3で示され
る芳香族系縮合リン酸エステルが好ましい。
【化2】
【化3】
【0028】(但し、Ar1 、Ar2 、Ar3 、A
4 、Ar5 、Ar6 はフェニル基、キシレニル基、エ
チルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェ
ニル基、4,4’−ジオキシジアリ−ルアルカン基から
選ばれる芳香族基であり、それらは同一でも異なっても
良い。また、nは0〜3の整数を表わし、mは1以上の
整数を表わす。)
【0029】本発明の樹脂組成物に必要に応じて、
(D)成分以外の難燃剤〔(E)成分〕を配合すること
ができ、例えば、ハロゲン系、リン系または無機系難燃
剤である。上記ハロゲン系難燃剤としては、ハロゲン化
ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポ
リカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、ハ
ロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレン
エーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロモジフェニ
ルオキサイド、テトラブロムビスフェノールA、テトラ
ブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビスフ
ェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系
ポリカーボネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架
橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、
ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブロムジフェ
ニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハロゲンリン
酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0030】上記リン系難燃剤としては、赤リン、
無機系リン酸塩等が挙げられる。本発明の 赤リン
は、一般の赤リンの他に、その表面を予め、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チ
タンより選ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理された
もの;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸
化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱
硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの;水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸
化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化
性樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0031】前記無機系リン酸塩は、ポリリン酸アン
モニウムが代表的である。また、本発明の(E)成分中
の無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金
属化合物の水和物;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタ
ホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、ムーカ
ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられ
る。これらは1種でも2種以上を併用してもよい。この
中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、
塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトからなる
群から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利
である。
【0032】本発明の樹脂組成物に必要に応じて、
トリアジン骨格含有化合物、 ノボラック樹脂、
含金属化合物、 シリコ−ン樹脂、 シリコ−ンオ
イル、 シリカ、 アラミド繊維、 フッ素系樹
脂から選ばれる一種以上の難燃助剤〔(F)成分〕を配
合することができる。
【0033】上記トリアジン骨格含有化合物は、有機
リン化合物の難燃助剤として一層の難燃性を向上させる
ための成分である。その具体例としては、メラミン、化
4で示されるメラム、化5で示されるメレム、メロン
(600℃以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニ
アによる生成物)、化6で示されるメラミンシアヌレ−
ト、化7で示されるリン酸メラミン、化8で示されるサ
クシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタロ
グアナミン、化9で示されるメラミン樹脂、化10で示
されるBTレジン等を挙げることができるが、耐揮発性
の観点から特にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0034】
【化4】
【化5】
【0035】
【化6】
【化7】
【0036】
【化8】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】前記ノボラック樹脂は、燃焼時の火種の
滴下を抑制(耐ドリップ性)するための成分であり、か
つヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルと併用する
場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもある。そして、
その樹脂はフェノ−ル類とアルデヒド類を硫酸または塩
酸のような酸触媒の存在下で縮合して得られる熱可塑性
樹脂であり、その製造方法は、「高分子実験学5『重縮
合と重付加』p.437〜455(共立出版(株)」に
記載されている。
【0039】ノボラック樹脂製造の一例を下記式化11
に示す。
【化11】
【0040】上記フェノ−ル類には、例えばフェノ−
ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−
ル、2,5−ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,
3,5−トリメチル−、3,4,5−トリメチル−、p
−t−ブチル−、p−n−オクチル−、p−ステアリル
−、p−フェニル−、p−(2−フェニルエチル)−、
o−イソプロピル−、p−イソプロピル−、m−イソプ
ロピル−、p−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノ
−ル、
【0041】ピロカテコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイド
ロキノン、サリチルアルデヒド、サルチル酸、p−ヒド
ロキシ安息香酸、メチル−p−ヒドロキシベンゾエ−
ト、p−シアノ−、及びo−シアノフェノ−ル、p−ヒ
ドロキシベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼン
スルホンアミド、シクロヘキシル−p−ヒドロキシベン
ゼンスルホネ−ト、4−ヒドロキシフェニルフェニルホ
スフィン酸、メチル−4−ヒドロキシフェニルフェニル
ホスフィネ−ト、4−ヒドロキシフェニルホスホン酸、
エチル−4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト、ジフェ
ニル−4−ヒドロキシフェニルホスホネ−ト等である。
【0042】上記アルデヒド類には、例えばホルムアル
デヒド、アセトアルデヒド、n−プロパナ−ル、n−ブ
タナ−ル、イソプロパナ−ル、イソブチルアルデヒド、
3−メチル−n−ブタナ−ル、ベンズアルデヒド、p−
トリルアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等で
ある。
【0043】前記含金属化合物は金属酸化物及び/ま
たは金属粉である。上記金属酸化物には、例えば酸化ア
ルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化
マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリ
ブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸
化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化
タングステン等の単体または、それらの複合体(合金)
である。上記金属粉には、例えばアルミニウム、鉄、チ
タン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマ
ス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アン
チモン等の単体または、それらの複合体である。
【0044】前記シリコ−ン樹脂は、SiO2 、RS
iO3/2 、R2 SiO、R3 SiO1/2 の構造単位を組
み合わせてできる三次元網状構造を有するシリコ−ン樹
脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル
基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベンジル基
等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した
置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有したシリコ
−ン樹脂が好ましい。このようなシリコ−ン樹脂は、上
記の構造単位に対応するオルガノハロシランを共加水分
解して重合することにより得られる。
【0045】前記シリコ−ンオイルは、化12に示さ
れる化学結合単位からなるポリジオルガノシロキサンで
ある。
【化12】 (上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C6〜13の
アリ−ル基、又は下記化13、化14で示される含ビニ
ル基から選ばれる一種または二種以上の置換基であり、
ここで、特に分子中にビニル基を含有することが好まし
い。)
【0046】
【化13】
【化14】
【0047】前記シリコ−ンオイルの粘度は、600〜
1,000,000センチポイズ(25℃)が好まし
く、さらに好ましくは90,000〜150,000セ
ンチポイズ(25℃)である。前記シリカは、無定形
の二酸化ケイ素であり、特にシリカ表面に炭化水素系化
合物系のシランカップリング剤で処理した炭化水素系化
合物被覆シリカが好ましく、更にはビニル基を含有した
炭化水素系化合物被覆シリカが好ましい。
【0048】上記シランカップリング剤は、例えばp−
スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラ
ン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニ
ル基含有シラン;β−(3,4エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、
【0049】γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン等のエポキシシラン;及びN−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N−フ
ェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のア
ミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構造が
類似した単位を有するシランカップリング剤が好まし
く、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリル
トリメトキシシランが好適である。
【0050】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法はシリカを
シランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥させ
る方法であり、乾式法はヘンシェルミキサ−のような高
速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はんしな
がらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、その後
熱処理する方法である。
【0051】前記アラミド繊維は全芳香族ポリアミド
繊維であり、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミ
ド、またはポリパラフェニレンテレフタルアミドをアミ
ド系極性溶媒または硫酸に溶解し、湿式または乾式法で
溶液紡糸することにより製造することができる。
【0052】前記フッ素系樹脂は、更に一層、耐ドリ
ップ性を向上させるための成分であり、樹脂中にフッ素
原子を含有する樹脂である。その具体例として、ポリモ
ノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリト
リフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重
合体等を挙げることができる。また、耐ドリップ性を損
わない程度に必要に応じて上記含フッ素モノマ−と共重
合可能なモノマ−とを併用してもよい。
【0053】これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国
特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,
534,058号明細書に開示され、例えばテトラフル
オロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg
/cm2 の加圧下、0〜200°Cの温度で重合し、次
いで懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、また
は沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られ
る。ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練するこ
とが好ましい。
【0054】例えば、ポリテトラフルオロエチレンの場
合、300〜350℃の温度範囲で溶融することが好ま
しい。せん断力下の融点以上での溶融により高度にフィ
ブリル化し、配向結晶化する。そして、フッ素系樹脂が
幹繊維に対して、枝分かれした特殊な高次構造を有する
フッ素系樹脂が得られる。その結果として、三次元的に
熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融適下を抑制す
る。また、高せん断力を与えるために、ゴム変性樹脂
(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、ポリフェニレ
ン−テル等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で溶融すること
が好ましい。
【0055】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤をフッ素系樹脂の融点以上で溶融混練してマ
スタ−バッチを作製してから、熱可塑性樹脂と難燃剤と
溶融混練する二段プロセス法や、または、サイドフィ−
ド可能な二ゾ−ンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤をフッ素系
樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げて
難燃剤をフィ−ドし、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0056】本発明の樹脂組成物に、必要に応じて
芳香族ビニル単位とアクリル酸エステル単位からなる共
重合樹脂、 脂肪族炭化水素、 高級脂肪酸、
高級脂肪酸エステル、 高級脂肪酸アミド、 高級
脂肪族アルコ−ル、または金属石鹸から選ばれる一種
または二種以上の流動性向上剤〔(G)成分〕を配合す
ることができる。
【0057】上記共重合樹脂中の芳香族ビニル単位は
(B)成分の説明において示した芳香族ビニル単位であ
り、アクリル酸エステル単位は、例えばアクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基
からなるアクリル酸エステルである。ここで、共重合樹
脂中のアクリル酸エステル単位の含量は、3〜40重量
%が好ましく、更には、5〜20重量%が好適である。
また、上記共重合樹脂の分子量の指標である溶液粘度
(樹脂10重量%のMEK溶液、測定温度25℃)が2
〜10cP(センチポアズ)であることが好ましい。溶
液粘度が2cP未満では衝撃強度が低下し、一方、10
cPを越えると流動性の向上効果が低下する。
【0058】前記脂肪族炭化水素系加工助剤は、例え
ば流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。前記高級脂肪酸は、例えばカプロン酸、ヘキサデ
カン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フェニルステア
リン酸、フェロン酸等の飽和脂肪酸、及びリシノ−ル
酸、リシンベライジン酸、9−オキシ−12−オクタデ
セン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0059】前記高級脂肪酸エステルは、例えばフェ
ニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチル
等の脂肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸ジ
フェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基酸
の1価アルコ−ルエステルである。さらに、例えばソル
ビタンモノラウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、
ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、
ソルビタントリオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノ
パルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステ
アレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト
等のソルビタンエステル;ステアリン酸モノグリセライ
ド、オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリ
セライド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン
単量体の脂肪酸エステル;
【0060】ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポ
リグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンラウ
リン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキシエチレ
ンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノオレ−ト
等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する脂肪酸エ
ステル;及びネオペンチルポリオ−ルジステアリン酸エ
ステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エステル等で
ある。
【0061】前記高級脂肪酸アミドは、例えばフェニ
ルステアリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミ
ド、メチロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド;ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジ
エタノ−ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミ
ド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド;及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0062】前記高級脂肪族アルコ−ルは、例えばス
テアリルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアル
コ−ル;ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価アルコ−
ル;及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキ
シエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリ
オキシエチレンアリル化エ−テル等のポリアルキレンエ
−テルユニットを有するアリル化エ−テル;及び
【0063】ポリオキシエチレンラウリルエ−テル、ポ
リオキシエチレントリドデシルエ−テル、ポリオキシエ
チレンセチルエ−テル、ポリオキシエチレンステアリル
エ−テル、ポリオキシエチレンオレイルエ−テル等のポ
リオキシエチレンアルキルエ−テル;ポリオキシエチレ
ンオクチルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエ−テル等のポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエ−テル;ポリエピクロルヒドリンエ−テル、ポ
リオキシエチレンビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキ
シエチレンエチレングリコ−ル、ポリオキシプロピレン
ビスフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレングリコ−ルエ−テル等のポリアルキレン
エ−テルユニットを有する2価アルコ−ルである。
【0064】前記金属石鹸は、例えば上記ステアリン
酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛やア
ルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。本発明の
樹脂組成物に、必要に応じて熱可塑性エラストマ−
〔(H)成分〕を配合することができる。例えば、ポリ
スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラ
ストマー、1,2−ポリブタジエン系エラストマー、ポ
リ塩化ビニル系エラストマ−等であり、特にポリスチレ
ン系熱可塑性エラストマ−が好ましい。
【0065】上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマ−
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。上記ブロ
ック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、前記
(B)成分の説明において記載した芳香族ビニル単量体
であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に
上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0066】また、上記ブロック共重合体を構成する共
役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプ
レン等を挙げることができる。そして、ブロック共重合
体のブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体
ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部
分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをB
で表示する場合、SB、S(BS)n 、(但し、nは1
〜3の整数)、S(BSB)n 、(但し、nは1〜2の
整数)のリニア−ブロック共重合体や;
【0067】(SB)n X(但し、nは3〜6の整数。
Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等
のカップリング剤残基。)で表示される、B部分を結合
中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であること
が好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SB
SBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
【0068】本発明の樹脂組成物に、必要に応じて
紫外線吸収剤、 ヒンダ−ドアミン系光安定剤、
酸化防止剤、 ハロゲン捕捉剤、 遮光剤、 金
属不活性剤、または 消光剤から選ばれる一種または
二種以上の耐光性改良剤(I成分)を配合することがで
きる。
【0069】上記紫外線吸収剤は、光エネルギ−を吸
収して、分子内プロトン移動することによりケト型分子
となったり(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾ−ル
系)、またはcis−trans異性化することにより
(シアノアクリレ−ト系)、熱エネルギ−として放出、
無害化するための成分である。
【0070】その具体例は、2,4−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノ
ン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェ
ノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
【0071】2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−
ヒドロキシ−3’−t−5’−メチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
【0072】2,2’−メチレンビス(4−t−オクチ
ル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノ−ル等の2−
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル類;
フェニルサリシレ−ト、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−
ト、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ
−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエ−ト、ヘキサ
デシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ゾエ−ト等のベンゾエ−ト類;2−エチル−2’−アト
キシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキ
ザニリド等の置換オキザニリド類;及びエチル−α−シ
アノ−β,β−ジフェニルアクリレ−ト、メチル−2−
シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)ア
クリレ−ト等のシアノアクリレ−ト類である。
【0073】前記ヒンダ−ドアミン系光安定剤は、光
エネルギ−により生成したハイドロパ−オキサイドを分
解し、安定なN−O・ラジカルやN−OR、N−OHを
生じ、安定化させるための成分である。その具体例は、
例えば2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジ
ルステアレ−ト、1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジルステアレ−ト、2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジルベンゾエ−ト、ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケ−ト、ビ
ス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)セバケ−ト、テトラキス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテト
ラカルボキシレ−ト、
【0074】テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボキシレ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレ−ト、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ル)−2−ブチル−2−(3’,5’−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)マロネ−ト、1−(2−ヒ
ドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、
【0075】1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタ
ン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジク
ロロ−6−t−オクチリアミノ−s−トリアジン重縮合
物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6
−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物等である。
【0076】前記酸化防止剤は、熱成形時または光暴
露により、生成したハイドロパ−オキシラジカル等の過
酸化物ラジカルを安定化したり、生成したハイドロパ−
オキサイド等の過酸化物を分解するための成分である。
その具体例は、例えばヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止
剤及び/または過酸化物分解剤である。前者はラジカル
連鎖禁止剤として作用し、後者は系中に生成した過酸化
物をさらに安定なアルコ−ル類に分解して自動酸化を防
止する。
【0077】前記ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤
は、例えば2,6−ジタ−シャルブチル−4−メチルフ
ェノ−ル、スタイレネイテドフェノ−ル、n−オクタデ
シル3−(3,5−ジタ−シャルブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネ−ト、2,2’−メチレンッビ
ス(4−メチル−6−タ−シャルブチルフェノ−ル)、
2−タ−シャルブチル−6−(3−タ−シャルブチル−
2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレ−ト、
【0078】2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ
タ−シャルペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジタ
−シャルペンチルフェニルアクリレ−ト、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−タ−シャルブチルフェ
ノ−ル)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−タ−
シャルブチルフェノ−ル)、アルキレイテッドビスフェ
ノ−ル、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジタ−シ
ャルブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−
ト]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−タ−シャ
ルブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プ
ロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカ
ン等である。
【0079】また、前記過酸化物分解剤は、例えばトリ
スノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファ
イト、トリス(2,4−ジタ−シャルブチルフェニル)
ホスファイト等の有機リン系過酸化物分解剤またはジラ
ウリル3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジミリスチル
−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−
3,3’−チオジプロピオネ−ト、ペンタエリスリチル
テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネ−ト)、ジト
リデシル3,3’−チオジプロピオネ−ト、2−メルカ
プトベンズイミダゾ−ル等の有機イオウ系過酸化物分解
剤である。
【0080】前記ハロゲン捕捉剤は、熱成形時または
光暴露時に生成する遊離ハロゲンを捕捉するための成分
である。その具体例は、例えばハイドロタルサイト、ゼ
オライト、酸化マグネシウム、ステアリン酸カリシウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の塩基性金属塩、有機錫化合
物、または有機エポキシ化合物である。上記ハイドロタ
ルサイトは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミ
ニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩またはその結晶
水を含まないもので、天然物及び合成品が含まれる。
【0081】天然物としては、Mg6 12(OH)16
3 ・4H2 Oの構造のものが挙げられる。また、合成
品としては、Mg0.7 10.3(OH)2 (CO3 0.15
・0.54H2 O、Mg4.5 12(OH)13CO3
3.5H2 O、Mg4.2 12(OH)12.4CO3 、Zn
6 12(OH)16CO3 ・4 H2 O、Ca6 12(O
H)16CO3 ・4 H2 O、Mg14Bi2 (OH)29.6
4.2H2 O等が挙げられる。
【0082】前記ゼオライトは、Na2 O・A123
2SiO2 ・XH2 Oで示されるA型ゼオライト、また
は周期律表第II族及び第IV族の金属から選ばれた少
なくとも一種の金属を含む金属置換ゼオライトである。
そして、その置換金属としては、Mg、Ca、Zn、S
r、Ba、Zr、Sn等であり、特にCa、Zn、Ba
が好ましい。
【0083】前記有機エポキシ化合物は、例えばエポキ
シ化大豆油、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレ
−ト、ハイドロキノンジグリシジルエ−テル、テレフタ
ル酸ジグリシジルエステル、4,4’−スルホビスフェ
ノ−ル・ポリグリシジルエ−テル、N−グリシジルフタ
ルイミド、または水添ビスフェノ−ルAグリシジルエ−
テル、3,4 −エポキシシクロヘキシルメチル−3,4
−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、
【0084】2−(3,4−エポキシシクロヘキシルス
ピロ〔5,5〕−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−
m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル)アジペ−ト、ビニルシクロヘキセンジオキサ
イド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,
4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジ
ペ−ト、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル
−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボ
キシレ−ト、
【0085】メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘ
キサン)、ジシクロペンタジエンベポキサイド、エチレ
ングリコ−ルのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル)エ−テル、エチレンビス(3,4−エポキシシク
ロヘキサンカルボキシレ−ト)、エポキシヘキサヒドロ
フタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ
−2−エチルヘキシル等の脂環式エポキシ化合物等であ
る。
【0086】前記遮光剤は光が高分子バルクに達する
のを防止するための成分である。その具体例は、例えば
ルチル型酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化セリウム(Ce
O2 )等である。前記金属不活性剤はキレ−ト化合物
により樹脂中の重金属イオンを不活性化するための成分
である。その具体例は、例えばアシッドアミン誘導体、
ベンゾトリアゾ−ル、及びその誘導体である。
【0087】前記消光剤は、高分子中の光励起したハ
イドロパ−オキサイドやカルボニル基等の官能基をエネ
ルギ−移動によって失活させるための成分であり、有機
ニッケル等が知られている。
【0088】本発明の樹脂組成物は、(A)芳香族ポリ
カ−ボネ−トが30〜49重量%、(B)ゴム変性共重
合体が11〜68重量%、(C)ポリフェニレンエ−テ
ルが1〜20重量%、(D)有機リン化合物が1〜20
重量%、(E)難燃剤が0〜30重量%、(F)難燃助
剤が0〜30重量%、(G)流動性向上剤が0〜30重
量%、(H)熱可塑性エラストマ−が0〜30重量%、
(I)耐光性改良剤が0〜10重量%の範囲にあること
が好ましい。ここで上記範囲内では、難燃性、成形加工
性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特性が優
れている。
【0089】本発明の樹脂組成物の溶融押出方法は、全
成分を同時に溶融押出してもいいし、またはまず樹脂成
分〔(A)、(B)、(C)成分〕を溶融押出しした後
に、再度ポリマ−添加剤を溶融押出しする逐次的押出
法、あるいは複数ゾ−ンからなる押出機で前段で樹脂成
分を溶融し、後段で樹脂成分以外のポリマ−添加剤を溶
融押出しする一段押出法等がある。
【0090】本発明の樹脂組成物は上記方法で溶融混練
することにより得られるが、その際にその他の酸化防止
剤、その他の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無
機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸
亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や
顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することができ
る。このようにして得られた本発明の組成物を、例えば
射出成形または押出成形することにより、成形加工性
(流動性)、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優れた成形
品が得られる。
【0091】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるもので
はない。尚、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機を用いて行なった。 (1)ゴム重量平均粒子径 ゴム変性芳香族ビニル樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組
成物の超薄切片法により撮影した透過型電子顕微鏡写真
中のブタジエン系重合体粒子径を求め、次式(1) により
算出する。
【数1】 重量平均粒子径=ΣNi・Di4 /ΣNi・Di3 ・・・(1) (ここでNiは、粒子がDiであるブタジエン系重合体
粒子の個数である。)
【0092】(2)(B)成分の溶液粘度 (B)成分の共重合樹脂をメチルエチルケトン(ME
K)に溶解して10重量%樹脂溶液を作製する。但し、
(B)のグラフト共重合樹脂については、MEKでゴ
ム分から樹脂分を抽出し、上記と同様に10重量%樹脂
溶液を作製する。次いで、この溶液10mlを粘度計に
入れ、25℃の恒温槽中で落下秒数t1 を測定した。
【0093】一方、既に粘度が既知の粘度計校正用標準
液(JIS Z8809−1978に基づき作製)を用
いて上記と同様の操作で落下秒数t0 を求め、以下の数
式(2) により粘度管係数Kを算出し、ポリマ−溶液の落
下秒数と粘度管係数Kとの積から溶液粘度を得た。単位
はセンチポアズ(cP)。
【数2】 粘度管係数K=(η0 d)/(t0 d0 ) ・・・(2) η0 :標準液の25℃における粘度(cP) t0 :標準液の25℃における落下時間(sec) d :10重量%のポリマ−溶液の密度(g/cm3 ) d0 :標準液の25℃における密度(g/cm3
【0094】(3)(C)成分の還元粘度ηSP/C ポリフェニレンエ−テル0.1gをクロロホルムに溶解
し、濃度0.5 g/dlの溶液とし、この溶液10ml
をキャノン−フェンスケ型粘度計に入れ、30℃でこの
溶液流下秒数 t1 を測定した。一方、別に同じ粘度計
で純クロロホルムの流下秒数 t0 を測定し、以下の数
式(3) により算出した。
【数3】 ηSP/C=(t1 / t0 − 1)/C ・・・(3) (C:ポリマ−濃度 g/dl)
【0095】(4)アイゾット衝撃強さ ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1 /8インチ試験片) (5)ビカット軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0096】(6)メルトフロ−レ−ト(MFR) 流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方法で
測定した。荷重10kg、溶融温度220℃の条件で1
0分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。 (7)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片)
【0097】(8)耐光性 JIS K7102に基づいた試験法で、耐光試験機と
して、ATLASElectric Devices
Co.製 ATLAS CI35WWeather−o
meterを用い、以下の条件で照射し、色差ΔEを測
定した。 (照射条件) ブラックパネル温度;63℃、湿度;55%、雨無し、
キセノン光(波長340nm、エネルギ−;0.35W
/m2 )300時間照射
【0098】(9)色調変化ΔE スガ試験機(株)製 SMカラ−コンプ−タ−型式SM
−3を用い、L.a.b.法により成形体の色差ΔEを
求めた。実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを
用いた。 (イ)芳香族ポリカ−ボネ−ト(PC) 市販のビスフェノ−ルA型ポリカ−ボネ−ト〔三菱化成
工業(株)製「ノバレックス 7025A」(PCと称
する)〕を用いた。
【0099】(ロ)ゴム変性共重合体(AN−HIP
S) ハイシス・ポリブタジエン(ビニル/シス/トランス重
量比=3/95/2)を、以下の混合液に溶解し、均一
な溶液とした。 ポリブタジエン 9.2重量% スチレン 72.8重量% アクリロニトリル 3.0重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.18重量% t−ブチルパ−オキシイソプロピルカ−ボネ−ト 0.03重量% オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル− 4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト 0.1重量%
【0100】次いで、上記混合液を撹拌機付の直列3段
式反応機に連続的に送液して、第1段は撹拌数130r
pm、115℃;第2段は50rpm、135℃;第3
段は10rpm、150℃で7時間滞留させ重合を行な
った。尚、第2段、第3段反応機に必要量のアクリロニ
トリルを追添した。引き続きこの重合液を235℃の脱
揮装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変
性共重合体を得た(AN−HIPS−1と称する)。得
られたゴム変性共重合体を分析した結果、樹脂組成重量
比はアクリロニトリル/スチレン/ポリブタジエン=6
/82/12であり、ゴムの重量平均粒子径は3.5μ
m、メチルエチルケトン可溶分の溶液粘度は12.5c
Pであった(樹脂組成比は赤外吸収スペクトル法によ
る)。
【0101】また、上記AN−HIPS−1の製造にお
いて、アクリロニトリルとスチレンの量比を変更するこ
とにより、組成の異なったゴム変性共重合体を製造し、
一方、ゴム種をロ−シスゴム〔旭化成工業(株)製(ビ
ニル/シス/トランス=18/33/49〕に変更する
ことにより、ゴム種の異なったゴム変性共重合体を製造
し、表2、表3に記載した。 (ハ)ゴム非変性ポリスチレン(GPPS) 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万)〔(旭化成工業(株)製)(以後、GPP
Sと称する)〕を用いた。
【0102】(ニ)ポリフェニレンエーテル(PPE) 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間
重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEと称する)。還元粘度ηSPは0.55dl
/gであった。
【0103】(ホ)有機リン化合物(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル(トリフェニルホスフェ−
ト)〔大八化学工業(株)製「TPP」(TPPと称す
る)〕を用いた。 (ヘ)耐光性改良剤 a)紫外線吸収剤(UVA) チバ−ガイギ−社製のベンゾトリアゾ−ル系紫外線吸収
剤〔商品名「チヌビン P」(UVAと称する)〕を用
いた。その構造式は下記化15に示される。
【化15】
【0104】b)酸化防止剤 チバガイギ−社製〔商品名「イルガノックス1076」
(AOと称する)〕を用いた。その構造式は下記化16
に示される。
【化16】 c)遮光剤 酸化チタン(TiO2 ) 市販の酸化チタン粉末〔石原産業(株)製、0.2μ
(TiO2 と称する)を用いた。
【0105】(実施例1〜4及び比較例1〜4)PC/
AN−HIPS−1/GPPS/PPE/TPPを、表
1記載の重量比率で混合し、サイドフィ−ド可能な二軸
押出機(Werner Pfleiderer社製 Z
SK−40mmφ )を用い、溶融押出しを行なった。
即ち、押出機の前段で樹脂成分を260℃で溶融し、後
段でTPPをサイドフィ−ドし、回転数295rpm、
吐出量80kg/hで240℃で溶融混練した。尚、P
PEの溶融温度が高いので、GPPS/PPEを300
℃で前以て溶融押出したマスタ−ペレットを用いた。
【0106】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製、型式IS80A)でシリンダ
−温度220℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、各種物性評価を行なった。表1にその結果を示す。
【表1】
【0107】*HB:UL−94に準拠した難燃性評価
法において、V−0、V−1、V−2のいずれかのラン
クにも属しないランクを示す。 表1によると、芳香族ポリカ−ボネ−トが30〜49重
量%の範囲にある時のみ、難燃性、衝撃強度、耐熱性を
保持しつつ、流動性が著しく向上することが分かる。
【0108】(実施例5〜7及び比較例5)PC/表2
記載のAN−HIPS/GPPS/PPE/TPPを、
重量比でそれぞれ49/33/2.4/5.6/10に
変更すること以外、実施例1と同一の実験を繰り返し
た。その結果を表2に示す。
【表2】 表2によると、アクリロニトリルが存在するときのみ、
衝撃強度が著しく向上することが分かる。
【0109】(実施例8〜12)PC/表3記載のAN
−HIPS/GPPS/PPE/TPPを、重量比でそ
れぞれ49/33/2.4/5.6/10に変更するこ
と以外、実施例1と同様に押出し、耐光性を評価した。
その結果を表3に示す。
【表3】 表3によると、ゴム種としてロ−シスゴムよりハイシス
ゴムの方が耐光性が優れていることが分かる。
【0110】(実施例13〜15及び比較例7〜8)実
施例1において、組成を表4に変更すること以外、実施
例1と同様に押出し、耐光性を評価した。その結果を表
4に示す。
【表4】
【0111】(実施例16及び比較例9、10)実施例
1において、PCを0、49、70重量%に変更した組
成物を製造し、成形加工流動性の評価を行なった。 〔比較例9の樹脂組成物:PC/AN−HIPS−1/
GPPS/PPE/TPP=0/92/2.4/5.6
/0、 実施例16の樹脂組成物:PC/AN−HIPS−1/
GPPS/PPE/TPP=49/33/2.4/5.
6/10、 比較例10の樹脂組成物:PC/AN−HIPS−1/
GPPS/PPE/TPP=70/12/2.4/5.
6/10。
【0112】 スパイラルフロ−距離:200、23
0、260℃の樹脂温度において、それぞれ30、6
0、90Kg/cm2 の射出圧力で、2mmの肉厚の螺
旋状の成形体を作製し、流動長を測定した。その結果を
表5及び図1に示す。 キャピログラフ:220、260、280℃の樹脂
温度において、それぞれ1.08から3.78のせん断
速度(1/sec)の常用対数での、粘度(pois
e)の常用対数を測定した。その結果を表6及び図2に
示す。
【0113】
【表5】
【0114】
【表6】 表5、6、及び図1、2から、PCの含有量が多くなる
程、高せん断速度での成形性が低下し、特にPCが50
重量%を越えると、著しく成形加工流動性が低下するこ
とが分かる。
【0115】
【発明の効果】本発明は、成形加工流動性、難燃性、耐
熱性、及び耐衝撃性のバランス特性の優れたポリカ−ボ
ネ−ト系樹脂組成物を提供するものである。この組成物
は、家電部品、OA機器部品等に好適であり、これら産
業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例16、比較例9、10の樹脂組成物のス
パイラルフロ−テストの結果を示し、230℃の樹脂温
度における、射出圧力(kg/ cm2 )と流動長(c
m)との関係を示した図である。
【図2】実施例16、比較例9、10の樹脂組成物のキ
ャピログラフの結果を示し、220℃の樹脂温度におけ
る、せん断速度(1/sec)の常用対数と粘度(po
ise)の常用対数との関係を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)芳香族ポリカ−ボネ−ト、(B)
    ガラス転移温度(Tg)が−30°C以下のゴム状重合
    体から変性された芳香族ビニル単量体と不飽和ニトリル
    単量体からなる共重合体、(C)ポリフェニレンエ−テ
    ル、及び(D)有機リン化合物を含有する樹脂組成物で
    あって、該(A)芳香族ポリカ−ボネ−トが樹脂組成物
    中に30〜49重量%含有することを特徴とする、難燃
    性ポリカ−ボネ−ト系樹脂組成物。
JP10322094A 1994-04-19 1994-04-19 流動性の優れた難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 Withdrawn JPH07286097A (ja)

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